【実施例】
【0022】
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本発明の一実施例による警報連動型防災システムを機能実現手段で表したブロック図である。
本実施例による警報連動型防災システムは、放送局からの電波を受信する親機1と、親機1との間で通信を行って機器30を動作させる子機20とからなる。
本実施例では、子機20として、機器30である受像機30Aを動作させる受像機動作子機20Aと、機器30である自動扉30Bを動作させる自動扉動作子機20Bと、機器30である非常口誘導灯(非常灯/音源)30Cを動作させる照明動作子機20Cとを示している。なお、非常口誘導灯30Cは音源を備えていなくてもよく、また非常灯に限らず単なる照明であってもよい。また、子機20は、受像機動作子機20A、自動扉動作子機20B、又は照明動作子機20Cに限られるものではなく、受像機30A、自動扉30B、又は非常口誘導灯30C以外の機器30を動作させることができる。
親機1は、気象、地象、津波、高潮、波浪、及び洪水のいずれかの警報によって放送局から送信される警報信号を受信し、子機20は、親機1からの動作信号を受信することで機器30を動作させる。
警報信号は、FM放送による緊急地震速報(Earthquake Early Warning、略称:EEW)による緊急地震速報信号が好ましいが、緊急警報放送(Emergency Warning System、略称:EWS)やその他の信号を用いることもできる。例えば、緊急地震速報信号を用いる場合には、「日本放送協会が制作した報知音」及び「特定非営利活動法人リアルタイム地震・防災情報利用協議会が制作した報知音」であるチャイム音(音源)を警報信号として用いる。
時報信号は、FM放送から送信され、その音源が少なくとも異なる2つの周波数で構成されることが好ましく、例えば、FMラジオで毎日定刻に流している時報を用いることができ、この時報信号は、440Hzと880Hzの周波数で構成されている。
本実施例によれば、FM放送を利用することで時間的遅れが少なく確実に警報信号を受信でき、また正確で判別がしやすい時報信号を利用できる。
【0023】
親機1には、放送局から送信される警報信号を受信する警報受信部2と、警報受信部2で警報信号を受信すると子機20に対して動作信号を送信する親機送信部3と、放送局から送信される時報信号を受信する時報受信部4と、時報受信部4において時報信号が正しく受信できたかを確認する時報確認部5と、時報確認部5において時報信号が確認できない場合に、放送局からの電波状況が悪いことを警告する電波受信状況警告部6とを有する。
警報受信部2及び時報受信部4は、アンテナで受信した電波(本実施例ではFM電波)を増幅する増幅回路、ノイズを除去するフィルタ回路、及び信号の振幅を増幅する変調回路を適宜含み、警報信号又は時報信号を検出する。警報受信部2における警報信号又は時報受信部4における時報信号の検出は、警報信号又は時報信号を構成する特有の周波数や、特有の周波数と特有の周波数との間の待機時間などから行う。警報信号の受信については、実用新案登録第3154579号公報、実用新案登録第3118188号公報、特開2008−160789号公報、実願昭61−32625号(実開昭62−146337号)のマイクロフィルム、実願平1−69016号(実開平3−10647号)のマイクロフィルムなどで開示されている既知の方法を適用できる。
本実施例によれば、親機1における電波の受信状態を時報信号によってチェックし、受信状態が悪い場合には警告することで、親機1を受信状態の良い場所に移動することを促すことができ、警報信号を確実に受信できる状態を維持できる。
【0024】
親機1には、時刻を管理するクロック部7と、クロック部7での時刻によって時報信号が送信される時報送信時刻を監視する時刻監視部8と、時刻監視部8からの指示によって時報送信時刻前に時報信号を受信できる状態に時報受信部4を起動する起動部9と、時刻監視部8からの指示によって時報送信時刻前に時報信号を受信できる周波数に時報受信部4を設定するチューニング部10とを有する。
本実施例によれば、時刻を管理し、時報送信時刻にあわせて起動するため、時報受信時以外の時間帯における消費電力を押さえることができる。また、本実施例によれば、時刻を管理し、時報送信時刻にあわせて時報信号を受信できる状態にチューニングするため、時報受信時以外の時間帯では、放送局から提供されている番組を視聴することができる。
【0025】
親機1には、時報確認部5で確認した時報信号による検出時刻によってクロック部7による時刻を修正するクロック修正部11を有する。
本実施例によれば、時報信号によって時刻を修正することで、クロック部7での時刻を正確に保つことができる。
【0026】
親機1には、子機20からの返信信号を受信する親機受信部12と、子機20との通信状態を判断する通信状態判断部13と、通信状態判断部13で子機20との通信がとれないことを警告する通信不備警告部14とを有している。時刻監視部8では、クロック部7での時刻によって子機20との通信確認時刻を監視する。なお、子機20との通信確認時刻は、時報送信時刻と同じ時刻とすることができる。
本実施例によれば、時刻監視部8からの指示によって親機送信部3から子機20に確認信号を送信し、確認信号を受信した子機20からの返信信号を親機受信部12で受信できない場合に、通信状態判断部13では子機20との通信状態が悪いと判断し、通信不備警告部14では警告を出力することで、親機1と子機20との通信状態を定期的に確認することができ、親機1と子機20との通信不備状態が発生した場合には警告が出力されるため、親機1と子機20との通信状態を良好に保つことを促すことができる。
【0027】
