【文献】
Jong Wook Hong,A nanoliter-scale nucleic acid processor with parallel architecture,NATURE BIOTECHNOLOGY,2004年 4月,Vol. 22, No. 4,pp. 435-439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二循環流路は2以上の循環流路バルブを有し、前記循環流路バルブのそれぞれは、循環流路バルブで区切られる循環流路の区画のそれぞれが所定の体積となるように配置されており、
前記第二循環流路に少なくとも1つの導入流路及び排出流路が接続し、前記導入流路及び排出流路は、前記循環流路の区画のそれぞれに異なる溶液を導入できるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、循環型混合器、流体デバイス、システム及び検出方法の実施の形態を、適宜、図を参照して説明する。
実施形態の流体デバイスは、サンプルがその内部を移動する流路が形成された基板である。
実施形態の流体デバイスは、2種以上の溶液を混合する第一流路と、
前記第一流路で混合された溶液を循環させ、前記溶液に含まれる試料物質を捕捉する捕捉部及び/又は前記溶液に含まれる試料物質を検出する検出部を有する第二循環流路と、を含む。循環流路とは、溶液の少なくとも一部を繰り返し循環させることができる流路である。第一流路は、溶液を混合することができる限りどのような形状であってもよい。例えば、溶液を往復させることのできる直線的な流路であってもよく、循環流路であってもよい。
実施形態の流体デバイスは、循環型混合器を含む。循環型混合器は流体デバイスの一部であり、第一流路、第二循環流路、及びこれらに接続する流路を含む。したがって、循環型混合器に含まれる構成は、流体デバイスにも含まれる。
[流体デバイスの第1実施形態]
まず、本実施形態の流体デバイスの第1実施形態について説明する。第1実施形態の流体デバイスは、第1実施形態の循環型混合器1aを含む。
第1実施形態の循環型混合器1aは、第一循環流路10と、第二循環流路50とを含む。
図1は、第1実施形態の循環型混合器1aを模式的に示した平面図である。第一循環流路10には、排出流路31及び導入流路21が接続している。分岐流路は枝管と言い換えてもよい。排出流路31は排出流路バルブO1を備えてもよい。
第二循環流路50は、検出部60を備える。
【0010】
排出流路31には、排出流路31を開閉する排出流路バルブO1が設けられている。循環型混合器1aは、排出流路バルブO1の開閉を操作することで、循環流路10内の液や空気等の排出及び充填を制御できる。第一循環流路10において、流路内の壁面と溶液の相互作用(摩擦)により、壁面周辺の流速は遅く、流路中央の流速は速くなる。その結果、液体の流速に分布ができるため、溶液の混合が促進される。第一循環流路10は、液体の撹拌を促進するため、急なカーブや、S字型又はジグザグ状の流路を有していてもよい。当該流路の内径は一例には0.01mm〜3mmであり、例えば0.5mm〜1.5mmである。
【0011】
循環流路は2以上の循環流路バルブを有してもよい。第一循環流路10は、第一循環流路バルブV1と、第二循環流路バルブV2と、を備える。導入流路と排出流路の少なくとも1つは、循環流路バルブの近傍に配置する。
図1において、導入流路21及び排出流路31は、それぞれ循環流路バルブV2,V1の近傍に配置されている。
第一循環流路バルブV1及び第二循環流路バルブV2は、第一循環流路10を区画する。
図1において、第一循環流路バルブV1は、第一循環流路10における排出流路31の左側近傍に配置され、第二循環流路バルブV2は、第一循環流路10における導入流路21の左側近傍に配置されている。循環流路バルブが流入又は排出流路から離れた場所に位置する場合、第一循環流路バルブV1及び第二循環流路バルブV2を閉じた状態で導入流路21から液体を流入させると、流入又は排出流路と循環流路バルブとの間に、それ以前に入っていた液体や気体が残存してしまうことがある。「近傍」は、例えば、かかる液体や気体の残存が生じない程度に近い距離を意味する。
図1において、第一循環流路バルブV1は排出流路31の右側及び左側のいずれに配置されていてもよく、第二循環流路バルブV2は導入流路21の右側及び左側のいずれに配置されていてもよい。例えば、第一循環流路10において、時計回りに、第一循環流路バルブV1、導入流路接続部、排出流路接続部、第二循環流路バルブV2と位置していてもよい。あるいは、第一循環流路10において、時計回りに、導入流路接続部、第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、排出流路接続部、と位置していてもよい。
【0012】
循環流路バルブV1,V2のそれぞれは、循環流路バルブV1,V2で区切られる循環流路の区画のそれぞれが所定の体積となるように配置されている。
第一循環流路バルブV1および第二循環流路バルブV2が閉じられると、第一循環流路10は、それぞれ所定の体積を有する流路10x、10yに区画される。循環流路10のうち、流路10xは排出流路31との接続部及び導入流路21との接続部を含まない流路である。循環流路10のうち、流路10yは排出流路31との接続部及び導入流路21との接続部の双方を含む流路である。第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、及び排出流路バルブO1を開放した状態で、導入流路21から第一循環流路10内に送液し、第一循環流路バルブV1と第二循環流路バルブV2とを閉じることによって、所定の体積の液体を流路10xに収容することが可能である。
一方、第一循環流路バルブV1および第二循環流路バルブV2が開かれると、区画された循環流路10が連通され、区画された循環流路のそれぞれに収容された液が混合可能となる。
循環流路10内は、予め流路内の体積が定められているので、第一循環流路バルブV1及び第二循環流路バルブV2により区画された流路10x及び流路10yに充填された液の体積が正確に把握された状態で、循環流路10内で液を混合できる。
【0013】
第一循環流路10は、溶液を循環させるためのポンプを有してもよい。第一循環流路10がポンプを備える場合、ポンプ駆動によって送液が行われ、複数の液を第一循環流路10中で混合することが容易となる。ポンプの駆動によって対流が生じ、複数の液の混合が促進される。ポンプは、バルブの開閉により送液が可能なポンプバルブであってもよい。ポンプは、第一循環流路10に配置された少なくとも3つのポンプバルブを含んでもよい。例えば、第一循環流路10が少なくとも3つのポンプバルブを含む場合、少なくとも3つのバルブの開閉を制御することにより、第一循環流路内における送液方向の制御が可能となる。ポンプバルブの数は、4つ以上でもよい。第一循環流路10中にポンプが配置されることで、より効率的な液循環が実現される。また、ポンプの駆動によって送液速度や方向が制御できる。なお、循環流路バルブのいずれか又は全てをポンプバルブとして使用してもよい。例えば、循環流路バルブV1,V2の少なくとも1つが、前記ポンプバルブとして用いられてもよい。循環流路バルブがポンプバルブとしての機能も持つ場合、バルブを減らすことができる。そのためバルブを駆動させるための駆動系を少なくすることができる。
