【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
世界人口の増加による化石燃料に由来する原料の大量消費や電気エネルギーの大量消費等による化石燃料の枯渇リスク、二酸化炭素増加による地球温暖化に対する懸念等の問題を解決するために、二酸化炭素を発生しない再生可能エネルギー(太陽熱、太陽光、地熱、風力等)を高効率で利用する社会へと移行することが期待されている。再生可能エネルギーは電気エネルギーに変換して利用されているが、エネルギー密度が低く大量に貯蔵、輸送することは困難である。
上記の再生可能エネルギーのクリーンな二次エネルギーとして水素エネルギーが提案されている。水素は、二酸化炭素を発生せず、貯蔵や輸送が可能な二次エネルギーであることから、水素エネルギーを利用した水素社会の構築が期待されている。しかしながら、水素は常温、常圧下で気体であり、高密度化して輸送するためには、極低温又は数10MPa以上の高圧を要する。そのため、水素の貯蔵及び輸送が容易な化学物質(水素キャリア)として、近年、アンモニアの利用が注目されている。
アンモニアは20℃、0.857MPaで容易に液化し、液体アンモニアは重量水素密度が17.8重量%と極めて高く、また体積水素密度は液体水素の1.5〜2.5倍という非常に優れた水素キャリアである。
このように、アンモニアは水素キャリアとして優れているが、アンモニアから水素を取り出す場合には、アンモニアを分解し、分解組成物から窒素、未分解アンモニア等を除去する必要がある。
例えば、プロトン交換膜から構成される固体高分子形燃料電池のような燃料電池に用いる水素ガスは高い純度が要求されるが、この場合、分解ガス中のアンモニア残存量が影響を及ぼす。例えば、パーフルオロスルホン酸系プロトン交換膜から構成される固体高分子形燃料電池では、アンモニアがプロトン交換膜中のプロトンと反応して、アンモニウムイオンを生成し、不動態化することで電池劣化を引き起こすことが知られている。燃料電池自動車や燃料電池フォークリフトは、主に、パーフルオロスルホン酸系のプロトン交換膜から構成される固体高分子形燃料電池を利用している。また、燃料電池自動車用水素中のアンモニア濃度は国際規格(ISO14687−2)によれば、0.1モルppm以下と規定されている。
このように、アンモニアを水素キャリアとして、燃料電池自動車等に供給可能な高純度の水素ガスを製造するためには、特に、当該アンモニアを分解したガス中に残存するアンモニアを除去するための技術が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体アンモニアを気化せしめ、分解炉で分解して窒素及び水素からなる分解ガスとし、該分解ガスより未分解アンモニア及び水分を吸着除去する方法が記載されている。
また、特許文献2には、アンモニアを水素と窒素とに分解するアンモニア分解装置と、該分解装置から排出されるアンモニアを吸着除去するアンモニア吸着装置とを具備し、アンモニア吸着装置に、アンモニア吸着熱が50〜180kJ/mol、アンモニア吸着容量が0.1〜4mmol/gかつ細孔径50nm〜10μmの容積が0.1〜1ml/gであるアンモニア吸着剤が含まれることを特徴とする水素製造システムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、液体アンモニアを気化せしめ、分解炉で分解して窒素及び水素からなる分解ガスを合成ゼオライト等の吸着剤が充填された吸着塔に通して、未分解アンモニアを除去しているが、当該吸着塔の出口における混合ガス中の未分解アンモニア量が0.8ppmであり、燃料電池自動車用に供給可能な程度にまでアンモニアを除去できていない。
また、前記特許文献2に記載のアンモニア吸着装置の出口ガス中のアンモニア濃度は、1ppm以下であることが記載されているが、0.1モルppm以下を達成したことは記載されていない。
【0006】
本発明は、このような状況下になされたもので、水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)(以下、「混合ガス(A)」ともいう。)から、高効率にアンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)(以下、「混合ガス(B)」ともいう。)を得ることを可能とする、アンモニア除去材料、アンモニア除去方法及び当該アンモニア除去方法を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成させるために鋭意研究を重ねた結果、特定の細孔径を有するゼオライトを含有するアンモニア除去材料に、水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)を接触させることによって、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)を高効率に供給できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[13]を提供するものである。
[1]水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)から、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)を得るために用いるアンモニア除去材料であって、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料。
