(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1の領域の各々は、前記バールのうちの少なくとも1つの、前記バール側面、前記遠位端面、及び、前記バール側面のすぐ隣にある前記本体表面の一部をカバーする、請求項1から3のいずれか一項に記載の基板ホルダ。
単一バールの前記バール側面の一部及び前記遠位端面をカバーする、前記複数の第1の領域の各々は、前記本体表面に対して垂直に見たときに、前記バールの中心と最も近い他のバールの中心との間の距離よりも小さい最大横寸法を有する、請求項5に記載の基板ホルダ。
各バールはシリコンマトリックス内にSiCグレインを含み、前記炭素系材料によってカバーされる各バールの前記遠位端面の前記一部は、前記バールの前記遠位端面上のSiCグレインである、請求項11又は12に記載の基板ホルダ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020]
図1は、一実施形態のリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板の表面、例えば基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された、支持テーブル、例えば1つ以上のセンサを支持するためのセンサテーブルあるいは基板支持装置60と、
パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイの一部を含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0014】
[0021] 照明システムILは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0015】
[0022] 支持構造MTはパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスMAが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械的、真空、静電等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスMAが例えば投影システムPSなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0016】
[0023] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板Wのターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板Wのターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0017】
[0024] パターニングデバイスMAは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0018】
[0025] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0019】
[0026] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0020】
[0027] リソグラフィ装置は、2つ以上のテーブル(あるいはステージ又は支持体)、例えば、2つ以上の基板テーブル、あるいは、1つ以上の基板テーブル及び1つ以上のセンサ又は測定テーブルの組み合わせを有する、タイプであり得る。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。リソグラフィ装置は、基板、センサ、及び測定テーブルと同様に、並行して使用できる、2つ以上のパターニングデバイステーブル(あるいはステージ又は支持体)を有し得る。リソグラフィ装置は、露光前の製品基板を特徴付けるための様々なセンサが存在する測定ステーションと、露光が実施される露光ステーションとを有する、タイプであり得る。
【0021】
[0028] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11を満たすように、基板Wの少なくとも一部が、相対的に高い屈折率を有する液浸液、例えば超純水(UPW)などの水によってカバーされ得る、タイプであり得る。液浸液は、例えばパターニングデバイスMAと投影システムPSの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で使用することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板Wなどの構造を液浸液中に沈めなければならないという意味ではなく、「液浸」は、液浸液が投影システムPSと基板Wとの間に位置するというほどの意味である。投影システムPSから基板Wへのパターン付き放射ビームBの経路は、全面的に液浸液を通る。投影システムPSの最終光学素子と基板Wとの間に液浸液を提供するための配置において、液体閉じ込め構造12は、投影システムPSの最終光学要素100と投影システムPSに対向するステージ又はテーブルの対向表面との間の液浸空間の境界の少なくとも一部に沿って延在する。
【0022】
[0029]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOとリソグラフィ装置とは、例えば放射源SOがエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源SOはリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源SOが水銀ランプの場合は、放射源SOがリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0023】
[0030] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えていてもよい。一般に、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、別に提供されてもよい(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)。
【0024】
[0031] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は容量センサ)の助けにより、基板支持装置60を、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。
【0025】
[0032] 同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板支持装置60の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。
【0026】
[0033] ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークP1、P2は、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2をダイ間に配置してもよい。
【0027】
[0034] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0028】
[0035] 1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板支持装置60は、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板支持装置60がX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0029】
[0036] 2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板支持装置60は同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板支持装置60の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
【0030】
[0037] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板支持装置60を移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板支持装置60を移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0031】
[0038] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0032】
[0039] コントローラ500はリソグラフィ装置の動作全体を制御し、具体的には、下記で更に説明する動作プロセスを実行する。コントローラ500は、中央処理ユニット、揮発性及び不揮発性記憶手段、キーボード及びスクリーンなどの1つ以上の入力及び出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、並びに、リソグラフィ装置の様々な部分への1つ以上のインターフェースを備える、好適にプログラムされた汎用コンピュータとして具体化可能である。制御コンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係が必要でないことを理解されよう。1台のコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。複数のネットワーク化コンピュータを使用して、1台のリソグラフィ装置を制御することができる。コントローラ500は、リソグラフィ装置が一部を形成するそのリソセル又はクラスタ内で、1つ以上の関連付けられた処理デバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するようにも構成され得る。コントローラ500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は製造工場の全体制御システムに従属するようにも構成可能である。
