IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DIC株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧

特開2022-170457ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法、並びにベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170457
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法、並びにベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 4/22 20060101AFI20221102BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20221102BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20221102BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20221102BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20221102BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221102BHJP
【FI】
C07C4/22
C07C15/04
C07F7/08 W
B01J31/24 Z
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076597
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(74)【代理人】
【識別番号】100207240
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】南 安規
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 正則
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕美子
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H049
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA09
4G169BA21C
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BA27C
4G169BB04C
4G169BB08C
4G169BB10C
4G169BB12C
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC72C
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD01C
4G169BD02C
4G169BD04A
4G169BD04B
4G169BD04C
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BD07A
4G169BD07B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BD12C
4G169BD13C
4G169BD14C
4G169BD15C
4G169BE08C
4G169BE15A
4G169BE15B
4G169BE16A
4G169BE18C
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE27C
4G169BE33C
4G169BE34C
4G169BE35C
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB35
4G169CB66
4G169DA02
4G169FA01
4G169FB05
4G169FC02
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC91
4H006BA25
4H006BA47
4H006BA48
4H006BB11
4H006BC10
4H039CA41
4H039CL30
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ49
4H049VR23
4H049VR61
4H049VS02
4H049VT17
4H049VT30
4H049VV02
4H049VW01
4H049VW02
(57)【要約】
【課題】ポリフェニレンサルファイド樹脂から分解生成物を高い収率で得ることができる、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法を提供することを目的とする。また、ベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリフェニレンサルファイド樹脂と、ヒドロシランとを、配位子を有するパラジウム錯体触媒の存在下で反応させる工程を備える、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンサルファイド樹脂と、ヒドロシランとを、配位子を有するパラジウム錯体触媒の存在下で反応させる工程を備える、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項2】
前記配位子が、N-ヘテロ環状カルベン化合物又はホスフィン化合物である、請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項3】
前記パラジウム錯体触媒のパラジウム源が、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー、(2-ブテニル)クロロパラジウムダイマー、パラジウム(π-シンナミル)クロリドダイマー、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、トリメチル酢酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、パラジウム(II)テトラフルオロボラート テトラアセトニトリル錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)メチルパラジウム(II)、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1,2,3-η)-1-フェニル-2-プロペニル]パラジウム、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ブロミド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)及びジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項4】