[2]上記ゼオライトの結晶構造が、構造コードとして、LTA型、FAU型、BEA型、LTL型、MFI型、MWW型、FER型及びMOR型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]に記載のアンモニア除去材料。
[3]上記ゼオライトの結晶構造が、A型、X型、β型、Y型、L型、ZSM−5型、MCM−22型、フェリエライト型及びモルデナイト型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載のアンモニア除去材料。
[4]上記ゼオライトが、陽イオンとして、水素イオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のアンモニア除去材料。
[5]上記混合ガス(A)中のアンモニア含有量が、2,000モルppm以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のアンモニア除去材料。
[6]燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いる、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のアンモニア除去材料。
[7]水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)から、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)が得られるようにアンモニアを除去する、下記工程(1)を有するアンモニア除去方法。
工程(1):水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)を、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料と接触させる工程
[8]上記混合ガス(A)が、分解温度450℃以上、600℃以下でアンモニアを分解して得られる分解ガス由来の混合ガスである、上記[7]に記載のアンモニア除去方法。
[9]上記ゼオライトの結晶構造が、構造コードとして、LTA型、FAU型、BEA型、LTL型、MFI型、MWW型、FER型及びMOR型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[7]又は[8]に記載のアンモニア除去方法。
[10]上記ゼオライトの結晶構造が、A型、X型、β型、Y型、L型、ZSM−5型、MCM−22型、フェリエライト型及びモルデナイト型からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[7]〜[9]のいずれかに記載のアンモニア除去方法。
[11]上記ゼオライトが、陽イオンとして、水素イオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[7]〜[10]のいずれかに記載のアンモニア除去方法。
[12]上記工程(1)における混合ガス(A)中のアンモニア含有量が、2,000モルppm以下である、上記[7]〜[11]のいずれかに記載のアンモニア除去方法。
[13]上記[7]〜[12]のいずれかに記載のアンモニア除去方法を有する、燃料電池自動車用水素ガスの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)から、高効率にアンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)を得ることを可能とする、アンモニア除去材料、アンモニア除去方法及び当該アンモニア除去方法を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
[アンモニア除去材料]
本発明のアンモニア除去材料は、水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)から、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)を得るために用いるアンモニア除去材料であって、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料である。
本発明で用いられる当該細孔径を有するゼオライトを含有するアンモニア除去材料を用いることで、上記混合ガス(A)から、高効率に上記混合ガス(B)を得ることができる。
【0012】
ここで、「高効率に混合ガス(B)を得ることができる」とは、より具体的には、アンモニア吸着能力に優れ、長時間、上記混合ガス(A)から上記混合ガス(B)を得ることができることをいう。
例えば、後述する実施例に示すように、本発明のアンモニア除去材料はアンモニア吸着能力に優れ、長寿命であることから、上記混合ガス(A)を当該アンモニア除去材料に接触させた後に、上記混合ガス(B)を供給可能な時間を示す「破過時間」が長くなる。そのため、アンモニア除去材料の交換頻度が減少し、上記混合ガス(B)を得るためのランニングタイムを長時間確保することができることから、上記混合ガス(B)を得るためのランニングコストも低減することができる。したがって、本発明のアンモニア除去材料は、工業的、産業的に有利である。
