特許第6444641号(P6444641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6444641
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】成膜装置、サセプタ、及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20181217BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20181217BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20181217BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/42
   C23C16/44 J
   H01L21/68 N
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-150763(P2014-150763)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2016-25309(P2016-25309A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 英 樹
(72)【発明者】
【氏名】土 田 秀 一
(72)【発明者】
【氏名】鎌 田 功 穂
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 雅 彦
(72)【発明者】
【氏名】内 藤 正 美
(72)【発明者】
【氏名】藤 林 裕 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴 木 克 己
(72)【発明者】
【氏名】西 川 恒 一
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−086230(JP,A)
【文献】 実開平04−010333(JP,U)
【文献】 特開2006−060195(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114858(WO,A1)
【文献】 特開2009−164162(JP,A)
【文献】 特開平02−070066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/683
C23C 16/42
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にSiCの成膜を行う成膜室と、
前記基板が載置されるサセプタユニットと、
前記サセプタユニットを回転させる回転部と、
前記基板を1400℃以上に加熱するヒータと、
前記成膜室にSiCソースガスを含むプロセスガスを供給するガス供給部と、
を備え、
前記サセプタユニットは、
前記基板を保持するサセプタと、
前記サセプタの少なくとも上部および外周部に設けられ、前記サセプタと異なる材料であり、少なくとも表面がSiCから構成されるカバー部材と、
前記サセプタと前記カバー部材の間に設けられ、前記カバー部材と表面が異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から構成されるリング状のプレートと、
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記カバー部材および前記プレートは前記サセプタより着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記基板が保持される領域から離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記サセプタは、TaC、又はTaCを被覆したカーボンからなり、
前記カバー部材は、SiC、又はSiCを被覆したカーボン、からなり、
前記プレートは、少なくとも表面がグラファイト材、カーボン繊維素材又はTaCであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記基板を前記サセプタユニットから取り外す交換室を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項6】
基板上にSiCの成膜を行う成膜室に設けられ、前記基板が載置されるサセプタユニットであって、
前記基板を保持するサセプタと、
前記サセプタの少なくとも上部および外周部に設けられ、前記サセプタと異なる材料であり、少なくとも表面がSiCから構成されるカバー部材と、
前記サセプタと前記カバー部材の間に設けられ、前記カバー部材と表面が異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から構成されるリング状のプレートと、
を有することを特徴とするサセプタユニット。
【請求項7】
SiC基板を成膜室内に搬入し、
サセプタの少なくとも上部および外周部に、サセプタと異なる材料であり、少なくとも表面がSiCで構成されるカバー部材が配置され、カバー部材と異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から形成されるリング状のプレートが前記サセプタとカバー部材の間に配置されたサセプタユニットにSiC基板を載置し、
前記SiC基板を1400℃以上に加熱し、
前記成膜室内に、SiCソースガスを含むプロセスガスを供給して、前記SiC基板上へSiCの成膜を行い、前記SiC基板上への成膜後、SiC基板及びサセプタユニットの少なくとも一部を前記成膜室外に搬出することを特徴とする成膜方法。
