(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0019] 開示した実施形態の特徴及び利点は、図面と併せて以下に記載する詳細な説明から、より明らかになるであろう。図面では、同様の参照符号は全体を通じて対応する要素を特定する。図面では、同様の参照番号は一般的に同一の、機能的に類似の、かつ/又は構造的に類似の要素を示す。特に断りのない限り、本開示を通じて提供される図面は、縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【0012】
[0020] しかしながら、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有益である。
【0013】
[0021]
図1A及び
図1Bは、それぞれ、本開示の実施形態を実施することができる、リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’の概略図である。リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’は、それぞれ、以下のものを含む、即ち、放射ビームB(例えば、DUV又はEUV放射)を調節するように構成されたイルミネータ(照明システム)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク、レチクル、又はダイナミックパターニングデバイス)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジスト塗布ウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された、基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、を含む。リソグラフィ装置100及び100’は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを、基板Wの(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された、投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。実施形態によっては、投影システムPSは反射屈折型である。
【0014】
[0022] 照明システムILは、放射ビームBの方向決め、成形、又は制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電気型などの様々な種類の光学コンポーネント、又は他の種類の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせを含むことがある。
【0015】
[0023] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置100及び100’の設計、並びにパターニングデバイスMAが真空環境に保持されているか否かなどの他の条件に依存する態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電気式、又は他のクランプ技術を使用して、パターニングデバイスMAを保持することがある。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定であることも又は可動であることもあるフレーム又はテーブルであり得る。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAが、例えば投影システムPSに対して所望の位置にあることを確実にすることができる。
【0016】
[0024] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するように、放射ビームBの断面にパターンを付与するために使用することができる任意のデバイスを指すものとして、広く解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路などの、ターゲット部分Cに生成されるデバイスの特定の機能層に対応することができる。
【0017】
[0025] パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過型であっても、又は(
図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例としては、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィではよく知られており、バイナリ型、レベンソン型(交互位相シフト型)、及びハーフトーン型(減衰位相シフト型)などのマスクタイプ、並びに様々なハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型のミラーのマトリックス配置が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームBを異なる方向に反射するように、個々に傾斜していることがある。傾斜したミラーは、ミラーのマトリックスによって反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0018】
[0026] 「投影システム」PSという用語は、使用される露光放射に適した、又は液浸液の使用若しくは真空の使用などの他の要因に適した、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、及び静電気型の光学系、若しくはそれらの任意の組み合わせを含む、任意の種類の投影システムを包含することができる。真空環境は、EUV又は電子ビーム放射用に使用することができる、というのも、他のガスは、放射線又は電子をあまりに多く吸収することがあるからである。従って、真空壁及び真空ポンプの助けを借りて、ビームパス全体に真空環境を提供することができる。
【0019】
[0027] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ以上のテーブル(又はステージ若しくはサポート)、例えば、2つ以上の基板テーブル(又はパターニングデバイステーブル)、又は、投影システムPSの特性を測定するように構成され、かつ基板Wを保持するようには構成されていない1つ又は複数のセンサ若しくは測定テーブルと1つ又は複数の基板テーブルとの組み合わせ、を有する種類のものであり得る。そのような「マルチステージ」の機械では、追加の基板テーブルWTを並行して使用することができ、又は、1つ又は複数の他の基板テーブルWTを露光用に使用している間に、1つ又は複数のテーブルで準備工程を実行することができる。
【0020】
[0028]
図1A及び
図1Bを参照すると、イルミネータILが放射源SOから放射ビームBを受け取る。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SO及びリソグラフィ装置100、100’は、別個の要素であることがある。そのような場合、放射源SOはリソグラフィ装置100又は100’の一部を形成するとはみなされず、放射ビームBは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビーム拡大器を含む、ビームデリバリシステムBD(
図1B)の助けを借りて、放射源SOからイルミネータILへと通過する。他の場合では、例えば放射源SOが水銀ランプである場合には、放射源SOは、リソグラフィ装置100、100’の一体化された部分とすることができる。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと纏めて、放射システムと呼ばれることがある。
【0021】
[0029] イルミネータILは、放射ビームBの角度強度分布を調節するように構成されたアジャスタAD(
図1B)を含むことができる。一般的に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側の半径範囲(一般的に、それぞれ「σ-outer」及び「σ-inner」と呼ばれる)を調節することができる。更に、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの様々な他の構成要素(
図1B)を含むことができる。イルミネータILを使用して、放射ビームBの断面において所望の均一性及び強度分布になるように放射ビームBを調節することができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置100、100’の一部を形成するとみなされてもよいし、又はみなされなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置100、100’の一体部分であることがあり、又は、リソグラフィ装置100、100’とは別個の要素であることがある。後者の場合、リソグラフィ装置100、100’は、イルミネータILがその上にマウントされるように構成されることがある。任意選択的に、イルミネータILは着脱可能であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造者又は別の供給業者によって)別個に提供されてもよい。
