(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  サポート構造によって支持されたパターニングデバイスを熱的に調節する温度調節システムであって、前記パターニングデバイスは、所望のパターンに従って放射ビームをパターン付けするように機能しかつ前記放射ビームが通過する主要平面を有し、
  前記温度調節システムは、
  前記パターニングデバイスの下方の第1の空間を通って前記放射ビームの経路の両側から第1のガス流を誘導する第1出口開口部と、
  前記パターニングデバイスの上方の第2の空間を通って前記放射ビームの経路の両側から第2のガス流を誘導する第2出口開口部と、
  前記第1出口開口部及び前記第2出口開口部に供給される前に、前記第1のガス流及び前記第2のガス流をそれぞれ熱的に調節するように構成された温度調節ユニットと、
  前記サポート構造の下方の周囲環境に漏れ出るガスを抽出する第1入口開口部と、
  前記サポート構造の上方の周囲環境に漏れ出るガスを抽出する第2入口開口部と
を備え、
  前記第2のガス流は、前記パターニングデバイスの前記主要平面に沿う水平流である、温度調節システム。
  前記コントローラは、前記パターニングデバイスの測定温度、露光ドーズ及び前記パターニングデバイスの透過率の少なくとも1つに基づいて、前記温度調節ユニットを制御する、請求項2又は3に記載の温度調節システム。
  前記第1入口開口部は、前記第1出口開口部から距離を置いて光軸から離れて位置決めされており、及び/又は、前記第2入口開口部は、前記第2出口開口部から距離を置いて前記光軸から離れて位置決めされている、請求項1から6のいずれか一項に記載の温度調節システム。
  前記第1入口開口部及び/又は前記第2入口開口部から抽出した前記ガスをリサイクルするリサイクルシステムをさらに備えた、請求項1から7のいずれか一項に記載の温度調節システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0023]  
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、  
[0024]  放射ビームB(例えば、紫外線またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、  
[0025]  パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、  
[0026]  基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、  
[0027]  パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。  
 
【0013】
[0028]  照明システムILとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。  
 
【0014】
[0029]  サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MAは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスMAが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスMAを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを、例えば、投影システムPSに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。  
 
【0015】
[0030]  本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。  
 
【0016】
[0031]  パターニングデバイスMAは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。  
 
【0017】
[0032]  本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。  
 
【0018】
[0033]  本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、前述の型のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。  
 
【0019】
[0034]  リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。   
 
【0020】
[0035]  
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源SOがエキシマレーザである場合、放射源SOとリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源SOは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源SOが水銀ランプである場合、放射源SOは、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。  
 
【0021】
[0036]  イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するためのアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータILの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。放射源SOと同様に、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を構成するとみなすことができまたはみなさないこともできる。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体部分であってもリソグラフィ装置とは別個の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILがその上に取り付けられるように構成することができる。任意選択として、イルミネータILは取り外し可能であって(例えば、リソグラフィ装置製造業者または別の供給業者によって)別に提供することができる。  
 
【0022】
[0037]  放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射してパターニングデバイスMAによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分Cとターゲット部分Cとの間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。  
 
【0023】
[0038]  例示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。   
 
【0024】
[0039]  1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームBに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。  
 
【0025】
[0040]  2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームBに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分Cの幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分Cの高さ(スキャン方向)が決まる。  
 
【0026】
[0041]  3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。  
 
【0027】
[0042]  上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。  
 
【0028】
[0043]  本発明のある実施形態は、液浸リソグラフィ装置を含むがこれに限定されないあらゆる種類のリソグラフィ装置に適用することができる。本発明の実施形態のリソグラフィ装置は、ドライリソグラフィ装置(すなわち、非液浸型リソグラフィ装置)であってよい。本発明のある実施形態は、液体ハンドリングシステムを含まないリソグラフィ装置と共に使用することができる。本発明の実施形態を実施することができるリソグラフィ装置の種類は特に限定されていない。  
 
【0029】
[0044]  本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置では、照明システムILが放射ビームを調整する。照明システムILは光学系を含む。調整された放射ビームは、サポート構造MT上で支持されたパターニングデバイスMAによってパターン付けされる。サポート構造MTは、
図2の矢印50で示すようにパターニングデバイスMAを移動することができる。パターン付き放射ビームは、投影システムPSによって基板Wに誘導される。投影システムPSは光学系を含む。  
 
【0030】
[0045]  
図2は、照明システムILの下部、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSの上部における構成部品の断面図を概略的に示している。  
 
【0031】
[0046]  上記したように、制御された内部ガス環境をパターニングデバイスMAの領域(パターニングデバイスMAの上および/または下)において維持することが望ましい場合がある。
図2は、内部ガス環境をどのようにして例えばサポートMTより上の領域で達成することができるかを説明する構成を示している。  
 
【0032】
[0047]  本実施形態における内部ガス環境は、一方ではパターニングデバイスMAとサポートMTとの間に配置され、他方では照明システムILの最終要素(および周囲のハードウェア)との間に配置される。したがって、図示する内部ガス環境は、放射ビームBがパターニングデバイスMAに衝突する前に通過する体積である。  
 
【0033】
[0048]  任意選択として、内部ガス環境内で正圧が維持される。正圧はガスの外向きの流れとなる。  
 
【0034】
[0049]  ビームBはパターニングデバイスMAを通過する。ビームBからの一部のエネルギーはパターニングデバイスMAに吸収され、これにより、パターニングデバイスMAは、例えばクロム層および/または別の層におけるビームBの吸収によって例えば4℃も加熱することになる。これは熱膨張によるパターニングデバイスMAの変形に繋がる。この変形は均一または不均一となることがあり、約2.5nmのオーバーレイエラーへと繋がり得る。加熱は非常に不均一となり得るため、温度分布を測定するのは難しい場合があり、よって訂正措置をとることになる。結果的に、大きいフィールド内オーバーレイエラーが生じ得る。  
 
