(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086528
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びレジストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220602BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20220602BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G03F7/004 501
C08F220/06
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198591
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】稲荷 宇俊
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】前橋 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】小室 嘉崇
(72)【発明者】
【氏名】川名 大助
(72)【発明者】
【氏名】陶 究
(72)【発明者】
【氏名】片岡 ▲祥▼
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197AA12
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2H225CA12
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2H225CC01
2H225CC07
2H225CD05
4J100AB07R
4J100AB07S
4J100AK13P
4J100AL08Q
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4J100FA03
4J100FA19
4J100JA37
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】安定性が高く、リソグラフィー特性に優れ、且つエッチング耐性が良好なレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、且つ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際に、前記レジスト膜の表面に偏析するポリマーを含有し、前記金属化合物は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオン又は前記金属原子の金属酸化物と、前記金属イオン又は前記金属酸化物に結合する結合子とを含み、前記金属イオン又は前記金属酸化物に含まれる前記金属原子の含有量が、前記レジスト組成物の総質量に対して、0.2~3質量%である、レジスト組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、且つ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際に、前記レジスト膜の表面に偏析するポリマーを含有し、
前記金属化合物は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオン又は前記金属原子の金属酸化物と、前記金属イオン又は前記金属酸化物に結合する結合子とを含み、
前記金属イオン又は前記金属酸化物に含まれる前記金属原子の含有量が、前記レジスト組成物の総質量に対して、0.2~3質量%であり、
前記ポリマーは、下記一般式(a01-1)で表される化合物から誘導される構成単位(a01)及び下記一般式(a02-1)で表される構成単位(a02)からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を有する、
レジスト組成物。
【化1】
[一般式(a01-1)中、W
01は、重合性基含有基であり;L
01は、単結合又は2価の連結基であり;A
01は、置換基を有してもよい炭化水素基である。ただし、W
01、L
01、及びA
01の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。
一般式(a02-1)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基(ただし、フッ素化アルキル基を除く)、又はハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く)であり;Y
02は、単結合又は2価の連結基であり;Ra
02は炭化水素基(ただし、酸解離性基を含むものを除く)である。]
【請求項2】
前記ポリマーが、前記構成単位(a01)を有する、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、前記構成単位(a01)以外の構成単位をさらに有する、請求項2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
前記ポリマーの含有量が、前記金属化合物100質量部に対して、0.1~50質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
【請求項5】
支持体上に、請求項1~4のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する、レジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
【0004】
最近では、より微細なパターンの再現に適したレジスト材料として、金属原子を含む化合物を基材成分とするレジスト組成物が提案されている。金属化合物を基材成分とするレジスト組成物では、露光により金属化合物の現像液に対する溶解性が低下し、ネガ型パターンを形成する。化学増幅型レジスト組成物とは異なり、酸の拡散が伴わないことから、微細パターンの形成により適している。
【0005】
例えば、特許文献1には、金属酸化物のコアに有機配位子が配位した錯体を含有するレジスト組成物が記載されている。また、特許文献2には、金属酸化物のコアに有機基が共有結合した化合物を含有するレジスト組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/156374号
【特許文献2】特表2016-530565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属化合物を基材成分として含有するレジスト組成物では、安定性が低く、レジスト膜を形成した後にレジスト膜が変質して難溶化する傾向がある。そのため、未露光部でも現像液に対するレジスト膜の溶解性が低下し、現像時に溶解しにくくなる場合がある。また、未露光部が現像液に対して溶解しにくくなることにより、レジストパターンの形状が劣化するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、安定性が高く、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性に優れ、且つエッチング耐性が良好なレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、金属化合物を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、且つ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際に、前記レジスト膜の表面に偏析するポリマーを含有し、前記金属化合物は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオン又は前記金属原子の金属酸化物と、前記金属イオン又は前記金属酸化物に結合する結合子とを含み、前記金属イオン又は前記金属酸化物に含まれる前記金属原子の含有量が、前記レジスト組成物の総質量に対して、0.2~3質量%であり、前記ポリマーは、下記一般式(a01-1)で表される化合物から誘導される構成単位(a01)及び下記一般式(a02-1)で表される構成単位(a02)からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を有する、レジスト組成物である。