親機1には、入力手段としての親機操作部15と、送信用の赤外線LED及び受光用フォトダイオードを備えた親機認証通信部16と、認証された子機20を認証時刻データとともに記憶する親機記憶部17とを有する。
親機操作部15では、時刻監視部8で監視する時刻やチューニング部10でチューニングする周波数(チャンネル)を設定する。
子機20には、入力手段としての子機操作部21と、送信用の赤外線LED及び受光用フォトダイオードを備えた子機認証通信部22と、親機1で認証された認証時刻データを記憶する子機記憶部23とを有する。
子機20の認証設定は、親機認証通信部16から認証信号を送信し、認証信号を受信した子機認証通信部22から認証信号を返信し、返信された認証信号を親機認証通信部16で受信することで子機20の認証を行い、子機20の認証が行われた時刻を認証時刻データとして親機記憶部17と子機記憶部23に記憶する。
本実施例によれば、親機1と子機20との認証には、警報信号を送信する親機送信部3とは別に、赤外線LED及び受光用フォトダイオードを用い、更には認証時刻データを固有情報として親機記憶部17と子機記憶部23に記憶して認証に用いることで、セキュリティを高めることができる。
【0028】
子機20には、親機送信部3から送信される動作信号又は確認信号を受信する子機受信部24と、確認信号を受信すると親機送信部3に返信信号を送信する子機送信部25とを有する。親機送信部3から送信される動作信号、確認信号、及び子機20から送信される返信信号には認証時刻データを含んでいる。
【0029】
子機20が、受像機30Aを動作させる受像機動作子機20Aの場合には、受像機動作子機20Aは、子機受信部24で動作信号を受信すると、受像機30Aが視聴状態か否かを判断するTV電源ON検出部26Aと、TV電源ON検出部26Aにおいて視聴状態でないことを検出すると、受像機30Aの電源をONとする指示を受像機30Aに送信するTV電源ON指示部27Aと、子機受信部24で動作信号を受信すると、あらかじめ設定したチャンネルが視聴されるようにチャンネル切替指示を受像機30Aに送信する設定チャンネル指示部28Aと、所定時間経過後に受像機30Aの電源をOFFとする指示を受像機30Aに送信する切タイマー指示部29Aと、受像機30Aから出力する音量を指示する音量指示部29Dとを有している。
受像機動作子機20Aは、TV電源ON検出部26Aにおいて視聴状態でないことを検出すると、TV電源ON指示部27A、設定チャンネル指示部28A、切タイマー指示部29A、及び音量指示部29Dから受像機30Aに指示を送信し、TV電源ON検出部26Aにおいて視聴状態であることを検出すると、設定チャンネル指示部28A、及び音量指示部29Dから受像機30Aに指示を送信する。
【0030】
本実施例によれば、放送局から警報信号が発信されると、受像機30Aのチャンネルを切り替えて警報に関する放送を視聴させることができる。
また本実施例によれば、放送局から警報信号が発信されたタイミングで、受像機30Aの電源がON状態かOFF状態かを判断し、受像機30AがOFF状態、すなわち視聴状態でない場合には、ON状態として警報に関する放送を視聴させるとともに所定時間経過後に受像機30AをOFF状態に戻し、受像機30AがON状態、すなわち視聴状態の場合には、受像機30AをOFF動作させないことで、例えば視聴者が居ない場合には、所定時間後には電源OFFの状態に戻せ、視聴者が居る場合には、電源をOFFさせることなく視聴を継続することができる。
なお、受像機30Aが切タイマーを備えている場合には、本実施例で説明した切タイマー指示部29Aであることが好ましいが、受像機動作子機20Aにタイマー部を備えていてもよい。受像機動作子機20Aにタイマー部を備える場合には、タイマー時間は子機操作部21によって設定することができる。
設定チャンネル指示部28Aで指示する設定チャンネルは、子機操作部21によってあらかじめ設定して子機記憶部23に記憶させる。
なお、TV電源ON指示部27A、設定チャンネル指示部28A、切タイマー指示部29A、及び音量指示部29Dから受像機30Aに対して出力する信号は、既知の受像機30Aが備えている遠隔操作器(リモコン)が、受像機30Aを操作するためのリモコン信号(例えば赤外線信号)と同一とすることが好ましい。TV電源ON指示部27A、設定チャンネル指示部28A、切タイマー指示部29A、及び音量指示部29Dから受像機30Aに対して出力する信号に、受像機30Aを操作するためのリモコン信号と同一のリモコンコードを用いることで、受像機30Aの製造メーカや型式にかかわらず、受像機動作子機20Aを用いることができる。それぞれの製造メーカの受像機30Aに対応させて用いるために、受像機動作子機20Aは、それぞれの既知の受像機30Aが備えている遠隔操作器(リモコン)信号を複製し、その信号をあらかじめ記憶する機能を備えている。
【0031】
子機20が、自動扉30Bを動作させる自動扉動作子機20Bの場合には、自動扉動作子機20Bは、子機受信部24で動作信号を受信すると、自動扉動作用センサ31に検知させる駆動部27Bを動作させる駆動動作制御部26Bと、駆動部27Bの動作時間を設定するタイマー部28Bとを有し、子機受信部24で動作信号を受信すると、設定した動作時間だけ駆動部27Bを動作させることで、自動扉動作用センサ31で動作する自動扉30Bを開放する。
本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間自動扉30Bを開放状態として避難経路を確保できるとともに、この所定時間内に停電が発生した場合では、自動扉30Bは開放状態が維持されるため、避難経路を確実に確保できる。
タイマー部28Bにおけるタイマー時間は、子機操作部21によって設定することができる。
【0032】