【0035】
[0050]  パターニングデバイスMAは、第1主要平面12および第2主要平面14を有することができる。使用時、第1主要平面12には、ビームBがイルミネータILを出た後にそのビームBが衝突する。ある実施形態では、図示するように、第1主要平面12は、パターニングデバイスMAの頂面または上面である。ビームBは、第1主要平面12から第2主要平面14へとパターニングデバイスMAを通り抜ける。  
 
【0036】
[0051]  ビームBはパターニングデバイスMAを通過できる必要があるため、パターニングデバイスMAの頂部側または底部側のいずれにも冷却デバイスを設けることはできない。パターニングデバイスMAの表面上のガスの境界層を貫通しないようにパターニングデバイスMAの周りのガス流速度は一般的に低くなり得る。境界層は、パターニングデバイスMAの表面の隣の静止ガスの層である。ガスは、パターニングデバイスMAの表面との摩擦によって静止状態を保つ。ガスの対流によるパターニングデバイスMAから周囲環境への熱伝達は、伝導によって可能な熱伝達と比較して不十分である。現在、パターニングデバイスMAの周りのガス流速度は、層流を確実にするために十分に低くあり得る。乱流がある場合、特に温度差の存在下で、これは基板Wに投影されるイメージを妨害してオーバーレイエラーへと繋がり得る。  
 
【0037】
[0052]  極めてクリーンドライエアの現行の低流速に対して、パターニングデバイスMAから周囲環境への熱伝達率は、パターニングデバイスMAの第1主要平面12および第2主要平面14のそれぞれに対して約10W/m
2Kであり得る。したがって、約20W/m
2Kの周囲環境への合計熱結合(すなわち、パターニングデバイスMAから周囲環境への熱伝達)が存在し得る。  
 
【0038】
[0053]  ある実施形態では、1つ以上のガス流を用いてパターニングデバイスMAからの熱伝達率を増大させるための1つ以上の対策がとられている。  
 
【0039】
[0054]  ガス流をパターニングデバイスMA上に誘導するために少なくとも1つの出口開口部100が設けられる。ガス源400は、ガスを少なくとも1つの出口開口部100に提供する。ある実施形態では、複数の出口開口部100が設けられる。
図2の実施形態では、少なくとも1つの出口開口部100は、ガス流をパターニングデバイスMAの1つの主要平面12,14のみに誘導するように構成される。これは、複雑性の観点からおよび周囲環境ガスを遮断するということから合計熱伝達の減少を犠牲にして有益である。しかしながら、ある実施形態では、少なくとも1つの出口開口部100がパターニングデバイスMAの各側に設けられる。  
 
【0040】
[0055]  出口開口部100はあらゆる型を有してもよい。この出口開口部100は、円形、正方形または長方形を含むがこれらに限定されないあらゆる形状を有する単純な開口部を平面図(すなわち、開口部が形成される表面の平面)で含んでよい。ある実施形態では、少なくとも1つの出口開口部100は細長く、例えばスリットの形状を有する。ある実施形態では、出口開口部100は、主要面、すなわちパターニングデバイスMAの(例えば、上および/または下の)主要平面12,14に面した対向面11に形成される。これにより、ガス流をパターニングデバイスMA上に誘導するように出口開口部100を構成することを比較的単純にする。  
 
【0041】
[0056]  ある実施形態では、出口開口部100から出るガス流は、パターニングデバイスMAの第1主要平面12(例えば、頂面)に対して実施的に垂直の方向である。出口開口部100は、パターニングデバイスMAに向かうまたはその上へのガスの流れ、例えば、噴流を誘導するように構成される。ある実施形態では、ガス流は、パターニングデバイスMAの頂面に対する垂線の30°以内、望ましくは15°以内で出口開口部100によってパターニングデバイスMAに誘導される。これは、ガス流がパターニングデバイスMA上の境界層を突き破ることに役立つため有益である。  
 
【0042】
[0057]  ある実施形態では、対向面11はその中に画定されたビーム開口部17を有する。ビーム開口部17は、ビームBに対向面11を通過させる。ある実施形態では、出口開口部100からのガスは、ビームBが通過する空間に提供されない。ビームBが通過する空間内の乱流が結像エラーを発生し得るため、これは有益である。  
 
【0043】
[0058]  ある実施形態では、出口開口部の数および間隔は、パターニングデバイスMAがその移動範囲を移動するときにパターニングデバイスMAの全ての領域にある時点で(全て同じときではない)ガス流を提供するように構成される。すなわち、パターニングデバイスMAは、サポート構造MTによって矢印50で示すY方向に移動することができる。ある実施形態では、出口開口部100の範囲は、パターニングデバイスMAの位置がどこであっても、ガス流は常にその上に衝突して冷却する。
図2に示すように、図中において装置の光軸Oと位置合わせされたパターニングデバイスMAの一部には、その上に衝突するガス流がないこともある。これは、パターニングデバイスMAの大きな移動は動作中のある時点で全ての領域がガス流を受けることをもたらすため、問題点ではない。ある実施形態では、放射ビームBの経路を囲う出口開口部100は、そこから出るガス流が光軸と位置合わせされたパターニングデバイスMAの一部に向かって半径方向内側に誘導されるように構成される。このようにして、パターニングデバイスMAの頂面全体へのガス流を達成することができる。  
 
【0044】
[0059]  ある実施形態では、出口開口部100から出るガス流は、パターニングデバイスMAでのガス流が2000以上、2500以上または3000以上のレイノルズ数を有するように構成される。すなわち、流れは乱流である。この乱流は、ガスの層流の場合と比較して熱伝達の大きな増加となる。  
 
【0045】
[0060]  パターニングデバイスMAでの乱流を達成するためには、パターニングデバイスMAは、出口開口部100の最大断面寸法の15倍未満の距離を出口開口部100から有することが望ましい。出口開口部100の断面が円形であって直径がおよそ10mmであった場合、パターニングデバイスMAは、出口開口部100から150mm以内であることが望ましい。出口開口部100(例えば、対向面11)とパターニングデバイスMAとの間の距離が小さいほど良い。したがって、出口開口部100とパターニングデバイスMAとの間の距離が出口開口部100の最大断面寸法の10倍未満または5倍未満であることが望ましい。直径10mmの出口開口部100およびパターニングデバイスMAへの距離50mmは、ガス流速5m/sでパターニングデバイスMAにて約3000のレイノルズ数という結果となる。  
 
