(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主導波路及び前記副導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つm本(mは3以上の整数)の脇導波路をさらに備え、
前記脇導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が前記主導波路の低次側の3つの高次モードの実効屈折率と排他的に一致していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモード合分波器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
伝搬モードが複数存在する光ファイバを利用して、光ファイバの伝搬モードそれぞれをキャリアとして利用するモード多重伝送において、既存のデバイスは基本モードでの動作が前提であるため、既存のファイバデバイスをそのまま用いてモード多重伝送を実現することは困難である。また、これまで提案されているモード合分波器は、分波効率が悪いため、長距離伝送や高速な信号の伝送が困難であり、また空間系を利用するため構成が複雑になるなどの課題がある。空間系を用いた方法では、非特許文献3に記載されているようにモードごとに高い分波効率を実現することが可能であるが、挿入損失が8dB以上と大きくデバイスの小型化が困難であるなどの課題もある。
【0008】
近年、非特許文献4に示されるように非対称平行導波路を用いた4モード合分波器が提案されており、非対称平行導波路を用いることで送受信端では基本モードのみで信号を扱うことが可能であり、既存のデバイスをそのまま用いることが可能になる。しかしながら、更なる大容量伝送の実現のためには、モード多重数を増加させることが望ましいが、非特許文献4に記載の合分波器は4モードに限定されており、5モード以上のモード多重を実現するための合分波方法に関しては提案されていない。
【0009】
そこで、本発明は、既存デバイスを利用でき、光ファイバで5モード以上のモード多重伝送を可能とするモード合分波器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るモード合分波器は、平行導波路を用いた合分波器に長手方向に導波路幅が連続的に変化するテーパー部を加えることにより、5及び6モード目のモードであるLP21bモード及びLP02モードを発生させることを特徴とする。
【0011】
具体的には、本発明に係る1のモード合分波器は、
n(nは5以上の整数)以上のモードを伝搬可能であり、長手方向に導波路幅が連続的に変化するテーパー部を持つ主導波路と、
前記主導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つ副導波路と、
を基板上に備えるモード合分波器であって、
前記副導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が、前記主導波路を伝搬する、前記基板に対して水平方向と垂直方向の一方に3つのピークを持ち、他方に1つのピークを持つフィールド分布の中間モードの実効屈折率と一致しており、
前記テーパー部は、光ファイバ中の伝搬モードであるLP21bモードまたはLP02モードに相当するフィールド分布のモードと前記中間モードとを断熱変換する
ことを特徴とする。
【0012】
本モード合分波器は、合波方向において、副導波路を伝搬する基本モードの光を結合部から主導波路へ移行させてE31モード又はE13モードの中間モードを主導波路に発生させ、テーパー部で中間モードからLP21bモード又はLP02モードに変換することとした。平行導波路を用いた合分波器において分波は合波の逆の動作がなされるので、本モード合分波器は、主導波路を伝搬するLP21bモード又はLP02モードの光を副導波路へ基本モードとして移行させることができる。なお、中間モードとLP21bモード又はLP02モードとの変換は、テーパー部の構造を調整することで実現できる。
【0013】
従って、本発明は、既存デバイスを利用でき、光ファイバで5モードのモード多重伝送を可能とするモード合分波器を提供することができる。
【0014】
また、本発明に係る他のモード合分波器は、
n(nは6以上の整数)以上のモードを伝搬可能であり、長手方向に導波路幅が連続的に変化する第1テーパー部を持つ主導波路と、
