(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
無線端末は、他の無線端末と無線により通信を行う際、通信に用いる無線方式の無線信号が到達可能な無線伝搬距離範囲内に無線端末同士が存在する場合に限り、無線通信を確立することが可能である(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
無線端末同士が無線伝搬距離範囲外に存在する場合、それぞれの無線端末は、それぞれの無線伝搬距離範囲内に設置された無線親機に接続し、無線親機同士はネットワークスイッチやネットワークルータ等によって構成された中継ネットワークを介して対向の無線親機に接続する構成とすることにより、通信を確立することが可能となる。もしくは、それぞれの無線端末が、それぞれの無線伝搬距離範囲内に設置された無線中継機に接続し、無線中継機同士が無線通信を確立することにより、無線端末同士の通信を確立することも可能である。
【0004】
図1は、無線端末が中継ネットワークを介して接続される形態の一例である。
図1に示す通信ネットワークは、無線端末111、112と、無線親機121、122と、中継ネットワーク151により構成される。無線親機121は、アンテナ部131と伝送機能部141により構成される。無線親機122は、アンテナ部132と伝送機能部142により構成される。
【0005】
このとき、無線端末111は無線親機121のアンテナ部131と無線接続され、無線親機121は伝送機能部141から中継ネットワーク151を介して伝送機能部142により無線親機122に接続され、無線親機122のアンテナ部132は無線端末112と無線接続される。また、中継ネットワーク151は、一般的に複数のネットワークスイッチやネットワークルータを用いて構成する。
【0006】
図2は、無線端末が無線中継機を介して接続される形態の一例である。
図2に示す通信ネットワークは、無線端末211、212と、無線中継機221、222、223により構成される。無線中継機221は、アンテナ部231、232と伝送機能部241により構成される。無線中継機222は、アンテナ部233、234と伝送機能部242により構成される。無線中継機223は、アンテナ部235、236と伝送機能部243により構成される。
【0007】
このとき、無線端末211は無線中継機221のアンテナ部231と無線接続され、無線中継機221と222はそれぞれを構成するアンテナ部232と233同士で無線接続され、無線中継機222と223はそれぞれを構成するアンテナ部234と235同士で無線接続され、無線中継機223のアンテナ部236は無線端末212と無線接続される。無線中継機221を構成するアンテナ部231、232は、伝送機能部241を介して接続され、無線中継機222を構成するアンテナ部233、234は、伝送機能部242を介して接続され、無線中継機223を構成するアンテナ部235、236は、伝送機能部243を介して接続される。
【0008】
図2では無線中継機を3台接続した場合の例を示しているが、無線中継機が3台の構成に限らず、無線中継機が1台の構成においても、2台以上の複数台の構成においても、いずれの場合でも通信を確立することが可能であり、無線中継機の台数が多くなるほど遠距離の無線端末の通信を行うことが可能となる。
【0009】
しかしながら、
図1のような無線端末が中継ネットワークを介して接続される形態では、中継ネットワークを構成するために複数のネットワークスイッチやネットワークルータが必要となりネットワーク構成が複雑化する。
【0010】
図2のような無線端末が無線中継機を介して接続される形態では、無線端末同士の距離が遠距離となる場合、複数の無線中継機を介して通信を確立する必要があり、構成が複雑化する。複雑化を避けるため少数の無線中継機により構成した場合、無線端末同士の通信距離に制限が生じることとなる。
【0011】
さらに、中継ネットワークを構成する機器や無線中継機は、設定、制御および保守を行う必要があるため、機器管理のための仕組みを別途構成しなければならない。このとき、簡易に無線信号を長距離伝送するための手段として、低損失、交代粋な光ファイバ伝送路を介して無線信号を送受信するRoF(Radio over Fiber)技術がある(例えば、非特許文献2を参照)。
【0012】
図3は、無線端末がRoF技術を用いて接続される形態の一例である。
図3に示す通信ネットワークは、無線端末311、312と、光無線変換機321、322と、光ファイバ伝送路361により構成される。光無線変換機321は、送信アンテナ331および受信アンテナ332により構成されるアンテナ部341と、光無線変換部351により構成される。光無線変換機322は、送信アンテナ333および受信アンテナ334により構成されるアンテナ部342と、光無線変換部352により構成される。
【0013】
このとき、無線端末311は光無線変換機321のアンテナ部341と無線接続され、光無線変換機321は光無線変換部351から光ファイバ伝送路361を介して光無線変換部352により光無線変換機322に接続され、光無線変換機322のアンテナ部342は無線端末312と無線接続される。
【0014】
前記通信ネットワークの構成では、光無線変換機321および322は、それぞれ無線端末311および312より送信された無線信号を、光信号が無線信号で変調された光ファイバ無線信号に直接変換することが可能である。また、光無線変換機321および322は、中継ネットワークに接続するための伝送機能部が不要となる。
【0015】
これにより、中継ネットワークで用いられるネットワークスイッチやネットワークルータを介することなく、光ファイバ伝送路のみを用いて直接接続することができ、光無線変換機自体の構成も簡易なものとすることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、
図3のような通信ネットワークの形態では、
図4に示すような課題が生じる。
【0018】
