(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計算手段は、順次追加していく設定変更時間の計算の過程において、既に決定している設定変更時間の前後予め定めた時間を除いた範囲で設備費用を削減する効果が最も高い設定変更時間を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の設備設計装置。
前記計算手段は、設定変更時間を新たに追加する時点において、各設定変更時間候補の設備費用の削減効果を評価し、この効果が予め指定した値以下であった場合に、該当する設定変更時間候補を設定変更時間候補の集合から取り除く
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設備設計装置。
前記計算手段は、非設定変更時間を新たに追加する時点において、各非設定変更時間候補の設備費用の増加の効果を評価し、この効果が予め指定した値以下であった場合に、当該非設定変更時間候補も非設定変更時間として追加する
ことを特徴とする請求項4に記載の設備設計装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0015】
(本実施の形態の概要)
既に説明したように、時間に渡る要求資源量の変化を基に割当を変更して物理装置の数量(あるいは設備費用)を少なくする場合においても、運用の複雑さを招くという理由やシステム動作を不安定にするという理由で頻繁な変更は望ましくない。そのため、本実施の形態では、システム全体で共通的に割当を変更する時間を決定し、それに基づき運用を行う。
【0016】
例えば、
図1(a)に示す、利用者にサービスを提供するネットワークにおいて、
図1(b)に示すように、各拠点(ノード)の要求資源量と、トラヒック量が時間の経過に応じて変化する。このような状況において、本実施の形態では、時間変動を利用して敷設する物理装置の数量(すなわち、設備費用)をできるだけ少なくするように、時間を決めて利用者の要求資源に対する物理装置の割当の変更を実施することを前提とする。なお、変更回数は所与のものとする。このような要件の下、いつ割当の変更をするのが良いかを決定する。また、併せて、どのように割当てるかを決定する。
【0017】
図1(a)には、Dで示す物理装置と、Eで示す物理装置が示されている。割当の変更においては、例えば、E上で動作していたVMをD上で動作させるように設備資源の割当の変更が行われる。また、例えば、1で示す経路のトラヒックを、2で示す経路を経由させるように設備資源の割当の変更がなされる。
【0018】
上記のようにいつ割当の変更をするのが良いかを決定する際に、例えば、所与の変更回数から、実際に取り得る変更時間の組み合せを洗い出し、その組み合せに対して構築する設備費用を最小とするものを選び出す方法が考えられる。この方法は、最も望ましい変更時間の組合せを求めるものではあるが、全ての組合せに対して最小の割当を導出する必要がある。例えば、毎時一日を想定した24time periodの時系列データに対して、所与の変更回数が3回程度であっても、
24C
3=2024のパターンに対する最小の割当を導出する必要があり、莫大な計算時間が必要になるという問題がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、
図2に示すように、1度に変更時間の組み合せを決定するのでなく、設定変更を実施しない状態から始めて、順次1つずつ変更時間を決定し追加していくという方法を採用している。この追加の際、追加することで設備費用を削減する効果が最も高い変更時間を決定していく。このような方法により、計算時間が莫大になることを回避できる。
【0020】
図2の例では、最初に設定変更時間Aが決定され、次に、設定変更時間Aの設定変更の制限下で最も設備費用削減効果のある時間として設定変更時間Bが決定されている。
【0021】
(システム構成)
<全体構成>
図3に本実施の形態におけるシステム構成図を示す。
図3に示すように、本実施の形態に係るシステムは、設備設計装置100、経路設定スケジューラ40、制御設定装置50、転送装置(ノード)10、トラヒック収集装置20、トラヒック分析装置30を含む。
【0022】
図3において、複数の転送装置(ノード)10及びこれらを接続するリンクにより、利用者にサービスを提供するネットワークが構成されている。このネットワークが、資源の割当変更等を行う制御対象である。また、ノード、リンクの情報がネットワーク構成情報である。
【0023】
設備設計装置100は本発明に係る装置であり、これ以外の装置は既存技術により実現可能な装置である。設備設計装置100は、トラヒック予測情報・ネットワーク構成情報・設備構築費を入力データとし、所与の設定変更の許容回数の下、構築する設備容量・経路設定変更情報(設定変更時間・[各設定を適用する時間での]経路情報)を出力する。なお、設備構築費を設備費用と称してもよい。入力される設備構築費は、例えば、各リンクの帯域当たりの設備構築費である。また、入力されるトラヒック予測情報は、例えば、デマンド毎、時間毎のトラヒック量である。