【0022】
[0030]
図1Aを参照すると、放射ビームBが、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付けされる。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは放射ビームBを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを、(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対して正確にパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0023】
[0031]
図1Bを参照すると、放射ビームBが、サポート構造MT(例えば、マスクテーブル)上に保持されたパターニングデバイスMA(例えば、マスク)に入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付けされる。マスクを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に集束させる。投影システムPSは、照明システムの瞳IPUに結合した瞳PPUを有する。放射の部分は、照明システムの瞳IPUでの強度分布から放射され、パターニングデバイスパターンでの回折による影響を受けることなくパターニングデバイスパターンを通り抜け、照明システムの瞳IPUにおける強度分布の像を生成する。
【0024】
[0032] 第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを、(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサ(
図1Bには図示せず)を使用して、(例えば、マスクライブラリの機械検索の後で、又は走査中に)放射ビームBの経路に対して正確にパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを位置決めすることができる。
【0025】
[0033] 一般的に、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成する、ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現することができる。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTはショートストロークアクチュエータのみに接続されるか、又は固定されることがある。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。基板アライメントマークP1、P2は(図示するように)専用のターゲット部分Cを占めるが、これらのマークはターゲット部分同士の間のスペースに配置することもできる(スクライブレーンアライメントマークとして知られる)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に2つ以上のダイが設けられる場合には、マスクアライメントマークM1、M2はダイの間に配置されることがある。
【0026】
[0034] サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及びパターニングデバイスMAは真空チャンバ内にあることがあり、真空チャンバでは、真空内ロボットIVRを使用して、マスクなどのパターニングデバイスMAを真空チャンバの内外へ移動させることができる。或いは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及びパターニングデバイスMAが真空チャンバの外側にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、真空外ロボットを様々な運搬動作用に使用することができる。真空内及び真空外ロボットの両方とも、移送ステーションの固定されたキネマティックマウントへ任意のペイロード(例えば、マスク)をスムーズに移送するために、較正する必要がある。
【0027】
[0035] リソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードのうちの少なくとも1つで使用することができる。
【0028】
[0036] 1.ステップモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちながら、放射ビームBに付与された全体パターンを、ターゲット部分Cに一度に投影する(即ち、単一静的露光)。次いで、基板テーブルWTは、異なるターゲット部分Cを露光することができるように、X及び/又はY方向にシフトされる。
【0029】
[0037] 2.スキャンモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期して走査しながら、放射ビームBに付与されたパターンを、ターゲット部分Cに投影する(即ち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)倍率及び像反転特性によって決定されることがある。
【0030】
[0038] 3.別のモードでは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを、プログラマブルパターニングデバイスを保持させながら実質的に静止状態に保ち、また、基板テーブルWTを移動させるか又は走査しながら、放射ビームBに付与されたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス放射源SOを使用することができ、また、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの各移動の後で、又は走査中の連続的な放射パルスの合間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、本明細書で言及する種類のプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0031】
[0039] 説明された使用モードの組み合わせ及び/若しくは変形例、又は全く異なる使用モードを使用することもできる。
【0032】
[0040] 更なる実施形態では、リソグラフィ装置100は、EUVリソグラフィ用のEUV放射のビームを生成するように構成された、極端紫外線(EUV)放射源を含む。一般的に、EUV放射源は放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV放射源のEUV放射ビームを調節するように構成される。
【0033】
[0041] パターニング装置は、パターニングデバイスの表面上にガス流を供給して、何らかの態様でパターニングデバイスの温度を変更又は制御して、パターニングデバイスの熱的変動によって誘起されるエラーを低減することができる。そのようなパターニング装置は、ガス流を制御して熱的変動の影響を制御し低減することができる。しかしながら、そのような装置は、パターニングデバイスの熱的変動によって誘起されるエラーを適切に低減しないことがある。特に、パターニングデバイスの熱的変動は不均一であることがある。これは、パターニングデバイスの温度勾配をもたらす。温度勾配は小さく思われることがあるが、誘起されるオーバーレイエラーはかなりのものであり得る。従来のシステムは、パターニングデバイスの温度を低下させることに的を絞っていることがあるが、温度勾配を適切に低減するように温度を制御していないことがある。従って、パターニングデバイスの表面上の熱的変動を考慮にいれるために、現在利用可能である制御よりも、より特定の制御が必要であり得る。一実施形態では、パターニングデバイスの温度を制御してパターニングデバイスの温度の均一性を改善するように構成された、パターニング装置及び方法が提供される。従って、一実施形態では、パターニングデバイス全体に渡ってより均一な温度を提供し、かつパターニングデバイス全体に渡って温度を低減することができる、パターニング装置及び方法が提供される。一実施形態では、以下で説明するようなガスアウトレットを有する調節システムを備えるパターニング装置が提供される。
【0034】
[0042]
図2は、パターニングデバイス11を支持するように構成されたパターニングデバイスサポート構造13を備える、パターニング装置10の概略側面図である。パターニングデバイスサポート構造13は、
図1A及び
図1Bに関して説明したようなサポート構造MT(例えば、マスクテーブル)と同一であることがあり、これ以降では、サポート構造13と呼ばれる。サポート構造13は、パターニングデバイス11を支持するように構成される。パターニングデバイス11は、
図1A及び
図1Bに関連して説明したようなパターニングデバイスMA(例えば、マスク、レチクル、又はダイナミックパターニングデバイス等)と同一であることがある。パターニングデバイス11を使用して放射ビーム15にパターンを付与することができるように、放射ビーム15をパターニングデバイス11に向けることがある。放射ビーム15は、