【0014】
第一循環流路10では、例えば、試料溶液の前処理を行うことができる。「試料溶液の前処理」とは、例えば、試料溶液に含まれる試料物質を検出するために、試料溶液を試薬等の複数の液を混合することである。
本実施形態において、試料溶液の前処理は、第一循環流路10内で区画化された循環流路の一方に収容された試料溶液を、他方に収容された試薬等と混合し、反応させることである。例えば、試料溶液と検出補助物質を含む液とを第一循環流路10内で循環させて、試料物質と検出補助物質とを結合させることで、試料物質検出のための前処理を行うことができる。
【0015】
循環型混合器1aは、第一循環流路10と第二循環流路50と、両者を直接に接続する接続流路100を含む。接続流路100は、接続流路バルブV9を有する。接続流路バルブV9を閉じることにより、第一循環流路10で溶液を循環し混合することができる。接続流路バルブV9を開放することにより、第一循環流路10で混合された液を、接続流路100を介して第二循環流路50に導入することができる。
図1において、第二循環流路50内の容積は、第一循環流路10内の容積よりも小さいが、第一循環流路内の容積と第二循環流路内の容積はどちらが大きくてもよい。
【0016】
本実施形態において、第二循環流路50は、溶液に含まれる試料物質を検出する検出部60を有する。検出部60は、試料物質を光検出するものであってもよく、一例として、対物レンズ、撮像部を備えていてもよく、撮像部は、例えばEMCCD(Electron Multiplying Charge Coupled Device)カメラを備えていてもよい。
或いは、検出部60は、試料物質を電気化学検出するものであってもよく、一例として、電極を備えていてもよい。検出部60については、後で詳しく説明する。
【0017】
試料物質を検出するとは、試料物質を間接的に検出することも含む意味で用いている。
試料物質を間接的に検出する例として、試料物質を、試料物質の検出を補助する検出補助物質と結合させてもよい。検出補助物質としては、標識物質が挙げられる。
標識物質としては、例えば、蛍光色素、蛍光ビーズ、蛍光タンパク質、量子ドット、金ナノ粒子、ビオチン、抗体、抗原、エネルギー吸収性物質、ラジオアイソトープ、化学発光体、酵素等が挙げられる。
蛍光色素としては、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Cy3、Cy5、Alexa568、Alexa647等が挙げられる。
酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシターゼ等が挙げられる。
これらの標識物質を後述する検出部60によって検出することで試料物質を検出可能である。標識物質として酵素を用いる場合、基質との反応により生成される色素や蛍光等の反応産物を検出部60によって検出することで、試料物質を検出可能である。
【0018】
第二循環流路50は、循環流路バルブを有していてもよい。例えば、2つの循環流路バルブを配置すれば、これらを閉じることにより、第二循環流路50を2つの部分に区画することができる。この状態で、接続流路100が接続していない方の区画に、検出補助物質を含む溶液を予め収容し、接続流路100が接続している方の区画に、第一循環流路から試料溶液を送る。その後、接続流路バルブV9を閉じて、第二循環流路の2つのバルブを開放することにより、試料溶液と検出補助物質を含む溶液を混合させ、試料物質と検出補助物質を結合させることができる。
第二循環流路は、試料物質の捕捉部を有していてもよく、第一循環流路は、検出部及び/又は捕捉部を有していてもよい。また、第二循環流路は、第一循環流路と同様にポンプを有していてもよい。
【0019】
第1実施形態の循環型混合器1aを含む流体デバイスによれば、第一循環流路10に、第一循環流路バルブV1及び第二循環流路バルブV2が設けられているため、複数の液の体積が正確に定量された状態で、該複数の液を混合できる。そして、第一循環流路10で混合された溶液を、第二循環流路50に送ることにより第二循環流路に設けられた検出部60で、溶液に含まれる試料物質を検出することができる。
【0020】
[流体デバイスの第2実施形態]
流体デバイスの第2実施形態は、第2実施形態の循環型混合器を有する。以下、循環型混合器が含む構成は、流体デバイスにも含まれる。
図2は、第2実施形態の循環型混合器1bを模式的に示した平面図である。第2実施形態では、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
第2実施形態の循環型混合器1bは、第一循環流路10に第一の液を導入する導入流路21(第一の導入流路)と、第二の液を導入する導入流路22(第二の導入流路)とを備える。導入流路21には、導入流路21を開閉する導入流路バルブI1が設けられている。導入流路22には、導入流路22を開閉する導入流路バルブI2が設けられている。第二循環流路バルブV2は、導入流路21と導入流路22との間且つ近傍に配置される。
【0022】
第一循環流路10では、例えば、試料溶液の前処理を行うことができる。例えば、前処理として、第一循環流路10内で試料物質を含む試料溶液と、担体粒子とを含む液を混合し、担体粒子−試料物質複合体を得てもよい。
担体粒子は、一例として、検出の対象となる試料物質と反応可能な粒子である。試料物質は、例えば、核酸、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、細胞外小胞体などの生体分子である。
担体粒子と試料物質との反応は、例えば、担体粒子と試料物質との結合、担体粒子と試料物質同士の吸着、試料物質による担体粒子の修飾、試料物質による担体粒子の化学変化などが挙げられる。
本実施形態において用いられる担体粒子は、磁気ビーズ、磁性粒子、金ナノ粒子、アガロースビーズ、プラスチックビーズ等が挙げられる。
担体粒子と試料物質とを結合させるために、試料物質に結合又は吸着可能な物質を表面に備えた担体粒子を用いてもよい。例えば、担体粒子とタンパク質とを結合させる場合、タンパク質に結合可能な抗体を表面に備えた担体粒子を用いて、担体粒子表面の抗体とタンパク質とを結合可能である。試料物質に結合可能な物質は、試料物質の種類に応じて適宜選択すればよい。試料物質に結合又は吸着可能な物質/試料物質又は試料物質に含まれる部位との組み合わせの例としては、アビジン及びストレプトアビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、スクシンイミジル基等の活性エステル基/アミノ基、ヨウ化アセチル基/アミノ基、マレイミド基/チオール基(‐SH)、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
【0023】
本実施形態において、第一循環流路10は、捕捉部40を有する。捕捉部40は、第一循環流路10を循環する溶液中の試料物質を捕捉する。捕捉部は、担体粒子に結合した試料物質を捕捉するものであってもよい。以下、試料物質が担体粒子に結合している場合について説明する。
第一循環流路10には、担体粒子を捕捉する捕捉部40が設けられている。第一循環流路10は、担体粒子を含む液を循環させることができるので、担体粒子の捕捉部40への捕捉機会が促進され、高効率に担体粒子の捕捉が可能である。