図4においては、無線端末311から送信された無線信号411は、受信アンテナ332により受信され、光無線変換部351により光ファイバ無線信号412となって光ファイバ伝送路361内を伝送される。光ファイバ無線信号412は、光無線変換部352により無線信号413となって送信アンテナ333より無線端末312へ送信されるが、無線信号413は受信アンテナ334により受信され、光無線変換部352により回り込み光ファイバ無線信号414となって光ファイバ伝送路361内を伝送される。回り込み光ファイバ無線信号414は、光無線変換部351により回り込み無線信号415となって送信アンテナ331より無線端末311へ送信される。
【0019】
無線端末312から送信された無線信号421は、受信アンテナ334により受信され、光無線変換部352により光ファイバ無線信号422となって光ファイバ伝送路361内を伝送される。光ファイバ無線信号422は、光無線変換部351により無線信号423となって送信アンテナ331より無線端末311へ送信されるが、無線信号423は受信アンテナ332により受信され、光無線変換部351により回り込み光ファイバ無線信号424となって光ファイバ伝送路361内を伝送される。回り込み光ファイバ無線信号424は、光無線変換部352により回り込み無線信号425となって送信アンテナ333より無線端末312へ送信される。
【0020】
無線端末312では、無線端末311から送信された無線信号413に加え、無線端末312から送信された回り込み無線信号425が受信される。無線端末311では、無線端末312から送信された無線信号423に加え、無線端末311から送信された回り込み無線信号415が受信される。これにより、それぞれの所望の無線信号413と423が受信されると同時に、不要な無線信号425と415が受信されることとなり、信号品質が劣化する。信号品質が劣化すると、無線伝搬範囲が小さくなる、伝送帯域が小さくなるといった不都合が生じ、最悪の場合通信を確立することが不可能となる。
【0021】
そこで、本開示は、RoFを用いて複数の無線端末を接続する通信ネットワークにおいて、回り込み無線信号又は回り込み光ファイバ無線信号による信号品質の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本開示は、RoFを用いて複数の無線端末を接続する通信ネットワークにおいて、回り込み無線信号又は回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する回路又は装置を設けることとした。
【0023】
本開示に係る光無線変換機は、
他の光無線変換機と光ファイバ伝送路で接続されている光無線変換機であって、
無線端末と無線信号を送受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部の受信した無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記光ファイバ伝送路に出力し、前記光ファイバ伝送路で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換して前記アンテナ部に出力する光無線変換部と、
前記光無線変換部から前記アンテナ部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記アンテナ部で受信された回り込み無線信号を抑圧する第1の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み無線信号に前記第1の抑圧信号を合成する、第1の回り込み信号抑圧回路と、
を備える。
【0024】
本開示に係る光無線変換機は、
他の光無線変換機と光ファイバ伝送路で接続されている光無線変換機であって、
無線端末と無線信号を送受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部の受信した無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記光ファイバ伝送路に出力し、前記光ファイバ伝送路で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換して前記アンテナ部に出力する光無線変換部と、
前記アンテナ部から前記光無線変換部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記他の光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第2の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み光ファイバ無線信号に前記第2の抑圧信号を合成する、第2の回り込み信号抑圧回路と、
を備える。
【0025】
本開示に係る光無線変換機は、
他の光無線変換機と光ファイバ伝送路で接続されている光無線変換機であって、
無線端末と無線信号を送受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部の受信した無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記光ファイバ伝送路に出力し、前記光ファイバ伝送路で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換して前記アンテナ部に出力する光無線変換部と、
前記光無線変換部から前記アンテナ部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記アンテナ部で受信された回り込み無線信号を抑圧する第1の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み無線信号に前記第1の抑圧信号を合成する、第1の回り込み信号抑圧回路と、
前記アンテナ部から前記光無線変換部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記他の光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第2の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み光ファイバ無線信号に前記第2の抑圧信号を合成する、第2の回り込み信号抑圧回路と、
を備える。
【0026】
本開示に係る回り込み信号除去機は、
