(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1送電部は、前記第1移動体の移動軌跡、前記第1移動体の消費電力、前記第2移動体の移動軌跡、および前記第2移動体の消費電力に基づいて算出された電力を送電する請求項4に記載の移動体装置。
前記第1受電部は、前記第1受電コイルと対向し、前記第1受電コイルから電力を受電する第1ピックアップコイルを含む請求項6〜10のいずれか一項に記載の移動体装置。
前記第2受電部は、前記第2受電コイルと対向し、前記第2受電コイルから電力を受電する第2ピックアップコイルを含む請求項6〜11のいずれか一項に記載の移動体装置。
前記第1送電部は、前記第1送電コイルに供給する電圧の振幅を変更することにより、前記第1送電部が送電する電力を制御する請求項6〜13のいずれか一項に記載の移動体装置。
前記第1送電部は、前記第1送電コイルに電圧を印加する時間を変更することにより、前記第1送電部が送電する電力を制御する請求項6〜14のいずれか一項に記載の移動体装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪第1実施形態≫
まず、第1実施形態について、
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0009】
(露光装置の構成)
まず、
図1を用いて第1実施形態に係る露光装置10の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る露光装置10の構成を概略的に示す図である。露光装置10は、液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)に用いられる矩形のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。
【0010】
露光装置10は、マスクMとガラス基板(以下、「基板」と呼ぶ)Pとを投影光学系PLに対して同一方向に同一速度で駆動することで、マスクMに形成されたパターンを基板P上に転写するスキャニング・ステッパ(スキャナ)である。以下においては、走査露光の際にマスクM及び基板Pが駆動される方向(走査方向)をX軸方向とし、これに直交する水平面内での方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
【0011】
露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、これらを支持するボディ70、基板Pを保持する基板ステージPST、及びこれらの制御系等を備える。制御系は、露光装置10の構成各部を統括制御する。
【0012】
ボディ70は、ベース(防振台)71、コラム72A,72B、光学定盤73、支持体74、及びスライドガイド75から構成される。ベース(防振台)71は、床F上に配置され、床Fからの振動を除振してコラム72A,72B等を支持する。コラム72A,72Bはそれぞれ枠体形状を有し、コラム72Bの内側にコラム72Aが配置されている。光学定盤73は、平板形状を有し、コラム72Aの天井部に固定されている。支持体74は、コラム72Bの天井部にスライドガイド75を介して支持されている。スライドガイド75は、エアボールリフタと位置決め機構とを備え、支持体74(すなわち後述するマスクステージMST)を光学定盤73に対してX軸方向の適当な位置に位置決めする。
【0013】
照明系IOPは、ボディ70の上方に配置されている。照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成され、例えば水銀ランプ等の光源(不図示)から射出された光(照明光)ILを反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズ(いずれも不図示)等を介してマスクMに照射する。照明光ILとして、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)等の光(或いは上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることができる。
【0014】
マスクステージMSTは、ボディ70を構成する支持体74に支持されている。マスクステージMSTには、回路パターンが形成されたパターン面(
図1における下面)を有するマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモーターを含む駆動系により走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、非走査方向(Y軸方向及びθz方向)に微少駆動される。
【0015】
マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、干渉計システムにより計測される。干渉計システムは、マスクステージMSTの端部に設けられた移動鏡(又は鏡面加工された反射面(不図示))に測長ビームを照射し、移動鏡からの反射光を受光することにより、マスクステージMSTの位置を計測する。その計測結果は制御装置(不図示)に供給され、制御装置は、干渉計システムの計測結果に従って、駆動系を介してマスクステージMSTを駆動する。
【0016】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの下方(−Z側)に、ボディ70を構成する光学定盤73に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書に開示された投影光学系と同様に構成され、マスクMのパターン像の投影領域が例えば千鳥状に配置された複数(例えば7)の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする矩形形状のイメージフィールドを形成する。ここでは、4つの投影光学系がY軸方向に所定間隔で配置され、残りの3つの投影光学系が、4つの投影光学系から+X側に離間して、Y軸方向に所定間隔で配置されている。複数の投影光学系のそれぞれとして、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられる。なお、千鳥状に配置された投影光学系PLの複数の投影領域をまとめて露光領域と呼ぶ。
【0017】
照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを透過した照明光ILにより、投影光学系PLを介して、その照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される基板P上の照射領域(露光領域(照明領域に共役))に形成される。ここで、基板Pの表面にはレジスト(感応剤)が塗布されている。マスクステージMSTと基板ステージPSTとを同期駆動する、すなわちマスクMを照明領域(照明光IL)に対して走査方向(X軸方向)に駆動するとともに、基板Pを露光領域(照明光IL)に対して同じ走査方向に駆動することで、基板Pが露光されて基板P上にマスクMのパターンが転写される。
【0018】
基板ステージPSTは、投影光学系PLの下方(−Z側)のベース(防振台)71上に配置されている。基板ステージPST上に、基板Pが、基板ホルダ(不図示)を介して保持されている。
【0019】
基板ステージPSTは、粗動ステージと、微動ステージを備えている。
【0020】
粗動ステージは、
図3(a)、
図3(b)からわかるように、Y粗動ステージ23Yと、Y粗動ステージ23Y上に搭載されたX粗動ステージ23Xとを含む。Y粗動ステージ23Yは、たとえばYリニアモーターによりY軸方向に駆動される。X粗動ステージ23Xは、たとえばXリニアモーターによりX軸方向に駆動される。各粗動ステージ23X、23Yの駆動量(移動量)は、不図示のエンコーダによって計測される。
【0021】
微動ステージは、X粗動ステージ23Xに固定された固定子と、微動ステージに固定された可動子とをそれぞれ含んで構成される複数のボイスコイルモーターを含む駆動系により、X粗動ステージ23X上でXY平面内の3自由度方向(X軸、Y軸、及びθzの各方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモーターとしては、微動ステージをX軸方向に微少駆動するXボイスコイルモーターがY軸方向に離間して一対設けられ、微動ステージをY軸方向に微少駆動するYボイスコイルモーターがX軸方向に離間して一対設けられている。