なお、担体粒子と試料物質とは、第一循環流路10中で反応してもよい。たとえば、担体粒子を含む液と試料物質を含む溶液とを第一循環流路10に導入して、循環流路中で混合することで、担体粒子と試料物質とが結合した複合体が形成される。例えば、粒子表面に生体分子が固定されており、液中に粒子表面の生体分子と結合する試料物質が存在する場合、混合することで衝突頻度を増し、両者の結合反応速度を向上させることが可能である。この技術は、例えば単一項目の測定が主流である免疫測定に適している。
また、担体粒子と試料物質とが反応して結合した物を循環流路10に導入して、捕捉部40において捕捉してもよい。
【0024】
第一循環流路10内では、担体粒子を含む液が循環する。担体粒子を含む溶液は、循環流路内を一方向又は双方向に流動し、循環流路内を循環する又は往復する。捕捉部40は循環流路10に設けられ、担体粒子を捕捉する捕捉手段を設置可能な捕捉手段設置部を有する。捕捉部40には、循環流路10内を循環している担体粒子の分散液から、該担体粒子を捕捉・収集可能である。捕捉手段は、担体粒子を捕捉可能であれば特に制限されない。一例として、担体粒子に磁気ビーズ又は磁性粒子を用いる場合、捕捉手段としては磁石等の磁力発生源を例示できる。その他捕捉手段としては、担体粒子と結合可能な充填剤を有するカラム、担体粒子を引きつけ可能な電極等が挙げられる。
捕捉手段は、捕捉部又は流体デバイスに設けられ一体となっていてもよいが、捕捉部又は流体デバイスの外部に、別に設けられていてもよい。捕捉手段は、捕捉部又は流体デバイスに対して取り外し可能であってもよい。
捕捉手段と担体粒子は直接接してもよいし、捕捉部に担体粒子を捕捉可能であれば、磁力による捕捉に代表されるように、捕捉手段と担体粒子は直接に接しなくともよい。例えば、循環流路10の流路外の流路近傍に磁石が配置されていてもよい。
捕捉部40は循環流路10の一部であってもよい。また、循環流路10全域において捕捉手段設置部を有していてもよい。捕捉部40の大きさはどのような大きさであってもよい。捕捉部40の幅は循環流路10の幅よりも広くてもよい。
捕捉部40は、磁石を設置可能な磁石設置部41を有してもよい。捕捉部40において、磁石設置部41と垂直に交わる方向の流路内の内径は、循環流路10における同方向の流路内の内径よりも小さく形成されていることが好ましい。例えば、捕捉手段が磁石であった場合には、これにより、捕捉手段から流路内の担体粒子までの距離が短くなり、担体粒子の捕捉効率が向上する。
【0025】
捕捉部40は、担体粒子に対する親和性を制御可能に構成されていてもよい。例えば、磁石設置部41の磁石の磁力を制御可能に構成することにより、担体粒子の捕捉と解放(非捕捉)を制御できる。
例えば、磁石と循環流路との距離を変えることにより、担体粒子に与えられる磁力を制御してもよい。磁石が磁石設置部41に設置され、磁石を循環流路に近接させることにより、担体粒子が磁力により循環流路10における磁石設置部41の周辺に捕捉される。一方、磁石が磁石設置部41から外されて、循環流路から遠ざけられた状態とされることにより、循環流路10内壁面に捕捉されていた担体粒子の捕捉が解かれる。担体粒子が捕捉状態から自由な状態になることにより、担体粒子は再度溶液中に分散されてもよい。
磁石として電磁石を使用する場合、電流のON/OFF及び電流値の制御により、磁力の強さを制御できる。
【0026】
このとき、担体粒子は試料物質と結合した状態で捕捉可能である。例えば、試料物質と結合された担体粒子を捕捉部40に捕捉することで、第一循環流路10内を循環する液から、試料物質及び担体粒子を分離可能である。そのため、試料物質及び担体粒子の濃縮や洗浄、移送を効果的に実現できる。
【0027】
第一の導入流路21、第二の導入流路22、及び排出流路31は、循環流路10の区画のそれぞれに異なる溶液を導入できるように構成されている。
第2実施形態の循環型混合器1bによれば、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、導入流路バルブI1,I2の開閉を操作することで、循環流路バルブV1,V2によって区画された循環流路10内の流路10x、10yに対して第一の液と第二の液とを区画した状態で個別に、液や空気等の充填を制御できる。このことによって、第一の液と第二の液との混合反応を正確に制御することができる。例えば、第一の液に抗体が含まれており、第二の液に抗原が含まれている場合、循環流路バルブV1、V2を開放するまでの間は抗原抗体反応が起こらないようにすることができる。
また、循環流路10に捕捉部40が設けられているため、担体粒子を含む液を一方向又は双方向に流動させて、循環流路内を循環又は往復させて、担体粒子を捕捉部に捕捉できる。担体粒子を含む液を循環可能であることで捕捉部40への捕捉機会が促進され、高効率に担体粒子の捕捉が可能である。ループ型流路内で粒子を循環させることで、何度も粒子が捕捉エリアを通過し、積算効果により捕捉効率は向上する。また、担体粒子と試料物質との結合反応後、試料物質と結合した担体粒子を捕捉部40に固定したままで洗浄や溶液交換を行うことが可能となり、未結合の試料物質と分離できる。
【0028】
なお、例えば第一循環流路10には、さらに第三循環流路バルブV3(不図示)が設けられてもよく、排出流路31は、循環流路10における第一循環流路バルブV1と第三循環流路バルブV3との間に接続されていてよい。第三循環流路バルブV3の開閉を操作することで、循環流路バルブによって区画された循環流路10内から個別に、液や空気等の排出及び充填を制御できる。この場合、溶液の導入は例えば以下のように説明できる。まず、第二循環流路バルブV2と第三循環流路バルブを閉じ、導入流路バルブI1、第一循環流路バルブV1、及び排出流路バルブO1を開けた状態で、第一の導入流路21から第一の液を導入する。第一の液は流路10xを通って排出流路31に排出される。その後、第一循環流路バルブV1を閉じると、第一の液は流路10yを通ることなく、流路10xに充填される。次に、第三循環流路バルブを開放して、第二の導入流路22から第二の液を導入する。すると、第二の液は流路10yを通って排出流路31に排出される。その後、排出バルブO1を閉じると、第二の液は流路10xを通ることなく、流路10yに充填される。このように、第三循環流路バルブV3が設けられることにより、第一の液と第二の液とが、混合の前に不要に接触することを抑制できる。
本実施形態において、第二循環流路50は、溶液に含まれる試料物質を検出する検出部及び/又は捕捉部を有する。第二循環流路50が捕捉部を有する場合、第一循環流路10の捕捉部と同じ構成であっても、異なる構成であってもよい。同じ構成の場合、例えば、試料物質と担体粒子が結合した状態のまま、第一循環流路10から第二循環流路50に移送し、当該担体粒子を捕捉部で捕捉することができる。
【0029】
[流体デバイスの第3実施形態]
第3実施形態の流体デバイスは、第3実施形態の循環型混合器を有する。以下、循環型混合器が含む構成は、流体デバイスにも含まれる。
図3は、第3実施形態の循環型混合器を模式的に示した平面図である。第3実施形態では、第2実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
