(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記無線タグの前記識別情報を読み取り、前記識別情報を読み取った前記無線タグの前記センサが得た情報を前記記憶装置から時系列で読み出す情報端末を有する請求項2に記載の情報収集システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の情報収集システムを詳細に説明する。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の情報収集システムを示す模式図である。
図1に示す情報収集システム10は、情報収集部12と、記憶装置14と、情報端末16とを有する。情報収集部12と記憶装置14とは有線または無線で接続されている。記憶装置14と情報端末16とは有線または無線で接続されている。
情報収集システム10では情報収集部12で収集された、無線タグ20で得られた各種の情報が記憶装置14に記憶され、記憶装置14に記憶された各種の情報は情報端末16で見ることができる。
記憶装置14は、情報収集部12で収集された、無線タグ20で得られた各種の情報が記憶でき、かつ情報収集部12と情報端末16とデータの送受信が可能であれば、特に限定されるものではない。記憶装置14は、例えば、サーバ等のハードウェアで構成されたものでも、クラウド等のインターネット上に構築されたものであってもよい。
記憶装置14では、無線タグ20の識別情報毎に、無線タグ20で得られた各種の情報が時系列に記憶される。
【0013】
情報端末16は、無線タグ20の識別情報を取得することができ、かつ識別情報を取得した無線タグ20で取得し、記憶装置14に記憶された情報を、記憶装置14から取得することができれば、その構成は特に限定されるものではない。情報端末16としては、例えば、無線タグ20の識別情報を取得するための無線タグ20との通信機能、および記憶装置14から情報を取得するための記憶装置14との通信機能を有し、かつ記憶装置14に記憶された情報を視覚的に見ることができる表示部を有するものであればよい。このため、例えば、タブレット型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン等に、無線タグ20と通信するためのアプリケーション、記憶装置14と通信するためのアプリケーションを組み込むことで情報端末16として利用することができる。なお、情報端末16としては、上述の2つの通信機能がハードウェアおよびソフトウェアで実現され、かつ記憶装置14に記憶された情報を視覚的に見ることができる表示部を有する専用の端末であってもよい。
【0014】
情報端末16は、無線タグ20の識別情報がデータコード(図示せず)として無線タグ20に取り付けられた場合には、データコードを読み取るための撮像部を有し、撮像部で取得されたデータコードの像を画像認識するための画像解析ソフトを有する。
データコードは、例えば、バーコード、文字または記号、文字と記号の組合せで構成されるものである。データコードは、例えば、印刷等により形成される。
【0015】
情報収集部12は、複数の無線タグ20と読取装置22とを有する。
例えば、複数の容器24がケース26に収納されている。各容器24に無線タグ20が設けられている。例えば、読取装置22はケース26に収納されている。
容器24は、特に限定されるものではなく、例えば、食品または飲料等を収納するものである。
【0016】
ここで、
図2は本発明の実施形態の情報収集システムの構成を示す模式図である。
図2に示す無線タグ20は、パッシブタイプのものであり、読取装置22からの電力用電波、すなわち、搬送波ωcを受信して動作し、無線タグ20の識別情報およびセンサ40で得られた情報を含む測定データを読取装置22に、固有周期で発信する。無線タグ20の固有周期は、無線タグ20毎に異なり、同じものがない。これにより、読取装置22では複数の無線タグ20の各種の情報を取得することができる。以下、無線タグ20の識別情報およびセンサ40で得られた情報を含む測定データのことを単に測定データともいう。
【0017】
無線タグ20は、アンテナ30と、整流部32と、クロック発生部34と、データ読出部36と、メモリ38と、センサ40と、変換部42と、エラー検出データ演算部44と、データ送出部46とを有する。整流部32とクロック発生部34とデータ読出部36とメモリ38とエラー検出データ演算部44とデータ送出部46とでデータ送信部47が構成される。
アンテナ30が整流部32に接続され、整流部32がクロック発生部34に接続されている。クロック発生部34はデータ読出部36に接続されている。データ読出部36にはメモリ38が接続され、変換部42を介してセンサ40が接続されている。また、データ読出部36にはエラー検出データ演算部44が接続され、エラー検出データ演算部44にデータ送出部46が接続されている。