【0022】
また、微動ステージ駆動系は、微動ステージをθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微少駆動するための複数のZボイスコイルモーターを有している。複数のZボイスコイルモーターは、微動ステージの底面の四隅部に対応する箇所に配置されている。複数のボイスコイルモーターを含み、微動ステージ駆動系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。なお、ボイスコイルモーターは、ムービングマグネット方式及びムービングコイル方式のいずれを採用してもよい。なお、Xボイスコイルモーター、Yボイスコイルモーター、Zボイスコイルモーターについては、
図2等において、符号18X,18Y,18Zで示している。
【0023】
基板ステージPSTのXY平面内の位置情報(回転情報(ヨーイング量(θz方向の回転量θz)、ピッチング量(θx方向の回転量θx)、ローリング量(θy方向の回転量θy))を含む)は、干渉計システムによって計測される。干渉計システムは、光学定盤73から基板ステージPSTの端部に設けられた移動鏡(又は鏡面加工された反射面(不図示))に測長ビームを照射し、移動鏡からの反射光を受光することにより、基板ステージPSTの位置を計測する。その計測結果は制御装置(不図示)に供給され、制御装置は、干渉計システムの計測結果に従って基板ステージPSTを駆動する。
【0024】
露光装置10では、露光に先立ってアライメント計測(例えば、EGA等)を行い、その結果を用いて、以下の手順で、基板Pを露光する。まず、制御装置の指示に従い、マスクステージMST及び基板ステージPSTをX軸方向に同期駆動する。これにより、基板P上の1つめのショット領域への走査露光を行う。1つめのショット領域に対する走査露光が終了すると、制御装置は、基板ステージPSTを2つめのショット領域に対応する位置へ移動(ステッピング)する。そして、2つめのショット領域に対する走査露光を行う。制御装置は、同様に、基板Pのショット領域間のステッピングとショット領域に対する走査露光とを繰り返して、基板P上の全てのショット領域にマスクMのパターンを転写する。
【0025】
(電力供給構成)
次に、上述した露光装置10の基板ステージPSTにおいて、Y粗動ステージ23Y、X粗動ステージ23X、微動ステージ、およびその他各種センサ等の駆動に使用される電力を供給する電力供給システムについて説明する。
【0026】
図2は、第1実施形態に係る電力供給システム100Aを示すブロック図である。
図2に示すように、電力供給システム100Aは、1次回路200A、2次回路300A、および3次回路400Aを備える。
【0027】
(1次回路200A)
1次回路200Aは、電源201と、バックブーストコンバータ202と、第1インバータ203と、第1送電コイル204Aと、第1制御装置205Aと、DC/DCコンバータ207と、を備える。
【0028】
バックブーストコンバータ202は、電源201と第1インバータ203との間に設けられる。バックブーストコンバータ202は、第1制御装置205Aが備える供給電圧最適化部211(詳細は後述する)が出力する供給電圧振幅指令値に基づいて、電源201から第1インバータ203に供給する電圧の振幅を変更(昇圧又は降圧)する。これにより、第1送電コイル204Aから送電される電力が変更できる。バックブーストコンバータ202は、例えば国際公開第2015/133301号に開示されたものと同様の構成を有している。なお、電力伝送の周波数は、たとえば、80kHzから90kHzとするが、この値に限定されるものではない。
【0029】
第1インバータ203は、バックブーストコンバータ202と第1送電コイル204Aとの間に設けられる。第1インバータ203は、第1制御装置205Aが備える固定信号供給部210から受信したスイッチング信号に基づいて、第1送電コイル204Aに電圧を印加(供給)する時間を変更する。
【0030】
第1送電コイル204Aは、たとえば電磁誘導方式、磁界共鳴方式等を用いて無線により2次回路300Aが備える第1受電コイル301Aに電力を送電する。電磁誘導方式には、1次回路および2次回路に非共振回路を用いるN−N方式、1次回路に非共振回路を用い2次回路に共振回路を用いるN−S方式、および1次回路に共振回路を用い2次回路に非共振回路を用いるS−N方式等が存在する。磁界共鳴方式には、1次回路および2次回路に共振回路を用いるS−S方式、およびS−P方式が存在するが、いずれの方式を用いてもよい。本実施形態では、磁界共鳴方式のS−S方式を採用する。磁界共鳴方式のS−S方式は、高効率でかつ大きな電力を伝送することができる。さらに、最適負荷値が小さく、大電流が必要な装置への応用に適しており、1次回路(送電側回路)と2次回路(受電側回路)が対称回路であるため回生が行える。
【0031】
図2に戻り、DC/DCコンバータ207は、電源201の電圧を第1制御装置205Aで使用する電圧に変換し第1制御装置205Aに供給する。
【0032】
第1制御装置205Aは、1次回路200A全体を統括的に制御する。第1制御装置205Aは、Central Processing Unit(CPU)、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)等を備える。第1制御装置205Aは、ROM等に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、固定信号供給部210及び供給電圧最適化部211として機能する。
【0033】
固定信号供給部210は、第1インバータ203にスイッチング信号を出力する。本実施形態では、固定信号供給部210は、パルス幅を固定したスイッチング信号(例えば、デューティ比50%のスイッチング信号)を第1インバータ203に出力する。
【0034】
供給電圧最適化部211は、2次回路300A及び3次回路400Aで消費される電力に対して必要十分な電力を第1送電コイル204Aから送電するよう、第1送電コイル204Aに供給する電圧を最適化する。より具体的には、供給電圧最適化部211は、第1送電コイル204Aが送電する電力をフィードフォワード制御およびフィードバック制御により決定する。
【0035】
(フィードフォワード制御)
露光装置10は、露光動作を行う際に予め決められた軌道で基板ステージPSTが駆動される。そのため、供給電圧最適化部211は、基板ステージPSTの軌道に基づくフィードフォワード制御を行うことができる。
【0036】
本実施形態では、供給電圧最適化部211は、2次回路300Aおよび3次回路400Aで消費される電力を予め推定し、推定された消費電力に対し必要十分な電力が第1送電コイル204Aから送電されるよう、バックブーストコンバータ202に出力する供給電圧振幅指令値を変更する。具体的には、供給電圧最適化部211は、Y粗動ステージ23YおよびX粗動ステージ23Xを含む基板ステージPSTが移動する予定の軌跡(移動予定軌跡)を主制御装置Sから取得し、YリニアモーターおよびXリニアモーターに必要な推力(トルク)を算出する。そして、供給電圧最適化部211は、算出した必要推力から、YリニアモーターおよびXリニアモーターが消費する電力を推定(算出)し、当該推定された消費電力(以後、推定消費電力と記載する)から第1送電コイル204Aに供給が必要な電圧を算出する。
【0037】
供給電圧最適化部211は、算出した必要電圧が第1送電コイル204Aに供給されるように、バックブーストコンバータ202に出力する供給電圧振幅指令値を変更する。これにより、第1送電コイル204Aに印加される電圧の振幅が変更され、第1送電コイル204Aから送電される電力が変更される。
【0038】
(フィードバック制御)