【0046】
[0061]  ある実施形態では、対向面11は、出口開口部100とパターニングデバイスMAとの間の距離Dを調整するためにZ方向(光軸Oの方向)に移動することができる。この目的のために、アクチュエータ60は、矢印61で示す光軸Oの方向に対向面11を移動させるように構成される。有利に、これにより、ガスとパターニングデバイスMAとの間の熱伝達の量を使用時に調整することが可能である。  
 
【0047】
[0062]  ある実施形態では、アクチュエータ60は、さらにまたは代替的に矢印62で示すように対向面11を光軸Oに対して傾斜させることができる。したがって、対向面11とパターニングデバイスMAとの間の距離Dは、平面でパターニングデバイスMAの異なる領域で異なり得る。このようにして、平面でパターニングデバイスMAの異なる領域において様々な調整効果を有利に得ることができる。  
 
【0048】
[0063]  ガスは、出口開口部100に提供される前に熱調節されることが望ましい。温度調節ユニット1600を
図8のシステムに示す。これは、パターニングデバイスMAがより早く所望の設定温度を達成することができるように温度調節ユニット1600(加熱要素および/または冷却要素を含み得る)がガスの温度変化を可能にするため有益である。温度調節ユニット1600が導くガスの設定温度は、(例えば、フィードバックまたはフィードフォーワード制御ループにおける)パターニングデバイスMAの測定温度および/または露光ドーズおよび/またはパターニングデバイス透過に基づいて設定することができる。この出口開口部100から出るガスの温度の能動制御は、パターニングデバイスMAのより速くて正確な温度調節という結果となる。  
 
【0049】
[0064]  出口開口部100から出る流速を制御するためにコントローラ500が提供される。ある実施形態では、コントローラ500は乱流を達成するように構成される。開口部100の寸法および形状と組み合わせて、ガス流が乱流領域にあることが確実であるようにガス流速が選択される。コントローラ500は、温度調節ユニット1600を制御することもできる。  
 
【0050】
[0065]  ある実施形態では、各々の出口開口部100から出るガス流は、約5m/sの速度を有する。乱流噴流はパターニングデバイスMAの上の境界層を破壊するため、熱伝達率は約100W/m
2Kである。したがって、出口開口部100がパターニングデバイスMAの片側にのみ設けられても、約110W/m
2K(片側に100+反対側に10)の合計熱伝達率を達成することができる。これは、パターニングデバイスMAの加熱を5倍減少させることでき、オーバーレイエラーを0.5nmに減少できるという結果となる。  
 
【0051】
[0066]  パターニングデバイスMAへの出口開口部100の距離が近いほど、熱伝達率が高い。出口開口部100から出るガスが空気であるとき、出口開口部100とパターニングデバイスMAとの間の距離Dが100mmであった場合、50W/m
2Kの熱伝達率を達成できる(パターニングデバイスMA加熱を3倍減少およびオーバーレイエラーを0.9nmに減少することに繋がる)。距離Dが50mmの場合、熱伝達率は70W/m
2Kであり、約4倍のパターニングデバイスMA加熱減少および0.7nmのオーバーレイエラーへと繋がる。10mmの距離Dに対して、熱伝達率は100W/m
2Kであり、これは5倍のパターニングデバイスMA加熱減少および0.5nmのオーバーレイエラーへと繋がる。したがって、距離Dが200mm以下であることが望ましく、さらに100mm以下または50mm以下であることが望ましい。  
 
【0052】
[0067]  ヘリウムは空気の約6倍大きい熱伝導率を有するため、出口開口部100から出るヘリウムを使用することは、22℃の空気(本願では同じ流量で約40〜50%倍)と比較して熱伝達率をかなり増大させる。距離D=100mmに対してヘリウムを使用した場合、約75W/m
2Kの熱伝達率を第1(上部)主要平面12で達成することができる。第2(下部)主要平面14における熱伝達率は、その表面ガス流が提供されないため10W/m
2Kである。これは、約4倍のパターニングデバイスMA加熱減少へと繋がり、かつ約0.6nmだけのオーバーレイエラーへと繋がる。D=50mmに対してヘリウムを用いると、熱伝達率は約150W/m
2Kであって、パターニングデバイスMA加熱減少は約6倍でありオーバーレイエラーは約0.4nmである。D=10mmに対してヘリウムを用いると、熱伝達率は約150W/m
2Kであって、パターニングデバイスMA加熱減少は約8倍でありオーバーレイは約0.3nmである。したがって、ヘリウムの使用は有益である。水素の使用も同様の理由により有益であるが、水素の使用は空気と混ざったときの爆発性により問題がより多く存在し得る。  
 
【0053】
[0068]  ヘリウムは高価であってその使用は再利用無しでは商業的に存続できない。リサイクルシステム1000を
図8に示している。ヘリウムを再利用するために、少なくとも1つの入口開口部150が、少なくとも1つの出口開口部100から出たガス(すなわち、ヘリウム)を抽出するために設けられる。
図2では、開口部150は出口開口部100から距離を置いて光軸Oから離れて位置決めされるが、入口開口部150は、出口開口部100からガスを回収する機能を達成できる限りあらゆる箇所に設けることができる。入口開口部150において負圧(underpressure)を生成するために負圧源が提供される。  
 
【0054】
[0069]  
図2の実施形態では、ヘリウムは照明システムILとパターニングデバイスMAとの間の空間に提供される。ある実施形態では、空間は周囲の環境に開かれている。ここでは閉空間を有することが好都合である。なぜなら、ヘリウムを回収することがより容易となり、ヘリウムの存在の利点は位置測定デバイス40(
図7に図示)にまで及ぶ。サポート構造MTの周囲全体に照明システムILおよび投影システムPSと密閉された容器(例えば、真空チャンバ)を提供することによって環境を閉鎖することができる。しかしながら、パターニングデバイスMA交換が使用中に例えば10〜15分毎に必要となり得るため、ここで閉環境を提供することは難しいこともある。ある実施形態では、空間は周囲環境に対して閉鎖または実質的に閉鎖される。  
 