なお、本明細書中において、混合ガス(気体)中の各成分組成として「モル%」又は「モルppm」と記載するとき、「体積%」又は「体積ppm」と同義である。
【0013】
<ゼオライト>
一般に、ゼオライトとは、結晶性アルミノケイ酸塩の総称であるが、本発明で用いるゼオライトは、0.5nm以上、2.0nm以下の細孔径を有する。当該ゼオライトの細孔径が0.5nm未満であると、上記混合ガス(A)を、当該ゼオライトを含有するアンモニア除去材料に接触させても、高効率に上記混合ガス(B)を得ることができなくなる。このような観点から、当該ゼオライトの細孔径は、好ましくは0.6nm以上、より好ましくは0.7nm以上、更に好ましくは0.8nm以上である。また、入手し易さの観点から、当該ゼオライトの細孔径は、好ましくは1.9nm以下、より好ましくは1.7nm以下、更に好ましくは1.5nm以下である。
ここで、当該ゼオライトの細孔径は、後述する実施例に記載の方法により算出される値である。
【0014】
(ゼオライトの結晶構造)
一般に、ゼオライトが有する結晶構造(骨格構造ともいう。)の基本的な単位は、ケイ素原子又はアルミニウム原子を取り囲んだ4個の酸素原子からなる四面体であり、これらが3次元方向に連なって結晶構造を形成している。
本発明で用いるゼオライトの結晶構造としては、上記細孔径を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)が定めるアルファベット3文字からなる構造コードにて表される各種の結晶構造が挙げられる。構造コードの例としては、例えば、LTA、FER、MWW、MFI、MOR、LTL、FAU、BEAのコードが挙げられる。また、本発明で用いる当該結晶構造の好適な一態様を結晶構造の名称で示すと、好ましくはA型、X型、β型、Y型、L型、ZSM−5型、MCM−22型、フェリエライト型及びモルデナイト型からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはA型、X型及びY型からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはX型又はY型である。
【0015】
一般に、ゼオライトは、その結晶構造中に、陽イオンを有しており、当該陽イオンが、アルミノケイ酸塩から構成される上記結晶構造中の負電荷を補償して、正電荷の不足を補っている。
本発明で用いるゼオライトとしては、上記細孔径を満たすものであれば特に制限はないが、当該陽イオンとして、好ましくは、水素イオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライトである。そして、より好ましくは、当該陽イオンとして、水素イオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライト、更に好ましくは水素イオン、リチウムイオン、カルシウムイオン及びナトリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライトである。
【0016】
本発明で用いるゼオライトとしては、上記細孔径を満たすものであれば特に制限はなく、上記結晶構造と陽イオンとを適宜組み合わせたゼオライトを用いてよいが、例えば、上記結晶構造がX型であるゼオライトを用いる場合、上記混合ガス(A)を、上記ゼオライトを含有するアンモニア除去材料に接触させ、高効率に上記混合ガス(B)を得る観点から、好ましくは上記陽イオンとして、リチウムイオン、カルシウムイオン及びナトリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライト、より好ましくはリチウムイオン及びカルシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライト、更に好ましくはリチウムイオンを含有するゼオライトである。
また、同様の観点から、上記結晶構造がY型であるゼオライトを用いる場合、好ましくは上記陽イオンとして水素イオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン及びカルシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライト、より好ましくは水素イオンを含有するゼオライトである。
また、同様の観点から、上記結晶構造がA型であるゼオライトを用いる場合、好ましくは上記陽イオンとしてリチウムイオン及びカルシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するゼオライトである。
【0017】
本発明のアンモニア除去材料中の上記細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトの含有量は、高効率に上記混合ガス(A)から上記混合ガス(B)を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0018】
