特許第6774310号(P6774310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774310アニオン硬化性化合物用硬化剤、硬化性組成物、硬化物、および新規なイミダゾール系化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774310
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】アニオン硬化性化合物用硬化剤、硬化性組成物、硬化物、および新規なイミダゾール系化合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20201012BHJP
   C08G 75/08 20060101ALI20201012BHJP
   C07D 233/60 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C08G59/50
   C08G75/08
   C07D233/60 103
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-224408(P2016-224408)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-80288(P2018-80288A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】工藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】有光 晃二
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−253233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/50
C07D 233/60
C08G 75/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物からなることを特徴とするアニオン硬化性化合物用硬化剤。
【化3】
(ここで、式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Arは置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基である。)
【請求項2】
請求項1記載のアニオン硬化性化合物用硬化剤と、アニオン硬化性化合物とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
【請求項3】
アニオン硬化性化合物が、エポキシ化合物またはエピスルフィド化合物であることを特徴とする請求項記載の硬化性組成物。
【請求項4】
請求項または記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
【請求項5】
下記一般式(4)で示されるイミダゾール系化合物。
【化4】
(ここで、式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。R〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化合物やエピスルフィド化合物などのアニオン硬化性化合物を硬化させるためのアニオン硬化性化合物用硬化剤、前記硬化剤とアニオン硬化性化合物を含む硬化性組成物、前記硬化性組成物を硬化させてなる硬化物、およびアニオン硬化性化合物用硬化剤として利用することのできる新規なイミダゾール系化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エポキシ化合物やエピスルフィド化合物などのアニオン硬化性化合物は、その硬化物が機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性等に優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に用いられている。かかるアニオン硬化性化合物を硬化させるためのアニオン硬化性化合物用硬化剤についても、イミダゾール類、アミン類、ジシアンジアミド、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジン類、グアニジン類等の種々の硬化剤が幅広い用途に用いられている。
【0003】
これらの中でもイミダゾール類の硬化剤は広い用途に用いられており、例えば、特許文献1では、半導体装置の電子回路部品の封止用途に用いられるエポキシ樹脂の硬化剤(硬化促進剤)として1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール等の種々イミダゾール系化合物が使用されており、また、特許文献2では、繊維強化複合材料用途において、強化用繊維材料にエポキシ樹脂組成物を含浸させて得られる所謂プリプレグを形成する際に2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物が使用されている。
【0004】
アニオン硬化性化合物の硬化条件については、その組成や使用される用途により熱環境が大きく異なるものであるため、アニオン硬化性化合物用硬化剤についても、近年、さまざまな温度条件で安定的、効率的に硬化性能を発揮することが求められており、それぞれの用途に適した硬化剤を選択、開発することが重要となっている。
【0005】
例えば、特許文献1のような電子回路部品の封止用途では、硬化剤は150〜170℃程度の高温領域で硬化性能を示すものが使用されており、特許文献2のような繊維強化複合材料用途では、室温では硬化性能を示さず、80℃以下の温度領域での一次硬化性能、130℃以上の温度領域での二次硬化性能を示す硬化剤が使用されている。
【0006】
さらに近年においては、高温域の中でもより低い温度領域(例えば、100〜130℃)で硬化可能なエポキシ樹脂組成物が求められ、例えば、特許文献3のような電子部材の封止用途では120℃以下、好ましくは60〜120℃、より好ましくは80〜110℃で硬化性を示すエポキシ樹脂組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−68418号公報
【特許文献2】特開2003−73456号公報
【特許文献3】特開2009−215368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年ではエポキシ樹脂などのアニオン硬化性化合物の使用用途は多様化してきており、上記特許文献1〜3と同じように120〜170℃付近の中温〜高温領域でアニオン硬化性化合物の硬化が行なわれる場合であっても、60〜100℃付近の低温領域では非硬化性が求められるといった、選択的な硬化性が要求される用途も生じてきている。このような選択的な硬化性が求められる用途では、特許文献1〜3に記載されている1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト等のイミダゾール系硬化剤は使用することができないものであった。
【0009】
