【実施例1】
【0018】
まず,本発明による暗視野光学顕微鏡を用いた欠陥検出装置100の実施例を,
図1を用いて説明する。
【0019】
図1に示した本実施例による欠陥検査装置100は,光学顕微鏡105,信号処理部221,画像表示部222,信号記憶部223,制御部224を備えて構成される。制御部224は,図示していない通信手段で外部のデータ処理装置と接続されている。
【0020】
光学顕微鏡105は,照明ユニット201,試料101よりの散乱光を採光するまたは明視野観察をする為の対物レンズ202,対物レンズの高さ制御機構209,明視野観察に必要な照明を導入するハーフミラー214,照明レンズ213,明視野光源212,対物レンズ202により採光された散乱光による試料101の像を撮像素子207へ結像させる結像光学系210,撮像素子207,撮像素子207で得られた信号を処理する信号処理部221,信号処理部で得られた信号を表示する画像表示部222,信号処理部で得られた信号を保存する信号記憶部223を適宜用いて構成されている。加えて,結像光学系210は,空間分布光学素子(フィルタ)205及び空間分布光学素子切り替え機構208を適宜備えて構成されている。信号処理部は,取得データを処理する手段221Aと,ライブラリに保存されている以前取得した保存データを参照,比較し,処理する手段221Bによって構成される。
【0021】
明視野光源212はランプ,又はレーザを用いることができる。レーザを用いる場合は,集光レンズ213はなくてもよく,ハーフミラー214をダイクロイックミラーへ交換することにより,照明を明るくし,より多くの散乱光を撮像素子207へ導くことができる。
【0022】
ハーフミラー214の反射と透過の比率は任意でよい。ただし,明視野光源212の光強度が十分確保される場合は,欠陥からの散乱光をより多く結像光学系210及び撮像素子207へ導く構成とする方が望ましく,可動式として明視野照明ユニットを使用しない場合には光軸301から外せるようにしても構わない。その場合はより多くの散乱光を撮像素子207へ導ける利点がある。
【0023】
照明光学系ユニット201は,光源2011,光源2011より照射される光線を試料101上に集光照射するための集光レンズを適宜用いて構成される。
【0024】
高さ制御機構209の構成としては,例えばピエゾ素子を用いて移動させる構成,又は,ステッピングモータとボールネジを用いてリニアガイドに沿ってZ方向(結像光学系210の光軸301に沿った方向)へ移動させる構成,又は,超音波モータとボールネジを用いてリニアガイドに沿ってZ方向へ移動させる構成などを用いることが出来る。
撮像素子207の配置は試料表面と共役位置もしくは対物レンズの瞳面と共役位置でもよい。結像光学系210は,対物レンズ202の瞳面302を取り出すレンズ203,204,試料101の像を撮像素子207上に結像させる結像レンズ206,レンズ203と204で取り出された対物レンズ202の瞳面303もしくは瞳面近傍に挿入するフィルタ205を適宜用いて構成される。
【0025】
本実施例においては,特性の異なるフィルタ205を複数保持し,切り替え可能なフィルタホルダ208を瞳面303もしくは瞳面近傍に挿入した構成としている。また,フィルタ205は,結像光学系210の光軸301上に配置しなくても良い。
また,撮像素子207は画像処理部221と接続されている。
【0026】
レンズ203,204は対物レンズ202の瞳面302を外部へ引き出して結像光学系210の内部に形成する為に用いる。
【0027】
また,フィルタホルダ208は駆動することができ,結像光学系210の内部に取り出した瞳面303上にフィルタホルダ208で保持する複数のフィルタ205の中から選択したフィルタ205を挿入する。
【0028】
また,フィルタホルダ208は,明視野観察をする場合もしくはフィルタ205を使用しない場合には,取得画像が乱れることを回避する為にフィルタホルダ208の位置をフィルタ205が設置されていない場所に設定して観察する。又は,フィルタホルダ208にフィルタ205と同厚の平行平板ガラスを設置した場所へ切り替える。フィルタ205と同厚の平行平板ガラスを設置するのは,フィルタ205を外すと光路長が変化して撮像素子207に試料101の像が結像しなくなることを回避するためである。又は,平行平板ガラスを設置せず,像を結像させる結像レンズ206又は撮像素子207の位置を調整し,撮像素子207に結像させる機構を用いても良い。
【0029】
本実施例においては,対物レンズ202,レンズ203,204と結像レンズ206は4個1組で,試料101の像を撮像素子207の検出面上へそれぞれ結像させる。本実施例においては,対物レンズ202と結像レンズ206以外に,レンズ203,204のレンズ2枚を使用する結像光学系210になっているがレンズ203,204はどちらか1枚でも良く,適宜選択可能である。本実施例においては,