【0055】
[0070]  ある実施形態では、ヘリウムは周囲環境へと開かれた空間に提供される。ある実施形態では、環境ガスが空間に入ることを防止するために空間からのヘリウムの漏れが望ましい。これは、コントローラ500が出口開口部100から出るガス流および入口開口部150へのガス流を制御するように構成し、それによって出口開口部100から出るガス流が入口開口部150へのガス流より大きくさせることによって構成できる。これにより入口開口部150に入るほとんどのガスが出口開口部100からのヘリウムとなる利点を有する。結果的に、精製の観点からのリサイクルシステム1000に対する負担が減少される(以下により詳細に説明する)。  
 
【0056】
[0071]  ある実施形態では、周囲環境と比較して空間に正圧が存在する。そのようなシステムは、潜在的に汚染するガスおよび/または汚染物質粒子を空間から排除する理由により好都合であり得る。  
 
【0057】
[0072]  リサイクルシステム1000について
図8を参照して以下に説明する。リサイクルシステム1000は、入口開口部150からガスを取り入れてそのガスを(適切な湿度、温度および濃度で)ガス供給システム400に提供する。このガス供給システム400は、ガスを出口開口部100に提供する。  
 
【0058】
[0073]  ある実施形態では、コントローラ500は、パターニングデバイスMAの各側に対するガス圧力が実質的に同等になるように出口開口部100および/または入口開口部150を通るガス流を制御するように構成される。これは、パターニングデバイスMAの主要表面12,14のうちの一方または両方へのガス供給がコントローラ500によって制御される場合に可能である。例えば、ガス圧力を片側で測定してそれに応じて流れを他方側で調整する(例えば、測定された圧力にフィードバックループを用いて)。これは、汚染または結像の観点から望ましくないことがあるパターニングデバイスMAの両側のあらゆるギャップにガスが流れることを防ぐのに役立つ。パターニングデバイスMAの各側に対する圧力が実質的に同等の場合、パターニングデバイスMAの片側から他方側へのガス流に対する駆動力は存在しない。これは汚染の確率を有利に減少させる。  
 
【0059】
[0074]  例えば較正などに有用となり得るビームBのエネルギーの測定中に用いる孔250をサポート構造MT(またはパターニングデバイスMA)に設けてもよい。ある実施形態では、孔250は、透過部材255によってガスの通過を封鎖する。  
 
【0060】
[0075]  パターニングデバイスMAと投影システムPSとの間の乱流は望ましくないことがある。というのは、これはその空間における屈折率変化へと繋がることにより基板W上に投影されるイメージのエラーとなり得る。パターニングデバイスMAの下の乱流を防ぐのに役立たせるために、出口開口部100がパターニングデバイスMAの片側(照明システムILの方)にのみ設けられた場合、1つ以上のバッフル300をサポート構造MTに取り付けることができ、パターニングデバイスMAの下の空間に対してパターニングデバイスMAの上の空間を効果的に閉じる。その一方、ヘリウムの使用による利点は、温度に対するヘリウムの屈折率の変化が空気の使用と比較して約20%低い。結果的に、ヘリウムの乱流は、空気の乱流の場合と比較して結像品質に対してあまり有害ではない。  
 
【0061】
[0076]  ある実施形態では、第1主要平面12の上の空間と主要平面14の下の空間との間でガスが移動できるようにする装置内のあらゆるギャップの幅は、0.5mm未満である。これより小さいサイズのギャップに対しては、パターニングデバイスMAの片側から他方側へのガス流は大幅に減少される。  
 
【0062】
[0077]  さらなる実施形態を
図3に概略的に示している。
図3では、出口開口部100は、パターニングデバイスMAの上で、パターニングデバイスMAの主要頂面に面した表面に設けられる。中心出口開口部100から出るガスは行き場所がないため、図示するように半径方向外側のガス流が存在する。ガスが半径方向外側に流れる必要性は、出口開口部100を出るガスの噴射を縦方向から押しのける(例えば、角度を有する)。  
 
【0063】
[0078]  
図4の実施形態では、出口開口部100は入口開口部150に隣接して設けられる。ある実施形態では、入口開口部150は対向面11に設けられる。入口および出口開口部100,150はあらゆるパターンで設けられてよい。ある実施形態では、入口および出口開口部100,150を交互に配置する。これは熱伝達速度をより上昇させる。なぜなら、
図3に示す半径方向外側の流れが存在しないように出口開口部100を出るガスの隣接する噴射が互いに干渉しないからである。さらに、光軸Oに対して対向面11の半径方向外側または光軸Oに向かって半径方向内側のガスの流出を、必要に応じて好都合に減少または防止することができる。  
 
【0064】
[0079]  
図5は、
図4の対向面11の実施形態を平面図で示している。
図5の実施形態では、出口および入口開口部100,150は、平面で細長い形状を有する。ある実施形態では、出口および/または入口開口部100,150の形状はスリットである。ある実施形態では、
図5に示すように、開口部100,150は、xおよびy方向に対して鋭角の方向に細長く、すなわち傾いている。xおよびy方向はリソグラフィ装置のステップおよびスキャン方向である。傾斜スロット構成は、x方向およびy方向に向いたスロットの利点を組み合わせてガス流によるパターニングデバイスMAの完全な被覆を達成することができる。ここでは、xまたはy方向に向いたスロットがパターニングデバイスMAの同じ部分上にガス流を繰り返し供給する場合における、xまたはy方向のみの頻繁な動きの結果によるパターニングデバイスMA上の1つ以上の生硬化線の形成の可能性という不利な点は存在しない。細長くてステップまたはスキャン方向のいずれにも向いていないスロットは、パターニングデバイスに大きな外乱力を加えることなくパターニングデバイスMAの均一な冷却を提供するのに役立つ。  
 
