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特開2022-122698表面形状測定装置、表面形状測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122698
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】表面形状測定装置、表面形状測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220816BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20220816BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01N21/88 Z
G01B11/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020104
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】槙 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】渕脇 正樹
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA24
2F065AA49
2F065AA53
2F065CC01
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM03
2F065MM07
2F065PP02
2F065PP12
2F065QQ31
2F065TT03
2G051AB01
2G051AB07
2G051CA04
2G051CD03
2G051DA06
2G051EA16
2G051EA17
2G051FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非接触で被測定物の表面形状を測定可能な表面形状測定装置を提供する。
【解決手段】被測定物の表面を撮像する撮像手段12と、被測定物11および撮像手段の少なくとも一方を搬送する搬送手段13と、撮像手段で撮像した画像を処理する画像処理手段14と、を有しており、撮像手段は、搬送手段により、撮像手段と、被測定物との位置関係を変化させながら、被測定物の表面の画像を複数枚撮像し、画像処理手段は、撮像手段が撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、拡大画像を用いて被測定物の表面形状を算出する表面形状測定装置10を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の表面を撮像する撮像手段と、
前記被測定物および前記撮像手段の少なくとも一方を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を処理する画像処理手段と、を有しており、
前記撮像手段は、前記搬送手段により、前記撮像手段と、前記被測定物との位置関係を変化させながら、前記被測定物の表面の画像を複数枚撮像し、
前記画像処理手段は、前記撮像手段が撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、前記拡大画像を用いて前記被測定物の表面形状を算出する表面形状測定装置。
【請求項2】
前記被測定物が基板である請求項1に記載の表面形状測定装置。
【請求項3】
被測定物の表面を撮像手段により撮像する撮像工程と、
前記被測定物および前記撮像手段から選択された1以上を搬送する搬送工程、および前記撮像工程を繰り返し実施する繰り返し工程と、
前記撮像工程で得られた画像を処理する画像処理工程と、を有しており、
前記画像処理工程では、前記撮像工程で撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、前記拡大画像を複数枚用いて、前記被測定物の表面形状を算出する表面形状測定方法。
【請求項4】
前記被測定物が基板である請求項3に記載の表面形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状測定装置、表面形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種工業製品の表面状態を検査するため、表面形状を測定することが求められる場合があり、表面形状を測定する表面形状測定装置について、従来から検討がなされてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、触針子を被検物に接触させ、相対的に水平走査させて前記被検物の表面形状を測定する表面形状測定装置であって、所定時間内の前記触針子の変位量の変動に相当する周波数を求める演算部と、前記周波数の相対的時間変化量に基づいて、前記触針子と前記被検物の接触状態を判定する判定部と、を備えることを特徴とする表面形状測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-164558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定時に、被測定物の表面にキズ等が生じることを防止するため、非接触で被測定物の表面形状を測定できる表面形状測定装置が求められていた。