無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する複数の光無線変換機が光ファイバ伝送路で接続された通信ネットワークの前記光ファイバ伝送路に配置される回り込み信号除去機であって、
前記光ファイバ伝送路に備わる第1の光ファイバで伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換し、第2の信号変換部で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記第1の光ファイバに出力する第1の信号変換部と、
前記光ファイバ伝送路に備わる第2の光ファイバで伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換し、前記第1の信号変換部で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記第2の光ファイバに出力する第2の信号変換部と、
前記第1の信号変換部で変換された無線信号を分岐し、当該無線信号が前記第2の光ファイバに接続されている光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された第1の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第3の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記第1の回り込み光ファイバ無線信号に前記第3の抑圧信号を合成し、前記第2の信号変換部で変換された無線信号を分岐し、当該無線信号が前記第1の光ファイバに接続されている光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された第2の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第4の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記第2の回り込み光ファイバ無線信号に前記第4の抑圧信号を合成する双方向回り込み信号抑圧回路と、
を備える。
【0027】
本開示に係る通信ネットワークは、
無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する複数の光無線変換機が光ファイバ伝送路で接続された通信ネットワークであって、
前記複数の光無線変換機の少なくとも一つに、本開示に係る光無線変換機が用いられている。
【0028】
本開示に係る通信ネットワークは、
無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する複数の光無線変換機が光ファイバ伝送路で接続された通信ネットワークであって、
前記光ファイバ伝送路に本開示に係る回り込み信号除去機が配置されている。
【0029】
本開示に係る回り込み信号除去方法は、
無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する複数の光無線変換機が光ファイバ伝送路で接続された通信ネットワークが実行する回り込み信号除去方法であって、
前記光無線変換機は、
無線端末と無線信号を送受信するアンテナ部と、
前記アンテナ部の受信した無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記光ファイバ伝送路に出力し、前記光ファイバ伝送路で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換して前記アンテナ部に出力する光無線変換部と、
を備え、
第1の回り込み信号抑圧回路が、前記光無線変換部から前記アンテナ部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記アンテナ部で受信された回り込み無線信号を抑圧する第1の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み無線信号に前記第1の抑圧信号を合成する、第1の回り込み信号抑圧手順、或いは、
第2の回り込み信号抑圧回路が、前記アンテナ部から前記光無線変換部に出力される無線信号を分岐し、当該無線信号が前記他の光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第2の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記回り込み光ファイバ無線信号に前記第2の抑圧信号を合成する、第2の回り込み信号抑圧手順、
を有する。
【0030】
本開示に係る回り込み信号除去方法は、
無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する複数の光無線変換機が光ファイバ伝送路で接続された通信ネットワークが実行する回り込み信号除去方法であって、
前記通信ネットワークは、
前記光ファイバ伝送路に備わる第1の光ファイバで伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換し、第2の信号変換部で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記第1の光ファイバに出力する第1の信号変換部と、
前記光ファイバ伝送路に備わる第2の光ファイバで伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換し、前記第1の信号変換部で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して前記第2の光ファイバに出力する第2の信号変換部と、
を備え、
双方向回り込み信号抑圧回路が、前記第1の信号変換部で変換された無線信号を分岐し、当該無線信号が前記第2の光ファイバに接続されている光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された第1の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第3の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記第1の回り込み光ファイバ無線信号に前記第3の抑圧信号を合成する手順、或いは、