【0010】
【化1】
[一般式(a01-1)中、W
01は、重合性基含有基であり;L
01は、単結合又は2価の連結基であり;A
01は、置換基を有してもよい炭化水素基である。ただし、W
01、L
01、及びA
01の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。
一般式(a02-1)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基(ただし、フッ素化アルキル基を除く)、又はハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く)であり;Y
02は、単結合又は2価の連結基であり;Ra
02は炭化水素基(ただし、酸解離性基を含むものを除く)である。]
【0011】
本発明の第2の態様は、支持体上に、前記第1の態様に係るレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有するレジストパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安定性が高く、レジストパターン形状等のリソグラフィー特性に優れ、且つエッチング耐性が良好なレジスト組成物、及び当該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0014】
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、例えばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(-SO3H)等が挙げられる。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(例えばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
【0015】
「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
【0016】
「基材成分」とは、膜形成能を有する化合物である。本明細書において、基材成分として用いられる化合物は、金属化合物(M)である。金属化合物(M)は、後述するように、金属又は金属酸化物と、結合子と、が結合した構造を有し、露光により金属化合物どうしが架橋して、ネットワークを形成する。前記結合子は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。
【0017】
「誘導される構成単位」とは、炭素原子間の多重結合、例えば、エチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rαx)は、水素原子以外の原子又は基である。また、置換基(Rαx)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rαx)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルを、α置換アクリル酸エステルということがある。
【0018】
「誘導体」とは、対象化合物のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物の水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位とは、特に断りがない限り、官能基と隣接した1番目の炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、Rαxと同様のものが挙げられる。
【0019】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0020】
(レジスト組成物)
本発明の第1の態様に係るレジスト組成物は、金属化合物(M)を含有し、露光により、前記金属化合物の構造が変化し、且つ前記金属化合物の現像液に対する溶解性が変化するものである。
かかるレジスト組成物は、金属化合物(M)(以下「(M)成分」ともいう)と、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際に、前記レジスト膜の表面に偏析するポリマー(P)(以下「(P)成分」ともいう)と、を含有する。
【0021】
本実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部では(M)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(M)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
【0022】
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。本実施形態のレジスト組成物は、通常、ネガ型レジスト組成物である。また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理に、アルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
【0023】
<金属化合物(M)>
本実施形態のレジスト組成物は、金属化合物(M)((M)成分)を含有する。(M)成分は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオン又は前記金属原子の金属酸化物と、前記金属イオン又は前記金属酸化物に結合する結合子とを含む金属化合物である。本実施態様のレジスト組成物は、(M)成分を基材成分として含有する。(M)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の有機溶剤に対する溶解性が変化するため、溶剤現像プロセスにおいて、良好な現像コントラストを得ることができる。
【0024】
溶剤現像プロセスを適用する場合、(M)成分を含む基材成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により、有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成される。
【0025】
≪金属イオン又は金属酸化物((M1)成分)≫
(M)成分は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオン又は前記金属原子の金属酸化物(以下、まとめて「(M1)成分」ともいう)を含む。
【0026】
第3族の金属原子としては、例えば、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等が挙げられる。
第4族の金属原子としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等が挙げられる。
第5族の金属原子としては、例えば、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等が挙げられる。
第6族の金属原子としては、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等が挙げられる。
第7族の金属原子としては、例えば、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)等が挙げられる。
第8族の金属原子としては、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)等が挙げられる。
第9族の金属原子としては、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。
第10族の金属原子としては、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等が挙げられる。
第11族の金属原子としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等が挙げられる。
第12族の金属原子としては、例えば、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(g)等が挙げられる。
