【実施例】
【0038】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0039】
[実施例1]
高濃度グルコースからのエタノール発酵は20 mM クエン酸緩衝液中に120 g/lのグルコースに5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2Oを含んだ発酵用培地にYPD 液体培地(10 g/l yeast extract, 20 g/l peptone, 20 g/l glucose)で96時間10℃、 120 rpmの条件で前培養していたムラキア・ブロロピス(FERM P−22126株)8 mlを3000 × g 4℃ 10分間遠心分離し、菌体を回収した。滅菌蒸留水で2回洗浄し再び遠心分離して回収した菌体を滅菌蒸留水1 mlに懸濁したものを接種源として植菌し10℃、 120 rpmの条件で19日間発酵試験を行った。発酵試験開始直後から発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃、 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにてグルコース濃度とエタノール濃度を測定した。グルコースの定量条件は検出器:日本分光RI-2031、 カラム:Aminex HPX87P、 移動相:イオン交換水、 流速: 0.6 mL / min、 カラム温度:80℃で行った。 エタノールの定量条件は検出器:日本分光RI-2031、 カラム:Aminex HPX87H、 移動相:5mM H
2SO
4、 流速: 0.6 mL / min、 カラム温度:65℃で行った。 結果を
図1に示す。発酵開始からエタノール濃度は徐々に生産されることが確認され、グルコース濃度は徐々に減少した。発酵開始19日後にグルコースは完全に消費された。この条件では発酵終了後、エタノール濃度約48 g/lのエタノールを得た。
【0040】
[実施例2]
リグノセルロース系バイオマスの酵素糖化反応は20 mM クエン酸緩衝液(pH 4.5)にメカノケミカル処理したスギ木粉を200 g/lとなるように加え十分に懸濁した後、株式会社 明治社製Acremozyme セルラーゼを6 FPU/g、 Genencor社製 Optimash BGを20 μl/ g添加し、37℃,120rpmで96時間撹拌しながら加水分解反応をおこなった。反応終了後、0.22μmのフィルターユニットにより糖化液を回収し、実施例1の条件でグルコース濃度を測定した。測定の結果グルコース濃度約40.9 g/lの糖化液を得ることができた。リグノセルロース系バイオマス酵素糖化液からのエタノール発酵はスギ糖化液に5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2Oを加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌し、10℃ 120 rpm 120時間、発酵試験を行った。発酵試験開始直後から発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃, 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図2に示す。発酵試験開始96時間後にグルコースは完全に消費し、最終的に17.0 g/lのエタノールを得ることができた。
【0041】
[比較例1]
リグノセルロース系バイオマスの酵素糖化反応は20 mM クエン酸緩衝液(pH 4.5)にメカノケミカル処理したユーカリ木粉を200 g/lとなるように加え十分に懸濁した後、株式会社 明治社製Acremozyme セルラーゼを6 FPU/g、 Genencor社製 Optimash BGを20 μl/ g添加し、37℃,120rpmで96時間撹拌しながら加水分解反応をおこなった。反応終了後、0.22μmのフィルターユニットにより糖化液を回収し、実施例1の条件でグルコース濃度を測定した。測定の結果グルコース濃度約40.9 g/lの糖化液を得ることができた。リグノセルロース系バイオマス酵素糖化液からのエタノール発酵はユーカリ糖化液に5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2Oを加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌し、10℃ 120 rpm 120時間、発酵試験を行った。発酵試験開始直後から発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃, 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図3に示す。発酵試験開始120時間までもグルコースは消費されず、エタノールの生産も認められなかった。
【0042】
[実施例3]
20 mM クエン酸緩衝液(pH 4.5)にメカノケミカル処理したスギ木粉を200 g/l, 5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2Oを加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌した後、株式会社明治社製Acremozyme セルラーゼを50 FPU/g, Genencor社製 Optimash BGを20 μl/ g添加し、10℃,180rpmで120時間撹拌しながら同時糖化反応をおこなった。同時糖化発酵試験開始直後から同時糖化発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃、 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図4に示す。同時糖化発酵試験開始24時間後に約7.2 g/lのグルコースが生産されその後、同時糖化発酵時間の経過と共にグルコース濃度は減少した。最終的に12.5 g/lのエタノールを得ることができた。
【0043】
[実施例4]
20 mM クエン酸緩衝液(pH 4.5)にメカノケミカル処理したユーカリ木粉を200 g/l, 5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2Oを加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌した後、株式会社明治社製Acremozyme セルラーゼを50 FPU/g, Genencor社製 Optimash BGを20μl/ g添加し、10℃,180rpmで120時間撹拌しながら同時糖化反応をおこなった。同時糖化発酵試験開始直後から同時糖化発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃、 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図5に示す。同時糖化発酵試験開始24時間後に約11.9 g/lのグルコースが生産されその後、グルコース濃度はほぼ一定に推移した。最終的に14.2 g/lのグルコースが残存し、最大で7.1 g/lのエタノールを得ることができた。
【0044】
[実施例5]
20 mM クエン酸緩衝液(pH4.5)にメカノケミカル処理したスギ木粉を200 g/l, 5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2O, 非イオン性界面活性剤として1% (v/v) Tween 80を加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌した後、株式会社明治社製Acremozyme セルラーゼを50 FPU/g, Genencor社製 Optimash BGを20 μl/g添加し、10℃,180rpmで120時間撹拌しながら同時糖化反応をおこなった。同時糖化発酵試験開始直後から同時糖化発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃、 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図6に示す。同時糖化発酵試験開始24時間後に約1.5 g/lのグルコースが生産されその後、グルコース濃度は発酵120時間目までにほぼ消化された。最大で13.2 g/lのエタノールを得ることができた。
【0045】
[実施例6]
20 mM クエン酸緩衝液(pH 4.5)にメカノケミカル処理したユーカリ木粉を200 g/l, 5 g/l yeast extract, 5 g/l Bacto peptone, 2 g/l NH
4Cl, 1 g/l KH
2PO
4, 0.3 g/l MgSO
4・7H
2O、 非イオン性界面活性剤として1% (v/v) Tween 80を加え、実施例1の条件で培養を行った接種源を植菌した後、株式会社明治社製Acremozyme セルラーゼを50 FPU/g, Genencor社製 Optimash BGを20 μl/ g添加し、10℃,180rpmで120時間撹拌しながら同時糖化反応をおこなった。同時糖化発酵試験開始直後から同時糖化発酵試験溶液の一部を採取し、12100 × g 4℃、 5分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清はその後、高速クロマトグラフィーにて実施例1の条件でグルコース濃度とエタノール濃度の測定を行った。結果を
図7に示す。同時糖化発酵試験開始24時間後に約7.3 g/lのグルコースが蓄積され、反応終了の時点で約4.7 g/lのグルコースが残存していた。最終的に最大で11.6 g/lのエタノールを得ることができた。