前記主導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つ副導波路と、
を基板上に備えるモード合分波器であって、
前記副導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が、前記主導波路を伝搬する、前記基板に対して水平方向に3つのピーク且つ垂直方向に1つのピークを持つフィールド分布の第1中間モードの実効屈折率、又は前記基板に対して垂直方向に3つのピーク且つ水平方向に1つのピークを持つフィールド分布の第2中間モードの実効屈折率と一致しており、
前記第1テーパー部は、光ファイバ中の伝搬モードであるLP21bモードとLP02モードの一方に相当するフィールド分布のモードと前記第1中間モードとを断熱変換し、他方に相当するフィールド分布のモードと前記第2中間モードとを断熱変換する
ことを特徴とする。
【0015】
前記1のモード合分波器と同様であるが、本モード合分波器は、主導波路に2種類の中間モード(例えば、E31モード及びE13モード)を発生させる。そして、第1テーパ部でこれらの中間モードをそれぞれLP21bモード及びLP02モードに変換する。従って、本発明は、既存デバイスを利用でき、光ファイバで6モードのモード多重伝送を可能とするモード合分波器を提供することができる。
【0016】
本発明に係る他のモード合分波器の前記主導波路は、2つの前記副導波路の前記結合部の間に、長手方向に導波路幅が連続的に変化し、前記第1中間モードと前記第2中間モードとを相互に断熱変換する第2テーパー部をさらに持つことを特徴とする。
【0017】
導波路のテーパー部の構造を調整することで中間モード間のモード変換が可能となる。このため、前段の結合部でE31モードを発生させ、第2テーパー部でE13モードに変換し、後段の結合部でさらにE31モードを発生させ、最後に第1テーパー部でE13モードをLP21bモードへ、E31モードをLP02モードへ変換すれば6モードのモード多重伝送が可能となる。
【0018】
本発明に係るモード合分波器は、前記主導波路及び前記副導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つm本(mは3以上の整数)の脇導波路をさらに備え、
前記脇導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が前記主導波路の低次側の3つの高次モードの実効屈折率と排他的に一致していることを特徴とする。
【0019】
本モード合分波器は、副導波路の結合部で主導波路に中間モードを発生させる前に、必要な本数の脇導波路で低次側の3つの高次モード(LP11a、LP11b、LP21a)を発生させておくことができる。
【0020】
本発明に係るモード合分波器の少なくとも1つの前記結合部は、前記主導波路、前記副導波路及び前記脇導波路に非接触である少なくとも1本の中間導波路とすることができる。
【0021】
本発明に係るモード合分波器の前記主導波路、前記副導波路及び前記脇導波路は、導波路の高さが同じであり、前記主導波路、前記副導波路及び前記脇導波路の少なくとも1つがLP11aモードをLP11bモードに変換するモード回転子を含むことができる。
【0022】
本発明に係るモード合分波器は、前記中間モードがE31モードであり、
合波方向に、
LP01モードが伝搬する前記主導波路に、前記脇導波路の結合部よりLP11aモード、LP11bモード、及びLP21aモードを合波し、さらに、前記副導波路の結合部よりE31モードを合波し、前記テーパー部でE31モードをLP02モードに変換することができる。
【0023】
本発明に係るモード合分波器は、前記第1中間モードがE31モードで、前記第2中間モードがE13モードであり、
合波方向に、
LP01モードが伝搬する前記主導波路に、前記脇導波路の結合部よりLP11aモード、LP11bモード、及びLP21aモードを合波し、さらに、1の前記副導波路の結合部よりE31モードを合波し、前記第2テーパー部でE31モードをE13モードに変換し、さらに、他の前記副導波路の結合部よりE31モードを合波し、前記第1テーパー部でE31モードをLP02モードに、E13モードをLP21bモードに変換することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、既存デバイスを利用でき、光ファイバで5モード以上のモード多重伝送を可能とするモード合分波器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0027】