図1に示した構成において,対物レンズ202の瞳面302を,レンズ203,204を用い瞳面303に結像している。しかし,瞳面302にフィルタを配置可能な対物レンズ202を使用する場合,または,直線偏光検出のようにフィルタ205を瞳面302,もしくは瞳面303もしくは瞳面近傍に配置する必要のないフィルタを使用する場合は,レンズ203,204を使用せず,対物レンズ202,結像レンズ206を用い,撮像素子207上に結像しても良い。
【0030】
次に,
図2を用い,欠陥検出を妨げる暗視野画像中のラフネス散乱光について説明する。暗視野画像355は,数十nmサイズの欠陥周辺の散乱光を結像した暗視野画像である。
図2中の輝点351は欠陥の散乱光像,それ以外の輝点354はラフネスからの散乱光像である。欠陥からの散乱光像は,照明光(電磁波)によって欠陥自体が振られ分極することにより発生した電磁波の像であり,欠陥散乱光は欠陥からのみ発生している。一方,ラフネスからの散乱光像は,照明の照射領域全域の数Aサイズの表面凹凸が分極することで生じた散乱光が干渉して生じたスペックルパターン像である。そのため,照明入射角や偏光などの光学条件に対して非常に敏感にパターンが変化する。
【0031】
微小な欠陥からの散乱光は,ラフネス散乱光像よりも安定である。そのため,光学条件を変えて取得した複数枚の画像の積や和を取ることでスペックルパターンを抑制した画像を合成し,その合成画像を用い欠陥検出を行う。しかし,極微小な欠陥は光学条件に敏感であるため,光学条件を変えることでラフネス由来のスペックルパターンと同様に欠陥散乱光の輝点が消失してしまう恐れがある。また,光学条件の変化が極僅かである場合,変化させたいラフネス由来のスペックルパターンもほとんど変化せず,画像を合成したとしても,スペックルパターンに埋もれた欠陥を顕在化させることが難しい。ただし,欠陥散乱光像とラフネス散乱光由来のスペックルパターン像では,光学条件の変化に対する敏感さは異なる。
【0032】
そこで,本発明は,光学条件を連続的に変化させ取得した複数の異なる光学条件における画像を用い,各画像から得られる特徴量の画像間での相対変化を導出し,その特徴量の相対変化を用い欠陥散乱光とラフネス散乱光を弁別し,欠陥を顕在化し,欠陥座標を導出する方法を開示する。
【0033】
連続的に光学条件を変化させた複数枚画像を用いた欠陥座標導出処理フロー例を,
図3を用い説明する。
【0034】
まず,試料101上の測定対象領域を光学顕微鏡105の視野に入るようにステージ103を移動させる(Step6201)。次に,高さ制御機構209にて対物レンズ202を移動させて焦点合わせを行う(Step6202)。次に,光学顕微鏡105の撮像素子207にて画像を取得する(Step6203)。欠陥とノイズを弁別する処理に必要なN枚の画像を取得していなければ(Step6204−NO),光学条件を変化させ(Step6205),光学顕微鏡105の撮像素子207にて画像を取得する(Step6203)。これを必要なN枚の画像を取得するまで続ける。光学条件を変化させた画像をN枚取得したら(Step6204−YES),N枚の画像を用い画像間特徴量を導出し(Step6206),導出した画像間特徴量を用い,欠陥とラフネスを弁別し(Step6207),弁別した欠陥の座標を導出する(Step6208)。
【0035】
変化させる光学条件としては,対物レンズ焦点位置と試料間距離(以下,「高さ」と称する),ステージ位置,などの空間的条件,照明波長や偏光,方位角,入射角などの照明条件,検出波長,偏光,瞳フィルタの光学特性,センサ位置,センサ感度,蓄積時間などの検出条件が考えられる。これら複数の光学条件のうちいずれかのパラメータを変化させることで連続的に光学条件を変化させることができる。例えば,画像取得時に変化させる光学条件として高さを選択した場合,ステージ103を上下に移動する,もしくは高さ制御機構209を用い対物レンズ202を上下に移動させる方法がある。
【0036】
照明偏光を変化させる場合は,照明光学系の光路上に配置した1/2波長板を光軸に対して垂直方向に回転させる方法がある。検出偏光を変える場合は,検出光学系の光路上に配置した偏光子もしくは偏光ビームスプリッタを光軸に対して垂直方向に回転させる方法がある。瞳フィルタとは,特許文献1に記載されているラフネス散乱光に対する欠陥散乱光の比を高めるための光学フィルタのことであり,光学特性の異なる瞳フィルタを切り替えることで,異なる光学条件で画像を取得する方法もある。また,光学条件の変化量,変化方向は,処理部221で選択,制御される。
【0037】