【0024】
図4のフローチャートを参照して、システムにおける全体の処理手順例を説明する。
【0025】
トラヒック収集装置20は、制御対象であるネットワークを構成する転送装置(ノード)10から取得されたトラヒック観測情報を収集する(ステップS101)。
【0026】
トラヒック分析装置30は、トラヒック収集装置20で収集した、収集期間に渡る時系列でのトラヒック観測情報を基に、制御対象とする期間における時系列でのエンドノード間で疎通するトラヒック量(デマンド)を予測する(ステップS102)。なお、デマンドの予測は種々の既存手法を用いて実施することが可能である。また、観測したトラヒック情報を基に時系列でのデマンドを予測することは一例に過ぎない。例えば、申告によりデマンドが規定され入力データとして活用されても良い。
【0027】
設備設計システム100に対し、トラヒック分析装置30により予測されたトラヒック予測情報(時系列)、ネットワーク構成情報、設備構築費が入力される(ステップS103)。なお、入力データのネットワーク構成情報・設備構築費は、例えば、オペレーションシステム等の他の手段により取得される。
【0028】
設備設計装置100は、後述する最適化問題の解を求める計算を行って、経路設定変更情報、ノード・リンクの設備容量を出力する(ステップS104)。出力データである、構築する設備容量は、設備設計装置100で適用する経路制御(設定変更時間・経路情報)を前提とした、安価な費用で構築する設備容量として活用する。
【0029】
出力データの経路設定変更情報は、経路設定スケジューラ40に送信され、そこで経路設定を実施する時間が管理される(ステップS105)。経路設定スケジューラ40は、設定変更を行う時間になったときに、経路情報に基づく経路設定の要求を経路設定装置50に対して実施し、経路設定装置50は、その要求を受け、ノードに対する経路設定を実施する(ステップS106)。
【0030】
<設備設計装置100の機能構成、ハードウェア構成>
図5に、設備設計装置100の機能構成図を示す。
図5に示すように、設備設計装置100は、入力部110、設備設計計算部120、データ記憶部130、出力部140を有する。入力部110から入力データが入力され、入力データはデータ記憶部130に格納される。設備設計計算部120は、データ記憶部130からデータを読み出し、後述する最適化問題の解の計算を含む計算を行って、計算結果をデータ記憶部130に格納する。出力部140は、データ記憶部130に格納されている計算結果を出力データとして出力する。
【0031】
本実施の形態における設備設計装置100は、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。
図6は、本実施の形態における設備設計装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図6の設備設計装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置300、補助記憶装置302、メモリ装置303、CPU304、インタフェース装置305、表示装置306、及び入力装置307等を有する。
【0032】
設備設計装置100での処理を実現するプログラムは、例えば、CD−ROM又はメモリカード等の記録媒体301によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体301がドライブ装置300にセットされると、プログラムが記録媒体301からドライブ装置300を介して補助記憶装置302にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体301より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置302は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0033】
メモリ装置303は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置302からプログラムを読み出して格納する。CPU304は、メモリ装置303に格納されたプログラムに従って設備設計装置100に係る機能を実現する。インタフェース装置305は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置306はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置307はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0034】
(設備設計装置100が実行する処理内容)