そこで、本発明では、このような背景下において、100〜120℃付近でブロックユニットが熱分解することで硬化性が発現し、かつ100℃以下の低温領域と120℃以上の高温領域におけるアニオン硬化性化合物の硬化性能に差があり、120℃以上の高温領域で選択的にアニオン硬化性化合物の硬化反応を行なうことができ、更に保存安定性にも優れるアニオン硬化性化合物用硬化剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で示される塩基性化合物(以下、「塩基性化合物(1)」と称することがある。)をアニオン硬化性化合物の硬化剤に用いることにより、100〜120℃付近でブロックユニットが熱分解することで硬化性が発現し、かつ100℃以下の低温領域と120℃以上の高温領域におけるアニオン硬化性化合物の硬化性能に差があり、120℃以上の高温領域で選択的にアニオン硬化性化合物を硬化させることが可能となることを見出し、さらには、アニオン硬化性化合物を含有させた硬化性組成物の保存安定性にも非常に優れることを見出し、本発明を完成した。
また、塩基性化合物(1)に包含される下記一般式(4)で示されるイミダゾール系合物が新規な化合物であり、上述のとおり、有用性が高いことをも見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明における下記一般式(1)で示される塩基性化合物からなるアニオン硬化性化合物用硬化剤は、加熱により9−フルオレニルオキシカルボニル基の脱保護反応が起き、脱保護反応によって生じた3−ヒドロキシ-2−ブテノエート誘導体のケト−エノール互変異性を経て、ベンジリデン−3−オキソブタノエートを生成するとともに塩基を発生する特性を有することにより、硬化温度の選択性に優れたものとなると考えられる。
【0012】
【化5】
【0013】
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で示される塩基性化合物からなることを特徴とするアニオン硬化性化合物用硬化剤である。
【0014】
【化1】
【0015】
(ここで、式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。Xは、水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基である。Bは塩基性基である。)
【0016】
塩基性化合物(1)のうち、下記一般式(2)で示されるイミダゾール系化合物からなることを特徴とするアニオン硬化性化合物用硬化剤が好ましい。
【0017】
【化2】
【0018】
(ここで、式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Xは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基である。)
【0019】
また、塩基性化合物(1)のうち、下記一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物からなることを特徴とするアニオン硬化性化合物用硬化剤が好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
(ここで、式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Arは置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基である。)
【0022】
さらに、本発明においては、上記のアニオン硬化性化合物用硬化剤と、アニオン硬化性化合物とを含む硬化性組成物、並びに、かかる硬化性組成物を硬化させてなる硬化物も提供するものである。
【0023】
また、本発明においては、塩基性化合物(1)のうち、下記一般式(4)で示される新規なイミダゾール系化合物をも提供するものである。
【0024】
【化4】
【0025】
(ここで、式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基である。Rは、水素原子、t−ブチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。R〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基である。)
【発明の効果】
【0026】
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤によれば、100〜120℃付近でブロックユニットが熱分解することで硬化性が発現し、かつ100℃以下の低温領域と120℃以上の高温領域におけるアニオン硬化性化合物の硬化性能に差があり、120℃以上の高温領域で選択的にアニオン硬化性化合物の硬化反応を行なうことができるものであり、さらには、アニオン硬化性化合物を含有させた硬化性組成物の保存安定性にも優れたものとなる。
また、本発明の新規なイミダゾール系化合物によれば、上記のアニオン硬化性化合物用硬化剤としての効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】合成例2により得られた、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエートのH−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、アニオン硬化性化合物用硬化剤とは、硬化剤として働くもののみならず、硬化促進剤(硬化助剤)として働くものも概念として含めるものである。
【0029】
〔アニオン硬化性化合物用硬化剤〕
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は、下記一般式(1)で示される塩基性化合物からなることを特徴とする。
まず、下記一般式(1)で示される塩基性化合物について説明する。
【0030】
【化1】
【0031】
上記一般式(1)中のRは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基である。
【0032】
炭素数1〜20のアルキル基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
【0033】
炭素数2〜20のアルケニル基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルケニル基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基などが挙げられる。
【0034】
炭素数2〜20のアルキニル基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルキニル基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基などが挙げられる。
【0035】
炭素数7〜20のアラルキル基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アラルキル基の炭素数としては、好ましくは7〜18、特に好ましくは7〜15である。具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0036】