【0018】
アンテナ30は、読取装置22からの電力供給用の搬送波ωcの受信と、無線タグ20からの電波ωtの送信に利用されるものである。アンテナ30としては、読取装置22からの搬送波ωcを受信でき、かつ無線タグ20からの電波ωtを送信することができれば、その構成は、特に限定されるものではなく、公知のものを種々用いることができる。
なお、読取装置22からの電力供給用の搬送波ωcは、例えば、周波数13.56MHzの交流電波である。なお、搬送波ωcの周波数は、13.56MHzに限定されるものではなく、無線タグ20の構成等により適宜設定されるものである。搬送波ωcの周波数としては、13MHz以上が好ましく、更に好ましくは400MHz、900MHz、および2GHzである。
【0019】
整流部32は、アンテナ30で受信した読取装置22からの搬送波ωcを直流電圧に変換し、無線タグ20の電源電圧を得るものである。整流部32は、例えば、2つの整流トランジスタ(図示せず)とコンデンサ(図示せず)とを有する。コンデンサは、電荷を蓄積する出力容量である。整流部32では、2つの整流トランジスタが直列で接続され、コンデンサが、直列接続された整流トランジスタに対して並列に接続されている。直列接続された2つの整流トランジスタでは、整流トランジスタの端が接地され、整流トランジスタの端がクロック発生部34に接続されている。これにより、整流部32で得られた直流電圧をクロック発生部34に供給することができる。整流部32は、読取装置22からの搬送波ωcを直流電圧に変換することができればよく、上述の構成に限定されるものではない。
【0020】
クロック発生部34は、無線タグ20のクロック信号を作成するものである。クロック発生部34は、例えば、発振回路(図示せず)を備えており、発振回路によりクロック信号を作成する。なお、クロック発生部34は、クロック信号を作成することができれば、発振回路に限定されるものではなく、分周回路(図示せず)によりクロック信号を作成してもよい。上述の測定データは、クロック信号に基づいて発信される。クロック信号の周波数は、例えば、20kHzであるが、特に20kHzに限定されるものではない。
【0021】
データ読出部36は、メモリ38に記憶された識別情報を読み出し、センサ40で得られた情報を変換部42から取得するものである。また、データ読出部36は、エラー検出データ演算部44に、読み出したメモリ38に記憶された識別情報およびセンサ40で得られた情報を出力するものである。
データ読出部36は、上述の機能を発揮できれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0022】
メモリ38は、無線タグ20の識別情報が記憶されるものである。また、メモリ38には、センサ40で得られた情報も記憶される。メモリ38は、無線タグ20の識別情報およびセンサ40で得られた情報を記憶することができれば、特に限定されるものではない。メモリ38には、書き換え可能なメモリが用いられ、その構成は特に限定されるものではなく、公知のメモリを種々用いることができる。
【0023】
センサ40は、情報収集システム10の用途に応じたものを適宜利用することができる。センサ40は、例えば、温度センサである。センサ40は、温度センサに限定されるものではなく、例えば、圧力センサ、光センサ、照度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、超音波センサ、水分センサ、放射線センサ、磁気センサ、臭気センサ、pH(水素イオン濃度指数)センサ、濁度センサ、高度センサ、加速度センサ等を用いることができる。センサ40の数は1つに限定されるものではなく、複数あってもよく、更には上述の各種のセンサを複数組み合わせてもよい。
変換部42は、センサ40で得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するものである。変換部42は、アナログ信号をデジタル信号に変換することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。変換部42は、例えば、8ビットのアナログデジタル変換回路を有する。なお、センサ40がデジタル信号を出力できるものである場合、変換部42を設けなくてもよい。
【0024】
