(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022171091
(43)【公開日】2022-11-11
(54)【発明の名称】一置換カーボネート塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 68/04 20060101AFI20221104BHJP
C07C 69/96 20060101ALI20221104BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20221104BHJP
【FI】
C07C68/04 A
C07C69/96 Z
C07D487/04 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077494
(22)【出願日】2021-04-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ2050/排気ガス由来低濃度CO2の有用化製品への直接変換」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】深谷 訓久
(72)【発明者】
【氏名】小泉 博基
(72)【発明者】
【氏名】崔 準哲
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】羽村 敏
(72)【発明者】
【氏名】松本 清児
【テーマコード(参考)】
4C050
4H006
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB08
4C050CC10
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH01
4H006AA02
4H006AC48
4H006BC11
4H006BE41
4H006KA54
(57)【要約】
【課題】一置換カーボネートを簡便に製造できる方法を提供する。
【解決手段】アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程を含み、前記二酸化炭素含有ガスの全圧をPtとし、前記二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧をPCO2として、PCO2/Ptが0.0001以上1以下であり、前記PCO2が0.1MPa未満であることを特徴とする、一置換カーボネート塩の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程を含み、前記二酸化炭素含有ガスの全圧をPtとし、前記二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧をPCO2として、PCO2/Ptが0.0001以上1以下であり、前記PCO2が0.1MPa未満であることを特徴とする、一置換カーボネート塩の製造方法。
【請求項2】
前記アルコールが式(1)で表される化合物であり、前記一置換カーボネート塩が式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【化1】
(上記式中、R
1は置換若しくは無置換の1価の炭化水素基であり、Aは塩基であり、A
m+は前記塩基由来のm価のカチオンであり、mは1又は2である。)
【請求項3】
前記R1が、置換若しくは無置換の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基及び置換若しくは無置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基から選ばれる1価の基である、請求項2に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【請求項4】
前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【請求項5】
前記Am+が、アンモニウムカチオン、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼニウムカチオン、カルボカチオン、アルカリ金属カチオン、及びアルカリ土類金属カチオンからなる群より選択されるカチオンである、請求項2又は3に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【請求項6】
前記PCO2/Ptが、0.01以上0.50以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【請求項7】
前記Ptが、0.01MPa以上0.15MPa以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一置換カーボネート塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電から排出される二酸化炭素(CO2)は、日本国内のCO2排気量の3割を占めており、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量削減を達成するための技術開発が強く求められている。
これについて、例えば、非特許文献1では、超塩基/ポリエチレングリコールによるCO2捕捉とそれに続く変換技術が検討されており、NH4Iの存在下、NH2PEG150NH2がCO2を捕捉して生成したカルバミン酸塩とアジリジンとの反応による環状カルバメートの生成が報告されている。
非特許文献2では、1気圧のCO2を利用してカーボネート塩を合成し、これを触媒とし、ジメチルカーボネートを反応剤として用いたエステル交換が検討されており、加圧(1.0MPa)CO2下でアルコールからカーボネートを、アミンから脂肪族カルバメートを合成したことが報告されている
非特許文献3では、1気圧のCO2を利用してポリエチレンイミン等の塩基からカーボネート塩を合成し、続く水素還元によりギ酸塩を合成する技術が検討されている。
非特許文献4には、室温で1気圧のCO2を利用してメタノールと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)からカーボネート塩を合成し、続く水素還元によりギ酸メチルを合成する技術が開示されている。
ところで、カルバミン酸エステルは、医薬、農薬、各種ファインケミカルズ、及びこれらの合成原料として広範な用途を有する有用な化合物である。これまでに、常圧の二酸化炭素を利用してカルバミン酸エステルを製造方法する方法が検討されている(例えば、非特許文献5~8参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Energy Environ. Sci., 2011, 4, p.3971-3975