光学条件を連続的に変化させ,複数枚の画像を取得する際に,変化させる光学条件の範囲は,少なくとも2枚の画像において欠陥散乱光が消失しない範囲であることが必要である。これは,欠陥散乱光とラフネス散乱光の輝点の相対変化を追う必要があるためである。例えば,光学条件を変え2枚の画像を取得した際,1条件において欠陥散乱光由来の輝点があり,もう1条件では欠陥散乱光由来の輝点がない場合,ラフネス散乱光由来の輝点で同様の変化をしているものと弁別することができない。
【0038】
また,1条件において存在するラフネス散乱光由来の輝点は,もう1条件において,消失しても,しなくても良いし,ウェハ上の別の座標に新しく発生しても良い。また,異なる光学条件で取得した複数枚の画像の中で,少なくとも2枚の画像において欠陥散乱光の輝点が存在していれば,残りの画像においては欠陥散乱光の輝点が消失していても良い。欠陥散乱光由来の輝点が存在する光学条件範囲も欠陥とラフネスを弁別するためのパラメータの一つと成りうる。
【0039】
例えば,変化させる光学条件に高さを選択した場合,変化させる範囲としては,検出光学系の焦点深度内で欠陥散乱光由来の輝点が消失しない,少なくとも2条件の高さを含む変化範囲で画像を取得する。照明強度密度が同じ場合,検出光学系の焦点深度内であれば,欠陥散乱光由来の輝点の強度はほとんど変化しない。一方,ラフネス散乱光由来の起点の強度は変化する。検出光学系の焦点深度内で少なくとも2条件(2つの異なる高さ)で画像を取得していれば,その他の画像は,検出光学系の焦点深度外で取得しても構わない。検出光学系の焦点深度範囲から大きく高さを変化させても,同一箇所に輝点が存在する場合,例えばセンサ起因ノイズと考えられる。
【0040】
次に,画像を取得する際,画像間の光学条件変化量について,
図4を用い説明する。
図4は,直径18nmの欠陥からの散乱光とラフネス散乱光の各偏光成分の強度例を示す。いずれも散乱半球を上方に投影した図である。画像361はラフネスからの散乱光,画像362は欠陥からの散乱光で,上図はX偏光の強度分布,下図はY偏光の強度分布をそれぞれ示している。図中の線312は照明の入射方向,軸307は照明の入射面,領域308は強度の強い部分,領域309は強度のやや強い部分,領域310は強度のやや弱い領域,領域311は強度の弱い領域をそれぞれ示している。この時,X偏光とY偏光の2条件とそれを補間する偏光方向も含めた複数の検出偏光条件で画像を取得する。
【0041】
図4では,ラフネス散乱光からの散乱光量はY偏光に比べX偏光の方が強い。このため,X偏光,Y偏光の2つの光学条件で取得した画像のみを用いスペックルパターンの除去及び欠陥の顕在化を図った場合,Y偏光では存在した欠陥由来の輝点が,X偏光では消失してしまい,上記の2画像を合成した際,スペックルパターンだけでなく,欠陥散乱光も取り除かれてしまうおそれがある。また,画像間の光学条件の変化が小さい場合について説明する。ラフネス散乱光由来の輝点は,ラフネス表面の凹凸形状の空間周波数の低周波成分と高周波成分の組み合わせでできている。そのため,同じラフネス散乱光由来の輝点の中に,光学条件変化に強い輝点と,光学条件変化弱い輝点が存在する。そのため,画像間の光学条件変化が小さい場合,欠陥由来の散乱光と,ラフネス由来の光学条件変化に強い散乱光とを弁別することが出来ない。
【0042】
そこで,X偏光検出,Y偏光検出だけでなく,X偏光とY偏光を補間する偏光条件で取得した暗視野画像を使用し,画像間での例えば輝度などの特徴量変化を追うことで,欠陥を顕在化することが必要である。
【0043】
画像取得時には,画像取得枚数,画像間の光学条件変化量(ピッチ),最大の光学条件変化量,変化させる光学条件などの,画像間の光学条件の変化パラメータを予め決定している必要がある。以下に,上記光学条件の変化パラメータの決定方法例について述べる。試料上に散布された標準粒子や,実欠陥などを用い,光学条件を変化させ暗視野画像を取得し,光学条件変化に対する変化量や変化傾向を導出し,装置固有のパラメータとして保存しておく方法や,検査対象試料を用い,光学条件を変化させ暗視野画像を取得し,光学条件変化に対して,ラフネス散乱光像が十分変化する光学条件変化パラメータを導出し,光学条件変化パラメータを決定する方法などが考えられる。
【0044】
光学条件変化に対する欠陥散乱光像の変化は,光学条件の変化範囲,変化量,欠陥条件(大きさ,種類,形状,照明入射方向に対する向きなど),及び装置によって決まる。そこで,考えうる光学条件の変化範囲,変化量,欠陥条件において標準サンプルを用い暗視野画像を取得し,予め装置固有の光学条件変化パラメータを取得しておくことが有効である。また,全ての考えうる光学条件や検出対象の欠陥条件の標準サンプルでの暗視野画像を取得する必要はなく,装置構成及び検出光学系の収差情報と散乱シミュレーションを用い,計算によって,光学条件変化パラメータを導出しても良い。