本実施形態は、光ファイバ中の伝搬モードである基本モード(LP01)、第1高次モード(LP11a、LP11b)、第2高次モード(LP21a、LP21b)、第3高次モード(LP02)を用いた6モード多重伝送を想定している。
【0028】
図1は、LP01モードとLP11モードを合分波するモード合分波器を説明する図である。本例では、比屈折率差Δが等しく,導波路の高さが等しい複数の導波路により構成される場合であって、平行導波路が近接する結合部により、一方の導波路中を伝搬する特定のモードを、他方の導波路を伝搬する特定のモードに変換するよう設計されている。
【0029】
非特許文献5によれば、2つの導波路の高さ及び幅を適切に設計し、2つの導波路を伝搬するモードの実効屈折率を一致させることでモードの結合を生じさせることができる。また、相互作用長を適切に設計することで、一方の導波路を伝搬する光を、他方の導波路に移すことができる。
【0030】
また、2つの導波路の高さが同じである場合、LP01モードから変換できるモードは、LP11aモードであることが述べられており、非特許文献4に記載のLP11モード回転子を用いることで、4モード(LP01,LP11a,LP11b,LP21a)の合分波が実現できている。
【0031】
5以上のモードを合分波するためには、LP01モードから5モード目であるLP21bまたは6モード目であるLP02モードに変換する必要がある。
図2に、各モードの導波路内の電界分布を示す。ここで、導波路の幅と高さは同じとしている。
【0032】
導波路の幅と高さが同じ場合、6モード目の電界分布は光ファイバ中のLP02モードと同様な電界分布が得られていることがわかる。一方で、同図に記載の通り、幅と高さが異なる場合、光ファイバのLP02モードとは異なる電界分布となっていることがわかる。つまり、6モード目を合波し、光ファイバのLP02モードとして伝搬させるためには、導波路の高さと幅を一致させなければならない。
【0033】
しかしながら、導波路の高さと幅が一致している条件では、LP21bモードとLP02モードの実効屈折率はほぼ一致しており、これまで検討されてきた手法では対応できない。そこで、テーパー構造を用いて6モード合分波器を実現する。
【0034】
(実施形態1)
図3は、導波路の幅を変化させた時の導波路(つまりテーパー部)における5モード目と6モード目の実効屈折率と電界分布を説明する図である。なお、導波路の高さは12μm、比屈折率差は0.7%としている。導波路が正方形でない場合は、2つのモードの実効屈折率は異なっているが、光ファイバを導波するLP02モードとは電界分布が大きく異なっており、好ましくない。一方で、正方形の場合はLP02モードと同様な電界分布が得られているが、2つのモードの実効屈折率は近接しており、それぞれのモードに他導波路から結合させることは困難であることがわかる。
【0035】
図4は、テーパー部の構造を説明する図である。例えば、導波路幅をW、導波路高さをHとした時、入射側の導波路構造がW<Hであって、出射側の導波路構造がW>Hとなるよう長手方向に連続的にWが変化しているテーパー構造を想定する。このようなテーパー構造を伝搬する光は、テーパー構造による断熱変換の原理により、
図3における実効屈折率曲線にそってモードが変化していく。つまり、図に記載の電界分布を有するモード(E31)を励振すると、W=Hの構造においてLP21bモードを得ることができ、W>Hの構造まで変化させると、導波路におけるE13モードに変換される。
【0036】
なお、テーパー部分において、断熱変換を行うためにはテーパー長は十分な長さにする必要があるが、
図4の通り、複数のテーパー構造を組み合わせることで、テーパー長を短くすることができる。
【0037】
図5は、LP21bとLP02モードを同時に得るためのテーパー部の構造を説明する図である。
図3に示す通り、W≠Hの構造で2つのモードを励振し、テーパー構造によりW=Hとすることで、LP21bとLP02モードを得ることができる。
【0038】
なお、
図4に記載のような、W<Hの構造からWを増加させるアップテーパー構造と、
図5に記載のW>Hの構造からWを減少させるダウンテーパー構造のどちらも本実施形態に利用することができる。
【0039】
以下に具体的なモード合分波器の構成を説明する。平行導波路を用いた合分波器において分波は合波の逆の動作がなされるので、以下では合波方向での説明とする。
【0040】
(実施形態2)
図6及び