双方向回り込み信号抑圧回路が、前記第2の信号変換部で変換された無線信号を分岐し、当該無線信号が前記第1の光ファイバに接続されている光無線変換機に備わるアンテナ部で受信された第2の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第4の抑圧信号を、当該分岐した無線信号を用いて生成し、前記第2の回り込み光ファイバ無線信号に前記第4の抑圧信号を合成する双方向回り込み信号抑圧手順、
を有する。
【0031】
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示は、無線伝搬距離範囲外の無線端末同士が通信を行う場合において、複雑な中継ネットワークや複数の無線中継機を用いることなく、通信を確立することができるための通信機および通信ネットワークを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0035】
(第一の実施形態)
図5は、
図4に示す課題を解決するための、本開示における通信ネットワークの第一の例を示す図である。
【0036】
図5に示す通信ネットワークは、無線端末511、512と、光無線変換機521、522と、光ファイバ伝送路571により構成される。光無線変換機521は、送信アンテナ531および受信アンテナ532により構成されるアンテナ部541と、キャンセル回路551と、光無線変換部561により構成される。光無線変換機522は、送信アンテナ533および受信アンテナ534により構成されるアンテナ部542と、キャンセル回路552と、光無線変換部562により構成される。
【0037】
このとき、無線端末511は光無線変換機521のアンテナ部541と無線接続され、光無線変換機521は光無線変換部561から光ファイバ伝送路571を介して光無線変換部562により光無線変換機522に接続され、光無線変換機522のアンテナ部542は無線端末512と無線接続される。
【0038】
光無線変換部561および562は、無線信号と光ファイバ無線信号とを互いに変換する機能を有する。例えば、光無線変換部561は、受信アンテナ532の受信した無線信号を光ファイバ無線信号に変換し、光ファイバ伝送路571に出力する。また、光無線変換部561は、光ファイバ伝送路571で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換し、アンテナ部541に出力する。これにより、本開示の光無線変換機521及び522は、無線信号をRoF伝送する。
【0039】
光無線変換部561および562は、受信アンテナ532及び534の受信した無線信号で光ファイバ無線信号を変調し、光ファイバ無線信号を変調している無線信号を取り出す、任意の構成を採用しうる。光無線変換部561および562は、例えばレーザダイオードを用いた光送信器と、フォトディテクタを用いた光受信器を組み合わせて構成することができる。また、通信品質を向上させるため、光外部変調器、無線信号を所望の強度に増幅する信号増幅器、無線信号の所望の帯域を抽出するバンドパスフィルタのうち一部もしくは全部を用いる構成としてもよい。
【0040】
キャンセル回路551は、光無線変換機521内部においてアンテナ部541と光無線変換部561に接続される。キャンセル回路552は、光無線変換機522内部においてアンテナ部542と光無線変換部562に接続される。キャンセル回路551、552は、本開示に係る回り込み信号抑圧回路として機能し、例えば
図6または
図7のような構成とすることが可能である。
【0041】
図6に示すキャンセル回路は、分岐器611、遅延器621、減衰器631、合成器641により構成される。キャンセル回路へは、無線信号651、661および無線信号651の回り込み無線信号654が入力され、無線信号652、662はキャンセル回路から出力される。
【0042】
キャンセル回路へ入力された無線信号651は、分岐器611により無線信号652、653に分岐され、無線信号652はキャンセル回路から出力される。無線信号653は遅延器621および減衰器631で回り込み無線信号654の逆位相の信号となるよう所望の遅延と減衰を与えられ、抑圧信号となる。抑圧信号となった無線信号653は、キャンセル回路へ入力された無線信号661および回り込み無線信号654と合成器641により合成される。無線信号653と回り込み無線信号654は遅延器621および減衰器631により同じ強度で逆位相の関係となるよう制御されているため、合成器641により合成されるとお互いに打ち消し合い、結果として無線信号661がそのまま無線信号662として出力される。
【0043】
なお、抑圧信号の生成方法は遅延器及び減衰器を用いた方法に限定されず、無線信号653を用いて回り込み無線信号654と同じ強度で逆位相の信号が生成可能な任意の方法を採用することができる。また、抑圧信号の信号強度は、回り込み無線信号654と同一に限らず、回り込み無線信号654が抑圧可能な任意の強度でありうる。
【0044】
このとき、
図7に示すように、複数の遅延器および減衰器を用いることで、例えば送信アンテナから出力された無線信号が直接受信アンテナで受信された回り込み無線信号以外に、壁や障害物等で反射されて受信アンテナで受信されるような、マルチパス環境における回り込み無線信号を除去することも可能である。
【0045】
図8および
図9は、
図5に示す通信ネットワークにおける信号の伝搬および伝送について示したものである。
図8はキャンセル回路551及び552が本開示に係る第1の回り込み信号抑圧回路として機能する場合を示し、
図9はキャンセル回路551及び552が本開示に係る第2の回り込み信号抑圧回路として機能する場合を示す。
【0046】
図8においては、無線端末511から送信された無線信号811は、受信アンテナ532により受信され、光無線変換部561により光ファイバ無線信号812となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。光ファイバ無線信号812は、光無線変換部562により無線信号813となって送信アンテナ533より無線端末512へ送信されるが、無線信号813は受信アンテナ534により受信され、回り込み無線信号814となってキャンセル回路552へ伝搬される。このとき、回り込み無線信号814は、