子機20が、音源を備えた非常口誘導灯(非常灯/音源)30Cを動作させる照明動作子機20Cの場合には、照明動作子機20Cは、子機受信部24で動作信号を受信すると非常口誘導灯30Cを点滅させる点滅動作制御部26Cと、子機受信部24で動作信号を受信すると音声を出力する音声出力制御部27Cと、非常口誘導灯30Cの点滅時間及び音声の出力時間を設定するタイマー部28Cとを有している。
照明動作子機20Cは、子機受信部24で動作信号を受信すると、タイマー部28Cで設定した点滅時間だけ点滅動作制御部26Cによって非常口誘導灯30Cを点滅させる。
本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間非常口誘導灯30Cが点滅することで緊急事態であることを知らせることができ、例えば携帯端末や受像機が使えない環境であっても、緊急事態であることを周知できる。
また、照明動作子機20Cは、子機受信部24で動作信号を受信すると、タイマー部28Cで設定した出力時間だけ音声出力制御部27Cによって音声を出力させる。音声出力制御部27Cから出力する音声は、子機操作部21によって、音声内容(例えば避難経路や避難方法の案内)や言語(例えば日本語、英語、又は中国語)をユーザがあらかじめ自由に記憶させ、又はあらかじめ記憶させている音声内容や言語をユーザが選択できることが好ましい。
【0033】
本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間音声を出力することで緊急事態であることを知らせることができ、例えば視覚障害者に対しても、緊急事態であることを周知できる。
タイマー部28Cにおけるタイマー時間は、子機操作部21によって設定することができる。
非常口誘導灯30Cは、天井に設置される常用照明の他、スポットライトやフットライトのような照明にも適用できるが、非常口誘導灯であることが好ましく、非常口誘導灯に音源を設けることが好ましい。音源を設けて音声によって避難経路を誘導することで、既に所定の条件で設置されている非常口誘導灯を用いて緊急事態を知らせるとともに、避難経路を誘導することで、安全な環境への誘導を迅速に行うことができる。なお、本実施例では、点滅動作制御部26Cとして説明したが、点滅には点灯を含む。
【0034】
図2は、本実施例による警報連動型防災システムでの動作モードを示すフローチャートである。
本実施例による警報連動型防災システムは、子機認証設定モード(ステップ1)、親機・子機間通信確認モード(ステップ2)、電波受信状態確認モード(ステップ3)、及び警報監視モード(ステップ4)を備えている。
【0035】
ステップ1における子機認証設定モードは、親機1と子機20とが確実に連動し、また対応する親機1からの動作信号のみで動作を開始するように、あらかじめ親機1と子機20間でペアリングをするモードである。
一般に、ペアリングの方式としては、通常のWi−Fi通信に代表されるようなセキュリティシステムが存在するが、それらも悪意を持った利用者に対しては万全ではなく、しばしばセキュリティシステムを突破して通信がなされる場合がある。このような問題を抱えながら防災システムに導入することは予期しないパニックを引き起こす原因ともなりえる。従って、ペアリング後の無線通信ではWi−Fiなどで一般的に利用されているセキュリティシステムをベースにするが、ペアリングの際には無線通信を用いず、使用者の目に見える範囲で物理的な接触を伴うことによる認証を行うことが好ましい。
従って、親機認証通信部16及び子機認証通信部22は、送信用の赤外線LED及び受光用フォトダイオードを備えており、ステップ1における子機認証設定モードでは、親機認証通信部16と子機認証通信部22との間で認証を行う。
赤外線LED及び受光用フォトダイオードからなる赤外線通信を利用し、無線信号から完全に独立した ペアリング方式とすることで認証時の安全性が飛躍的に改善される。
この赤外線通信による子機認証設定モードでは、赤外線通信距離を極めて短くするように駆動回路を設計し、例えば親機1と子機20間の距離を10cm以下とする。
従って、利用者は、親機1と子機20とが見える範囲で、親機1と子機20とを物理的に接触させた状態で子機認証設定モードを行わせることで、予期しない認証や悪意を持った遠隔操作での認証を防止できる。
また、ステップ1における子機認証設定モードでは、認証が成功した日時情報を固有情報として子機記憶部23に記憶すると同時に、認証した子機20を親機記憶部17に記憶する。
子機20は、認証時の日時情報を、YY年MM月DD日hh時mm分という形式で記憶し、親機1は認証時の日時(YY年MM月DD日hh時mm分)と共に認証した子機20を子機リストに追加する。
【0036】
ステップ2における親機・子機間通信確認モードは、定期的に親機1と子機20との間で通信を行い、親機1と子機20との通信状況をチェックする機能である。親機1が、特定の子機20と通信ができないなど、不具合が発生した場合には、その特定の子機20に対して点検を促す必要がある。そのため親機1が登録している子機20には、全て個別の固有情報を持たせて識別する。
従って、ステップ2における親機・子機間通信確認モードでは、認証した認証時刻データを子機20から送信し、親機1の持つ子機リストの認証時刻データと照合して子機20の動作状況を定期的に監視する。
【0037】
ステップ3における電波受信状態確認モードは、親機1内の回路に正しいFMラジオ信号を受信しているか定期的に確認し、問題がある場合には直ちに点検を促す機能である。
電波の弱い場所やノイズが激しい場所等においては初期設置状態で電波を確認したにもかかわらず、その状態が継続している保障はない。また市販されているFMトランスミッタ等を利用することにより不正電波を発し、本システムの誤動作を狙ったトラブルも発生する恐れがある。
ステップ3におけるFM受信状態確認モードでは、FMラジオ中にて定時に放送される時報信号をモニタリングすることにより、ラジオ信号の確実な受信を確認し、それが正しいラジオ信号であることを監視する。