前記配位子を有するパラジウム錯体触媒が、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)]、クロロ[(1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン)(N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)]、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](アセトアニリド)パラジウム(II)]、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](4’-メトキシアセトアニリド)パラジウム(II)]及びクロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルアミン)パラジウム(II)]からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項5】
前記ヒドロシランが、ジエチルシラン、フェニルシラン、ジフェニルシラン、トリフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルエチルシラン、ジエチルフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、tert-ブチルジメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシフェニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン及びトリス(トリメチルシリル)シランからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項6】
前記反応させる工程における反応温度が、50~300℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法により前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を分解してベンゼンを得る工程を備える、ベンゼンの製造方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法により前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を分解してビス(トリアルキルシリル)スルフィドを得る工程を備える、ビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法に関する。また、当該方法によるベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンサルファイド樹脂はスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、機械的強度、剛性、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などを有していることから、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品および機械部品などの用途に幅広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、これらの廃棄物のリサイクルに対する要望が高まり、ポリフェニレンサルファイド樹脂の再利用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-067715
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリフェニレンサルファイド樹脂は耐薬品性、耐熱性等に優れるために分解させるのが非常に困難であった。
そこで、本発明は、ポリフェニレンサルファイド樹脂から分解生成物を高い収率で得ることができる、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記方法を用いて、ベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドを高い収率で得ることが可能な、ベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリフェニレンサルファイド樹脂と、ヒドロシランとを、配位子を有するパラジウム錯体触媒の存在下で反応させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0006】
[1]ポリフェニレンサルファイド樹脂と、ヒドロシランとを、配位子を有するパラジウム錯体触媒の存在下で反応させる工程を備える、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[2]前記配位子が、N-ヘテロ環状カルベン化合物又はホスフィン化合物である、[1]に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[3]前記パラジウム錯体触媒のパラジウム源が、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー、(2-ブテニル)クロロパラジウムダイマー、パラジウム(π-シンナミル)クロリドダイマー、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、トリメチル酢酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、パラジウム(II)テトラフルオロボラート テトラアセトニトリル錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)メチルパラジウム(II)、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1,2,3-η)-1-フェニル-2-プロペニル]パラジウム、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ブロミド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)及びジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[4]前記配位子を有するパラジウム錯体触媒が、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)]、クロロ[(1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン)(N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)]、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](アセトアニリド)パラジウム(II)]、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](4’-メトキシアセトアニリド)パラジウム(II)]及びクロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルアミン)パラジウム(II)]からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[5]前記ヒドロシランが、ジエチルシラン、フェニルシラン、ジフェニルシラン、トリフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルエチルシラン、ジエチルフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、tert-ブチルジメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシフェニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン及びトリス(トリメチルシリル)シランからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[6]前記反応させる工程における反応温度が、50~300℃である、[1]~[5]のいずれか一項に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の方法により前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を分解してベンゼンを得る工程を備える、ベンゼンの製造方法。