エラー検出データ演算部44は、データ読出部36から送出された、メモリ38に記憶された識別情報およびセンサ40で得られた情報のデータについてエラー検出のためのデータ演算を行うものである。エラー検出のためのデータ演算としては、例えば、パリティチェック方式が用いられ、データに検査用ビットを付加する。また、エラー検出データ演算部44は、上述の識別情報およびセンサ40で得られた情報のデータの先頭に直列に、読取装置22においてデータの開始信号として必要なSOF(start of frame)を付加し、上述の情報のデータの最後に直列にデータの終了信号として必要なEOF(end of frame)を付加するものである。このようにエラー検出データ演算部44で、読取装置22にて読取り可能なデータ形式に処理されて、上述の測定データが得られ、この測定データがデータ送出部46に出力される。
【0025】
データ送出部46は、上述の測定データを、電波ωtとしてアンテナ30を介して読取装置22に発信するためのものである。データ送出部46では、上述の測定データを変調し、電波ωtとしてクロック発生部34のクロック信号に基づいてアンテナ30から発信させる。無線タグ20では、電源がなく、読取装置22からの搬送波ωcを受信し、整流部32にて直流電圧を得た後、クロック発生部34が駆動し、クロック信号のクロックをカウントする。無線タグ20では、固有周期でデータ発信を、整流部32で得た直流電圧でクロック発生部34を駆動できなくなるまで繰り返し行う。
【0026】
なお、無線タグ20は、電源がない構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、電源を設けて、データ送出部46からのデータ発信の際、出力を高くしてもよい。この場合、電源がない場合に比してデータ発信の範囲を広範囲にすることができる。
無線タグ20では、固有周期が他の無線タグ20と同じでないかを確認するために、例えば、各無線タグ20に固有周期を記載する。固有周期の記載方法は、特に限定されるものではなく、単に数字でも、上述の識別情報のように、バーコード等のデータコード(図示せず)でもよい。数字で記載されていれば、目視で確認することができる。バーコード等データコードであれば、スキャナで読み取り、読取結果をコンピュータに取り込むことで、複数の無線タグ20で固有周期が同じものがないかを判定することができる。
【0027】
次に、読取装置22について説明する。
読取装置22は、アンテナ50と、送信部52と、データ読出部54と、エラーチェック部56と、データ送出部58と、メモリ59とを有する。アンテナ50に送信部52が接続されている。また、アンテナ50にデータ読出部54が接続され、データ読出部54にエラーチェック部56が接続され、エラーチェック部56にデータ送出部58が接続されている。データ送出部58にメモリ59が接続されている。
【0028】
アンテナ50は、無線タグ20との送受信、記憶装置14とのデータの送信に利用される。アンテナ50としては、上述の機能を果たせば、その構成は、特に限定されるものではなく、公知のものを種々用いることができる。
【0029】
送信部52は、無線タグ20への電力供給用の搬送波ωcを発振させるものであり、発振回路(図示せず)を有する。発振回路は、無線タグ20に搬送波ωcを供給することができれば、その構成は、特に限定されるものではなく、RF(Radio Frequency)回路等を利用することができる。送信部52で発振されてアンテナ50を介して搬送波ωcが複数の無線タグ20に一斉に送信される。
【0030】
データ読出部54は、無線タグ20からアンテナ50で受信した電波ωtを、読取装置22内で利用可能な形態に変換し、上述の測定データを読み取るものである。具体的には、データ読出部54で無線タグ20から送信された測定データを、エラーチェック部56で利用可能なデータに復調し、上述のエラー検出データ演算部44で付加されたSOFとEOFとの間の上述の測定データを読み取る。復調方式としては、特に限定されるものではなく、公知のものを種々用いることができる。
【0031】
エラーチェック部56は、データ読出部54で復調された、無線タグ20から送信された測定データについてエラーがないかを調べるものである。上述のように、無線タグ20のエラー検出データ演算部44では、パリティチェック方式を用いており、データに検査用ビットが付加されている。このため、エラーチェック部56において、エラーを調べる方法としては、例えば、パリティチェック方式を用いる。パリティチェック方式によるエラー検出方法は、公知の方法を用いることができる。
エラーチェック部56でエラーがない場合、無線タグ20から送信された測定データは記憶装置14に記憶される。一方、エラーチェック部56でエラーが検出された場合、無線タグ20から送信された測定データは記憶装置14に記憶されない。
【0032】