図6または
図7のような構成により、無線信号813を用いて除去される。無線端末512から送信された無線信号821は、受信アンテナ534により受信され、光無線変換部562により光ファイバ無線信号822となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。光ファイバ無線信号822は、光無線変換部561により無線信号823となって送信アンテナ531より無線端末511へ送信されるが、無線信号823は受信アンテナ532により受信され、回り込み無線信号824となってキャンセル回路551へ伝搬される。このとき、回り込み無線信号824は、
図6または
図7のような構成により、無線信号823を用いて除去される。
【0047】
図9においては、無線端末511から送信された無線信号911は、受信アンテナ532により受信され、光無線変換部561により光ファイバ無線信号912となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。光ファイバ無線信号912は、光無線変換部562により無線信号913となって送信アンテナ533より無線端末512へ送信されるが、無線信号913は受信アンテナ534により受信され、光無線変換部562により回り込み光ファイバ無線信号914となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。回り込み光ファイバ無線信号914は光無線変換部561により回り込み光ファイバ無線信号915となってキャンセル回路551へ伝搬され、回り込み光ファイバ無線信号915は、
図6または
図7のような構成により、無線信号911を用いて除去される。無線端末512から送信された無線信号921は、受信アンテナ534により受信され、光無線変換部562により光ファイバ無線信号922となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。光ファイバ無線信号922は、光無線変換部561により無線信号923となって送信アンテナ531より無線端末511へ送信されるが、無線信号923は受信アンテナ532により受信され、光無線変換部561により回り込み光ファイバ無線信号924となって光ファイバ伝送路571内を伝送される。回り込み光ファイバ無線信号924は光無線変換部562により回り込み無線信号925となってキャンセル回路552へ伝搬され、回り込み無線信号925は、
図6または
図7のような構成により、無線信号921を用いて除去される。
【0048】
ここで、
図8の形態での遅延量及び減衰量は光無線変換機の設計や特性に従って定めることができる。また、
図9での遅延量及び減衰量は光ファイバ伝送路571及び光ファイバ伝送路571で接続されている光無線変換機の設計及び特性に従って定めることができる。例えば、光ファイバ伝送路571の長さが予め定められている場合、無線信号の到着から予め定められた時間を経過した後に、回り込み光ファイバ無線信号がキャンセル回路に到着する。このため、遅延器の遅延量を回り込み光ファイバ無線信号が到着する時間に設定しておくことで、回り込み光ファイバ無線信号を抑圧することができる。
【0049】
このとき、
図8の形態でも
図9の形態でも回り込み無線信号及び回り込み光ファイバ無線信号を除去することが可能であるが、
図8の形態とした場合、
図9の形態と比較しキャンセル回路を通過する無線信号と回り込み無線信号の時間差が小さいため、キャンセル回路に用いる遅延器が必要とする遅延量を小さく抑えることが可能である。
【0050】
このような、
図6または
図7のような構成のキャンセル回路を用いた
図5に示す通信ネットワークによって、
図8または
図9のように不要な無線信号を除去することが可能となり、
図4に示すような信号品質が劣化を回避し、無線伝搬範囲が小さくなる、伝送帯域が小さくなるといった不都合を解決することが可能となる。さらに、キャンセル回路によって無線信号を同時に送受信することができるようになるため、一般的に時分割多重により半二重通信を行っていた無線通信を、全二重通信に拡張することも可能となる。
【0051】
(第二の実施形態)
図10は、本開示における通信ネットワークの第二の例を示す図である。
図10に示す通信ネットワークは、無線端末1011、1012と、光無線変換機1021、1022と、光ファイバ伝送路1081により構成される。光無線変換機1021は、送信アンテナ1031および受信アンテナ1032により構成されるアンテナ部1041と、キャンセル回路1051および1052により構成される双方向キャンセル回路1061と、光無線変換部1071により構成される。光無線変換機1022は、送信アンテナ1033および受信アンテナ1034により構成されるアンテナ部1042と、光無線変換部1072により構成される。
【0052】
このとき、無線端末1011は光無線変換機1021のアンテナ部1041と無線接続され、光無線変換機1021は光無線変換部1071から光ファイバ伝送路1081を介して光無線変換部1072により光無線変換機1022に接続され、光無線変換機1022のアンテナ部1042は無線端末1012と無線接続される。
【0053】
双方向キャンセル回路1061は、光無線変換機1021内部においてアンテナ部1041と光無線変換部1071に接続される。双方向キャンセル回路を構成するキャンセル回路1051、1052は、例えば
図6または
図7のような構成とすることが可能である。
【0054】
図11は、
図10に示す通信ネットワークにおける信号の伝搬および伝送について示したものである。
図11においては、無線端末1011から送信された無線信号1111は、受信アンテナ1032により受信され、光無線変換部1071により光ファイバ無線信号1112となって光ファイバ伝送路1081内を伝送される。光ファイバ無線信号1112は、光無線変換部1072により無線信号1113となって送信アンテナ1033より無線端末1012へ送信されるが、無線信号1113は受信アンテナ1034により受信され、光無線変換部1072により回り込み光ファイバ無線信号1114となって光ファイバ伝送路1081内を伝送される。回り込み光ファイバ無線信号1114は光無線変換部1071により回り込み無線信号1115となってキャンセル回路1052へ伝搬され、回り込み無線信号1115は、