図1A又は
図1Bに関連して説明したような放射ビームB(例えば、DUV又はEUV放射)と同一であることがある。一般的に、放射ビーム15は、パターニングデバイス11から反射されるか、又はパターニングデバイス11を通過する。従って、放射ビーム15は一般的に、パターニングデバイス11の表面上に瞬間的に存在する。放射ビーム15及び/又はパターニングデバイス11の温度変化は、パターニングデバイス11の周囲のガスを加熱することがある。従って、温度変化がパターニングデバイス11に持ち込まれることがある。
【0035】
[0043] パターニングデバイス11の表面は平面12であることがあり、平面12は放射ビーム15によって加熱されることがある。平面12は、実質的に平坦であることがある。しかしながら、平面12は平坦でないこともあり、平面12は基準として使用される平面であることがある。例えば、平面12は、パターニングデバイス11の表面の最上部における平面、例えば、パターニングデバイス11の最高地点が位置する平面であることがある。
【0036】
[0044] サポート構造13は、機械式、真空式、静電式、又は他のクランプ技術を使用して、パターニングデバイス11を所定の位置に保持し、かつ/又は任意選択的に、パターニングデバイス11を、サポート構造13上にパターニングデバイス11を直接的に支持するサポートテーブル(
図2には図示せず)に留めることがある。サポート構造13は、パターニングデバイス11が、例えば、パターニング装置10の外部の他の構成要素に対して確実に特定の位置に存在するように構成されることがある。例えば、サポート構造13は、上述したショート及び/又はロングストロークモジュールなどの可動の構成要素を含むことがあり、この可動の構成要素は、(例えば、
図3に示すX軸及び/又はY軸に沿って)パターニングデバイス11を位置決めするように正確に構成される。サポート構造13は、パターニングデバイス11を支持するための任意の適切な形状とすることができ、図中に示すように、パターニングデバイス11の下に開口部を有することがあり、又は、パターニングデバイス11の下は固体であることがある(図示せず)。
【0037】
[0045] パターニング装置10は、パターニングデバイス調節システムを更に備え、このシステムは、これ以降は調節システムと呼ばれる。調節システムは、例えば、
図2の側面図から示されるように、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を備える。第1のガスアウトレット20は、使用時に、パターニングデバイス11の平面12上に第1のガス流25を供給するように構成される。第2のガスアウトレット30は、使用時に、パターニングデバイス11の平面12上に第2のガス流35を供給するように構成される。換言すると、第1のガス流25及び第2のガス流35の両方とも、パターニングデバイス11の同じ表面上に供給される。第1のガスアウトレット20は、例えばパターニングデバイス11の幅に渡って、複数のガスアウトレットを含むことがある。即ち、
図3のパターニングデバイス11の側面に渡って示された第1のガスアウトレット20は、複数の、個々のガスアウトレットを含むことがある。同様に、第2のガスアウトレット30は、例えばパターニングデバイス11の幅に渡って、複数のガスアウトレットを含むことがある。
【0038】
[0046] 上述したように、放射ビーム15はパターニングデバイス11に向けられるので、放射ビーム15が入射するパターニングデバイス11の熱的変動をもたらす。既知のシステムでは、一般的にパターニングデバイス11の温度を下げるために、ひいては、この熱的変動の結果として生じるエラーを低減又は回避するために、ガス流がパターニングデバイス11の平面12上に供給されることがある。しかしながら、多くの場合、この温度制御は、これらのエラーを許容可能な程度まで低減するのには不十分である。これは、ガスが供給される位置の下流では、パターニングデバイスの表面上の流れの冷却効果が低下することが一因である。これについては、様々な理由があり得るが、パターニングデバイス11の平面12上での境界層の発生に起因することがあり、また、流れの加熱にも起因することがある。
【0039】
[0047] 一般的に、乱流を使用してパターニングデバイス11の表面を冷却することがより効率的である、というのも、流れの乱流混合は、ガス流中のより高温のガスをより低温のガスと混合し、このより低温のガスは、パターニングデバイス11の表面から熱を除去するのに役立つからである。しかしながら、ガスがパターニングデバイス11の平面12に沿って流れるにつれて、表面に沿って境界層が形成され、境界層は層状になっていることがある。層状の境界層は、パターニングデバイス11の平面12から熱を伝搬することにおいては、乱流ほどには効果的ではない。従って、調節システムによって放出されるガスは、しばしば、流れの開始地点、即ちアウトレットからの出口の近傍に向かうほどより効率的である、というのも、境界層がまだ形成されておらず、従って、より良好な混合が起こり得るからである。境界層が下流で発達するにつれて、パターニングデバイス11の平面12に垂直な方向におけるガスの混合は低減する。従って、パターニングデバイス11の平面12上での境界層の形成は、調節システムの効率を低減する。
【0040】
[0048] 更に、第1のガス流25及び第2のガス流35のガスは、パターニングデバイス11の平面12上を通過するにつれて、即ち下流に進むにつれて、加熱される。ガスは、パターニングデバイス11によって、又は放射ビーム15からの放射によって、加熱されることがある。ガスは、すぐに加熱されることがあり、パターニングデバイス11の平面12と周囲のガス(即ち、第1のガス流25のガス、及び第2のガス流35のガス)との間の温度差が低減されることがある。温度差は、ガス流が下流に進むにつれて、更に低減されることがある。温度差が低減されると、冷却の効率が低下することにつながる。
【0041】
[0049] 一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、平面12に垂直な異なる距離に配置される。
図2に示すように、第2のガスアウトレット30は、パターニングデバイス11の平面12から第1のガスアウトレット20よりも遠い距離に配置される。
図2では、パターニングデバイス11の平面12からの距離は、Z方向の矢印によって示されている。
【0042】
[0050] パターニング装置10は、第1のガスアウトレット20を出てゆくガス及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの少なくとも1つのパラメータを別個に制御するように構成された制御システム14を更に備える。換言すると、第1のガスアウトレット20を出てゆくガス及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの少なくとも1つのパラメータは、個別に制御される。従って、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を独立して制御する。制御システム14は、第1のガスアウトレット20を出てゆくガスの第1の運動量を制御するように構成され、かつ、第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの第2の運動量を独立して制御するように構成される。このようにして、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30のそれぞれから、互いに異なる又は同一の運動量を有するガスを供給することができる。例えば、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30に供給されるガスの量及び/又はガスの速度を変更して、第1の運動量及び/又は第2の運動量をそれぞれ変更することができる。制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの更なるパラメータ、例えば、温度及び/又はガス湿度を制御するように構成されることがある。
【0043】
[0051] パターニングデバイス11の平面12に垂直な異なる距離に配置された第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を備える調節システムを設けることにより、パターニングデバイス11の平面12上でのガスの流れをより有利に制御することが可能になる。複数のアウトレット(即ち、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30)を有することにより、パターニングデバイス11の表面上のガス流の下流特性を変更するために、それらのガスアウトレットを別個に制御することが可能になる。従って、第1の高さに第1のガスアウトレット20を設け、第2の高さに(即ち、平面12に垂直な異なる距離に)第2のガスアウトレット30を設けることは有益である、というのも、これにより上述した境界層の発達を低減することができ、冷却流の加熱を低減するのに役立つことがあるからである。