【非特許文献2】New J. Chem., 2018, 42, p.13054-13064
【非特許文献3】Green Chem., 2013, 15, p.2825-2829
【非特許文献4】Inorg. Chem., 2014, 53, p.9849-9854
【非特許文献5】Phosphorus Sulfur Silicon Relat Elem, 2016, vol.191, p.1-7
【非特許文献6】Org. Lett., 2010, 12, p.1340-1343
【非特許文献7】Synth. Commun., 2007, 37, p.2651-2654
【非特許文献8】Monatsh. Chem., 2007, 138, p.57-60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の一置換カーボネート塩の製造方法及びカルバミン酸エステルの製造方法は、いずれも1気圧(0.1MPa)以上の二酸化炭素ガスを必要とする。
本発明は、カルバミン酸エステルの原料となり得る一置換カーボネート塩を、二酸化炭素を0.1MPa未満の分圧で含有する二酸化炭素含有ガスを原料として一置換カーボネート塩を簡便に製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させることで一置換カーボネート塩が生成することを見
出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の具体的態様等を提供する。
【0006】
[1]
アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程を含み、前記二酸化炭素含有ガスの全圧をP
tとし、前記二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧をP
CO2として、P
CO2/P
tが0.0001以上1以下であり、前記P
CO2が0.1MPa未満であることを特徴とする、一置換カーボネート塩の製造方法。
[2]
前記アルコールが式(1)で表される化合物であり、前記一置換カーボネート塩が式(2)で表される化合物である、[1]に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【化1】
(上記式中、R
1は置換若しくは無置換の1価の炭化水素基であり、Aは塩基であり、A
m+は前記塩基由来のm価のカチオンであり、mは1又は2である。)
[3]
前記R
1が、置換若しくは無置換の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基及び置換若しくは無置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基から選ばれる1価の基である、[2]に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
[4]
前記塩基が、有機塩基、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
[5]
前記A
m+が、アンモニウムカチオン、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼニウムカチオン、カルボカチオン、アルカリ金属カチオン、及びアルカリ土類金属カチオンからなる群より選択されるカチオンである、[2]又は[3]に記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
[6]
前記P
CO2/P
tが、0.01以上0.50以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
[7]
前記P
tが、0.01MPa以上0.15MPa以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の一置換カーボネート塩の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カルバミン酸エステルの原料となり得る一置換カーボネート塩を、二酸化炭素を0.1MPa未満の分圧で含有する二酸化炭素含有ガスを原料として一置換カーボネート塩を簡便に製造する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態において用いられる反応装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0010】
1.一置換カーボネート塩の製造方法
本発明の一実施形態に係る一置換カーボネート塩の製造方法は、アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程を含み、前記二酸化炭素含有ガスの全圧をPtとし、前記二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧をPCO2として、PCO2/Ptが0.0001以上1以下であり、前記PCO2が0.1MPa未満であることを特徴とする。
【0011】
アルコールと塩基と二酸化炭素含有ガスとを接触させることにより一置換カーボネート塩を生成する反応としては、例えば、以下に示す、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンとn-ブタノールに二酸化炭素/窒素混合ガスを通気させて一置換カーボネート塩を生成する反応が挙げられる。
【0012】
【0013】
この場合の反応機構は以下のように推測される。
【化3】
【0014】
本実施形態によれば、二酸化炭素ガスを含有する割合が0.15(15体積%)程度の低濃度の二酸化炭素含有ガスから、比較的短時間かつ高収率で一置換カーボネート塩を製造することができる。本実施形態に係る製造方法で得られる一置換カーボネート塩は、カルバミン酸エステルの合成に使用でき、排気ガス等に含まれる低濃度二酸化炭素を有用化成品に変換する技術となりえる。
以下、「アルコール」、「塩基」、「二酸化炭素含有ガス」、「一置換カーボネート塩」等について説明する。本明細書では、アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程を、単に「反応工程」ともいう。
【0015】
本実施形態においては、前記アルコールが式(1)で表される化合物であり、前記一置換カーボネート塩が式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【化4】
(上記式中、R
1は置換若しくは無置換の1価の炭化水素基であり、Aは塩基であり、A
m+は前記塩基由来のm価のカチオンであり、mは1又は2である。)
【0016】
1-1.アルコール
本実施形態に用いられるアルコールとしては特に限定されないが、式(1)で表される化合物であることが好ましい。