[8][1]~[6]のいずれか一項に記載の方法により前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を分解してビス(トリアルキルシリル)スルフィドを得る工程を備える、ビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ポリフェニレンサルファイド樹脂から分解生成物を高い収率で得ることができる、ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記方法を用いて、ベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドを高い収率で得ることが可能な、ベンゼン及びビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の分解反応及び製造方法について詳細に説明する。以下は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
【0009】
[ポリフェニレンサルファイド樹脂の分解反応]
本実施形態に係るポリフェニレンサルファイド樹脂(以下PPS樹脂と略す場合もある)の分解方法は、PPS樹脂と、ヒドロシランとを、配位子を有するパラジウム錯体触媒の存在下で反応させる工程を備える。
【0010】
PPS樹脂が分解される反応機構は、以下のように推定される。
反応系中でパラジウム錯体から発生したパラジウム0価錯体へPPS樹脂の炭素―硫黄結合が酸化的付加し、パラジウム上にベンゼンと硫黄官能基を有する錯体が生じる。この錯体とヒドロシランのケイ素-水素結合との配位子交換反応が起き、パラジウム0価錯体が酸化的脱離し、炭素-水素結合とケイ素-硫黄結合が形成されることでPPS樹脂の主鎖である炭素-硫黄結合が分解される。パラジウム0価錯体は再び触媒として作用し、上記分解反応が更に進行することで、PPS樹脂は最終的にベンゼンとビス(トリアルキルシリル)スルフィドに解重合される。
このように、ヒドロシランと配位子を有するパラジウム錯体触媒とを用いることによって、高い反応温度を要しない緩和な条件下で効率的にPPS樹脂を解重合できるものと推定される。
【0011】
(ポリフェニレンサルファイド樹脂)
本実施形態で用いるPPS樹脂は、p-フェニレンスルフィドを主要な構成単位とする重合体であり、p-フェニレン単位の他、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位を含んでいてもよく、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物であってもよい。
【0012】
PPS樹脂の形態は特に限定されるものではなく、粉体、顆粒、ペレット、繊維、フィルム、成形品等であってもよい。
【0013】
PPS樹脂の数平均分子量は、その原料や方法に依存し、特に限定されないが、例えば1,000以上であってよく、5,000以上であってもよい。また、PPS樹脂の数平均分子量は、例えば500,000以下であってよく、100,000以下であってもよい。
【0014】
(ヒドロシラン)
ヒドロシランは、ケイ素原子に直接結合した水素原子を有する化合物であれば特に限定されず、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0015】
【化1】
【0016】
(式(1)中、Rは、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基又はトリアルキルシリル基を示し、aは1~3の整数である。)
【0017】
式(1)中、Rとしては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の脂環式アルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数5~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。aが1又は2である場合、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
上記炭素数1~20のアルキル基は、炭素数1~12であることが好ましく、炭素数1~8であることがより好ましく、炭素数1~4であることが更に好ましい。炭素数1~20のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
【0019】
上記炭素数3~20の脂環式アルキル基は、炭素数3~12であることが好ましく、炭素数3~10であることがより好ましく、炭素数4~8であることが更に好ましい。炭素数3~20の脂環式アルキル基は、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0020】
上記炭素数2~20のアルケニル基は、炭素数2~12であることが好ましく、炭素数2~8であることがより好ましく、炭素数2~4であることが更に好ましい。炭素数2~20のアルケニル基は、具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。
【0021】
上記炭素数2~20のアルキニル基は、炭素数2~12であることが好ましく、炭素数2~8であることがより好ましく、炭素数2~4であることが更に好ましい。炭素数2~20のアルキニル基は、具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基等が挙げられる。
【0022】
上記炭素数5~20のアリール基は、炭素数6~16であることが好ましく、炭素数6~12であることがより好ましく、炭素数6~10であることが更に好ましい。炭素数5~20のアリール基は、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0023】
上記炭素数6~20のアラルキル基は、炭素数7~17であることが好ましく、炭素数7~13であることがより好ましく、炭素数7~11であることが更に好ましい。炭素数6~20のアラルキル基は、具体的には、ベンジル基、1-メチルベンジル基、1,1-ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0024】
上記炭素数1~20のアルコキシ基は、炭素数1~12であることが好ましく、炭素数1~8であることがより好ましく、炭素数1~4であることが更に好ましい。炭素数1~20のアルコキシ基は、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、n-ヘトキシ基、n-ヘプトキシ基、n-オクトキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
【0025】