第13族の金属原子としては、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等が挙げられる。
第14族の金属原子としては、例えば、ゲルマニウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が挙げられる。
第15族の金属原子としては、例えば、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等が挙げられる。
第16族の金属原子としては、例えば、テルル(Te)、ボロニウム(Po)等が挙げられる。
【0027】
金属原子としては、第3族、第4族、第5族、第6族、第13族、第14族、及び第15族の金属原子が好ましく、第4族、第14族の金属原子がより好ましい。これらの金属原子としては、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、アルミニウム、スズ、アンチモンが好ましく、ジルコニウム、ハフニウム、スズがより好ましい。
【0028】
(M1)成分は、金属イオンであってもよい。金属イオンは、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオンである限り、特に限定されない。
金属イオンの具体例としては、例えば、ジルコニウムイオン(Zr4+)、ハフニウムイオン(Hf4+)、コバルト(Co2+,Co3+)、ニッケル(Ni2+,Ni3+)、亜鉛(Zn2+)、スズ(Sn2+,Sn4+)、アンチモン(Sb3+)、テルル(Te4+)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
(M1)成分は、長期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属酸化物であってもよい。金属酸化物は、金属原子と酸素とが共有結合して形成される化合物である。金属酸化物としては、例えば、上記で挙げた金属原子の金属酸化物が挙げられる。
金属酸化物を構成する金属原子の具体例としては、前記金属原子と同様の金属原子が挙げられるが、これらに限定されない。金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化スカンジウム(III)(Sc2O3)、酸化イットリウム(III)(Y2O3)等の第3族元素の金属酸化物;酸化チタン(IV)(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化ハフニウム(IV)(HfO2)等の第4族元素の金属酸化物;酸化バナジウム(V)(V2O5)、酸化ニオブ(V)(Nb2O5)、酸化タンタル(V)(Ta2O5)等の第5族元素の金属酸化物;酸化クロム(VI)(CrO3)、酸化モリブデン(VI)(MoO3)、酸化タングステン(VI)(WO3)等の第6族元素の金属酸化物;酸化アルミニウム(III)(Al2O3)、酸化ガリウム(III)(Ga2O3)、酸化インジウム(III)(In2O3)等の第13族元素の金属酸化物;二酸化ゲルマニウム(GaO2)、酸化スズ(II)(SnO)、酸化スズ(IV)(SnO2)等の第14族元素の金属酸化物;三酸化アンチモン(Sb2O3)等の第15元素の金属酸化物等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、金属酸化物は、金属酸化物の水酸化物であってもよい。金属酸化物の水酸化物としては、例えば、Zr6O4(OH)4、Hf6O4(OH)4、Sn12O14(OH)6等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
(M1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
≪結合子((M2)成分)≫
(M)成分は、前記金属イオン又は金属酸化物に結合する結合子(M2)(以下、「(M2)成分」ともいう)を含む。金属イオン又は金属酸化物と、結合子との結合様式は、特に限定されず、共有結合、配位結合、及びイオン結合のいずれであってもよい。
【0032】
(M2)成分は、金属イオン又は金属酸化物と結合できるものであれば、特に限定されない。結合子としては、例えば、炭素数1~20の有機基、及び無機アニオン等が挙げられる。
炭素数1~20の有機基は、炭素数1~15が好ましく、炭素数1~12がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましい。無機アニオンとしては、例えば、水酸化物イオン(OH-)、硫化水素イオン(SH-)、メタリン酸イオン(PO3
-)、硝酸イオン(NO3
-)等が挙げられる。
【0033】
・共有結合する結合子(M2-1)
金属イオン又は金属酸化物に共有結合する結合子(以下、「結合子(M2-1)」ともいう)としては、下記式(m2-1)で表される有機基が挙げられる。
【0034】
【化2】
[式中、Rm
1は、炭素数1~20の1価の有機基を表す。*は、金属イオン又は金属酸化物に対する結合を表す。金属イオン又は金属酸化物に結合するRm
1が2個以上存在する場合、前記2個以上のRm
1は、相互に結合して、2価以上の連結基を形成してもよい。]
【0035】
前記式(m2-1)中、Rm1は、炭素数1~20の1価の有機基を表す。Rm1における有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基は、炭素数1~15が好ましく、炭素数1~10がより好ましく、炭素数1~6がさらに好ましく、炭素数1~3が特に好ましい。前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0036】
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基が特に好ましい。
直鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数2~15のアルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基若しくはアルキニル基がより好ましく、炭素数2~6のアルケニル基若しくはアルキニル基がさらに好ましく、炭素数2~3のアルケニル基若しくはアルキニル基が特に好ましい。
【0037】
分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数3~6の分岐鎖状アルキル基がさらに好ましく、炭素数3~4の分岐鎖状アルキル基が特に好ましい。
分岐鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基が好ましく、炭素数3~10の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基がより好ましく、炭素数3~6の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基がさらに好ましく、炭素数3~4の分岐鎖状アルケニル基若しくはアルキニル基が特に好ましい。
【0038】
前記脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含むものであってもよい。構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数3~15が好ましく、炭素数3~10がより好ましく、炭素数3~6がさらに好ましい。環状脂肪族炭化水素基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0039】
Rm1における有機基は、芳香族炭化水素基であってもよい。芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は炭素数5~20が好ましく、炭素数6~15がより好ましく、炭素数6~12がさらに好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として、例えば、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基は、炭素数1~4が好ましく、炭素数1~3がより好ましく、炭素数1~2が特に好ましい。