【0044】
[0052] 個別に制御することができる第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を設けることにより、第1のガスアウトレット20を出てゆく第1のガス流25及び第2のガスアウトレット30を出てゆく第2のガス流35を、独立して、任意選択的に異なる値で、制御することが可能になる。第1のガス流25及び第2のガス流35は、独立して最適化されることがある。第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の各々を出てゆくガスの運動量を制御することにより、パターニング装置10の熱的変動を考慮に入れてパターニングデバイス11上の温度変化をより正確に制御して、熱的変動を低減することが可能になる。
【0045】
[0053] 第1、第2等に関する用語は交換可能であり、どのガスアウトレットが言及されているかを単に識別するために使用されることを、理解されたい。
【0046】
[0054] 第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、実質的に除湿されたガスであることがある。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、非常にクリーンなガス若しくは空気を含むことがあるか、又は、非常にクリーンなガス若しくは空気から本質的になることがある。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、非常にクリーンな乾燥空気(即ち、時にはXCDAと呼ばれることもある濾過され除湿された空気)を含むか、又は非常にクリーンな乾燥空気から本質的になることがある。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、窒素及び/又は水素を含むことがある。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、これらのガスのうちの少なくとも1種を含むか、又はその組み合わせであり得る。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、パターニングデバイス11がサポート構造13に装填されるか又はサポート構造13から取り外される間は、一時的に又は選択的に停止して、装填プロセスを邪魔しないようにすることがある。実施形態によっては、第1のガス流25及び/又は第2のガス流35は、パターニングデバイス11の冷却が必要ではない場合には、一時的にかつ選択的に停止することができる。
【0047】
[0055]
図2に示すように、第1のガスアウトレット20は、パターニングデバイス11の平面12を横切って進む第1のガス流25を生成するように配置され構成される。第2のガスアウトレット30は、やはりパターニングデバイス11の平面12を横切って進む第2のガス流35を生成するように配置され構成される。換言すると、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、パターニングデバイス11の同じ表面にガスを供給する。
図3は、
図2のパターニング装置10を平面図で示す。第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、
図3ではわずかに位置がずれて示されているが、これらのアウトレットは同じサイズであり位置合わせされていることがある(即ち、実質上一方が他方の上部にある)か、又は、異なるアウトレットは位置合わせされておらず、かつ/若しくはサイズが異なっていることがある。
【0048】
[0056] 調節システムが複数の第1のガスアウトレット20を備える場合、この複数の第1のガスアウトレット20は、独立して又は纏めて制御されることがある。個々の第1のガスアウトレット20の各々を別個に制御する必要はなく、例えば、第1のガスアウトレット20は、複数の接続された開口部を含むことがある。調節システムが複数の第2のガスアウトレット30を備える場合、この複数の第2のガスアウトレット30は、独立して又は纏めて制御されることがある。個々の第2のガスアウトレット30の各々を別個に制御する必要はなく、例えば、第2のガスアウトレット30は、複数の接続された開口部を含むことがある。
【0049】
[0057] 一実施形態では、制御システム14は、第1のガス流25を、第2のガス流35とは異なる運動量で制御するように構成される。当業者であれば、運動量の制御は、ガス流量の制御と交換可能であり得ることを理解するであろう。ガス流量と運動量とは流れの異なる特徴であるが、これらは、上述したように、パターニングデバイス11上に流れを供給するために制御システム14によって測定し制御することができる特性として、パターニング装置10によって交換可能に使用することができる。
【0050】
[0058] 上述したように、パターニングデバイス11に渡る熱的変動は均一ではないことがある。不均一性は、第1のガス流25及び第2のガス流35の下流で生じることがある。例えば、
図2及び
図3に示すように、X方向に沿ってパターニングデバイス11の平面12の温度の変動が起こり得る。制御システム14を使用して第1のガスアウトレット20を出てゆくガスの第1の運動量と第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの第2の運動量とを独立して制御することにより、調節システムがこの不均一性を打ち破ることが可能になる。更に、第2のガス流35とは異なる運動量の第1のガス流25を有することにより、この不均一性を低減するための更なる制御及び変動がもたらされる。
【0051】
[0059]
図2及び
図3に示すように、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、平面図においてパターニングデバイス11の同じ側に位置することがある。換言すると、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、使用時のパターニングデバイス11の同じ縁部に沿って位置することがある。第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30からのガスは、パターニングデバイス11の平面12上に供給されることができ、平面図として見たときに類似の方向から供給されることができる。第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を(平面図で)パターニングデバイス11の同じ側に沿って有することには利点がある、というのも、アウトレットを設け、かつアウトレットにガスを供給するために必要とされる構成要素は、(平面図で)パターニングデバイス11の他方の側に設けられる必要はなく、一方の側にのみ配置されることが必要だからである。
【0052】
[0060] 第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の位置はパターニングデバイス11に関して説明されるが、これは使用中でのことであり、この装置はパターニングデバイス11が存在していようといまいと、説明した態様で構成されることができることを理解されたい。従って、パターニング装置10がパターニングデバイス11を支持するために使用される場合、例えば、使用中は、パターニング装置10の構成は、明細書の全体を通じて説明される通りである。
【0053】
[0061] 一実施形態では、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を出てゆくガスを制御して同時に発生させる、即ち、第1のガス流25及び第2のガス流35が同時に発生するようにすることができる。換言すると、第1のガスアウトレット20を出てゆく第1のガス流25は、第2のガス流35が第2のガスアウトレット30によって供給されるのと同時に供給されることができる。
【0054】
[0062] 第1のガスアウトレット20と第2のガスアウトレット30との両方を同時に使用し、かつ、第1のガスアウトレット20を第2のガスアウトレット30とは異なる平面12に対する垂直距離に有することは、有利であり得る。上述したように、第1のアウトレット20及び第2のアウトレット30からのガスの運動量は制御することができる。従って、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30から同時にガスを供給することにより、更なる調節能力がもたらされる、というのも、第1のガス流25及び第2のガス流35は、互いに相互作用し得るからである。例えば、第1の流れ25の第1の運動量及び角度並びに第2の流れ35の第2の運動量及び角度は、第2のガス流35を使用してジェットが生成され、次いで第1のガス流25がそのジェットに同伴されるように、選択することができる。そのようなジェット流が生成されると、ジェット流と周囲の流体との間の速度差に起因して、せん断層が発生する。せん断層は非常に不安定であり、下流でのジェット速度の低下をもたらす。しかしながら、せん断層は、同時に第1のガスアウトレット25からガスを供給することにより低減される、というのも、第1のガス流25からのガスはジェットに同伴され、ジェット流と第1のガス流25との間の速度差は、ジェットと他の周囲の流体との間の差よりも小さくなるからである。従って、ジェット流はより大きな運動量を有して更に下流に到達することができる。更に、ガスは、パターニング装置10を囲むガスではなく、第1のガス流25に同伴され、従って、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30をこのように使用することは、パターニングデバイス11上での調節システムによって供給されるガスの外部のガスの混合がより少なくなることを意味する。これは更なる制御をもたらす、というのも、パターニングデバイス11の温度のより効率的な制御を提供することができる、パターニングデバイス11の平面12上で使用される第1のガス流25及び第2のガス流35以外のガスを、低減又は防止するからである。