【0065】
[0080]  ある実施形態では、出口および/または入口開口部100,150は、
図5に示すようなスリットの組み合わせや他の形を有する開口部であってもよい。例えば、入口開口部150はビーム開口部17の周りに設けられてもよい。そのような入口開口部150は連続的または非連続的であってよい。そのような入口開口部150を提供する目的は、対向面11における出口開口部100からのガスがビームBを通る空間に入る可能性を減少または排除することである。さらにまたは代替的に、そのような入口開口部150の目的は、ビームBが通る空間に入るガスの速度を低下させてその空間内の乱流を回避するのに役立つことでもある。  
 
【0066】
[0081]  ある実施形態では、例えば
図2に示すように、入口開口部150は、出口および入口開口部100,150を囲う対向面11に設けられてよい。そのような入口開口部150を用いて出口開口部100から出るガスが装置の周囲に流出することを減少または防止することができる。これは、
図2に示すような対向面11の端から離れている入口開口部150(すなわち、対向面11に形成されていない入口開口部150)の必要性を減少または排除することができる。
図11を参照して説明するように、これは出口開口部100から出たガスが位置エンコーダ40に関連する電磁放射ビームが通る空間に届くことを減少または防止するためにさらに好都合となり得る。対向面11における他の出口および入口開口部100,150を囲う対向面11に形成された入口開口部150は、連続的または非連続的であってもよい。  
 
【0067】
[0082]  
図6の実施形態は、以下に説明すること以外は
図2の同じである。
図6の実施形態では、出口および入口開口部100,150の両方が対向面11に設けられる。出口および入口開口部100,150は、あらゆるパターンで設けられてもよいが、
図4および
図5並びに上記した構成が望ましい。特に、対向面11に形成された入口開口部150が上記したように対向面11における他の全ての入口および出口開口部150,100を囲う場合、対向面11に形成されていない入口開口部150は任意選択である。  
 
【0068】
[0083]  
図6に示すように、ある実施形態では、少なくとも1つの開口部150が任意の出口開口部100のビーム開口部17に対して(光軸Dに対して)半径方向内側に設けられる。これはビームBが通過するガスにおいてかなりの乱流を好都合に減少または防止さえもする。さらにまたは代替的に、これは、出口開口部100から出たガスがビームBが通る空間に入ることを減少または防止することができる。ガスが非常によく混合されない限り、結像エラーに繋がり得る異なるガスの屈折率の違いにより、ビームBが通る空間内のガスの混合物の存在は不利になり得る。  
 
【0069】
[0084]  上記から明らかなように、
図2〜
図6の例および実施形態はヘリウムまたは他のガス(例えば、アルゴン、窒素、水素またはエクストリーム・クリーン・ドライエア(XCDA))あるいはガスの混合物と使用してもよい。ガスがヘリウムの場合、ヘリウムの高コストにより、リサイクルシステム1000の使用が望ましい。  
 
【0070】
[0085]  
図7は、以下に説明すること以外は
図2と同じ実施形態を示している。
図2〜
図6および
図7の例および実施形態の特徴を組み合わせてもよい。  
 
【0071】
[0086]  
図7の実施形態は、ミクロ環境がどのようにパターニングデバイスMAを囲う領域に生成されるかを示している。ある実施形態では、出口開口部100は、汚染物質粒子が照明システムILの最終要素および/または投影システムPSの第1要素に隣接した空間に入ることをより難しくするようにガスバリアを生成するために設けられる。それぞれの空間は、僅かな正圧で保たれて照明システムILの最終要素および投影システムPSの第1要素に隣接した空間からガスを出す流れを作り出す。その後このガスの外向きの流れは、サポート構造MT通り過ぎて周囲環境に漏れる。入口開口部150は、リサイクルシステム1000によるリサイクルおよびガス供給システム400によるさらなる使用のためにガスを収集するように位置決めされてよい。  
 
【0072】
[0087]  出口開口部100を通るガス流によるバリアの生成は、ガス流をパターニングデバイスMAに誘導する
図2〜
図6に示す出口開口部100と組み合わせてまたはその代わりに使用されるシステムであってよい。
図7の実施形態では、出口開口部100から出るガス流はパターニングデバイスMAに誘導されないが、パターニングデバイスMA、照明システムILの最終要素および投影システムPSの第1要素の領域内の僅かな正圧により、出口開口部100から出たガス流は、光軸Oに対して半径方向外側の方向にパターニングデバイスMAを通り過ぎる。使用されるガスがヘリウムであった場合、空気より高い熱伝導率のため、パターニングデバイスMAの表面上のヘリウムの流れにより、空気と比較してより大きなパターニングデバイスMAからの熱伝達を達成することができる。さらに、空気と比較して、ヘリウムの屈折率の低い温度依存性のため(空気の20%)、基板W上に投影されるイメージの安定性は向上する。  
 
【0073】
[0088]  ヘリウムを用いる場合、パターニングデバイスMA上のガス流は、使用される流速および形状によって乱流または層流であってよい。  
 
【0074】
[0089]  
図7は、サポート構造MTの位置を測定するように構成された位置測定センサである測定システムを概略的に示している。この場合、センサ20および放射出口30(例えば、放射源または放射源への連結部)を含むエンコーダ40が提供される。放射ビームは、投影システムPSに対して測定される位置を有するサポート構造MTに取り付けられた格子55に向かって誘導される。エンコーダ40および格子55の位置は、
図7、
図10、
図11および
図12の全ての実施形態において逆転してもよい。  
 
【0075】
[0090]  一実施形態では、放射出口30は、例えば約600nmの波長の放射を提供する。一実施形態では、放射出口30は、約780nmの波長の放射を提供するが、正確な波長は重要ではない。  
 