【0040】
Rm1における炭化水素基は、置換基を有してもよい。前記置換基は、炭化水素鎖の水素原子(-H)を置換するものであってもよく、炭化水素鎖のメチレン基(-CH2-)を置換するものであってもよい。
水素原子を置換する基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基、ニトロ基、チオール基、シアノ基、リン酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。前記置換基としてのアルコキシ基及びアシル基は、炭素数1~6が好ましく、炭素数1~3がより好ましく、炭素数1又は2がさらに好ましい。
メチレン基を置換する基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
Rm1としては、炭化水素基が好ましく、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基が特に好ましい。Rm1の具体例としては、例えば、炭素数1~15の分岐鎖状アルキル基(例、t-ブチル基等)、炭素数2~15の直鎖状不飽和炭化水素基(例、ビニル基等)、炭素数1~15の直鎖状アルキル基(例、メチル基、エチル基、n-ブチル基等)、炭素数6~15の芳香族炭化水素基(例、フェニル基等)が挙げられ、炭素数1~15の分岐鎖状アルキル基(例、t-ブチル基等)、炭素数2~15の直鎖状不飽和炭化水素基(例、ビニル基等)、炭素数1~15の直鎖状アルキル基(例、メチル基、エチル基、n-ブチル基等)が好ましく、炭素数1~15の分岐鎖状アルキル基(例、t-ブチル基等)、炭素数2~15の直鎖状不飽和炭化水素基(例、ビニル基等)がより好ましく、炭素数1~15の分岐鎖状アルキル基(例、t-ブチル基等)がさらに好ましい。
【0042】
金属イオン又は金属酸化物に結合する結合子(M2-1)が2個以上存在する場合、前記2個以上の結合子(M2-1)に含まれる2個以上のRm1は、相互に結合して、2価以上の連結基を形成してもよい。
【0043】
結合子(M2-1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
・配位結合する結合子(M2-2)
金属イオン又は金属酸化物に配位結合する結合子(以下、「結合子(M2-2)」ともいう)としては、有機アニオン又は無機アニオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、水酸化物イオン(OH-)、硫化水素イオン(SH-)、メタリン酸イオン(PO3
-)、硝酸イオン(NO3
-)等が挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、下記一般式(m2-2)で表される有機アニオンが挙げられる。
【0045】
【化3】
[式中、Rm
2は、有機基を表す。X
2は、アニオン性基を表す。mは、0~3の整数を表す。nは、1~4の整数を表す。m/nが2以上であるとき、複数のRm
2は、相互に同じであってもよく、異なっていてもよい。n/mが2以上であるとき、複数のX
2は、相互に同じであってもよく、異なっていてもよい。]
【0046】
前記式(m2-2)中、Rm2は、有機基を表す。前記有機基としては、置換基を有してもよい炭化水素基が挙げられる。前記炭化水素基としては、前記式(m2-1)中のRm1における1価の炭化水素基として挙げた基、前記式(m2-1)中のRm1における1価の炭化水素基として挙げた基から1個の水素原子を除いた基、前記式(m2-1)中のRm1における1価の炭化水素基として挙げた基から2個の水素原子を除いた基、前記式(m2-1)中のRm1における1価の炭化水素基として挙げた基から3個の水素原子を除いた基が挙げられる。好ましい例としては、前記式(m2-1)中のRm1における1価の炭化水素基として挙げた好ましい例の基から、1~3個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
【0047】
Rm2における炭化水素基は、置換基を有してもよい。置換基としては、前記式(m2-1)中のRm1における置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
水素原子を置換する基としては、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基等が好ましい。前記置換基としてのアルコキシ基及びアシル基は、炭素数1~6が好ましく、炭素数1~3がより好ましく、炭素数1又は2がさらに好ましい。
メチレン基を置換する基としては、例えば、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
mは、0~3を表す。
nは、1~4の整数を表す。nは、mが1のとき、1~3が好ましく、1又は2がより好ましい。nは、mが2又は3のとき、1が好ましい。
【0049】
Rm2の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。式中、*は、式(m2-2)中のX2に対する結合を表す。
【0050】
【0051】
前記式(m2-2)中、X2は、m/n価のアニオン性基を表す。アニオン性基は、負の電荷を帯びた原子を含む官能基である。X2としては、-O-、-S-、-SO-、-SS-、SO3
-、P(OH)O3
-、-NH-、-N--CO-を含むアニオン性基が好ましい。
【0052】
X2の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。式中、*は、式(m2-2)中のRm2に対する結合を表す。
【0053】
【0054】
結合子(M2-2)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0055】
【0056】
結合子(M2-2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
・イオン結合する結合子(M2-3)
金属イオン又は金属酸化物にイオン結合する結合子(以下、「結合子(M2-3)」ともいう)としては、有機アニオン又は無機アニオンが挙げられる。前記有機アニオン及び無機アニオンとしては、前記結合子(M2-2)で挙げた有機アニオン及び無機アニオンと同様のものが挙げられる。
【0058】
結合子(M2-3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
(M2)成分が結合子(M2-3)である場合、(M1)成分は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子の金属イオンである。(M2)成分が結合子(M2-3)である場合の(M)成分の例を以下に示す。
【0060】
【化7】
[式中、M
01は、長周期型周期表における第3族から第16族の金属原子のp価のカチオンを表し;M
02は、p価のアニオンである結合子(M2)を表す。]
【0061】
(M1)成分に対する(M2)成分の割合としては、(M1)成分100質量部に対して、10~900質量部が好ましく、30~400質量部がより好ましく、30~200質量部がさらに好ましい。(M1)成分と(M2)成分とのモル比としては、(M1)成分:(M2)成分(モル比)=1:1~1:20が好ましく、1:4~1:14がより好ましく、1:12~1:14がさらに好ましい。(M1)成分に対する(M2)成分の割合を前記好ましい範囲内にすることにより、レジスト組成物の安定性が向上する。
【0062】
(M)成分中の金属原子の含有量は、10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。(M)成分中の金属原子の含有量を前記好ましい範囲内にすることにより、レジスト組成物の安定性が向上する。
【0063】
本実施形態のレジスト組成物では、金属イオン又は金属酸化物に含まれる金属原子の含有量(以下、「金属原子の含有量」ともいう)が、前記レジスト組成物の総質量(100質量%)に対して、0.2~3質量%である。金属原子の含有量が、前記範囲内であることにより、ネガ型レジスト組成物としての機能が発揮される。
レジスト組成物の総質量(100質量%)に対する、金属原子の含有量は、下記式により算出することができる。
