(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ツイスト部材のねじの進行方向は、前記第一導入管の取付位置から前記サイクロン本体内に発生する旋回流の旋回方向が上方から見たときに右まわりの場合には右ねじであり、左まわりの場合には左ねじであり、
前記ツイスト部材のねじ放出端の位置は、鉛直上方を0°とし鉛直上方から前記ねじの進行方向を正とした角度をθとするとき、180°≦θ≦360°であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のサイクロン装置。
前記貫通孔から導入される前記第二の流体は、前記第一導入管から導入される前記第一の流体よりも速い速度で導入されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のサイクロン装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のサイクロン式集塵装置においては、粒子径0.1μm〜2.0μm程度の微粒子を流体から効果的に分離することができず、微粒子の捕集効率を上げることが難しいという問題があった。
【0005】
このため、微粒子を捕集する場合には、捕集する粒子径に合わせてフィルター濾布を選択することが可能なバグフィルターが用いられることが多かった。
【0006】
本発明の目的は、高い捕集効率で微粒子を捕集することができるサイクロン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサイクロン装置は、円筒形状の上部胴筒と逆円錐形状の下部胴筒を有するサイクロン本体と、
前記上部胴筒内に設けられている環状部材と、前記上部胴筒の上縁部を覆い中央部に開口部を有する天板と、
前記環状部材の側壁に形成され前記側壁の内壁面の接線方向に向かう貫通孔と、粉体が含まれた第一の流体を前記サイクロン本体の内壁面に沿って導入する第一導入管と、前記貫通孔に対して第二の流体を導入する第二導入管と、前記貫通孔内に配置されたツイスト部材と、前記上部胴筒の鉛直中心軸に沿って前記開口部に挿入され、前記サイクロン本体内に発生した排気流を上昇させて前記サイクロン本体から排出する排気管と、前記サイクロン本体内において前記第一の流体、及び前記貫通孔を介して前記サイクロン本体内に導入された前記第二の流体の旋回運動により分離された粉体を捕集する捕集箱とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のサイクロン装置は、前記ツイスト部材の先端部が前記貫通孔から前記
環状部材内に所定量突出する構造となっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のサイクロン装置は、前記
環状部材が交換可能
であり、前記第二導入管は、前記上部胴筒の内壁面と前記環状部材の外壁面との間に形成された円環状の空間部に対して前記第二の流体を導入する形状となっていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のサイクロン装置は、前記ツイスト部材のねじの進行方向は、前記第一導入管の取付位置から前記サイクロン本体内に発生する旋回流の旋回方向が上方から見たときに右まわりの場合には右ねじであり、左まわりの場合には左ねじであり、前記ツイスト部材のねじ放出端の位置は、鉛直上方を0°とし鉛直上方から前記ねじの進行方向を正とした角度をθとするとき、180°≦θ≦360°であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のサイクロン装置は、前記貫通孔から導入される前記第二の流体が前記第一導入管から導入される前記第一の流体よりも速い速度で導入されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のサイクロン装置は、前記貫通孔が複数形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のサイクロン装置は、前記第一の流体には空気が用いられ、前記第二の流体には圧縮空気が用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のサイクロン装置によれば、高い捕集効率で微粒子を捕集することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るサイクロン装置について説明する。