【0076】
[0091]  
図7の実施形態では、エンコーダ40は投影システムPSに対して固定され、格子55はパターニングデバイスMAに対して固定される。放射出口30からの放射は、格子55によって反射および/または屈折され、この放射は次いでセンサ20によって検出される。位置測定は、格子55に対するセンサ20の位置を1つ以上の自由度で測定することによって行われる。測定システムは、本明細書中に参考により援用される2012年4月24日に出願された米国特許出願第61/637,729号に開示されたものまたはその文献で言及されたシステムのうちの1つと類似し得る。ある実施形態では、ビームが通る空間がヘリウムで満たされるようにヘリウムがその空間に取り込まれる。これは、上記したように、ヘリウムの屈折率の温度非依存性による屈折率の変化を減少させる。  
 
【0077】
[0092]  
図8は、リサイクルシステム1000の実施形態を示している。リサイクルシステム1000は、本明細書中に参考により援用される米国特許出願公開第2012/0092631号に記載されたヘリウムのためのリサイクルシステムと同じであり得る。そのようなリサイクルシステム1000は、ヘリウムのガス源、圧力調整器およびヘリウム源を再循環システムに供給して不可避な漏れを補償する逆止弁を含む。高純度状況を確実にするのに役立つためにヘリウムが提供される位置の下流に再生清浄器が設けられる。正圧安全弁も質量流コントローラとして設けられる。質量流コントローラの下流には、ガスがガス供給システム400に提供される前に粒子フィルタが設けられる。ガスを捕獲するためにキャプチャデバイス(入口開口部150)が設けられ、ガスはその後圧力を調整するために使用することができる可変絞りである正圧安全弁を通りコンプレッサを通って再生清浄器に戻る流路へと続く。  
 
【0078】
[0093]  
図8の実施形態は、以下のようにリサイクルシステムと異なる。正圧安全弁の存在は任意選択である。リサイクルシステム1000は、コントローラ500の制御の下にある。コントローラ500は、吸引ポンプ1200および/または入力開口部150へのおよび出口開口部100から出るガスのそれぞれの流速を制御するガス源400を制御する。コントローラ500は、1つ以上のセンサ1000から受信した信号の少なくとも一部に基づいて吸引ポンプ1200および/またはガス源400を制御する。ヘリウムの精製は難しい場合がある。したがって、入口開口部150へのガス流はできる限り純粋であることが望ましい。このために、センサ1100は、入口開口部150に入るガス流内のヘリウムの純度を示す信号を生成するセンサであってよい。ヘリウムの純度が特定(例えば、所定)のレベルを下回ったことをセンサ1100からの信号が示した場合、コントローラ500は、吸引ポンプ1200によって生成される負圧を低下させる(および/または出口開口部100から出るヘリウムの流速を上げる)ことができる。これは、入口開口部150を通るヘリウム以外のガスの抽出を減少させる。入口開口部150を囲う環境のヘリウム濃度は、出口開口部100から出るヘリウムによって増加する可能性が高い。  
 
【0079】
[0094]  ヘリウムのコスト(できる限り多くのヘリウムの抽出が望ましい)と、リサイクルシステムのコストおよび複雑性(抽出システムではできる限り純粋なヘリウムが望ましい)と、汚染を光学系から遠ざける環境への流出との間でとるべきバランスがある。  
 
【0080】
[0095]  一実施形態では、センサ1100は、空間から抽出したガスにおけるヘリウム以外のガスの存在を検出するセンサを含む。ある実施形態では、センサ1100は湿度センサを含む(空気は約45%の相対湿度を有するので、湿度を検出することは空気の存在を表す)。湿度センサは、水を吸収する基板を有することによって作用し、性質(例えば、電気容量または抵抗)の変化を測定する。別の実施形態では、センサ1100は酸素センサを含む。酸素センサは、ジルコニア、電気化学、赤外線または超音波型であってもよい。一実施形態では、2つのセンサ1100、すなわち、1つの湿度センサおよび1つの酸素センサが提供される。  
 
【0081】
[0096]  リサイクルシステム1000には、1つ以上の分離器または再生清浄器1300,1400が提供される。分離器1300,1400は、膜分離器(例えば、酢酸セルロースまたは多孔質グラフェン膜)および/または深冷分離(液化に続く蒸留)および/または冷却された活性炭への吸収を含むことができる。  
 
【0082】
[0097]  リサイクルシステム1000は、ガスを乾燥させるための除湿器1500および再生ガスの温度を規定の設定温度にさせる温度調節ユニット1600をさらに備える。  
 
【0083】
[0098]  バッファ容量1700がシステムに提供される。バッファ容量1700は、
図8に示したものとは逆に、温度調節ユニット1600の上流にあってよい。これは、ガスが使用される直前のガスの温度が調整されるのでより良い温度制御をもたらす。ヘリウム供給デバイス400は、ヘリウムを出口開口部100に供給するためにバッファ容量1700の下流にある。リサイクルシステム1000が十分なヘリウムを供給できない場合には、さらなるヘリウム源1800を設けてもよい。  
 
【0084】
[0099]  ある実施形態では、コントローラ500は、入口開口部150を通って空間から抽出されたガス内のヘリウム以外のガスの存在および/または増加を示すセンサ1100からの信号の受信に応答して、入口150へのガス流速を低下および/または出口開口部100から出るガス流速を増大させるかまたはその逆を行うように適合される。  
 
【0085】
[00100]  熱伝達目的またはパターニングデバイスMAを囲う領域以外の領域の空間内のガスの屈折率の変化を減少させるための上記システムの使用を、
図7、
図9および
図10を参照して説明する。  
 
【0086】
[00101]  システムは、冷却するべき任意の物体、特にパターニングデバイスMAに隣接してガス流を提供するために使用することができる。さらに、熱伝達が双方間で望ましい2つの物体間のギャップにヘリウムを提供することができる。そのような実施形態を、基板サポートWTおよび基板Wの断面を示す
図9に示している。基板Wは複数の突起物1900(バールとも呼ぶ)上に置かれ、負圧がバール1900と基板Wと基板サポートWTとの間の空間2000に加えられる。熱均一性を確実に得るために基板Wと基板サポートWTとの間に高熱伝達を有することが望ましい。その2つの物体間の熱伝達を上げるために、ヘリウムの負圧を空間2000に提供することができる。そのような考案を、本明細書中に参考により援用される米国特許出願公開第2006/0102849号、2011年10月7日に出願された米国特許出願第61/544,875号および2011年8月10日に出願された米国特許出願第61/521,952号に記載する。これは、上記した入口および出口開口部並びに
図8に示すリサイクルシステム1000を用いることによって実行可能である。  
 