金属原子の含有量(質量%)=[((M)成分の総質量に対する金属原子の含有量(質量%))×((M)成分の総質量)]/(レジスト組成物の総質量)
【0064】
前記式中、「(M)成分の総質量に対する金属原子の含有量(質量%)」は、(M)成分を600℃で加熱した後に残留する金属酸化物の質量と、前記加熱に供した(M)成分の質量とに基づいて算出することができる。
【0065】
(M)成分の金属化合物は、公知の方法を用いて製造することができる。
例えば、(M1)成分を構成する金属の金属アルコキシドと、(M2)成分とを、適切な溶媒中で反応させることで、(M)成分の金属化合物を得ることができる。前記溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等を用いることができる。これたの溶媒の具体例としては、例えば、後述の(S)成分で挙げる溶媒等が挙げられる。
前記反応温度としては、0~150℃が挙げられ、10~120℃が好ましい。反応時間としては、30分~24時間が挙げられ、1~20時間が好ましい。
【0066】
<ポリマー(P)>
本実施形態のレジスト組成物は、上記(M)成分に加えて、ポリマー(P)((P)成分)を含有する。(P)成分は、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した際に、前記レジスト膜の表面に偏析するポリマーである。(P)成分は、下記一般式(a0-1)で表される化合物から誘導される構成単位(a01)及び下記一般式(a02-1)で表される構成単位(a02)からなる群より選択される少なくとも一種の構成単位を有する。
【0067】
【化8】
[一般式(a01-1)中、W
01は、重合性基含有基であり;L
01は、単結合又は2価の連結基であり;A
01は、置換基を有してもよい炭化水素基である。ただし、W
01、L
01、及びA
01の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。
一般式(a02-1)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基(ただし、フッ素化アルキル基を除く)、又はハロゲン原子(ただし、フッ素原子を除く)であり;Y
02は、単結合又は2価の連結基であり;Ra
02は炭化水素基(ただし、酸解離性基を含むものを除く)である。]
【0068】
(P)成分は、レジスト膜を形成した際に、レジスト膜の表面に偏析する。これにより、レジスト膜と空気との接触が抑制されて、レジスト膜の難溶化が抑制される。
【0069】
≪構成単位(a01)≫
構成単位(a01)は、前記一般式(a01-1)で表される化合物から誘導される構成単位である。
【0070】
式(a01-1)中、W01は、重合性基含有基である。
「重合性基」とは、重合性基を有する化合物がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。構成単位(a01)おいては、該重合性基における多重結合が開裂して主鎖を形成している。
【0071】
W01における重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、ビニルナフチル基、含フッ素スチリル基、含フッ素ビニルナフチル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基等が挙げられる。
【0072】
W01における「重合性基含有基」としては、重合性基のみから構成される基でもよいし、重合性基と該重合性基以外の他の基とから構成される基でもよい。該重合性基以外の他の基としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。
【0073】
・置換基を有してもよい2価の炭化水素基:
該重合性基以外の他の基が、置換基を有してもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0074】
・・該重合性基以外の他の基における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0075】
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましく、炭素数1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH2-]、エチレン基[-(CH2)2-]、トリメチレン基[-(CH2)3-]、テトラメチレン基[-(CH2)4-]、ペンタメチレン基[-(CH2)5-]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~10であることが好ましく、炭素数3~6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましく、炭素数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0076】
前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1~5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0077】
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3~20であることが好ましく、炭素数3~12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0078】
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-が好ましい。
【0079】
・・該重合性基以外の他の基における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、炭素数5~20がより好ましく、炭素数6~15がさらに好ましく、炭素数6~12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子2つを除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子2つを除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子1つを除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記のアリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、炭素数1~2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。
【0080】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば、当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0081】
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
該重合性基以外の他の基が、ヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)2-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有してもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0~3の整数である。]等が挙げられる。
前記のへテロ原子を含む2価の連結基が-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-C(=O)-、-NH-、-NH-C(=NH)-の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~5であることが特に好ましい。
