特許第6338493号(P6338493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6338493MEI型ゼオライトの製造方法、およびリンを含有するMEI型ゼオライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6338493
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】MEI型ゼオライトの製造方法、およびリンを含有するMEI型ゼオライト
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   C01B39/48
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-189860(P2014-189860)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-60665(P2016-60665A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085224
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 重隆
(72)【発明者】
【氏名】佐野 庸治
(72)【発明者】
【氏名】定金 正洋
(72)【発明者】
【氏名】高光 泰之
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−545511(JP,A)
【文献】 特表2001−506215(JP,A)
【文献】 特開2006−305408(JP,A)
【文献】 特開2006−347862(JP,A)
【文献】 特表平07−503227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
B01J 21/00−38/74
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAU型ゼオライト及びテトラメチルホスホニウムカチオン源を含有する原料組成物を結晶化する結晶化工程、を含むMEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記テトラメチルホスホニウムカチオン源が、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムクロライド、及びテトラメチルホスホニウムヨージドの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のMEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
FAU型ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比が10以上、50以下である請求項1または2に記載のMEI型ゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEI型ゼオライトの製造方法およびリンを含有するMEI型ゼオライトに関するものである。より詳しくは、本発明は、触媒又はその基材に適した、リンを含有するMEI型ゼオライトの製造方法、ならびにこの製造方法によって得られるリンを含有するMEI型ゼオライトに関する。
【背景技術】
【0002】
MEI型ゼオライトは、1次元の酸素12員環細孔と2次元の酸素7員環細孔を有する構造を有する合成アルミノシリケートである。酸素12員環及びこれにより形成される大細孔を有するため、MEI型ゼオライトは比較的大きい分子も吸着することができる。
【0003】
これまで、触媒・吸着用途への適用のため、以下のMEI型ゼオライトが報告されている。
特許文献1では、1,3,4,6,7,9−ヘキサヒドロ−2,2,5,5,8,8−ヘキサメチル−2H−ベンゾ[1,2−C:3,4−C’−5,6−C’’]トリピロリウムトリヒドロキシドを構造指向剤として合成されたMEI型ゼオライト(ZSM−18)が開示されている(特許文献1)。当該MEI型ゼオライトは、MEI型ゼオライトとして初めて開示されたものである。
特許文献2では、C15393+カチオンを構造指向剤として合成されたMEI型ゼオライト(ZSM−18)が開示されている。
非特許文献1には、トリス(2−トリメチルアンモニオエチル)メタンを構造指向剤として合成されたMEI型ゼオライト(ZSM−18)が開示されている。
非特許文献2では、コリン水酸化物を構造指向剤として合成されたMEI型ゼオライト(UZM−22)が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2、非特許文献1で報告されているMEI型ゼオライトの構造指向剤は、いずれも特殊なものであった。このような特殊な構造指向剤を使用する製造方法は、製造コストが高くなるため、工業的な適用ができない。一方、非特許文献2で構造指向剤として使用されたコリン水酸化物は安価な化合物である。しかしながら、コリン水酸化物を使用したMEI型ゼオライトの製造方法では、MEI型ゼオライトの結晶化に15日以上を要するため生産性が著しく低く、製造方法のコストが高いものであった。このように、これら製造方法は、製造コストが高く、工業的なMEI型ゼオライトの製造方法として適用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3950496号明細書