【0087】
[00102]  
図7および
図10は、温度に対して低い変化の屈折率を有するガスを空間に提供することが望ましい状況を示している。放射ビームがガスで満たされた空間を通過した場合、そのガスの屈折率の変化は、放射ビームがどのようにガスと相互作用するか(例えば、どのようにガスによって屈折されるか)を変化させる。ガスとの放射ビームの相互作用を算出することは、ガスの温度分布の知識を有することのみによって可能であってこれは困難であり、その知識を有していない場合算出は不可能である。したがって、温度変化に関わらず実質的に一定である屈折率を有するガスで空間を満たすことが好都合である。この目的のために、上記の入口および出口開口部150,100および/またはリサイクルシステム1000を使用することができる。  
 
【0088】
[00103]  
図10は、基板テーブルWTの位置を測定するように構成された位置測定センサである測定システムを概略的に示している。エンコーダ40および格子55は、格子55が投影システムPSに取り付けられかつエンコーダ40がサポート構造MTに取り付けられること以外は
図7のエンコーダ40および格子55に関して説明したものと同じように作用する。  
 
【0089】
[00104]  ビームが通る空間はヘリウムで満たされ、上記したようにヘリウムの屈折率の温度非依存性によって屈折率の変化を減少させる。  
 
【0090】
[00105]  
図10に関して説明した同じ原理を、レベルセンサ、アライメントセンサおよび/または基板位置測定デバイスを含む他の種類の測定デバイスに適用することができる。  
 
【0091】
[00106]  パターニングデバイスMAに適用した同じ原理を
図1に示す基板ハンドラ3000における基板Wを冷却するために適用することができる。基板ハンドラ3000を用いて基板Wをトラックからリソグラフィ装置に運んで基板Wを熱調節する。高熱伝導率を有するヘリウムなどのガスの使用は、より速い温度安定化という結果をもたらす。さらに、パターニングデバイスMAに適用した同じ原理を、装置自体の中に位置決めされた熱コンディショナにおいて基板を熱調節するために適用することができる。装置は、基板をその中にトラック以外のソースからロードさせることができる。例えば、基板を手動的にロードすることができる。そのような基板も熱調節するべきであり、パターニングデバイスMAを冷却するために適用された同じ原理を装置自体の中で熱調節される基板に適用することができる。  
 
【0092】
[00107]  ある実施形態では、出口開口部100から出るガス流は、パターニングデバイスMA内または上あるいはサポート構造MT内または上にあり得るアライメントマークを流れ過ぎる。そのようなアライメントマークを用いてパターニングデバイスMAを基板テーブルWTまたは基板Wに対して位置合わせする。  
 
【0093】
[00108]  アライメントマークおよび/またはパターニングデバイスMAの少ない加熱により、パターニングデバイスMAと照明システムILとの間およびパターニングデバイスMAと投影システムPSとの間のガスの加熱も少ない。これは基板W上に投影されるイメージの安定性を向上させるので好都合である。  
 
【0094】
[00109]  パターニングデバイスMAへの熱伝達は現行のシステムと比較して増大し得るため、パターニングデバイス加熱に対する時定数も減少することができる。これは、パターニングデバイスMAが現在より速く一定の温度に到達できることを意味する。これは、装置がロット開始後より速く安定することができ、補正可能性が向上されることを意味する。  
 
【0095】
[00110]  
図11は、以下に説明すること以外は
図7と同じである実施形態を示している。  
 
【0096】
[00111]  ある実施形態では、
図11に示すように、(対向面11に画定されていない)入口開口部150は、光軸Oに対してエンコーダ40の半径方向内側(および隣接して)設けられる。入口開口部150は、エンコーダ40からの放射が通る空間に入口100からのガスが到達しないことを確実にするために役立つ。エンコーダ40は、少なくとも1つの電磁放射測定システムを含んでよい。電磁放射測定システムで測定するために使用される電磁放射が通る空間にヘリウムがあることが望ましい場合があるが、空気とヘリウムとの混合物が存在する場合、これは悪影響となり得る。したがって、
図11の実施形態では、電磁放射測定システムで測定するために使用される電磁放射が通る空間におけるヘリウムの存在を回避するために1つ以上の対策がとられる。
図11のように出口開口部100からのガスがエンコーダ40からの放射が通る空間に到達することを防止するのに役立つためにエンコーダ40の半径方向内側の開口部150を他のあらゆる実施形態に設けることができる。  
 
【0097】
[00112]  
図12の実施形態は、以下に説明すること以外は
図6の実施形態と同じである。実施形態は
図11と類似しているが、
図7に示す出口開口部100を有する代わりに、
図6に示しかつ
図6に関連して説明したように、出口および入口開口部100,150を対向面11に設けてもよい。任意選択として、対向面11を
図6における方向61に移動および/または矢印62で示すように傾斜させるためにアクチュエータ60が存在してもよい。  
 
【0098】
[00113]  
図12に示すように、この実施形態には、
図10および
図11の実施形態のようにエンコーダ40および格子55が提供される。さらに、
図11の実施形態のように、(対向面11に形成されていない)入口開口部150は、光軸Oに対してエンコーダ40の半径方向内側に設けられる。入口開口部150は、エンコーダ40からの放射が通る空間に出口開口部100からのガスが到達しないことを確実にするために役立つ。したがって、対向面11における他の全ての出口および入口開口部100,150を囲う対向面11に形成される開口部150に加えて、さらなる入口開口部150は、対向面11に設けられず
図11のようにエンコーダの半径方向内側に設けられる。したがって、エンコーダ40からの放射ビームが通る空間に出口開口部100から出るガスが到達することを防止するために役立つさらなる対策がとられる。  
 