一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)2-O-Y22-中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有してもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基において、m”は0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基としては、式-Y21-C(=O)-O-Y22-で表される基が特に好ましい。中でも、式-(CH2)a’-C(=O)-O-(CH2)b’-で表される基が好ましい。該式中、a’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0082】
W01の重合性基含有基としては、例えば、化学式:C(RX11)(RX12)=C(RX13)-Yax0-で表される基が好適に挙げられる。前記化学式中、RX11、RX12及びRX13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基であり、Yax0は、単結合または2価の連結基である。
【0083】
RX11、RX12及びRX13における炭素数1~5のアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1~5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1~5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。
これらの中でも、RX11及びRX12としては、それぞれ、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子、メチル基がより好ましい。
また、RX13としては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子、メチル基がより好ましい。
【0084】
Yax0における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられ、それぞれ上記と同様である。
【0085】
上記の中でも、Yax0としては、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]、エーテル結合(-O-)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、芳香族炭化水素基又はこれらの組合せ、あるいは単結合であることが好ましい。これらの中でも、Yax0としては、エステル結合[-C(=O)-O-、-O-C(=O)-]と直鎖状のアルキレン基との組み合わせから構成させる基、又は単結合であることがより好ましい。Yax0は、好ましくは単結合である。
【0086】
前記式(a01-1)中、L01は、単結合又は2価の連結基である。
L01における2価の連結基としては、前記W01における重合性基以外の他の基として挙げた置換基を有してもよい2価の炭化水素基、及びヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0087】
前記式(a01-1)中、A01は、置換基を有してもよい炭化水素基である。
A01における置換基を有してもよい炭化水素基としては、前記一般式(m2-1)中のRm1における1価の有機基として挙げた置換基を有してもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。A01における炭化水素基は、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~15がより好ましく、炭素数1~12がさらに好ましい。
【0088】
式(a0-1)中、W01、L01、及びA01の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。W01、L01、及びA01が含むフッ素原子の数は、特に限定されない。構成単位(a01)が含むフッ素原子の合計数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。フッ素原子の合計数の上限値は特に限定されないが、例えば、15個以下であり、好ましくは10個以下である。W01、L01、及びA01が有する炭化水素基における水素原子の1%以上がフッ素原子に置換されていてもよく、10%以上がフッ素原子に置換されていることが好ましく、20%以上がフッ素原子に置換されていることがより好ましく、100%がフッ素原子に置換されていてもよい。
【0089】
構成単位(a01)としては、下記一般式(a01-2)で表される化合物から誘導される構成単位が好ましい。
【0090】
【化9】
[式中、W
011は、重合性基含有基であり;L
011は、単結合又は-CO-O-であり;A
011は、フッ素原子を含む置換基を有してもよい炭化水素基である。]
【0091】
式(a01-2)中、W011は、重合性基含有基である。
W011における重合性基含有基としては、前記式(a01-1)中のW01で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0092】
式(a01-2)中、L011は、単結合又は-CO-O-である。
【0093】
式(a01-2)中、A011は、フッ素原子を含む置換基を有してもよい炭化水素基である。
A011におけるフッ素原子を含む置換基を有してもよい炭化水素基としては、前記式(a01-1)中のA01で挙げたものにおいて、1個以上のフッ素原子を含むものが挙げられる。A011が含むフッ素原子の数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。フッ素原子の合計数の上限値は特に限定されないが、例えば、15個以下であり、好ましくは10個以下である。A011が有する炭化水素基における水素原子の1%以上がフッ素原子に置換されていてもよく、10%以上がフッ素原子に置換されていることが好ましく、20%以上がフッ素原子に置換されていることがより好ましく、100%がフッ素原子に置換されていてもよい。
A011としては、直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキレン基を含む基が好ましい。A011としては、トリフルオロメチル基を含む基がより好ましい。
【0094】
構成単位(a01)としては、下記一般式(a01-2-1)、又は下記一般式(a01-2-2)若しくは(a01-2-3)でで表される化合物から誘導される構成単位が好ましい。
【0095】
【化10】
[式(a01-2-1)中、R
011は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、又はハロゲン原子を表し;Va
012は、置換基を有してもよい2価の炭化水素基を表し;Ya
012は、-CO-O-又は-O-CO-を表し;Ra
012は、置換基を有してもよい炭化水素基を表し;n
a01は、0~2の整数を表す。ただし、Va
012及びRa
012の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。n
a01が2である場合、複数のVa
012及びYa
012は、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。]
【0096】
【化11】
[式中、Rb
011は炭素数1~12のフッ素化アルキル基である。Rb
012はフッ素原子を有してもよい炭素数1~12の有機基又は水素原子である。Wb
011及びWb
012は、重合性基含有基である。Yb
011は、単結合又は(n
b01+1)価の連結基である。Yb
011とWb
011とは縮合環を形成していてもよい。Yb
012は、単結合又は(n
b02+1)価の連結基である。n
b01及びn
b02は、1~3の整数である。]
【0097】
前記式(a01-2-1)中、R011は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、又はハロゲン原子を表す。
Rにおける炭素数1~5のアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1~5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1~5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0098】