次に、設備設計装置100が実行する処理の内容を説明する。前述したように、本実施の形態の設備設計装置100は、順次1つずつ変更時間を決定し追加していくという方法で、設備費用削減効果が最も高い時間を順次決定する。この方法は、設定変更時間の全組み合わせパターンにおける最適解を求める方法ではなく、貪欲法としてのアプローチに基づく近似計算である。なお、物理装置として、Physical MachineとPhysical Networkの両方を割当の対象としてもよいし、そのどちらかのみを割当の対象としてもよい。
【0035】
ただし、以下では、一例として、説明を分かり易くするために、ネットワーク上の経路の割当てのみをターゲットとした設定変更の時間を決定するアルゴリズムについての説明を行う。
【0036】
設備設計装置100は、最適化問題の解として、設備費用削減効果が最も高い時間等を順次決定することとしている。まず、その最適化問題における問題定義について説明する。
【0037】
<表記等について>
問題定義における表記は以下のとおりである。
【0038】
・e:リンクのIndex, i,j,n:ノードのIndex, k:デマンドのIndex, t:時間のIndex
・E:リンク集合, N:ノード集合, K:デマンド集合, Nn:nの隣接ノード集合
・O(k),D(k):それぞれデマンドkの起点・終点ノード
パラメータは以下のとおりである。
【0039】
・c
e:リンクeの帯域当たり設備構築費
・d
kt:デマンドkの時間tでのトラヒック量
・T:時間の数。t∈[1,T]
・M:設定変更回数(所与)
変数は以下のとおりである。
【0040】
・y
e:リンクeの帯域容量
・x
ek,m:[z
m,z
m+1−1]に属する時間(時間順でm番目の設定変更後の設定を適用する時間)において、デマンドkに対してリンクeを流れるフローの割合
・z
m:時間順に並べてm番目の設定変更を行う時間。z
0=1≦z
1<…<z
m−1<z
m<…<z
M<z
M+1=T+1
なお、最適化問題の解として、変数の値が求められる。
【0041】
<定式化>
本実施の形態における最適化問題は、
図7に示すように定式化される。
図7に示すように、式1を目的関数とし、式2、式3、式4を制約条件とする。
【0042】
式1は、各リンクの設備構築費(c
e・y
e)を全てのリンクで合計した総和を最小にすることである。式2は、全てのノードと全てのデマンドに関して、時間順でm番目の設定変更後の設定を適用する時間[z
m,z
m+1−1]に属する時間において、デマンドkに関して、そのデマンドから発生するトラヒック量の比率が、ノードnに流入する総量とノードnから流出する総量とで等しいという条件を表す。
【0043】
式3は、全てのリンクに関して、時間順でm番目の設定変更後の設定を適用する時間[z
m,z
m+1−1]を通じて、当該リンクを経由する全てのデマンドからのトラヒックの総量が当該リンクの帯域容量を超過しないという条件を表す。
【0044】
式4は、デマンドkに対してリンクeを流れるフローの割合が、その定義から規定される条件を表す。
【0045】
<サブ問題>
本実施の形態では、サブ問題(P(h,Z
h−1,Z
*))の解を求めることで、上述した問題の解を求めている。P(h,Z
h−1,Z
*)は、h番目の設定変更時間を決定する問題である。より具体的には、(h−1)箇所の設定変更時間が既に決定されているとして、次に、設定変更による設備費用削減の効果が最も高い時間を選択する問題である。
【0046】
P(h,Z
h−1,Z
*)についての新たに定義するパラメータ・変数、定式化等を以下に説明する。なお、明細書の文字の記載の都合上、図面に示されている"zの上にバーが引かれた文字"については、明細書では"^z"と記載する。
【0048】
・^z
m:時間順に並べてm番目の、既に決定されている設定変更を行う時間、^z
0=1≦^z
1<…<^z
m−1<^z
m<…<^z
h−1<^z
h=T
・Z
h−1={^z
1,...,^z
h−1}:既に決定されている設定変更を行う時間の集合
・Z
*⊂[2,T]:新たに追加する設定変更時間の選択可能な候補を示す集合
新たに定義する変数は以下のとおりである。
【0049】
・x
e,tk:時間tにおいて、デマンドkに対してリンクeを流れるフローの割合
・z:新たに追加する設定変更を行う時間
P(h,Z
h−1,Z
*))は
図8に示すように定式化される。
図8に示すように、式5を目的関数とし、式6〜式10を制約条件とする。
【0050】
式5は、各リンクの設備構築費(c
e・y
e)を全てのリンクで合計した総和を最小にすることである。式6は、全てのノードと全てのデマンドについて、時間tにおいて、デマンドkに関して、そのデマンドから発生するトラヒック量の比率がノードnに流入する総量とノードnから流出する総量とで等しいという条件を表す。
【0051】
式7は、全てのリンクに関して、時間tにおいて、当該リンクを経由する全てのデマンドからのトラヒックの総量が当該リンクの帯域容量を超過しないという条件を表す。
【0052】
式8は、全てのリンクとデマンドに関して、設定変更を実施していない時間においては、その直前の時間と適用される設定が同一であるという条件を表す。
【0053】
式9は、デマンドkに対してリンクeを流れるフローの割合が、その定義から規定される条件を表す。