【0099】
[00114]  ある実施形態では、サポート構造MTは、
図2、
図6、
図7、
図11および
図12で図示したものよりかなり低い高さ(パターニングデバイスMAの厚さに対して)を有してよい。これは、対向面11をパターニングデバイスMAにより近づかせる。パターニングデバイスMAに近いということは、達成できる熱伝達をかなり増大させることができる。ある実施形態では、対向面11は、パターニングデバイスMAに対して1mm以下まで近づくことができる。さらに、より低い高さを有するサポート構造MTは、熱伝達の変化の観点から、パターニングデバイスMAに向かうまたはそこから遠ざかる対向面11のあらゆる動きを重要にし得る。これは、対向面11とパターニングデバイスMAとの間の可能な距離の変化が、サポート構造MTがより大きい高さを有した場合と比較して、対向面11とパターニングデバイスMAとの間の絶対距離の大部分であるからである。  
 
【0100】
[00115]  当然のことながら、上記のあらゆる特徴を他のあらゆる特徴と使用してもよく、本願に含まれるのは明示された組み合わせのみではない。  
 
【0101】
[00116]  一態様では、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポート構造であって、パターニングデバイスは、所望のパターンに従って放射ビームをパターン付けするように機能しかつ放射ビームが通過する主要平面を有する、サポート構造と、投影システムに対するサポート構造の位置を測定するように構成された位置測定デバイスであって、電磁放射測定システムを含む位置測定デバイスと、パターニングデバイス、照明システムの最終要素および投影システムの第1要素の領域にガス流を提供するように構成された出口開口部と、出口開口部から出たガスを抽出するように構成された入口開口部とを備える、リソグラフィ装置が提供される。入口開口部は、装置の光軸に対して、電磁放射測定システムの半径方向内側および出口開口部の半径方向外側に位置決めされ、光軸は、出口開口部からのガスが電磁放射測定システムで測定するために使用される電磁放射が通過する空間に到達しないように防止するために主要平面と実質的に垂直である。  
 
【0102】
[00117]  ある実施形態では、出口開口部は、ガス流をパターニングデバイスに誘導する。  
 
【0103】
[00118]  ある実施形態では、出口開口部は、パターニングデバイスの主要平面の反対側の対向面にある。  
 
【0104】
[00119]  ある実施形態では、出口開口部は、出口開口部から出たガス流が装置の光軸に対して半径方向外側の方向にパターニングデバイスを流れ過ぎるように構成される。  
 
【0105】
[00120]  ある実施形態では、リソグラフィ装置は、パターニングデバイス、照明システムの最終要素および投影システムの第1要素の領域に正圧を生成するように出口開口部から出るガス流および入口開口部に入るガス流を制御するように構成されたコントローラをさらに備える。  
 
【0106】
[00121]  ある実施形態では、出口開口部、入口開口部およびコントローラは、パターニングデバイスにおけるガス流が2000以上のレイノルズ数を有するようなガス流速を確保するように構成される。  
 
【0107】
[00122]  本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。  
 
【0108】
[00123]  本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、436nm、405nm、365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折および反射型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。本明細書中、ステップ方向およびスキャン方向について言及している。本明細書で述べたスキャンおよびステップ方向は、直交主軸である。好ましい実施形態では、これらの主軸は、スキャンおよびステップ方向に位置合わせされてもよく、他の実施形態では、スキャンおよびステップ方向と無関係であってもよい。  
 
【0109】
[00124]  以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。本明細書で説明した各コントローラまたはその組み合わせは、1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つの構成要素内に配置された1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み取られる場合に動作可能である。各コントローラまたはその組み合わせは、信号を受信、処理および送信するために適したあらゆる構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラのうちの少なくとも1つと通信するように構成される。例えば、各コントローラは、上記した方法のための機械読取可能命令を含むコンピュータプログラムを実行するための1つ以上のプロセッサを含んでよい。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するためのデータ記憶媒体および/またはそのような媒体を受け入れるハードウェアを含むことができる。したがって、(1つまたは複数の)コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読取可能命令に従って動作することができる。  
 
【0110】
[00125]  本発明の1つ以上の実施形態を、あらゆるドライリソグラフィ装置に適用することができる。本発明の1つ以上の実施形態を、あらゆる液浸リソグラフィ装置、特に、これらに限定されないが上記した型の装置に適用することができ、さらに、液浸液が槽の形態で提供されているか、基板の局所面積上に提供されているかまたは非閉じ込め状態であるかに関わらず適用することができる。非閉じ込め構成では、液浸液は基板および/または基板テーブルの表面の上で流れることにより基板テーブルおよび/または基板の覆われていない表面の実質的に全てを濡らすことができる。そのような非閉じ込め液浸システムでは、液体供給システムは液浸液を閉じ込めないか、または一部の液浸液閉じ込めを提供するが、液浸液の実質的に完全な閉じ込めは提供しないようにすることができる。  
 
【0111】
[00126]  本明細書中で考察された液体供給システムは広く解釈されるべきである。ある実施形態では、液体供給システムは、投影システムと基板および/または基板テーブルとの間の空間に液体を提供する機構または構造の組み合わせであってよい。液体供給システムは、1つ以上の構造、1つ以上の液体開口部を含む1つ以上の流体開口部、1つ以上のガス開口部または二層流のための1つ以上の開口部の組み合わせを含むことができる。各々の開口部は、液浸空間への入口(または液体ハンドリング構造からの出口)あるいは液浸空間からの出口(または液体ハンドリング構造への入口)であってもよい。ある実施形態では、空間の表面は基板および/または基板テーブルの一部であるか、空間の表面は基板および/または基板テーブルの表面を完全に覆うか、あるいは、空間は基板および/または基板テーブルを囲んでもよい。液体供給システムは、任意選択として、液体の位置、量、質、形状、流速または他の特徴を制御するために1つ以上の要素を含むことができる。  
 
【0112】
[00127]  上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。