上記トリアルキルシリル基は、アルキル基の炭素が1~12であることが好ましく、1~6であることがより好ましく、1~4であることが更に好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。トリアルキルシリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基が挙げられる。
【0026】
ヒドロシランは、下記式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0027】
【化2】
【0028】
(式(2)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基又はトリアルキルシリル基を表す。)
【0029】
~Rが表す炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基及びトリアルキルシリル基としては、Rとして上述した炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基及びトリアルキルシリル基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0030】
ヒドロシランは、より具体的には、ジエチルシラン、フェニルシラン、ジフェニルシラン、トリフェニルシラン、ジフェニルメチルシラン、メチルフェニルシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルエチルシラン、ジエチルフェニルシラン、トリメチルシラン、トリエチルシラン、tert-ブチルジメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシフェニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、エトキシジメチルシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロシランは、トリメチルシラン、トリエチルシラン、tert-ブチルジメチルシランが好ましく、トリエチルシランがより好ましい。
ヒドロシランは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
ヒドロシランの使用量は、PPS樹脂におけるp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して20モル当量以下であり、好ましくは15モル当量以下であり、より好ましくは10モル当量以下である。また、同使用量は、PPS樹脂におけるp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して0.5モル当量以上であり、好ましくは1.0モル当量以上であり、より好ましくは1.5モル当量以上である。ヒドロシランの使用量が上記範囲内であると、反応の進行が速く、高い収率で分解生成物が得られる傾向がある。
【0032】
(パラジウム錯体触媒)
本実施形態で用いるパラジウム錯体触媒は、配位子を有するパラジウム錯体触媒である。
【0033】
配位子を有するパラジウム錯体触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、例えば、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)](商品名:SingaCycle-A1、東京化成工業社製)、クロロ[(1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン)(N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)](商品名:SingaCycle-E1、東京化成工業社製)、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](アセトアニリド)パラジウム(II)](商品名:SingaCycle-A3、東京化成工業社製)、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](4’-メトキシアセトアニリド)パラジウム(II)](商品名:SingaCycle-A4、東京化成工業社製)、クロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルアミン)パラジウム(II)](商品名:SingaCycle-A2、東京化成工業社製)等を用いることができる。配位子を有するパラジウム錯体触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
なお、本実施形態では、反応系中で、パラジウム源及び配位子を混合し、配位子を有するパラジウム錯体触媒を生成させて用いることもできる。
【0035】
<パラジウム源>
パラジウム源は、例えば、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー、(2-ブテニル)クロロパラジウムダイマー、パラジウム(π-シンナミル)クロリドダイマー、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、トリメチル酢酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、パラジウム(II)テトラフルオロボラート テトラアセトニトリル錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)メチルパラジウム(II)、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1,2,3-η)-1-フェニル-2-プロペニル]パラジウム、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ブロミド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)等が挙げられる。これらの中でも、パラジウム源は、高い収率で分解生成物を得る観点から、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)が好ましい。パラジウム源は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
<配位子>
配位子は、上記パラジウム源と錯体を形成することができる性質を有する限り、その種類及び構造に限定はない。
【0037】
配位子は、例えば、ジアミン化合物、ジケトン化合物、ジエン化合物、ビピリジン化合物、N-へテロ環状カルベン(以下NHCと略す場合もある)化合物及びホスフィン化合物等が挙げられる。これらの中でも、配位子は、NHC化合物及びホスフィン化合物が好ましく、嵩高く且つ高い電子供与性を有する観点から、NHC化合物がより好ましい。配位子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