【0038】
ステップ4における警報監視モードは、親機1において常に警報信号を監視し、警報信号を受信した場合には、子機20に対して動作信号を出力し、この動作信号を受信した子機20において機器30を動作させる。
ステップ4における警報監視モードでは、FMラジオ信号を常時受信し、警報信号として緊急地震速報信号をモニタリングする。
【0039】
図3は、子機認証設定モードにおける赤外線パルス信号を説明する図である。
図3では、親機1と子機20との認証におけるRPP(Random Pulse Pairing)を赤外線パルスとして送信するフォーマットを示しており、ビット長が4ビット、ビット列1011の場合である。
RPPは内蔵する制御部(マイクロコンピュータ/マイクロコントローラ)により複数ビットのランダムパルスを発生させる。これはシステムの規模により自由に設定可能であり、例えば32bitのランダムビットを発生させた場合には、4,294,967,295(40億通り以上)の組み合わせを作り出すことができる。発生したランダムbitをそれぞれ「1」、「0」の信号として扱う。ここで例えば「1」として発生したbitに対しては赤外線パルスをONとし、「0」として発生したbitに対しては赤外線パルスを発生させない制御を行う。
制御された赤外線パルスは、
図3に示すように、規定した時間tにおいて、それぞれ赤外線パルスが「あり(1)」、「なし(0)」という光信号として赤外線LEDからパルス出力され、これを復元することで直接bit信号として取り扱うことができる。
親機1から出力された赤外線光パルスは、子機20に内蔵されるフォトダイオードPDを使って受光することで認証を開始する。
【0040】
図4は、一般のデジタル通信処理方法とPWMNumによる通信処理方法とを示す通信概念図である。
子機20は、認証設定時に、認証成功の日時をYY年MM月DD日hh時mm分というコードを固有情報として記憶している。親機1は、これと同じ固有情報を記憶して、通信時毎に固有情報を照合することで、不具合のある子機(連絡がとれない子機)20を特定して表示できる。このように子機20に対して特定の固有情報を与え、そのコードの書き込みや読み出しを制御する方法をPWMNum(Pulse Width Modulation Numbering)として説明する。
本通信処理は、一定の周波数を有するノコギリ波と設定値を比較し、一致するまでは「1」、一致後は「0」とするPWM(Pulse Width Modulation)の応用である。PWMは電子制御では一般的によく用いられている制御方式であり、モータ制御や照明輝度制御等に用いられている。
【0041】
ここで、例えば認証時の日時が2014年8月8日13時45分だった場合には、子機記憶部23には「1408081345」のような10進数10桁の数値が保存される。これを
図4(a)に示すような通常の2値(1,0)ビットで送信を行うと、その桁数から34bit程度のパルス列が必要となる。
現在では一般的な電気製品などの制御系にも利用されているマイクロコンピュータを使用してパルス計測を行う場合には、その分解能から各ビットにつき1ms程度のパルス幅が必要と考えられる。従って「1408081345」を送信するためにはタイムインターバルも含めて100ms程度の時間を要すると考えられる。UART端子を用いた通信制御では、転送速度を(単位 bps(bit per second)速く設定することが考えられるが、マイクロコンピュータでは、UARTのbps設定は、動作クロックの周波数のM/N倍(M,Nは共に正の整数)で決定するため、高速に設定するほど理論値と設定値の誤差が大きくなる。一般的にこの誤差は1%未満に抑えるのが望ましいが、安価なマイクロコンピュータでは、この精度を高速通信で満足することは難しい。bpsを、より正確に設定するには、マイクロコンピュータに接続する水晶発振子の周波数をbpsの整数倍にする必要があるが、XMHz(Xは正の整数)ではない周波数の水晶発振子の選択肢は限られる。このように、子機20の動作でUART端子への計算負荷が集中し、肝心の緊急地震速報信号を送信できないという事態は避ける必要がある。
【0042】
他の問題として34bitの数値演算は、本システムでも採用する32bitマイクロコンピュータでのレジスタのbit数を上回ってしまうため、ビット演算を繰り返す煩雑な制御プログラムと演算が必要となる。これらの処理を安価で処理能力の小さいマイクロコンピュータで制御しようとするとプログラムや制御系の複雑化などの影響でマイクロコンピュータに大きな負荷がかかり、消費電力の増大に加え、適切な処理を連続的に行うことが難しいといったことが懸念される。本システムでは日常的に子機20の動作状況を確認する機能や、後に述べる時報による正しい電波の受信を監視する機能などを搭載する。そのため、一つの汎用マイクロコンピュータで複数の入出力処理を行う必要がある。実際の緊急地震速報はいつ発生するかわからず、これが子機20の動作確認中や後の時報による電波確認中に発生しても最優先でこの処理を行わなければならない。このような事態も想定しUART端子はRPPと緊急地震速報専用とし、子機20の動作確認などの処理は、他の限られた入出力端子を有効活用する必要がある。
【0043】
そこで、
図4(b)に示すように、パルス幅そのものを数値情報と考えて処理する。
この処理方法(PWMNum)では、「1」と「0」からなる、それぞれのパルス幅がそのまま10進数の数値に対応させている。
すなわち、ここでは0〜9の数値に対応する計10通りのパルス幅が存在し、さらにそれらを連続的に10パルス出力することで1桁を1パルスとして「1408081345」を送信する。