炭素数3〜20のシクロアルキル基の炭素数としては、好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜15である。具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基などが挙げられる。
【0037】
炭素数6〜20のアリール基の炭素数としては、好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは6〜15である。具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などが挙げられる。
【0038】
上記一般式(1)中のRは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、または炭素数7〜20のアラルキル基であり、上記のRについて説明した炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基と同じものが挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)中のRは、水素原子、またはt−ブチル基である。
【0040】
上記一般式(1)中のXは、水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、または置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基である。
【0041】
炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基については、上記のRについて説明した炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基と同じものが挙げられる。
【0042】
置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基における芳香族基の炭素数は、好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12である。かかる芳香族基の具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基などが挙げられる。
かかる芳香族基が有することのある置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、エステル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、フェニル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基が挙げられる。
【0043】
上記の好ましい置換基として挙げられた、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、上記のRについて説明した、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基と同じものが挙げられる。
【0044】
上記の好ましい置換基として挙げられた炭素数1〜20のアルコキシ基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルキルオキシ基の炭素数としては、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10である。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0045】
上記の好ましい置換基として挙げられた炭素数2〜20のアルケニルオキシ基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルケニルオキシ基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基などが挙げられる。
【0046】
上記の好ましい置換基として挙げられた炭素数2〜20のアルキニルオキシ基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アルキニルオキシ基の炭素数としては、好ましくは2〜18、特に好ましくは2〜15である。具体的には、例えば、エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基、ヘキシニルオキシ基、ヘプチニルオキシ基、オクチニルオキシ基、ノニニルオキシ基、デシニルオキシ基、ウンデシニルオキシ基、ドデシニルオキシ基、トリデシニルオキシ基、テトラデシニルオキシ基、ペンタデシニルオキシ基、ヘキサデシニルオキシ基、ヘプタデシニルオキシ基、オクタデシニルオキシ基、ノナデシニルオキシ基、イコシニルオキシ基などが挙げられる。
【0047】
上記の好ましい置換基として挙げられた炭素数7〜20のアラルキルオキシ基は、鎖状でも分岐状であってもよく、アラルキルオキシ基の炭素数としては、好ましくは7〜18、特に好ましくは7〜15である。具体的には、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基などが挙げられる。
【0048】
上記の芳香族基が2つ以上の置換基を有する場合、2つ以上の置換基が結合して、単環または縮合環を形成していても良い。かかる構造としては、具体的には、例えば、ビシクロオクタトリエニル基、ジヒドロインデニル基、テトラヒドロナフタレニル基、フルオレニル基などが挙げられる。また窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい飽和または不飽和の5〜8員環を形成していても良く、例えば、ジヒドロベンゾフラニル基、クロマニル基、インドリニル基などが挙げられる。
【0049】
置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基における官能基数としては、好ましくは0〜5、特に好ましくは1〜4である。
【0050】
上記一般式(1)中のBは塩基性基である。
塩基性基とは、塩基性化合物から誘導される官能基であり、好ましくは、50℃以上、特には60℃以上、更には70〜130℃の温度条件下で熱解離することができる官能基である。かかる塩基性化合物としては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン等のアミン化合物が挙げられる。
【0051】
第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族第1級アミン化合物;シクロヘキシルアミン、1,3−(ビスアミノエチル)シクロヘキサン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式第1級アミン化合物;ベンジルアミン、アニリン、メタフェニレンジアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族第1級アミン化合物;等を使用することができる。