また、本発明のアンモニア除去材料中の全ゼオライト(上記細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライト及び細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライト以外のゼオライトの総量)中における上記細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトの含有量は、高効率に上記混合ガス(A)から上記混合ガス(B)を得る観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
【0019】
<その他の成分>
本発明のアンモニア除去材料が含有する上記細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライト成分以外の成分としては、本発明の効果を奏する限り特に制限はなく、本発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて、下記バインダー成分や成形助剤等を含有してもよく、また、上記の細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライト以外のゼオライトを含有してもよい。
【0020】
本発明のアンモニア除去材料の形状としては、本発明の効果を奏する限り特に制限はないが、例えば、柱状(ペレット)、球状(ビーズ)、ハニカム状、顆粒状、細粒状、粉末状(パウダー)の形状が挙げられる。本発明のアンモニア除去材料は、当該各形状を有する成形体として用いる場合、一般的に、上記ゼオライト成分、バインダー成分及び水を混合して成形される。当該バインダー成分としては、特に制限はないが、例えば、粘土鉱物(カオリン系、アタパルジャイト系、セピオライト系、ベントナイト系、タルク系、
パイロフィライト系、モリサイト系、バー
ミキ
ュライト系、モンモリロナイト系、クロライト系、ハロイサイト系等の粘土)、シリカ等の珪素成分(シリカゾル、水酸化珪素、固体反応性シリカ等)、アルミニウム成分(アルミナゾル、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等)等が挙げられる。また、これらのバインダー成分を、ゼオライト結晶に変性転化してもよい(バインダーレス化)。また、場合により、例えば、カルボキシメチルセルロース等の成形助剤を添加して成形してもよい。
【0021】
本発明のアンモニア除去材料中の上記その他の成分の含有量は、高効率に上記混合ガス(A)から上記混合ガス(B)を得る観点から、好ましくは50質量%未満、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
【0022】
<水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)>
本発明で用いる水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)は、好ましくはアンモニアを分解して得られる水素、窒素及びアンモニアを含有する分解ガスに由来する混合ガスであり、より好ましくは分解温度450℃以上、600℃以下でアンモニアを分解して得られる分解ガスに由来する水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス、更に好ましくは分解温度500℃以上、550℃以下でアンモニアを分解して得られる分解ガスに由来する水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガスである。
また、当該混合ガス(A)中のアンモニア含有量は、当該混合ガス(A)全量に対して、好ましくは2,000モルppm以下、より好ましくは1,500モルppm以下、更に好ましくは1,000モルppm以下である。
【0023】
また、当該混合ガス(A)中の水素含有量は、当該混合ガス(A)全量に対して、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは75モル%以上である。
また、当該混合ガス(A)中の窒素含有量は、当該混合ガス(A)全量に対して、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは25モル%以下である。
また、当該混合ガス(A)が更に水分(H
2O)を含有している場合、当該水分(H
2O)の含有量は、当該混合ガス(A)全量に対して、好ましくは5.0モル%以下、より好ましくは1.0モル%以下、更に好ましくは1,000モルppm以下、より更に好ましくは100モルppm以下、より更に好ましくは20モルppm以下、より更に好ましくは10モルppm以下、より更に好ましくは1.0モルppm以下である。
ここで、上記混合ガス(A)中の各成分の含有量は、後述する実施例に記載の各方法により測定、算出される値である。
【0024】
<アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)>
本発明のアンモニア除去材料を用いて得られる上記アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)は、上記混合ガス(A)を本発明のアンモニア除去材料と接触させて得られる混合ガスである。当該混合ガス(B)中のアンモニア濃度としては、好ましくは0.08モルppm以下、より好ましくは0.075モルppm以下、更に好ましくは0.07モルppm以下、より更に好ましくは0.05モルppm以下、より更に好ましくは0モルppmである。