子機20が親機1に対して応答する際には、子機20内の子機記憶部23に記憶されている認証時の日時を、各数字に対応した時間幅のパルス列として順次出力する。例えば認証時の日時が2014年8月8日13時45分だとすると、子機20は子機記憶部23に「1408081345」を記憶している。子機20が親機1からの呼びかけに応答する際には、
図4(b)に示すように「1」「4」「0」「8」「0」「8」「1」「3」「4」「5」のような、それぞれの数値に対応する幅のパルスを順次出力する。親機1は子機20からの応答に含まれるパルス列を数値に変換して、保持する子機リストと照合する。
【0044】
このように、認証時刻データを、複数桁の数値で構成し、一つの桁を一つの任意幅のパルスで表し、数値によってパルス幅を異ならせる処理方法(PWMNum)とすることで、安価な汎用マイクロコンピュータにも標準搭載されているPWM制御方式をそのまま入出力端子として利用できるため、シンプルな制御系で安定した通信精度を実現することができる。
またIC、特に現在主流のCMOSプロセスを用いたICでは、出力のON/OFF時に出力を構成するゲートのCMOSがON/OFFすることで電流が流れ、このパルスが一定値に達することで動作するが、パルスが立ち上がるまでの時間は消費電力のロスとなる。例えば、認証時の日時(2014年8月8日13時45分)の例では、34bitの通信では、出力を最大34回ON/OFFする必要がある。これに対してPWMNumによる処理方法では1msのパルス幅を分解能とすることでパルス幅0ms(0)〜9ms(9)をそのまま10進数の数値とするため、出力のON/OFFは10桁であれば10回で済むことになる。
一般的に10MHz以上の動作周波数が設定されるマイクロコンピュータにとって、1msは十分に余裕を持った処理が可能な時間である。よって、bpsの理論値と設定値の誤差が低い低速な転送速度でも取りこぼしなく通信が可能であると同時に、34bit通信(34回(ON/OFF)と比較して、PWMNumによる処理方法(10回 ON/OFF)は、パルス立ち上がり時に生じる電力のロスも大幅に削減できる。特に複数の子機20が存在し、所定の日時に親機1と子機20との間で通信が行われることや、災害時に発生する貴重な電力状況を考えると低電力で駆動する処理方法は有効である。
なお、処理能力の高い通常の無線LANを用いれば、PWMNumによる処理方法でなくても高速転送が可能である。しかし、稼働時間より待機時間の方が圧倒的に長い本システムにおいては、送受信時のみならず待機時も消費電力が多い無線LANを用いるのは省電力の面から好ましくない。
本システムでは、特に災害時の切迫した電力事情の際でも、太陽光や屋内照明など、自然環境に存在する微小なエネルギーを回収し電気エネルギーとして利用するエナジーハーベスティングの導入を容易にできる。
【0045】
図5は、子機認証設定モードを示すフローチャートである。
ステップ1における子機認証設定モードは、親機1と子機20とを、それぞれ光出力用赤外線LEDと受光用フォトダイオードが対面するように物理的に接続する。この時のお互いの距離は10cm以下とする。
【0046】
ステップ11において、親機1と子機20とが所定距離内であると判断されると、親機1及び子機20は、接続されると同時にスイッチが入り光通信準備状態にする(ステップ12)。
ステップ12において、少なくとも、親機1における親機認証通信部16及び子機20における子機認証通信部22がONとなると、親機認証通信部16から認証信号が送信される(ステップ13)。
ステップ13では、親機1に内蔵している制御部(マイクロコンピュータ)により、例えばC言語で定義されたランダム関数により生成されたランダムビットを赤外線光パルスとして親機認証通信部16から出力し、子機20に光情報として送信する。
ステップ13で出力された赤外線光パルスを子機認証通信部22で受信すると(ステップ14)、子機20は、受け取った赤外線光パルスを子機認証通信部22から親機1に送り返す(ステップ15)。
ステップ15で送信された赤外線光パルスを親機1で受信すると(ステップ16)、親機1では、送信した赤外線パルスと、子機20から戻された赤外線光パルスとを比較する(ステップ17)。
ステップ17において、比較した赤外線光パルスが同じであれば認証が成功したとして、親機1では、認証に成功した子機20を、認証時刻とともに親機記憶部17に記憶する(ステップ18)。
ステップ18において新たに設定した子機20に対して、設定した認証時刻を送信し(ステップ19)、子機20ではこの認証時刻を子機記憶部23に記憶し(ステップ20)、認証を終了する(ステップ21)。
【0047】
ステップ14において子機20で受信されず、ステップ16において親機1で受信されず、又はステップ17において認証が失敗した場合には、親機1からの送信に基づいて未受信回数をカウントし(ステップ22)、あらかじめ設定した回数まで同じ処理を繰り返して認証を試み、未受信回数があらかじめ設定した回数に至った場合には(ステップ23においてYes)、認証失敗として処理する(ステップ24)。
このように、認証に成功すると子機20に認証成功時の日時(年月日と時分)を記録し、親機1は自らの子機リストに認証時の日時と共に追加する。以降は認証済みの親機1と子機20との間においてのみ通信又は制御を行う。
認証済みの親機1と子機20とは、以降の通信には必ずこの固有情報を含んだ無線通信を行う。従って直接接触により親子関係を結んでいない親機1と子機20との通信は固有情報が一致せず通信不可能となる。
【0048】
図6は、親機・子機間通信確認モードを示すフローチャートである。
ステップ2における親機・子機間通信確認モードでは、時刻監視部8によって常に時刻を監視し(ステップ31)、あらかじめ設定したアラーム条件を満たすか否かを判断する(ステップ32)。ここで、アラーム条件は、親機操作部15によってあらかじめ任意に設定でき、例えば毎日午前0時とか、親機1と子機20間通信確認を行う時刻である。FM受信状態確認モードにおける時報時刻と同一時刻に設定してもよい。