エラーチェック部56では、データにエラーが検出された場合、そのデータにフラグを立てる。ここで、フラグを立てるとは、データに「フラグフィールド」を設定しておき、「フラグフィールド」の値を「1」に設定することである。「フラグフィールド」の値が「0」の値のデータが記憶装置14に記憶される。記憶装置14に記憶されるデータか否かは「0」または「1」の1ビットで表すことができる。
「フラグフィールド」の値を問わず、一旦メモリ59に記憶させておき、「フラグフィールド」の値が「0」の値のデータを記憶装置14に記憶させるようにしてもよい。
【0033】
データ送出部58は、エラーチェック部56でエラーがないとされた無線タグ20から送信された測定データを記憶装置14に記憶させるものである。読取装置22と記憶装置14とが有線で接続されていれば、データ送出部58は、無線タグ20から送信された測定データを記憶装置14に記憶可能なデータ形式に変換して、記憶装置14に出力する。
一方、読取装置22と記憶装置14とが無線で接続されている場合、データ送出部58は、無線タグ20から送信された測定データを、アンテナ50が送信可能なデータ形式に変調する。変調方式としては、特に限定されるものではなく、公知のものを種々用いることができる。記憶装置14では、データ送出部58からのデータを受信し、無線タグ20の固有情報毎に、センサ40で得られた情報を、例えば、時系列に記憶する。これにより、例えば、センサ40で得られた情報を時系列データとして、情報端末16で見ることができる。
【0034】
読取装置22では、データ送出部58でデータを記憶装置14に記憶可能なデータ形式に変換して、メモリ59に記憶させてもよい。この場合、メモリ59を取り外し自在なもの、例えば、メモリカード、USB(ユニバーサルシリアルバス)フラッシュドライブとすることもできる。これにより、記憶装置14に記憶するデータをまとめて記憶装置14に記憶させることができる。なお、メモリ59はなくてもよい。
また、読取装置22のデータ送出部58からのデータ発信間隔は、特に限定されるものではなく、例えば、2時間に1回等、適宜設定することができる。
【0035】
読取装置22では、複数の無線タグ20に対して、搬送波ωcを一斉に送信する。複数の無線タグ20は、それぞれ固有周期が異なるため、搬送波ωcを受信してから、データを発信するタイミングが異なる。このため、読取装置22では、複数の無線タグ20のデータを収集することができる。
無線タグ20は、搬送波ωcを受信した後、固有周期で、上述の測定データを繰り返し、搬送波ωcで得られた直流電圧で駆動する限り発信する。
情報収集システム10では、読取装置22は、複数の無線タグ20に対して搬送波ωcを送信するだけで、命令信号を発することなく複数の無線タグ20からデータを得ることができる。無線タグ20は、搬送波ωcから直流電圧を得て駆動するものであり、構成が簡素であり、かつコストも低い。
【0036】
なお、読取装置22の搬送波ωcの送信のタイミングは、用途等により適宜決定されるものであり、必要に応じたタイミングとされる。例えば、読取装置22の搬送波ωcの送信は、1時間に1回であり、無線タグ20では1時間に1回の搬送波ωcで得られる直流電圧で駆動する限りデータの送信を続ける。
【0037】
次に、情報収集システム10の動作について、3つの無線タグ20a、20b、20cを例にして説明する。3つの無線タグ20a、20b、20cのセンサ40は、温度センサであり、温度の情報が識別情報と一緒に測定データとして発信されること例にして説明する。
図3は、本発明の実施形態の情報収集システムの動作を説明する模式図である。
図4は本発明の実施形態の情報収集システムのタイミングチャートを示す模式図である。
図5は無線タグのタイミングチャートの他の例を示す模式図である。
図4において、符号21Aは無線タグ20aのタイミングチャートであり、符号21Bは無線タグ20bのタイミングチャートであり、符号21Cは無線タグ20cのタイミングチャートである。3つの無線タグ20a、20b、20cは、いずれもクロック信号の周波数は同じであり、測定データを発信する時間t
dは同じであるが、測定データの発信の固有周期が異なる。無線タグ20aの固有周期はT
1、無線タグ20bの固有周期はT
2、無線タグ20cの固有周期はT
3である。例えば、固有周期の比率は、無線タグ20a:無線タグ20b:無線タグ20c=7:8:9である。
【0038】
図3に示すように、読取装置22から搬送波ωcを各無線タグ20a〜20cに一斉に送信する。
各無線タグ20a〜20cでは、それぞれ搬送波ωcから整流部32で電圧を得て、クロック発生部34でクロック信号を作成する。メモリ38に記憶された識別情報とセンサ40で得られた温度情報とをデータ読出部36で取得する。クロック信号が発生し始めたタイミングで、あるいは専用の開始信号発生回路を設け、ここからの信号が送られるタイミングで、データを読み出す。