図7は、実施形態1で説明したテーパー部を備えるモード合分波器(301、302)を説明する図である。モード合分波器(301、302)は、
n(nは6以上の整数)以上のモードを伝搬可能であり、長手方向に導波路幅が連続的に変化する第1テーパー部41を持つ主導波路10と、
主導波路10に非接触であり、主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部(31、32)を持つ副導波路(21、22)と、
を基板1上に備えるモード合分波器であって、
副導波路(21、22)は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が、主導波路10を伝搬する、基板1に対して水平方向に3つのピーク且つ垂直方向に1つのピークを持つフィールド分布の第1中間モードの実効屈折率、又は基板1に対して垂直方向に3つのピーク且つ水平方向に1つのピークを持つフィールド分布の第2中間モードの実効屈折率と一致しており、
第1テーパー部41は、光ファイバ中の伝搬モードであるLP21bモードとLP02モードの一方に相当するフィールド分布のモードと前記第1中間モードとを断熱変換し、他方に相当するフィールド分布のモードと前記第2中間モードとを断熱変換する
ことを特徴とする。
図6及び
図7において、主導波路10を「第一導波路」、副導波路21を「第二導波路」、副導波路22を「第三導波路」と記載している。また、
図6の第1テーパー部41は、光の合波方向に導波路幅が広がっており「アップテーパー部」と記載し、
図7の第1テーパー部42は、光の合波方向に導波路幅が狭まっており「ダウンテーパー部」と記載している。
【0041】
例えば、
図6に記載の通り、第一導波路(主導波路10)と第二導波路(副導波路21)の結合部31において、第二導波路を伝搬してきた基本モードを縦方向にピークを3つ有する第2中間モード(E13モード)に変換し、第一導波路(主導波路10)と第三導波路(副導波路22)の結合部32において、第三導波路を伝搬してきた基本モードを横方向にピークを3つ有する第1中間モード(E31モード)に変換し、最後に主導波路10のテーパー部41でLP21bモードとLP02モードを得ることができる。
【0042】
また、
図7に記載の通り、第一導波路(主導波路10)と第二導波路(副導波路21)の結合部31において、第二導波路を伝搬してきた基本モードを横方向にピークを3つ有する第1中間モード(E31モード)に変換し、第一導波路(主導波路10)と第三導波路(副導波路22)の結合部32において、第三導波路を伝搬してきた基本モードを縦方向にピークを3つ有する第2中間モード(E13モード)に変換し、最後に主導波路10のテーパー部42でLP21bモードとLP02モードを得ることができる。
【0043】
なお、
図6及び
図7では、2つの副導波路でLP21bモードとLP02モードを得ているが、LP21bモード又はLP02モードを得るためには1つの副導波路で光を合波すればよい。すなわち、モード合分波器は、
n(nは5以上の整数)以上のモードを伝搬可能であり、長手方向に導波路幅が連続的に変化するテーパー部を持つ主導波路と、
前記主導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つ副導波路と、
を基板上に備えるモード合分波器であって、
前記副導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が、前記主導波路を伝搬する、前記基板に対して水平方向と垂直方向の一方に3つのピークを持ち、他方に1つのピークを持つフィールド分布の中間モードの実効屈折率と一致しており、
前記テーパー部は、光ファイバ中の伝搬モードであるLP21bモードまたはLP02モードに相当するフィールド分布のモードと前記中間モードとを断熱変換する
ことを特徴とする。
【0044】
(実施形態2)
しかしながら、非特許文献4に記載の通り、2つのモード間で実効屈折を一致させたとしても、電界分布の重なり積分が零であれば結合しない。つまり、導波路の高さが一定であれば、LP01モードやLP11aモードからは、E31モードへは結合できるが、E13モードへは、重なり積分がゼロであるため結合することができない。
【0045】
そこで、本実施形態は、
図8及び
図9のような構成とする。つまり、
図8のモード合分波器303は、