【0006】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、非接触で被測定物の表面形状を測定可能な表面形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
被測定物の表面を撮像する撮像手段と、
前記被測定物および前記撮像手段の少なくとも一方を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段で撮像した画像を処理する画像処理手段と、を有しており、
前記撮像手段は、前記搬送手段により、前記撮像手段と、前記被測定物との位置関係を変化させながら、前記被測定物の表面の画像を複数枚撮像し、
前記画像処理手段は、前記撮像手段が撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、前記拡大画像を用いて前記被測定物の表面形状を算出する表面形状測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、非接触で被測定物の表面形状を測定可能な基板の検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の表面形状測定装置の構成説明図。
図2】被測定物を撮像した場合の画像の例と、該画像から水平掃引信号の取得方法の説明図。
図3】水平掃引信号の強度変化の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いながら説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[表面形状測定装置]
図1に示すように、本実施形態の表面形状測定装置10は、被測定物11の表面11Aを撮像する撮像手段12と、被測定物11および撮像手段12の少なくとも一方を搬送する搬送手段13と、画像処理手段14とを有することができる。
【0011】
撮像手段12は、搬送手段13により、撮像手段12と、被測定物11との位置関係を変化させながら、被測定物11の表面の画像を複数枚撮像できる。
【0012】
画像処理手段14は、撮像手段12で撮像した画像を処理することができる。画像処理手段14は、具体的には撮像手段12が撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、該拡大画像を用いて被測定物11の表面形状を算出できる。
(1)被測定物について
本実施形態の表面形状測定装置10により、表面形状を測定する被測定物11は、特に限定されず、その表面形状の測定が求められる各種被測定物を適用できる。
【0013】
例えば、基板については、表面の凹凸や、異物の付着を避けることが特に求められる。また、基板は、表面の凹凸や、異物等のサイズが小さいところ、本実施形態の表面測定装置によれば、係る微細な表面の凹凸等も測定できる。このため、被測定物としては例えば基板を好適に用いることができる。
(2)表面形状測定装置が有する各部材について
以下、本実施形態の表面形状測定装置が有する各部材について説明する。
(撮像手段)
撮像手段12は、被測定物11の表面を撮像できる手段であればよく、その構成は特に限定されない。撮像手段12としては、各種撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像素子としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの半導体撮像素子や光電管、撮像管等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0014】
撮像手段12が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段14により、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出できる。
【0015】
撮像手段12は、搬送手段13により、撮像手段12と、被測定物11との位置関係を変化させながら、被測定物11の表面11Aの画像を複数枚撮像できる。すなわち、撮像手段12は、撮像手段12と、被測定物11との位置関係が異なる、被測定物11の表面11Aの画像を複数枚撮像できる。
【0016】
具体的には例えば図1に示すように、初期位置Aに撮像手段12が位置する状態で被測定物11の表面11Aを撮像した後、搬送手段13により搬送後位置Bまで撮像手段12を搬送し、該位置で被測定物11の表面11Aを撮像できる。ここでは2つの位置で被測定物11の表面11Aの画像を撮像した例を示したが、例えば搬送手段13により撮像手段12をさらに搬送し、3つ以上の位置で被測定物11の表面11Aの画像を撮像することもできる。また、例えば撮像手段12の位置を連続的に変化させながら、被測定物11の表面11Aを撮像することもできる。
(搬送手段)
搬送手段13は、被測定物11および撮像手段12の少なくとも一方を搬送できるように構成されていればよい。