ステップ32において、あらかじめ設定したアラーム時刻になったと判断すると、親機1から確認信号を全ての子機20に対して送信する(ステップ33)。確認信号には、それぞれの子機20を個別に判別するためにRPPを含んでいる。
ステップ34において、親機1からの確認信号を子機20が受信すると、子機20から親機1に対して返信信号を送信する(ステップ35)。返信信号には、それぞれの子機20を個別に判別するためにRPPと固有情報とを含んでいる。
ステップ36において、子機20からの返信信号を親機1が受信すると、親機1では返信信号に含まれている固有情報が子機リストに一致するか否かを判断する(ステップ37)。
ステップ37において、固有情報が子機リストと一致すれば、親機1と子機20間の通信確認を終了する(ステップ38)。
【0049】
ステップ34において子機20で受信されず、ステップ36において親機1で受信されず、又はステップ37において固有情報が一致しない場合には、親機1からの送信に基づいて未受信回数をカウントし(ステップ39)、あらかじめ設定した回数まで同じ処理を繰り返し、未受信回数があらかじめ設定した回数に至った場合には(ステップ40においてYes)、通信不備として通信不備警告部14において警告を行う(ステップ41)。通信不備警告部14において行う警告では、問題のある子機20の固体番号を表示し点検を促すアラームを点灯する。
【0050】
図7は、電波受信状態確認モードを示すフローチャートである。
ステップ3における電波受信状態確認モードでは、時刻監視部8によって常に時刻を監視し(ステップ51)、あらかじめ設定したアラーム条件、すなわち時報時刻に近づいたか否かを判断する(ステップ52)。
ステップ52において、あらかじめ設定した時報時刻から所定時間前、例えば時報時刻の5秒前になったと判断すると、起動部9によって時報受信部4を起動する(ステップ53)。なお、例えばラジオ視聴が可能な親機1である場合には、ステップ53に先だって、親機1のON/OFF状態、すなわち起動状態を検出し、親機1がOFF状態である場合に、ステップ53による起動を行ってもよい。また、時報受信部4を常時起動状態としている場合には、ステップ53による起動は必要ない。
ステップ52において、あらかじめ設定した時報時刻から所定時間前、例えば時報時刻の5秒前になったと判断すると、チューニング部10によって時報受信部4をあらかじめ設定した周波数にチューニングする(ステップ54)。本実施例では、ステップ54におけるチューニングは、ステップ53における時報受信部4の起動の後に行っている。
ステップ53における時報受信部4の起動の後、ステップ54におけるチューニングの後に、時報検出モードに移行する(ステップ55)。ステップ55における時報検出モードでは、親機1が例えばラジオ視聴が可能なラジオである場合には、時報受信部4におけるOFF操作や、周波数設定変更が制限される。
ステップ55の時報検出モードにおいて、時報の検出が行われる(ステップ56)。
ステップ56において時報検出が行われると、検出時刻と、クロック部7における時刻とが一致するか否かが判断される(ステップ57)。
ステップ57において、検出時刻とクロック部7における時刻が一致していれば、ステップ54におけるチューニング前の視聴周波数にチューニングされ(ステップ58)、時報検出を終了する(ステップ59)。
【0051】
ステップ56において、正確な時報を検出できなった場合には、電波受信状況警告部6によって電波受信状況が悪いことを警告する(ステップ60)。
ステップ57において、検出時刻とクロック部7における時刻が一致していなければ、クロック修正部11によって、クロック部7の時刻を修正する(ステップ61)。なお、本実施例では、ステップ57において、クロック部7の時刻の一致を判断しているが、クロック部7の時刻の一致を判断することなく、常にクロック部7の時刻を、検出時刻に変更してもよい。
【0052】
図8は、警報監視モードを示すフローチャートである。
ステップ4における警報監視モードでは、警報受信部2によって常に警報信号を監視し(ステップ71)、ステップ72において、警報信号を受信した場合には親機送信部3から動作信号を出力する(ステップ73)。
【0053】
ステップ74からステップ80は、受像機動作子機20Aにおける処理流れを示すフローチャートである。本実施例では、受像機動作子機20Aは、少なくとも子機受信部24及び子機認証通信部22は常時動作状態にあるが、その他の機能は停止状態としている。
ステップ74において、受像機動作子機20Aにおける子機受信部24が、ステップ73における動作信号を受信すると、受像機動作子機20Aを起動する(ステップ75)。
ステップ75における起動後、TV電源ON検出部26Aによって受像機30AのON/OFFを検出する(ステップ76)。
ステップ76において、受像機30AがON状態であることを検出すると、ステップ77においてあらかじめ設定した設定チャンネルを指示するとともに、ステップ78においてあらかじめ設定した音量を指示する。
ステップ78における音量の指示が行われると、消音になるまで音量を低下させる信号を送信した後に、音量を上げるための所定の信号を送信することで、音量の指示前における音量レベルに関わらず、あらかじめ設定した音量レベルで音声出力を行わせることができる。
ステップ76において、受像機30AがOFF状態であることを検出すると、受像機30Aの電源をONとし(ステップ79)、あらかじめ設定した設定チャンネルと切タイマーONを指示する(ステップ80)。
【0054】
ステップ82からステップ86は、自動扉動作子機20Bにおける処理流れを示すフローチャートである。本実施例では、自動扉動作子機20Bは、少なくとも子機受信部24及び子機認証通信部22は常時動作状態にあるが、その他の機能は停止状態としている。
