特許第6442298号(P6442298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442298
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ニッケル粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/26 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   B22F9/26 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-10720(P2015-10720)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-33255(P2016-33255A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-63106(P2014-63106)
(32)【優先日】2014年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-155547(P2014-155547)
(32)【優先日】2014年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 和道
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 俊豪
(72)【発明者】
【氏名】高石 和幸
(72)【発明者】
【氏名】米山 智暁
(72)【発明者】
【氏名】平郡 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 修
(72)【発明者】
【氏名】工藤 陽平
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 佳智
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−074160(JP,A)
【文献】 特公昭43−022395(JP,B1)
【文献】 特開2005−002395(JP,A)
【文献】 特開2011−149080(JP,A)
【文献】 特開平10−317022(JP,A)
【文献】 特表2012−525501(JP,A)
【文献】 特開2012−077372(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/062509(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101429652(CN,A)
【文献】 米国特許第04148632(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/0−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、空隙を有するニッケル粉の種晶を加え、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加して形成した混合スラリーを、圧力容器内において高温高圧状態下で、水素還元して前記混合スラリーから還元ニッケルの粉を生成して得られた前記還元ニッケル粉を含む還元スラリーを、洗浄、濾過による固液分離処理によって前記還元ニッケル粉を回収し前記回収した還元ニッケル粉を前記種晶として用いることを、少なくとも2回以上繰り返して成長させたニッケルの粉末を得ることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
【請求項2】
ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶を添加し、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加してニッケルの粉末を形成するニッケル粉の製造方法であって、
前記種晶が、空隙を有するニッケル粉の種晶であり、
下記(1)〜(4)の工程を順に経てニッケルの粉末を形成することを特徴とするニッケル粉の製造方法。
(記)
(1)硫酸ニッケル(NiSO)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NHOH)を添加してニッケルのアンミン錯体を形成させ、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を得る錯化工程。
(2)前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、空隙を有する種晶となるニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、次いで界面活性剤を添加して混合スラリーを形成する種晶・界面活性剤添加工程。
(3)前記(2)の種晶・界面活性剤添加工程で得られた混合スラリーに、水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケルを還元して種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、洗浄、濾過による固液分離処理して前記還元ニッケル粉を回収する還元工程。
(4)前記(3)の還元工程で回収した還元ニッケル粉を、前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に加えてニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを形成し、前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを、前記(3)の還元工程において用いる混合スラリーとして前記(3)の還元工程に供し、水素ガスによる還元処理を施して前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリー中のニッケル粉を成長させる処理を少なくとも2回以上行い、製品ニッケル粉を生成する成長工程。
【請求項3】
前記ノニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
【請求項4】
前記アニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
【請求項5】
前記ノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤の添加量が、前記ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に添加される前記種晶の種晶重量の1〜20wt%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に高温高圧下で水素ガスを吹き込みニッケル粉を得る工程において、表面が平滑化され内部が稠密化した粒子径の大きなニッケル粉を生成する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル粉は機能性材料やニッケル水素電池等の正極活物質として利用が進み、そのようなニッケル粉を製造する方法に湿式プロセスを用いてニッケル粉を製造する方法が開発されている。
【0003】
この湿式プロセスによるニッケル粉を工業的に製造する方法は、還元剤を添加して溶液中のニッケルを還元することによりニッケル粉を製造する方法が開発され、中でも還元剤に水素ガスを用いて還元する方法は、工業的に安価であり、広く利用されている。
【0004】
この方法は、非特許文献1に示すように「Sherritt Gordon社」におけるニッケル粉製造プロセスとして記載されている。これは、硫酸ニッケル水溶液と錯化剤を混合してニッケルアンミン錯体とし、その溶液を加圧容器に入れて密栓し、150〜250℃程度に昇温し飽和蒸気圧とし、その中に水素ガスを吹き込むもので、水素により還元されニッケル粉が得られるものである。