【0045】
また,ラフネス散乱光像が十分変化するような光学条件変化パラメータを使用する場合は,考えうる観察対象試料において,光学条件パラメータを変化させ暗視野画像を複数枚取得し,取得画像から光学条件変化パラメータを決定し,予め装置固有のパラメータとして保存しておく方法と,実際の検査時に,検査対象サンプルを用い,光学条件を変え暗視野画像を取得し,取得した画像から光学条件変化パラメータを決定しても良い。
【0046】
また,SEM観察結果を用い,光学条件の変化パラメータへフィードバックすることで,条件の最適化を行うことも考えられる。例えば,初期に設定した光学条件変化パラメータで取得した複数の暗視野画像で導出した欠陥候補をSEMで観察した際の正答率が低い場合は,欠陥散乱光とラフネス散乱光の光学条件変化に対する挙動が類似していることから,取得画像の光学条件範囲の拡大や取得枚数の増加などを行うことが考えられる。他には,変化させる光学条件モードを弁別に有利な別の光学条件に変更することが考えられる。
【0047】
画像間特徴量及び欠陥とノイズの弁別方法について,以下に述べる。
画像間特徴量は,複数画像から抽出した画像間の光学条件変化を含む,画像特徴量もしくは波形特徴量もしくは,値特徴量,もしくはそれらの組み合わせである。画像特徴量は2次元(面)上に値を持つ3次元データから成る特徴量であり,波形特徴量は1次元(線)上に値を持つ2次元データから成る特徴量であり,値特徴量は,点上に値を持つ1次元データからなる特徴量である。
【0048】
図5は,波形特徴量の一例を示している。異なる光学条件で取得した暗視野画像355A,355B,355Cから,試料上の同一領域363A,363B,363Cを切り出し,各画像切り出し領域363の各ピクセル364の出力値を一列につなげた波形信号365を画像間特徴量としても良い。
図5では,3枚の画像を用いているが,使用する暗視野画像の枚数はその限りではない。また,切り出し領域363A,363B,363Cを,波形にせず画像特徴量としても良い。他にも切り出し領域363をフーリエ変換した2次元画像を画像特徴量としてもよいし,切り出し領域363のフーリエ変換画像を直列に並べ,波形特徴量としても良い。
【0049】
値特徴量としては,例えば,取得した暗視野画像355の切り出し領域363内で,輝度がしきい値以上の明るい領域の,面積や形状,領域の輝度重心,平均輝度,特徴量の分布などを値特徴量としても良い。また,値特徴量の光学条件間での相対変化を波形特徴量として使用してもいい。同様に,波形特徴量の光学条件間での相対変化を並列に並べ画像特徴量としてもよいし,
図5のように直列に並べ波形特徴量としても良い。また,波形特徴量中のある領域範囲で最大の特徴量をとる点の座標や特徴量を輝点特徴量としても良い。また,上記では取得した暗視野画像355の切り出し領域363を使用した例を述べたが,切り出し領域363は暗視野画像355であってもよい。
【0050】
上記の画像間特徴量を用い欠陥とラフネス散乱光を含むノイズを弁別する。弁別方法としては,画像間特徴量のパターンマッチングや,特徴量空間において欠陥とノイズを弁別する弁別境界を用いる方法などがある。
【0051】
マッチングパターンや弁別境界の設定方法は,予め標準サンプルを用いて取得した暗視野画像を使用して設定する方法が考えられる。試料上に散布された標準粒子や,実欠陥などを用い,光学条件を変化させ暗視野画像を取得し,欠陥パターンや,弁別境界を導出し,装置固有のパラメータとして保存しておく方法が考えられる。光学条件変化に対する欠陥散乱光像の変化は,光学条件の変化範囲,変化量,欠陥条件(大きさ,種類,形状,照明入射方向に対する向きなど),及び装置によって決まる。そこで,考えうる光学条件の変化範囲,変化量,欠陥条件において標準サンプルを用い暗視野画像を取得し,予め装置ごとに欠陥パターンや,弁別境界を取得しておくことが有効である。
【0052】
また,全ての考えうる光学条件や検出対象の欠陥条件の標準サンプルでの暗視野画像を取得する必要はなく,装置構成及び検出光学系の収差情報と散乱シミュレーションを用い,計算によって,欠陥パターンや,弁別境界を導出しても良い。また,SEM観察結果を用い,欠陥パターンや,弁別境界へフィードバックすることで,欠陥パターンの最適化や弁別境界の最適化を行うことも考えられる。これを行うことで,弁別の精度が向上する。SEM観察結果を用いた欠陥パターンや弁別境界の最適化に関しては,別途,
図12で述べる。
【0053】