第3実施形態の循環型混合器1cは、第一の液を排出する排出流路31と、第二の液を排出する排出流路32とを備え、循環流路10に、排出流路31,32が接続する。排出流路31には、排出流路31を開閉する排出流路バルブO1が設けられている。排出流路32には、排出流路32を開閉する排出流路バルブO2が設けられている。循環流路バルブV1は、排出流路31と排出流路32の間且つ近傍に配置される。
【0031】
第3実施形態の循環型混合器1cによれば、上記第2実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、排出流路バルブO1,O2の開閉を操作することで、循環流路バルブV1,V2によって区画された循環流路10内の流路10x、10yに対して個別に、液や空気等の排出及び充填を制御できる。
【0032】
(第一循環流路10を用いた混合方法)
第一循環流路10を用いた液混合方法の一例を、以下、
図4A〜Eを参照して説明する。まず、循環流路バルブV1,V2、および排出流路バルブO1が開かれた状態で(
図4A参照)、導入流路21から循環流路10内に第一の液91を送液する(
図4B参照)。次いで、循環流路バルブV1,V2を閉めて流路10xと流路10yとを区画する(
図4C参照)。これにより、流路10xの容積の第一の液91が、流路10xに充填される。そして、導入流路21から循環流路10y内に第二の液92を送液する(
図4D参照)。これにより、流路10y内に第二の液92が充填される。排出バルブO1を閉じると、流路10yの容積の第二の液92が、流路10yに充填される(
図4D参照)。循環流路バルブV1,V2を開け、第一の液91と第二の液92とを循環流路10内を循環させて混合し、第三の液93を得る(
図4E参照)。
【0033】
かかる混合方法によれば、循環流路バルブV1,V2の開閉によって、循環流路10の区画化と連通を制御することで、第一の液91及び第二の液92の定量及びそれらの混合が可能である。
【0034】
[流体デバイスの第4実施形態]
第4実施形態の流体デバイスは、第4実施形態の循環型混合器を有する。以下、循環型混合器が含む構成は、流体デバイスにも含まれる。
図5は、第4実施形態の循環型混合器1dを模式的に示した平面図である。循環型混合器1dは、第一循環流路10、及び第二循環流路50を備える。第4実施形態の第一循環部では、第3実施形態の第一循環部の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
第一循環流路10は、循環流路バルブV1,V2,V3を有する。第二循環流路50は、第二循環流路50に設けられ、担体粒子と結合した試料物質を検出する検出部60を備える。
第二循環流路50で循環する液は、バルブ、ポンプ等の送液手段により第一循環流路10から移送される液である。第一循環流路10で前処理された液であってもよい。
例えば、試料物質を含む試料溶液を第一循環流路10内で循環させて担体粒子及び検出補助物質と結合させることで、試料物質検出のための前処理が可能である。試料物質は、第一循環流路10から第二循環流路50に送液される。第二循環流路50では、試料物質が捕捉及び/又は検出される。試料物質は第二循環流路50において循環されることで検出部60と繰返し接触し、効率良く検出される。
【0036】
検出部60は捕捉部42に捕捉された担体粒子に結合した試料物質を検出可能なよう、捕捉部42に向けて配置されており、捕捉部42及び検出部60が、前記第二流路の同じ位置に配置されている。
検出部60は、試料物質を光検出するものであってもよく、一例として、対物レンズ、撮像部を備えていてもよく、撮像部は、例えばEMCCD(Electron Multiplying Charge Coupled Device)カメラを備えていてもよい。
或いは、検出部60は、試料物質を電気化学検出するものであってもよく、一例として、電極を備えていてもよい。
なお、本実施形態においては、検出部60は捕捉部42に向けて配置されることとしたが、検出方法によっては、検出部は捕捉部42に向けて配置されていなくともよいため、第二循環流路50内の検出部60の位置は任意である。
【0037】
捕捉部42は、担体粒子を配列可能なアレイ状であってもよい。このような形態としては、担体粒子を捕捉可能な領域がアレイ状に配置されてなるもの、担体粒子を収容可能な孔がアレイ状に配置されてなるもの等が挙げられる。たとえば、担体粒子を捕捉可能な領域はウェル形状でもよく、ウェルのサイズは担体粒子が1個ずつ入るように、担体粒子の径の1〜2倍のサイズであってもよい。また、捕捉手段が複数の磁石がアレイ状に配列された磁石アレイであってもよい。捕捉部42においては担体粒子を捕捉した状態で、担体粒子に結合する試料物質を解析してもよい。担体粒子を配列させて捕捉することで、担体粒子に結合する試料物質の解析が効率化される。
【0038】
第一循環流路10には、それぞれ第一〜第五の液を導入する導入流路21,22,23,24,25が接続する。導入流路21,22,23,24,25にはそれぞれ、導入流路を開閉する導入流路バルブI1,I2,I3,I4,I5が設けられている。
また、第一循環流路10には、空気を導入する導入流路81が接続し、導入流路81には導入流路を開閉する導入流路バルブA1が設けられている。
第一循環流路10には、排出流路31,32,33が接続する。排出流路31,32,33にはそれぞれ、排出流路を開閉する排出流路バルブO1,O2,O3が設けられている。
循環流路10には、循環流路10を区画する第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、第三循環流路バルブV3が設けられている。第一循環流路バルブV1は排出流路31の近傍に配置される。第二循環流路バルブV2は、導入流路21及び導入流路22の間且つ近傍に配置される。第三循環流路バルブV3は、排出流路32及び排出流路33の間且つ近傍に配置される。
このように、循環流路10は、第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、第三循環流路バルブV3が閉じたときに3つの流路10x,10y,10zに区画され、各区画には、少なくとも一つの導入流路及び排出流路が接続する。
【0039】
第二循環流路50には、導入流路26,27が接続する。導入流路26,27にはそれぞれ、導入流路を開閉する導入流路バルブI6,I7が設けられている。
また、第二循環流路50には、空気を導入する導入流路82が接続し、導入流路82には導入流路を開閉する導入流路バルブA2が設けられている。
第二循環流路50には、排出流路34が接続する。排出流路34には、排出流路を開閉する排出流路バルブO4が設けられている。
【0040】
循環流路10には、ポンプバルブV4,V5が設けられている。ここで第三循環流路バルブV3はポンプバルブとしても兼用される。第二循環流路50には、ポンプバルブV6,V7,V8が設けられている。
【0041】
なお、第二循環流路50は、2以上の循環流路バルブにより、それぞれ所定の体積を有する2以上の区画に区画化されてもよい。第4実施形態の循環型混合器1dでは、バルブV6,V7,V8はポンプバルブとしていたが、これらのバルブが閉じたときに第二循環流路50を区画してもよい。バルブを用いた第二循環流路の区画については、実施形態の第一循環流路10において説明した態様を採用可能である。
【0042】