R1OH (1)
(上記式中、R1は置換若しくは無置換の1価の炭化水素基である。)
【0017】
(R1)
R1は、置換若しくは無置換の1価の炭化水素基である。本明細書において、「炭化水素基」とは、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素-炭素不飽和結合を有していてもよいし、分岐構造を有していてもよいし、環状構造を有していてもよい。また、脂肪族炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよい。
R1の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、通常30以下、好ましくは24以下、より好ましくは20以下である。
【0018】
R1で表される脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-ドコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、2-メチルアリル基、1-ペプチニル基、1-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、1-オクテニル基、2-メチル-1-プロペニル基等のアルケニル基;プロパルギル基等のアルキニル基;が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基が挙げられる。
【0019】
R1で表される炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、例えば、重水素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等の炭素数3~4のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲノ基;アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基及び水酸基等の含酸素官能基;シアノ基等の含窒素官能基;アルキルチオ基等の含硫黄官能基;アミド基、イミド基、ウレア基、ウレタン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、シアネート基、イソシアネート基、モルホリノ基等の酸素原子及び窒素原子を含む官能基;フラニル基等の含酸素複素環基、チエニル基等の含硫黄複素環基、ピロリル基、ピリジル基等の含窒素複素環等の複素環基;が挙げられる。
【0020】
R1で表される炭化水素基が置換基を有する場合、R1としては、例えば、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基;2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基;2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、4-ブロモフェニル基等のハロゲン置換フェニル基;4-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基等のニトロ置換フェニル基;ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等のアラルキル基;シクロヘキシルメチル基等のシクロアルキルアルキル基;フルフリル基等の含酸素複素環を有する炭化水素基;チエニルメチル基等の含硫黄複素環を有する炭化水素基;ピリジルメチル基等の含窒素複素環を有する炭化水素基;等を好ましく挙げることができる。
なお、炭化水素基が分岐したアルキル基等の場合は、主鎖の炭素数を炭化水素基の炭素数とする。また、炭化水素基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
【0021】
R1は、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基及び置換若しくは無置換の炭素数6~20の芳香族炭化水素基から選ばれる1価の基である。或いは、R1は、原料の入手の容易さの点から、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~24の1価の炭化水素基であり;より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~24のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素3~24のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6~24の1価の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数7~24のアラルキル基、又は置換若しくは無置換の含窒素複素環等の複素環基であり;さらに好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~12のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3~12のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のピリジル基である。置換基としては、得られる錯体の有用性から、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲノ基、又はニトロ基が好ましい。また、置換フェニル基としては、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基;4-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基;2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基等のハロゲン置換フェニル基、4-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基等のニトロ置換フェニル基が好ましい。
【0022】