【0017】
本実施形態の表面形状測定装置10は、後述するように任意の部材として被測定物11を設置するステージ15を有することもできる。このため、搬送手段13が被測定物11を搬送する場合、該ステージ15を搬送することで被測定物11を搬送するように構成することもできる。
【0018】
例えば図1に示すように、被測定物11と、撮像手段12との配列方向をZ軸方向とした場合、搬送手段13は、XY平面内で被測定物11および撮像手段12の少なくとも一方を搬送することが好ましい。具体的には例えば撮像手段12を、被測定物11の表面11Aに沿って搬送することが好ましい。
【0019】
なお、図1中では、撮像手段12を搬送した例を示しているが、係る形態に限定されない。上述のように撮像手段12に変えて被測定物11を搬送することもでき、撮像手段12と被測定物11との両方を搬送することもできる。
【0020】
搬送手段13の構成は特に限定されないが、例えば被測定物11や、撮像手段12を直線的に搬送できる手段であることが好ましい。このため、搬送手段13は、例えばリニアレール、リニアシャフト等から選択された1種類以上のスライダーと、駆動手段である各種モーター等とを組み合わせた構成とすることができる。
(画像処理手段)
画像処理手段14は、撮像手段12で撮像した画像を処理することができる。具体的には、画像処理手段14は、撮像手段12が撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、該拡大画像を用いて被測定物11の表面形状を算出できる。
【0021】
画像処理手段14は、ASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)などであって、撮像手段12で撮像した画像の処理を担当する。
【0022】
ここで、本実施形態の表面形状測定装置10による、被測定物11の表面11Aの形状の測定メカニズム、および画像処理の詳細について説明する。
【0023】
図1に示すように、被測定物11の表面11Aに、直方体の異物等の凸部111が存在していたとする。そして、係る初期位置Aにある撮像手段12により、係る被測定物11の表面11Aを撮像した場合、図2に示すように、被測定物11の表面11Aに凸部111が配置された画像20が得られる。通常、被測定物11の表面11Aの平坦部と、凸部111の表面とでは色度や輝度等が異なるため、例えば図2中の点線21に沿った色度の水平掃引信号は、図3に示すように、被測定物11の表面11Aと、凸部111とでは異なり、凸部111に対応する部分が台形状に表れる。なお、図3に示した、強度が立ち上がる位置をP1とする。
【0024】
次いで、図1に示すように、既述の搬送手段13により撮像手段12を、搬送後位置Bまで搬送距離ΔDだけ搬送したとする。そして、搬送後位置Bにある撮像手段12により、凸部111を含む被測定物11の表面11Aを再度撮像し、得られた画像から、同様にして凸部111を含むように色度の水平掃引信号を取得する。この場合、同様の台形状の信号が得られるものの、図3中に点線で示したように、立ち上がり位置がP2となり、撮像手段12を搬送する前の場合から信号変位量ΔPだけ変位する。
【0025】
これは、撮像手段12を搬送し、撮像手段12と凸部111との位置関係が変わったことにより、凸部111から撮像手段12の撮像素子121までの光路が、光路O1から光路O2に変化し、撮像素子121上の凸部111が撮像される位置がΔPだけずれたためである。
【0026】
このように、例えば撮像手段12を搬送して、撮像手段12と、被測定物11との位置関係を変化させることで、被測定物11の表面11Aを異なる角度から撮像している状態となる。
【0027】
そして、係る信号変位量ΔPは、撮像手段12から、凸部111の表面までの距離L、および撮像手段12の搬送距離ΔDと、以下の式(1)の関係にある。
【0028】
ΔP=α・(1/L)ΔD・・・(1)
上記式(1)は、図2に示す三角形の比より(L:ΔD=α:ΔP)の関係から求まる関係式である。
【0029】
式(1)の係数αは撮像手段12のレンズ系や受像機構等の受像システムによって決定される撮影に特徴される定数で、同時に撮像される物体に対しては一定である。例えば撮像手段12が単純にレンズを通して結像したフィルムや撮像管等、単純な受像システムの場合には、上記αは、図1に示すようにレンズから撮像素子までの距離に等しい。
【0030】
上記αは、撮像対象である異物等の大きさや、距離Lには依存しない、撮像手段12で決まる係数である。この係数は、予め標準の被写体を用いて校正することにより、使用前に決定しておくことができる。
【0031】
以上のように、信号位置Pの撮像手段12の搬送量に対する変化係数ΔP/ΔD=α(1/L)は凸部111と撮像手段12との間の距離に関係付けられる。
【0032】
撮像手段12を搬送した場合に、搬送の前後で凸部111の部分の信号のみが集団的に信号変位量ΔPだけ変位するため、その境界信号、すなわち図3の台形状の立ち上がり信号を追跡することで、信号変位量ΔPを計測できる。そして、計測した信号変位量ΔPと、撮像手段12の搬送距離ΔDと、上記式(1)により、撮像手段12と凸部111との間の距離(L/α)を算出できる。ここでの距離(L/α)は、αを単位長さとした距離になる。