【0052】
第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、エチルメチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物;アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ノルボルナンジメチルアミン、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン等の脂環式第2級アミン化合物;ベンジルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等の芳香族第2級アミン化合物;等を使用することができる。
【0053】
第3級アミンとしては、例えば、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)(DBU)等のアミジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)等のグアニジン類、1,4−ジアザビシクロ[2.2.0]オクタン、フォスファゼン塩基等や、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)ピリジン等のピリジン系化合物、イミダゾリン、イミダゾール系化合物が挙げられる。
【0054】
塩基性基としては、置換基を有することがあるイミダゾール基が好ましい。かかる置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、エステル基などが挙げられ、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基である。
上記の好ましい置換基として挙げられた、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、上記のRについて説明した、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基と同じものが挙げられる。
【0055】
一般式(1)で示される塩基性化合物の具体例としては、例えば、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾリン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾリン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(3,4,7,8−テトラヒドロピリミドピリミジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(3,4,7,8−テトラヒドロピリミドピリミジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 2−((ベンジルアミノ)(2−メトキシフェニル)メチル)−3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 2−((ベンジルアミノ)(2−メトキシフェニル)メチル)−3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−ブテノエート、ペンチル 2−(1−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、2−エチルヘキシル 2−(1−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾリン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾリン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(3,4,7,8−テトラヒドロピリミドピリミジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(3,4,7,8−テトラヒドロピリミドピリミジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 2−((ベンジルアミノ)(2−メトキシフェニル)メチル)−3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 2−((ベンジルアミノ)(2−メトキシフェニル)メチル)−3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−ブテノエート、ペンチル 2−(1−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、2−エチルヘキシル 2−(1−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート等が挙げられる。
これらの中でも、一般式(1)におけるRがt−ブチル基であり、Xが置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基であるイミダゾール誘導体が好ましく、例えば、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート等が好適に挙げられる。
【0056】
一般式(1)で示される塩基性化合物のうち、Bが置換基を有することがあるイミダゾール基である塩基性化合物、即ち下記一般式(2)で示されるイミダゾール系化合物が、触媒量添加することでアニオン硬化性化合物を硬化させることができる点で好ましい。
【0057】
【化2】
【0058】
上記一般式(2)中のR、R、RおよびXとしては、一般式(1)中のR、RおよびXと同じものが挙げられる。
上記一般式(2)中のR〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数6〜20のアリール基である。R〜Rにおける炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、Rにおける炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基と同じものが挙げられる。
【0059】
一般式(2)で示されるイミダゾール系化合物の具体例としては、例えば、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 2−(1−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、2−エチルヘキシル 2−(1−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((イミダゾール−1−イル)(2−メトキシフェニル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((イミダゾール−1−イル)(2−メトキシフェニル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 2−(1−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、2−エチルヘキシル 2−(1−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)エチリデン)−3−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)ヘプタノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(2−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((イミダゾール−1−イル)(2−メトキシフェニル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((イミダゾール−1−イル)(2−メトキシフェニル)メチル)−2−ブテノエート等が挙げられる。