アルコールとしては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール(n-プロピルアルコール)、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール(2-メチルプロピルアルコール)、1-ペンタノール(n-ペンチルアルコール)、2-ペンタノール(sec-アミルアルコール)、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール(イソアミルアルコール)、2-メチル-2-ブタノール(tert-アミルアルコール)、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール(ネオペンチルアルコール)、アリルアルコール、クロチルアルコール(2-ブテン-1-オール)、シンナミルアルコール(3-フェニル-1-プロパノール)、メタリルアルコール(2-メチル-1-プロパノール)、3-ブテン-2-オール、2-シクロヘキセン-1-オール、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、フェノール等が挙げられる。
【0023】
アルコールの使用量(仕込み量)は、通常、塩基の使用量(仕込み量)1.0モル当量に対し、好ましくはm×1.0モル当量以上であり(mは、式(2)中のmと同義である。)、反応速度向上の観点から、より好ましくはm×1.3モル当量以上、さらに好ましくはm×1.5モル当量以上である。
【0024】
1-2.塩基
本実施形態に用いられる塩基としては特に限定されないが、後述するAm+で表されるカチオン源となり得る、Aで表される塩基が好ましい。Aで表される塩基としては、有機
塩基、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0025】
有機塩基としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン;
トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムフルオリド等の4級アンモニウム塩;
ホルムアミジン、アセトアミジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、テトラフェニルホスフィン、テトラ-p-トリルホスフィン、トリフェニルベンジルホスフィン、トリフェニルブチルホスフィン、テトラエチルホスフィン、テトラブチルホスフィン、tert-ブチルイミノ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、tert-ブチルイミノ-トリ(ピロリジノ)ホスホラン、2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスホリン、1-tert-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)、1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)、塩化トリフェニルメチル、トリフェニルメタノール、1,3,5-シクロヘプタトリエン、アズレン等の有機塩基;が挙げられる。
【0026】
アルカリ金属塩としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等が挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0027】
1-3.二酸化炭素含有ガス
反応工程には、一置換カーボネート塩の原料である二酸化炭素(ガス)を含む二酸化炭素含有ガスを用いる。
本実施形態においては、二酸化炭素含有ガスの全圧をPtとし、前記二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧をPCO2として、PCO2/Ptが0.0001以上1以下であり、前記PCO2が0.1MPa未満である。
二酸化炭素含有ガスの全圧に対する二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素ガスの分圧の比(PCO2/Pt)は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.10以上であり、また、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.70以下、さらに好ましくは0.60以下、特に好ましくは0.50以下、最も好ましくは0.30以下である。
Ptで表される二酸化炭素含有ガスの全圧は、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、さらに好ましくは0.08MPa以上、また、好ましくは0.20MPa以下、より好ましくは0.15MPa以下、さらに好ましくは0.13MPa以下、特に好ましくは0.11MPa以下である。
PCO2で表される二酸化炭素ガスの分圧は0.1MPa未満であり、好ましくは0.07MPa以下、より好ましくは0.05MPa以下、さらに好ましくは0.03MPa以下、特に好ましくは0.02MPa以下であり、また、好ましくは0.001MPa以上、より好ましくは0.005MPa以上、さらに好ましくは0.01MPa以上である。
二酸化炭素含有ガスとしては、工業ガスとして調製されたものだけでなく、工場や発電所等からの排出ガスから分離回収した二酸化炭素含有混合ガスも用いることができる。
【0028】
1-4.一置換カーボネート塩
本実施形態において製造される一置換カーボネート塩は特に限定されず、目的に応じて決定すればよい。
本実施形態に係る製造方法において、アルコールとして式(1)で表される化合物を用い、Aで表される塩基を用いた場合、一般式(2)で表される化合物を製造することができる。
【0029】
【化5】
(上記式中、R
1は置換若しくは無置換の1価の炭化水素基であり、A
m+はAで表される塩基由来のm価のカチオンであり、mは1又は2である。)
【0030】
式(2)において、R1は、式(1)中のR1と同義である。
【0031】
(Am+で表されるカチオン)
Am+は、Aで表される塩基由来のm価のカチオンである。また、mは、1又は2であり、好ましくは1である。
Am+としては特に限定されないが、例えば、アンモニウムカチオン、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼニウムカチオン、カルボカチオン、アルカリ金属カチオン、又はアルカリ土類金属カチオンからなる群より選択されるカチオンが好ましい。
【0032】
アンモニウムカチオンとしては、例えば、n-ブチルアンモニウムカチオン等の1級アンモニウムカチオン;ジエチルアンモニウムカチオン等の2級アンモニウムカチオン;トリエチルアンモニウムカチオン等の3級アンモニウムカチオン;テトラメチルアンモニウムカチオン、フェニルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン等の4級アンモニウムカチオン;が挙げられる。