【0054】
式10は、新たに追加する設定変更時間は、選択可能な候補から選ばれるという条件を表す。
【0055】
<処理フロー>
図9は、上記の問題定義に基づき、設備設計装置100(具体的には設備設計計算部120)が実行する処理フローを示す。ステップS201において、設備設計装置100は、h:=1,Z
h−1:=φ,Z
*=[1,T]とすることでパラメータを初期化する。ステップS202において、設備設計装置100は、P(h,Z
h−1,Z
*)を解き、解として得られるzの値を^zとする。
【0056】
ステップS203において、設備設計装置100は、Z
*=Z
*−[^z−q,^z+q]とすることで、新たに追加する設定変更時間の選択可能な候補の集合から、[^z−q,^z+q]を除く。これは、設定変更時間とした時間の上下(前後)q(パラメータ)の範囲で設定変更を実施しないことを意味する。すなわち、順次追加していく設定変更時間の導出の過程において、既に決定している設定変更時間の指定した近辺の時間を除いた範囲で設備費用を削減する効果が最も高い変更時間を決定する。これにより、設定変更の実施間隔を一定期間担保すること、及び、資源要求量が近いと想定できる近辺の時間での計算を省くことによる計算時間の高速化を図るというメリットが得られる。
【0057】
ステップS204において、設備設計装置100は、Z
*=Z
*−{r:F(r,h,Z
h−1,Z
*)−F(^z,h,Z
h−1,Z
*)≦R}で表わされる計算を行う。ここで、F(r,h,Z
h−1,Z
*)は、P(h,Z
h−1,Z
*)においてz=rとした場合の最適値を示す。Rは、最適な新たに追加する設定変更時間の最適値からの乖離範囲を規定するパラメータである。すなわち、ステップS204の処理は、設定変更時間を新たに追加する時点(^zを計算した時点)において、各設定変更時間候補の設備費用の削減効果を評価し(F(r,h,Z
h−1,Z
*)に相当)、この効果が予め指定した値以下((F(r,h,Z
h−1,Z
*)−F(^z,h,Z
h−1,Z
*)≦R)に相当)であった場合に、該当する設定変更時間候補を候補集合から取り除く(Z
*からrを取り除く)ことである。これにより、計算時間の高速化を図ることができる。
【0058】
ステップS205において、h=Mであれば処理を終了し、h=MでなければステップS206に進む。ステップS206において、設備設計装置100は、h:=h+1、Z
h−1:=Z
h−1+{^z}とし、ステップS202に進む。
【0059】
(変形例)
次に、変形例を説明する。変形例におけるシステム構成、装置構成、処理手順は基本的にこれまでに説明した例と同じである。以下、これまでに説明した例とは異なる点を説明する。これまでに説明した例は、追加することで設備費用を削減する効果が最も高い変更時間を、順次1つずつ決定し追加していくという方法である。
【0060】
設備設計装置100は、
図10に示すように、上記手段とは逆のアプローチをとり、全時間において設定変更を実施するという状態から始めて、順次1つずつ設定変更を実施しない時間を決定し追加していく処理を行ってもよい。この追加の際、設定変更を実施しないことによる設備費用の増加が最小となる時間を非設定変更時間として決定する。なお、設備設計装置100は、変形例の前までに説明した機能と、変形例の機能の両方を備えることとしてもよいし、いずれか1つの機能を備えることとしてもよい。
【0061】
図10の例では、最初に非設定変更時間Aが決定され、次に、非設定変更時間Aの制限下で設定変更しなくても設備容量増加が最小となる時間として非設定変更時間Bが決定されている。
【0062】
変形例においても、これまでに説明した方法と同様の最適化問題を解くことで解が得られる。ただし、変形例では、非設定変更回数が所与であり、全時間において設定変更を実施するという状態から、設定変更を実施しないことによる設備費用の増加を最小とする時間として、1つずつ設定変更を実施しない時間を決定し(つまり、非設定時間の追加によるΣ
e∈Ec
e・y
eの増加が最小とする時間を決定し)追加する。
【0063】
P(h,Z
h−1,Z
*)を、非設定変更時間を決定する問題と見なすことで、変形例における、処理フローは、
図9と同様となる。
【0064】
変形例におけるステップS203においては、設備設計装置100は、Z
*=Z
*−[^z−q,^z+q]とすることで、非設定変更時間とした時間の上下q(パラメータ)の範囲で非設定変更を実施しないこととする。すなわち、順次追加していく非設定変更時間の導出の過程において、既に決定している非設定変更時間の指定した近辺の時間を除いた範囲で設備費用増加を抑える効果が最も高い非設定変更時間を決定する。なお、ステップS203を実施しないこととしてもよい。
【0065】
変形例におけるステップS204においては、設備設計装置100は、非設定変更時間を新たに追加する時点(^zを計算した時点)において、各非設定変更時間候補の設備費用の増加の効果を評価し(F(r,h,Z
h−1,Z
*)に相当)、この効果が予め指定した値以下((F(r,h,Z
h−1,Z