フィードバック制御では、供給電圧最適化部211は、2次回路300Aで実際に消費された電力に基づいて、バックブーストコンバータ202に出力する供給電圧振幅指令値を変更する。具体的には、供給電圧最適化部211は、後述する2次回路300Aの第2制御装置307Aが備える負荷電力算出部311から、2次回路300Aで実際に消費された電力(以後、実消費電力と記載する)の情報を無線通信により受信する。なお、露光装置10内はたとえばBluetooth(登録商標)等の無線通信によって、通信が可能となっている。供給電圧最適化部211は、2次回路300Aにおける実消費電力に基づいて、第1送電コイル204Aに供給が必要な電圧を算出する。
【0039】
供給電圧最適化部211は、算出した必要電圧が第1送電コイル204Aに供給されるように供給電圧振幅指令値を変更し、バックブーストコンバータ202に供給電圧振幅指令値を出力する。これにより、第1送電コイル204Aに印加される電圧の振幅が変更され、2次回路300Aで消費される電力に対して必要十分な電力を第1送電コイル204Aから送電される。
【0040】
このように、第1実施形態に係る電力供給システム100Aでは、供給電圧最適化部211がフィードフォワード制御及びフィードバック制御を実行することにより、2次回路300Aで消費される電力に対して必要十分な電力を第1送電コイル204Aから第1受電コイル301Aに送電している。
【0041】
(2次回路300A)
2次回路300Aは、たとえばY粗動ステージ23Yに配置され、第1受電コイル301A、コンバータ302、第1モータードライバ303、エンコーダ等を含む各種センサ330、モーター331、第2インバータ304、第2送電コイル305A、DC/DCコンバータ306、電圧計309、および第2制御装置307Aを備える。
【0042】
第1受電コイル301Aは、第1送電コイル204Aから送電された電力を受電する。
【0043】
コンバータ302は、第1受電コイル301Aと接続され、第2制御装置307Aが備える負荷電圧制御部310からのスイッチング信号に基づいて、第1受電コイル301Aから入力される交流電圧を所定の直流電圧に変換し出力する。
【0044】
第1モータードライバ303は、センサ330およびモーター331に接続され、移動予定軌跡に基づいて、センサ330およびモーター331を駆動する。なお、本実施形態において、モーター331は、Yリニアモーターに対応する。
【0045】
第2インバータ304は、第2制御装置307Aが備えるパルス幅制御部312からのスイッチング信号に基づいて駆動し、第2送電コイル305Aに電圧を供給する。
【0046】
第2送電コイル305Aは、第1受電コイル301Aが受電した電力の一部を3次回路400Aが備える第2受電コイル401Aに送電する。
【0047】
電圧計309は、コンバータ302が出力する電圧を検出し、検出結果を第2制御装置307Aに出力する。
【0048】
DC/DCコンバータ306は、コンバータ302から出力される電圧を第2制御装置307Aで使用する電圧に変換し第2制御装置307Aに供給する。
【0049】
第2制御装置307Aは、2次回路300A全体を統括的に制御する。第2制御装置307Aは、CPU、ROM、RAM等を備える。第2制御装置307Aは、ROM等に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって、負荷電圧制御部310、負荷電力算出部311、供給電圧最適化部313、及びパルス幅制御部312として機能する。
【0050】
負荷電圧制御部310は、コンバータ302にスイッチング信号を出力し、2次回路300Aに供給される電圧を制御する。負荷電圧制御部310は、電圧計309の電圧を制御する。負荷電圧制御部310による電圧計309の制御方法は、例えば、論文「郡司大輔、居村岳広、藤本博志:磁界共振結合によるワイヤレスインホイールモータの電力変換回路の制御に関する基礎研究、電気学会論文誌D,Vol.135,No.3,pp.182-191(2014)」や、「郡司大輔、居村岳広、藤本博志、定電力負荷への磁界共振結合ワイヤレス電力伝送における二次側負荷電圧の安定性解析、平成26年電気学会産業応用部門大会、No.2-15、pp.139-142(2014)」に開示された方法と同様の制御方法を採用することができる。
【0051】
負荷電力算出部311は、2次回路300Aにおいて実際に消費された電力(実消費電力)を算出する。例えば、負荷電力算出部311は、電圧計309で検出した電圧値と、不図示の電流計で検出した電流値とに基づいて、2次回路300Aにおいて実際に消費された電力を算出する。または、負荷電力算出部311は、Y粗動ステージ23Yの動きを制御する不図示のモーション制御部から取得したYリニアモーターの推力(トルク)の指令値と、センサ(エンコーダ)330の検出値から算出したYリニアモーターの実速度と、に基づいて実消費電力を算出してもよい。負荷電力算出部311は、算出した実消費電力の情報を無線通信によって1次回路200Aの供給電圧最適化部211に送信する。これにより、供給電圧最適化部211は、前述したフィードバック制御を行うことができる。
【0052】
供給電圧最適化部313は、3次回路400Aで消費される電力に対して必要十分な電力を第2送電コイル305Aから送電するよう、第2送電コイル305Aに供給する電圧を最適化する。この場合、供給電圧最適化部313は、第2送電コイル305Aが送電する電力をフィードフォワード制御およびフィードバック制御する。
【0053】
より詳細には、供給電圧最適化部313は、X粗動ステージ23Xが移動する予定の軌跡(移動予定軌跡)を主制御装置Sから取得し、Xリニアモーターに必要な推力(トルク)を算出する。そして、供給電圧最適化部211は、算出した必要推力から、Xリニアモーター等が消費する電力を推定(算出)し、当該推定消費電力から第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧を算出する(フィードフォワード制御)。
【0054】
また、供給電圧最適化部313は、後述する3次回路400Aの第3制御装置407Aが備える負荷電力算出部411から、3次回路400Aで実際に消費された電力の情報を無線通信により受信する。供給電圧最適化部313は、3次回路400Aで実際に消費された電力に基づいて、第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧を算出する(フィードバック制御)。
【0055】
供給電圧最適化部313は、第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧の情報を、パルス幅制御部312に出力する。
【0056】
パルス幅制御部312は、第2インバータ304にスイッチング信号を出力する。本実施形態では、パルス幅制御部312は、供給電圧最適化部313から受信した第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧の情報に基づいて、スイッチング信号のパルス幅を変更する制御(以下、PWC(Pulse Width Control)制御と称する。)を行う。これにより、第2送電コイル305Aに電圧を印加する時間が変更され、第2送電コイル305Aから送電される電力が変更される。
【0057】
(3次回路400A)
3次回路400Aは、たとえばX粗動ステージ23Xに設けられ、第2受電コイル401A、コンバータ402、電圧計403、第2モータードライバ404、X粗動ステージ23Xの位置を検出するためのエンコーダ等を含む各種センサ430、モーター431、第3モータードライバ405、微動ステージ21の位置を検出するためのエンコーダ等を含む各種センサ440、ボイスコイルモーター18X、18Y、18Z、DC/DCコンバータ406、および第3制御装置407Aを備える。
【0058】
第2受電コイル401Aは、第2送電コイル305Aから送電された電力を受電する。
【0059】
コンバータ402は、第2受電コイル401Aと接続され、第3制御装置407Aが備える負荷電圧制御部410からのスイッチング信号に基づいて第2受電コイル401Aから入力される交流電圧を所定の直流電圧に変換し出力する。
【0060】
第2モータードライバ404は、センサ430およびモーター431に接続され、移動予定軌跡に基づいてモーター431を駆動する。なお、本実施形態において、モーター431は、Xリニアモーターに対応する。