ステップ82において、自動扉動作子機20Bにおける子機受信部24が、ステップ73における動作信号を受信すると、自動扉動作子機20Bを起動する(ステップ83)。
ステップ83における起動後、センサ反応動作を開始する(ステップ84)。
ステップ84におけるセンサ反応動作の開始は、駆動動作制御部26Bによって駆動部27Bを動作させる。
ステップ84におけるセンサ反応動作の開始から設定時間が経過すると(ステップ85においてYes)、駆動動作制御部26Bによって駆動部27Bを停止させる(ステップ86)。設定時間の経過は、タイマー部28Bによって計測される。
【0055】
ステップ87からステップ93は、照明動作子機20Cにおける処理流れを示すフローチャートである。本実施例では、照明動作子機20Cは、少なくとも子機受信部24及び子機認証通信部22は常時動作状態にあるが、その他の機能は停止状態としている。
ステップ87において、照明動作子機20Cにおける子機受信部24が、ステップ73における動作信号を受信すると、照明動作子機20Cを起動する(ステップ88)。
ステップ88における起動後、点滅動作制御部26Cによって点滅指示を出力することで非常口誘導灯30Cは点滅動作を開始する(ステップ89)。
また、ステップ88における起動後、音声出力制御部27Cによって音声出力指示を出力することで非常口誘導灯30Cは音声誘導を開始する(ステップ90)。
ステップ89における点滅指示の出力、及びステップ90における音声出力指示の出力から設定時間が経過すると(ステップ91においてYes)、点滅動作制御部26Cによって非常口誘導灯30Cでの点滅動作を停止させ(ステップ92)、音声出力制御部27Cによって非常口誘導灯30Cでの音声誘導を停止させる(ステップ93)。設定時間の経過は、タイマー部28Cによって計測される。
【0056】
図9は、自動扉を動作させる自動扉動作子機の設置例を示す写真である。
図9(a)は、屋内側には手動扉が、屋外側には自動扉30Bが配置された建物を示している。自動扉30Bは、一般には開閉ドア、開閉ドアを動作させる駆動装置、及び通行者を検知して駆動装置を駆動させるセンサから構成される。本実施例では、自動扉30Bは2枚のスライディング扉で構成され、スライディング扉の上方には、駆動装置を収納する無目32が配置され、この無目32の表面に自動扉動作用センサ31が配置されている。
図9(b)は、
図9(a)の要部拡大写真であり、自動扉動作用センサ31及び自動扉動作子機20Bを示している。
自動扉動作用センサ31は、下方に開口31aを有するセンサケース31b内に反射式センサ31cを配置している。反射式センサ31cには、人感センサとして赤外線や超音波が用いられている。
駆動部27Bは、モータ27Baとモータ軸に取り付けた羽根27Bbとで構成している。モータ27Baは、駆動動作制御部26Bによって間欠駆動され、この間欠駆動によって羽根27Bbは、所定角度回転と所定時間停止とを繰り返す。
自動扉動作用センサ31は、駆動動作制御部26Bによって間欠駆動される羽根27Bbの動作を検知し自動扉30Bを開放状態に維持する。
自動扉動作子機20Bは、電池駆動とすることで既設の自動扉30Bへの取付が容易となる。
なお、自動扉30Bが、開閉ドアにワイヤレス式タッチプレートスイッチが取りつけられ、このタッチプレートスイッチを押すことで開閉ドアが開く場合には、タッチプレートスイッチ内に組み込まれている発信部から開閉ドアの開閉操作を指令するレシーバーに対し、315MHz帯や2.4GHz帯等の無線周波数の電波信号を発信することで開く操作を行っていることから、本実施例の自動扉動作子機20Bをこのタッチプレートスイッチに組み込むことで、ステップ82からステップ86の動作を行わせることができる。
【0057】
以下本発明の他の実施例について図面とともに説明する。
図10は本発明の他の実施例による警報連動型防災システムを機能実現手段で表したブロック図である。なお、詳細は省略しているが、親機1及び子機20は、
図1に示す機能実現手段を全て備えている。
図10では、更に追加される機能実現手段を示している。
親機1は、気象、地象、津波、高潮、波浪、及び洪水のいずれかの警報によって放送局から送信される警報信号、火災報知器からの警報信号、及びガス濃度センサからの警報信号の少なくとも2つ以上の警報信号を、少なくとも第1警報信号及び第2警報信号として受信し、子機20は、親機1からの動作信号を受信することで機器30を動作させる。
【0058】
本実施例では、警報受信部2には、第1警報受信部Ch1、第2警報受信部Ch2、第3警報受信部Ch3、及び第4警報受信部Ch4を有している。
例えば、第1警報受信部Ch1は、放送局から送信される警報信号を受信し、第2警報受信部Ch2は、火災警報器から送信される警報信号を受信し、第3警報受信部Ch3は、酸素濃度センサから送信される警報信号(電気信号)を受信し、第4警報受信部Ch4は、一酸化炭素濃度センサから送信される警報信号(電気信号)を受信する。
親機送信部3は、警報受信部2で警報信号を受信すると子機20に対して警報区分信号及び動作信号を送信する。
ここで、警報区分信号は、第1警報受信部Ch1での警報信号、第2警報受信部Ch2での警報信号、第3警報受信部Ch3での警報信号、及び第4警報受信部Ch4での警報信号を区別するものである。
本実施例では、このように複数の警報信号を受信し、それぞれの警報信号に対応させた警報を子機20に対して行わせることができる。
例えば、第1警報受信部Ch1での警報信号を受信した場合には、受像機動作子機20A、自動扉動作子機20B、及び照明動作子機20C全てを動作させ、第2警報受信部Ch2での警報信号を受信した場合には、自動扉動作子機20Bと照明動作子機20Cとを動作させることができる。