次に、メモリ38に記憶された識別情報およびセンサ40で得られた情報のデータをエラー検出データ演算部44で、読取装置22にて読取り可能なデータ形式に処理して、上述の測定データを得て、この測定データがデータ送出部46に出力される。センサ40で得られた情報は、一旦メモリ38に蓄えられるか、あるいは直接、エラー検出データ演算部44に送られる。データ送出部46で上述の測定データを変調し、クロック発生部34のクロック信号に基づいてアンテナ30から電波ωta、ωtb、ωtcとして発信する。
【0039】
上述のように各無線タグ20a〜20cは、それぞれ固有周期T
1〜T
3が異なるため、測定データを発信する迄のクロック信号のクロックのカウント数が異なる。無線タグ20a〜20cでは、上述のように測定データを発信する時間t
dは同じであり、上述の固有周期の比率からカウント数比は7:8:9である。
図4に示すように、各無線タグ20a〜20cは、固有周期T
1〜T
3に基づき、それぞれ予め定められたカウント数を数えた後に、測定データを時間t
d発信する。無線タグ20aは
図4の符号21Aに示すように、固有周期T
1内で予め定められたカウント数を数えて時間t
c1後に測定データを時間t
d発信する。無線タグ20bは
図4の符号21Bに示すように、固有周期T
2内で予め定められたカウント数を数えて時間t
c2後に測定データを時間t
d発信する。無線タグ20cは
図4の符号21Cに示すように、固有周期T
3内で予め定められたカウント数を数えて時間t
c3後に測定データを時間t
d発信する。
無線タグの固有周期Tは、カウント数の時間t
cと測定データの発信時間t
dとの和である。すなわち、T=t
c+t
dである。この時送信する測定データは、直前に測定したもの、あるいはメモリ38に蓄えられたものとなる。
【0040】
図4に示すタイミングチャートでは、無線タグ20aと無線タグ20bとが同じ、符号60で示すタイミングで測定データの発信を開始する。この場合、読取装置22では、2つの測定データを同時に受信することになり、各測定データがどの無線タグのものであるかを識別できず、読取装置22では測定データの処理はしない。
また、無線タグ20bと無線タグ20cとが同じ、符号62で示すタイミングで測定データの発信を開始する。この場合、読取装置22では、2つの測定データを同時に受信することになり、各測定データがどの無線タグのものであるかを識別できず、読取装置22では測定データの処理はしない。このように、固有周期が異なっていても、周期によっては同じタイミングで測定データを発信することがある。この場合、発信された測定データは記憶装置14に記憶されず無駄になるため、例えば、読取装置22からの搬送波ωcの送信頻度を上げる等により、測定データの欠損を補う。
【0041】
無線タグ20a〜20cの固有周期がT
4と同じであり、
図5に示すように、固有周期T
4内で予め定められたカウント数を数えて時間t
c4後に測定データを時間t
d発信する。しかし、データ発信のタイミングがずれていれば、読取装置22で各無線タグ20a〜20cの測定データを受信することができる。無線タグ20a〜20cの最初のデータ発信タイミングをずらすためには、無線タグ20a〜20cに、最初のデータ発信を遅延させ、それ以降は特定のデータ発信間隔とするためのプログラム等が必要であり、コストが嵩む。
また、読取装置22の搬送波ωcを送信した後、再度搬送波ωcを送信した際に、各無線タグ20a〜20cのデータ発信のタイミングが符号64に示すように、
図5に示すように揃う場合、読取装置22では、全ての無線タグ20a〜20cのデータを得ることができない。なお、
図5において、符号23Aは無線タグ20aのタイミングチャートであり、符号23Bは無線タグ20bのタイミングチャートであり、符号23Cは無線タグ20cのタイミングチャートである。
【0042】
以上のことから、情報収集システム10では、複数の容器24に、それぞれ無線タグ20を取り付け、各容器24の温度を測定することができる。しかも、読取装置22から決まった時間間隔で複数の無線タグ20に一斉に搬送波ωcを送信することで、各容器24の温度の情報を時系列で得ることができ、記憶装置14に各容器24の温度が時系列で記憶される。また、容器24に取り付けられた無線タグ20を情報端末16で読み取ることで、記憶装置14に記憶された時系列の温度情報を見ることででき、容器24の温度履歴が分かる。このため、例えば、容器24が適正な温度範囲で保管または輸送されたか否かを知ることができる。このことから、情報収集システム10は食品等の温度管理に利用することができる。
【0043】
また、情報収集システム10では、無線タグの数をnとし、測定データを発信する時間をt