【0033】
[0040] 基板支持装置60は基板ホルダWTを備える。基板Wは、従来、露光の間、基板ホルダWTにクランプされる。通常、2つのクランプ技法が使用される。真空クランプでは、例えば、基板ホルダWTと基板Wとの間の空間を、基板Wの上の高圧力よりも低い低圧力に接続することによって、基板W全体にわたる圧力差が確立される。圧力差は、基板Wを基板ホルダWTに保持する力を生じさせる。静電クランプでは、静電力を使用して、基板Wと基板ホルダWTとの間に力が及ぼされる。これを達成するためにいくつかの異なる配置が知られている。1つの配置において、第1の電極が基板Wの下面に提供され、第2の電極が基板ホルダWTの上面に提供される。第1と第2の電極の間に電位差が確立される。別の配置において、2つの半円電極が基板ホルダWT上に提供され、導電層が基板W上に提供される。2つの半円電極と基板W上の導電層とが2つの直列キャパシタのように働くように、2つの半円電極間の電位差が印加される。
【0034】
[0041] 露光のために基板Wを基板ホルダWT上にロードするために、基板Wは基板ハンドラロボットによってピックアップされ、eピンのセット上まで下げられる。eピンは基板ホルダWTを介して突出する。eピンは、伸縮可能なように始動される。eピンには、基板Wを把持するために、その先端に吸引開口が提供され得る。eピンは、基板ホルダWTの中心周囲に3つのeピンが間隔を置いて配置される。基板Wがeピン上に定着されると、基板Wが基板ホルダWTのバールによって支持されるように、eピンは引っ込められる。基板Wがeピンによって保持されている間、それ自体の重みによって基板Wは歪められ、例えば上から見ると凸状になる。基板Wがバール上まで下げられると、基板が基板ホルダのバール上まで下げられると、基板Wはいくつかの場所、例えば基板ホルダWTのエッジ付近で、他の場所、例えば基板ホルダWTの中央付近より前に、バールに接触することになる。バールと基板Wの下面との間の摩擦によって基板Wが平坦な応力のかからない状態に完全に弛緩するのが妨げられる場合がある。基板Wの剛性に起因して、eピン上で支持されているときの基板Wの湾曲は小さく、基板Wが基板ホルダWTのバール上にあるときは何らかのリラクゼーションが生じるが、それでもなお残余湾曲は、望ましくないオーバーレイエラーを生じさせるのに十分であり得る。
【0035】
[0042] ダイヤモンド状炭素(DLC)の層又はコーティングを、基板ホルダWT上に提供することができる。基板ホルダWTと基板Wとの間のインターフェース特性を向上させるために、基板ホルダWTにDLCの層を提供することができる。基板ホルダWT上のDLCの層が、基板ホルダWTの支持平面に対して平行な(及び、したがって基板Wの表面に対して平行な)方向の摩擦を減少させる。DLCの層は、SiSiCで作られたバールに比べて、バールと基板Wとの間の摩擦係数を約2分の1に減少させることができる。これによって、基板Wが基板ホルダWT上に配置されたときに完全に弛緩させることができる。これにより、オーバーレイエラーが減少する。基板ホルダWTをDLCでコーティングすることには、基板ホルダWTの寿命を増加させる追加の利点がある。基板ホルダWTが基板Wと物理的に接触しているとき、DLCの層の硬度及び靭性が基板ホルダWTの摩耗を減少させる。
【0036】
[0043] DLCの層は、摩擦を減少させる(及び、それによってオーバーレイエラーを減少させる)ため、及び/又は、基板ホルダWTの摩耗を減少させるために、基板ホルダWT上に提供することが可能な、炭素系材料の層の一例である。特にDLCを参照しながら本発明の実施形態を説明する。しかしながら、代替実施形態において、DLCに加えて、又はDLCの代わりに、基板ホルダWTの本体よりも低い摩擦係数を有する任意の他の炭素系材料が使用できる。こうした炭素系材料は、固体及び/又は無機の炭素系材料であり得る。炭素系材料は、基板ホルダWTの本体よりも高い摩耗耐性を有し得る。炭素系材料はグラフェンを含み得る。例えば、炭素系材料は、ダイヤモンド状炭素、グラフェン、グラファイト、4面体非晶質炭素(ta−C)、非晶質炭素(a−C)、融合タングステンを伴う非晶質炭素(a−C:W)、融合タングステンを伴う4面体非晶質炭素(ta−C:W)、水素化非晶質炭素(a−C:H)、4面体水素化非晶質炭素(ta−C:H)、融合タングステンを伴う水素化非晶質炭素(a−C:H:W)、融合タングステンを伴う4面体水素化非晶質炭素(ta−C:H:W)、シリコンドーピングを伴う水素化非晶質炭素(a−C:H:Si)、シリコンドーピングを伴う4面体水素化非晶質炭素(ta−C:H:Si)、フッ素ドーピングを伴う水素化非晶質炭素(a−C:H:F)、フッ素ドーピングを伴う4面体水素化非晶質炭素(ta−C:H:F)、超ナノ結晶ダイヤモンド(UNCD)、ダイヤモンド、炭化タングステン、炭化クロム、炭化チタン、Cr
2C/a−C:H、グラファイト/TiC/Ti合金、及びアルミナに組み込まれた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)からなる、グループから選択可能である。これらの炭素系材料の各々は、高い摩耗耐性及び低い摩擦特性を示す。以下で説明する実施形態において、これらの特定の炭素系材料のうちのいずれかを、DLCの代わりに、又はDLCに加えて使用することができる。
【0037】
[0044] 発明者等は、基板ホルダWT上に提供されるDLCの層などの炭素系材料の層が高い内部圧縮応力を生じさせることを識別した。これらの内部応力は、生産プロセス、及びDLCなどの炭素系材料の材料特性に起因する。例えばDLCの層における内部応力は、基板ホルダWTの変形につながる可能性がある。変形は、基板ホルダWTの屈曲、基板ホルダWTのカーリング、又は他の変形を含む。発明者等は、厚さ1μmのDLCの層でコーティングされた典型的な基板ホルダWTについて測定を実行し、約2.5マイクロメートルの全体的な最大−最小変形を発見した。この変形は、基板W及び基板ホルダWTを第2のポジショナPWに対してクランプすることによって、部分的に抑制可能である。しかしながら、基板ホルダWTの外側エッジは、クランプシステムによって支持されない可能性がある。したがって、DLC層の内部応力に起因する基板ホルダWTの外側エッジの変形は抑制することができない。典型的な基板ホルダWTについての測定において、発明者等は、この影響が、外側エッジの150nmから200nmのカールダウンにつながることを発見した。結果として、外側エッジはリソグラフィ装置のフォーカスから外れる可能性がある。基板ホルダWTの全体的な変形を補償するために考えられる一例は、DLCの層が印加された後に基板ホルダWTの平坦性を補正することである。しかしながらこの手法は、大量且つコストのかかる後処理を必要とする。たとえこうした後処理が適用された場合であっても、多くのリソグラフィプロセスに関する平坦性要件を満たさないことになる。
【0038】
[0045]
図2は、一実施形態に従った、リソグラフィ装置において使用するための基板ホルダWTを示す。基板ホルダWTは基板Wを支持する。基板ホルダWTは本体21を備える。本体21は本体表面22を有する。本体表面22から突出する複数のバール20が提供される。各バール20の遠位端面20aは基板Wと係合する。バール20の遠位端面20aは、実質的に支持平面に一致し、基板Wを支持する。本体21及びバール20は、シリコンマトリックス内に炭化ケイ素(SiC)グレインを有するセラミック材料、SiSiCから形成され得る。代替として、本体21及びバール20はSiCから形成され得る。
【0039】
[0046] 複数の貫通孔89が本体21内に形成され得る。貫通孔89は、基板Wを受け取るために、eピンが基板ホルダWTを介して突出できるようにする。貫通孔89は、基板Wと基板ホルダWTとの間の空間を排気できるようにし得る。基板Wと基板ホルダWTとの間の空間の排気によって、基板Wの上の空間が排気されない場合も、クランプ力を提供することができる。クランプ力は基板Wを適所に保持する。基板Wの上の空間が排気されない場合も、EUV放射を使用するリソグラフィ装置の場合と同様に、静電クランプを形成するために基板ホルダWT上に電極を提供することができる。
【0040】
[0047] 一実施形態において、基板ホルダWTはシール87を更に備える。シール87は、本体表面22から突出し得る。シール87はシール端面を有し得る。シール87は貫通孔89を囲み得る。シール端面は、貫通孔89周囲に連続リングを形成し得る。他の実施形態において、シール87は、貫通孔89を囲む任意の他の形状を有し得る。シール87の高さは、実質的にバール20の高さに等しい可能性があるため、シール端面は、バール20の遠位端面20aによって画定される実質的に平坦な支持平面に一致することになる。シール87は、基板Wが基板ホルダWTのバール20上にあるとき、基板Wに接触し得る。シール87が基板Wに接触し得るため、貫通孔89とシール87の外部エリアとの間の流体連絡は防止される。基板Wの上の圧力よりも低い低圧力を貫通孔89に印加することによって、基板Wは基板ホルダWTにクランプされ得る。代替として、シール87が基板Wに接触しないように、シール87はバール20の高さよりもわずかに低い高さを有し得る。こうしたシール87は、低圧力を生じさせるように、貫通孔89内に流れ込むガスフローを減少させる。任意選択として、又は代替として、基板ホルダWTの周辺近くにエッジシール85が提供され得る。エッジシール85は、基板ホルダWTの外側周辺の突出うねである。エッジシール85は、バール20の高さよりもわずかに低い高さを有し得、クランプ力を提供するように、基板Wと基板ホルダWTとの間の空間に流れ込むガスフローを減少させる。
【0041】
[0048] 例えば、基板ホルダWTと基板Wとの間のガスフロー及び/又は熱伝導率を制御するために、他の構造が提供可能である。基板ホルダWTには、電子コンポーネントが提供可能である。電子コンポーネントはヒータ及びセンサを含み得る。ヒータ及びセンサを使用して、基板ホルダWT及び基板Wの温度を制御し得る。