【特許文献2】米国特許第5350570号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Zeolites 第14号、635−642頁(1994年)
【非特許文献2】Microporous and Mesoporous Materials、第132号、43−53頁(2010年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、より製造コストが安く、工業的なMEI型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、これにより得られるMEI型ゼオライトを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、工業的なMEI型ゼオライトについて検討した。その結果、ゼオライト転換による製造方法により、安価な構造指向剤を用いてMEI型ゼオライトが得られること、及び、これによりリンを均一に含有するMEI型ゼオライトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すわなち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 結晶性アルミノシリケート及びテトラメチルホスホニウムカチオン源を含有する原料組成物を結晶化する結晶化工程、を含むMEI型ゼオライトの製造方法。
[2] 前記テトラメチルホスホニウムカチオン源が、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムクロライド、及びテトラメチルホスホニウムヨージドの群から選ばれる少なくとも1種である[1]に記載のMEI型ゼオライトの製造方法。
[3] 前記結晶性アルミノシリケートがFAU型ゼオライトである上記[1]又は[2]に記載のMEI型ゼオライトの製造方法。
[4] 前記結晶性アルミノシリケートのアルミナに対するシリカのモル比が10以上、50以下である上記[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のMEI型ゼオライトの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、工業的なMEI型ゼオライトの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の製造方法によりリンを含有するMEI型ゼオライトを提供することができる。当該MEI型ゼオライトは、触媒活性と耐熱性に優れることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のMEI型ゼオライトのXRDパターンである。
図2】実施例1のMEI型ゼオライトの走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のMEI型ゼオライトの製造方法について説明する。
本発明は、結晶性アルミノシリケート及びテトラメチルホスホニウムカチオン源を含有する原料組成物を結晶化する結晶化工程、を含むMEI型ゼオライトの製造方法である。
結晶化工程では、テトラメチルホスホニウムカチオン(以下、「TMP」とする。)源を含有する原料組成物を結晶化する。TMPは構造指向剤(Structure Directing Agent;以下、「SDA」とする。)としての機能を有するだけでなく、リンの供給源となる。
【0012】
原料組成物に含まれるTMP源として、TMPを含む化合物、更にはTMPの硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物及び水酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。より具体的なTMP源として、テトラメチルホスホニウム水酸化物(以下、「TMPOH」とする。)、テトラメチルホスホニウムブロミド(以下、「TMPBr」とする。)、テトラメチルホスホニウムクロライド(以下、「TMPCl」とする。)、及びテトラメチルホスホニウムヨージド(以下、「TMPI」とする。)の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、TMPOHであることがより好ましい。
【0013】
原料組成物に含まれるシリカ源及びアルミナ源は、結晶性アルミノシリケート(ゼオライト)である。結晶性アルミノシリケートは、規則性がある結晶構造を有する。TMPの存在下で結晶性アルミシリケートを処理すると、結晶構造の規則性が適度に維持されながらMEI型ゼオライトの結晶化が進行すると考えられる。そのため、シリカ源とアルミナ源が個別の化合物である場合、若しくはシリカ源及びアルミナ源が非結晶性の化合物である場合と比べ、シリカ源及びアルミナ源が結晶性アルミノシリケートであることで、MEI型ゼオライトがより効率よく結晶化する。
【0014】
単一相のMEI型ゼオライトを得るため、結晶性アルミノシリケートはFAU型ゼオライトであることが好ましく、X型ゼオライト又はY型ゼオライトの少なくともいずれかであることが好ましく、Y型ゼオライトであることがより好ましい。