【0061】
第3モータードライバ405は、センサ440およびボイスコイルモーター18X、18Y、18Zに接続される。第3モータードライバ405は、移動予定軌跡に基づいてボイスコイルモーター18X、18Y、18Zを駆動する。
【0062】
電圧計403は、コンバータ402が出力した電圧を検出し、検出結果を第3制御装置407Aに出力する。
【0063】
DC/DCコンバータ406は、コンバータ402が出力した電圧を第3制御装置407Aで使用する電圧に変換し、第3制御装置407Aに供給する。
【0064】
第3制御装置407Aは、3次回路400A全体を統括的に制御する。第3制御装置407Aは、CPU、ROM、RAM等を備える。第3制御装置407Aは、ROM等に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、負荷電圧制御部410および負荷電力算出部411として機能する。
【0065】
負荷電圧制御部410は、コンバータ402にスイッチング信号を出力し3次回路400Aに供給する電圧を制御する。
【0066】
負荷電力算出部411は、3次回路400Aにおいて実際に消費された電力を算出する。例えば、負荷電力算出部411は、電圧計309で検出した電圧値と、不図示の電流計で検出した電流値とに基づいて、3次回路400Aにおいて実際に消費された電力を算出する。または、負荷電力算出部411は、X粗動ステージ23Xの動きを制御する不図示のモーション制御部から取得したXリニアモーターの推力(トルク)の指令値と、センサ430の検出値から算出したXリニアモーターの実速度と、に基づいて、3次回路400Aにおいて実際に消費された電力を算出する。負荷電力算出部411は、算出した実消費電力の情報を無線通信によって2次回路300Aの供給電圧最適化部313に送信する。これにより、供給電圧最適化部313は、前述したフィードバック制御を行うことができる。
【0067】
(コイル配置)
次に、本実施形態における第1送電コイル204A、第1受電コイル301A、第2送電コイル305A、及び第2受電コイル401Aの配置について説明する。
図3(a)及び
図3(b)は、第1実施形態における第1送電コイル204A、第1受電コイル301A、第2送電コイル305A、及び第2受電コイル401Aの配置の一例を示す図である。
【0068】
第1送電コイル204Aは、例えば、
図1に示すベース71の+X側の側面に設けられ、
図3(a)及び
図3(b)に示すようにY軸方向に延伸している。第1送電コイル204AのY軸方向長さは、Y粗動ステージ23Yが可動域の端にある場合にも、第1送電コイル204Aと第1受電コイル301Aとが対向するように設定される。
【0069】
第1受電コイル301Aは、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、Y粗動ステージ23Yの+X側の側面に第1送電コイル204Aと対向するように設けられている。これにより、第1受電コイル301Aは、第1送電コイル204Aから電力を受電できる。
【0070】
第2送電コイル305Aは、例えば、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、Y粗動ステージ23Yの+Y側の側面に設けられている。第2送電コイル305AのX軸方向長さは、X粗動ステージ23Xが可動域の端にある場合にも、第2送電コイル305Aと第2受電コイル401Aとが対向するように設定される。
【0071】
第2受電コイル401Aは、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、X粗動ステージ23Xの+Y側の側面に第2送電コイル305Aと対向するように設けられている。これにより、第2受電コイル401Aは、第2送電コイル305Aから電力を受電できる。
【0072】
なお、各コイルの配置方法は、
図3(a)及び
図3(b)に限られるものではない。例えば、第1受電コイル301Aを、Y粗動ステージ23Yの+Y側の側面に設けてもよい。この場合、第1送電コイル204Aと第1受電コイル301Aとの間の磁場の影響を受けないようにするため、第2送電コイル305Aの下方(−Z側)にフェライト板を設けるのがよい。
【0073】
上述した
図2に示す回路を採用することにより、1次回路200Aから2次回路300A及び3次回路400Aに対し、2次回路300A及び3次回路400Aのそれぞれにおいて必要とされる消費電力に対して必要十分な電力を無線で供給することができる。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本第1実施形態によれば、基板ステージPSTは、床Fに対して、Y粗動ステージ23Yと、電磁誘導現象又は磁界共振現象を利用して電力を送電する1次回路200Aと、Y粗動ステージ23Yに設けられ、1次回路200Aが送電した電力を受電する2次回路300Aと、を備える。これにより、Y粗動ステージ23Yに電力供給を行うケーブルを設ける必要がないため、ケーブルに起因する外乱を低減することができ、Y粗動ステージ23Yの位置決め精度を向上することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0075】
また、本第1実施形態によれば、1次回路200Aは、Y粗動ステージ23Yが移動する予定の軌跡に基づき算出された電力を送電する。これにより、Y粗動ステージ23Yの駆動に必要十分な電力を1次回路200Aから2次回路300Aに送電することができる。Y粗動ステージ23Yの駆動に必要十分な電力以上の電力を送電すると、余剰電力が熱として放出され、当該熱が露光装置10の露光精度に悪影響を与えるおそれがある。本実施形態によれば、Y粗動ステージ23Yの駆動に必要十分な電力を送電できるため、露光装置10の露光精度が放熱により低下するのを防止することができる。
【0076】
また、本第1実施形態によれば、1次回路200Aは、Y粗動ステージ23Yに設けられた2次回路300Aにおいて実際に消費された電力に基づき算出された電力を送電する。これにより、Y粗動ステージ23Yの駆動に必要十分な電力を1次回路200Aから2次回路300Aに送電することができる。
【0077】
また、本第1実施形態によれば、基板ステージPSTは、床Fに対してY粗動ステージ23Yと、Y粗動ステージ23Yに設けられ、Y粗動ステージ23Yに対してX粗動ステージ23Xと、を含み、Y粗動ステージ23Yには2次回路300Aが設けられ、X粗動ステージ23Xには1次回路200Aが送電した電力の一部を受電する3次回路400Aが設けられている。これにより、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給用のケーブルを接続しなくとも、1次回路200Aから、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに無線により電力を供給することができる。すなわち、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給を行うケーブルを接続する必要がないため、ケーブルに起因する外乱を低減することができ、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xの位置決め精度を向上することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0078】
また、本第1実施形態によれば、1次回路200Aは、電力を送電する第1送電コイル204Aを含み、2次回路300Aは、第1送電コイル204Aと対向し、第1送電コイル204Aから電力を受電する第1受電コイル301Aと、第1受電コイル301Aが受電した電力の一部を送電する第2送電コイル305Aと、を含み、3次回路400Aは、第2送電コイル305Aと対向し、第2送電コイル305Aから電力を受電する第2受電コイル401Aを含む。ここで、第2送電コイル305Aがない場合、第2受電コイル401Aは第1送電コイル204Aから電力を受電することになるが、このとき、第1送電コイル204Aと第2受電コイル401Aとの間のギャップ(距離)が大きくなり、第1送電コイル204Aから第2受電コイル401Aに効率的に電力を伝送できない可能性がある。本構成によれば、第2送電コイル305Aから第2受電コイル401Aに電力を伝送するので、第1送電コイル204Aと第2受電コイル401Aとの間のギャップ(距離)が大きい場合にも、高効率で3次回路400Aに電力を供給することができる。