アミジニウムカチオンとしては、例えば、ホルムアミジン、アセトアミジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンがそれぞれプロトン化された、ホルムアミジニウムカチオン、アセトアミジニウムカチオン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エニウムカチオン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムカチオン、並びに1以上の置換基を有するこれらの誘導体等が挙げられる。前記置換基としては、項目(R1)の説明で例示したアルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基等が挙げられる。
グアニジニウムカチオンとしては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、及び7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンがそれぞれプロトン化された、1,1,3,3-テトラメチルグアニジニウムカチオン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジニウムカチオン、1,5,7-トリアザビシ及び7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エニウムカチオン、並びに1以上の置換基を有するこれらの誘導体等が挙げられる。前記置換基としては、項目(R1)の説明で例示したアルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基等が挙げられる。
【0033】
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ-tert-ブチルホスホニウムカチオン等の3級ホスホニウムカチオン;テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラ-p-トリルホスホニウムカチオン、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、トリフェニルブチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン等の4級ホスホニウムカチオンが挙げられる。
ホスファゼニウムカチオンとしては、例えば、tert-ブチルイミノ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、tert-ブチルイミノ-トリ(ピロリジノ)ホスホラン、2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスホリン、1-tert-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)、及び1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)がそれぞれプロトン化された、tert-ブチルイミノ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニウムカチオン、tert-ブチルイミノ-トリ(ピロリジノ)ホスホラニウムカチオン、2-tert-ブチルイミノ-2-ジエチルアミノ-1,3-ジメチルペルヒドロ-1,3,2-ジアザホスホリニウムカチオン、1-tert-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)、及び1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)オニウムカチオン、並びに1以上の置換基を有するこれらの誘導体等が挙げられる。前記置換基としては、項目(R1)の説明で例示したアルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基等の炭化水素基等が挙げられる。
【0034】
カルボカチオンとしては、例えば、トリフェニルメチルカチオン、トロピリウムカチオン、アズレニウムカチオン等の一価のカルボカチオンが挙げられる。
【0035】
アルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等が挙げられる。
アルカリ土類金属カチオンとしては、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン等が挙げられる。
【0036】
好ましくは、原料の入手の容易さの点から、アンモニウムカチオン、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼニウムカチオン、又はカルボカチオンであり、より好ましくはアンモニウムカチオン、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、又はホスファゼニウムカチオンである。中でも、好ましくはアンモニウムカチオン、又はアミジニウムカチオンである。
【0037】
式(1)で表される化合物の具体的な例として、下記式で表される化合物及びこれらの対カチオンが1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エニウムカチオン以外のアミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ホスファゼニウムカチオン、カルボカチオン、アルカリ金属カチオン、又はアルカリ土類金属カチ
オンである、アミジニウム塩、グアニジニウム塩、ホスホニウム塩、ホスファゼニウム塩、カルボカチオン塩、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0038】
【0039】
1-5.反応条件等
アルコールと、塩基と、二酸化炭素含有ガスと、を接触させる工程は、具体的には、例えば、次の通りに行うことができる。
まず、原料のアルコール及び塩基を反応容器に加える。この際、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応容器にアルコール及び塩基を加えた後、反応器内に連続的に二酸化炭素含有ガスを供給し、例えば、室温で10分~20分反応させる。溶媒を用いる場合は、二酸化炭素を反応器に導入する前に、反応容器に加えればよく、アルコール等と同時に反応器に加えてもよい。また、反応中、攪拌することが好ましく、例えば、磁気撹拌子を用いることができる。反応後は、冷却し、残存するガスを排出してから、反応生成物を回収する。
【0040】
反応工程に用いられる反応装置は特に限定されないが、アルコールと塩基の混合物に連続的に二酸化炭素含有ガスを供給できる装置が好ましい。
図1は、本実施形態において用いられる反応装置の概念図(断面図)である。