すなわち、受像機動作子機20A、自動扉動作子機20B、又は照明動作子機20Cは、警報区分信号に応じて動作の有無を決定する。なお、このように子機20において動作を決定する代わりに、親機送信部3が、警報区分信号に応じて動作信号を送信する子機20を決定してもよい。
【0059】
子機受信部24では、警報区分信号及び動作信号を受信する。
子機20は、警報区分信号に応じた動作を行わせることができる。
子機20が、照明動作子機20Cの場合には、タイマー部28Cでは、照明の点滅時間を警報区分信号に応じて設定し、設定した点滅時間だけ点滅動作制御部26Cによって照明を点滅させる。また、音声出力制御部27Cでは、警報区分信号に応じた音声を出力する。
このように、それぞれの警報信号に対応させた警報を、点滅時間を異ならせて知らせることができる。また、それぞれの警報信号に対応させた警報を、異なる音声で知らせることができる。
また、子機20には、火災報知器からの警報信号、及びガス濃度センサからの警報信号の少なくともいずれかの警報信号を受信する子機側警報受信部20Xを有している。
子機側警報受信部20Xで警報信号を受信すると、親機1から警報信号を受信した場合と同様に、受像機動作子機20A、自動扉動作子機20B、又は照明動作子機20Cを動作させる。
例えば、照明動作子機20Cでは、点滅動作制御部26Cによって照明を点滅させる。このように、親機1を介することなく、子機20を動作させることもできる。
【0060】
なお、子機20は、受像機動作子機20A、自動扉動作子機20B、又は照明動作子機20Cに限られるものではなく、トンネル工事や下水道工事、さらには大学などではクリーンルームなどのような密閉空間での作業員が携帯できる、ヘルメット、作業服、又は携帯機器であってもよく、フラッシュ、振動、又は音声として出力することが好ましい。
【0061】
以上のように、本発明の実施例によれば、親機1における電波の受信状態を時報信号によってチェックし、受信状態が悪い場合には警告することで、親機1を受信状態の良い場所に移動することを促すことができ、警報信号を確実に受信できる状態を維持できる。
また、本実施例によれば、時刻を管理し、時報送信時刻にあわせて時報信号を受信できる状態にチューニングするため、時報受信時以外の時間帯では、放送局から提供されている番組を視聴することができる。
また、本実施例によれば、時刻を管理し、時報送信時刻にあわせて起動するため、時報受信時以外の時間帯における消費電力を押さえることができる。
また、本実施例によれば、時報信号によって時刻を修正することで、クロック部7での時刻を正確に保つことができる。
また、本実施例によれば、親機1と子機20との通信状態を定期的に確認することができ、親機1と子機20との通信不備状態が発生した場合には警告が出力されるため、親機1と子機20との通信状態を良好に保つことを促すことができる。
【0062】
また、本実施例によれば、複数の警報信号を受信し、それぞれの警報信号に対応させた警報を子機に対して行わせることができる。
また、本実施例によれば、放送局から警報信号が発信されると、受像機30Aのチャンネルを切り替えて警報に関する放送を視聴させることができる。
また、本実施例によれば、放送局から警報信号が発信されたタイミングで、受像機30Aの電源がON状態かOFF状態かを判断し、受像機30AがOFF状態、すなわち視聴状態でない場合には、ON状態として警報に関する放送を視聴させるとともに所定時間経過後に受像機30AをOFF状態に戻し、受像機30AがON状態、すなわち視聴状態の場合には、受像機30AをOFF動作させないことで、例えば視聴者が居ない場合には、所定時間後には電源OFFの状態に戻せ、視聴者が居る場合には、電源をOFFさせることなく視聴を継続することができる。
また、本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間自動扉30Bを開放状態として避難経路を確保できるとともに、この所定時間内に停電が発生した場合では、開放状態が維持されるため、避難経路を確実に確保できる。
また、本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間非常口誘導灯30Cが点滅することで緊急事態であることを知らせることができ、例えば携帯端末や受像機が使えない環境であっても、緊急事態であることを周知できる。
また、本実施例によれば、警報が発信されると、所定時間音声を出力することで緊急事態であることを知らせることができ、例えば視覚障害者に対しても、緊急事態であることを周知できる。
【0063】
また、本実施例によれば、既に所定の条件で設置されている非常口誘導灯30Cを用いて緊急事態を知らせるとともに、避難経路を誘導することで、安全な環境への誘導を迅速に行うことができる。
また、本実施例によれば、FM放送を利用することで時間的遅れが少なく確実に警報信号を受信でき、また正確で判別がしやすい時報信号を利用できる。
また、本実施例によれば、親機1と子機20との認証には、警報信号を送信する親機送信部3とは別に、赤外線LED及び受光用フォトダイオードを用い、更には認証時刻データを固有情報として記憶して認証に用いることで、セキュリティを高めることができる。
また、本実施例によれば、認証時刻データを、複数桁の数値で構成し、一つの桁を一つの任意幅のパルスで表し、数値によってパルス幅を異ならせることで、安価な汎用マイクロコンピュータにも標準搭載されているPWM制御方式をそのまま入出力端子として利用できるため、シンプルな制御系で安定した通信精度を実現することができる。
また、本実施例によれば、それぞれの警報信号に対応させた警報を、点滅時間を異ならせて知らせることができる。
また、本実施例によれば、それぞれの警報信号に対応させた警報を、異なる音声で知らせることができる。
また、本実施例によれば、親機を介することなく、子機を動作させることができる。