【0079】
また、本第1実施形態によれば、2次回路300Aは、第2インバータ304のスイッチング信号のパルス幅を変更して第2送電コイル305Aに電圧を印加する時間を変更することにより、2次回路300Aが送電する電力を制御する。これにより、2次回路300Aは、第2送電コイル305Aに印加される電圧の振幅を変更するためのバックブーストコンバータを必要としないため、コストを低減することができる。また、バックブーストコンバータは、一般的にサイズが大きい。したがって、バックブーストコンバータをY粗動ステージ23Yに搭載すると、位置決め精度等に悪影響を与えるおそれがある。しかしながら、本第1実施形態ではバックブーストコンバータを必要としないため、2次回路300AをY粗動ステージ23Yに設置することによりY粗動ステージ23Yの位置決め精度が低下する等を防止することができる。
【0080】
また、本第1実施形態によれば、1次回路200Aは、バックブーストコンバータ202の供給電圧振幅指令値を変更して第1送電コイル204Aに供給する電圧の振幅を変更することにより、1次回路200Aが送電する電力を制御(以下、PAM:Pulse Amplitude Modulation制御と称する)を行う。一般的には、インバータのスイッチング損失は、バックブーストコンバータのスイッチング損失よりも大きいが、デューティ比が50%のとき、1次側電圧と電流が同相であるため、ゼロ電流スイッチングに近くなり、インバータのスイッチング損失は小さくなる。したがって、一般的には、PAM制御のほうがPWC制御よりも高効率となる。したがって、第1送電コイル204Aから第1受電コイル301Aに高効率で電力を伝送できる。
【0081】
なお、上記第1実施形態において、第1送電コイル204Aをベース71に設けていたが、これに限られるものではない。第1送電コイル204Aを、例えば、床Fに設けてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、微動ステージ21に対しても無線で電力を送信する場合には、X粗動ステージ23Xに設けられる3次回路400Aの構成を2次回路300Aと同様にし、3次回路400Aから送電される電力を受電する受電コイルを含む4次回路を微動ステージ21に設ければよい。
【0083】
(変形例1)
第1実施形態では、2次回路300Aの第2インバータ304のスイッチング信号のパルス幅を変更して、第2送電コイル305Aから送電する電力を変更していたが、第2送電コイル305Aに供給する電圧の振幅を変更して、第2送電コイル305Aから送電する電力を変更してもよい。
【0084】
図4は、第1実施形態の変形例1に係る電力供給システム100A1のブロック図である。電力供給システム100A1は、1次回路200A1、2次回路300A1、および3次回路400A1を備える。1次回路200A1および3次回路400A1の構成は、
図2の1次回路200Aおよび3次回路400Aとそれぞれ同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0085】
電力供給システム100A1の2次回路300A1は、2次回路300Aの構成に加えて、バックブーストコンバータ320を備える。また、2次回路300A1は、パルス幅制御部312に代えて、固定信号供給部312’を備える。
【0086】
バックブーストコンバータ320は、コンバータ302と第2インバータ304との間に設けられ、第2制御装置307Aの供給電圧最適化部313が出力する供給電圧振幅指令値に基づいて、第2送電コイル305Aに供給される電圧の振幅を変更(昇圧又は降圧)する。これにより、第2送電コイル305Aから送電される電力が変更される。
【0087】
電力供給システム100A1では、第2制御装置307Aが備える固定信号供給部312’は、パルス幅を固定したスイッチング信号(例えば、デューティ比50%のスイッチング信号)を第2インバータ304に出力する。
【0088】
供給電圧最適化部313は、第1実施形態で説明したように、X粗動ステージ23Xの移動予定軌跡に基づいて、3次回路400Aで消費される電力を推定する。供給電圧最適化部313は、推定消費電力に対して必要十分な電力が第2送電コイル305Aから送電されるように、供給電圧振幅指令値を変更し、バックブーストコンバータ320へ供給電圧振幅指令値を出力する。これにより、第2送電コイル305Aに印加される電圧の振幅が変更され、推定消費電力に対して必要十分な電力が第2送電コイル305Aから送電される。
【0089】
以上のように、変形例1によれば、2次回路300A1は、第2送電コイル305Aに供給する電圧の振幅を変更することにより、第2送電コイル305Aが送電する電力を制御する(PAM制御)。前述したように、一般的にPAM制御のほうが高効率である。したがって、変形例1によれば、第2送電コイル305Aから第2受電コイル401Aに高効率で電力を伝送できる。
【0090】
また、変形例1に係る電力供給システム100A1においても、2次回路300A1で消費される電力に対して必要十分な電力を第1送電コイル204Aから第1受電コイル301Aに送電するとともに、3次回路400A1で消費される電力に対して必要十分な電力を第2送電コイル305Aから第2受電コイル401Aに送電することができる。
【0091】
(変形例2および3)
第1実施形態およびその変形例1では、1次回路が備えるバックブーストコンバータ202により、第1送電コイル204Aに印加される電圧の振幅を変更し、第1送電コイル204Aが送電する電力を変更していた。変形例2および3では、第1インバータ203に出力するスイッチング信号のパルス幅を変更して、第1送電コイル204Aに電圧を印加する時間を変更することで、第1送電コイル204Aが送電する電力を変更する。
【0092】
図5は、変形例2に係る電力供給システム100A2のブロック図であり、
図6は、変形例3に係る電力供給システム100A3のブロック図である。電力供給システム100A2が備える2次回路300A2および3次回路400A2の構成は、
図2の2次回路300Aおよび3次回路400Aとそれぞれ同様であるため詳細な説明を省略する。また、電力供給システム100A3が備える2次回路300A3および3次回路400A3の構成は、
図4の2次回路300A1および3次回路400A1と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0093】
図5および
図6において、1次回路200A2および200A3は、バックブーストコンバータ202を備えていない。また、1次回路200A2および200A3は、固定信号供給部210に代えて、パルス幅制御部210’を備えている。
【0094】
第1制御装置205Aの供給電圧最適化部211は、第1送電コイル204Aに供給が必要な電圧の情報をパルス幅制御部210’に出力する。
【0095】
パルス幅制御部210’は、第1送電コイル204Aに必要な電圧が供給されるようにパルス幅を変更したスイッチング信号を第1インバータ203に出力する。これにより、第1送電コイル204Aに電圧を印加する時間が変更され、第1送電コイル204Aが送電する電力が変更される。
【0096】
以上説明したように、変形例2及び3によれば、1次回路200A2および200A3は、第1インバータ203のスイッチング信号のパルス幅を変更して第1送電コイル204Aに電圧を印加する時間を変更することにより、1次回路200Aが送電する電力を制御する(PWC制御)。前述したように、一般的にはPAM制御のほうがPWC制御よりも効率が高いが、PWC制御において可変デューティ比が50%付近となる特殊条件の場合に限り、バックブーストコンバータのスイッチング損失がない分だけ、PWC制御のほうがPAM制御よりも効率が高くなる。したがって、PWC制御により、第1送電コイル204Aが送電する電力を変更してもよい。なお、PWC制御の場合、バックブーストコンバータが不要となるため、コストを低減することができる。