【0025】
[アンモニア除去方法]
本発明のアンモニア除去方法は、水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)から、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)が得られるようにアンモニアを除去する、下記工程(1)を有するアンモニア除去方法である。
工程(1):水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A)を、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料と接触させる工程
【0026】
<工程(1)>
本発明のアンモニア除去方法が有する工程(1)は、上記混合ガス(A)を、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料と接触させる工程である。
当該工程(1)で、細孔径が、0.5nm以上、2.0nm以下であるゼオライトを含有するアンモニア除去材料を用いることで、上記混合ガス(A)から、高効率に上記混合ガス(B)を得ることができる。
上記混合ガス(A)を、上記アンモニア除去材料と接触させる方法としては、例えば、予め上記アンモニア除去材料を充填した容器、又は上記アンモニア除去材料を担持若しくは塗布した構造体(例、ハニカム状の構造体等)中に、上記混合ガス(A)を導入又は通過させて、上記混合ガス(A)とアンモニア除去材料とを接触させる方法が挙げられる。
【0027】
上記工程(1)の温度としては、吸着平衡、吸着速度及び経済性の観点から、好ましくは−10℃以上、より好ましくは0℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下である。
また、上記工程(1)に供給する際の上記混合ガス(A)の圧力は、吸着平衡、吸着速度及び経済性の観点から、好ましくは0.0001MPa(abs)以上、より好ましくは0.001MPa(abs)以上、更に好ましくは0.01MPa(abs)以上であり、そして、好ましくは10MPa(abs)以下、より好ましくは5.0MPa(abs)以下、更に好ましくは1.0MPa(abs)以下である。
【0028】
また、上記工程(1)に供給する際の上記混合ガス(A)の供給量としては、吸着平衡、吸着速度及び経済性の観点から、0℃換算の空間速度(Space Velocity、「SV」とも略称する。単位は、時間(hour)の逆数。)で、好ましくは1,000h
−1以上、より好ましくは5,000h
−1以上、更に好ましくは10,000h
−1以上である。そして、好ましくは100,000h
−1以下、より好ましくは80,000h
−1以下、更に好ましくは50,000h
−1以下である。
【0029】
(アンモニア除去材料)
本発明のアンモニア除去方法に用いるアンモニア除去材料とは、上述した本発明のアンモニア除去材料であって、その好適な態様も上述したとおりである。
【0030】
(水素、窒素及びアンモニアを含有しアンモニア濃度が0.1モルppmを超える混合ガス(A))
本発明のアンモニア除去方法に用いる水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス(A)とは、本発明のアンモニア除去材料に関する説明で上述した混合ガス(A)と同義である。当該混合ガス(A)の好適な態様も上述したとおりであり、好ましくはアンモニアを分解して得られる水素、窒素及びアンモニアを含有する分解ガスに由来する混合ガス、より好ましくは分解温度450℃以上、600℃以下でアンモニアを分解して得られる分解ガスに由来する水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス、更に好ましくは分解温度500℃以上、550℃以下でアンモニアを分解して得られる分解ガスに由来する水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガスである。
【0031】
アンモニアの分解は、下記(a)式のように表すことができる。
NH
3→(1/2)N
2+(3/2)H
2 (a)
当該アンモニア分解反応は、化学平衡反応であり、温度が高いほど、アンモニア転化率は向上し、平衡圧力0.1MPa、300〜650℃の条件で、アンモニア転化率は約98.2〜99.9%となる(Outotec社製の「HSC Chemistry 6.0」を用いて計算した化学平衡状態におけるアンモニア転化率)。
また、水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス(A)中の水分量を含めた各成分の好適な含有量は、上述したとおりであり、当該好適な含有量を満たすために、例えば、アンモニアと酸素とが反応して水(水蒸気)を発生してしまうオートサーマル方式以外のアンモニア分解方法でアンモニアを分解した分解ガスに由来する混合ガス(A)を用いることが好ましい。