また,光学条件変化に対する,欠陥種の違いによる特徴量変化が小さい場合,特定の標準粒子(例えばポリスチレン球など)や測定対象試料上に存在するラフネス散乱光に埋もれない欠陥を用い,欠陥パターンや弁別境界を導出しても良い。光学条件変化に対する,欠陥種の違いによる特徴量変化が大きい場合,複数の欠陥条件で取得した複数の欠陥パラメータや弁別境界を使用しても良い。検出したい欠陥種に合わせて,検出したい欠陥種とそれ以外を弁別するのに有利な欠陥パターンや弁別境界を用いてもよい。また,欠陥検査装置などを用い予め取得された検査出力データを用い,有利な弁別方法を選択しても良い。
【0054】
光学条件に対する画像間での特徴量変化が小さい光学条件としては,空間変位が考えられる。例えば,検出光学系の光軸に対して垂直な方向(水平方向)への変位であれば,視野内の照明強度が均一である場合,光学条件変化による欠陥輝度値の欠陥種ごとの変化の違いはない。この場合,光学条件変化に対して信号値変化がほぼ一定であるものを欠陥と判定することができる。
【0055】
次に,変化させる光学条件として,高さを選択した場合について述べる。欠陥の高さ変化時に,欠陥散乱光像を変化させる要因としては,検出光学系の収差や検出光学系の光軸に対する高さ変位方向のズレなどが考えられる。検出光学系の収差の影響がほとんど無視出来る検出光学系かつ,欠検出光学系の光軸に対する高さ変位方向のズレによる欠陥散乱光像の移動がある場合,欠陥散乱光像の変化に欠陥条件毎の違いはない。そのため,標準粒子や検査対象試料上に存在するラフネス散乱光に埋もれていない欠陥散乱光像を用い,マッチングパターンや弁別境界を決定しても良い。検出光学系の収差の影響が大きく,欠陥種毎に画像間特徴量が大きく異なる場合は,欠陥条件毎の複数マッチングパターンや複数の弁別境界を使用してもよい。
【0056】
また,欠陥検査装置などを用い予め取得された検査出力データを用い,有利な弁別方法を選択しても良い。例えば,検査出力データに含まれる欠陥サイズデータを使用し,欠陥の大きさ毎に異なるマッチングパターンや弁別境界を使用する方法がある。
【0057】
上記の方法で,欠陥散乱光とノイズを弁別し,欠陥と判定された領域毎に欠陥座標と欠陥らしさ値を導出する。欠陥座標としては,欠陥領域の輝度重心や領域最大値などを使用することが考えられるが,その限りではない。欠陥らしさ値は,欠陥と判定した欠陥候補が欠陥である確率を示している。例えば,特徴量空間における欠陥とノイズの弁別境界から対象領域の画像特徴量までの距離などを欠陥らしさ値として使用することが考えられる。
【0058】
また,人の視覚に欠陥形状,大きさ,明るさなどを印象づけるために暗視野画像を出力する場合,欠陥と判定された領域の出力値を強調した暗視野風画像を出力しても良い。強調方法としては,欠陥と判定された領域以外の輝度値に0以上1以下のゲインをかける方法などが考えられる。
【0059】
次に,上述した方法を用い,光学条件を変化させ取得した複数枚画像から得られた欠陥候補である輝点を,欠陥とノイズに弁別する処理フロー例について,
図6を用い説明する。
【0060】
まず,光学顕微鏡105と撮像素子207を用い,試料101上の測定対象領域を,異なる光学条件で,複数枚の画像を取得する(Step6209)。次に,取得した画像の任意の1枚を用い欠陥候補を抽出する(Step6210)。次に,該任意の1枚の画像を用い抽出した欠陥候補の輝点の,画像間での相対変化量を導出する(Step6211)。各欠陥候補で得られた画像間相対変化量を,ライブラリ中に既に保存されている欠陥の画像間相対変化量もしくはノイズの画像間相対変化量と比較し,欠陥候補の輝点を欠陥とノイズに弁別する(Step6212)。そして,欠陥に弁別された欠陥候補の座標を導出する(Step6213)。
【0061】
次に,欠陥座標導出例として変化させる光学条件として高さを選択した場合と,検出偏光方向を選択した場合について述べる。
【0062】
変化する光学条件として高さを選択した場合の例について,
図7と
図8を用い説明する。高さを変化させる方法としては,対物レンズの高さを変化させる方法や,ステージを高さ方向に変位させる方法が考えられる。
図7は高さを変化させた場合の欠陥散乱光からの信号変化例である。波形366A,366Bはそれぞれ異なる高さで取得した暗視野画像から抽出した波形である。異なる高さで取得した複数の波形366は,
図7に示すように欠陥散乱光の輝度値は高さ変化に対して,正規分布に近い変化をもっている。
【0063】
一方,ラフネス散乱光は,その限りではなく,様々に変化する。高さ変化に対する,輝度値の変化傾向から,欠陥散乱光を特定することができる。また,上述したように,高さ変動時の輝点の位置変化を用い,欠陥とラフネスを弁別することも可能である。検出光学系の収差の影響が小さな検出光学系の場合,高さを変えても欠陥の輝度重心はほとんど変化しないが,ラフネスはその限りではない。この時の,高さを変え取得した3枚の画像における輝点の移動方向及び移動量(画像368)の例を
図8に示す。画像367は欠陥散乱光像,画像368はラフネス散乱光像由来の輝点をそれぞれ示している。