第二循環流路50内の容積は、第一循環流路10内の容積よりも小さくてもよい。ここで循環流路内の容積とは、循環流路内で液が循環される際の循環流路内の容積である。第一循環流路内10の容積は、一例として、バルブV1,V2,V3,V4,V5が開かれ、バルブI1,I2,I3,I4,I5,O1,O2,O3,A1,V9が閉じられた際の循環流路10内容積である。第二循環流路50内の容積は、一例として、バルブV6,V7,V8が開かれ、バルブI6,I7,O4,A2,V9が閉じられた際の第二循環流路50内容積である。
第二循環流路50内の容積が、循環流路10内の容積より小さくされていることで、循環流路10において循環する液よりも第二循環流路50で循環する液の方が少なくなる。そのため、検出に使用される薬剤の使用量を抑えることができる。また、第二循環流路50内の容積が、循環流路10内の容積より小さくされていることで、検出感度の向上が可能となる。例えば、検出対象物が第二循環流路50内の液に分散又は溶解している場合、第二循環流路50内の液量を小さくすることによって検出対象物が濃縮されるので、検出感度を向上可能である。
また、第二循環流路50内の容積は、循環流路10内の容積より大きくてもよい。この場合、循環流路10において循環する液よりも第二循環流路50で循環する液の方が多くなる。この場合、例えば例えば循環流路10で循環した液を第二循環流路50に移送し、更に測定液や基質溶液を追加することができる。
【0043】
第一循環流路10と、第二循環流路50とは、接続流路100により接続される。接続流路100には、接続流路100を開閉する接続流路バルブV9が設けられている。接続流路バルブV9が閉じられた状態で、循環流路10において液を循環させて前処理等を行う。その後、接続流路バルブV9を開放し、接続流路を通じて第二循環流路に送液する。その後、接続流路バルブV9を閉じて、第二循環流路において液を循環させて検出反応を行う。このことによって、必要な前処理を行った後に第二循環流路に前処理後の試料が送液されるため、第二循環流路50で不要な物質が循環することを防ぐことができる。そのため、コンタミネーションや検出時のノイズを抑制できる。また、第一循環流路10と第二循環流路50とでは、液が循環可能な流路を互いに共有しない。循環可能な流路を互いに共有しないことにより、循環流路10内の壁面に付着するなどした残留物が、第二循環流路50で循環されるおそれが低減され、循環流路10内に残った残留物に起因する第二循環流路50での検出時におけるコンタミネーションの低減が可能である。
【0044】
なお、第二循環流路には、捕捉部及び/又は検出部を有する限り、第一循環流路10で説明したその他の構成を採用してもよい。
例えば、前記第二循環流路は2以上の循環流路バルブを有し、前記循環流路バルブのそれぞれは、循環流路バルブで区切られる循環流路の区画のそれぞれが所定の体積となるように配置されており、
前記第二循環流路に少なくとも1つの導入流路及び排出流路が接続し、前記導入流路及び排出流路は、前記循環流路の区画のそれぞれに異なる溶液を導入できるように構成されていてもよい。
【0045】
なお、流体デバイスは、第一循環流路10、第二循環流路50とは別の1又は2以上のさらなる循環流路を含んでもよい。
【0046】
第4実施形態の循環型混合器1dによれば、複数種類の液が循環して混合される第一循環流路10とは別の循環流路である第二循環流路50に、検出部60が備えられている。このため、検出の前処理としての液の混合と試料物質の検出とを別の循環流路で行うことにより、試料物質検出のための前処理の混合用の条件と検出用の条件とを、各々の循環流路で独立に選択可能である。したがって、液の混合、及び試料物質の検出が効率化される。
なお、循環流路10内で混合された後に第二循環流路50に導入された液に、第二循環流路50において、さらに基質溶液や測定液などを添加し、混合してもよい。
【0047】
[流体デバイスの第5実施形態]
図6は、第5実施形態の流体デバイスを模式的に示した平面図である。
第5実施形態の流体デバイス200は、循環型混合器1dを備える。循環型混合器の第4実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
流体デバイス200は、検体試料に含まれる検出対象である抗原(試料物質、生体分子)を免疫反応及び酵素反応により検出するデバイスである。
流体デバイス200は、循環型混合器1dを構成する流路やバルブが形成された基板である。流体デバイス200は、例えば、流路を形成した基板201と、リザーバーを形成した基板とを貼り合わせて形成してもよい。
図6には、リザーバーを形成した基板は示されていないが、理解のためリザーバーの位置は示されている。
【0048】
流体デバイス200は、導入する試料、試薬、空気別に導入用のインレットを備えている。
流体デバイス200は、第一試薬導入用インレット10aと、検体導入用インレット10bと、第二試薬導入用インレット10cと、洗浄液導入用インレット10dと、移送液導入用インレット10eと、空気導入用インレット10fとを備える。
第一試薬導入用インレット10aは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー11aに接続している。リザーバー11aに収容された第一試薬は、第一試薬導入用インレット10aを介して第一循環流路10へと導入される。
検体導入用インレット10bは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー11bに接続している。リザーバー11bに収容された検体は、検体導入用インレット10bを介して第一循環流路10へと導入される。
第二試薬導入用インレット10cは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー11cに接続している。リザーバー11cに収容された第二試薬は、第二試薬導入用インレット10cを介して第一循環流路10へと導入される。
図6に示すように、第一試薬を導入する導入流路の循環流路10への接続部と、検体を導入する導入流路の循環流路10への接続部同士は、近接して配置される。より詳しくは、第二試薬を導入する導入流路の循環流路10への接続部とよりも、近接して配置される。この構成により、第一試薬と検体との反応が促進される。
【0049】
洗浄液導入用インレット10dは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー11dに接続している。リザーバー11dに収容された洗浄液は、洗浄液導入用インレット10dを介して第一循環流路10へと導入可能される。
移送液導入用インレット10eは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー11eに接続している。リザーバー11eに収容された移送液は、移送液導入用インレット10eを介して循環流路10へと導入される。
空気導入用インレット10fは、流体デバイスの表面に開口しており、開口を介して循環流路10へと、空気を導入可能である。
【0050】
流体デバイス200は、基質溶液導入用インレット50aと、測定液導入用インレット50bと、空気導入用インレット50cとを備える。
基質溶液導入用インレット50aは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー51aに接続している。リザーバー51aに収容された基質溶液は、基質溶液導入用インレット50aを介して第二循環流路50へと導入される。