【0097】
(変形例4および5)
第1実施形態およびその変形例1〜3に係る2次回路において、第2制御装置307Aは供給電圧最適化部313を備えていなくてもよい。
図7は、変形例4に係る電力供給システム100A4のブロック図であり、
図8は、変形例5に係る電力供給システム100A5のブロック図である。
【0098】
電力供給システム100A4および100A5では、2次回路300A4及び300A5の第2制御装置307Aは、供給電圧最適化部313を備えておらず、1次回路200A4及び200A5の第1制御装置205Aが備える供給電圧最適化部211が、供給電圧最適化部313が行っていた処理を実行する。
【0099】
すなわち、第1制御装置205Aが備える供給電圧最適化部211は、X粗動ステージ23Xが移動する予定の軌跡(移動予定軌跡)を主制御装置Sから取得し、Xリニアモーターに必要な推力(トルク)を算出する。そして、供給電圧最適化部211は、算出した必要推力から、Xリニアモーターが消費する電力を算出し、当該消費電力から第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧を算出する(フィードフォワード制御)。
【0100】
また、供給電圧最適化部211は、3次回路400A4及び400A5の負荷電力算出部411から無線通信により3次回路400A4及び400A5で実際に消費された電力の情報を受信する。供給電圧最適化部211は、3次回路400A4及び400A5での実消費電力に基づいて、第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧を算出する(フィードバック制御)。
【0101】
変形例4に係る電力供給システム100A4では、供給電圧最適化部211は、第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧の情報を、無線通信によりパルス幅制御部312に送信する。
【0102】
パルス幅制御部312は、供給電圧最適化部211から受信した第2送電コイル305Aに供給が必要な電圧の情報に基づいて、スイッチング信号のパルス幅を変更する。これにより、3次回路400A4で消費される電力に対して必要十分な電力を第2送電コイル305Aから送電することができる。
【0103】
一方、変形例5に係る電力供給システム100A5では、供給電圧最適化部211は、必要な電圧が第2送電コイル305Aに供給されるように供給電圧振幅指令値を変更し供給電圧振幅指令値をバックブーストコンバータ320に無線通信により送信し、第2インバータ304に印加される電圧を変更する。これにより、3次回路400A5で消費される電力に対して必要十分な電力を第2送電コイル305Aから送電することができる。
【0104】
なお、変形例4および変形例5を、変形例2および3にそれぞれ適用してもよい。
【0105】
(変形例6および7)
変形例4および5において、第3制御装置407Aの負荷電力算出部411は、無線通信により第1制御装置205Aが備える供給電圧最適化部211に実消費電力を送信していたが、
図9および
図10に示すように、第2制御装置307Aが備える負荷電力算出部311に無線通信により送信してもよい。
【0106】
この場合、第2制御装置307Aが備える負荷電力算出部311は、2次回路および3次回路で実際に消費された電力の情報を、第1制御装置205Aが備える供給電圧最適化部211に無線通信により送信する。
【0107】
供給電圧最適化部211は、第2制御装置307Aが備える負荷電力算出部311から受信した実消費電力に基づいて、フィードバック制御を行う。
【0108】
なお、上記第1実施形態及びその変形例1〜7において、供給電圧最適化部211及び供給電圧最適化部313はフィードフォワード制御及びフィードバック制御を行っていたが、いずれか一方を行ってもよい。
【0109】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、露光装置10の構成は第1実施形態と同様であるが、電力供給システムの構成が第1実施形態と異なる。
図11は、第2実施形態に係る電力供給システム100Bのブロック図である。なお、図の簡略化のため、電力供給システム100Bでは、フィードバック制御を行っていないが、フィードフォワード制御とともにフィードバック制御を行ってもよい。また、電力供給システム100Bにおいて、フィードフォワード制御を行わず、フィードバック制御を行ってもよい。
【0110】
図11に示すように、第2実施形態に係る電力供給システム100Bは、1次回路200B、2次回路300B、及び3次回路400Bを備える。2次回路300Bは、Y粗動ステージ23Yに設けられ、3次回路400Bは、X粗動ステージ23Xに設けられている。
【0111】
(1次回路200B)
1次回路200Bは、複数の第1インバータ203と、各第1インバータ203と接続される複数の第1送電コイル204Bと、を備える。その他の構成は、
図2の1次回路200Aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0112】
(2次回路300B)
2次回路300Bは、
図2の2次回路300Aと比較して、第2インバータ304および第2送電コイル305Aを有していない。その他の構成は、
図2の2次回路300Aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0113】
(3次回路400B)
3次回路400Bは、第2受電コイル401Bが、第1送電コイル204Bが送電した電力を受電する点が、
図2の3次回路400Aと異なる。その他の構成は、
図2の3次回路400Aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0114】
(コイル配置)
次に、本実施形態に係る第1送電コイル204B、第1受電コイル301B、及び第2受電コイル401Bの配置について説明する。
図12(a)及び
図12(b)は、第2実施形態に係る第1送電コイル204B、第1受電コイル301B、及び第2受電コイル401Bの配置を示す図である。
【0115】
第1送電コイル204Bは、
図12(a)に示すように、Y軸方向に延伸し、X軸方向に複数配置されている。各第1送電コイル204BのY軸方向長さは、矢印A2で示す方向に移動するY粗動ステージ23Yがその可動域の端にある場合にも、Y粗動ステージ23Yに設けられた第1受電コイル301B及びX粗動ステージ23Xに設けられた第2受電コイル401Bと対向するように設定されている。また、複数の第1送電コイル204Bは、矢印A1で示す方向に移動するX粗動ステージ23Xがその可動域の端にある場合にも、X粗動ステージ23Xに設けられた第2受電コイル401Bと少なくとも1つが対向するように設けられている。
【0116】
第1受電コイル301Bは、
図12(a)および
図12(b)に示すように、Y粗動ステージ23Yの+Y側側面に設けられ、第1送電コイル204Bと対向する。これにより、第1受電コイル301Bは、第1送電コイル204Bから電力を受電できる。
【0117】
第2受電コイル401Bは、
図12(a)および
図12(b)に示すように、X粗動ステージ23Xの−Y側側面に設けられ、第1送電コイル204Bと対向する。これにより、第2受電コイル401Bは、第1送電コイル204Bから電力を受電できる。
【0118】
なお、各コイルの配置方法は、
図12(a)及び
図12(b)に限られるものではない。例えば、第1受電コイル301Bを、Y粗動ステージ23Yの−Y側の側面に設けてもよいし、第2受電コイル401BをX粗動ステージ23Xの+Y側の側面に設けてもよい。
【0119】