【0064】
欠陥散乱光像は,画像367に示すように規則性のある動きをする一方で,画像368に示すようにラフネス散乱光像は様々な動きをする。例えば,画像368A,画像368C,画像368Dのように,欠陥散乱光像の画像367とは異なる動きをする場合や,画像368Bのように輝点が一部の高さ条件において消失してしまう場合がある。また,収差のある検出光学系において,欠陥散乱光像は,高さ変化によって位置や形状変化が生じうるが,その位置の変化方向や変化量,形状変化傾向は,欠陥条件によって決まっているが,ラフネスの場合はその限りではない。
【0065】
変化する光学条件として検出偏光を選択した場合の例について,
図9を用い説明する。
検出偏光を変化させる方法としては,検出光学系の光軸上に配置された直線偏光子を連続的に回転させる方法が考えられる。取得する光学条件は,X偏光とY偏光,そしてX偏光とY偏光を補間する偏光方向を含む複数の光学条件である。
【0066】
図9は,X偏光(線369A),Y偏光(線369C)と,X偏光とY偏光を補間する偏光方向3条件(線369B)で取得した暗視野画像における輝度変化例をプロットした図である。線370Aは微小な異物からの散乱光像の輝度変化を示している。微小な異物からの散乱光は,ラジアル偏光が主成分であるため,直線偏光検出時,その検出偏光方向にほとんどよらずほぼ一定である。線370B,370Cは,微小異物以外の欠陥からの散乱光像の輝度変化例を示している。
【0067】
線370B,370Cに示すように欠陥散乱光は,光学条件変化に対して規則性のある動きをするが,ラフネス散乱光像は線371に示すように規則性が無く,様々な動きをする。この違いを利用し,ラフネス散乱光と欠陥散乱光を弁別することができる。また,
図9においては,X偏光(線369A)とY偏光(線369C)の2条件で取得した画像飲みを使用した場合,欠陥散乱光370Aとラフネス散乱光371を弁別することはできない。2条件の間を補間する光学条件369Bで取得した暗視野画像を用いることで,弁別精度を上げることができる。
【0068】
以上のように,光学条件の一部を変化させたそれぞれの光学条件にて取得した欠陥散乱光とラフネス散乱光の画像間特徴量変化から,欠陥とラフネスを弁別することが可能である。上記の弁別方法は具体例であり,弁別方法は上記に方法に限らない。
【0069】
次に,画像間特徴量を導出する際の試料上の同一箇所を特定する位置合わせについて述べる。変化させる光学条件によって視野にずれが生じない場合は,位置合わせは不要であるが,変化させる光学条件によって視野にずれが生じる場合,画像間で位置合わせをする必要がある。視野ズレが生じない光学条件としては,照明強度や照明偏光,照明入射角などの照明光学系に関連する光学条件がある。視野ズレが生じうる光学条件としては,高さや水平方向への変位などの空間変位,検出偏光などの検出光学系関連の光学条件がある。視野内にパターンが存在する場合は,パターンを用いた位置合わせを行えばよい。また,視野内にパターンが存在しない場合,またはパターン無しウェハの場合は,予め標準粒子や標準パターンを用い,光学条件変化に対する視野の位置ずれ量を計測し,装置固有のパラメータとして保存しておく方法が考えられる。
【0070】
他の方法としては,検出対象試料の対象領域を用い,その都度視野ずれ量を導出し,試料上の同一箇所を特定する方法がある。この時,検出対象試料上に存在するラフネス散乱光に埋もれない欠陥の移動量から視野ズレ量を導出する方法,もしくは,ラフネス散乱光分布を用い視野ずれ量を導出する方法がある。
【0071】
ラフネス散乱光分布を用いる場合,正規化相関(数1)などを用い位置合わせをする方法が考えられる。ラフネス散乱光像には,光学条件の変化に対し,敏感に変化する成分と,鈍感な成分が存在する。この光学条件の変化に対し鈍感な成分を用い,位置合わせが可能である。
【0072】
【数1】
【0073】
ラフネス散乱光分布を用い位置合わせを行う方法は,観察対象領域を用い位置合わせをするため再現性のない視野ずれ量の場合においても高い位置合わせ精度が実現できるという利点と位置合わせ可能なパターンやラフネス散乱光に埋もれない欠陥が観察対象領域の近傍に存在しない場合でも,高精度な位置合わせが可能である点にある。
【0074】
図10に正規化相関を用いた位置合わせ方法例について説明する。光学条件の異なるN枚の画像を取得する(Step6101,Step6102,Step6103)。N枚の画像を取得し(Step6102−YES),N毎画像中の1枚を基準画像とし,基準画像中で位置合わせを行いたい領域を含む領域を選択し(Step6104),基準画像以外の画像において,Step6104で選択した領域と正規化相関値(数1)を導出(Step6105),各画像で正規化相関値が最大となる場所を導出する(Step6106)。正規化相関値が最大となる領域が,Step6104で選択した領域と同じ試料上の領域の画像である。