なお、上記ジアミン化合物は、好ましくは炭素数1~12のジアミン化合物であり、例えば、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、フェニレンジアミン等が挙げられる。上記ジケトン化合物は、好ましくは炭素数3~15のジケトン化合物であり、例えば、2,4-ペンタンジオン(アセチルアセトン)、2,4-ヘキサンジオン、3,5-ヘプタンジオン、2-メチル-3,5-ヘキサンジオン、6-メチル-2,4-ヘプタンジオン、2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオン、2,2-ジメチル-3,5-ヘキサンジオン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン等が挙げられる。上記ジエン化合物は、好ましくは炭素数5~25のジエン化合物であり、例えば、ノルボルナジエン、1,5-シクロオクタジエン、ジベンジリデンアセトン等が挙げられる。上記ビピリジン化合物としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数6~18のアリールオキシ基からなる群から選択される置換基を有していてもよいビピリジン等が挙げられる。
【0039】
<<N-ヘテロ環状カルベン化合物>>
カルベンは、電荷の無い2価の炭素原子を有している状態であり、含窒素複素環の炭素原子がカルベンの状態又は2価の炭素原子の状態でパラジウム原子に配位可能な状態になっているものをNHC化合物という。
【0040】
NHC化合物における含窒素複素環としては、少なくとも1個の窒素原子を有し、さらに1個~3個の酸素原子及び/又は硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい、3~8員、好ましくは4~6員の単環、多環、又は縮合環の含窒素複素環が挙げられる。
【0041】
具体的なNHC化合物は、例えば、イミダゾールに由来するイミダゾールイリデン類、ジヒドロイミダゾールに由来するジヒドロイミダゾールイリデン類、ジヒドロピリミジンに由来するジヒドロピリミジンイリデン類、テトラヒドロ-1,3-ジアゼピンに由来するヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピンイリデン類、チアゾールに由来するチアゾールイリデン類、ジヒドロチアゾールに由来するジヒドロチアゾ-ルイリデン類、オキサゾールに由来するオキサゾールイリデン類、ジヒドロオキサゾールに由来するジヒドロオキサゾ-ルイリデン類、テトラヒドロピリミジンに由来するテトラヒドロピリミジンイリデン類、ピリミジンに由来するピリミジンイリデン類及びトリアゾールに由来するトリアゾールイリデン類及びこれらの塩等が挙げられる。塩体の対陰イオンの種類は特に限定されない。対陰イオンは通常ハロゲンイオン(F、Cl、Br又はI)であるが、硝酸イオン(NO3-)、酢酸イオン(CHCOO)、トリフルオロ酢酸イオン(CFCOO)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)等であってもよい。
【0042】
上記の中でも、配位子に用いられるNHC化合物としては、下記式(3)で表されるイミダゾール-2-イリデン類、下記式(4)で表されるジヒドロイミダゾールイリデン類の塩であるイミダゾリニウム塩、及び下記式(5)で表されるイミダゾールイリデン類の塩であるイミダゾリウム塩であるのがより好ましい。
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
【化5】
【0046】
(式(3)、(4)及び(5)中、R、R’、R、R’、R及びR’はそれぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基又は複素環基を表し、これらの炭素数1~20の炭化水素基及び複素環基は置換基を有していても良い。また、また、式(3)、(4)及び(5)中、R、R’、R、R’、R10及びR10’は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、複素環基又はアミン基を表し、炭素数1~20の炭化水素基及び複素環基は置換基を有していても良い。式(3)中、RとR’、RとR、RとR’及びR’とR’は、各々独立して互いに結合し隣接する原子と共に環を形成していても良い。また、式(4)中、RとR’、RとR、RとR’、R’とR’は、各々独立して結合し隣接する原子と共に環を形成していてもよい。式(5)中、RとR’、RとR10、R10とR10’及びR10’とR’は、各々独立して互いに結合し隣接する原子と共に環を形成していても良い。式(4)及び(5)中、Xは対陰イオンを表す。)
【0047】
上記炭素数1~20の炭化水素基及び複素環基が有してもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられる。置換基が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0048】
、R’、R、R’、R及びR’における炭素数1~20の炭化水素基は、上記式(1)におけるRとして上述した炭素数1~20の炭化水素基と同様の基が挙げられる。R、R’、R、R’、R及びR’における複素環基としては、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
【0049】
脂肪族複素環基としては、例えば、炭素数2~14で、少なくとも1個の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、3~8員、好ましくは4~6員の単環の脂肪族複素環基、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、2-ピロリジル基、2-ピペリジニル基、2-ピペラジニル基、2-モルホリニル基、2-テトラヒドロフリル基、2-テトラヒドロピラニル基及び2-テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
【0050】
芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2~15で、少なくとも1個の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5又は6員の単環式ヘテロアリール基、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられる。その具体例としては、例えば、2-フリル基、3-フリル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、2-ピリミジル基、2-ピラジル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、2-オキサゾリル基、2-チアゾリル基、2-ベンゾフリル基、3-ベンゾフリル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、1-イソキノリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、2-ベンゾオキサゾリル基及び2-ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0051】
、R6’、R、R8’、R10及びR10’における炭素数1~20の炭化水素基及び複素環基としては、R、R5’、R、R7’、R及びR9’として上述した炭素数1~20の炭化水素基及び複素環基と同様の基が挙げられる。R、R6’、R、R8’、R10及びR10’におけるアミノ基としては、置換基を有していても良く、例えばアミノ基の少なくとも1つの水素原子が、各々独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又はアルキニル基で置換されたアミノ基等が挙げられ、具体的には、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N,N-ジシクロヘキシルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N-ナフチル-N-フェニルアミノ基及びN,N-ジベンジルアミノ基等が挙げられる。また、置換基を2つ有する場合は互いに結合し環を形成していてもよく、具体的には、1-ピロリジニル基及び1-ピペリジニル基等が挙げられる。