図6または
図7のような構成により、無線信号1111を用いて除去される。無線端末1012から送信された無線信号1121は、受信アンテナ1034により受信され、光無線変換部1072により光ファイバ無線信号1122となって光ファイバ伝送路1081内を伝送される。光ファイバ無線信号1122は、光無線変換部1071により無線信号1123となって送信アンテナ1031より無線端末1011へ送信されるが、無線信号1123は受信アンテナ1032により受信され、回り込み無線信号1124となってキャンセル回路1051へ伝搬される。このとき、回り込み無線信号1124は、
図6または
図7のような構成により、無線信号1123を用いて除去される。
【0055】
ここで、キャンセル回路1051での遅延量及び減衰量は、光無線変換機1021の設計や特性に従って定めることができる。キャンセル回路1052での遅延量及び減衰量は、光ファイバ伝送路1081及び光ファイバ伝送路1081で接続されている光無線変換機の設計及び特性に従って定めることができる。
【0056】
このような、
図10に示す通信ネットワークによって、
図5に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、キャンセル回路を一方の光無線変換機に集約することが可能となる。この構成は、一方の光無線変換機が遠隔地に配置される場合など、一方の光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【0057】
(第三の実施形態)
図12は、本開示における通信ネットワークの第三の例を示す図である。
図12に示す通信ネットワークは、無線端末1211、1212と、光無線変換機1221、1222と、光ファイバ伝送路1261、1262と、回り込み信号除去機1291により構成される。光無線変換機1221は、送信アンテナ1231および受信アンテナ1232により構成されるアンテナ部1241と、光無線変換部1251により構成される。光無線変換機1222は、送信アンテナ1233および受信アンテナ1234により構成されるアンテナ部1242と、光無線変換部1252により構成される。回り込み信号除去機は、光無線変換部1271、1272と、双方向キャンセル回路1281により構成される。双方向キャンセル回路1281は、本開示に係る双方向回り込み信号抑圧回路として機能し、
図10に示す双方向キャンセル回路1061と同じ構成である。ただし、双方向キャンセル回路1281での遅延量及び減衰量は、光ファイバ伝送路1261、1262及び光無線変換機1221、1222の設計及び特性に従って定めることができる。
【0058】
このとき、無線端末1211は光無線変換機1221のアンテナ部1241と無線接続され、光無線変換機1221は光無線変換部1251から光ファイバ伝送路1261を介して光無線変換部1271により回り込み信号除去機1291に接続され、回り込み信号除去機1291は光無線変換部1272から光ファイバ伝送路1262を介して光無線変換部1252により光無線変換機1222に接続され、光無線変換機1222のアンテナ部1242は無線端末1212と無線接続される。
【0059】
光無線変換部1271、1272は、例えば、第1の信号変換部、第2の信号変換部として機能する。この場合、光ファイバ伝送路1261、1262は、第1の光ファイバ、第2の光ファイバとして機能する。
【0060】
光無線変換部1271は、光ファイバ伝送路1261で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換する。光無線変換部1272は、光無線変換部1271で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して光ファイバ伝送路1262に出力する。回り込み信号除去機1291は、光無線変換部1271で変換された無線信号を分岐し、分岐した無線信号を用いて、当該無線信号が光ファイバ伝送路1262に接続されている光無線変換機1222に備わるアンテナ部1242で受信された第1の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第3の抑圧信号を生成する。そして、第1の回り込み光ファイバ無線信号が光無線変換部1272で無線信号に変換されたとき、回り込み信号除去機1291は、第1の回り込み光ファイバ無線信号に第3の抑圧信号を合成する。
【0061】
光無線変換部1272は、光ファイバ伝送路1262で伝送された光ファイバ無線信号を無線信号に変換する。光無線変換部1271は、光無線変換部1272で変換された無線信号を光ファイバ無線信号に変換して光ファイバ伝送路1261に出力する。回り込み信号除去機1291は、光無線変換部1272で変換された無線信号を分岐し、分岐した無線信号を用いて、当該無線信号が光ファイバ伝送路1261に接続されている光無線変換機1221に備わるアンテナ部1241で受信された第2の回り込み光ファイバ無線信号を抑圧する第4の抑圧信号を生成する。そして、第2の回り込み光ファイバ無線信号が光無線変換部1271で無線信号に変換されたとき、回り込み信号除去機1291は、第2の回り込み光ファイバ無線信号に第4の抑圧信号を合成する。
【0062】
このような、
図12に示す通信ネットワークによって、
図10に示す通信ネットワークと同様に、回り込み信号除去機1291により不要な無線信号の除去を行いつつ、キャンセル回路を光ファイバ伝送路上の回り込み信号除去機に集約することが可能となる。この構成は、双方の光無線変換機が遠隔地に配置される場合など、双方の光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【0063】
(第四の実施形態)
図13は、本開示における通信ネットワークの第四の例を示す図である。
図13に示す通信ネットワークは、複数の無線端末1311、1312−1、1312−2ないし1312−nと、複数の光無線変換機1321、1322−1、1322−2ないし1322−nと、分岐型光ファイバ伝送路1331により構成される。光無線変換機1321は、
図5に示す通信ネットワークにおける光無線変換機521と同等の構成である。複数の光無線変換機1312−1、1312−2ないし1312−nは、