【0075】
他にも,差分を用いる方法が考えられる。また,位置合わせに使用する画像として,取得した暗視野画像や,暗視野画像の空間周波数の低周波成分画像などを用いても良い。正規化相関値の代わりにStep6104で選択した領域との差分値が最小となる領域をStep6104で選択した領域と同一の試料上の領域画像とする。また,位置合わせをせずに,視野のずれ量も含んだマッチングパターンや弁別境界を使用しても良い。
【0076】
次に,フォーカス合わせについて述べる。フォーカス合わせ方法としては,検査範囲内もしくはその近傍にパターンやラフネス散乱光に埋もれない欠陥散乱光像が存在する場合は,それらの輝度値変化を用いフォーカス合わせを行う。しかし,フォーカス合わせに使用できるパターンやラフネス散乱光に埋もれない欠陥が存在しない場合,ラフネス散乱光分布変化を用いフォーカス合わせを行う,もしくは,他の高さ計測手段を用いる。他の計測手段としては,スリット投影式の高さ計測手段などがある。
【0077】
次に,瞳フィルタについて述べる。瞳フィルタとは特許文献1に述べられている欠陥散乱光を優先的に透過し,ラフネス散乱光を遮光し,ラフネス散乱光に対する欠陥散乱光の比を上げる目的で,検出光学系の瞳面乃至瞳面近傍に配置される光学フィルタのことである。本発明においても,瞳フィルタは使用可能であり,瞳フィルタの光学特性は欠陥散乱光とラフネス散乱光の変化させる光学条件に対する敏感さに差が大きい瞳面上の領域や偏光を選択的に透過する光学特性である。
【0078】
次に,
図11に,本発明における光学顕微鏡105(
図1)を座標アライメント用に搭載したレビュー装置100の構成の一例を示す。
【0079】
本実施形態のレビュー装置は,被検査対象の試料101を搭載する試料ホルダ102,この試料ホルダ102を移動させて試料101の全面を走査電子顕微鏡106(以下SEMと記述)の下に移動可能なステージ103,試料101を詳細観察するSEM106,SEM106の焦点を試料101の表面に合わせる為に試料101の表面の高さを検出する光学式高さ検出システム104,試料101の欠陥を光学的に検出して試料101上の欠陥の詳細位置情報を取得する光学顕微鏡105,SEM106と光学顕微鏡105の対物レンズを収納する真空漕112,SEM106および光学式高さ検出システム104および光学顕微鏡105を制御する制御システム125,ユーザインターフェース123,ライブラリ122,検査装置107等の上位システムへ接続するネットワーク121,検査装置107の外部データ等を保存し制御システムに与える記憶装置124,で構成されている。
【0080】
SEM106は,内部に電子線源1061,電子線源から発射された1次電子をビーム状に引き出して加速する引出電極1062,引出電極で引き出され加速された1次電子ビームの軌道を制御する偏向電極1063,偏向電極で軌道を制御された1次電子ビームを試料101の表面に収束させる対物レンズ電極1064,軌道を制御されて収束した1次電子ビームが照射された試料101から発生した2次電子を検出する2次電子検出器1065,収束した1次電子ビームが照射された試料101から発生した反射電子などの比較的高エネルギの電子を検出する反射電子検出器1066等を備えて構成されている。
【0081】
光学顕微鏡105は,試料101に斜方から光を照射する照明光学系201,照明光学系201から光が照射された試料101の表面から発生した散乱光のうち試料101の上方に散乱した光を集光する集光光学系210,集光光学系で集光された試料101からの散乱光を検出する検出器207を備えて構成されている。
【0082】
制御システム125は,SEM106を制御するSEM制御部1251,光学顕微鏡を制御する光学顕微鏡制御部1252,レビュー装置100全体を制御する全体制御部1256を備えている。
【0083】
また,ステージ103,光学式高さ検出システム104,光学顕微鏡105,SEM106,ユーザインターフェース123,ライブラリ122,記憶装置124,は制御システム125と接続され,制御システム125はネットワーク121を介して上位のシステム(例えば、検査装置107)と接続されている。
【0084】
以上のように構成されるレビュー装置100において,特に,光学顕微鏡105は検査装置107で検出された試料101上の欠陥を検査装置107で検出した欠陥の位置情報を用いて再検出(以下検出と記述)する機能を有し,光学式高さ検出システム104はSEM106の1次電子ビームを試料101の表面に収束させるための1次電子ビームの焦点合わせを行う焦点合わせ手段としての機能を有し,制御システム125は光学顕微鏡105で検出された欠陥の位置情報に基づいて他の検査装置で検査して検出された欠陥の位置情報を補正する位置補正手段としての機能を有し,SEM106は制御システム125で位置情報を補正された欠陥を観察する機能を有する構成となっている。ステージ103は,試料101を載置して,光学顕微鏡105で検出した欠陥がSEM106で観察できるように,光学顕微鏡105とSEM106との間を移動する。