【0052】
式(3)で表されるイミダゾール-2-イリデン類の具体例としては、例えば、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジイソプロピルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメチルベンゾイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジイソプロピルベンゾイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-tert-ブチルベンゾイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロヘキシルベンゾイミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ベンゾイミダゾール-2-イリデン、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジイソプロピル-4,5-ジメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-tert-ブチル-4,5-ジメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロヘキシル-4,5-ジメチルイミダゾール-2-イリデン及び1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジメチルイミダゾール-2-イリデン等が挙げられる。
【0053】
式(4)で表されるイミダゾリニウム塩の具体例としては、例えば、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリニウムテトラフルオロボラート、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウムテトラフルオロボラート、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリニウムクロリド、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリニウムテトラフルオロボラート、1,3-ジ(tert-ブチル)イミダゾリニウムテトラフルオロボラート、1,3-ジ(イソプロピル)イミダゾリニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。
【0054】
式(5)で表されるイミダゾリウム塩の具体例としては、例えば、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(1-アダマンチル)ベンゾイミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3-ジメシチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ジ(イソプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ジ(イソプロピル)イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3-ジメチル-1H-ベンゾイミダゾリウムヨージド、1,3-ジシクロヘキシルベンゾイミダゾリウムヨージド、1,3-ジ(tert-ブチル)ベンゾイミダゾリウムクロリド、1,3-ジ(tert-ブチル)イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,3-ジ(tert-ブチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(フェニルメチル)イミダゾリウムクロリド等が挙げられる。
【0055】
上記のNHC化合物の好適な具体例としては、下記の化合物を挙げることができる。
【0056】
【化6】
【0057】
式(3-1)の化合物は、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデンである。式(4-1)の化合物は、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリドである。式(5-1)の化合物は、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロリドである。式(5-2)の化合物は、1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムテトラフルオロボラートである。式(5-3)の化合物は、1,3-ジメシチルイミダゾリウムクロリドである。
【0058】
<<ホスフィン化合物>>
配位子に用いられるホスフィン化合物は、一般式がR111213P(ただし、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基)で示される化合物であれば特に制限はない。
【0059】
具体的なホスフィン化合物としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリtert-ブチルホスフィン、ジtert-ブチルメチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ブチルジ-1-アダマンチルホスフィン、トリス(1-アダマンチル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(2,4,6-トリメトキシフェニル)ホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシビフェニル等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン化合物としては、嵩高く且つ高い電子供与性を有する観点から、トリシクロヘキシルホスフィン、ジtert-ブチルメチルホスフィン、ブチルジ-1-アダマンチルホスフィン及びトリス(1-アダマンチル)ホスフィンが好ましい。
【0060】
配位子の使用量は、パラジウム源に対して10モル当量以下であり、好ましくは5モル当量以下であり、より好ましくは3モル当量以下である。また、同使用量は、パラジウム源に対して0.01モル当量以上であり、好ましくは0.1モル当量以上であり、より好ましくは1モル当量以上である。
【0061】
配位子を有するパラジウム錯体触媒の使用量は、いわゆる触媒量でよく、PPS樹脂におけるp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して10モル%以下であり、好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは3モル%以下である。また、同使用量は、PPS樹脂におけるp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して0.01モル%以上であり、好ましくは0.1モル%以上であり、より好ましくは1モル%以上である。
【0062】