【0042】
[0049] バール20が、
図3において拡大して示されている。一実施形態において、各バール20はバール側面20b及び遠位端面20aを有する。バール20は、100μmから500μmの範囲内の、例えば約150μmの高さh
1を有し得る。バール20の遠位端面20aの直径d
1は、100μmから300μmの範囲内、例えば約200μmであり得る。バール20のピッチは、約0.5mmから3mmの範囲内、例えば約1.5mmであり得る。バール20のピッチは、2つの近接バール20の中心間の距離である。一実施形態において、すべてのバール20の遠位端面20aの総面積は、基板W又は基板ホルダWTの総面積1%から3%の範囲内である。
図3に示されるように、バール20は円錐台形状でありえ、バール側面20bはわずかに傾斜している。一実施形態において、バール側面20bは垂直であるか、又は張り出していてもよい。一実施形態において、バール20は平面的に見て円形である。バール20は、所望であれば他の形状に形成することも可能である。
【0043】
[0050] 一実施形態において、DLCの層が提供される。代替の実施形態において、DLC以外の炭素系材料の層が提供される。DLC又は他の炭素系材料の層は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23内に提供される。一実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、バール20の遠位端面20a、及びバール側面20bの一部をカバーする。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、オーバーレイエラーを減少させるために、バール20の遠位端面20a上に提供される。実際には、製造方法は、バール20の遠位端面20aのみがカバーされる(及び、バール側面20bはカバーされない)ようにできるほど正確ではない場合がある。バール20の遠位端面20aを厳密にカバーすることを目標にすることによって、炭素系材料(例えば、DLC)の層が、遠位端面20aと単に重なる(完全にカバーするのではない)というリスクが存在する。これは、利用可能な製造方法の不正確性に起因する。バール側面20bの少なくとも一部を炭素系材料(例えば、DLC)によってカバーすることによって、炭素系材料(例えば、DLC)の層を提供する際の不正確性のマージンが認められる。これにより、炭素系材料(例えば、DLC)の層の製造を容易及び安価にする。バール20の遠位端面20aに加えて、バール側面20bの一部をカバーすることの更なる利点は、炭素系材料(例えば、DLC)の層をバール20に接着することが改良されることである。これによって、炭素系材料(例えば、DLC)がバール20から分離するリスクが低減される。
【0044】
[0051] 別の実施形態において、炭素系材料の層はバール20の遠位端面20aの一部のみ(すべてではない)をカバーする。これは、例えば、炭素系材料がより容易に提供可能な場合、又は、好ましくはバール20の遠位端面20a上の特定の領域に取り付ける場合に有利である。SiSiCから形成されるバールは、シリコンマトリックス内にSiCグレインを含む。炭素系材料、例えばグラフェンは、シリコンマトリックスよりもSiCグレインにより良く接着し得る。更に、炭素系材料、例えばグラフェンは、シリコンマトリックスではなく、SiCグレイン上に選択的に成長し得る。炭素系材料によってカバーされるバール20の遠位端面20aの一部は、バール20の遠位端面20a上のSiCグレインであり得る。バール20の遠位端面20aの一部のみをカバーすることで、炭素系材料の層の製造をより容易及び/又は安価にすることができる。
【0045】
[0052] 炭素系材料(例えば、DLC)の層は、バール20の遠位端面20aのすぐ隣にあるバール側面20bの一部上に提供され得る。言い換えれば、バール側面20bの一部上に提供される炭素系材料(例えば、DLC)は、バール20の遠位端面20aを完全に囲むことができる。いくつかの実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、バール側面20b、遠位端面20a、及び本体表面22の一部をカバーする。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、バール側面20bのすぐ隣にある本体表面22の一部をカバーすることができる。これによって、更に、使用可能な製造方法を使用する不正確性のマージンが増加する。このようにして、炭素系材料(例えば、DLC)の層の製造を、より容易及び安価にすることができる。炭素系材料(例えば、DLC)の層をバール20に接着することが、更に改良される。炭素系材料(例えば、DLC)を、バール20の遠位端面20a以外の領域に提供することは、これらの領域の摩耗に対する耐性も向上させ得、それによって、基板ホルダの寿命も向上させる。
【0046】
[0053] いくつかの実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、シール87のシール端面をカバーする。加えて、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、本体表面22から突出する任意の他のフィーチャの遠位端面上に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、基板Wに接触可能な任意の他のコンポーネント上に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、基板ホルダWT上の受動的水管理を向上させるために、本体表面22に局所的に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、基板ホルダWTのクリーニングをより容易にするために、本体表面22に局所的に提供され得る。
【0047】
[0054] いくつかの実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、基板ホルダWTのすべてのバール20上に提供される。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、本体表面22から突出する複数のバール20の各々(すなわち、すべて)の遠位端面20aをカバーすることができる。したがって、摩擦の全般的な低減が最大となる。オーバーレイエラーは最小となる。しかしながら、炭素系材料(例えば、DLC)の層をあるバール20のみに提供することが可能である。例えば、炭素系材料(例えば、DLC)の層を、基板ホルダWTの中央領域内のバール20にのみ提供可能である。一実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、本体表面22から突出する複数のバール20の各々のバール側面20bの少なくとも一部を更にカバーする。
【0048】
[0055] 炭素系材料(例えば、DLC)の層は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離した、又は途切れた領域23内に提供される。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23で構成され得るか、又は分離領域23からなり得る。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23のうちのいずれも、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23のうちの別の1つに接続していないか、又は接触していない。炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23内に炭素系材料(例えば、DLC)の層を提供することによって、基板ホルダWT上の炭素系材料(例えば、DLC)における内部応力の影響が低減される。これによって、炭素系材料(例えば、DLC)の単一の連続層が提供された場合に生じることになる変形に比べて、炭素系材料(例えば、DLC)における内部応力から生じる基板ホルダWTの全体的な変形が低減される。
【0049】
[0056] 炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々、又は、バール20上に提供される炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々は、実質的に同じ特徴及び寸法を含み得る。代替として、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は互いに異なり得る。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、遠位端面20a上及びバール20のバール側面20bの一部に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、バール側面20b全体、及び、バール側面20bのすぐ隣にある本体表面22の一部20cをカバーすることができる。炭素系材料(例えば、DLC)の1つ以上の分離領域23は、シール87の遠位端面上に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の1つ以上の分離領域23は、本体表面22から突出する任意の他のフィーチャ上に提供され得る。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、平面的に見たときに円形であり得る。代替として、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は他の形状で形成され得る。
【0050】