【請求項8】
前記成膜室外において、前記プレート及び前記カバー部材を交換することを特徴とする請求項7に記載の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、サセプタ、及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のパワーデバイスのように、比較的膜厚の大きい結晶膜を必要とする半導体素子の製造工程では、ウェーハ等の基板に単結晶薄膜を気相成長させて成膜するエピタキシャル成長技術が利用される。
【0003】
エピタキシャル成長技術に使用される成膜装置では、常圧または減圧に保持された成膜室の内部に、例えば、ウェーハを載置する。そして、このウェーハを加熱しながら成膜室内に、成膜のための原料となるガス(以下、単に原料ガスとも言う。)を供給する。すると、ウェーハの表面で原料ガスの熱分解反応および水素還元反応が起こり、ウェーハ上にエピタキシャル膜が成膜される。
【0004】
膜厚の大きなエピタキシャルウェハを高い歩留まりで製造するには、均一に加熱されたウェーハの表面に新たな原料ガスを次々に接触させて、気相成長の速度を向上させる必要がある。そこで、ウェーハを回転させながらエピタキシャル成長させることが行われている。
【0005】
従来のSiCエピタキシャル装置では、ウェーハ上だけでなく、ウェーハを保持するサセプタの表面にもSiC膜が堆積していた。そこで、サセプタ上にカバーを載せサセプタを保護する構造が用いられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−262967号公報
【特許文献2】特開平6−53139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サセプタにSiCを用いると、1400℃以上の高温下においては、サセプタ上にウェーハが載った箇所ではウェーハとの温度差によりサセプタのSiCが昇華し、ウェーハ裏面に付着するなどの問題が生じる。そこで、サセプタにSiC以外の材料を用いると、サセプタ上に堆積したSiCが剥がれやすくなりパーティクル源となる。
【0008】
そのため、上述のように、サセプタ上にSiC材のカバーを設けると、今度はカバーのSiCが昇華してサセプタに付着してしまう。本発明は、サセプタへのSiCの付着を抑制することが可能な成膜装置、サセプタユニット、及び成膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による成膜装置は、基板上にSiCの成膜を行う成膜室と、SiC基板が載置されるサセプタユニットと、サセプタを回転させる回転部と、基板を1400℃以上に加熱するヒータと、成膜室にSiCソースガスを含むプロセスガスを供給するガス供給部と、を備える。サセプタユニットは、前記基板を保持するサセプタと、前記サセプタの少なくとも上部および外周面に設けられ、サセプタと異なる材料で構成され少なくとも表面がSiCであるカバー部材と、サセプタとカバー部材の間に設けられ、カバー部材と表面が異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から構成されるリング状のプレートと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様によるサセプタユニットは、基板上にSiCの成膜を行う成膜室に設けられ、基板が載置されると、基板を保持するサセプタと、の前記サセプタの上部及び外周部に設けられ、サセプタと異なる材料で構成され、少なくとも表面がSiCであるカバー部材と、前記サセプタと前記カバー部材の間に設けられ、カバー部材と表面が異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から構成されるリング状のプレートと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様による成膜方法は、SiC基板を成膜室内に搬入し、サセプタの少なくとも上部および外周部に、サセプタと異なる材料であり、少なくとも表面がSiCで構成されるカバー部材が配置され、カバー部材と異なる材料でかつ1400℃以上のSiCプロセス温度で昇華しない材料から形成されるリング状のプレートが前記サセプタとカバー部材の間に配置されたサセプタユニットにSiC基板を載置し、SiC基板を1400℃以上に加熱し、成膜室内に、SiCソースガスを含むプロセスガスを供給して、前記SiC基板上へSiCの成膜を行い、前記SiC基板上への成膜後、SiC基板及びサセプタユニットの少なくとも一部を前記成膜室外に搬出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、サセプタへのSiCの付着を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による成膜装置の概略構成図。
図2】本発明の実施形態によるサセプタの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による成膜装置の概略構成図である。成膜処理の対象である試料として、SiCからなる基板101が用いられる。図1では、サセプタ170に基板101を載置した状態を示している。そして、サセプタ170上に載置された基板101上に、SiCエピタキシャル膜を形成するための原料となる複数種類のガス(プロセスガス)を供給し、基板101上で気相成長反応させて成膜を行う。
【0016】
成膜装置100は、基板101上で気相成長をさせてSiCエピタキシャル膜の成膜を行う成膜室として、チャンバ103を有する。チャンバ103の内部において、サセプタユニット170が、回転部104の上方に設けられている。
【0017】