【0055】
[0063] 或いは、調節システムは、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30のうちの一方又は他方を非同期で使用するように構成されることがある。換言すると、制御システム14は、ガスが第1のガスアウトレット20又は第2のガスアウトレット30から互いに異なる時間に供給されるように、即ち、第1のガス流25又は第2のガス流35のみが一度にパターニングデバイス11上を通過するように、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を出てゆくガスを制御することがある。このレベルの制御を提供することにより、上述したように不均一性を低減することができる、というのも、パターニング装置10は、パターニングデバイス11上のガス流を、必要に応じて第1のガスアウトレット20から、又は第2のガスアウトレット30から、又は両方から出すように変更することができるからである。
【0056】
[0064] 第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の形状は、互いに同じであることがある。或いは、第1のガスアウトレット20の形状は、第2のガスアウトレット30とは異なっていることがある。第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の各々の形状は、そのアウトレットからの所望される流れのタイプに応じて選択することができる。これは、z方向におけるアウトレットの位置、即ち平面12からの垂直距離に依存することがある。第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30の開口部の形状は、個別に最適化することができる。更に、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30は、可変成形開口部を有することがある。これらのアウトレットの各々の断面積(即ち、開口部)は、それぞれの開口部を出てゆくガス流の特性を変更するように可変であることがある。制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30の断面積を制御して、第1のガス流25の運動量及び/又は第2のガス流35の運動量をそれぞれ変更するように構成されることがある。
【0057】
[0065] 第1のガス流25及び第2のガス流35はそれぞれ、図では個々の矢印として示されているが、第1のガス流25及び第2のガス流35の幅は、各ガスアウトレット、例えば、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30のそれぞれによって決定される。このことは、任意の追加のガスアウトレットから供給される任意の追加のガス流にも当てはまる。第1のガス流25及び/又は第2のガス流35がパターニングデバイス11を横切って進む際のガス流の幅は、ガス流が第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30をそれぞれ出てゆく際と実質的に同じ幅であることがある。
【0058】
[0066] 第1のガス流25は、第1のガスアウトレット20と実質的に同じ幅を有することがある。例えば、
図3に示したようなパターニング装置10では、第1のガスアウトレット20を出てゆく第1のガス流25は、第1のガスアウトレット20と実質的に同じ幅を有することがある。従って、第1のガス流25は、
図3に示すように、パターニングデバイス11の幅と実質的に同じ幅を有することがある。同様に、第2のガス流35は、第2のガスアウトレット30と実質的に同じ幅を有することがある。例えば、
図3に示すパターニング装置10では、第2のガスアウトレット30を出てゆく第2のガス流35は、第2のガスアウトレット30と実質的に同じ幅を有することがある。従って、第2のガス流35は、
図3に示すように、パターニングデバイス11の幅と実質的に同じ幅を有することがある。
【0059】
[0067] 上記の実施形態のいずれにおいても、パターニング装置10は、
図4に示すようなガス抽出器16を更に備えることがある。ガス抽出器16は、パターニングデバイス11の上方でガスを抽出する、即ち、第1のガス流25及び/又は第2のガス流35を抽出するように構成される。ガス抽出器16は、実施形態のいずれにも任意選択的に含めることができる。ガス抽出器16は、パターニングデバイス11の平面12を横切って進む第1のガス流25及び第2のガス流35を受け取るように配置され構成される。ガス抽出器16は、平面図として見たとき、例えば、上から見た場合に、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30とはパターニングデバイス11の実質的に反対側に配置されることがある。これは、例えば
図4に側面図で示されている。ガス抽出器16は、平面図として見た場合に、第1のガス流25及び第2のガス流35が、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30からパターニングデバイス11の反対側に到達したときに、即ち、第1のガス流25及び第2のガス流35が、側面図を示している
図4の右側から
図4の左側まで移動したときに、ガスを抽出することができる。実施形態によっては、ガス抽出器16でのガスの抽出は、能動的又は受動的であり得る。ガス抽出器16は、任意の数のガスインレット開口部を備えることができ、ガスを引き込むための低圧システムを備えることがある。
【0060】
[0068] 一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの速度は、約10m/s〜80m/sの間、又は望ましくは約20m/s〜60m/sの間に制御される。一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの速度は、約80m/s以下、望ましくは約60m/s以下に制御される。一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの速度は、約10m/s以上、望ましくは約20m/s以上に制御される。
【0061】
[0069]一実施形態では、第1のガスアウトレット30及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの温度は、約19℃〜23℃の間、望ましくは約20.5℃〜22.5℃の間、又は望ましくは約21℃〜約22℃の間に制御される。一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの温度は、約23℃以下、望ましくは約22.5℃以下、又は望ましくは約22℃以下に制御される。一実施形態では、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの温度は、約19℃以上、望ましくは約20.5℃以上、又は望ましくは約21℃以上に制御される。
【0062】
[0070] 一実施形態では、ガスは、ガス源から第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30に供給されることがある。ガス源(図示せず)は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30に対して同じであることがある。或いは、ガスは、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30に異なるガス源からガスを供給することができるガス供給システム(図示せず)から供給されることがある。いずれにせよ、制御システム14は、第1のガスアウトレット20を出てゆくガス及び第2のガスアウトレット30を出てゆくガスを制御して、上述したように少なくともガスの運動量、並びに任意選択的に温度、及び任意選択的にガスの任意の他のパラメータを制御するように構成される。調節システムは、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの温度を制御するために、実施形態のいずれかにおいてヒータ(図示せず)を任意選択的に備えることがある。