[0057] 一実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23のうちの1つ以上の各々は、単一バール(すなわち、唯一のバール20)のバール側面20bの一部及び遠位端面20aをカバーする。これにより、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の横寸法を制限し、これによって、炭素系材料(例えば、DLC)の内部応力から生じる基板ホルダWTの変形を減少させる。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々は、単一バール20の遠位端面20aをカバーし得る。言い換えれば、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々は、1つのバール20上にのみ提供され得、第2のバール20には提供されない。バール20上に提供される炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々は、単一バール20の遠位端面20aをカバーし得る。代替として、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23の1つ以上の各々は、複数のバール20、例えば近接バール20のグループ上に提供され得る。
【0051】
[0058] 炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、本体表面22に対して垂直に見たときに、バール20の遠位端面20aの直径d
1よりも大きい、最小横寸法、又は直径d
2を有し得る。一実施形態において、単一バール20のバール側面20bの一部及び遠位端面20aをカバーする、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々は、本体表面22に対して垂直に見たときに、バール20の中心と最も近い他のバール20の中心との間の距離よりも小さい、最大横寸法、又は直径d
2を有する。バール20上に提供される炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、そのバール20の中心と最も近い他のバール20の中心との間の中間点まで延長し得る。例えば、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23は、平面的に見たときに、100μmから2mmの範囲内、又は好ましくは200μmから500μmの範囲内の、直径d
2、又は平均横寸法を有し得る。炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の横寸法を制限することで、基板ホルダWTの変形を減少させる。
【0052】
[0059] 一実施形態において、炭素系材料の層はDLCの層を含み、0.5μmから1.5μmの範囲内の厚みを有する。したがって、DLCの層を構成するDLCの分離領域23は、0.5μmから1.5μmの範囲内の厚みt
1を有する。最小厚み0.5μmは、例えば、DLCの層の頂面の平坦性を向上させるために、堆積後にDLCの層を処理することができる。後処理は、DLCの層の頂面が支持平面SPに正確に一致するように保証することができる。最小厚み0.5μmは、更に、いずれの小さな局所的陥没又は突出も平らにすることができる。最大厚み1.5μmは、DLCの層内の内部圧縮応力が低く維持されることを保証する。他の実施形態において、炭素系材料の層は、DLC以外の炭素系材料を含み、0.5μmから1.5μmの範囲内の厚みも有する。これにより、DLCに関して説明した利点と同じ利点を提供し得る。
【0053】
[0060] 代替実施形態において、任意選択として、下にあるDLCの層の表面に実質的に続くように十分薄いDLCのより薄い層が、炭素系材料の一例として提供される。一実施形態において、DLCの層は、30nmから200nmの範囲内の厚みを有する。この場合、DLCの層を構成するDLCの分離領域23は、30nmから200nmの範囲内の厚みt
1を有する。こうした薄いDLCの層を提供することで、DLCの層内の内部圧縮応力を更に減少させる。他の炭素系材料の層も、30nmから200nmの範囲内の厚みを有し得る。これによって、炭素系材料の層内の内部圧縮応力を更に減少させる。
【0054】
[0061] 望ましい特性を達成するために、炭素系材料の層の一例として、DLCの層の正確な配合(例えば、非晶質水素化炭素、a:C−H、又は4面体非晶質炭素、ta−C内の、水素含有量)を選択することができる。望ましい特性は、例えば、本体21の材料への接着、機械的強度、ロバスト性、及び基板Wに対する摩擦の係数を含み得る。DLCの層に含めることが可能な好適な添加物は、シリコン、酸素、窒素、モリブデン、及びフッ素を含む。基板ホルダWTの本体21及びバール20がSiSiC又はSiCから形成される場合、DLCの層内にシリコンを含めることで、基板ホルダWTへの接着を向上させることができる。一実施形態において、バール表面20a、20bとDLCの層との間に接着促進層を提供することができる。DLCの層へのフッ素の添加により、摩擦を更に減少させることができる。こうした望ましい特性を達成するために、他の炭素系材料で作られる層の正確な配合を選択することもできる。
【0055】
[0062] 一実施形態において、DLCの層は、DLCの層は無いが、その他はすべての点で同様の、SiSiCの基板ホルダWTに比べて、基板ホルダWTと基板Wとの間の摩擦を2分の1に減少させる。一実施形態において、垂直力対けん引力の比として定義される摩擦係数は、約0.1とすることができる。摩擦係数は、1片の基板Wを基板ホルダWT上に配置すること、及び、基板ホルダWTを横切って基板Wをドラッグするために必要な力を測定することによって、測定可能である。垂直力は、望ましくは約mNであり、1片の基板Wの重み、基板Wの頂部に置かれる追加の重み、又は、それ全体にわたる圧力差を介して、提供可能である。周囲湿度が摩擦係数の測定に影響を与える可能性があるため、好ましくは、測定は、30°から70°の範囲内の相対湿度RHで実行される。他の炭素系材料も、基板ホルダWTと基板Wとの間の摩擦を大幅に減少させることができる。
【0056】
[0063] DLCの層の追加の利点は、DLCがSiSiCよりも堅牢でないことである。一実施形態において、DLCの層は、純粋なSiSiCよりも約70%低い堅牢性を有する。このDLCの堅牢性の低下は、DLCの高い硬度と組み合わせて、基板ホルダWTの摩耗に対する耐性を向上させることができる。他の炭素系材料も、基板ホルダWTの摩耗に対する耐性を向上させることができる。
【0057】
[0064] 一実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23は、炭素系材料(例えば、DLC)の事前に堆積された層から、炭素系材料(例えば、DLC)の領域を選択的に除去することによって形成される。単一の連続する炭素系材料層(例えば、DLC)から、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23を形成することによって、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の各々の厚み及び特性が一定であることが保証される。これにより、バール20の遠位端面20a上の炭素系材料(例えば、DLC)の層の頂面が、実質的に平坦な支持平面SPに一致することが保証される。
【0058】
[0065]
図4は、一実施形態に従った、基板ホルダWTを製造する方法を示す。第1のステップS1において、基板ホルダブランク、又はテンプレートが提供される。基板ホルダブランクは、SiSiCで作られ得る。基板ホルダブランクは本体21を有する。本体21は本体表面22を有する。基板ホルダブランクは、本体表面22から突出する複数のバール20を有する。各バール20は、バール側面20b及び遠位端面20aを有する。バール20の遠位端面20aは、実質的に支持平面に一致し、基板Wを支持する。各バール20の遠位端面20aは、基板Wと係合する。代替として、基板ホルダブランクは、既知の製造方法を使用して第1のステップで製造され得る。
【0059】
[0066] 方法は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23内に炭素系材料(例えば、DLC)の層を提供することを更に含む。炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23は、炭素系材料(例えば、DLC)の層がバール20の遠位端面20a及びバール側面20bの一部をカバーするように、位置決めされる。
【0060】
[0067] 一実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、本体表面22及び複数のバール20上に、炭素系材料(例えば、DLC)の単一の連続層を第1に提供することS2によって提供される。炭素系材料(例えば、DLC)の連続層は、基板ホルダWTの中央領域内のバール20などの、あるバール20にのみ、提供されることS2が可能である。代替として、炭素系材料(例えば、DLC)の連続層は、基板ホルダWTの全体に提供されることS2が可能である。炭素系材料(例えば、DLC)の連続層は、例えば、プラズマ堆積プロセスを使用して、基板ホルダWTに提供され得る。
【0061】
[0068] 次に、炭素系材料(例えば、DLC)の領域は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23を形成するように、炭素系材料(例えば、DLC)の連続層から選択的に除去されるS3。言い換えれば、炭素系材料(例えば、DLC)の連続層は、パターン化、構造化、又は中断される。炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23は、前述のような特徴及び特性を有し得る。炭素系材料(例えば、DLC)の選択的除去S3は、(例えば、フォトレジスト又は金属からなる)マスクを介するエッチング又は研磨用サンドブラスティング、あるいは放電加工によって達成可能であるが、これらの方法に限定されない。
【0062】