以上、詳細に説明したように、本第2実施形態によれば、1次回路200Bは、電力を送電する第1送電コイル204Bを含み、2次回路300Bは、第1送電コイル204Bと対向し、第1送電コイル204Bから電力を受電する第1受電コイル301Bを含み、3次回路400Bは、第1送電コイル204Bと対向し、第1送電コイル204Bから電力を受電する第2受電コイル401Bを含む。これにより、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに無線により電力を供給できるため、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給を行うケーブルを設ける必要がなく、ケーブルによる外乱を低減することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0120】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、Y粗動ステージ23Yの駆動方法が第1及び第2実施形態と異なる。より具体的には、Y粗動ステージ23Yをボールネジにより駆動し、X粗動ステージ23XをXリニアモーターにより駆動する。
【0121】
図13は、第3実施形態に係る電力供給システム100Cのブロック図である。
図13に示すように、電力供給システム100Cは、1次回路200C、2次回路300C、および3次回路400Cを備える。2次回路300CはY粗動ステージ23Yに設けられ、3次回路400CはX粗動ステージ23Xに設けられている。なお、図の簡略化のため、電力供給システム100Cでは、フィードバック制御を行っていないが、フィードフォワード制御とともにフィードバック制御を行ってもよい。また、電力供給システム100Cにおいて、フィードフォワード制御を行わず、フィードバック制御を行ってもよい。
【0122】
(1次回路200C)
1次回路200Cは、
図2の1次回路200Aの構成に加えて、第4モータードライバ206と、モーター221と、センサ220と、を備える。
【0123】
第4モータードライバ206は、移動予定軌跡に基づいてモーター221を駆動する。本実施形態において、モーター221は、Y粗動ステージ23Yを駆動するボールネジを駆動するためのモーターに対応する。その他の構成は、
図2の1次回路200Aと同様であるため説明を省略する。
【0124】
(2次回路300C)
2次回路300Cでは、
図2の2次回路300Aと比較して、第1モータードライバ303と、モーター331と、が省略されている。モーター331は、DC/DCコンバータ306に接続されている。Y粗動ステージ23Yは、ボールネジにより駆動されるためである。2次回路300Cのその他の主な構成は、
図2の2次回路300Aと同様であるため詳細な説明を省略する。
【0125】
(3次回路400C)
3次回路400Cは、第2受電コイル401Cが、第1受電コイル301Cを介して第1送電コイル204Cが送電した電力を受電する点が、
図2の3次回路400Aと異なる。その他の構成は、
図2の3次回路400Aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0126】
(コイル配置)
次に、本実施形態における第1送電コイル204C、第1受電コイル301C、及び第2受電コイル401Cの配置について説明する。
図14(a)及び
図14(b)は、第3実施形態における第1送電コイル204C、第1受電コイル301C、及び第2受電コイル401Cの配置を示す図である。
【0127】
1次回路200Cが備える第1送電コイル204Cは、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、Y軸方向に延び、Y粗動ステージ23Yに設けられた第1受電コイル301Cと対向するように設けられている。第1送電コイル204CのY軸方向長さは、矢印A1の方向に移動するY粗動ステージ23Yが可動域の端にある場合にも、第1送電コイル204Cと第1受電コイル301Cとが対向するように設定される。
【0128】
2次回路300Cが備える第1受電コイル301Cは、
図14(a)および
図14(b)に示すように、Y粗動ステージ23Yの+Y側の側面に設けられ、第1送電コイル204Cと対向する。これにより、第1受電コイル301Cは、第1送電コイル204Cから電力を受電できる。
【0129】
3次回路400Cが備える第2受電コイル401Cは、
図14(a)および
図14(b)に示すように、X粗動ステージ23Xの+Y側の側面に設けられ、第1受電コイル301Cと対向する。なお、第1受電コイル301Cは、矢印A2の方向に移動するX粗動ステージ23Xが可動域の端にある場合にも、第2受電コイル401Cと対向するように設けられている。これにより、第2受電コイル401Cは、第1受電コイル301Cを介して第1送電コイル204Cから電力を受電できる。
【0130】
なお、各コイルの配置方法は、
図14(a)及び
図14(b)に限られるものではない。例えば、第1受電コイル301Cを、Y粗動ステージ23Yの−Y側の側面に設け、かつ、第2受電コイル401CをX粗動ステージ23Xの−Y側の側面に設けてもよい
【0131】
以上詳細に説明したように、第3実施形態によれば、1次回路200Cは、電力を送電する第1送電コイル204Cを含み、2次回路300Cは、第1送電コイル204Cと対向し、第1送電コイル204Cから電力を受電する第1受電コイル301Cを含み、3次回路400Cは、第1受電コイル301Cと対向し、第1送電コイル204Cから第1受電コイル301Cを介して電力を受電する第2受電コイル401Cを含む。これにより、Y粗動ステージ23Yをボールネジにより駆動し、X粗動ステージ23XをXリニアモーターにより駆動する場合でも、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに無線により電力を供給できるため、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給を行うケーブルを設ける必要がなく、ケーブルによる外乱を低減することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0132】
なお、Y粗動ステージ23Yをボールネジにより駆動し、X粗動ステージ23XをXリニアモーターにより駆動する場合、第2実施形態に係る電力供給システム100Bの構成を採用してもよい。この場合、
図11に示す電力供給システム100Bにおいて、1次回路200Bに、ボールネジを駆動するための構成であるインバータとモーターとを付加し、2次回路300Bからモーター331を削除すればよい。
【0133】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、Y粗動ステージ23YをYリニアモーターで駆動し、X粗動ステージ23Xをボールネジによって駆動する。この場合、第1実施形態に係る電力供給システム100Aの構成を採用することができる。
【0134】
Y粗動ステージ23YをYリニアモーターで駆動し、X粗動ステージ23Xをボールネジによって駆動する場合、
図2に示す電力供給システム100Aにおいて、2次回路300Aが備えるモーター331が、Yリニアモーターと、X粗動ステージ23Xを駆動するボールネジを駆動するためのモーターと、を含む。この場合、3次回路400Aが備えるモーター431を省略できる。
【0135】
また、Y粗動ステージ23YをYリニアモーターで駆動し、X粗動ステージ23Xをボールネジによって駆動する場合、第2実施形態に係る電力供給システム100Bを採用してもよい。この場合、
図11に示す電力供給システム100Bにおいて、2次回路300Aが備えるモーター331が、Yリニアモーターと、X粗動ステージ23Xを駆動するボールネジを駆動するためのモーターと、を含む。この場合、3次回路400Aが備えるモーター431を省略できる。
【0136】
以上詳細に説明したように、第4実施形態によれば、Y粗動ステージ23YをYリニアモーターにより駆動し、X粗動ステージ23Xをボールネジにより駆動する場合でも、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに無線により電力を供給できるため、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給を行うケーブルを設ける必要がなく、ケーブルによる外乱を低減することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0137】
≪第5実施形態≫