【0063】
[0071] 上記の実施形態のいずれにおいても、第1のガスアウトレット20を出てゆくガスは、第1の角度で第1の平均速度を有することがあり、第2のガスアウトレット30を出てゆくガスは、第2の角度で第2の平均速度を有することがある。第1の角度及び第2の角度は、パターニングデバイス11の平面12に対して決定されることがある。換言すると、第1のガス流25及び/又は第2のガス流30は、平面12に対して傾いていることがある。ガスの平均速度は、平均速度及び平均方向を有するように決定される。角度は、平面12に対する平均方向によって決定される。第1のガス流25の平均速度の角度は、第1の角度θ
1であり得る。第2のガス流35の角度は、第2の角度θ
2であり得る。第1の角度θ
1、及び第2の角度θ
2は、同じであってもよい。実施形態によっては、第1のガスアウトレット20からの第1のガス流25及び/又は第2のガスアウトレット30からの第2のガス流35は、
図2に示すように、パターニングデバイス11の平面12と実質的に平行に進む、即ち、θ
1=θ
2=0である。第1の角度θ
1及び第2の角度θ
2は、制御システム14によって独立して制御されることがある。
【0064】
[0072] 例示的な実施形態を、
図5に示す。ガス流がパターニングデバイス11の平面12の表面に対して平行になるように、いずれのガス流についても角度はゼロであり得る。
図5では、第1の角度θ
1は0である(従って、ラベル付けされていない)。しかしながら、第2のガス流35の方向(第2のガス流35の平均速度の方向を示す)は、パターニングデバイス11の平面12に対して第2の角度θ
2であるものとして示されている。従って、第1の角度θ
1は、第2の角度θ
2とは異なっていることがある。
【0065】
[0073] これは、特に有益であることがある、というのも、異なる開口部がそれぞれのガス流を異なる下流位置に向けることができるからである。例えば、
図4に示すように、第1のガス開口部20からの第1のガス流25は、パターニングデバイス11の平面12に実質的に平行な方向に進むことができる。しかしながら、第2のガスアウトレット30からの第2のガス流35は、方向の下方成分を有する。従って、第2のガス流35は、平面12の下流の位置に向けられる。
【0066】
[0074] 一実施形態では、第1の角度θ
1は、上述したように第2の角度θ
2とは異なる。一実施形態では、第1の角度θ
1及び第2の角度θ
2は、変化することができる。ガスアウトレットは、
図5ではサポート構造13と一体であるように描かれているが、ガスアウトレットは、代わりにサポート構造13に取り付けられるか、又はサポート構造13によって保持されることがあり、サポート構造13に対して可動であることがある。例えば、アクチュエータを設けて、第1の角度θ
1及び/又は第2の角度θ
2を制御することができるように、第1のガス開口部20及び/又は第2のガス開口部30の角度を変化させることがある。このようにして、第1の角度θ
1及び/又は第2の角度θ
2は、変化することがある。第1の角度θ
1及び第2の角度θ
2は、独立して又は互いに制御されることがある。第1の角度θ
1及び/又は第2の角度θ
2は、連続的に変化する角度でガスを供給するように、振動することがある。例えば、第1の角度θ
1及び/又は第2の角度θ
2は、最小角度と最大角度との間で振動することがある。最小角度及び最大角度は、平面12からのそれぞれのアウトレットの距離、即ち、z方向の高さに依存することがある。例えば、第1の角度θ
1及び/又は第2の角度θ
2は、任意の適切な値を使用することができるが、約20°〜70°の間で振動することがある。
【0067】
[0075] 一実施形態では、制御システム14は、第1の角度θ
1に加えて、第1のガス流25の第1の運動量を変化させることがある。追加的に又は代替的に、制御システム14は、第2の角度θ
2に加えて、第2のガス流35の第2の運動量を変化させることがある。例えば、ガス流を更に下流に向けるために角度が増加される場合、運動量が増加されることがある。
【0068】
[0076] 更なる例示的な実施形態が、
図6A、6B、及び6Cに示されている。これらの図は、第3のガスアウトレット50を有する実施形態を示している。第3のガスアウトレット50は、第3のガス流55を供給するように構成される。第3のガスアウトレットは、以下に説明する差異を除いて、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30のいずれかと同じであることがある。同様に、第3のガス流55は、以下に説明する点を除いて、第1のガス流25又は第2のガス流35のいずれかと同じであることがある。この実施形態に示すように、第1のガス流25は、第1の角度θ
1で供給される。第2のガス流35は、第2の角度θ
2で供給される。第3のガス流55は、第3の角度θ
3で供給される。これらの角度は、パターニングデバイス11の平面12に対して決定される。3つのガスアウトレットを使用してより明確に示されるように、ガス流は、ガスアウトレットの各々から同じ平面12に供給される。しかしながら、第1のアウトレット20、第2のアウトレット30、及び第3のアウトレット50の各々からの平面12上へのガス流は、平面12上のガスに、異なる態様で影響を与えることがある。
【0069】
[0077] 例えば、第1のガス流25は、パターニングデバイスの平面12と実質的に平行に進む、即ち、θ
1=0であることがある。しかしながら、第2の角度θ
2で供給される第2のガス流35は、第1のガスアウトレット20から平面12からより遠い距離で供給される。従って、第2のガス流35は、第1のガス流25よりも、第2の開口部30から更に下流の平面12に到達することができる。これは、第3のガスアウトレット50から供給される第3のガス流55によって、更に示される。第3のガスアウトレットは、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30とは異なる平面12に垂直な距離に配置される。従って、第3のガス流55は、パターニングデバイス11の平面12の、第1のガス流25及び第2のガス流35とは異なる下流地点に到達することができる。第1の角度θ
1、第2の角度θ
2、及び/又は第3の角度θ
3のいずれかが互いに同じであってもよく、又は、これらの角度は全て互いに異なっていてもよく、又は、それらの任意の組み合わせ(例えば、2つが同じで1つが異なっている)でもよいことを理解されたい。
【0070】
[0078] ガス流を、平面12から異なる垂直距離で、任意選択的に平面12に対して1つ又は複数の異なる角度で供給することは、これらの流れが、平面12上の流れに異なる影響を及ぼすことを意味する。このようにして、
図5に示すような第1のアウトレット20及び第2のアウトレット30からの、又は更には第1のアウトレット20、第2のアウトレット30、及び第3のアウトレット50からの異なるガス流を使用して、平面12上に形成される下流の境界層を変化させることができる。異なるガス流を使用して、平面12上の流れを混合し、従って、境界層を低減し、平面12上の流れが加熱されるのを低減することができる。ガス流を独立して制御することができるので、例えば
図6A、6B、及び6Cのいずれにも示すように、一度に1つのガス流を供給するか、又は独立して制御される運動量を有する複数のガス流を供給することが可能である。パターニングデバイス11のより均一な冷却をもたらすために、様々なガス流を制御して、開口部の下流の異なる距離においてそれらのガス流をパターニングデバイス11の平面12に隣接するガスと相互作用させることがある。
【0071】
[0079] 同様に、
図6A、6B、及び6C中の第1の角度θ
1、第2の角度θ
2、及び/又は第3の角度θ
3は、上記で第1の角度θ
1及び第2の角度θ
2について述べたように、変化することがある。
【0072】
[0080] 上記の説明は第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30に言及しているが、任意の数の適切なガスアウトレットを使用することができる。調節システムは、更なるガスアウトレットを含んで、パターニングデバイス11上に更なるガス流を供給することがある。従って、調節システムは、他のガスアウトレットとは別個に、即ち独立して制御される任意の数の追加のガスアウトレットを含むことがある。追加のガスアウトレットは、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30に関連して上述したのと同じ特徴を有することがある。これらの追加のガスアウトレットは、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30と平面図でパターニングデバイス11の同じ側上にあることがある。例えば、第3のガスアウトレット50が、
図6A、6B、及び6Cに関連して説明したように設けられることがあるが、更なる追加のガスアウトレットも設けられ得る。
【0073】
[0081] 一実施形態では、調節システムは、