dとし、無線タグの固有周期をTとするとき、(n
2−n)×t
d≦Tであることが好ましい。すなわち、無線タグの固有周期は、無線タグの数nに基づいて設定されることが好ましい。
無線タグの数nが3のとき、6t
d≦Tであり、無線タグの数nが10のとき、90t
d≦Tであり、無線タグの数nが50のとき2450t
d≦Tである。測定データを発信する時間t
dは、測定データのデータ量に応じて決定されるが、測定対象が同じであれば、例えば、温度を測定する場合には、測定データを発信する時間t
dは各無線タグで同じである。この場合、無線タグの数nが多くなる程、固有周期が長くなる。なお、上述のように複数ある無線タグは、それぞれ固有周期が異なる。
このように(n
2−n)×t
d≦Tを満たすことで、複数の無線タグ20から同じタイミンで測定データが発信されることがより抑制される。
【0044】
無線タグ20は複数あるため、各無線タグ20の固有周期Tは、最初に測定データを発信する迄の時間を、1つの無線タグ20を基準にした比で表すことができる。また、各無線タグ20の固有周期Tは構成を簡素化するために整数比で表されることが好ましい。
また、情報収集システム10では、複数の無線タグ20の固有周期Tの組合せとしては、固有周期Tの比率が、素数比であることが好ましく、より好ましくは、任意の2つの固有周期Tが互いに素である。これにより、測定データの発信が同じタイミングになることを抑制することができる。
【0045】
情報収集システム10について、複数の容器24の温度を、それぞれ無線タグ20で測定し、温度の測定結果を読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させることを例にして説明したが、これに限定されるものではない。容器24ではなく、測定対象に直接貼り付ける等して設けてもよい。
また、温度にも、例えば、容器24の湿度を測定してもよく、温度と湿度を測定してもよい。また、センサに撮像素子を用いて、撮像素子で得られた映像を読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させてもよい。監視カメラとして利用することができる。
センサに照度センサを用い、農場に複数の無線タグ20を配置し、農場の日照データを読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させてもよい。農場での日照状況、日照条件の良い場所を調べることができる。
センサに温度センサを用いて、ビニールハウス内に無線タグ20を配置し、ビニールハウス内の温度データを読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させてもよい。ビニールハウス内での温度分布、温度変化を調べることができる。
【0046】
また、センサに加速度センサを用いて、複数の容器24に、それぞれ無線タグ20を配置し、加速度データを読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させてもよい。搬送時の容器24の揺れの状態を調べることができる。
また、センサに放射線センサを用いて、複数個所の放射線量のデータを読取装置22で読み取り、記憶装置14に記憶させてもよい。これにより、放射線量分布、放射線量の変化を調べることができる。また、センサに放射線センサを用い、無線タグ20を容器24に取り付けた場合、容器24の放射線の漏れ等を調べることができる。
また、センサに温度センサを用いて、動物および人間等の複数個所の温度、被服の温度等を測定することもできる。センサに圧力センサを用いた場合には、人間等の複数個所の血圧を測定することもできる。
【0047】
無線タグ20は、例えば、複数のトランジスタで構成されるが、このトランジスタは、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン基板上の形成されたトランジスタである。無線タグ20は、塗布型半導体を半導体活性層に含む薄膜トランジスタ(以下、単に塗布型TFT(Thin Film Transistor)という)で構成することが好ましい。塗布型TFTは、作製に要する温度が低いこと印刷で形成可能といった利点があるため、樹脂基板を用いて安価に製造できる。また、塗布を利用した場合、センサも一緒に製造することができ、無線タグ20をより安価にできる。
塗布型TFTは、塗布型半導体を半導体活性層に含むものであるが、さらに半導体活性層以外にその他の層を含んでいてもよい。
塗布型TFTは、有機電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、以下、単にFETという。)が好ましく、ゲート−チャンネル間が絶縁されている絶縁ゲート型FETがより好ましい。