測定液導入用インレット50bは、基板201の表面に開口しており、基板201に貼り合わされた基板に形成されたリザーバー51bに接続している。リザーバー51bに収容された測定液は、測定液導入用インレット50bを介し第二循環流路50へと導入される。
空気導入用インレット50cは、流体デバイスの表面に開口しており、開口を介して導入流路82から第二循環流路50へと、空気を導入可能である。
【0051】
排出流路31,32,33は、廃液槽70に接続されている。廃液槽70は、アウトレット70aを備える。アウトレット70aは、流体デバイス200の表面に開口しており、一例として、外部吸引ポンプ(不図示)と接続されて負圧吸引できる。
【0052】
インレット10a,10b,10c,10d,10e,10f、及びリザーバー11a,11b,11c,11d,11eは、第一循環流路10の内側である循環流路内側領域10iに配置してもよく、第一循環流路の外側に配置してもよい。循環流路10は、混合及び定量の観点から、ある程度の流路長を有していることが好ましい。そこで循環流路内側領域10iに、検体や試薬類の導入のための構成を配置可能である。循環流路10に導入される検体や試薬類のための構成をまとめて配置することで、循環流路10に導入される液を導入する導入用ポートの構成をコンパクト化できる。一方、リザーバの大きさ等によっては、リザーバーやインレットを第一循環流路の外側に配置してもよい。
循環流路10の外側には廃液槽70が配置される。廃液槽70を循環流路外側領域に配置することで、廃液の貯留スペースやアウトレット等の排出部の確保が容易となる。また、廃液槽70から液体のみを排出する場合には、廃液槽70を循環流路外側領域に配置することで、廃液処理が容易になる。別法として、廃液槽は基板201とは別の基板に形成してもよく、その場合、廃液槽を第一循環流路の位置と関係なく配置することも可能である。
【0053】
なお、循環型混合器1dにおいては、第二循環流路50は第一循環流路の外側に配置されているが、循環流路内側領域10iに第二循環流路50が配置されていてもよい。その逆に、第二循環流路50の内側領域に第一循環流路10が配置されていてもよい。例えば、
図7に示す流体デバイス210では、第一循環流路10と第二循環流路50とが接続流路で接続された二重構造になっており、例えば、外側のループ構造である循環流路10で混合された液を内側のループ構造である第二循環流路50に導入してもよい。このとき、インレット及びリザーバーは、外側のループ構造である循環流路10の外側に配置されていてもよく、循環流路10の内側であって第二循環流路50の外側に配置されていてもよい。係る構成によれば、循環型混合器の省スペース化が図れ、流体デバイスのコンパクト化を実現できる。
【0054】
(流体デバイス200を用いた混合方法・捕捉方法・検出方法)
次に、上記構成の流体デバイス200を用いた混合方法、捕捉方法、及び検出方法について説明する。流体デバイス200は循環型混合器1dを備えるので、以下、循環型混合器1d用いた混合方法、捕捉方法、及び検出方法について説明する。循環型混合器1dにおける循環流路バルブのそれぞれは、前記循環流路バルブで区切られる循環流路の区画のそれぞれが所定の体積となるように配置されている。
本実施形態の捕捉方法は、担体粒子に結合した試料物質を捕捉する。
本実施形態の検出方法は、検体試料に含まれる検出対象である抗原(試料物質、生体分子)を免疫反応及び酵素反応により、担体粒子に結合した試料物質を検出する。
【0055】
(導入工程・区画化工程)
本実施形態の方法は、前記第一の循環流路の循環流路バルブを閉めた状態で、前記第一の循環流路バルブで区切られる区画の少なくとも一つに試料物質を含む溶液を導入し、別の少なくとも一つの区画に前記試料物質と結合する担体粒子を含む溶液を導入する導入工程を含む。
前記第一の循環流路が三つの循環流路バルブを有し、前記導入工程において、一つの区画に試料物質を含む溶液を導入し、一つの区画に前記試料物質と結合する担体粒子を含む溶液を導入し、一つの区画に検出補助物質を含む溶液を導入する。
まず、
図8に示すように、導入流路バルブII,I2,I3を開き、第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、第三循環流路バルブV3を閉じた状態で、第一試薬導入用インレット10aから第一試薬を、検体導入用インレット10bから検体を、第二試薬導入用インレット10cから第二試薬を導入する。このとき、導入流路バルブI5,I4,A1は閉じられている。
このようにして、第一循環流路バルブV1と第二循環流路バルブV2とで区画化された循環流路10の流路10xに、第一試薬が導入される。第二循環流路バルブV2と第三循環流路バルブV3とで区画化された循環流路10の流路10yに、検体が導入される。第三循環流路バルブV3と第一循環流路バルブV1とで区画化された循環流路10の流路10zに、第二試薬が導入される。
第一試薬は、磁性粒子(担体粒子)を含有する。磁性粒子の表面には、検出対象の抗原(試料物質)に特異的に結合する抗体Aが固定化されている。検体は、検出対象である抗原を含有する。検体としては、血液、尿、唾液、血漿、血清等の体液、細胞抽出物、組織破砕液等が挙げられる。第二試薬は、検出対象の抗原に特異的に結合する抗体Bを含有する。抗体Bには、アルカリフォスファターゼ(検出補助物質、酵素)が固定化され標識されている。
【0056】
(混合工程)
次に、前記第一の循環流路の循環流路バルブをすべて開放し、前記第一の循環流路内で溶液を循環させて混合する。この工程について説明する。
まず、
図9に示すように、導入流路バルブII,I2,I3を閉じる。また、接続流路バルブV9は閉じられている。これにより、第一循環流路10に接続する流路との連通が遮断され、第一循環流路10が孤立する。そして、第一循環流路バルブV1、第二循環流路バルブV2、及び第三循環流路バルブV3を開け、ポンプバルブV3,V4,V5を作動させて、第一試薬、検体、及び第二試薬を循環流路10内で循環させて混合し、これらの混合液を得る。第一試薬、検体、及び第二試薬の混合により、担体粒子に固定化された抗体Aに抗原が結合し、該抗原に酵素が固定化された抗体Bが結合する。これにより、混合工程において担体粒子−抗原−酵素複合体が形成される。このようにして、混合工程において、担体粒子−試料物質−検出補助物質複合体を得る。
【0057】
(磁石設置工程・捕捉工程)
次に、前記担体粒子を前記捕捉部に捕捉する捕捉工程について説明する。
捕捉部40は磁性粒子を捕捉する磁石を設置可能な磁石設置部41を備える。磁石設置部41は、磁石の磁力を制御可能に構成されている。磁石設置部の磁石の磁力を高めて溶液を循環させると、前記担体粒子が前記捕捉部に捕捉される。例えば、磁石を磁石設置部41に設置し、磁石が循環流路に近接した捕捉可能状態とする。この状態で、ポンプバルブV3,V4,V5を作動させて、担体粒子−抗原−酵素複合体を含む液を循環流路10内で循環させ、捕捉部40に担体粒子−抗原−酵素複合体を捕捉する。担体粒子−抗原−酵素複合体は、循環流路内を一方向又は双方向に流動し、循環流路内を循環する又は往復する。
図9では、担体粒子−抗原−酵素複合体が一方向に循環する様子を示している。複合体は、捕捉部における循環流路10内壁面上に捕捉され、液成分から分離される。