例えば、オートサーマル方式によってアンモニアを分解する場合、混合ガス(A)中の水分量が増加してしまうため、上記アンモニア除去材料が当該水分を吸着してしまい、上記アンモニア除去材料が混合ガス(A)中から除去できるアンモニア量が減少してしまう虞がある。そのため、大量のゼオライトを使用し、また再生頻度も高める必要があり、経済的に極めて不利である。したがって、オートサーマル方式以外のアンモニア分解方法でアンモニアを分解することが好ましい。
【0032】
また、アンモニアを分解して、上記混合ガス(A)を得るためには、上記式(a)のアンモニア分解反応を促進するための触媒を用いることが好ましい。当該触媒としては、上記式(a)のアンモニア分解反応に触媒活性を有するものであって、本発明の効果を奏する限り特に制限はないが、例えば、非貴金属系遷移金属(鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン等)、希土類系(ランタン、セリウム、ネオジム等)、貴金属系(ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金等)を組成として含む触媒が挙げられる。上記非貴金属系遷移金属は金属単体、合金、窒化物、炭化物、酸化物、複合酸化物として用いることができ、上記希土類系は酸化物として用いることができ、当該非貴金属系遷移金属及び当該希土類系ともに、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア等の高い比表面積を有する担体に担持して用いることができる。また、上記貴金属系も、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア等の高い比表面積を有する担体に担持して用いることができる。また、上記遷移金属系及び/又は上記希土類系に、少量の上記貴金属系を含有させて用いることもできる。これらの触媒は単体で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
本発明のアンモニア除去方法に用いる混合ガス(A)として、アンモニアを分解した分解ガス由来の混合ガス(A)を用いる場合、アンモニアを分解した分解ガスを得るためのアンモニア分解反応の温度条件は、好ましくは300℃以上800℃以下である。そして、耐熱温度が600℃以下であるステンレススチール(SUS)材料であっても、アンモニア分解反応に用いる設備(容器、配管等)の材料として用いることができるようになる観点から、上記アンモニアの分解反応の温度条件としては、より好ましくは450℃以上、更に好ましくは500℃以上であり、そして、より好ましくは600℃以下、更に好ましくは550℃以下である。
また、上記アンモニア分解反応時の圧力条件としては、好ましくは0.01MPa(abs)以上、より好ましくは0.05MPa(abs)以上、更に好ましくは0.10MPa(abs)以上であり、そして、好ましくは1.0MPa(abs)以下、より好ましくは0.75MPa(abs)以下、更に好ましくは0.50MPa(abs)以下である。
【0034】
また、450℃以上、600℃以下の条件でアンモニアを分解し、高いアンモニア転化率を達成する場合には、上記アンモニア分解に用いることができる触媒の例の中でも、ニッケル、ルテニウム及びロジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む触媒を用いることが好ましく、ルテニウムを含む触媒(ルテニウム系触媒)を用いることがより好ましい。ルテニウム系触媒を用いる場合、分解温度550℃以下の条件であっても、上記分解反応が平衡状態となるアンモニア転化率を達成し易い。
【0035】
(アンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B))
本発明のアンモニア除去方法を用いて得られるアンモニア濃度が0.1モルppm以下である混合ガス(B)とは、本発明のアンモニア除去材料に関する説明で上述した混合ガス(B)と同義であり、その好適な態様も上述したとおりである。
【0036】
[アンモニア除去材料及びアンモニア除去方法の用途]
上述したとおり、本発明のアンモニア除去材料及び本発明のアンモニア除去方法は、上記混合ガス(A)から、高効率に上記混合ガス(B)を得ることが可能であることから、高純度の水素が要求される燃料電池(好適には、プロトン交換膜から構成される固体高分子形燃料電池)用の水素ガス製造方法に用いるアンモニア除去材料及びアンモニア除去方法として好適に用いることができる。より好適には、アンモニア濃度が0.1モルppm以下である高純度の水素が要求される燃料電池自動車用水素ガスの製造方法に、上記アンモニア除去材料及びアンモニア除去方法を用いることができる。また、本発明のアンモニア除去材料及び本発明のアンモニア除去方法は、船舶や鉄道等に用いる燃料電池用の水素ガス製造方法に用いてもよい。
なお、本明細書中、「燃料電池自動車」という場合、公道を走行可能な車両(自家用車両、バス、タクシー等の業務用車両含み、また、四輪車、二輪車等、全ての車両を含む。)、フォークリフト等の産業用車両を含む意味である。
【0037】
[燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いる粗水素ガスの製造方法]