図1に示す反応装置は、主として、反応容器1、二酸化炭素含有ガスを供給する二酸化炭素含有ガス供給管3及び反応容器内の気体5を排出する排出管4から構成される。反応容器1は、一置換カーボネート塩に対して安定な材質から形成されていれば特に限定されない。反応容器1は、好ましくはアルコール、塩基及び、必要に応じて溶媒を含む反応混合物2の体積に対し1.5倍~100倍の容積を有することが好ましい。また、反応装置は、反応中、攪拌するための磁気撹拌子を備えてもよい。
【0041】
(反応温度)
反応温度は特に限定されないが、通常1℃以上、50℃以下であり、経済性の観点から、好ましくは室温である。なお、本明細書において室温とは1℃~30℃である。
【0042】
(反応時間)
反応時間は特に限定されず、反応温度、反応スケール等によって適宜調整すればよい。通常、5分以上、好ましくは10分以上であり、また、通常48時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下、さらに好ましくは3時間以下である。なお、本明細書において、「反応時間」は、二酸化炭素含有ガスを反応容器内に連続的に供給している二酸化炭素含有ガス供給時間とする。
【0043】
(溶媒)
反応工程は溶媒を使用してもよいし、使用しなくてもよい。より温和な条件下での一置換カーボネート塩生成を達成する観点、例えば、反応時間の短縮等を可能にせしめる観点からは、溶媒を使用しないことが好ましい。なお、「溶媒を使用しない」とは、反応試薬とは別途の溶媒を使用しないことを意味し、例えばアルコールのような反応基質を溶媒として用いる場合は、溶媒を使用しない条件であるものとする。
【0044】
反応溶媒の種類は特に限定されず、例えば、ブタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル;等の非極性溶媒が挙げられる。また、カルボン酸等のプロトン性極性溶媒;第三級カルボン酸アミド、スルホキシド、ケトン、ラクトン、ラクタム、ニトリル、尿素誘導体、スルホン、カルボン酸エステル、炭酸エステル等の非プロトン性極性溶媒;等の極性溶媒が挙げられる。
反応溶媒としては、極性溶媒が好ましく、プロトン性極性溶媒としては、例えば、ギ酸、酢酸等のカルボン酸が挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒としては、第三級カルボン酸アミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;アセトン、イソプロピルケトン等のケトン;γ-ブチロラクトン等のラクトン;N-メチルピロリドン(NMP)等のラクタム;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、2-シアノピリジン等のニトリル;尿素誘導体;スルホン;酢酸エチル等のカルボン酸エステル;炭酸エステル;等が挙げられる。
中でも、反応速度向上、生成物の溶解性の点から、N-メチルピロリドン又は1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが好ましく、N-メチルピロリドンがより好ましい。
反応溶媒は1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0045】
反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、塩基の体積に対して、通常0.5倍以上、好ましくは1.0倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり、通常20倍以下、好ましくは15倍以下、より好ましくは10倍以下で用いることができる。
【0046】
(その他工程)
本実施形態に係る一置換カーボネート塩の製造方法においては、上記反応工程の他、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、一置換カーボネート塩の純度を高めるための精製工程が挙げられる。精製工程においては、ろ過、吸着、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の有機合成分野で通常行われる精製方法を採用することができる。
【実施例0047】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0048】
【0049】
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1.52g,10.0mmol)、n-ブタノール(1.5mL)、及びN-メチルピロリドン(1.5mL)の混合物に対して、二酸化炭素/窒素混合ガス(v:v=15:85,Pt=0.1MPa,PCO2=0.015MPa,PCO2/Pt=0.15)を室温(25℃)で0.1L/minの流速で10分通気させた。通気開始から10分後、1H NMRにより1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンが完全に消費され、一置換カーボネート塩が定量的に生成していることを確認した。
【0050】
【0051】
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(912mg,6.0mmol)とn-ブタノール(2.0mL)との混合物に対して、二酸化炭素/窒素混合ガス(v:v=15:85,Pt=0.1MPa,PCO2=0.015MPa,PCO2/Pt=0.15)を室温(25℃)で0.1L/minの流速で10分通気させた。通気開始から10分後、1H NMRにより1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンが完全に消費され、一置換カーボネート塩が定量的に生成していることを確認した。
【0052】
【0053】
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(912mg,6.0mmol)、n-ブタノール(0.6mL)、及びN-メチルピロリドン(0.5mL)の混合物に対して、二酸化炭素/窒素混合ガス(v:v=15:85,Pt=0.1MPa,PCO2=0.015MPa,PCO2/Pt=0.15)を室温(25℃)で0.1L/minの流速で20分通気させた。通気開始から20分後、1H NMRにより1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンが完全に消費され、一置換カーボネート塩が定量的に生成していることを確認した。
本発明によれば、アルコール、塩基及び低濃度で二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガスを原料として、一置換カーボネート塩を簡便に製造することができる。本発明の製造方法で得られる一置換カーボネート塩は、カルバミン酸エステルの合成に使用でき、排気ガス等に含まれる低濃度二酸化炭素を有用化成品に変換する技術として有用である。