【0033】
なお、撮像した画像面内での撮像手段12の搬送方向に対応する水平方向をXとすれば、上記水平信号はあるY値についてのものであり、信号位置P1、P2は画像面内でのX値を示す。これより、画像面内のポイント(X、Y)に対して距離(L/α)をZ値として(X、Y、Z)の3次元における成分セットを算出することができる。
【0034】
ここでは、図2に示した点線21に沿った水平掃引信号の場合を例に説明したが、点線21と平行に複数の水平掃引信号を取り、同様に凸部111の表面等と、撮像手段12との間の距離を算出し、マッピングすることで、被測定物11の表面11Aの形状を測定できる。
【0035】
また、撮像手段12を1つの搬送距離ΔDだけ搬送した例を示したが、既述の搬送距離ΔDを変えて複数の異なる位置に撮像手段12を配置し、それぞれ上記演算を行うことで、より精度よくΔPを求められる。ΔDを連続的に変化させ、それぞれ上記演算を行うこともできる。
【0036】
被測定物としては、既述のように基板等を用いることができるが、基板等はその表面に極小な異物が付着する等で、微細な凹凸が形成されている場合がある。そして、係る微細な凹凸等を検出することが求められる場合もある。
【0037】
このため、画像処理手段14は、微細な凹凸等も検出できるように、撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、該拡大画像を複数枚用いて上述の手順により被測定物11の表面形状を算出することが好ましい。
【0038】
必要に応じて、拡大画像を複数に分割し、分割した画像ごとに、既述の処理を行うこともできる。ただし、分割した被測定物内の同じ領域の画像同士を比較し凹凸部を検知できるように、複数枚の拡大画像について、同じ条件で分割することが好ましい。例えば被測定物の表面について、同じ幅で短冊状に画像を分割できる。
【0039】
ここまで凸部111の場合について説明したが、凸部だけではなく凹部についても同様にして測定できる。そして、凹部や、凸部以外の部分については、平坦面としてマッピングできる。
【0040】
以上に説明したように、画像処理手段14では、以下の手順により画像処理を行うことができる。
【0041】
予め設定された初期位置Aにある撮像手段12により撮像した、被測定物11の表面の画像の色情報について、水平掃引信号を取る。ここでの色情報としては特に限定されないが、例えば色度、および輝度から選択された1種類以上を用いることができる。また、被測定物11の表面の画像は、拡大した拡大画像としておき、係る拡大画像の色情報について水平掃引信号を取ることが好ましい。
【0042】
次いで、搬送手段13により、撮像手段12を搬送距離ΔDだけ搬送し、搬送後位置Bに配置した撮像手段12により撮像した、被測定物11の表面の画像の色情報について、水平掃引信号を取る。この場合も、被測定物11の表面の画像は、拡大した拡大画像としておき、係る拡大画像の色情報について水平掃引信号を取ることが好ましい。
【0043】
そして、上記水平掃引信号を比較することで、被測定物11の表面11Aにある凹凸部を検知し、既述の式(1)を用いて、撮像手段12との間の距離を求め、凹凸部の形状や高さを算出する。
【0044】
具体的には、複数の画像間での色情報の信号変位位置の変位量ΔP、撮像手段12の搬送距離ΔDを用いて、撮像手段12と、被測定物11の表面11Aとの間の距離を求め、凹凸部の形状や高さを算出できる。上記色情報等の信号変位位置とは、図3に示したように、色情報の数値が大きく変位する位置Pを意味する。
【0045】
そして、得られた結果をもとに、被測定物11の表面の3次元画像を作成する。
【0046】
なお、撮像手段12を1回搬送した場合を例に説明したが、既述のように複数回、もしくは連続的に搬送し、上記画像処理を行うこともできる。
【0047】
本実施形態の表面形状測定装置は、さらに必要に応じて任意の部材を有することもできる。
【0048】
例えば、被測定物を設置するステージ15を有することもできる。搬送手段13が被測定物11を搬送する場合、例えばステージ15に搬送手段13を設け、ステージ15を搬送することで被測定物11を搬送するように構成することもできる。
【0049】
また、本実施形態の表面形状測定装置は、測定を行っている間、例えば凹凸部と、平坦部との色情報の違いを明確にするため、被測定物11の表面11Aに光を照射する光照射手段を有することもできる。
【0050】
以上に説明した本実施形態の表面形状測定装置によれば、撮像手段を、搬送手段により搬送し、被測定物の表面を撮像することで、非接触で該被測定物の表面形状を測定できる。
【0051】
本実施形態の表面形状測定装置は、例えば工場等の生産ライン上に配置し、生産物の表面形状を連続的に測定することもできる。このため、本実施形態の表面形状測定装置は、表面形状検査装置等に適用することもできる。
【0052】
本実施形態の表面形状測定装置を表面形状検査装置に適用する場合、該表面形状検査装置は、例えば本実施形態の表面形状測定装置と、判定手段とを有することができる。判定手段は、例えば本実施形態の表面形状測定装置により測定した、被測定物の表面形状について、予め定めた基準の範囲内に入っている場合に合格と判定し、範囲に入っていない場合に不合格と判定できる。