図7のモード合分波器302の主導波路10が、2つの副導波路(21、22)の結合部(31、32)の間に、長手方向に導波路幅が連続的に変化し、第1中間モードと第2中間モードとを相互に断熱変換する第2テーパー部43をさらに持つことを特徴とする。また、
図9のモード合分波器304は、
図6のモード合分波器301の主導波路10が、2つの副導波路(21、22)の結合部(31、32)の間に、長手方向に導波路幅が連続的に変化し、第1中間モードと第2中間モードとを相互に断熱変換する第2テーパー部44をさらに持つことを特徴とする。
図8の第2テーパー部43は、光の合波方向に導波路幅が広がっており「アップテーパー部」と記載し、
図9の第2テーパー部44は、光の合波方向に導波路幅が狭まっており「ダウンテーパー部」と記載している。
【0046】
図8は、導波路高さが一定である場合のLP21b及びLP02モードの合波例である。第一導波路(主導波路10)と第二導波路(副導波路21)との結合部31において第二導波路の基本モードから第1中間モード(E31モード)へ変換したのち、アップテーパー部43によりE31モードを第2中間モード(E13モード)へ変換させる。
【0047】
第一導波路(主導波路10)と第三の導波路(副導波路22)との結合部32においても、第三導波路の基本モードを第1中間モード(E31モード)へ変換し、最後のダウンテーパー部42においてE13モードとE31モードをそれぞれLP21bモードとLP02モードに変換する。
【0048】
図9のモード合分波器304は、
図8のモード合分波器303のテーパー構造を逆にしたものである。つまり、ダウンテーパー構造の第1テーパー部42をアップテーパー構造の第1テーパー部41とし、アップテーパー構造の第2テーパー部43をダウンテーパー構造の第2テーパー部44としている。
図9のモード合分波器304も
図8のモード合分波器303の説明と同様にE31モードを第2テーパー部44でE13モードに変換し、その後に合波したE31モードとともに第1テーパー部41でそれぞれをLP21bモードとLP02モードに変換する。
【0049】
(実施形態3)
図10は、本実施形態のモード合分波器305を説明する図である。モード合分波器305は、全ての導波路の高さが一定の場合の6モード合分波器である。モード合分波器305は、
図8のモード合分波器303に低次側の高次モード(LP11a、LP11b、LP21a)を発生させる脇導波路が追加されたものである。すなわち、モード合分波器305は、主導波路10及び副導波路(21、22)に非接触であり、主導波路10との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つm本(mは3以上の整数)の脇導波路(51、52、53)をさらに備え、
脇導波路(51、52、53)は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が主導波路10の低次側の3つの高次モードの実効屈折率と排他的に一致していることを特徴とする。
【0050】
モード合分波器305は、少なくとも1つの前記結合部が、主導波路10、副導波路(21、22)及び脇導波路(51、52、53)に非接触である少なくとも1本の中間導波路61である。
【0051】
主導波路10、副導波路(21、22)及び脇導波路(51、52、53)は、導波路の高さが同じであり、主導波路10、副導波路(21、22)及び脇導波路(51、52、53)の少なくとも1つがLP11aモードをLP11bモードに変換するモード回転子を含む。
【0052】
非特許文献4に記載の通り、導波路の高さ一定の条件でのLP01,LP11a、LP11b、LP21aモードの合分波は、LP11aモードからLP11bモードへ変換可能なモード回転子を用いることで実現できる。モード合分波器305は、主導波路10及び中間導波路61にそれぞれモード回転子72及びモード回転子71を有しており、脇導波路51から中間導波路61にモード変換され結合されたLP11aモードをモード回転子71でLP11bモードへ変換し、脇導波路52から主導波路10にモード変換され結合されたLP11aモードをモード回転子72でLP11bモードへ変換している。この時点で主導波路10にはLP01モード、LP11bが伝搬しており、さらに脇導波路53からモード変換されたLP11aモード及び中間導波路61からモード変換されたLP21aモードが結合される。すなわち、モード合分波器305は、結合部(33、34、35)でLP01,LP11a、LP11b、及びLP21aのモードを合分波することができる。
【0053】