図2に示すように、サセプタユニット170は、開口部を有して構成されたリング状の形状を有する外周サセプタ171と、外周サセプタ171の内側に開口部を塞ぐように設けられた内部サセプタ172と、外周サセプタ171の内周に沿って内部サセプタ172上に設けられ、基板を保持する保持部173と、から構成されるサセプタと、外周サセプタ171と保持部173の一部上に設けられたリング形状のプレート174と、プレート174上に設けられ、プレート174の上面、外周面、及び外周サセプタ171の外周面を覆い、表面の少なくとも一部がSiCから構成されるカバー部材175とを備える。すなわち、サセプタとカバー部材の間にプレートが設けられる構造となっている。ここで、プレート174は複数枚であってもよい。
【0018】
保持部173の内周側には座ぐりが設けられ、この座ぐり内に基板101の外周部を受け入れて支持する構造を有する。
【0019】
保持部173、プレート174、及びカバー部材175は、外周サセプタ171及び内部サセプタ172から着脱自在となっている。
【0020】
外周サセプタ171、内部サセプタ172、及び保持部173は、TaC、又は表面にTaCを被覆したカーボンなど、少なくとも表面がSiC以外の材料を用いて構成される。プレート174は、1400〜1700℃のプロセス温度で昇華しない材料であり、例えばグラファイト材、カーボン繊維素材、TaCなど少なくとも表面がSiC以外の材料を用いて構成される。また、カバー部材175は少なくとも表面がSiCで形成されている材料であり、例えばSiC、又は表面にSiCを被覆したカーボンを用いて構成される。
【0021】
なお、サセプタ170の構造は、図2に示すものに限定されない。例えば、内部サセプタ172を省略した構成としてもよい。
【0022】
図1に示すように、回転部104は、円筒部104aと回転軸104bを有している。回転部104では、円筒部104aの上部でサセプタ170を支持している。そして、回転軸104bが図示しないモータによって回転することにより、円筒部104aを介してサセプタ170が回転する。こうして、サセプタ170の上に基板101が載置された場合、その基板101を回転させることができる。
【0023】
図1において、円筒部104aは、上部が開口する構造を有し、上部が開放された構造である。円筒部104a内には、ヒータ(主ヒータ)120が設けられている。ヒータ120には抵抗加熱ヒータを用いることが可能であり、例えば所定の抵抗値を持つカーボン(C)材で構成される。ヒータ120は、回転軸104b内に設けられた略円筒状の石英製のシャフト108の内部を通る配線(図示せず)によって給電され、基板101をその裏面から加熱する。
【0024】
また、円筒部104a内には、ヒータ120による加熱を効率的に行うために、ヒータ120の下方にリフレクタ110が設けられている。リフレクタ110は、カーボン、SiC、又はSiCを被覆したカーボンなどの耐熱性の高い材料を用いて構成される。また、リフレクタ110の下方には断熱材111が設けられており、ヒータ120からの熱がシャフト108等に伝わることを防止することができ、加熱時のヒータ電力を抑制することもできる。
【0025】
シャフト108の内部には、基板昇降手段として昇降ピン(図示せず)が配置されている。昇降ピンの下端は、シャフト108の下部に設けられた図示されない昇降装置まで伸びている。そして、その昇降装置を動作させて昇降ピンを上昇または下降させることができる。この昇降ピンは、基板101を保持する保持部173を、プレート174及びカバー部材175とともに、チャンバ103内へ搬入する時、及びチャンバ103外へ搬出する時に使用される。昇降ピンは保持部173を下方から支持し、持ち上げて外周サセプタ171及び内部サセプタ172から引き離す。そして、搬送用ロボット(図示されない)との間で、基板101を保持する保持部173、プレート174、及びカバー部材175の受け渡しができるように、昇降ピンは、保持部173を回転部104上の外周サセプタ171及び内部サセプタ172から離れた上方の所定の位置に配置するように動作する。
【0026】
チャンバ103の下部には、ガスを排気するためのガス排気部125が設けられている。ガス排気部125は、調整バルブ126および真空ポンプ127からなる排気機構128に接続している。排気機構128は、図示しない制御機構により制御されてチャンバ103内を所定の圧力に調整する。
【0027】
また、チャンバ103内には、成膜処理が行われる成膜領域と、チャンバ103の側壁(内壁)103aとを仕切る円筒型のライナ130が設けられている。ライナ130は、カーボン又はSiCを被覆したカーボンなどの耐熱性の高い材料を用いて構成される。
【0028】
ライナ130と側壁103aとの間には、基板101を上方から加熱する補助ヒータ131が設けられている。補助ヒータ131は例えば抵抗加熱型のヒータである。また、補助ヒータ131と側壁103aとの間には断熱材132が設けられており、補助ヒータ131からの熱がチャンバ103に伝わることを防止する。このことにより、加熱時のヒータ電力を抑制することができる。
【0029】
成膜装置100のチャンバ103の上部には、熱効率を上げるために、ヒータ120や補助ヒータ131からの輻射を反射するリフレクタユニットRU1、RU2が設けられている。リフレクタユニットRU2はリフレクタユニットRU1の下方に設けられている。
【0030】
リフレクタユニットRU1、RU2は、カーボン、SiC、又はSiCを被覆したカーボンを用いた薄板により構成されている。リフレクタユニットRU1、RU2は1枚の薄板で構成してもよいし、複数枚の薄板を積層してもよい。
【0031】