*)−F(^z,h,Z
h−1,Z
*)≦R)に相当)であった場合に、その時間を含めて一括で設定変更しない時間とする(つまり、rと^zを一括で非設定変更時間とする)。また、当該時間を非設定変更時間の候補集合から取り除く(Z
*からrを取り除く)。これにより、計算時間の高速化を図ることができる。すなわち、変形例において順次実施する設定変更しない時間の決定において、1つずつ当該時間を決定するのでなく、設定変更しなかった場合に設備費用が増加する効果が予め指定した値以下である時間が他にあった場合に、その時間も含めて一括で設定変更しない時間とすることで、計算時間の高速化を図る。
【0066】
(実施の形態の効果)
本実施の形態で説明した技術は、最適な設定変更時間の組み合せを見出すものではないが、この技術により、有望な設定変更時間の組み合せを、比較的短時間の計算時間で導出することができる。
図11に評価結果を示す。
【0068】
−評価ネットワークトポロジ
・10ノード、20リンクのネットワーク(ワッツ・ストロガッツモデルに基づくネットワーク)
−評価トラヒック(需要は特記しない限り、全ノード間で発生)
・毎時24時間を想定した24個のトラヒックデータ
・1.「時系列トラヒック」(隣接時間にて相関性有)(
図11(a))
・2.乱数による24時間変動の「疑似トラヒック」(時系列性未考慮)(
図11(b))
−経路の特性
・splittable−flow
−問題設定
・毎時24時間を想定した24個のサンプルトラヒックデータを与える
比較手法は以下のとおりである。
【0069】
−貪欲法(Forward法(実施の形態の手法)&Backward法(変形例の手法))[提案方法]:効果の高い順に3つの設定変更時間を決定
−等分法[比較法]:時間帯を4等分(1−6,7−12,13−18,19−24)
−参考
・非適応型:時間帯での設定変更はしない
・全体最適:設定変更時間の全体最適値(全組合せに対する割当て結果を比較して求解)
評価尺度は以下のとおりである。
【0070】
−非適応型の最適値を1として各手法の最適値を評価(基本)
−計算時間
(実施の形態のまとめ)
以上、説明したとおり、本実施の形態により、トラヒック需要に対してネットワークの設備資源を割り当てる設備設計装置であって、
ネットワーク構成情報、設備費用情報、及びトラヒック需要を入力する入力手段と、
前記ネットワーク構成情報、前記設備費用情報、及び前記トラヒック需要に基づいて、制約条件の下で、ネットワークの設備費用を最小にする最適化問題を解くことにより、前記設備資源の設定変更を行う設定変更時間として、予め定めた個数の設定変更時間を算出する計算手段と、を備え、
前記計算手段は、追加することで設備費用を削減する効果が最も高い設定変更時間を、1つずつ決定し、追加する
ことを特徴とする設備設計装置が提供される。
【0071】
前述した入力部110は入力手段の例であり、設備設計計算部120は計算手段の例である。なお、
図3に示した設備設計装置100への入力値の1つである設備構築費は、上記の設備費用情報の例であり、
図3に示した設備設計装置100への入力値の1つであるトラヒック予測情報(時系列)は、上記のトラヒック需要の例である。
【0072】
前記計算手段は、順次追加していく設定変更時間の計算の過程において、既に決定している設定変更時間の前後予め定めた時間を除いた範囲で設備費用を削減する効果が最も高い設定変更時間を決定することとしてもよい。
【0073】
前記計算手段は、設定変更時間を新たに追加する時点において、各設定変更時間候補の設備費用の削減効果を評価し、この効果が予め指定した値以下であった場合に、該当する設定変更時間候補を設定変更時間候補の集合から取り除くこととしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態により、トラヒック需要に対してネットワークの設備資源を割り当てる設備設計装置であって、
ネットワーク構成情報、設備費用情報、及びトラヒック需要を入力する入力手段と、
前記ネットワーク構成情報、前記設備費用情報、及び前記トラヒック需要に基づいて、制約条件の下で、ネットワークの設備費用を最小にする最適化問題を解くことにより、前記設備資源の設定変更を実施しない非設定変更時間として、予め定めた個数の非設定変更時間を算出する計算手段と、を備え、
前記計算手段は、予め定めた各時間において設定変更を実施するという状態から始めて、設定変更を実施しないことによる設備費用の増加が最小となる非設定変更時間を、1つずつ決定し、追加することを特徴とする設備設計装置が提供される。
【0075】
前述した入力部110は入力手段の例であり、設備設計計算部120は計算手段の例である。
【0076】
前記計算手段は、非設定変更時間を新たに追加する時点において、各非設定変更時間候補の設備費用の増加の効果を評価し、この効果が予め指定した値以下であった場合に、当該非設定変更時間候補も非設定変更時間として追加することとしてもよい。
【0077】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。