本実施形態においては、パラジウム錯体触媒と共に、塩基を触媒として混合使用してもよい。塩基を触媒量添加することにより、配位子を有するパラジウム錯体触媒の反応活性が向上し、反応が高効率で進行する傾向がある。本実施形態で用いることのできる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン等の有機塩基や、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リチウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の無機塩基等が挙げられる。なかでも無機塩基が好ましく、カリウム-tert-ブトキシドがより好ましい。塩基の使用量は特に制限されず、例えば配位子に対して等モル量用いてもよい。
【0063】
(反応条件)
本実施形態の分解反応は、溶媒の存在下で行われるのが好ましい。反応溶媒としては、反応の進行を阻害しないものが好ましい。例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1-メトキシ-2-(2-メトキシエトキシ)エタン、TBME(t-ブチルメチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)などのエーテル類、酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリンなどのアミン類、ピリジン、ピコリンなどのピリジン類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトン、水等が挙げられる。これらの中でも、溶媒としては、トルエン及びキシレンが好ましい。溶媒は単独でも2種類以上を用いてもよい。
【0064】
反応温度は、室温から使用する反応溶媒の沸点の温度までの範囲を選ぶことができるが、好ましくは室温~500℃、より好ましくは50~300℃、更に好ましくは50~200℃である。反応時間は、0.1~1000時間、好ましくは0.5~100時間である。
反応は、常圧でも加圧下でもよく、また、連続式でも回分式でもよい。反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0065】
上述した本実施形態の分解方法を用いると、PPS樹脂から分解生成物を得ることができる。分解生成物は、後述するベンゼン、ビス(トリアルキルシリル)スルフィド以外の化合物等を含んでいてもよい。ベンゼン、ビス(トリアルキルシリル)スルフィド以外の化合物としては、例えば、ジフェニルスルフィド,1,4-ビス(フェニルチオ)ベンゼン、ビス{4-(フェニルチオ)フェニル}スルフィド、フェニル(トリアルキルシリル)スルフィド、1,4-ジ(トリアルキルシリルスルフィド)ベンゼン等が挙げられる。
【0066】
[ベンゼンの製造方法]
本実施形態に係るベンゼンの製造方法は、上述の方法によりPPS樹脂を分解してベンゼンを得る工程を備える。
【0067】
ベンゼンは、上述の方法で得られたベンゼンを含む分解生成物からベンゼンを単離することにより得られる。ベンゼンを単離する方法は、特に制限されず、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華等の汎用的な方法でベンゼンを単離することができる。
【0068】
本実施形態に係る製造方法は、未反応のPPS樹脂を分離し、回収する工程を更に備えてもよい。PPS樹脂を回収して再利用することで、ベンゼンの収量をより一層増加させることができる。
【0069】
[ビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法]
本実施形態に係るビス(トリアルキルシリル)スルフィドの製造方法は、上述の方法によりPPS樹脂を分解してビス(トリアルキルシリル)スルフィドを得る工程を備える。
【0070】
ビス(トリアルキルシリル)スルフィドにおけるアルキルは、例えば炭素数1~20のアルキルである。ビス(トリアルキルシリル)スルフィドは、例えば、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、ビス(トリエチルシリル)スルフィド、ビス(トリブチルシリル)スルフィド等が挙げられる。
ビス(トリアルキルシリル)スルフィドは、例えば半導体粒子の原料として用いられ得る、資源としての利用価値が高い化合物であることが知られている。
【0071】
ビス(トリアルキルシリル)スルフィドは、上述の方法で得られたビス(トリアルキルシリル)スルフィドを含む分解生成物からビス(トリアルキルシリル)スルフィドを単離することにより得られる。ビス(トリアルキルシリル)スルフィドを単離する方法は、特に制限されず、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華等の汎用的な方法でビス(トリアルキルシリル)スルフィドを単離することができる。
【0072】
本実施形態に係る製造方法は、未反応のPPS樹脂を分離し、回収する工程を更に備えてもよい。PPS樹脂を回収して再利用することで、ビス(トリアルキルシリル)スルフィドの収量をより一層増加させることができる。
【実施例0073】
次に本発明を実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
【0074】
【化7】
【0075】
アルゴン雰囲気下にてキシレン0.5mlにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を10.8mg(p-フェニレンスルフィド単位のモル数=0.1mmol)、トリエチルシランを46.4mg(0.4mmol)、パラジウム源としてアリルパラジウム(II)クロリドダイマー([Pd(allyl)Cl])及び配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対してそれぞれ1mol%添加し、反応温度150℃にて15時間攪拌し、反応させた。反応時間経過後、反応物は室温まで自然放冷し、内部標準物質としてウンデカンを3.7mg添加してガスクロマトグラフィーFID分析装置(機器名:GC-2014、島津製作所社製)にてベンゼンとビス(トリエチルシリル)スルフィド(BTESiS)の定量を行った。
【0076】
分解生成物の収率は下記の計算式にて算出した。結果を表1に示す。
収率[%]={分解生成物のモル数[mol]/仕込みPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数[mol]}×100
【0077】
(実施例2)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えてトリス(1-アダマンチル)ホスフィン(P(1-adamantyl))を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例3)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えて1,3-ジメシチルイミダゾリウムクロリド(IMes・HCl)を用い、塩基としてカリウム-tert-ブトキシド(KOtBu)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して1mol%添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0079】