[0069] 代替実施形態において、ステップS2及びS3は、炭素系材料(例えば、DLC)の層が炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23以外の領域上に形成されるのを防止しながら、炭素系材料(例えば、DLC)の層が提供される、処理によって置き換えられ、それによって炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23を形成する。例えば、炭素系材料(例えば、DLC)の層の堆積中、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23以外の領域をマスクすることができる。
【0063】
[0070] 任意選択の更なるステップS4において、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23に、後処理を施すことができる。後処理を使用して、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の上面が望ましい平坦性を有し、支持平面SPに正確に一致することが保証され得る。後処理ステップS3は、例えばレーザアブレーション、イオンエッチング、又はイオンビームフィギュアリング(IBF)による、材料の選択的除去を含み得る。後処理後、基板ホルダWTはテストされS5、例えば、必要であれば酸素プラズマ処理又は機械研磨を使用することによって再加工可能である。
【0064】
[0071] 第1に、炭素系材料(例えば、DLC)の単一の連続層を提供することS2の利点は、こうした層が非常に均一に堆積可能であり、炭素系材料(例えば、DLC)の連続層全体にわたる一定の厚み及び内部構造につながることである。結果として、炭素系材料(例えば、DLC)の選択的除去S3、又は炭素系材料(例えば、DLC)の連続層のパターン化の後、炭素系材料(例えば、DLC)の残りの分離領域23は、すべて、実質的に等しい特性及び厚みを有する。これにより、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23の頂面が、すべて同じ実質的に平坦な支持平面SPに一致することが保証される。これにより、後処理の要件が最小限になる。
【0065】
[0072] 代替として、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離領域23内の基板ホルダWTに炭素系材料(例えば、DLC)が提供されるように、マスクを介してブランク又はテンプレート上に炭素系材料(例えば、DLC)を堆積することによって、炭素系材料(例えば、DLC)の分離領域23が形成され得る。代替として、マスクは、例えばフォトレジスト又は金属の犠牲層からなり得る。
【0066】
[0073] 一実施形態において、基板W上に像を投影するためのリソグラフィ装置が提供される。リソグラフィ装置は、前述のような基板ホルダWTを備える。
【0067】
[0074] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、パターニングデバイスMAを支持するように構成された支持構造MTを更に備える。投影システムPSは、パターニングデバイスMAによってパターン付与されたビームを基板W上に投影する。クランプシステムは、基板ホルダWTに基板Wをクランプする。
【0068】
[0075] 一実施形態において、リソグラフィ装置を使用するデバイスを製造する方法が提供される。リソグラフィ装置は、前述のような基板ホルダWTと、基板ホルダWTに基板Wをクランプするためのクランプシステムとを有する。方法は、基板ホルダWT上に基板Wをロードすることを含む。方法は更に、基板Wの変形の弛緩を可能にすることを含む。方法は更に、クランプシステムを係合することを含む。方法は更に、パターンを基板W上に露光することを含む。
【0069】
[0076] クランプを係合する前に、基板Wの変形の弛緩を可能にすることによって、オーバーレイエラーを最小化することができる。炭素系材料(例えば、DLC)の層は、いかなる遅延も無しに弛緩を発生させることを可能にする。
【0070】
[0077]
図5〜
図7は、DLCの単一の連続層の代わりにDLCの分離領域23を使用することによって、改良された基板ホルダWTの平坦性がどのように取得されるかを示す、実験データを示す。各図は、3つの異なる手段に従って、基板ホルダWTの平坦性における偏差を示す、実験データの3つのプロット、(上)全体的なクランプ形状における偏差、(中)基板ホルダ平坦性のオーバーレイ補正不可コンポーネント、及び(下)基板ホルダ平坦性のフォーカス補正不可コンポーネント、を含む。異なるレベルの偏差にわたるピクセルの分布及びシェーディングキーを示すヒストグラムが、各プロットの下に提供されている。
図5〜
図7の各々における上のプロットでは、中央のより暗い領域は相対的に大きな偏差を表し、より明るいグレー領域は中間偏差を表し、周辺のより暗い領域は相対的に小さい偏差を表す。
図5〜
図7の各々における真ん中のプロットでは、プロットのほとんどが相対的に小さい偏差(プロットの下に提供されるヒストグラムにおけるピークのシェードに対応する)に対応する。
図5〜
図7の各々における下のプロットでは、プロットのほとんどが相対的に小さい偏差(プロットの下のヒストグラムの2つのピーク領域のシェードに対応する)に対応するが、より暗い領域は相対的に大きい偏差を表す。
図5〜
図7は、DLCの単一の連続層の適用は、平坦性からの相対的に大きな偏差につながり、
図6の下のプロット(単一の連続層でのコーティング後)と
図5の下のプロット(コーティング前)とを比較することによって、最も明白に認識可能である。DLCの分離領域23を提供するためにDLCの連続層を構造化することで、平坦性からの偏差は著しく減少し、
図6の下のプロット(DLCの単一の連続層でのコーティング後)と
図7の下のプロット(DLCの分離領域23でのコーティング前)とを比較することによって、最も明白に認識可能である。
図7の下のプロットにおけるより暗い領域の量が
図6の下のプロットと比較して大幅に少ないことは、DLCの分離領域23が使用されるときに、平坦性が向上することを示す。この特定の実験例において、DLCの単一の連続層における高い内部応力は、基板ホルダWTの屈曲及び変形につながり、基板ホルダWTの外側エッジは、基板ホルダWTの中央に対して約2.3μmから2.5μmだけカールダウンする。DLCの分離領域23が提供される場合、変形は大幅に少ない。DLCの分離領域23が使用されるときに観察される平坦性の偏差は、DLCでのいずれのコーティングよりも前に見られる偏差と同様である。より一般的には、発明者等は、厚みが約1ミクロンのDLCの単一の連続層における内部応力は、基板ホルダWTにおけるミクロン規模の変形につながる可能性があることを実験から発見した。
【0071】
[0078]
図3の実施形態において、炭素系材料(例えば、DLC)の層は、炭素系材料(例えば、DLC)の複数の分離した、又は途切れた領域23内に提供される。これらの分離領域23間には炭素系材料は提供されない。このようにして、基板ホルダWTの本体表面22は露光される。発明者等は、基板ホルダWTの後処理の間、例えばイオンビームフィギュアリング(IBF)の間、基板ホルダWTの露光されたSiSiC又はSiC本体表面22からの材料は、SiO
x又はSiC粒子としてスパッタオフされ得ることに気付いた。こうした粒子は炭素系材料の層の頂部に堆積し、汚染層を形成する場合がある。この汚染層は、バール20の遠位端面20aの表面の粗さを増加させ、基板ホルダWTと基板Wとの間の摩擦の増加につながる。したがって、こうした汚染層の形成を避けることが望ましい。
【0072】
[0079] 発明者等は、こうした汚染層の形成が、
図8に示すような炭素系材料の連続層を提供することによって防止又は緩和できることを発見した。連続層は、複数の第1の領域23を有する。各第1の領域23は、第1の厚みt
1(すなわち、同じ厚み)を有する。第1の厚みt
1は、各第1の領域23内で実質的に均一である。連続層は、第2の厚みt
2を有する少なくとも1つの第2の領域25を更に備える。第1の厚みt
1は第2の厚みt
2よりも大きい。
【0073】
[0080] 複数の第1の領域23は共に、バール20のうちの少なくとも1つの遠位端面20aの一部のみ、又は、バール20のうちの少なくとも1つの遠位端面20aの少なくとも一部及びバール側面20bの少なくとも一部の両方の、いずれかをカバーする。実施形態において、第1の領域23は、
図3を参照しながら上記で考察した炭素系材料の分離領域23と、同じサイズ、形状、及び/又は位置を有する。炭素系材料の第1の領域23も、基板ホルダWTの本体表面22よりも摩擦係数が低い表面を提供し、それによって、前述の炭素系材料の分離領域23と同様にオーバーレイエラーを減少させる。
【0074】
[0081] 第1の領域23よりも少ない厚みを有する少なくとも1つの第2の領域25を提供することで、均一厚みの連続層に比べて全体の内部応力が低くなると同時に摩耗に対する適切な耐性を達成する、連続層を提供することが可能である。これは、摩耗に対する耐性を達成するのに十分大きな厚みが、基板Wに接触していないエリアでは必要ないためである。基板Wに接触していないエリアのうちの少なくともいくつかに、より薄い第2の領域25を提供することで、摩耗に対する耐性にいかなる悪影響も与えることなく内部応力を減少させる。各第2の領域25における単位面積当たりの内部応力は、各第1の領域23における単位面積当たりの内部応力よりも低い。
【0075】
[0082]
図3を参照しながら上記で考察したタイプの実施形態とは対照的に、(炭素系材料が第1の領域23間に存在するような)炭素系材料の連続層を提供することで、基板ホルダWTの本体表面22が露光されない、又は少なくとも露光される本体表面22が少ないことが保証される。イオンビームフィギュアリングなどの後処理ステップは、炭素系材料の少なくとも1つの第2の領域25によってカバーされた基板ホルダWTの本体表面22の領域に、直接作用することはできない。後処理の間に、炭素系材料の層の頂部に汚染層が形成されることは防止又は低減される。少なくとも1つの第2の領域25は、複数の第1の領域23の間のエリアのすべて又は実質的にすべてをカバーし得る。これによって、本体表面22のいずれの部分も基板ホルダWTの後処理に曝されず、汚染層の形成のリスクは最小限となる。