【0005】
この方法によって得られるニッケル粉は、表面に空隙を持つ凹凸がある粒子である。粒径が小さい為、粉のままニッケルメタル製品として出荷する際の粉塵や凹凸をもつためにかさ密度が低く、容器に充填する際に余分な容積を要してしまうといった問題を抱えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】POWDER METALLURGY,1958,No.1/2,P.40−52
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、オートクレーブを用いてニッケルアンミン錯体溶液に種晶を添加し、高温高圧において水素還元反応を行って得られるニッケル粉が、粉のままニッケルメタル製品として出荷する際の粉塵や凹凸をもつために、かさ密度が低く、容器に充填する際に余分な容積を要してしまうといった上記課題を解決するもので、ニッケルアンミン錯体溶液に種晶を添加し、高温高圧において水素還元反応を行って得られるニッケル粉において、取扱いの際に粉塵を発生せずに、且つ効率の良い容器への充填が可能なニッケル粉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の第1の発明は、ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、空隙を有するニッケルの粉末の種晶を加え、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加して形成した混合スラリーを、圧力容器内において高温高圧状態下で、水素還元して混合スラリーから還元ニッケルの粉を生成して得られた前記還元ニッケル粉を含む還元スラリーを、洗浄、濾過による固液分離処理によって前記還元ニッケル粉を回収し前記回収した還元ニッケル粉を前記種晶として用いることを、少なくとも2回以上繰り返して成長させたニッケルの粉末を得ることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
【0009】
本発明の第2の発明は、ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に、種晶を添加し、次いでノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤を添加してニッケルの粉末を形成するニッケル粉の製造方法であって、その種晶が空隙を有するニッケルの粉末の種晶であり、以下の(1)〜(4)の工程を順に経てニッケルの粉末を形成することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
(1)硫酸ニッケル(NiSO)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NHOH)を添加してニッケルのアンミン錯体を形成させ、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を得る錯化工程。
(2)前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、空隙を有する種晶となるニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、次いで界面活性剤を添加して混合スラリーを形成する種晶・界面活性剤添加工程。
(3)前記(2)の種晶・界面活性剤添加工程で得られた混合スラリーに、水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケルを還元して種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、洗浄、濾過による固液分離処理して前記還元ニッケル粉を回収する還元工程。
(4)前記(3)の還元工程で回収した還元ニッケル粉を、前記(1)の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に加えてニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを形成し、前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリーを、前記(3)の還元工程において用いる混合スラリーとして前記(3)の還元工程に供し、水素ガスによる還元処理を施して前記ニッケル粉を含むニッケル錯体スラリー中のニッケル粉を成長させる処理を少なくとも2回以上行い、製品ニッケル粉を生成する成長工程。
【0010】
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明におけるノニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールのいずれかであることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
【0011】
本発明の第4の発明は、第1及び第2の発明におけるアニオン系の官能基を持つ界面活性剤が、ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
【0012】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明におけるノニオン系あるいはアニオン系の官能基を持つ界面活性剤の添加量が、ニッケルアンミン錯体を含有する溶液に添加される種晶重量の1〜20wt%であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、高純度ニッケル粉の製造方法によれば、粉末表面の凹凸が抑制され、平滑な表面を有することになり、図2に示すような表面形状が緻密なニッケル粉を得ることができ、また粒径も大きなものを得られるので、取扱が容易になり、その工業的な価値は大きい。
さらに、図3に示す緻密なニッケル粉が得られ、そのかさ密度も増加し、容器への充填時に容積を小さくできる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のニッケル粉の製造フロー図である。
図2】本発明のニッケル粉の還元反応後のSEM像で、(a)、(d)は種晶、(b)、(e)は成長前ニッケル粉、(c)、(f)は、成長後ニッケル粉である。
図3】本発明のニッケル粉の繰返し還元反応によるかさ密度の推移である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す本発明のニッケル粉の製造フロー図を参照して、本発明のニッケル粉の製造方法を説明する。
なお、錯化工程以前の硫酸ニッケル溶液を得る方法としては、例えばニッケル酸化鉱石を公知の方法により加圧浸出し、得た浸出液を中和して不純物を除去し、不純物を除去した後の溶液に硫化剤を添加してニッケルを硫化物として沈殿させ、次いでこのニッケルを含有する硫化物を硫酸等で溶解し、公知の溶媒抽出等の方法でニッケルとそれ以外の不純物を分離して硫酸ニッケル溶液とする方法などがある。
【0016】
(1)錯化工程
この工程は、硫酸ニッケル(NiSO)溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水(NHOH)を添加し、ニッケルのアンミン錯体を形成する工程である。
このときのアンモニウム濃度は溶液中のニッケル濃度に対しモル比で1.9以上になるようにアンモニアを添加する。1.9未満では一部のニッケルがアンミン錯体を形成せず、水酸化ニッケルの沈殿が生成されてしまう。
【0017】