(実施例4)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えて1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)イミダゾリニウムクロリド(SIMes・HCl)を用い、塩基としてカリウム-tert-ブトキシド(KOtBu)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して1mol%添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例5)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えて1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン(IPr)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例6)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えて1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムテトラフルオロボラート(IAd・HBF)を用い、塩基としてカリウム-tert-ブトキシド(KOtBu)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して1mol%添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0082】
(実施例7)
配位子としてブチルジ―1-アダマンチルホスフィン(PBu(1-adamantyl))に替えて1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウムクロリド(IcHex・HCl)を用い、塩基としてカリウム-tert-ブトキシド(KOtBu)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して1mol%添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例8及び9)
表1に記載の反応温度、反応時間にそれぞれ変更した以外は、実施例7と同様の操作をそれぞれ行った。結果を表1に示す。
【0084】
(実施例10)
パラジウム源としてアリルパラジウム(II)クロリドダイマー([Pd(allyl)Cl])に替えて酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))を用いた以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例11)
パラジウム源としてアリルパラジウム(II)クロリドダイマー([Pd(allyl)Cl])に替えてビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba))を用いた以外は、実施例7と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0086】
(実施例12)
アルゴン雰囲気下にてキシレン0.5mlにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を10.8mg(p-フェニレンスルフィド単位のモル数=0.1mmol)、トリエチルシランを46.4mg(0.4mmol)、配位子を有するパラジウム錯体触媒としてクロロ[[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](N,N-ジメチルベンジルアミン)パラジウム(II)](商品名:Singacycle-A1、東京化成工業社製)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して1mol%添加し、反応温度150℃にて15時間攪拌し、反応させた。反応時間経過後、反応物は室温まで自然放冷し、内部標準物質としてウンデカンを3.7mg添加してガスクロマトグラフィーFID分析装置(機器名:GC-2014、島津製作所社製)にてベンゼンとビス(トリエチルシリル)スルフィド(BTESiS)の定量を行った。分解生成物の収率は実施例1に記載の計算式にて算出した。結果を表1に示す。
【0087】
(比較例1)
【化8】
【0088】
アルゴン雰囲気下にてキシレン0.5mlにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を10.8mg(p-フェニレンスルフィド単位のモル数=0.1mmol)、トリエチルシランを46.4mg(0.4mmol)、触媒として配位子を有するニッケル錯体触媒であるビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod))をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して10mol%添加し、反応温度150℃にて15時間攪拌し、反応させた。反応時間経過後、反応物は室温まで自然放冷し、内部標準物質としてウンデカンを3.7mg添加してガスクロマトグラフィーFID分析装置(機器名:GC-2014、島津製作所社製)にてベンゼンとビス(トリエチルシリル)スルフィド(BTESiS)の定量を行った。分解生成物の収率は実施例1に記載の計算式にて算出した。結果を表2に示す。
【0089】
(比較例2)
触媒としてビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod))をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して10mol%添加する代わりに担体の活性炭上にパラジウム金属を分散させたパラジウム炭素(Pd/C)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して3mol%添加した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0090】
(比較例3)
触媒としてビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod))をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して10mol%添加する代わりに塩化パラジウム(II)(PdCl)をPPS樹脂のp-フェニレンスルフィド単位のモル数に対して3mol%添加した以外は、比較例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表1及び表2に示すように、ヒドロシランと配位子を有するパラジウム錯体触媒とを用いた実施例1~12の方法は、非常に緩和な条件下(反応温度100℃又は150℃)でPPS樹脂を分解でき、ベンゼン及びビス(トリエチルシリル)スルフィドを高い収率で得ることができることが分かった。一方、配位子を有するパラジウム錯体触媒を用いなかった比較例1~3の方法は、PPS樹脂を効率的に分解することができず、ベンゼン及びビス(トリエチルシリル)スルフィドを高い収率で得ることができなかった。
【0094】
実施例1~7は、配位子としてN-ヘテロ環状カルベン化合物を用いると効率的にPPS樹脂を分解することができる傾向があることを示している。
実施例8及び9は、反応温度が100℃であってもPPS樹脂を効率的に分解することができ、反応時間を長くすることによりPPS樹脂をより分解することができる傾向があることを示している。
実施例7、10及び11は、パラジウム源としてアリルパラジウム(II)クロリドダイマー([Pd(allyl)Cl])を用いると効率的にPPS樹脂を分解することができる傾向があることを示している。