図7に示すように更なるガスアウトレット40を備える。更なるガスアウトレット40は、パターニングデバイス11上に更なるガス流45を供給するように構成される。更なるガスアウトレット40は、以下に説明する点を除いて、上述したような第1のガスアウトレット20、第2のガスアウトレット30、及び/又は第3のガスアウトレット50と類似していることがある。更なるガス流45は、独立して制御され得る。
図2から
図5に示す上記の実施形態では、平面図において、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、パターニングデバイス11の同じ側に設けられることがある。換言すると、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30は、平面図でパターニングデバイス11の同じ側から第1のガス流25及び第2のガス流35をそれぞれ供給するように配置されることがある。この平面図は、
図3に示されている。一実施形態では、更なるガスアウトレット40は、平面図でパターニングデバイス11の別の側に、例えば、パターニングデバイス11の反対側に配置される。従って、更なるガスアウトレット40は、パターニングデバイス11の同じ平面12に更なるガス流45を供給する。しかしながら、例えば、更なるガスアウトレット40は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30とは異なるパターニングデバイス11の縁部に沿って配置される。
【0074】
[0082] 更なるガスアウトレット40は、パターニングデバイス11の平面12上に、更なる別個に制御されたガス流45を供給する。この実施形態では、制御システム14は、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの少なくとも1つのパラメータを独立して制御するように更に構成される。換言すると、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30のいずれかを出てゆくガスを制御するのとは別に、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの少なくとも1つのパラメータを制御するように構成される。制御システム14は、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの運動量を制御するように構成されることがある。制御システム14は、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの運動量が、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30を出てゆくガスの運動量と実質的に同じになるように、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの運動量を制御することがある。制御システム14は、パターニングデバイス11上でのガスの速度が、パターニング装置10の両側から実質的に均一になるように、第1のガスアウトレット20、第2のガスアウトレット30、及び更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの運動量を制御するように構成されることがある。一実施形態では、コントローラ14は、更なるガス流45の異なるパラメータ、例えば、温度及び/又はガス湿度を代替的に又は追加的に制御することがある。
【0075】
[0083] 別個に制御される、パターニングデバイス11の反対側からの又は反対側へのガス流を供給することは有益である、というのも、これにより、パターニングデバイス11の温度の更なる制御がもたらされるからである。更なるガスアウトレット40は、パターニングデバイス11の冷却を高めることができる追加のガス流を供給することができる。パターニングデバイス11の反対側(即ち、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30から下流側)では、ガスは加熱され、パターニングデバイス11の温度に及ぼす影響はより少ないことがある。従って、例えば、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の反対側に配置される更なるガスアウトレット40を設けることは、第1のガス流25及び第2のガス流35によって効果的に冷却することができないパターニングデバイス11の平面12の領域にガスを供給することを意味する。
【0076】
[0084] 更に、(平面図で)パターニングデバイス11の反対側から更なるガス流45を供給すると、パターニングデバイス11の平面12上によどみ領域が発生することがある。よどみ領域は、ガス流が合流する領域であり、異なるガス流の相互作用に起因してガスの速度が低下する、場合によってはゼロになる領域であることがある。よどみ領域は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30の反対側に更なるガスアウトレット40を設ける有効性を低減することがある。しかしながら、更なるガスアウトレット40を出てゆくガスの運動量を独立して制御することは、運動量を変更できる(又は、第1のガス流25及び/又は第2のガス流35の運動量が変化しても、同じままであり得る)ことを意味する。第1のガス流25、第2のガス流35、及び/又は第3のガス流45のいずれかの、互いに対する変化は、よどみ領域の位置を移動させることがある。これは、よどみ領域を、パターニングデバイス11の平面12上の異なる位置に移動させて、パターニングデバイス11の温度をより良く制御し得ることを意味する。
【0077】
[0085] 更なるガスアウトレット50は、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30のみを有する
図7及び
図8に示されているが、上述した第3のガスアウトレット50が、第1のガスアウトレット20及び第2のガスアウトレット30と平面図で同じ側に設けられてもよい。更に、追加のガスアウトレットが、更なるガスアウトレット40と平面図で同じ側に設けられてもよい。追加のガスアウトレットは、更なるガスアウトレット40とは異なる平面12からの垂直距離に設けられることがある。
【0078】
[0086] 上記の実施形態のいずれにおいても、制御システム14は、第1のガスアウトレット20及び/又は第2のガスアウトレット30、及び/又は、適切な場合には第3のガスアウトレット50及び/又は更なるガスアウトレット40の各々を出てゆくガスの温度を、特定の又は所定の温度に制御するように構成されることがある。温度は、予測された下流温度プロファイルに基づくことがある。一実施形態では、温度は、第1のガスアウトレット20、及び/又は第2のガスアウトレット30、及び/又は、適切な場合には第3のガスアウトレット50及び/又は更なるガスアウトレット40に対して決定された最適値に設定されることがある。温度は、パターニングデバイス11に入射する放射ビーム15に応じて、例えば、パターニングデバイス11を横切る放射ビーム15の強度に応じて、設定されることがある。
【0079】
[0087] 上記の実施形態のいずれにおいても、ガスアウトレットのうちの少なくとも1つを出てゆくガスの温度を、動的に制御することができる。例えば、パターニング装置10は、少なくとも1つのセンサ、例えば、
図7及び
図8に示すようなセンサ18を含むセンサシステムを備えることがある。センサ18は、
図7及び
図8に示す実施形態に任意選択的に設けられることがあり、かつ/又は、
図2〜
図6Cに示したような任意の他の実施形態に任意選択的に設けられることがある。センサ18は、パターニング装置10の特性を決定するために使用されることがある。例えば、センサ18を使用して、センサ18を取り囲むガスの温度を測定することができる。センサ18によって行われた測定結果は、制御システム14に送信されることがある。制御システム14は、センサ14からの測定値を使用して、例えば、第1のガスアウトレット20、及び/又は第2のガスアウトレット30、及び/又は適切である場合には第3のガスアウトレット50及び/又は更なるガスアウトレット40から選択される1つ又は複数を出てゆくガスの温度を必要に応じて調節することにより、これらのガスアウトレットのうちの少なくとも1つを出てゆくガスを動的に制御するように構成されることがある。
【0080】
[0088] 上記の実施形態は、放射ビーム15が入射するパターニングデバイス11の平面12に関して図示され説明された。この平面12は、上部表面として説明され得るが、パターニング装置10の向きは、平面12がもはや最上部にはないように変更することができる。第1のガスアウトレット20、第2のガスアウトレット30、第3のガスアウトレット50、及び/又は更なるガスアウトレット40は、平面12の上方にあることがある。しかしながら、調節システムは、異なる表面、例えば、側面図にてパターニングデバイス11の他方の側に適用されることがある。この他の表面は、実際にはパターニングデバイス14の底面であり得る。或いは、パターニング装置10の1つの側面に放射ビーム15が供給される場合であっても、上記の実施形態のいずれかで説明したようなガスアウトレットが、側面図でパターニング装置10の他の側面の表面上に設けられ制御されることがある。例えば、放射ビーム15が上面に入射した場合、ガスアウトレットは底面上にガス流を供給することがある。