図1は、サイクロン装置の内部構造を側方から視た図である。サイクロン装置2は、流体中の粉体を遠心力によって分離捕集するための装置であり、
図1に示すように、サイクロン本体4、第一導入管6、第二導入管8、排気管10、及び捕集箱12を備えている。
【0017】
ここで、サイクロン本体4は、円筒形状の上部胴筒部4a、上部胴筒部4aよりも円筒径の小さい中部胴筒部4b、及び逆円錐形状の下部胴筒部4cの三つの胴筒部によって構成されている。
【0018】
上部胴筒部4aは、円筒形状の側壁部16を備え、上部胴筒部4aの上縁部は、中央に開口部22aが形成された円盤状の天板22によって気密的に覆われている。ここで、「気密」とは、外部から気体が流入せず、かつ内部から気体が漏れないように密封された状態を意味する。上部胴筒部4a内には、環状部材18が天板22の近傍に交換可能に配置され、環状部材18は、上部胴筒部4aの一部を構成しており、環状部材18の内壁面は、分級室30の一部を形成し、上部胴筒部4aの内壁面と環状部材18の外壁面との間に円環状の空間部20が形成されている。また、側壁部16と環状部材18は後述するフランジ4g上に配置され、空間部20の下部はフランジ4gによって気密的に閉塞されている。
【0019】
中部胴筒部4bは、上部胴筒部4aの下部に配置され、円筒形状の側壁部4f、及び側壁部4fの上端部から外側に向けて延びる円環状のフランジ4gを備えている。また、下部胴筒部4cは、中部胴筒部4bの下端に気密結合されており、下部胴筒部4cの下端には、捕集箱12によって捕集される粉体を排出するための開口部4jが形成されている。
【0020】
第一導入管6は、側壁部4fの上部に形成された矩形状の内壁開口部6aに接続されており、粉体を含む空気を中部胴筒部4bの内壁面に沿って導入する。第二導入管8は、側壁部16に形成された孔部8aに接続されており、空間部20に対して圧縮空気を導入する。ここで、第二導入管8は、第一導入管6よりも天板22側に位置している。
【0021】
また、排出管10は、上部胴筒部4aの鉛直中心軸Xに沿って開口部22aに挿入され、排出管10の下端は中部胴筒部4b内の所定の位置に位置している。排出管10は、サイクロン本体4内に発生した排気流を上昇させてサイクロン本体4から排出する。
【0022】
図2は、上部胴筒部4aの内部構造を上方から視た図である。
図2に示すように、上部胴筒部4aの側壁部16の内壁面と環状部材18の外壁面との間に形成されている空間部20には、孔部8aから送り込まれた圧縮空気が導入される。
【0023】
環状部材18の側壁には、側壁を貫通する貫通孔18aが形成されている。貫通孔18aは、環状部材18の側壁に4ケ所所定の間隔で形成されている。また、貫通孔18aの貫通方向は、第一導入管6から導入される空気がサイクロン本体4内で流れる向きと同一方向となるように、環状部材18の内壁面に対して略接線方向となるように形成される。
【0024】
それぞれの貫通孔18a内には、ツイスト部材19が配置されている。
図3は、ツイスト部材19の構成及び貫通孔18aとツイスト部材19との位置関係を示す図である。
図3に示すように、ツイスト部材19は、略円柱状であり、ツイスト部材19の周面には、螺旋状の溝19aが形成されている。また、ツイスト部材19の直径Rは、貫通孔18aの直径と略同一であり、ツイスト部材19は、ツイスト部材19の周面が貫通孔18aの内壁面に接するように配置されている。また、ツイスト部材19の先端部19bは、
図3に示すように、貫通孔18aの貫通口から上部胴筒部4a内に所定量L突出している。更に、サイクロン装置2では、第一導入管6の取付位置から内部に発生する旋回流の旋回方向が上方から見たときに右回りになるが、その場合、ツイスト部材19のねじの進行方向は右ねじとする。第二導入管8から空間部20を介して貫通孔18aに導入された圧縮空気は、貫通孔18a内を溝19aの螺旋に沿って進行し、サイクロン本体4内に導入される。
【0025】
図4は、ツイスト部材19のねじ放出端について説明するための図、
図5は、
図4に示すツイスト部材19のA−A矢示図である。なお、
図4及び
図5に示すCは、ツイスト部材19の中心線である。
図4に示すように、ツイスト部材19は、溝19aの終端であるねじ放出端19cを備えている。ツイスト部材19は、
図5に示すように、空間部20から上部胴筒部4a方向を見たとき、鉛直上方を0°とし鉛直上方からねじの進行方向を正とした角度をθとした場合において、ねじ放出端19cの位置が180°≦θ≦360°(この実施の形態ではθ≒270°)となるように配置されている。即ち、貫通孔18a内であって溝19aの螺旋を通過した空気がねじ放出端19c及びねじ放出端19cの近傍から環状部材18の内壁面に沿って前方上方向に放出されるように、ねじ放出端19cは位置決めされている。