これらの中でも、一般式(1)におけるRがt−ブチル基であり、Xが置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基であるイミダゾール誘導体が好ましく、例えば、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート等が好適に挙げられる。
【0060】
一般式(1)で示される塩基性化合物のうち、Bが置換基を有することがあるイミダゾール基である塩基性化合物であり、かつXがArであるイミダゾール系化合物、即ち下記一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物が硬化性と化合物安定性の点で好ましい。
【0061】
【化3】
【0062】
上記一般式(3)中のR〜Rは、一般式(1)中のR〜Rと同じものが挙げられる。
また、上記一般式(3)中のArは、置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基であり、一般式(1)中のXにおける置換基を有することがある炭素数6〜18の芳香族基と同じものが挙げられる。
【0063】
一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物の具体例としては、例えば、メチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエートが好ましい。
【0064】
一般式(1)で示される塩基性化合物、一般式(2)および(3)で示されるイミダゾール系化合物は公知の方法で製造することができる。例えば、一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物であれば、アセト酢酸エステルとベンズアルデヒド誘導体とをトルエン等の有機溶媒中で反応させた後、テトラヒドロフランなどの有機溶媒中にてイミダゾール誘導体と反応させ、更に9−フルオレニルメチルクロロホルメート誘導体と反応させることによって製造することができる。
【0065】
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤と、硬化対象であるアニオン硬化性化合物とを含む硬化性組成物である。
アニオン硬化性化合物としては、イミダゾールをはじめとする塩基性化合物存在下、重合もしくは架橋反応によって高分子量物質に変換可能な化合物であり、例えば、エポキシ化合物またはエピスルフィド化合物が挙げられる。
【0066】
エポキシ化合物は、平均して一分子内に2個以上のエポキシ基を有するものである。代表的なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂;グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキサイド等が挙げられる。これらエポキシ化合物の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
【0067】
また、エピスルフィド化合物は、単官能エピスルフィド化合物、または一分子内に平均して2個以上のエピスルフィド基を有するものである。代表的なエピスルフィド化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類をチオグリシジル化したビスフェノール型エピスルフィド樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類の核水添化物をチオグリシジル化した水素化ビスフェノール型エピスルフィド樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をチオグリシジル化したエピスルフィド樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等をチオグリシジル化したノボラック型エピスルフィド樹脂;グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをチオグリシジル化した脂肪族エーテル型エピスルフィド樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をチオグリシジル化したエーテルエステル型エピスルフィド樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をチオグリシジル化したエステル型エピスルフィド樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のチオグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エピスルフィド樹脂;ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸とのポリアミドポリアミンのチオグリシジル化物;3,4−エピチオシクロヘキシルメチル−3’,4’−エピチオシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エピチオシクロヘキシル)アジペート、1,2−エピチオ−4−ビニルシクロヘキサン等の脂環式エピスルフィド;オルガノポリシロキサンとエピスルフィド樹脂やフェノールノボラック型エピスルフィド樹脂との反応で得られるシリコーン変性エピスルフィド樹脂;チオグリシジルメタクリレートや3,4−エピチオシクロヘキシルメチルメタクリレート、プロピレンスルフィド、シクロヘキサンスルフィド等のエピスルフィド化合物及びその重合体;ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィドやビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、ビス(5,6−エピチオ−3−チオヘキサン)スルフィド等のエピスルフィド化合物等が挙げられる。これらエピスルフィド化合物の1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
【0068】
なお、上記エポキシ化合物と上記エピスルフィド化合物とを併用してもよい。
【0069】