図5に示す通信ネットワークにおける光無線変換機522と同等の構成である。分岐型光ファイバ伝送路1331は、光伝送路中に設置された光スプリッタ1341によって複数の光無線変換機1312−1、1312−2ないし1312−nに接続できるよう、分岐される構成である。
【0064】
このとき、複数の光無線変換機1321、1322−1、1322−2、1322−nは、
図8に示すような、回り込み無線信号を受信アンテナで受信した直後にキャンセル回路で除去する構成とすることで、無線信号を元に回り込み無線信号の除去が可能となる。
【0065】
このような、
図13に示す通信ネットワークによって、
図5に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、1対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、一方の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合について特に有効である。
【0066】
(第五の実施形態)
図14は、本開示における通信ネットワークの第五の例を示す図である。
図14に示す通信ネットワークは、複数の無線端末1411、1412−1、1412−2ないし1412−nと、複数の光無線変換機1421、1422−1、1422−2ないし1422−nと、分岐型光ファイバ伝送路1451により構成される。光無線変換機1421は、
図10に示す通信ネットワークにおける光無線変換機1021と同等の構成である。複数の光無線変換機1412−1、1412−2ないし1412−nは、
図10に示す通信ネットワークにおける光無線変換機1022と同等の構成である。分岐型光ファイバ伝送路1451は、光伝送路中に設置された光スプリッタ1461によって複数の光無線変換機1412−1、1412−2ないし1412−nに接続できるよう、分岐される構成である。
【0067】
光無線変換機1421から分岐型光ファイバ伝送路1451に出力された光ファイバ無線信号は、光スプリッタ1461によって光無線変換機1422−1、1422−2、1422−nの全てに伝送される。この場合、光無線変換機1422−1、1422−2、1422−nの全てにおいて回り込み光ファイバ無線信号が発生する。
【0068】
このとき、光無線変換機1421内の双方向キャンセル回路1441を構成するキャンセル回路1431、1432のうち、キャンセル回路1432は、
図7に示すような、複数の遅延器および減衰器を備える構成とすることで、複数の光無線変換機1422−1、1422−2ないし1422−nより送信される複数の回り込み光ファイバ無線信号を個別に除去することが可能となる。
【0069】
このような、
図14に示す通信ネットワークによって、
図10に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、1対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、一方の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合かつ、複数の光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【0070】
(第六の実施形態)
図15は、本開示における通信ネットワークの第六の例を示す図である。
図15に示す通信ネットワークは、
図14に示す通信ネットワークにおける双方向キャンセル回路1441を、
図12に示す通信ネットワークのように回り込み信号除去機として光ファイバ伝送路中に配置した構成である。具体的には、
図14に示す光無線変換機1421に代えて光無線変換機1521が備わり、光スプリッタ1461と光無線変換機1521の間に光ファイバ伝送路1451、回り込み信号除去機1591及び光ファイバ伝送路1552が順に備わり、回り込み信号除去機1591に双方向キャンセル回路1441が備わる。光無線変換機1521は
図12に示す光無線変換機1221と同等の構成である。
【0071】
このような、
図15に示す通信ネットワークによって、
図14に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、1対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、一方の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合かつ、全ての光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【0072】
(第七の実施形態)
図16は、本開示における通信ネットワークの第七の例を示す図である。
図16に示す通信ネットワークは、
図13に示す通信ネットワークにおける1対多の構成を、多対多の構成に拡張したものである。具体的には、
図13に示す無線端末1311に代えて無線端末1611−1、1611−2ないし1611−mが備わり、
図13に示す光無線変換機1321に代えて光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mが備わり、光スプリッタ1642によって光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mが分岐型光ファイバ伝送路1331に接続される。
【0073】
光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mから分岐型光ファイバ伝送路1331に出力された光ファイバ無線信号は、光無線変換機1322−1、1322−2、1322−nの全てにおいて回り込み光ファイバ無線信号が発生する。そこで、光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mに備わるキャンセル回路は、
図7に示すような、n個の遅延器および減衰器を備える構成とする。これにより、
図9に示すような、複数の光無線変換機1322−1、1322−2、1322−nより送信される複数の回り込み光ファイバ無線信号を個別に除去することが可能となる。
【0074】