【0048】
塗布型TFTの構造は、特に限定されるものではなく、公知の様々な構造とすることができる。
塗布型TFTの構造の一例としては、最下層の基板の上面に、電極、絶縁体層、半導体活性層(有機半導体層)、2つの電極を順に配置した構造、ボトムゲートトップコンタクト型を挙げることができる。この構造では、最下層の基板の上面の電極は基板の一部に設けられ、絶縁体層は、電極以外の部分で基板と接するように配置される。また、半導体活性層の上面に設けられる2つの電極は、互いに隔離して配置される。なお、トップゲートトップコンタクト型でもよい。
また、無線タグ20を構成するトランジスタは、半導体層が、例えば、有機半導体または無機半導体で構成されたトランジスタであってもよい。上述のように半導体層が有機半導体で構成されたトランジスタは印刷で形成可能である利点がある。このため、無線タグ20は半導体層が有機半導体で構成されたトランジスタを含むことが好ましい。
【0049】
半導体層を有機半導体で構成した場合、作製が容易であり、曲げ性が良い、塗布が可能である。
半導体層を構成する有機半導体としては、例えば、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSペンタセン)等のペンタセン誘導体、5,11‐ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(TES‐ADT)等のアントラジチオフェン誘導体、ベンゾジチオフェン(BDT)誘導体、ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェン(C8−BTBT)等のベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)誘導体、ジナフトチエノチオフェン(DNTT)誘導体、ジナフトベンゾジチオフェン(DNBDT)誘導体、6,12‐ジオキサアンタントレン(ペリキサンテノキサンテン)誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(NTCDI)誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(2,5‐ビス(チオフェン‐2‐イル)チエノ[3,2‐b]チオフェン)(PBTTT)誘導体、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体、オリゴチオフェン類、フタロシアニン類、フラーレン類、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリパラフェニレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体等のポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフランおよびその誘導体等の複素環系導電性高分子、ポリアニリンおよびその誘導体等のイオン性導電性高分子等を用いることができる。
上述の有機半導体のうち、一般的には上述のフラーレン類、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド(NTCDI)誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)誘導体、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体がN型有機半導体層に利用され、それ以外のものがP型有機半導体層に利用される。しかしながら、上述の有機半導体では、誘導体によりP型またはN型になりうる。
半導体層を有機半導体で構成した場合、その形成方法には特に限定はなく、塗布法、転写法および蒸着法等の公知の方法を適宜利用することができる。
半導体層は、成膜性等を考慮すると、その厚みは、1nm〜1000nmとすることが好ましく、10nm〜300nmとすることがより好ましい。
【0050】
半導体層を構成する無機半導体としては、例えば、シリコン、ZnO(酸化亜鉛)、In−Ga−ZnO
4等の酸化物半導体を用いることができる。
半導体層を無機半導体で構成する場合、その形成方法には特に限定はなく、例えば、塗布法、ならびに真空蒸着法および化学蒸着法等の真空成膜法を用いることができる。例えば、シリコンを用いて半導体層を塗布法で形成する場合、シクロペンタシラン等を用いることができる。
【0051】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の情報収集システムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。