結晶性アルミノシリケートのSiO/Al比として1.25以上を挙げることができ、更には10以上、更には20以上が挙げられる。一方、SiO/Al比は100以下、更には50以下であればよい。好ましい結晶性アルミノシリケートのSiO/Al比として10以上、50以下を挙げることができる。
【0015】
原料組成物が含有する結晶性アルミノシリケートは、任意のカチオンタイプのものであればよい。原料組成物が含有する結晶性アルミノシリケートのカチオンタイプとして、ナトリウム型(Na型)、プロトン型(H型)及びアンモニウム型(NH型)の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、プロトン型であることが好ましい。
結晶性アルミノシリケートを含んでいれば、これ以外のシリカ源又はアルミナ源を含有しなくてもよい。また、MEI型ゼオライトの結晶化の効率化の観点から、原料組成物は非結晶性のシリカ源又は非結晶性のアルミナ源を含んでいないことが好ましく、結晶性アルミノシリケート以外のシリカ源及びアルミナ源を含んでいないことがより好ましい。
【0016】
原料組成物は、シリカ源及びアルミナ源としての結晶性アルミノシリケート、並びにTMP源に加え、アルカリ源、及び水を含んでいてもよい。
アルカリ源は、アルカリ金属を含む水酸化物を挙げることができる。より具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群からなる少なくとも1種を含む水酸化物であり、更にはナトリウム又はカリウムの少なくともいずれかを含む水酸化物であり、また更にはナトリウムを含む水酸化物である。また、シリカ源及びアルミナ源がアルカリ金属を含む場合、当該アルカリ金属もアルカリ源とすることができる。
水は純水を使用してもよいが、各原料を水溶液として使用してもよい。
【0017】
原料組成物はこれらの原料を含み、なおかつ、以下の組成であることが好ましい。
シリカに対するアルカリ金属カチオンのモル比(以下、「アルカリ/SiO比」とする。)は0.01以上である。一方、アルカリ/SiO比は1以下、更には0.5以下であればよい。
シリカに対するTMPのモル比(以下、「TMP/SiO比」とする。)は0.01以上、更には0.05以上である。一方、TMP/SiO比は1以下である。
シリカに対するOHのモル比(以下、「OH/SiO比」とする。)は1以下である。OH/SiO比が1以下であることで、より高い収率でMEI型ゼオライトを得ることができる。通常、原料組成物のOH/SiO比は、0.1以上となる。
シリカに対する水(HO)のモル比(以下、「HO/SiO比」とする。)は20以下、更には15以下であれば、より効率よくMEI型ゼオライトが得られる。適度な流動性を有する原料組成物とするため、HO/SiO比は3以上、更には5以上であればよい。
【0018】
特に好ましい原料組成物の組成として以下のものを挙げることができる。
SiO/Al比 =10以上、50以下
アルカリ/SiO比 =0.01以上、0.5以下
TMP/SiO比 =0.01以上、1以下
OH/SiO比 =0.1以上、1以下
O/SiO比 =3以上、20以下
【0019】
なお、原料組成物にフッ素を含む化合物が含まれると、その製造コストが高くなりやすい。そのため、原料組成物はフッ素(F)を実質的に含んでいないことが好ましい。
結晶化工程では、上記の各原料を含む原料組成物を水熱合成することにより、これを結晶化処理する。結晶化処理は、原料組成物を密閉容器に充填し、これを加熱すればよい。
結晶化温度は80℃以上であれば、原料組成物の結晶化が結晶化する。温度が高いほど、結晶化が促進される。そのため、結晶化温度は100℃以上、更には120℃以上であることが好ましい。原料組成物が結晶化すれば、必要以上に結晶化温度を高くする必要はない。そのため、結晶化温度は200℃以下、更には160℃以下、また更には150℃以下であればよい。また、結晶化は原料組成物を攪拌した状態、又は静置した状態のいずれの状態で行うことができる。
【0020】
本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程及びイオン交換工程の少なくともいずれか(以下、「後処理工程」とする。)を含んでいてもよい。
洗浄工程は、結晶化後のMEI型ゼオライトと液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるMEI型ゼオライトを純水で洗浄すればよい。
乾燥工程は、結晶化工程後又は洗浄工程後のMEI型ゼオライトから水分を除去する。乾燥工程の条件は任意であるが、結晶化工程後又は洗浄工程後のMEI型ゼオライトを、大気中、50℃以上、150℃以下で2時間以上、静置することが例示できる。
結晶化後のMEI型ゼオライトは、そのイオン交換サイト上にアルカリ金属イオン等の金属イオンを有する場合がある。イオン交換工程では、これをアンモニウムイオン(NH)や、プロトン(H)等の非金属カチオンにイオン交換する。アンモニウムイオンへのイオン交換は、MEI型ゼオライトを塩化アンモニウム水溶液に混合、攪拌することが挙げられる。また、プロトンへのイオン交換は、MEI型ゼオライトをアンモニアでイオン交換した後、これを焼成することが挙げられる。
【0021】
本発明のMEI型ゼオライトは、酸点近傍にリンを含有する。そのため、アルコールやケトンからの低級オレフィン製造用触媒、クラッキング触媒、脱ろう触媒、異性化触媒、及び窒素酸化物還元触媒などの各種の触媒として使用することができる。また、酸化触媒や窒素酸化物還元触媒などの酸化還元触媒用途においては、本発明のMEI型ゼオライトに遷移金属を含有させて、遷移金属を含有したMEI型ゼオライトとして本発明のMEI型ゼオライト使用することができる。