【0026】
下部胴筒部4cの下端に形成されている開口部4jは、サイクロン本体4内において粉体を含む空気、及び貫通孔18aを介してサイクロン本体4内に導入された圧縮空気の旋回運動により分離された粉体を排出する。捕集箱12は、開口部4jから排出される粉体を捕集する。
【0027】
次に、サイクロン装置2を用いて粉体を捕集する処理について、
図6に示すサイクロンシステムの概略図を参照して説明する。まず、サイクロンシステムの運転が開始された場合、ブロアー52、コンプレッサ53、及びコンプレッサ54がそれぞれ駆動される。ブロアー52が駆動されると、排気管10を介してサイクロン本体4内部の気体が吸引される。この吸引により、サイクロン本体4の内壁面に沿って旋回する旋回流が発生する。
【0028】
また、コンプレッサ53が駆動されると、分散器58に空気が送り込まれる。これにより、分散器58内の内壁面に沿って旋回流が発生し、分散器58に導入される原料粉体を分散させることが可能となる。また、コンプレッサ54が駆動されると、第二導入管8から空間部20に第二の流体である圧縮空気が導入される。なお、コンプレッサ54と第二導入管8との間には、フローメーター55が設けられている。フローメーター55は、第二導入管8に導入される第二の流体の流量を測定する。
【0029】
第二導入管8から空間部20に第二の流体が導入されると、空間部20に導入された第二の流体は、貫通孔18aに配置されているツイスト部材19の螺旋状の溝19aを通過し、環状部材18の内壁面に沿って前方上方向にサイクロン本体4内に導入される。第二の流体は、螺旋状の溝19aを通過することにより、螺旋状に回転しながらサイクロン本体4内に導入される。これにより、サイクロン本体4内を旋回する旋回流の旋回強度が増大される。なお、サイクロン本体4内に導入される第二の流体の速度は、第一導入管6から導入される原料粉体を空気中に含んだ第一の流体よりも速い速度である。これにより、サイクロン本体4内を旋回する旋回流の旋回速度が加速される。
【0030】
次に、フィーダ56によって原料粉体が分散器58に供給される。分散器58において分散された原料粉体は、分散器58から排出され、原料粉体を空気中に含んだ第一の流体が第一導入管6に導入される。第一導入管6に導入された第一の流体は、第一導入管6からサイクロン本体4内に、サイクロン本体4の内壁面に沿って導入される。
【0031】
次に、空気とともにサイクロン本体4内に導入された原料粉体は、旋回流によりサイクロン本体4内を旋回しながら下降し、旋回流内の原料粉体が旋回運動の遠心力によって旋回流から分離される。なお、旋回流の旋回強度及び旋回速度は、ツイスト部材19を介して導入された第二の流体によって増大しているため、粒径0.1μm〜2.0μm程度の微粒子が旋回流から効果的に分離される。
【0032】
旋回流から分離された粉体は捕集箱12によって捕集され、旋回流から分離されなかった微粒子は、排気流と共にサイクロン本体4内から上昇して排気管10から排出された後、バグフィルタ60によって捕集される。なお、バグフィルタ60とブロアー52との間には、オリフィス流量計61が設けられている。オリフィス流量計61は、排気管10を通過する排気流の総流量を測定する。
【0033】
次に、
図6に示すサイクロン装置2を用いて行なった実験について説明する。実験は、
図7に示すように、8種類の環状部材18(環状部材I〜VIII)を用意し、ねじ放出端19cの位置(角度)θ(°)、ツイスト部材19の先端部19bの突出量L(mm)及び貫通孔18aの数nの少なくとも1つを変化させて行なった。環状部材Iはθ=0(360)°,L=5mm,n=2、環状部材IIはθ=90°,L=5mm,n=2、環状部材IIIはθ=180°,L=5mm,n=2、環状部材IVはθ=270°,L=5mm,n=2、環状部材Vはθ=270°,L=0mm,n=2、環状部材VIはθ=270°,L=5mm,n=4である。また、環状部材VIIの貫通孔18aの数は2、環状部材VIIIの貫通孔18aの数は4であり、環状部材VII及びVIIIの貫通孔18aには、ツイスト部材19が配置されていない。なお、環状部材I〜V及びVIIにおいては、