図1に示すように、成膜装置100のチャンバ103の上部には、ガス供給部160が設けられている。ガス供給部160は、ガス流路(ガスパイプ)161〜163を介して、成膜領域にパージガス、SiCソースガス、ドーピングガス等のプロセスガスを供給する。例えば、ガス流路161を介して成膜領域103bにパージガスとしてのアルゴンガス又は水素ガスが供給される。また、ガス流路162、163を介して、成膜領域103bにSiCソースガスとしてシランガスやプロパンガスが供給される。また、図示しないガス流路を介して、ドーピングガスとして窒素ガスが供給される。図1では、各ガスに対して1本のガス流路が設けられているが、複数のガス流路を設けてもよい。
【0032】
なお、チャンバ103の上部に放射温度計を設け、基板101の温度を測定できるようにしてもよい。この場合、チャンバ103の一部に石英ガラス窓を設け、石英ガラス窓を介して放射温度計で基板101の温度を測定する。
【0033】
次に、本実施形態による成膜方法について説明する。
【0034】
まず、チャンバ103内に、基板101とこれを保持する保持部173、プレート174、及びカバー部材175を搬入し、外周サセプタ171及び内部サセプタ172上に載置する。このとき、カバー部材175は、外周サセプタ171の外周面を覆う。
【0035】
次に、ヒータ120及び補助ヒータ131を用いて基板101を150℃/分程度のレートで、1500℃以上になるまで加熱する。そして、回転部104により基板101を回転させながら、ガス供給部160からSiCソースガス及びドーピングガスを供給する。これにより、基板101上にSiCエピタキシャル膜が形成される。このとき、基板101上だけでなく、カバー部材175の表面にもSiC膜が形成される。しかし、外周サセプタ171の外周面はカバー部材175に覆われているため、外周サセプタ171の外周面へのSiCの付着を防止できる。
【0036】
また、外周サセプタ171及び保持部173の上面とカバー部材175との間にはプレート174が設けられている。そのため、カバー部材175に形成されたSiCが昇華して外周サセプタ171、保持部173にSiCが付着することを防止できる。
【0037】
外周サセプタ171にSiCが付着した場合、熱膨張率の違いにより外周サセプタ171は変形し得る。しかし、本実施形態では、カバー部材175及びプレート174により外周サセプタ171へのSiCの付着が防止され、外周サセプタ171が変形することを防止できる。そのため、基板101を高速回転することができ、基板101上に均一なSiCエピタキシャル膜を形成することができる。
【0038】
また、図2に示すように、基板101とカバー部材175との間には、TaC、又は表面にTaCを被覆したカーボンを用いて構成される保持部173が介在している。すなわち、カバー部材175は、保持部173を介して、保持部173の基板保持領域から離間して設けられている。そのため、カバー部材175に形成されたSiCが昇華して基板101に付着することを防止でき、基板101上に均一なSiCエピタキシャル膜を形成することができる。
【0039】
次に、基板101上にSiCエピタキシャル膜を形成した後、チャンバ103内を降温し、パージガスを供給する。そして、保持部173、プレート174、及びカバー部材175とともに基板101をチャンバ103から搬出する。
【0040】
このとき、チャンバ103から搬出された基板101を、保持部173、プレート174、及びカバー部材175とともに、チャンバ103の外部に設けられた交換室に搬送し、前記基板101を取り外してもよい。
【0041】
カバー部材175は、SiC、又は表面にSiCを被覆したカーボンを用いて構成されているため、他の材料で構成されている場合と比較して、表面に形成されているSiC膜が剥がれにくく、チャンバ103からの搬出の際にSiC膜が剥がれてパーティクル源になることを防止できる。
【0042】
チャンバ103の外部において、保持部173から基板101が取り外される。カバー部材175やプレート174へのSiCの付着量が多い場合は、新品の(又は洗浄した)カバー部材175、プレート174に交換する。カバー部材175やプレート174の交換をチャンバ103の外部で行うことで、付着したSiC膜が剥がれたとしても容易に対処することができ、チャンバ103内でのパーティクル源になることを防止できる。
【0043】
そして、保持部173に新たな基板101を取り付け、保持部173、プレート174、及びカバー部材175とともに基板101をチャンバ103内に搬入する。
【0044】
このように、本実施形態によれば、カバー部材175を設けることでサセプタ(外周サセプタ171)にSiCが付着することを防止できる。また、カバー部材175と外周サセプタ171との間にプレート174を設けることで、カバー部材175から昇華したSiCが外周サセプタ171に付着することを防止できる。そのため、熱膨張率の違いから生じるサセプタの変形を防止し、基板を高速回転させ、基板上に均一なSiC膜を形成することができる。
【0045】
また、プレート174及びカバー部材175を基板101とともにチャンバ103から搬出し、チャンバ103の外部でプレート174及びカバー部材175を交換することで、剥がれたSiCがパーティクル源となることを防止できる。
【0046】
SiCエピタキシャル成長では、窒素がドーパントガスになるため、上記実施形態におけるプレート174の窒素不純物濃度は低いことが好ましく、例えば、1E18atoms/cm以下とすることが好ましい。
【0047】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 成膜装置
101 基板
103 チャンバ
120 主ヒータ
160 ガス供給部
170 サセプタ
171 外周サセプタ
172 内部サセプタ
173 保持部
174 プレート
175 カバー部材
図1
図2