【0076】
[0083] 一実施形態において、少なくとも1つの第2の領域25は第1の領域23に接続し、本体表面22及び基板ホルダWTのバール20を覆う連続層を共に形成する。一実施形態において、第1の領域23及び少なくとも1つの第2の領域25は、本体表面22及び/又は基板ホルダWTのバール20上に直接提供される。
【0077】
[0084] 様々な実施形態において、炭素系材料の第1の厚みt
1は、0.5μmから1.5μmの範囲内となるように選択される。バール20の頂部の厚み0.5μm以上の炭素系材料(例えば、DLC)は、摩耗に対する適切な耐性を提供すること、後処理(イオンビームフィギュアリング又はラッピングなど)において平坦性を達成するための実際的なマージンを提供すること、及び、ターゲット表面の信頼性のある全カバレッジを促進することが、わかっている。厚み1.5μm以下の炭素系材料(例えば、DLC)は、オーバーレイエラーに過度に寄与しないように十分低い内部応力を、第1の領域23内に提供することがわかっている。
【0078】
[0085] 様々な実施形態において、炭素系材料の第2の厚みt
2は、200nmから300nmの範囲内となるように選択される。200nm又はそれ以上の厚みは、後処理ステップ(イオンビームフィギュアリングなど)が基板ホルダWTの本体表面22まで達するリスクを低減させ、それによって、汚染層が形成されるリスクを低減させることがわかっている。300nm未満の厚みは、基板ホルダWTに作用する内部応力が、基板ホルダWTエッジの過度のカールダウン及び関連するオーバーレイエラーを回避するのに十分なように低減されることを保証するのに効果的であることがわかっている。
【0079】
[0086]
図8の実施形態は、
図4に関して説明した方法に従って生成され得るが、ステップS3において、炭素系材料の事前に堆積された連続層の少なくとも1つの選択領域から、炭素系材料が(完全にではなく)部分的にのみ除去されることを除く。部分的な除去は、少なくとも1つの選択領域内の炭素系材料の厚みの低減を含む。炭素系材料が除去されていない領域は、第1の領域23を形成し得る。炭素系材料が部分的に除去されている少なくとも1つの領域は、少なくとも1つの第2の領域25を形成し得る。部分的な除去は、例えば、(例えば、フォトレジスト又は金属からなる)マスクを介するエッチング又は研磨用サンドブラスティング、放電加工、又はレーザアブレーションによって、実施され得る。
【0080】
[0087] 代替として、
図8の実施形態は、炭素系材料の薄い連続層(200nmから300nmの範囲内などの、第2の厚みに等しい)を第1に提供することによって生成され得る。次いで、より厚い層を選択領域内に追加し、例えば、炭素系材料が第1の領域23以外の領域上に形成されるのを防ぎながら、炭素系材料を追加することによって、第1の厚み(例えば、0.5μmから1.5μmの範囲内)を有する第1の領域23を形成することができる。これは、例えば堆積中のマスキングによって達成され得る。別の実施形態において、より厚い第1の領域23が第1のステップにおいて(例えば、マスクされた堆積によって)選択的に形成され、少なくとも1つの第2の領域25が、後続のステップにおいて連続する薄い層を(少なくとも1つの第2の領域25及び第1の領域23を覆って)印加することによって形成される。
【0081】
[0088] DLC以外の炭素系材料が、基板ホルダWT上に提供され得る。こうしたDLCの代替の1つがグラフェンである。グラフェンは、バール20の遠位端面20a上で潤滑剤及び耐摩耗コーティングとして使用され得る。したがって、グラフェンの層は、のぞましくないオーバーレイエラーの影響を低減させるために、摩擦低減及び耐摩耗コーティングとして、基板ホルダWT上に提供され得る。グラフェンの層は、
図3の実施形態に関して説明したように、グラフェンの複数の分離領域23内の基板支持体WT上に提供され得る。これによって、基板支持体WT上での高品質グラフェンの単純で効率的な提供を可能にする。グラフェン表面の品質、並びにグラフェンと基板ホルダWTとの間のインターフェースの品質は、グラフェンの摩耗に対する耐性及びその低摩擦特性に直接影響する。
【0082】
[0089] グラフェンの層は、単層グラフェン又は多層グラフェンを含み得る。単層グラフェンの提供は、基板ホルダWTの摩耗及び基板ホルダWTと基板Wとの間の摩擦を劇的に低減させるのに十分である。基板ホルダWTのバール20上にグラフェンの層が提供されると、バール20とバール20によって支持される基板Wとの間の直接の微小の接触が回避され、高摩擦及び摩耗につながる化学結合は形成されないことになる。更に、グラフェンの低欠陥密度は、基板W又は基板W上の有機汚染物への接着力を最小限にする。更にグラフェンの層は、バール20の遠位端面20aのいかなる本来の凹凸も補償する。グラフェンは固有の低表面エネルギーを有し、これが、バール20上の毛細管(又は水)架橋の固定によって生じる摩擦力に対する寄与を最小にする。こうした毛細管架橋は、リソグラフィ装置内で使用される液浸液、又は空中の水蒸気から生じ得、基板ホルダWTの摩耗率を著しく増加し得る。このようにして、グラフェンは、基板ホルダWT上の摩耗及び摩耗デブリの生成を効果的に減少又は最小化させる。グラフェンは、摩擦係数を著しく低減し、基板ホルダWTの摩耗に対する耐性を向上させる、炭素系材料の一例である。
【0083】
[0090] 単層グラフェンの代わりに多層グラフェンを提供することで、グラフェンの層の摩耗に対する耐性を向上させることができる。これは、摩耗が、グラフェンと基板ホルダWTとの間の接触インターフェースにまで達する可能性が低いためである。したがって、摩耗は、多層グラフェンの基板ホルダWTへの接着に最小限の影響を与えるのみである。
【0084】
[0091] 基板ホルダWTにグラフェンの層を提供する方法は、基板ホルダWTを提供すること、基板ホルダWTの少なくとも一部を水素雰囲気に浸すこと、及び、放射ビームBを使用して基板ホルダWTの少なくとも一部を照射することを含む。照射される基板ホルダWTの部分は、
図3の実施形態に関連して考察される、炭素系材料の複数の分離領域23に対応し得る。方法は、リソグラフィ装置内で実施可能である。水素雰囲気及び放射ビームは、リソグラフィ装置によって提供され得る。
【0085】
[0092] 基板ホルダWTは、SiSiC又はSiCで作られ得る。SiCで作られた基板ホルダWTを使用することで、基板ホルダWT上にグラフェンを直接成長させることができる。更に、SiC基板ホルダWTの等質構造により、基板ホルダWTの各バール20の機械接触特性の正確な定義が可能となる。グラフェンは、例えば高温で生じ得るシリコン原子の脱離に基づいてSiC上に形成され得る。したがってグラフェンは、SiC基板ホルダWTのバルク材料から直接形成され得る。1つのグラフェン層を形成するために、3つのSiC二重層が必要である。これは、(6√3×6√3)R30°構造を伴う炭素中間層の形成によって仲介される。再度追加のグラフェン層を形成することは、(6√3×6√3)R30°構造の形成につながる。同時に、第1の(6√3×6√3)R30°構造は、SiC基板ホルダWTへのその共有結合から解放され、真のグラフェン層に変換される。このようにして、すべてのグラフェン層は、基板ホルダWTに対して同じ30°回転を用いて形成される。
【0086】
[0093] SiC基板ホルダWT上でのグラフェンのこうした成長は、リソグラフィ装置内の原位置で達成され得る。基板ホルダWTが水素雰囲気によって囲まれている間に、基板ホルダWTの選択領域、又は基板ホルダWT全体が、リソグラフィ装置の放射ビームBに露光され得る。水素雰囲気は分子状水素を含む。この分子状水素は、放射ビームBとの相互作用時に原子状水素に解離される。SiC基板ホルダWTのシリコン原子と原子状水素の化学的相互作用は、シランガスSiH
4の形成、及びしたがってシリコンの脱離につながる。シリコン原子の脱離後、基板ホルダWTの上層内に残る炭素原子は、それら自体を(6√3×6√3)R30°構造に再編成し、その後、真のグラフェン層を形成する。揮発性SiH
4は、リソグラフィ装置の真空機器を使用して、リソグラフィ装置から即時に排気することができる。
【0087】
[0094] 放射ビームBの波長は重要ではない。放射ビームBの波長は、例えば可視(390nmから700nm)、又は赤外線(700nmから1mm)レジーム内であるものとすることができる。代替として、約193nm(DUV)、約13.5nm(EUV)、及び更に短い波長(BEUV)が使用可能であるため、グラフェンを成長させるために、リソグラフィ装置のDUV、EUV、又は他の放射ビームBを使用することが可能になる。放射ビームBは、5nmから1mmの範囲内の波長を有し得る。好ましくは、放射ビームBは10nmから200nmの範囲内の波長を有する。この結果として、SiC基板ホルダWTのC又はSiの内部シェルの励起が生じることはない。この波長の放射は、結果として、外側シェル励起及び結合破壊、又は加熱のいずれかを生じさせることになる。この波長の放射は、分子状水素を原子状水素に効果的に解離させる。リソグラフィ装置はEUVリソグラフィ装置であってよく、EUVリソグラフィ装置のEUV放射ビームBを使用して、分子状水素を解離させることができる。代替として、リソグラフィ装置はDUVリソグラフィ装置であってよく、DUVリソグラフィ装置のDUV放射ビームBを使用して、分子状水素を解離させることができる。
【0088】
[0095] 水素雰囲気の圧力は重要ではない。圧力は、例えば、0.5Paから10Paの範囲内などの、約1Pa又は数Paであり得る。圧力はリソグラフィ装置内の圧力に対応し得るため、水素雰囲気は、例えば約1Paの圧力で提供されることになる。約1Pa又は数Paの圧力は、基板ホルダWT上でグラフェンを効果的に成長させるのに十分である。圧力は、リソグラフィ装置の通常のリソグラフィ処理において、干渉しないか又は干渉が最小限であるように十分低い。
【0089】