【0058】
(洗浄工程)
次に、捕捉部に捕捉された担体粒子を洗浄する工程について説明する。
導入流路バルブA1及び排出流路バルブO2を開け、第三循環流路バルブV3を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、空気導入用インレット10fから循環流路10内へと空気を導入する。これにより、担体粒子−抗原−酵素複合体と分離された液成分(廃液)を、排出流路32を介して第一循環流路10から排出する。廃液は廃液槽70に貯留される。第三循環流路バルブV3を閉じることで、循環流路10全体へと効率よく空気が導入される。
その後、排出流路バルブO2及び第三循環流路バルブV3を閉じ、導入流路バルブI4及び排出流路バルブO3を開け、アウトレット70aから負圧吸引し、洗浄液導入用インレット10dから、第一循環流路10内へと洗浄液を導入する。第三循環流路バルブV3を閉じることで、第一循環流路10を満たすように洗浄液が導入される。
第三循環流路バルブV3を開け、導入流路バルブI4及び排出流路バルブO2を閉めて、循環流路10を閉鎖し、ポンプバルブV3,V4,V5を作動させて、洗浄液を循環流路10内で循環させ、担体粒子を洗浄する。
続いて、導入流路バルブA1及び排出流路バルブO2を開け、第三循環流路バルブV3を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、空気導入用インレット10fから循環流路10内へと空気を導入する。これにより、洗浄液を循環流路10から排出し、担体粒子−抗原−酵素複合体を形成しなかった抗体Bを循環流路10内から排出する。
なお、洗浄液の導入と排出は複数回行われてもよい。繰返し、洗浄液を導入し、洗浄し、洗浄後の液を排出することによって、不要物の除去効率が高まる。
【0059】
(移送工程)
次に、前記担体粒子を前記捕捉部から解放し、前記担体粒子に結合した又は遊離した試料物質を含む溶液を、前記接続流路を通じて前記第二の循環部の循環流路に移送する移送工程について説明する。
導入流路バルブI5及び排出流路バルブO3を開け、排出流路バルブO2及び第三循環流路バルブV3を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、移送液導入用インレット10eから循環流路10内へと移送液を導入する。
また、導入流路バルブI5及び排出流路バルブO2を開け、排出流路バルブO3及び第三循環流路バルブV3を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、移送液導入用インレット10eから循環流路10内へと移送液を導入する。
続いて、第三循環流路バルブV3を開け、導入流路バルブI5及び排出流路バルブO2,O3を閉め、循環流路10を閉鎖する。そして、磁石を磁石設置部41から外し、循環流路から遠ざけて、循環流路10内壁面上に捕捉されていた担体粒子−抗原−酵素複合体の捕捉を解く。ポンプバルブV3,V4,V5を作動させて、移送液を循環流路10内で循環させ、担体粒子−抗原−酵素複合体を移送液中に分散させる。このようにして、移送工程において、担体粒子−試料物質−検出補助物質複合体を含む溶液を第二の循環流路に移送する。
なお、本実施形態では、試料物質を担体粒子ごと捕捉部40から解放したが、担体粒子を捕捉したまま試料物質を担体粒子から解放して、試料物質を移送液中に含有させ、後の検出工程で試料物質を検出部で検出してもよい。
【0060】
続いて、
図10に示すように、導入流路バルブA1、接続流路バルブV9、排出流路バルブO4を開け、アウトレット70aから負圧吸引し、空気導入用インレット10fを介して循環流路10内へと空気を導入する。担体粒子−抗原−酵素複合体を含む移送液が空気によって押し出され、接続流路100を通じて第二循環流路50へと導入される。このときバルブV6を閉じておき、移送液が排出流路34と第二循環流路50との接続部まで達したら、今度はバルブV7を閉じて、第二循環流路50内を移送液で満たす。担体粒子−抗原−酵素複合体が第二循環流路50へと移送される。
なお、第二循環流路50の循環流路バルブ(ポンプバルブ)の少なくとも2つを閉じて2以上の区画に分け、移送液の少なくとも一部を、少なくとも1つの前記区画に導入してもよい。その場合、他の区画に検出に必要な試薬を予め充填しておき、循環流路バルブを開放して移送液と試薬を混合した後、検出することができる。
なお、本実施形態では、移送工程において、接続流路バルブV9を解放したが、前記移送工程に先立って前記接続流路バルブを開放してもよい。
【0061】
(検出工程)
次に、捕捉部に捕捉された前記担体粒子に結合した試料物質を、前記検出部で検出する検出工程について説明する。移送液の第二循環流路50への移送が完了した後、
図11に示すように、接続流路バルブV9、排出流路バルブO4を閉めて、第二循環流路50を閉鎖し、ポンプバルブV6,V7,V8を作動させて、移送液を第二循環流路50内で循環させ、担体粒子−抗原−酵素複合体を捕捉部42に捕捉する。
導入流路バルブA2、排出流路バルブO4を開け、アウトレット70aから負圧吸引し、空気導入用インレット50cから導入流路82を介して、第二循環流路50内へと空気を導入する。これにより、担体粒子−抗原−酵素複合体と分離された移送液の液成分(廃液)を、排出流路34を介して第二循環流路50から排出する。廃液は廃液槽70に貯留される。このときバルブV6又はV7を閉じることで第二循環流路50全体へと効率よく空気が導入される。
検出に先立って、別の少なくとも1つの前記区画に、検出補助物質を含む溶液を導入してもよい。導入流路バルブI6及び排出流路バルブO4を開け、バルブV7を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、基質溶液導入用インレット50aから導入流路26を介して、第二循環流路50内へと基質溶液を導入する。基質溶液は、アルカリフォスファターゼ(酵素)の基質となる3-(2'-spiroadamantane)-4-methoxy-4-(3''-phosphoryloxy)phenyl-. 1,2-dioxetane (AMPPD)、あるいは4-Aminophenyl Phosphate (pAPP)等が含有されている。
排出流路バルブO4及び導入流路バルブI6を閉めて、第二循環流路50を閉鎖し、ポンプバルブV6,V7,V8を作動させて、基質溶液を第二循環流路50内で循環させ、担体粒子−抗原−酵素複合体の酵素と反応させる。検出は、循環させながらおこなってもよい。
上記操作により、検体に含まれる検出対象の抗原を化学発光シグナルあるいは電気化学シグナル等として、検出部60において検出できる。このようにして、検出工程で、担体粒子−試料物質−検出補助物質複合体を検出する。
本実施形態では、第二循環流路に検出部60が配置された場合を示した。この場合のように、検出部と捕捉部とを組み合わせて用いられずともよく、第二循環流路50に捕捉部が設けられることは必須ではない。なお、検出部と捕捉部とが第二循環流と50の同じ位置に配置され、検出部及び捕捉部を組み合わせ、検出部60は、捕捉部42に捕捉された物質を検出してもよい。