図8に示すように、2つの貫通孔18aが排気管10に対して回転対称となる位置に配置されている環状部材18を用いる。また、環状部材I〜VIIIの貫通孔18aの孔径は、すべて5mmである。また、実験には、原料粉体としてJIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」によるJIS試験用粉体1 11種 関東ローム(焼成品、中位径2.36μm)(以下「関東ロームJIS11」と呼ぶ)を用いた。
【0034】
図9は、環状部材I〜IVを用いて実験を行った場合におけるサイクロン装置2の部分分級効率Δηを示すグラフである。即ち、ツイスト部材19のねじ放出端19cの角度θを変化させた場合における捕集箱12に捕集される粉体の割合(部分分級効率)Δηを示すグラフである。ここで、
図9は、排気管10を通過する排気流の総流量をQt=500L/min、第二導入管8を通過する圧縮空気の流量をq=75L/minとした場合の実験結果を示している。
【0035】
図9の実験結果によれば、環状部材I,III,IVを用いた場合の50%分離径D
P50=0.91μm,0.96μm,0.88μmは、環状部材IIを用いた場合の50%分離径D
P50=1.01μmより小さい。特に、環状部材IV(θ=270°)を用いた場合の50%分離径D
P50が他の環状部材I〜IIIを用いた場合の50%分級径D
P50と比較して最も小さい。50%分離径は、(捕集箱12によって捕集された粉体の重量)/(サイクロン本体4内に導入された第一の流体に含まれる粉体の重量)×100=50%となる粒子径のことである。即ち、180°≦θ≦360°の場合、特にθ=270°の場合においては、θ=90°の場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。
【0036】
図10は、環状部材IV及びVIIを用いて実験を行った場合におけるサイクロン装置2の部分分級効率Δηを示すグラフである。即ち、ツイスト部材19を備えている場合及び備えていない場合における捕集箱12に捕集される粉体の割合(部分分級効率)Δηを示すグラフである。なお、
図10は、Qt=500L/min、q=75L/minとした場合の実験結果を示している。
【0037】
図10の実験結果によれば、環状部材IVを用いた場合の50%分離径D
P50=0.88μmは、環状部材VIIを用いた場合の50%分離径D
P50=0.96μmより小さい。即ち、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。また、環状部材IVを用いた場合の分級精度指数κ=1.23は、環状部材VIIを用いた場合の分級精度指数κ=1.33より1に近接している。分級精度指数κは、部分分級効率Δη=0.75の粒子径をΔη=0.25の粒子径で割った値であり、分級精度指数κが1に近接しているほど分級精度が高い。したがって、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より分級精度が高い。
【0038】
図11は、環状部材IV,V及びVIIを用いて実験を行った場合におけるサイクロン装置2の部分分級効率Δηを示すグラフである。即ち、ツイスト部材19を備えツイスト部材19が貫通孔18aから突出している場合、ツイスト部材19を備えツイスト部材19が貫通孔18aから突出していない場合、及びツイスト部材19を備えていない場合における捕集箱12に捕集される粉体の割合(部分分級効率)Δηを示すグラフである。なお、
図11は、Qt=500L/min、q=75L/minとした場合の実験結果を示している。
【0039】
図11の実験結果によれば、環状部材IVを用いた場合の分級精度指数κ=1.23は、環状部材Vを用いた場合の分級精度指数κ=1.28及びVIIを用いた場合の分級精度指数κ=1.33より1に近接している。即ち、ツイスト部材19を備えツイスト部材19が貫通孔18aから突出している場合においては、ツイスト部材19を備えツイスト部材19が貫通孔18aから突出していない場合より分級精度が高い。
【0040】
図12は、環状部材VIII及びVIを用いて実験を行った場合におけるサイクロン装置2の部分分級効率Δηを示すグラフである。即ち、4つの貫通孔18a及び4つのツイスト部材19を備えた場合、及び4つの貫通孔18aを備えツイスト部材19を備えない場合であって、Qt=500L/min、q=150L/minとした場合における捕集箱12に捕集される粉体の割合(部分分級効率)Δηを示すグラフである。
【0041】
図12の実験結果によれば、環状部材VIを用いた場合の50%分離径D
P50=0.82μmは、環状部材VIIIを用いた場合の50%分離径D