[0096] 加えて、EUVリソグラフィ装置内などでのグラフェンの水素雰囲気に対する曝露を、グラフェンの原子レベル修復に使用することもできる。例えば摩耗によって損傷したグラフェンの層は、機械応力に起因する破断の影響を受けやすい。ダングリングボンドは、グラフェンの損傷部位で曝露される。水素原子は、これらのダングリングボンドに結合し、したがってこれらを不動態化する。これにより、グラフェンの層の寿命を大幅に延長し、その望ましい摩耗に対する耐性及び摩擦特性をより長い期間維持することができる。同様に、例えば、DUVリソグラフィ装置内に存在する水蒸気中の水素は、グラフェンの層のダングリングボンドを結合及び不動態化し、したがって、グラフェンの層の寿命を延長することができる。したがって、EUV又はDUVリソグラフィ装置における基板ホルダWT上のグラフェンの層は、延長された期間、その望ましい特性を維持することができる。
【0090】
[0097] 基板ホルダWT上のグラフェンの層は、基板Wが基板ホルダWT上にロードされるとき、及び基板ホルダWTからアンロードされるとき、摩耗する可能性がある。これにより、基板ホルダWTの低摩擦特性が低減する。グラフェンの層は、例えば基板ホルダWTの摩擦係数が所定の閾値を超えたときに、リソグラフィ装置内で定期的に新しくすることが可能である。グラフェンの層は、例えば、単一の基板Wのロード及びアンロード後に毎回、又は、所定数の基板Wのロード及びアンロード後に毎回、新しくすることが可能である。グラフェンの層の更新頻度は、グラフェンの層の摩耗率に依存する。グラフェンの層は、基板ホルダWTによって保持されている基板Wがないとき、例えば、基板Wを基板ホルダWTからアンロードした後、及び次の基板Wが基板ホルダWT上にロードされる前に、新しくされる。グラフェンの層を提供するプロセスは、リソグラフィ処理が実施されない短い時間間隔を必要とする場合がある。しかしながら、グラフェンの層の更新頻度は、リソグラフィ装置のリソグラフィ処理を大幅に干渉しない程度に十分少ないことが予想される。
【0091】
[0098] 基板ホルダWTにグラフェンの層を提供する代替方法は、基板ホルダWTを提供すること、及び、レーザビームを使用して基板ホルダWTの少なくとも一部を照射することを含む。照射される基板ホルダWTの部分は、前述の炭素系材料の複数の分離領域23に対応し得る。方法は、リソグラフィ装置内の原位置で実施され得る。
【0092】
[0099] レーザビームは、照射される基板ホルダWTの部分を局所的に加熱する。加熱されたSiCの表面層は、気体のSi及び固体のCに分解されるため、SiはSiC基板ホルダWTから脱離されることになる。シリコン原子の脱離後、基板ホルダWTの上層内に残る炭素原子は、それら自体を(6√3×6√3)R30°構造に再編成し、その後、真のグラフェン層を形成する。
【0093】
[0100] レーザビームは、例えば、CO
2レーザビームであり得る。こうしたCO
2レーザビームの波長は、9.4μmから10.6μmの範囲内であり得る。
【0094】
[0101] この代替方法の利点は、水素雰囲気の提供が不要であり、したがって既存のDUVリソグラフィ装置内でより容易に実行できることである。
【0095】
[0102] 基板ホルダWTにグラフェンの層を提供する上記の方法を、SiC基板ホルダに関して説明してきた。しかしながら、グラフェンの層は、Siマトリックス内にSiCグレインを含むSiSiC基板ホルダWT上に提供することもできる。グラフェンの層は、前述のメカニズムのうちの1つによるSi原子の脱離に続き、基板ホルダWTのSiCグレイン上に成長させることができる。したがって、グラフェンの層はSiCグレイン上に直接提供され得る。SiCグレインは、基板ホルダWTのバール20の遠位端面20a上に提供され得る。したがって、グラフェンの層は、バール20の遠位端面20aの一部上のみ(SiCグレイン上のみ)に、及びすべてではなく(SiCグレインを保持しているSiマトリックスではなく)、提供され得る。SiCグレインは、基板Wと直接接触している基板ホルダWTの部分である。したがって、基板ホルダWTのSiCグレインの摩耗に対する耐性及び摩擦特性を向上させることが、特に望ましい。
【0096】
[0103] 基板ホルダWTにグラフェンの層を提供する更なる代替の方法において、グラフェンの層は、基板ホルダWTの少なくとも一部上へのグラフェンの機械的剥離によって提供され得る。グラフェンは、SiC又はSiSiC基板ホルダWT、又はDLC及びCrNコーティングを伴う基板ホルダWT上に、直接機械的に剥離され得る。これによって、基板ホルダWT上へのグラフェンの層の提供が単純になる。SiC基板ホルダWTの高い構造的均一性によって、SiCバールの形状化及び研磨をかなり正確にすることが可能であり、これによって、最小の表面欠陥を伴うSiCバール上にグラフェンを剥離させることができる。
【0097】
[0104] 代替として、基板ホルダWTへのグラフェンの接着を向上させるために、基板ホルダWTの少なくとも一部上に接着層が第1に提供され得る。接着層が提供される基板ホルダWTの部分は、
図3の実施形態に関して考察した、炭素系材料の複数の分離領域23に対応し得る。グラフェンを提供する前に接着層を印加することによって、グラフェンの接着及び表面特性を最適化すること、及びしたがって、その摩耗に対する耐性及び摩擦特性を最適化することが可能である。
【0098】
[0105] グラフェンは、金属、誘電体、半導体、及び複合材料などの、様々な電子構造を備える広範囲の材料との強い結合を確立することができる。グラフェンは、不完全に充填された電子dバンドに起因して、金属及び金属合金と化学的に結合し得る。したがって、接着層は、鉄、コバルト、パラジウム、ニッケル、チタニウム、又はスチールなどの、金属又は金属合金であり得る。グラフェンは、その高い電荷密度に起因して、誘電体及び半導体に静電的に結合することもできる。誘電体又は半導体へのグラフェンの接着は、誘電体又は半導体の誘電率εと共に増加する。接着層は、2.5よりも大きい誘電率εを有し得る。接着層は、例えば、Al
2O(ε=9)、AIN(ε=9)、Cu
2O(ε=18)、Hf
2O(ε=20〜77、結晶構造解析に依存する)、a−Zr
2O(ε=22)、ダイヤモンド(ε=10)、DLC(ε=2.5〜6)、SiC(ε=10)、又はSi
2O(ε=4)からなるグループから選択することができる。
【0099】
[0106] Hf
2Oへのグラフェンの接着は、真空アニールによって更に向上し得る。加えてグラフェンは、DLC又はSiCなどの誘電体又は半導体に化学的に結合可能であり、こうした材料へのグラフェンの接着を更に向上させる。これらの材料のうちのいずれかへのグラフェンの接着は、接着剤溶液の薄い(例えば、原子)化学層を基板ホルダWTに印加することによって、更に向上し得る。接着剤溶液は有機又は無機であってよい。接着剤溶液は、例えば、エチレン酢酸ビニール、又は、接着層に関して上記に列挙した無機材料のうちの1つであってよい。
【0100】
[0107] 前述の基板ホルダWTへグラフェンを提供する方法により、基板ホルダWT上の選択領域にグラフェンの層を印加することができる。これらの選択領域は、
図3の実施形態に関して説明した炭素系材料の複数の分離領域23に対応し得る。グラフェンは、基板Wの摩耗及びスライディングによって最も影響を受けるバール20、例えば、基板ホルダWTのエッジ付近の外側バール20に、選択的に印加することができる。グラフェンを印加する基板ホルダWT上の領域を選択することで、基板ホルダWTの各バール20の摩擦力の局所調整が可能になるため、基板Wのロードグリッドを向上させることもできる。
【0101】
[0108] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0102】
[0109] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、436nm、405nm、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0103】
[0110] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。
【0104】
[0111] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0105】
[0112] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【0106】
[0113] 下記の条項は好ましい実施形態を定義する。出願人は、これらの条項に記載された特徴の組み合わせの保護を追求する権利を保持する。本出願の請求項は、この先の36ページからの「特許請求の範囲」と見出しが付けられた別のセクションに含まれる。
【0107】
[0114] 条項1:リソグラフィ装置において使用するため、及び基板を支持するように構成された、基板ホルダであって、基板ホルダは、
本体表面を有する本体と、
本体表面から突出する複数のバールと、
を備え、
各バールはバール側面及び遠位端面を有し、遠位端面は基板と係合するように構成され、
バールの遠位端面は、支持平面に実質的に一致し、基板を支持するように構成され、
ダイヤモンド状炭素が、ダイヤモンド状炭素の複数の分離領域内に提供され、
ダイヤモンド状炭素の層は、遠位端面と、バールのうちの少なくとも1つのバール側面の少なくとも一部とをカバーする、
基板ホルダ。
【0108】
[0115] 条項2:ダイヤモンド状炭素の層は、バールのうちの少なくとも1つの、バール側面、遠位端面、及び、バール側面のすぐ隣にある本体表面の一部をカバーする、条項1の基板ホルダ。
【0109】
[0116] 条項3:ダイヤモンド状炭素の複数の分離領域のうちの1つ以上の各々は、単一バールのバール側面の一部及び遠位端面をカバーする、条項1又は条項2の基板ホルダ。
【0110】
[0117] 条項4:単一バールのバール側面の一部及び遠位端面をカバーする、ダイヤモンド状炭素の分離領域の各々は、本体表面に対して垂直に見たときに、バールの中心と最も近い他のバールの中心との間の距離よりも小さい最大横寸法を有する、条項3の基板ホルダ。
【0111】