前記式(a01-2-1)中、Va012は、置換基を有してもよい2価の炭化水素基を表す。Va012における2価の炭化水素基としては、前記式(a01-1)中のW01における重合性基以外の他の基として挙げた置換基を有してもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。Va012における2価の炭化水素基は、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましい。
Va012は、飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキレン基が好ましい。
【0099】
前記式(a01-2-1)中、Ya012は、-CO-O-又は-O-CO-を表す。
【0100】
前記式(a01-2-1)中、Ra012は、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。
Ra012における炭化水素基としては、前記一般式(m2-1)中のRm1における1価の有機基として挙げた置換基を有してもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。Ra012における炭化水素基は、炭素数1~15が好ましく、炭素数1~10がより好ましく、炭素数1~6がさらに好ましい。
Ra012は、飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基が好ましい。
【0101】
前記式(a01-2-1)中、na01は、0~2の整数を表す。na01が2である場合、複数のVa012は、相互に同じでもよく、異なっていてもよい。na01が2である場合、複数のYa012は、相互に同じでもよく、異なっていてもよい。
【0102】
前記式(a01-2-1)中、Va012及びRa012の少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子を含む。Va012及びRa012が含むフッ素原子の合計数は、特に限定されないが、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。Va012及びRa012が含むフッ素原子の合計数の上限値としては、例えば、15個以下、又は10個以下が挙げられる。Va012及びRa012が有する炭化水素基における水素原子の1%以上がフッ素原子に置換されていてもよく、10%以上がフッ素原子に置換されていることが好ましく、20%以上がフッ素原子に置換されていることがより好ましく、100%がフッ素原子に置換されていてもよい。
Va012がフッ素原子を含む場合、Va012は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された2価の基である。Va012としては、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキレン基が好ましく、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキレン基がより好ましい。
Ra012がフッ素原子を含む場合、Ra012は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された1価の基である。Ra012は、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基がより好ましい。Ra012は、トリフルオロメチル基を含むことがさらに好ましい。
【0103】
前記式(a01-2-2)及び(a01-2-3)中、Wb011及びwb012は、重合性基含有基を表す。
Wb011及びwb012における重合性基含有基としては、前記式(a01-1)中のW01で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0104】
前記式(a01-2-2)及び(a01-2-3)中、Rb011は炭素数1~12のフッ素化アルキル基を表す。
炭素数1~12のフッ素化アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。前記アルキル基は直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。
炭素数1~12の直鎖状のフッ素化アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。炭素数1~12の分岐鎖状のフッ素化アルキル基として、具体的には、1-メチルエチル基、1,1-ジメチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
【0105】
Rb011の炭素数1~12のフッ素化アルキル基としては、上記の中でも、炭素数1~5のフッ素化アルキル基がより好ましく、具体的にはトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0106】
前記式(a01-2-2)及び(a01-2-3)中、Rb012はフッ素原子を有してもよい炭素数1~12の有機基又は水素原子である。
【0107】
Rb012のフッ素原子を有してもよい炭素数1~12の有機基としては、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。
炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。該直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、Rb011の炭素数1~12のフッ素化アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0108】
Rb012が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0109】
Rb012が環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、フルオレン等の芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
【0110】
Rb012の炭素数1~12の有機基は、フッ素原子以外の置換基を有してもよい。該置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0111】
Rb012は炭素数1~12のフッ素化アルキル基であることが好ましく、炭素数1~5のフッ素化アルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基であることが更に好ましい。
【0112】
前記式(a01-2-2)中、Yb011は、単結合又は(nb01+1)価、すなわち2価、3価又は4価の連結基である。
【0113】
Yb011における2価の連結基としては、前記式(a01-1)中のW01における重合性基以外の他の基として挙げた置換基を有してもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0114】
Yb011における3価の連結基としては、前記Yb011における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。
【0115】
Yb011における4価の連結基としては、前記Yb011における2価の連結基から水素原子を2個除いた基などが挙げられる。
【0116】
Yb011とWb011とは縮合環を形成していてもよい。
Yb011とWb011とが縮合環を形成する場合、その環構造としては、例えば、脂環式炭化水素と芳香族炭化水素との縮合環が挙げられる。Yb011とWb011とが形成する縮合環は、ヘテロ原子を有してもよい。
Yb011とWb011とが形成する縮合環における、脂環式炭化水素の部分は単環でもよいし、多環でもよい。
Yb011とWb011とが形成する縮合環としては、Wb011部位の重合性基とYb011とが形成する縮合環、Wb011部位の重合性基以外の他の基とYb011とが形成する縮合環が挙げられる。具体的には、シクロアルケンと芳香族環との2環縮合環、シクロアルケンと2つの芳香族環との3環縮合環、置換基として重合性基を有するシクロアルカンと芳香族環との2環縮合環、置換基として重合性基を有するシクロアルカンと芳香族環との3環縮合環等が挙げられる。