【0085】
図12を用い,欠陥観察処理フロー例について説明する。まず,試料101の粗アライメントを行う。これは光学顕微鏡105の明視野観察にて行う(Step6001)。次に,検査装置107で取得した欠陥座標を基にレビュー装置100で予め他の検査装置107によって検出された欠陥の位置情報を用いて試料101上の観察したい欠陥が光学顕微鏡105の視野に入るようにステージ103を移動させる(Step6002)。次に高さ制御機構209にて対物レンズ202を移動させて焦点合わせを行う(Step6003)。次に,光学顕微鏡105と撮像素子207にて取得した画像を取得する(Step6004)。
【0086】
N枚の異なる光学条件の画像を取得するまで(Step6005−NO),光学条件を変更し(Step6006),光学顕微鏡205と撮像素子207にて画像を取得する(Step6003),N枚の画像を取得したら(Step6005−YES),N枚画像を用い画像間特徴量を導出し(Step6007),導出した画像間特徴量を用い欠陥とラフネスを弁別し(Step6008),欠陥候補の欠陥座標と欠陥らしさ値を導出する(Step6009)。他の欠陥を検出する必要がなければ,光顕での欠陥検出を終了する。そして,欠陥らしさ値が最大の欠陥候補の欠陥座標をSEM106の視野へ移動し(Step6010),観察を行う(Step6011)。このとき,SEM視野内に欠陥が存在する場合は,次の欠陥の観察(Step6014―YES)もしくはSEM観察を終了(Step6016)する。
【0087】
欠陥らしさ値が最大の欠陥候補の欠陥座標に欠陥画存在しない場合(Step6012−NO),次に欠陥らしさ値が大きい欠陥候補の欠陥座標をSEM106視野内に異動し(Step6013),SEMで観察する(Step6011)。欠陥を検出するまで,もしくは,欠陥らしさ値があるしきい値以上の欠陥候補が無くなるまで繰り返す。また,欠陥らしさ値がしきい値以上の欠陥候補がなく,かつ欠陥を検出出来なかった場合,観察視野内に欠陥が存在しない(虚報)という結果を出力する。
【0088】
欠陥をSEMで観察できた結果(Step6012−YES)は,制御システム125へ送られ,データベース122に登録される。尚,観察すべき欠陥が多数ある場合には,そのうちの代表的な数点を抽出し,それら抽出した欠陥の予め他の検査装置107によって検出された位置情報と光学顕微鏡105で検出して得たそれぞれの欠陥の位置情報とから,予め他の検査装置107によって検出された欠陥の位置とSEM106の視野位置のずれ量を求める。この求めたずれ量の情報を用いて,代表的な数点以外の光学顕微鏡105で検出しなかった欠陥についても予め他の検査装置107で検出して得た位置情報を補正する。
【0089】
次に,他の欠陥情報が必要な場合は(Step6014−YES),他の検査装置107の出力結果から観察したい欠陥位置情報を取得し,上述した光学顕微鏡105へ欠陥を移動する手順へ戻り(Step6015),処理を進める。なお,上述した欠陥検出手順で欠陥検出できなかった場合は,欠陥が光学顕微鏡105の視野の外にいることが考えられるため,光学顕微鏡105の視野周辺部を探索してもよい。周辺部を探索する場合は,視野に相当する分だけ試料101を移動し,上述した欠陥検出手順から処理を行う。また,周辺探索をしない場合は,手順に従って処理を進める。
【0090】
また,SEMの観察結果を用い,画像取得時に変化させる光学条件の変化パラメータや,欠陥とラフネスを弁別するためのマッチングパターンや弁別境界へ素早いフィードバックが可能である効率よく弁別精度向上させることができる。
【0091】
以上,本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0092】
そこで,本発明では従来の課題を解決するために,複数の光学条件において取得された複数枚の画像を用い,欠陥を顕在化させ,欠陥座標を導出する方法,並びにこれを搭載した欠陥観察装置,欠陥検出装置を提供する。
【0093】
従来ラフネス散乱光に埋もれ検出出来なかった微小欠陥を顕在化させることができ,光学式欠陥検出装置で検出した欠陥をSEM等によって詳細に観察する場合において,観察対象の微小欠陥を確実にSEM等の観察視野内に入れることができるようになり,SEM等を用いた欠陥の詳細検査のスループットを上げることができる。