図8のモード合分波器303で説明したように、モード合分波器305は、結合部31において副導波路21の基本モードをE31モードに変換し、アップテーパー構造のテーパー部43にてこれをE13モードに変換し、ダウンテーパー構造のテーパー部42でさらに変換してLP21bモードを得ている。そして、モード合分波器305は、結合部32において副導波路22の基本モードをE31モードに変換し、これをダウンテーパー構造のテーパー部42でさらに変換してLP02モードを得ている。
【0054】
このように、モード合分波器305は、LP01,LP11a、LP11b、LP21a、LP21b、及びLP02の6モードの合分波が可能である。
【0055】
なお、5モード合分波器を実現する為には、5モード目をLP21bまたはLP02モードとすればよく、
図10の構造から副導波路どちらか一方(21又は22)を除去することで簡単に実現することができる。なお、導波路の高さが異なるように製造すればモード回転子(71、72)は必須ではない。
【0056】
図11は、
図10のモード合分波器305の各カプラー(coupler1、coupler2、coupler3、coupler4)の設計例である。
図11(A)はcoupler1、
図11(B)はcoupler2、
図11(C)はcoupler3、
図11(D)はcoupler4を説明している。導波路の幅、高さ、導波路間隔g、結合長Lを適切に設計することで、98%以上の結合効率を実現できている。
【0057】
図10の構成では、coupler3(結合部31)における副導波路の幅w1が1.19μmと導波路の高さに対して小さく、製造上実現が困難な場合がある。そのような場合は、
図12のモード合分波器306に示すように、結合部36(coupler1)を用いて副導波路21の基本モードを一旦LP11aモードへ変換する構成とするとよい。
図13は、モード合分波器306の結合部31(coupler3)の設計例である。結合部36を用いて一旦LP11aに変換することで、副導波路の幅w1を6.2μmと大きくすることができる。
【0058】
[付記]
以下は、本実施形態のモード合分波器を説明したものである。
【0059】
(1):
n(nは5以上の整数)以上のモードを伝搬可能な主導波路と、
前記主導波路に非接触であり、前記主導波路との間でモード変換を発生させ、光パワーを移行させる結合部を持つm本(mは1以上の整数)の副導波路と、
を備えるモード合分波器であって、
前記副導波路は、所望の光の波長範囲に対して、伝搬するモードの実効屈折率が前記主導波路のn−1個のモードの実効屈折率と排他的に一致しており、
少なくとも一つ以上の、導波路中心を含む導波路の水平方向または垂直方向に3つのピークを持ち、垂直または水平方向には1つのピークを持つフィールド分布を有するモードAと結合し、
導波路幅が連続的に変化するテーパー部においてモードAをLP21bまたはLP02に変換することを特徴とするモード合分波器。
【0060】
(2):
前記モード合分波器において、副導波路から結合するモードAが、
水平方向に3つのピークを持ち、垂直方向には1つのピークを持つフィールド分布を有するE31モードであって、
E31モードを、導波路の垂直方向に3つのピークを持ち、水平方向には1つのピークを持つフィールド分布を有するE13モードに変換する第一のテーパー部を有し、
第二のテーパー部において、伝搬するE13及びE31モードをLP21b及びLP02モードへ変換する
ことを特徴とする上記(1)に記載のモード合分波器。
【0061】
(3):
前記結合部は、前記主導波路及び前記副導波路に非接触である少なくとも1本の中間導波路であることを特徴とする上記(1),(2)に記載のモード合分波器。
【0062】
(4):
前記モード合分波器において、導波路の高さが一定であり、LP11aモードをLP11bモード変換するモード回転子を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)に記載のモード合分波器。
【0063】
(5):
前記モード合分波器において、
LP01モードとLP11aモードを結合する結合部と、
LP11bモードとLP21aモードを結合する結合部と、
LP01またはLP11aモードとE31モードを結合する結合部と、
を備えており、
前記モード合波器の主導波路において、
LP21bまたはLP02モード、もしくは両モードを含むモードが多重された信号を合分波する上記(1)〜(4)に記載の5または6モード合分波器。