本発明の硬化性組成物は、アニオン硬化性化合物100重量部に対して、本発明の硬化剤を通常0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜45重量部、特に好ましくは0.3〜40重量部含有するものである。硬化剤の含有量が多すぎると、硬化物の物性が低下する傾向があり、少なすぎると硬化反応が進行し難くなる傾向がある。
【0070】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて希釈剤、促進剤、可撓性付与剤、シラン系カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、補強剤、充填剤、難燃剤、着色剤、顔料、染料等の各種添加剤を配合することができる。
【0071】
上記希釈剤としては、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシド、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの反応性希釈剤や、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メタノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの非反応性希釈剤などが挙げられる。
【0072】
上記促進剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ヘキサンチオール、ベンジルメルカプタンなどのチオール類;ベンジルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルメチルアミンなどのアミン類が挙げられる。
【0073】
上記可撓性付与剤としては、例えば、ジオクチルフタレートやジイソプロピルフタレートなどのフタル酸エステルやポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0074】
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、イミダゾール系シランカップリング剤、アミン系シランカプリング剤、メルカプト系シランカップリング剤などが挙げられる。
【0075】
上記消泡剤としては、例えば、アルコール消泡剤、金属石鹸消泡剤、リン酸エステル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤、フッ素系消泡剤、鉱物油消泡剤、アクリル系消泡剤などが挙げられる。
【0076】
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
【0077】
上記補強剤、及び充填剤としては、例えば、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ等のケイ素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物などの粉末状材料や、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維等の繊維質材料などが挙げられる。
【0078】
上記難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、トリブロモフェノール、ヘキサブロモベンゼン等のハロゲン化合物、トリフェニルホスフェート、ポリリン酸塩等のリン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系化合物などが挙げられる。
【0079】
上記着色剤、顔料、及び染料としては、例えば、二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐などが挙げられる。
【0080】
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は、単独で用いることもできるし、アミン類、ポリアミン類、ヒドラジン類、酸無水物、ジシアンジアミド、オニウム塩類、ポリチオール類、フェノール類、ケチミン等の一般的に使用されている硬化剤と併用することもできる。また、公知ないし一般のアニオン硬化性化合物用硬化促進剤(硬化助剤)を併用することも可能である。また、本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は、上記公知一般の硬化剤と併用して、硬化性能を触媒的に促進させるために用いることができる。
【0081】
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤とアニオン硬化性化合物とを混合する方法としては、例えば、所定量の硬化剤とアニオン硬化性化合物を含む硬化性組成物を、ロール混練機、ニーダー、または押出機等を用いて混練する方法が挙げられる。
【0082】
かくして本発明において、一般式(1)で示される塩基性化合物、一般式(2)または(3)で示されるイミダゾール系化合物からなるアニオン硬化性化合物用硬化剤とアニオン硬化性化合物を含有する硬化性組成物を得ることができ、上記硬化性組成物を硬化することにより硬化物を得ることができる。
【0083】
硬化方法としては、例えば、上記硬化性組成物を加熱することにより、アニオン硬化性化合物の硬化物を得ることができる。加熱条件としては、アニオン硬化性化合物の種類、硬化剤の種類、添加剤の種類、各成分の配合量などを考慮し、加熱温度、加熱時間を適宜選択することができる。一般的には、加熱温度は50〜300℃であり、本発明においては、特には55〜280℃、更には、60〜250℃であることがアニオン硬化性組成物の硬化物特性が良くなる点で好ましく、加熱時間は、通常0.01〜1800分であり、特には0.02〜900分、更には0.02〜120分であることが生産性の面で好ましい。
【0084】
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は温度選択的な硬化性能を有し、その硬化剤を含有する硬化性組成物は保存安定性に優れるものである。さらにその硬化物は、耐熱性や寸法安定性、接着性、絶縁性等の特性が得られるものであることから、例えば、導電性接着剤、リレー用接着剤、チップ部品用接着剤等の接着剤;接着シート;接着フィルム;半導体等の電子部材用液状封止剤;導電性ペースト、絶縁性ペースト、アンダーフィル材、プリプレグ、絶縁ワニス、含浸ワニス等の電子材料の構成部材や;塗料または印刷インキ;有機ELやLEDの封止用シール剤及び接着剤;カラーフィルター;有機EL等の光取出し層及び光取出しフィルム;ディスプレイ基板;フレキシブルディスプレイ基板;フレキシブルディスプレイ用フィルム;半導体装置;電子部品;層間絶縁膜;配線被覆膜;光回路;光回路部品;反射防止膜、ホログラム等の光学部材又は建築材料の構成部材として広く用いられ、これにより、プリント基板、プリント配線板、リレー材料、半導体装置、自動車や航空機等の各種パーツ;印刷物、透明封止剤、カラーフィルター、ディスプレイ基板、ディスプレイ用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラムなどの電子部材、光学部材または建築部材等が提供される。また、硬化物として形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、透明封止剤、カラーフィルター、ディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ基板、フレキシブルディスプレイ用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