光無線変換機1322−1、1322−2ないし1322−nから分岐型光ファイバ伝送路1331に出力された光ファイバ無線信号は、光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mの全てにおいて回り込み光ファイバ無線信号が発生する。そこで、光無線変換機1322−1、1322−2ないし1322−nに備わるキャンセル回路は、
図7に示すような、m個の遅延器および減衰器を備える構成とする。これにより、
図9に示すような、複数の光無線変換機1621−1、1621−2ないし1621−mより送信される複数の回り込み光ファイバ無線信号を個別に除去することが可能となる。
【0075】
このような、
図16に示す通信ネットワークによって、
図13に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、多対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、複数の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合について特に有効である。
【0076】
(第八の実施形態)
図17は、本開示における通信ネットワークの第八の例を示す図である。
図17に示す通信ネットワークは、
図14に示す通信ネットワークにおける1対多の構成を、多対多の構成に拡張したものである。具体的には、
図14に示す無線端末1411に代えて無線端末1711−1、1711−2ないし1711−mが備わり、
図14に示す光無線変換機1421に代えて光無線変換機1721−1、1721−2ないし1721−mが備わり、光スプリッタ1762によって光無線変換機1721−1、1721−2ないし1721−mが分岐型光ファイバ伝送路1451に接続される。
【0077】
このような、
図17に示す通信ネットワークによって、
図14に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、多対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、複数の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合かつ、複数の光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【0078】
(第九の実施形態)
図18は、本開示における通信ネットワークの第九の例を示す図である。
図18に示す通信ネットワークは、
図15に示す通信ネットワークにおける1対多の構成を、多対多の構成に拡張したものである。具体的には、
図15に示す無線端末1411に代えて無線端末1811−1、1811−2ないし1811−mが備わり、
図15に示す光無線変換機1521に代えて光無線変換機1821−1、1821−2ないし1821−mが備わり、光スプリッタ1862によって光無線変換機1821−1、1821−2ないし1821−mが光ファイバ伝送路1552に接続される。
【0079】
光無線変換部1271から分岐型光ファイバ伝送路1552に出力された光ファイバ無線信号は、光スプリッタ1862によって光無線変換機1821−1、1821−2ないし1821−mの全てに伝送される。この場合、光無線変換機1821−1、1821−2ないし1821−mの全てにおいて回り込み光ファイバ無線信号が発生する。そこで、キャンセル回路1441は、
図7に示すような、m個の遅延器および減衰器を備える構成とする。
【0080】
光無線変換部1272から分岐型光ファイバ伝送路1551に出力された光ファイバ無線信号は、光スプリッタ1461によって光無線変換機1422−1、1422−2ないし1422−nの全てに伝送される。この場合、光無線変換機1422−1、1422−2ないし1422−nの全てにおいて回り込み光ファイバ無線信号が発生する。そこで、キャンセル回路1442は、
図7に示すような、n個の遅延器および減衰器を備える構成とする。
【0081】
このような、
図18に示す通信ネットワークによって、
図15に示す通信ネットワークと同等の不要な無線信号の除去を行いつつ、多対多の無線端末同士の通信を確立することが可能となる。この構成は、複数の無線端末が複数の無線端末との通信を行う必要がある場合かつ、全ての光無線変換機の構成を可能な限り簡易にすることが求められる場合について特に有効である。
【符号の説明】
【0083】
111、112、211、212、311、312、511、512、1011、1012、1211、1212、1311、1312−1、1312−2、1312−n、1411、1412−1、1412−2、1412−n、1611−1、1611−2、1611−m、1711−1、1711−2、1711−m、1811−1、1811−2、1811−m:無線端末
121、122:無線親機
141、142、241、242、243:伝送機能部
151:中継ネットワーク
221、222、223:無線中継機
321、322、521、522、1021、1022、1221、1222、1321、1322−1、1322−2、1322−n、1421、1422−1、1422−2、1422−n、1521、1621−1、1621−2、1621−m、1721−1、1721−2、1721−m、1821−1、1821−2、1821−m:光無線変換機
1291、1591:回り込み信号除去機
131、132、31、232、233、234、235、236、341、342、541、542、1041、1042、1241、1242:アンテナ部
331、333、531、533、1031、1033、1231、1233:送信アンテナ
332、334、532、534、1032、10341232、1234:受信アンテナ
351、352、561、562、1071、1072、1251、1252、1271、1272:光無線変換部
551、552、1051、1052、1431、1432:キャンセル回路
1061、1281、1441:双方向キャンセル回路
571、1081、1261、1262、1552:光ファイバ伝送路
1331、1451:分岐型光ファイバ伝送路
1341、1461、1642、1762、1862:光スプリッタ
611:分岐器
621:遅延器
631:減衰器
641:合成器