[表面形状測定方法]
本実施形態の表面形状測定方法について説明する。なお、本実施形態の表面形状測定方法は、既述の表面形状測定装置を用いて好適に実施することができる。このため、既に説明した事項については一部説明を省略する。
【0053】
本実施形態の表面形状測定方法は、以下の工程を有することができる。
【0054】
被測定物の表面を撮像手段により撮像する撮像工程。
【0055】
被測定物および撮像手段の少なくとも一方を搬送する搬送工程、および撮像工程を繰り返し実施する繰り返し工程。
【0056】
撮像工程で得られた画像を処理する画像処理工程。
【0057】
そして、画像処理工程では、撮像工程で撮像した複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、拡大画像を複数枚用いて、被測定物の表面形状を算出できる。
【0058】
以下、各工程について説明する。
(撮像工程)
撮像工程では、撮像手段により、被測定物の表面を撮像できる。
【0059】
撮像手段、被測定物については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0060】
なお、被測定物としては特に限定されないが、例えば基板を好ましく用いることができる。
(繰り返し工程)
繰り返し工程では、まず被測定物および撮像手段12の少なくとも一方を搬送する搬送工程を実施できる。搬送工程での搬送方法については、表面形状測定装置の搬送手段の説明の中で、既述のため、ここでは説明を省略する。
【0061】
繰り返し工程ではさらに、搬送手段13により、撮像手段12を所定の位置に搬送した後、再度、被測定物11の表面11Aを撮像する撮像工程を実施できる。
【0062】
繰り返し工程では、上記搬送工程と、撮像工程とを1回のみ実施することもできるが、2回以上繰り返し実施することもできる。すなわち、搬送工程と、撮像工程とを、交互に繰り返し、それぞれ2回以上実施することもできる。
(画像処理工程)
画像処理工程では、既述の撮像工程、および繰り返し工程の撮像工程で撮像した画像を用いて、基板の表面形状を算出できる。
【0063】
画像処理工程での画像処理は、表面形状測定装置の画像処理手段の中で説明した画像処理を実施できる。
【0064】
具体的にはまず、最初の撮像工程で撮像した、予め設定された初期位置Aにある撮像手段12により撮像した、被測定物11の表面11Aの画像の色情報について、水平掃引信号を取る。ここでの色情報としては特に限定されないが、例えば色度、および輝度から選択された1種類以上を用いることができる。また、被測定物11の表面の画像は、拡大した拡大画像としておき、係る拡大画像の色情報について水平掃引信号を取ることが好ましい。
【0065】
次いで、繰り返し工程で、搬送手段により、撮像手段を搬送距離ΔDだけ搬送した搬送後位置Bにある撮像手段12により撮像した、被測定物11の表面の画像の色情報について、水平掃引信号を取る。この場合も、被測定物11の表面の画像は、拡大した拡大画像としておき、係る拡大画像の色情報について水平掃引信号を取ることが好ましい。
【0066】
そして、上記水平掃引信号を比較することで、被測定物11の表面11Aにある凹凸部を検知し、既述の式(1)を用いて、撮像手段12との間の距離を求め、凹凸部の形状や高さを算出する。得られた結果をもとに、被測定物11の表面の3次元画像を作成する。
【0067】
なお、ここでは、撮像手段12を1回搬送した場合を例に説明したが、複数回、もしくは連続的に搬送し、上記撮像、画像処理を行うこともできる。
【0068】
また、被測定物としては、既述のように基板等を用いることができるが、基板等はその表面に極小な異物が付着していたり、微細な凹凸が形成されている場合がある。そして、係る微細な凹凸等を検出することが求められる場合もある。
【0069】
このため、既述のように画像処理工程では、微細な凹凸等も検出できるように、撮像した被測定物11の表面11Aの複数枚の画像をそれぞれ拡大した拡大画像を作成し、該拡大画像を複数枚用いて被測定物11の表面形状を算出することが好ましい。なお、必要に応じて、拡大画像を複数に分割し、分割した画像ごとに、既述の処理を行うこともできる。
【0070】
以上に説明した本実施形態の表面形状測定方法によれば、非接触で該被測定物の表面形状を測定できる。
【0071】
本実施形態の表面形状測定方法は、例えば工場等の生産ライン上で実施し、生産物の表面形状を連続的に測定することもできる。このため、本実施形態の表面形状測定方法は、表面形状検査方法等に適用することもできる。表面形状検査方法に適用する場合、該表面形状検査方法は、例えば本実施形態の表面形状測定方法により被測定物の表面形状を測定する測定工程に加えて、判定工程を有することができる。この場合、判定工程では、例えば測定工程により測定した、被測定物の表面形状について、予め定めた基準の範囲内に入っている場合に合格と判定し、範囲に入っていない場合に不合格と判定できる。
【符号の説明】
【0072】
10 表面形状測定装置
11 被測定物
12 撮像手段
13 搬送手段
14 画像処理手段
図1
図2
図3