或いは、アルカリフォスファターゼ(酵素)の基質となるpAPPと不溶化反応により金属として析出する金属イオンを第二循環流路50内へと導入する。排出流路バルブO4及び導入流路バルブI6を閉めて、第二循環流路50を閉鎖し、ポンプバルブV6,V7,V8を作動させて、基質溶液を第二循環流路50内で循環させ、担体粒子−抗原−酵素複合体の酵素と反応させて金属を検出部に沈着させる。前記と同様に、空気導入用インレット50cから空気を導入し、基質溶液(廃液)を、排出流路34を介して第二循環流路50から排出する。
導入流路バルブI7及び排出流路バルブO4を開け、バルブV6を閉じ、アウトレット70aから負圧吸引し、測定液導入用インレット50bから導入流路27を介して、第二循環流路50内へと測定液を導入する。測定液は、シグナルを増強させる役割を持つ物質として強電解溶液等が含有されている。
排出流路バルブO4及び導入流路バルブI7を閉めて、第二循環流路50を閉鎖し、ポンプバルブV6,V7,V8を作動させて、測定液を第二循環流路50内で循環させ、沈着した金属量を電気的に分析する。
本実施形態の検出方法は、生体試料の分析や、体外診断等に適用することも可能である。
【0062】
本実施形態の混合方法、捕捉方法、及び検出方法における、バルブの開閉の手順を表1に示す。
【0064】
本実施形態の混合方法によれば、循環流路バルブV1,V2,V3の開閉によって、第一循環流路10の区画化と連通を制御することで、第一試薬、検体、及び第二試薬の定量及びそれらの混合が可能である。
【0065】
本実施形態の捕捉方法によれば、捕捉部40を備える第一循環流路10内において担体粒子を含む液を混合することで、捕捉部40と担体粒子との接触機会が促進され、効率よく担体粒子を捕捉できる。
また、捕捉部42を備える第二循環流路50内において担体粒子を含む液を混合することで、捕捉部42と担体粒子との接触機会が促進され、効率よく担体粒子を捕捉できる。
【0066】
本実施形態の検出方法によれば、前処理から検出までを一つのデバイスで連続的に行うことができる一方で、検出の前処理としての第一試薬、検体、及び第二試薬の混合及び担体粒子−抗原−酵素複合体の形成と、抗原の検出とを別の循環流路で行うことにより、試料物質検出のための前処理の混合用の条件と検出用の条件とを各々の循環流路で独立に選択可能である。これにより、液の混合と、試料物質の検出が効率化される。また、循環流路10内の壁面に付着するなどした抗体Bが、第二循環流路50で循環されることが防止され、担体粒子−抗原−酵素複合体を形成しなかった抗体Bに起因する、検出時におけるノイズ発生の低減が可能である。
【0067】
[システム]
本発明の一実施態様におけるシステムは、循環型混合器におけるバルブの開閉を制御する制御部を備える。本発明の一実施形態におけるシステムは、流体デバイスと、前記流体デバイスのバルブの開閉を制御する制御部と、を備える。バルブの開閉の手順については、循環型混合器1aを用いた混合方法、並びに循環型混合器1d用いた混合方法、捕捉方法、及び検出方法に示す手順に代表される。
本実施形態のシステムによれば、一例として、循環型混合器における混合方法、捕捉方法、及び検出方法を行うことができる。
【0068】
本発明の実施形態によれば、混合器内で混合される各液の体積を正確に定量可能であり、検出に用いられる液の前処理と、検出対象の試料物質の検出とを、異なる循環流路内で実施可能な循環型混合器が提供される。本発明はまた、循環型混合器を備えた流体デバイスを提供する。本発明はまた、循環型混合器におけるバルブの開閉を制御する制御部を備えるシステムを提供する。本発明はまた、循環型混合器を用いた検出方法を提供する。
【実施例】
【0069】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
<実施例1>磁性粒子の捕捉
図12に示す流体デバイスを作製した。
図12に示す流体デバイスは、循環流路と、捕捉部と、磁石設置部と、導入流路と、循環流路に配置されたポンプバルブとを備える。磁石配置部には磁石を配置可能である。
図12に示すように、導入流路から循環流路へと磁性粒子分散液を導入し、ポンプバルブを作動させ、循環流路内で磁性粒子分散液を循環させた(磁石配置前)。分散液の循環を継続させながら、同時に磁石設置部へ磁石を設置し、磁性粒子捕捉可能状態とした。磁石設置から1秒後、5秒後、10秒後、30秒後、120秒後の流体デバイスの様子を
図12に示す。
また、この際の磁性粒子の捕捉状態を定量した。
図13に示す写真中、捕捉部を含む囲み線内のエリアの画像を取得し、画像処理装置によりエリア内の8bit-gray valueのヒストグラムを取得し、閾値130以上の画素数[ピクセル]の数を求めた。結果を
図13に示す。磁石配置後の送液時間の経過に伴う画素数の値の上昇が確認され、磁性粒子分散液の循環により、捕捉部における磁性粒子の捕捉量が徐々に増加していくことが示された。
このことから、磁性粒子分散液を循環させることで、磁性粒子の捕捉効率を向上可能であることが明らかとなった。
【0071】
<実施例2>磁性粒子の再分散
図14に示すように、実施例1において磁性粒子を捕捉した状態の流体デバイスの循環流路から液を排出した。次いで、捕捉部の磁石設置部から磁石を外し、磁石を循環流路から遠ざけた解放状態とさせた(送液開始前)。その後、循環流路に磁性粒子を含まない液を循環流路へと送液した。送液開始から10秒後、20秒後、30秒後、60秒後、90秒後の流体デバイスの様子を
図14に示す。
また、この際の磁性粒子の再分散状態を定量した。
図15に示す写真中、捕捉部下流の流路を含む囲み線内のエリアの画像を取得し、画像処理装置によりエリア内の各画素間の輝度のばらつき(分散)を算出した。結果を
図15に示す。送液時間の経過に伴うエリア内の分散の値の上昇とその後の低下が確認され、磁性粒子分散液の循環により、捕捉部に捕捉されていた磁性粒子が徐々に液中に分散していくことが示された。このことから、循環流路内で液を循環させることで、磁性粒子の再分散効率を向上可能であることが明らかとなった。
【0072】
<実施例3>磁性粒子の移送
図16に示す流体デバイスを作製した。
図16に示す流体デバイスは、第一循環部に、循環流路と、捕捉部と、磁石設置部と、導入流路と、循環流路に配置されたポンプバルブとを備え、第二循環部に、第二循環流路と、捕捉部と、磁石設置部と、循環流路に配置されたポンプバルブとを備える。磁石配置部には磁石を配置可能である。循環流路と第二循環流路は、接続流路により接続されている。
図16に示すように、循環流路内の磁性粒子分散液を、接続流路を介して第二循環流路へと導入した(移送中・移送後)。
図16中、移送後の下段の写真は、第二循環流路に設けられた捕捉部において磁性粒子を捕捉した様子を示す写真である。このことから、第一循環部から第二循環部へと磁性粒子分散液の移送が可能であることが示された。第一循環流路から第二循環流路に磁性粒子を導入可能であることから、
図16に示す流体デバイスを、例えば、化学発光検出や一般的な電気化学検出に適用可能である。また、第二循環流路にて磁性粒子を捕捉可能であることから、
図16に示す流体デバイスを、例えば、磁性粒子上の蛍光検出や、金属イオンなどの可溶性物質を不溶性物質に変換する不溶化反応(例えば銀の沈着)を伴う電気化学検出などの、試料物質の分析方法に適用可能である。
【0073】
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。