また、硫酸アンモニウム濃度を調整するために、本工程において硫酸アンモニウムを添加することができ、そのときの硫酸アンモニウム濃度は100〜500g/Lが好ましい。500g/Lを超える量では溶解度を超えてしまい、結晶が析出してしまい、プロセスのメタルバランス上、100g/L未満を達成するのは困難である。
【0018】
(2)種晶、界面活性剤添加工程
この工程では、上記(1)の「錯化工程」で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、種晶となる平均粒径が10〜200μmのニッケル粉を含む種晶スラリーを添加し、さらに、平面を平滑化させるための界面活性剤を、種晶スラリー中のニッケル粉の重量に対して1〜20wt%添加して混合スラリーを形成する。
【0019】
添加する界面活性剤には、ノニオン系の官能基を有するポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールの少なくとも1種、もしくはアニオン系の官能基を有するポリアクリル酸ナトリウムを用いることができ、この界面活性剤の添加量は、1wt%未満と少ない場合には平滑化の効果が薄く、20wt%を超えて多すぎる場合、不純物及び薬剤コストの面から望ましくない。
【0020】
(3)還元工程
この工程は、(2)の「種晶、界面活性剤添加工程」で得られた混合スラリーに水素ガスを吹き込み、溶液中のニッケルを種晶の空隙内に析出させて形成した還元ニッケル粉を含む還元スラリーを形成した後、この還元スラリーを固液分離処理に供して、還元ニッケル粉の成長前ニッケル粉を生成するものである。
【0021】
このとき、反応温度は150〜200℃が好ましい。
150℃未満では還元効率が低下し、200℃を超えても反応への影響はなく熱エネルギー等のロスが増加する。
また、反応時の圧力は1.0〜4.0MPaが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく水素ガスのロスが増加する。
【0022】
(4)成長工程
この工程は、(3)の「還元工程」で生成した還元スラリーを固液分離処理して回収された「成長前ニッケル粉」に、(1)の「錯化工程」で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加えて形成したニッケル錯体スラリーを、再度(3)の「還元工程」における「混合スラリー」として供し、水素ガスによる還元処理を施してニッケル錯体スラリー中の「成長前ニッケル粉」から「成長後ニッケル粉」へと成長させ、「製品ニッケル粉」を生成する工程である。
【0023】
この(4)の成長工程を、少なくとも1回以上繰り返して行なうことにより、ニッケル粉の成長、およびその表面を緻密に平滑化させるものである。
【実施例】
【0024】
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0025】
[錯化工程]
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
【0026】
[種晶・界面活性剤添加工程]
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにノニオン系の界面活性剤ポリエチレングリコール「PEG−20000」(日油株式会社製)を2.5g(3wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
【0027】
[還元工程]
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
【0028】
[成長工程]
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
【0029】
さらに、そのかさ密度は、成長工程における還元処理(反応回数)が多くなるにつれ、そのかさ密度の増加も見られた。
また、このニッケル粉末を50ccの出荷容器に充填したが、飛散することはなく、局所排気装置を運転せずに作業できた。
【実施例2】
【0030】
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
【0031】
[種晶・界面活性剤添加工程]
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにノニオン系の界面活性剤としてポリビニルアルコール「PVA−2000」(関東化学株式会社製)を5.0g(7wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
【0032】
[還元工程]
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
【0033】
[成長工程]
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで、平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
【0034】
さらに、そのかさ密度は、成長工程における還元処理(反応回数)が多くなるにつれ、そのかさ密度の増加も見られた。
また、このニッケル粉末を50ccの出荷容器に充填したが、飛散することはなく、局所排気装置を運転せずに作業できた。
【実施例3】
【0035】
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
【0036】
[種晶・界面活性剤添加工程]
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーを加え、さらにアニオン系の界面活性剤ポリアクリル酸Na「PAA−6000」(東亜合成株式会社製T−50:固形分40%)を3.73g(2wt%)添加して、種晶・界面活性剤添加工程を行い、混合スラリーを作製した。
【0037】
[還元工程]
次に、この混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温後、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を行った。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、その水素ガスの供給を停止してオートクレーブを冷却した。冷却後得られた還元スラリーを洗浄・濾過により固液分離し、成長前ニッケル粉を回収した。
【0038】
[成長工程]
この回収した成長前ニッケル粉を、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加して錯化処理して合計の液量が1000mlになるように調整したニッケルアンミン錯体を含む溶液に、再度添加して、反応を繰り返すことで、図2に示す通り平滑な面を持つ製品ニッケル粉を得た。
【0039】
さらに、図3に示す通り、成長工程における還元処理により、そのかさ密度の増加が見られた。
【0040】
(比較例1)
硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して錯化処理を行い、ニッケルアンミン錯体を含む溶液を作製した。
【0041】
[種晶添加工程、還元工程]
この溶液に種晶75gを含む種晶スラリーのみを添加して混合スラリーを作製した。
次に、この作製した混合スラリーを高圧容器のオートクレーブ内に装入し、撹拌しながら185℃に昇温し、還元剤の水素ガスを吹き込み、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを供給して還元処理を施した。
水素ガスを供給してから1時間が経過した後に、水素ガスの供給を停止して、オートクレーブを冷却後、得られたスラリーを洗浄・濾過し、ニッケル粉を回収した。
この回収したニッケル粉は、その外表面が種晶と同様の凹凸を持つニッケル粉であった。
【0042】
さらに、その得られたニッケル粉を、50ccの出荷容器に充填しようとしたが、局所排気装置を運転しなければ、粉塵が巻き上がってしまった。
図1
図2
図3