[0118] 条項5:ダイヤモンド状炭素の層は、本体表面から突出する複数のバールの各々の遠位端面をカバーする、上記いずれかの項の基板ホルダ。
【0112】
[0119] 条項6:ダイヤモンド状炭素の層は、本体表面から突出する複数のバールの各々のバール側面の少なくとも一部を更にカバーする、条項5の基板ホルダ。
【0113】
[0120] 条項7:ダイヤモンド状炭素の層は、0.5μmから1.5μmの範囲内の厚みを有する、上記いずれかの項の基板ホルダ。
【0114】
[0121] 条項8:ダイヤモンド状炭素の層は、30nmから200nmの範囲内の厚みを有する、条項1から条項6のいずれかの基板ホルダ。
【0115】
[0122] 条項9:本体表面から突出するシールを更に備え、シールはシール端面を有し、
ダイヤモンド状炭素の層はシール端面をカバーする、
上記いずれかの項の基板ホルダ。
【0116】
[0123] 条項10:ダイヤモンド状炭素の複数の分離領域は、ダイヤモンド状炭素の事前に堆積された層からダイヤモンド状炭素の領域を選択的に除去することによって形成される、上記いずれかの項の基板ホルダ。
【0117】
[0124] 条項11:基板ホルダを製造する方法であって、
本体表面を伴う本体を有し、本体表面から突出する複数のバールを有する、基板ホルダブランクを提供することであって、各バールはバール側面及び遠位端面を有し、遠位端面は基板と係合するように構成され、バールの遠位端面は、支持平面に実質的に一致し、基板を支持するように構成される、基板ホルダブランクを提供すること、
ダイヤモンド状炭素の複数の分離領域においてダイヤモンド状炭素の層を提供することであって、複数の分離領域は、ダイヤモンド状炭素の層が、遠位端面とバールのうちの少なくとも1つのバール側面の一部とをカバーするように、位置決めされる、ダイヤモンド状炭素の層を提供すること、
を含む、方法。
【0118】
[0125] 条項12:ダイヤモンド状炭素の層を提供することは、
本体表面の少なくとも一部及び複数のバール上にダイヤモンド状炭素の連続層を提供すること、及び、
ダイヤモンド状炭素の複数の分離領域を形成するために、ダイヤモンド状炭素の連続層からダイヤモンド状炭素の領域を選択的に除去すること、
を含む、条項11の方法。
【0119】
[0126] 条項13:ダイヤモンド状炭素の層を提供することは、
ダイヤモンド状炭素の層がダイヤモンド状炭素の複数の分離領域以外の領域上に形成されるのを選択的に防止しながら、ダイヤモンド状炭素の層を提供することを含み、それによってダイヤモンド状炭素の複数の分離領域を形成する
条項11の方法。
【0120】
[0127] 条項14:像を基板上に投影するためのリソグラフィ装置であって、
条項1から条項10のいずれかに記載の基板を支持するように構成された基板ホルダ、
を備える、リソグラフィ装置。
【0121】
[0128] 条項15:
パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造と、
パターニングデバイスによってパターン付与されたビームを基板上に投影するように配置された、投影システムと、
基板を基板ホルダにクランプするためのクランプシステムと、
を更に備える、条項14のリソグラフィ装置。
【0122】
[0129] 条項16:条項1から条項10のいずれかの基板ホルダと、基板を基板ホルダにクランプするためのクランプシステムとを有する、リソグラフィ装置を使用するデバイスを製造する方法であって、
基板を基板ホルダ上にロードすること、
基板の変形の弛緩を可能にすること、
クランプシステムを係合すること、及び、
パターンを基板上に露光すること、
を含む、方法。
【0123】
[0130] 条項17:リソグラフィ装置において使用するため、及び基板を支持するように構成された、基板ホルダであって、基板ホルダは、
本体表面を有する本体と、
本体表面から突出する複数のバールと、
を備え、
各バールはバール側面及び遠位端面を有し、遠位端面は基板と係合するように構成され、
バールの遠位端面は、支持平面に実質的に一致し、基板を支持するように構成され、
炭素系材料の層が炭素系材料の複数の分離領域内に提供され、炭素系材料の層は、炭素系材料の複数の分離領域外の本体表面の一部よりも低い摩擦係数を表面に提供し、
炭素系材料の層はバールのうちの少なくとも1つの遠位端面の一部のみをカバーするか、又は、炭素系材料の層は、遠位端面と、バールのうちの少なくとも1つのバール側面の少なくとも一部とをカバーする、
基板ホルダ。
【0124】
[0131] 条項18:炭素系材料はダイヤモンド状炭素である、条項17の基板ホルダ。
【0125】
[0132] 条項19:炭素系材料の層は、バールのうちの少なくとも1つの、バール側面、遠位端面、及び、バール側面のすぐ隣にある本体表面の一部をカバーする、条項17又は条項18の基板ホルダ。
【0126】
[0133] 条項20:炭素系材料の複数の分離領域のうちの1つ以上の各々は、単一バールのバール側面の一部及び遠位端面をカバーする、条項17から条項19の基板ホルダ。
【0127】
[0134] 条項21:単一バールのバール側面の一部及び遠位端面をカバーする、炭素系材料の分離領域の各々は、本体表面に対して垂直に見たときに、バールの中心と最も近い他のバールの中心との間の距離よりも小さい最大横寸法を有する、条項20の基板ホルダ。
【0128】
[0135] 条項22:炭素系材料の層は、本体表面から突出する複数のバールの各々の遠位端面をカバーする、条項17から条項21のいずれかの基板ホルダ。
【0129】
[0136] 条項23:炭素系材料の層は、本体表面から突出する複数のバールの各々のバール側面の少なくとも一部を更にカバーする、条項22の基板ホルダ。
【0130】
[0137] 条項24:炭素系材料の層は、0.5μmから1.5μmの範囲内の厚みを有する、条項17から条項23のいずれかの基板ホルダ。
【0131】
[0138] 条項25:炭素系材料の層は、30nmから200nmの範囲内の厚みを有する、条項17から条項23のいずれかの基板ホルダ。
【0132】
[0139] 条項26:本体表面から突出するシールを更に備え、シールはシール端面を有し、
炭素系材料の層はシール端面をカバーする、
条項17から条項25のいずれかの基板ホルダ。
【0133】
[0140] 条項27:炭素系材料の複数の分離領域は、炭素系材料の事前に堆積された層から炭素系材料の領域を選択的に除去することによって形成される、条項17から条項26のいずれかの基板ホルダ。
【0134】
[0141] 条項28:基板ホルダを製造する方法であって、
本体表面を伴う本体を有し、本体表面から突出する複数のバールを有する、基板ホルダブランクを提供することであって、各バールはバール側面及び遠位端面を有し、遠位端面は基板と係合するように構成され、バールの遠位端面は、支持平面に実質的に一致し、基板を支持するように構成される、基板ホルダブランクを提供すること、
炭素系材料の複数の分離領域において炭素系材料の層を提供することであって、炭素系材料の層は、炭素系材料の複数の分離領域外の本体表面の一部よりも低い摩擦係数を表面に提供し、複数の分離領域は、炭素系材料の層がバールのうちの少なくとも1つの遠位端面の一部のみをカバーするか、又は、炭素系材料の層が、遠位端面とバールのうちの少なくとも1つのバール側面の一部とをカバーするように、位置決めされる、炭素系材料の層を提供すること、
を含む、方法。
【0135】
[0142] 条項29:炭素系材料の層を提供することは、
本体表面の少なくとも一部及び複数のバール上に炭素系材料の連続層を提供すること、及び、
炭素系材料の複数の分離領域を形成するために、炭素系材料の連続層から炭素系材料の領域を選択的に除去すること、
を含む、条項28の方法。
【0136】
[0143] 条項30:炭素系材料の層を提供することは、
炭素系材料の層が炭素系材料の複数の分離領域以外の領域上に形成されるのを選択的に防止しながら、炭素系材料の層を提供することを含み、それによって炭素系材料の複数の分離領域を形成する
条項28の方法。
【0137】
[0144] 条項31:リソグラフィ装置において使用するため、及び基板を支持するように構成された、基板ホルダが提供され、基板ホルダは、
本体表面を有する本体と、
本体表面から突出する複数のバールと、
を備え、
各バールはバール側面及び遠位端面を有し、遠位端面は基板と係合するように構成され、
バールの遠位端面は、支持平面に実質的に一致し、基板を支持するように構成され、
炭素系材料の連続層が提供され、連続層は、各々が条項1の厚みを有する複数の条項1の領域と、条項2の厚みを有する少なくとも1つの条項2の領域とを備え、炭素系材料は、本体表面よりも低い摩擦係数を表面に提供し、
複数の条項1の領域は共に、バールのうちの少なくとも1つの遠位端面の一部のみをカバーするか、又は、遠位端面とバールのうちの少なくとも1つのバール側面の少なくとも一部とをカバーし、
条項1の厚みは条項2の厚みよりも大きい、
基板ホルダ。
【0138】
[0145] 条項32:条項1の厚みは0.5μmから1.5μmの範囲内にあり、条項2の厚みは200nmから300nmの範囲内にある、条項31の基板ホルダ。
【0139】
[0146] 条項33:像を基板上に投影するためのリソグラフィ装置であって、
条項17から条項27又は条項31から条項32のいずれかに記載の基板を支持するように構成された基板ホルダ、
を備える、リソグラフィ装置。
【0140】
[0147] 条項34:
パターニングデバイスを支持するように構成された支持構造、
パターニングデバイスによってパターン付与されたビームを基板上に投影するように配置された投影システム、及び、
基板を基板ホルダにクランプするためのクランプシステム、
を更に備える、条項33のリソグラフィ装置。
【0141】
[0148] 条項35:条項17から条項27又は条項31から条項32のいずれかの基板ホルダと、基板を基板ホルダにクランプするためのクランプシステムとを有する、リソグラフィ装置を使用するデバイスを製造する方法であって、
基板を基板ホルダ上にロードすること、
基板の変形の弛緩を可能にすること、
クランプシステムを係合すること、及び、
パターンを基板上に露光すること、
を含む、方法。