【0085】
〔新規なイミダゾール系化合物〕
本発明は、また、下記一般式(4)で示される新規なイミダゾール系化合物をも提供するものである。
【0086】
【化4】
【0087】
一般式(4)中のR1〜Rは、一般式(1)中のR1〜R、一般式(2)および(3)中のR〜Rと同じものが挙げられる。
一般式(4)中のR〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、または炭素数7〜20のアラルキルオキシ基である。R〜R11における炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、Rにおける炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、および炭素数6〜20のアリール基と同じものが挙げられる。
またR〜R11における炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基は、一般式(1)中のXが置換基を有する炭素数6〜18の芳香族基である場合において、好ましい置換基として挙げられた炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基とものが挙げられる。
【0088】
一般式(4)で示される新規なイミダゾール系化合物の具体例としては、例えば、メチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、メチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、エチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−プロピル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、n−ブチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート、2−エチルヘキシル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2,4−ジメトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエートが好ましい。
【0089】
一般式(4)で示される新規なイミダゾール系化合物については、公知の合成条件に準じて製造することができる。
【0090】
一般式(4)で示される新規なイミダゾール系化合物は、一般式(1)で示される塩基性化合物、一般式(2)または(3)で示されるイミダゾール系化合物に概念的に包含される化合物であることから、アニオン硬化性化合物用硬化剤としても大いに利用できるものである。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
【0092】
<合成例1>
『ペンチル 2−(2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタノエートの合成』
【0093】
【化6】
【0094】
アセト酢酸アミル17.2g(0.10mol)、o−アニスアルデヒド13.6g(0.10mol)をトルエン130mLに溶解した。次いで安息香酸1.2g(0.01mol)、ピペリジン0.9g(0.01mol)を添加し、加熱還流下2時間反応を行った。反応後、トルエンを減圧下留去し、濃縮液を得た。精製は減圧蒸留により行い、ペンチル 2−(2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタノエート23.1gを得た。収率は80%であった。得られた2−(2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタノエートは、2種の構造異性体が57:43の割合で含まれていた。
【0095】
<合成例2>
『ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエートの合成』
【0096】
【化7】
【0097】
4−フェニルイミダゾール0.5g(3.38mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)10mLに溶解し、5℃に冷却した。そこにカリウムt−ブトキシド0.4g(3.38mmol)を添加し、5℃で10分撹拌した。次いで、2−(2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタノエート0.8g(2.82mmol)のTHF溶液(5mL)を滴下し、10分反応させた。反応終了後、酢酸エチルと水で抽出操作を行い、分取した有機層を減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v))で精製を行い、ペンチル(2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−3−オキソブテノエートを得た。
次いで、得られたペンチル(2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−3−オキソブテノエートをTHF10mLに溶解し、5℃に冷却した。60%水素化ナトリウム0.1g(2.82mmol)を仕込み、水素ガスの発生が収まるまで撹拌した。ガスの発生が収まった後、2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニルメチルクロロホルメート1.0g(2.82mmol)のTHF溶液(5mL)を滴下し、5℃で30分撹拌した。反応終了後、酢酸エチルと水で抽出操作を行い、分取した有機層を減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v))で精製を行い、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエート0.9gを得た。収率は42%であった。
【0098】
なお、合成例2により得られた、ペンチル 3−((((2,7−ジ−t−ブチルフルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)−2−((2−メトキシフェニル)(4−フェニルイミダゾール−1−イル)メチル)−2−ブテノエートの1H−NMRスペクトル(Bruker社製「Ascend400」使用、内部標準物質:テトラメトキシシラン、溶媒:CDCl)は図1に示されるとおりであり、その帰属は以下のとおりである。
【0099】
0.78ppm(t,3H,CH−)
1.06−1.21ppm(m,4H,−CH−)
1.32−1.41ppm(m,20H,CH−,−CH−)
1.94ppm(s,3H,CH