本発明の一態様である燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いる粗水素ガスの製造方法は、燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いるアンモニア濃度が0.1モルppm以下である粗水素ガスの製造方法であって、上述した本発明のアンモニア除去方法を有する、燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いる粗水素ガスの製造方法である。なお、燃料電池自動車用水素ガスの製造に用いる粗水素ガスの製造方法で用いるアンモニア除去方法の好適な態様は、本発明のアンモニア除去方法の好適な態様と同様であり、上述したとおりである。
【0038】
[燃料電池自動車用水素ガスの製造方法]
本発明の燃料電池自動車用水素ガスの製造方法は、上述した本発明のアンモニア除去方法を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法である。
本発明の燃料電池自動車用水素ガスの製造方法は、上述した本発明のアンモニア除去方法の後に、窒素等の不純物を除去するための水素精製工程を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法であってもよく、又は、上述した本発明のアンモニア除去方法の前に、窒素等の不純物を除去するための混合ガス(A)の精製工程を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法であってもよい。また、上述した本発明のアンモニア除去方法の前に、窒素等の不純物を除去するための混合ガス(A)の精製工程を有し、更に、上述した本発明のアンモニア除去方法の後に、窒素等の不純物を除去するための水素精製工程を有する燃料電池自動車用水素ガスの製造方法であってもよい。
上記アンモニア除去方法を用いることで、アンモニア濃度が0.1モルppm以下であるアンモニア含有量が低い高純度の水素、又はアンモニアを含有しない高純度の水素を製造することができる。なお、本発明の燃料電池自動車用水素ガスの製造方法で用いるアンモニア除去方法の好適な態様は、本発明のアンモニア除去方法の好適な態様と同様であり、上述したとおりである。
【0039】
<水素精製工程>
上記水素精製工程としては、燃料電池自動車用水素ガスとして使用可能な水素を供給できる方法を有する工程であれば、特に制限はないが、例えば、国際標準規格ISO14687−2で定められるような水素ガス組成を満たす燃料自動車用水素ガスを得られるものであることが好ましい。
当該水素精製の方法としては、一般的な精製方法、例えば、ゼオライト(当該ゼオライトの種類は特に制限はない)、活性炭等、ガス中から特定の成分を選択的に吸着する物質を充填した容器等に処理する気体を導入し、圧力を上下させて分離を行う圧力スイング法(PSA法)、温度を上下させて分離を行う温度スイング法、又は圧力と温度とをそれぞれスイングさせる圧力・温度スイング法といった方法が挙げられる。また、例えば、圧縮機等で昇圧し、気液分離器で極低温下でガス中の窒素を液化して水素と気液分離し、分離した水素ガスを吸着精製塔に通して、残留窒素を除去する方法やパラジウム透過膜等を用いる膜分離法といった方法が挙げられる。
【0040】
<混合ガス(A)の精製工程>
上記混合ガス(A)の精製工程としては、上記アンモニアの除去方法以外の方法であって、上記混合ガス(A)から窒素等の不純物を除去できる方法であれば、特に制限はないが、例えば、上記水素精製工程に記載の方法と同様の方法を用いることができる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0042】
<アンモニアの分解>
アンモニア(製品名「ECOANN(登録商標)」、昭和電工株式会社製)を、ルテニウム担持触媒〔Ru(3wt%)/MgO(触媒全量に対してRuを3wt%含有。担体としてMgOを使用。)〕の存在下、圧力0.1MPa(abs)、温度525℃の条件で加熱、分解して、水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス(A)を得た。
得られた混合ガス(A)の組成(水素、窒素及びアンモニアの組成、並びに水分量)を、下記に示す方法を用いて測定した。得られた結果を下記表1に示す。
【0043】
(水素(H
2)含有量の測定)
混合ガス(A)中の水素含有量は、下記に示す窒素、アンモニア及び水の含有量を100モル%から差し引いた値とした。
(窒素(N
2)含有量の測定)
混合ガス(A)中の窒素含有量は、JIS K0123:2006に準拠して、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いる方法により測定した。
(アンモニア(NH
3)含有量の測定)
混合ガス(A)中のアンモニア含有量は、下記装置及び条件にて測定した。
測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(製品名「Frontier」、パーキンエルマー社製)
使用セル:Specac社製、長光路セル、セル光路長=10m
検出器:MCT検出器
分解能:1cm
−1
測定波数:967.74〜957.03cm
−1、938.53〜920.30cm
−1
積算時間:5分
(水(水分量)の測定)
混合ガス(A)中の水分量は、原料アンモニア由来の水分量から導いた計算値である。
【0044】