第5実施形態は、Y粗動ステージ23YおよびX粗動ステージ23Xをそれぞれボールネジによって駆動する。この場合、第1実施形態に係る電力供給システム100Aの構成を採用することができる。
【0138】
Y粗動ステージ23YおよびX粗動ステージ23Xをそれぞれボールネジによって駆動する場合、
図2に示す電力供給システム100Aにおいて、1次回路200Aに、Y粗動ステージ23Yを駆動するためのボールネジを駆動するインバータとモーターとを付加する。2次回路300Aが備えるモーター331は、X粗動ステージ23Xを駆動するためのボールネジを駆動するモーターに対応する。第5実施形態では、3次回路400Aが備えるモーター431を省略できる。
【0139】
また、Y粗動ステージ23YおよびX粗動ステージ23Xをそれぞれボールネジによって駆動する場合、第2実施形態に係る電力供給システム100Bを採用してもよい。この場合、
図11に示す電力供給システム100Bにおいて、1次回路200Bに、Y粗動ステージ23Yを駆動するためのボールネジを駆動するインバータとモーターとを付加する。2次回路300Bが備えるモーター331は、X粗動ステージ23Xを駆動するためのボールネジを駆動するモーターに対応する。この場合、3次回路400Bが備えるモーター431を省略できる。
【0140】
以上詳細に説明したように、第5実施形態によれば、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xをそれぞれボールネジにより駆動する場合でも、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに無線により電力を供給できるため、Y粗動ステージ23Y及びX粗動ステージ23Xに電力供給を行うケーブルを設ける必要がなく、ケーブルによる外乱を低減することができる。また、ケーブルと他の部材との摺動による発塵を防止することができる。また、粗動ステージ23X,23Yの動きによってケーブルの断線や破損が生じ、当該ケーブルの断線や破損による露光装置10の停止によって生産性が低下することを抑制することができる。
【0141】
なお、第1実施形態に係る変形例1〜変形例7は、第2〜第5実施形態にも適宜適用できる。
【0142】
なお、上記第1〜第5実施形態に係る電力供給システムにおいて、2次回路および3次回路は、第2制御装置307および第3制御装置407を駆動するための電力を受電するピックアップコイルを備えていてもよい。
【0143】
図15は、電力供給システム100Aにピックアップコイルを適用した例である。
図15に示す電力供給システム100A’において、2次回路300A’は、DC/DCコンバータ306の代わりに、ピックアップコイル340と、コンバータ341を備える。ピックアップコイル340は、第1受電コイル301Aと対向するように設けられ、第1受電コイル301Aが受電した電力の一部を受電する。
【0144】
コンバータ341は、ピックアップコイル340から入力された交流電圧を、第2制御装置307Aが使用する直流電圧に変換して、第2制御装置307Aに供給する。
【0145】
また、
図15に示す電力供給システム100A’において、3次回路400A’は、DC/DCコンバータ406の代わりに、ピックアップコイル450と、コンバータ451を備える。ピックアップコイル450は、第2受電コイル401Aと対向するように設けられ、第2受電コイル401Aが受電した電力の一部を受電する。
【0146】
コンバータ451は、ピックアップコイル450から入力された交流電圧を第3制御装置407Aが使用する直流電圧に変換して、第3制御装置407Aに供給する。
【0147】
2次回路300Aおよび3次回路400Aのいずれか一方が、ピックアップコイルを備えていてもよい。
【0148】
また、電力供給システム100A1〜100A4、100B、100Cの2次回路および3次回路は、それぞれ、ピックアップコイルを備えていてもよい。
【0149】
また、上記第1〜第5実施形態に係る電力供給システムにおいて、第1送電コイル204は
図16(a)に示すようにY軸方向に延伸し固定して設けられていたが、
図16(b)に示すように、コイルの移動方向を規定するコイルガイド261に沿って、第1受電コイル301と対向を維持するように移動させてもよい。本構成では、第1インバータ203と第1送電コイル204を接続するためのケーブルを保持するケーブルキャリア260が必要となるが、第1送電コイル204の銅損を小さくすることができる。
【0150】
また、上記第1〜第5実施形態に係る電力供給システムにおいて、1次回路が備える第1送電コイル204は、例えば、
図17(a)に示すように、Y軸方向に1つ設けられてもよいし、
図17(b)〜
図17(d)に示すように、Y軸方向に複数設けられていてもよい。第1送電コイル204をY軸方向に複数設ける場合には、
図17(b)に示すように、第1送電コイル204をそれぞれ第1インバータ203に接続してもよいし、
図17(c)に示すように所定の数(例えば、3)の第1送電コイル204をスイッチにより1つの第1インバータ203に接続するようにしてもよい。または、図示しないが、全ての第1送電コイル204をスイッチにより1つの第1インバータ203に接続するようにしてもよい。また、
図17(d)に示すように、端に位置する第1送電コイル204を第1インバータ203に接続してもよい。この場合、磁界に不感帯(Dead Zone)が生じるが、
図17(d)に示すように、最も−Y側に位置する第1送電コイル204から数えて、偶数番目のコイルを小さくすることで、不感帯を小さくすることができる。
【0151】
上記第1〜第5実施形態に係る電力供給システムを採用することにより、露光装置の大型化に伴う問題に対処することができる。すなわち、近年のガラス基板の大型化によって露光装置も大型化しているため、露光装置をユニットごとに分けて輸送し、設置先にて組み立てることが通常行われている。そのため、設置先においてユニット間を接続するケーブルの配線作業が行われるが、当該作業は煩雑であるため配線を誤ってしまうおそれがある。第1〜第5実施形態によれば、例えば、
図18(b)に示すように、制御装置ラックとフレームとの間、フレームとボディAとの間、ボディAとボディBとの間をケーブルCで接続する配線作業(
図18(a)参照)が不要となる。このため、設置先において各ユニットを規定された場所に設置すれば配線が完了するため誤配線の可能性を低減できる。
【0152】
なお、上記第1〜第5実施形態では基板ステージを例に説明したが、本発明をマスクステージMSTに適用してもよい。
【0153】
なお、上記第1〜第5実施形態では基板ステージを、粗動ステージと、微動ステージとを備える構成として説明したが、これに限定されない。基板ステージは、例えば特表2013−538434号や特開2006−203113号に開示されたステージ構成としてもよい。
【0154】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0155】
また、投影光学系PLが複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、投影光学系PLとしては、拡大系、又は縮小系であっても良い。
【0156】
また、露光装置の用途としては角型のガラス基板に液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル製造用の露光装置、半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも適用できる。
【0157】
また、露光対象となる物体はガラス基板に限られず、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。なお、本実施形態の露光装置は、一辺の長さ、又は対角長が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【0158】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【0159】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。