3.80−3.95ppm(m、5H,CH−,−CH−)
4.25ppm(t,1H,CH)
4.48−4.50ppm(m,2H,CH
6.58ppm(s,1H,CH)
6.89−6.96ppm(m,2H,Ar−H)
7.11−7.14ppm(m,1H,Ar−H)
7.20−7.24ppm(m,1H,Ar−H)
7.30−7.37ppm(m,4H,Ar−H)
7.42ppm(dd,2H,Ar−H)
7.61−7.65ppm(m,5H,Ar−H)
7.67−7.79ppm(m,2H,Ar−H)
【0100】
<合成例3>
『ビス(2−エチルヘキシル)2−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)スクシネートの合成』
100mL四つ口フラスコに、DBU2.6g(0.02mol)、アセトニトリル15mL、4−フェニルイミダゾール5.0g(0.04mol)を仕込み、25℃で撹拌した。そこに、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)11.8g(0.04mol)を滴下し、25℃で30分反応させた。反応終了後、減圧下で溶媒を溜去した後、塩化メチレン60mLと水40mLで抽出を行った。分取した有機層を濃縮し、取得した濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/4)にて精製して、ビス(2−エチルヘキシル)2−(4−フェニルイミダゾール−1−イル)スクシネートを10.8g得た。収率は64%であった。
【0101】
<実施例1、比較例1、2>
合成例2で得られた化合物を実施例1の硬化剤とし、4−フェニルイミダゾール及び合成例3で得られた各化合物を比較例1および2の硬化剤として、下記の方法に従って熱分解性試験、保存安定性試験および硬化性試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0102】
〔熱分解性試験〕
実施例1および比較例2の硬化剤に対して、示差走査熱量測定(DSC)を用い、下記測定条件で熱分解性の評価を行った。評価は、熱分解に伴う吸熱ピークの開始温度を基準とし、以下のように評価した。なお、4−フェニルイミダゾールは熱分解を伴わないため、本試験は実施しなかった。
測定温度領域:30℃〜250℃
昇温速度:10℃/min
測定環境:窒素雰囲気下
【0103】
○・・・80℃以上〜130℃未満
△・・・130℃以上〜180℃未満
×・・・180℃以上
【0104】
〔保存安定性試験(ポットライフ試験)〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、三菱化学製)に対し、実施例1および比較例1、2の硬化剤を添加し、混合することでエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、実施例及び比較例の硬化剤の添加量は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1gに対し0.3mmolである。
これら組成物をスクリュー管瓶に仕込み、23℃における保存安定性試験を実施した。試験はエポキシ樹脂組成物の入ったスクリュー管瓶を1分間横倒しにして静置し、1分後の流動性の状況を経時で観察し、流動性がなくなった時点をポットライフ値と設定し、以下のように評価した。
【0105】
○・・・15日以上
△・・・7日以上〜15日未満
×・・・7日未満
【0106】
〔硬化性試験1〕
常温において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、三菱化学製)1gに対し、実施例1および比較例1、2の硬化剤を0.3mmol添加し、三本ロールミルで混合することで硬化性組成物を調製した。
次いで、得られた硬化性組成物を用い、示差走査熱量測定(DSC)を用い、下記測定条件で硬化性の評価を行った。評価は、硬化発熱の開始温度を基準とし、以下のように評価した。
測定温度領域:30℃〜250℃
昇温速度:10℃/min
測定環境:窒素雰囲気下
【0107】
○・・・100℃以上〜130℃未満
△・・・140℃以上〜170℃未満
×・・・100℃未満
【0108】
〔硬化性試験2〕
常温において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、三菱化学製)1gに対し、実施例1および比較例1、2の硬化剤を0.3mmol添加し、三本ロールミルで混合することで硬化性組成物を調製した。
次いで、得られた硬化性組成物を用い、示差走査熱量測定(DSC)を用い、下記測定条件で硬化性の評価を行った。評価は、150℃においては硬化反応が50%進行するのに要した時間、100℃においては硬化反応が10%進行するのに要した時間を基準とし、以下のように評価した。
なお、硬化率の算出は150℃の等温条件で80分間加熱した際に生じた硬化発熱量に対する下記条件で測定した際の時間当たりの硬化発熱量の比から算出した。
(150℃での硬化性)
昇温速度120℃/minで30℃から150℃に昇温した後、150℃で80分間保持した。
(100℃での硬化性)
昇温速度70℃/minで30℃から100℃に昇温した後、100℃で80分間保持した。
【0109】
(150℃での硬化性評価)
○・・・10分未満
△・・・10分以上〜20分未満
×・・・20分以上
(100℃での硬化性評価)
○・・・50分未満
△・・・50分以上〜100分未満
×・・・100分未満
【0110】
【表1】
【0111】
実施例1と比較例1を比較すると、比較例1の硬化剤は等温条件における硬化性試験(硬化性試験2)において実施例1と同程度の硬化性を示したが、硬化性試験1では100℃未満で硬化発熱が開始している。また、比較例1の硬化剤のポットライフは実施例1に比べ短い結果であった。即ち、比較例1の硬化剤は実施例1の硬化剤よりも硬化温度選択性および保存安定性に劣るものであった。
一方、実施例1と比較例2を比較すると、比較例2の硬化剤の保存安定性は実施例1の硬化剤と同程度であったが、比較例2の硬化剤の硬化性評価では全て実施例1の硬化剤に劣る結果であった。さらに比較例2の硬化剤は熱分解温度が180℃以上と高温であり、耐熱性が低い材料への応用が困難である。即ち、比較例2の硬化剤は実施例1の硬化剤よりも硬化温度選択性に劣り、硬化対象材料が制限されるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は、100〜120℃付近でブロックユニットが熱解離することで硬化性が発現し、かつ100℃以下の低温領域と120℃以上の高温領域におけるアニオン硬化性化合物の硬化性能に差があり、120℃以上の高温領域で選択的にアニオン硬化性化合物の硬化させることが可能となる。したがって、プリプレグ(特には、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂、プリント回路板や銅張積層板などの熱硬化性樹脂を含有する積層板に使用するプリプレグ)等の幅広い用途において、温度選択的な硬化性が求められる場合に本発明のアニオン硬化性化合物用硬化剤は有用なものである。さらに、保存安定性にも優れるため、取り扱いに優れたものである。
図1