【表1】
【0045】
<アンモニアの除去>
実施例1
0.9nmの細孔径を有するゼオライトを含有するアンモニア除去材料(製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ);ゼオライトの結晶構造=X型、陽イオン=カルシウムイオン(下記表2中「Ca−X」と表記し、当該「Ca−X」とは、「陽イオン種−結晶構造」の組み合わせを表す。))100mgを、直径8.3mm、高さ26mmの円柱容器に充填したアンモニア除去管を準備した。
上記アンモニアの分解で得られた水素、窒素及びアンモニアを含む混合ガス(A)を、温度25℃、圧力0.1〜0.2MPa(abs)の条件で、0℃換算で50mL/minの流量(空間速度SV=15,000h
−1)となるように調整して、当該アンモニア除去管中を通過させた。
アンモニア除去管中を通過させた上記混合ガス(A)中のアンモニア濃度を、上述した混合ガス(A)中のアンモニア濃度の測定方法と同様の方法を用いて測定した。そして、アンモニア除去管から最初に通過したアンモニア濃度が0.07モルppm以下である混合ガス(B)を測定した時間を0分とし、アンモニア含有量が0.07モルppmを超えた時点を破過時間として記録した。
当該破過時間から、下記式(I)を用いて、アンモニア除去材料のアンモニア吸着量(質量%)を算出した。
式(I):アンモニア除去材料のアンモニア吸着量(質量%)=アンモニア分解ガス(混合ガス(A))の流量速度(標準状態 mL/分)×破過時間(分)×混合ガス(A)中アンモニア濃度(ppm)×10
−6÷22,400(mL)×アンモニア分子量(g/mol)÷アンモニア除去材料の質量(g)×100
【0046】
実施例2〜7、比較例1及び2
用いるアンモニア除去材料中のゼオライトを、下記表2に示す細孔径を有するゼオライトに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、破過時間及びゼオライトのアンモニア吸着量(質量%)を算出した。
【0047】
各実施例及び各比較例でアンモニア除去材料として使用した、表2に記載の各アンモニア除去材料中のゼオライトの詳細は以下のとおりである。
<ゼオライトの種類>
・「Li−X」:結晶構造=X型、陽イオン=リチウムイオン、細孔径=0.9nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「Ca−X」:結晶構造=X型、陽イオン=カルシウムイオン、細孔径=0.9nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「Na−X」:結晶構造=X型、陽イオン=ナトリウムイオン、細孔径=0.9nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「Ca−A」:結晶構造=A型、陽イオン=カルシウムイオン、細孔径=0.5nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「Na−A」:結晶構造=A型、陽イオン=ナトリウムイオン、細孔径=0.4nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「K−A」:結晶構造=A型、陽イオン=カリウムイオン、細孔径=0.3nm、;製品名「ゼオラム(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「H−Y 4.8」:結晶構造=Y型、陽イオン=水素イオン、細孔径=0.9nm、;製品名「HSZ(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「H−Y 5.3」:結晶構造=Y型、陽イオン=水素イオン、細孔径=0.9nm、;製品名「HSZ(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
・「H−Y 5.6」:結晶構造=Y型、陽イオン=水素イオン、細孔径=0.9nm、;製品名「HSZ(登録商標)」、東ソー株式会社製、成形体形状=ペレット(1.5mmφ)
【0048】
<ゼオライトの細孔径>
各実施例及び各比較例で使用した、表2に記載のゼオライトの細孔径は、下記方法を用いて測定した。
測定装置:高精度ガス蒸気吸着量測定装置(製品名「BELSORP−max」、マイクロトラック・ベル株式会社製)
測定原理:定容量式ガス吸着法
測定条件:液体窒素温度(77K)におけるAr吸着等温線測定
【0049】
【表2】
【0050】
<結果>
実施例1〜7と、比較例1及び2との対比から、実施例1〜7の細孔径が0.5nm以上、2.0nm以下である本発明のアンモニア除去材料は、水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス(A)からアンモニアを吸着する能力が非常に優れていることが確認された。当該結果から、実施例1〜7で用いたゼオライトを含有するアンモニア除去材料が、アンモニア濃度が0.07モルppm以下である混合ガス(B)を得るために有用であることが確認された。
一方で、比較例1及び2では、細孔径が0.5nm未満のゼオライトを使用していることから、水素、窒素及びアンモニアを含有する混合ガス(A)からアンモニアを吸着する能力が各実施例に対して劣っていることが確認された。