【0081】
[0089] 実施形態によっては、
図1A及び
図1Bを参照して上記で説明したようなリソグラフィ装置100又は100’において、パターニング装置10を使用することができる。例えば、パターニング装置10は、上記の
図1A及び
図1Bで考察した放射ビームBを調節するように構成されたイルミネータILを含むリソグラフィ装置100又は100’と共に使用することができる。
【0082】
[0090] 一実施形態では、デバイス製造方法が提供される。この方法は、パターニングデバイスを介してビームを投影することと、なお、このビームはパターニングデバイスによってパターン付けされ、また、第1のガスアウトレットからの使用時のパターニングデバイスの平面上の第1のガス流、及び/又は第2のガスアウトレットからの使用時のパターニングデバイスの平面上の第2のガス流を独立して変動させることと、なお、第1のガスアウトレット及び第2のガスアウトレットは、パターニングデバイスの平面に垂直な異なる距離にあり、また、ビームを基板上に向けることとを含む。この方法は、上記の実施形態のいずれかに記載したようなパターニング装置10を使用することがある。
【0083】
[0091] 本明細書の語句又は用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものではなく、本明細書の用語又は語句は、関連技術分野の当業者によって、本明細書の教示に照らし合わせて解釈されるべきものであることを、理解されたい。
【0084】
[0092] 本明細書で使用する「基板」という用語は、一般的に、その上に後続の材料層が追加される材料を表す。実施形態では、基板自体がパターン付けされることがあり、基板の上部に追加された材料もパターン付けされることがあるか、又はパターン付けされないままであることがある。
【0085】
[0093] 本明細書で説明した実施形態では、状況が許す場合、「レンズ」という用語は、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、及び静電気型の光学コンポーネントを含む、様々なタイプの光学コンポーネントのうちのいずれか1つ又は組み合わせを指すことがある。
【0086】
[0094] 更に、本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長λを有する)、極端紫外線(EUV又は軟X線)放射(例えば、13.5nmなど5〜20nmの範囲の波長を有する)、又は5nm未満で動作する硬X線、並びにイオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含む、全ての種類の電磁放射を包含する。一般的に、約780〜3000nm(又はそれ以上)の間の波長を有する放射は、赤外放射とみなされる。UVは、約100〜400nmの波長を有する放射を指す。リソグラフィの中では、「UV」という用語は、水銀放電ランプによって生成することができる波長、即ち、G線436nm、H線405nm、及び/又はI線365nm、にも当てはまる。真空UV、又はVUV(即ち、ガスによって吸収されるUV)は、約100〜200nmの波長を有する放射を指す。深紫外線(DUV)は、一般的に、126nmから428nmまでの範囲の波長を有する放射を指し、一実施形態では、エキシマレーザは、リソグラフィ装置内部で使用されるDUV放射を生成することができる。例えば、5〜20nmの範囲内の波長を有する放射は、少なくともその一部が5〜20nmの範囲内にある特定の波長帯域を有する放射に関係することを理解されたい。
【0087】
[0095] 本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的に言及されていることがあるが、本明細書で説明するパターニング装置及びリソグラフィ装置は、磁区メモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、及び薄膜磁気ヘッドのためのガイダンス及び検出パターン、集積光学システムの製造などの、他の用途を有することがあることを理解されたい。当業者であれば、そのような代替の用途の文脈において、本明細書での「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用は、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」というより一般的な用語の同義としてみなすことができることを、理解するであろう。本明細書で言及される基板は、露光の前又は後で、例えば、トラック(通常、レジストの層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、計測ツール及び/又は検査ツールで処理することができる。適用可能である場合、本明細書の開示は、そのような他の基板処理ツールに適用することができる。更に、基板は、例えば多層ICを生成するために2度以上処理されることがあり、その結果、本明細書で使用する基板という用語は、1つ又は複数の処理済層を既に包含している基板を指すこともできる。
【0088】
[0096] 光リソグラフィに関連して実施形態の使用について上記で具体的に言及してきたが、本実施形態は他の用途、例えばインプリントリソグラフィにおいても使用することができ、状況が許せば、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが、基板上に生成されるパターンを規定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジストの層にプレスされることがあり、基板上では、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組み合わせを印加することにより、レジストが硬化される。パターニングデバイスはレジストから外部に移動され、レジストが硬化された後でレジストにパターンを残す。
【0089】
[0097] 記載される実施形態、及び「一例」、「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」、「幾つかの実施形態」等への明細書中での言及は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、必ずしも全ての実施形態が、その特定の特徴、構造、又は特性を含んでいなくてもよい。更に、そのような語句は、必ずしも同一の実施形態を指していない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性が説明される場合、明示的に説明されていようといまいと、そのような特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連してもたらすことは、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0090】
[0098] 特定の実施形態についての前述の説明は、本発明の一般的性質を完全に明らかにしているので、当分野の技術の範疇の知識を応用することによって、他者が、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、不適当な実験を行うことなしに、そのような特定の実施形態を容易に修正するかつ/又は様々な用途へ適合させることができる。従って、そのような適合及び修正は、本明細書で提示された教示及び指導に基づいて、開示された実施形態の均等物の効力及び範囲の内部にあることが意図されている。本明細書の語句又は用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものではなく、本明細書の用語又は語句は、教示及び指導に照らし合わせて、当業者によって解釈されるべきものであることを、理解されたい。
【0091】
[0099] 具体的な実施形態について上記で説明したが、これらの実施形態は、説明したものとは別の態様で実施されることがあることを、理解されたい。説明は、例示的であることを意図しており、本発明を限定することは意図していない。従って、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したような本発明に修正を加え得ることが、当業者には明らかであろう。
【0092】
[00100] 「発明の概要」及び「要約」の章は、発明者らによって企図された例示的な実施形態の、全てではないが1つ又は複数を記載していることがあり、従って、特許請求される本発明を限定することを意図してはいない。
【0093】
[00101] 開示される実施形態は、本発明を単に例示するに過ぎない。本発明の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以降の請求項及びそれらの均等物に従ってのみ、規定されるべきである。