【0022】
以下、本発明の製造方法で得られるMEI型ゼオライト(以下、「本発明のMEI型ゼオライト」ともいう。)について詳細に説明する。
本発明のMEI型ゼオライトは、MEI構造を有する。MEI構造は、国際ゼオライト学会(IZA)で定義される構造コードでMEI構造となる結晶構造である。
【0023】
また、本発明のMEI型ゼオライトは、MEI構造を有する結晶性アルミノシリケートである。結晶性アルミノシリケートは、骨格金属(以下、「T原子」とする。)がアルミニウム(Al)とケイ素(Si)であり、これらと酸素(O)のネットワークからなる骨格構造を有する。したがって、MEI構造を有し、なおかつ、そのT原子にリン(P)を含むネットワークからなる骨格構造を有するアルミノフォスフェートやシリコアルミノホスフェートなどのゼオライト類縁物質と、本発明のMEI型ゼオライトとは異なる。
【0024】
本発明のMEI型ゼオライトは、リンを含有する。これにより、ゼオライト酸点がリンで修飾され、特定の触媒反応に適した酸強度が得られる。またT原子のアルミニウム(骨格アルミニウム)の熱安定性が向上する。リンは、MEI型ゼオライトの骨格以外、すなわち、T原子以外として含有される。例えば、リンはMEI型ゼオライトの細孔内に含有される。なお、細孔内にリンが含有される場合、当該リンはMEI型ゼオライトの骨格酸素と化学結合を形成する場合もある。この場合、細孔内のリンと骨格酸素との結合は部分的な化学結合である。当該化学結合は、T原子と骨格酸素との化学結合と結合状態とが異なる。
本発明のMEI型ゼオライトに含有されるリンの状態としては、例えば、リン酸イオン、及びリン化合物の群から選ばれる少なくとも1種の状態を挙げることができる。
ここで、本発明のMEI型ゼオライトにおけるT原子とは、その骨格に含まれる金属、即ちSi及びAlである。
【0025】
本発明のMEI型ゼオライトにおける、アルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO/Al比」とする。)は10以上であることが好ましい。SiO/Al比が10以上であることで、本発明のMEI型ゼオライトの耐熱性が高くなりやすい。一方、SiO/Al比が100以下、更には50以下、また更には35以下であれば、本発明のMEI型ゼオライトが触媒として十分な量の酸点を有する。
【0026】
ここで、ゼオライトにはフッ素を含むものが存在する。このようなゼオライトに含まれるフッ素は、通常、原料に由来する。原料にフッ素を含む化合物を使用して得られたゼオライトは、その製造コストが高いゼオライトとなりやすい。そのため、本発明のMEI型ゼオライトは、フッ素(F)を実質的に含んでいないこと、すなわちフッ素含有量が0ppmであることが好ましい。ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法など、通常の組成分析法により得られる測定値の測定限界を考慮すると、本発明のMEI型ゼオライトのフッ素含有量は100ppm以下を例示することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「比」は特に断らない限り、「モル比」である。
(結晶構造の同定)
一般的なX線回折装置(装置名:Mini Flex、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定範囲は2θとして5°から50°の範囲で測定した。
得られたXRDパターンと、非特許文献1のFig.1(f)に記載のXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
(組成分析)
一般的なエネルギー分散型X線分光装置(装置名:S−4800、日立製作所製)を使用し、試料のSiO/Al比を求めた。
【0028】
実施例1
以下の組成となるように、純水、水酸化ナトリウム及びFAU型ゼオライト(Y型、カチオンタイプ:プロトン型、SiO/Al比=32)を、40%TMPOH(テトラメチルホスホニウム水酸化物)水溶液に添加、混合して原料組成物を得た。
SiO/Al比 =32
Na/SiO比 =0.05
TMP/SiO比 =0.6
OH/SiO比 =0.65
O/SiO比 =5
得られた原料組成物を密閉容器内に充填し、これを静置した状態で125℃、7日間の条件で原料組成物を結晶化させた。結晶化後の原料組成物を固液分離し、純水で洗浄した後、70℃で乾燥して本実施例のゼオライトを得た。当該ゼオライトは、MEI構造の単一相からなるMEI型ゼオライトであった。本実施例のMEI型ゼオライトのXRDパターンを図1に示した。組成は、SiO/Al比=20.8であった。
また、本実施例のSEM写真を図2に示した。MEI型ゼオライトは長さ約5μmの六角柱状の結晶形態であった。
本実施例より、テトラメチルホスホニウムカチオンを用いた場合にMEI型ゼオライトが得られることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のMEI型ゼオライトは、例えば、アルコールやケトンからの低級オレフィン製造用触媒、クラッキング触媒、脱ろう触媒、異性化触媒、及び排気ガスからの窒素酸化物還元触媒として使用することが期待できる。さらに、窒素酸化物還元触媒として使用することができる。
図1
図2