P50=0.90μmより小さい。即ち、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。また、環状部材VIを用いた場合の50%分離径D
P50は、環状部材IVを用いた場合のD
P50より小さい。即ち、4つの貫通孔18a及び4つのツイスト部材19を備えた場合においては、2つの貫通孔18a及び2つのツイスト部材19を備えた場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。
【0042】
また、環状部材VIを用いた場合の分級精度指数κ=1.16は、環状部材VIIIを用いた場合の分級精度指数κ=1.28より1に近接している。即ち、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より分級精度が高い。また、環状部材VIを用いた場合の分級精度指数κは、環状部材IVを用いた場合のκより1に近接している。即ち、4つの貫通孔18a及び4つのツイスト部材19を備えた場合においては、2つの貫通孔18a及び2つのツイスト部材19を備えた場合より分級精度が高い。
【0043】
図13は、環状部材VIII及びVIを用いて実験を行った場合におけるサイクロン装置2の部分分級効率Δηを示すグラフである。即ち、4つの貫通孔18a及び4つのツイスト部材19を備えた場合、及び4つの貫通孔18aを備えツイスト部材19を備えない場合であって、Qt=800L/min、q=150L/minとした場合における捕集箱12に捕集される粉体の割合(部分分級効率)Δηを示すグラフである。
【0044】
図13の実験結果によれば、環状部材VIを用いた場合の50%分離径D
P50=0.75μmは、環状部材VIIIを用いた場合の50%分離径D
P50=0.85μmより小さい。即ち、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。また、環状部材VIを用いた場合であって、Qt=800L/minとした場合の50%分離径D
P50は、Qt=500L/minとした場合のD
P50より小さい。即ち、総流量Qtが高い場合においては、総流量Qtが低い場合より小さい径の粒子を効率よく分級することができる。また、環状部材VIを用いた場合の分級精度指数κ=1.15は、環状部材VIIIを用いた場合の分級精度指数κ=1.24より1に近接している。即ち、ツイスト部材19を備えている場合においては、ツイスト部材19を備えていない場合より分級精度が高く、総流量Qtが高くなった場合であっても1に近接した値を維持することができる。
【0045】
この実施の形態に係るサイクロン装置2によれば、環状部材18の貫通孔18a内にツイスト部材19を備え、ツイスト部材19のねじ放出端19cの角度θを180°≦θ≦360°とし、ツイスト部材19の先端部19bを貫通孔18aから所定量突出させている。したがって、第二の流体である圧縮空気を環状部材18の内壁面に沿って前方上方向に放出させることができ、サイクロン本体4内での空気の旋回流を強くすることができるため、高い捕集効率で微粒子を捕集することができる。
【0046】
なお、上述の実施の形態において、環状部材18に形成される貫通孔18aの数は必ずしも2ヶ所及び4ケ所に限定されない。例えば、貫通孔18aが4ケ所に形成された環状部材18に代えて、貫通孔18aが1ケ所、3ヶ所または5ヶ所以上形成された環状部材18を上部胴筒部4aに配置してもよく、必要に応じて必要な孔数の貫通孔を配置できる。
【0047】
また、上述の実施の形態に係るサイクロン装置2においては、環状部材18が円環状であるが、環状部材18が形成する分級室30の壁面が側壁部4fと略なめらかに接続されているのであれば円環以外の形状であってもよい。また、環状部材18が機密的に構成されているのであれば環状部材18が例えば直径方向又は円周方向に分割されていてもよい。即ち、環状部材18が2つの半環状部材を組み合わせたもの、又は2つの環状部材を組み合わせたものであってもよい。
【0048】
また、上述の実施の形態に係るサイクロン装置2においては、貫通孔18a内にねじ形状のツイスト部材19を配置しているが、ツイスト部材19に代えて貫通孔18aに羽根形状の部材を配置してもよい。
【0049】
また、上述の実施の形態において、第一導入管6と第二導入管8は、必ずしも排気管10に対して略回転対称になる位置に配置されなくてもよい。
【0050】
また、勝手ちがい等で旋回流の回転方向が上方から見たときに左回りになる場合には、ツイスト部材19のねじの進行方向は、それにあわせ左ねじとすることはいうまでもない。