【0117】
Yb011とWb011とが形成する縮合環は、置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0118】
以下に、Yb011とWb011とが形成する縮合環の具体例を示す。Wαは重合性基を示す。**は、Rb011及びRb012が結合する炭素原子に対する結合を示す。
【0119】
【0120】
前記式(a01-2-3)中、Yb012は、単結合又は(nb02+1)価の連結基を表す。Yb012としては、前記Yb011と同様のものが挙げられる。
【0121】
前記式(a01-2-2)及び(a01-2-3)中、nb01及びnb02は、1~3の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0122】
構成単位(a01)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
(P)成分が有する構成単位(a01)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0127】
(P)成分は、構成単位(a01)を有することが好ましい。(P)成分が構成単位(a01)を有する場合、(P)成分中の構成単位(a01)の割合は、(P)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、60モル%以上が特に好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(a01)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることにより、レジスト膜の難溶化がより抑制され、パターン形状等のリソグラフィー特性が向上する。
【0128】
≪構成単位(a02)≫
構成単位(a02)は、前記一般式(a02-1)で表される構成単位である。構成単位(a02)は、フッ素原子を含まない構成単位である。一般式(a02-1)で表される構成単位のうち、構成単位(a01)に該当するものは除外される。
【0129】
前記式(a02-1)中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。Rは、前記一般式(a01-2-1)中のR011と同様である。ただし、Rにおけるハロゲン化アルキル基から、フッ素化アルキル基は除かれる。Rにおけるハロゲン原子から、フッ素原子は除かれる。
【0130】
前記式(a02-1)中、Y02は、単結合又は2価の連結基である。
Y02における2価の連結基としては、前記式(a01-1)中のW01における重合性基以外の他の基として挙げた置換基を有してもよい2価の炭化水素基、及びヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0131】
前記式(a02-1)中、Ra02は、炭化水素基(ただし、酸解離性基を含むものを除く)である。
Ra02における炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の炭化水素基が挙げられる。ただし、酸解離性基を含むものは、Ra02における炭化水素基からは除外される。酸解離性基としては、後述の構成単位(a1)において説明する酸解離性基が挙げられる。
Ra02における炭化水素基は、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~15がより好ましく、炭素数1~12がさらに好ましい。Ra02における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基が好ましい。前記脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、前記一般式(m2-1)中のRm1で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0132】
構成単位(a02)としては、例えば、下記の構成単位(a5)、構成単位(a12)等が挙げられる。
【0133】
・構成単位(a5)
構成単位(a02)は、酸非解離性の脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a5)であってもよい。構成単位(a5)における「酸非解離性脂肪族炭化水素基」は、酸が作用しても解離することのない脂肪族炭化水素基である。
【0134】
構成単位(a5)としては、例えば酸非解離性の脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該脂肪族炭化水素基は、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
【0135】
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよいが、飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、構造中に環を含むものであってもよい。
【0136】
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数1~20が好ましく、炭素数1~15がより好ましく、炭素数1~10がさらに好ましい。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数2~20が好ましく、炭素数3~15がより好ましく、炭素数3~10がさらに好ましい。
【0137】
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基は、炭素数3~20が好ましく、炭素数3~15がより好ましく、炭素数3~12がさらに好ましい。該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、工業上入手し易いなどの点から、特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの多環式基は、炭素原子数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
【0138】
構成単位(a5)が含む脂肪族炭化水素基は、構造中に感を含む脂肪族炭化水素基が好ましく、脂環式脂肪族炭化水素基がより好ましく、多環式脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
【0139】
構成単位(a5)としては、下記一般式(a5-1)で表される構成単位が好ましい。
【0140】
【化16】
[式中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。R
51は、脂肪族炭化水素基を表す。]
【0141】
前記式(a5-1)中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。
前記式(a5-1)中、R51は、脂肪族炭化水素基を表す。前記脂肪族炭化水素基は、上記と同様である。R51における脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が好ましく、脂環式炭化水素基がより好ましく、多環式脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。
【0142】
構成単位(a5)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。以下の各式中、Rαは、水素原子又はメチル基を示す。
【0143】
【0144】
上記の中でも、構成単位(a5)は、式(a5-1)~(a5-8)のいずれかで表される構成単位が好ましく、式(a5-1)~(a5-6)のいずれかで表される構成単位がより好ましい。
【0145】
・構成単位(a12)
構成単位(a02)は、芳香族炭化水素基を含む構成単位(a12)であってもよい。構成単位(a02)としては、前記一般式(a02-1)中のRa02が芳香族炭化水素基であるものが挙げられる。Ra02における芳香族炭化水素基としては、、前記一般式(m2-1)中のRm1で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0146】
以下に、構成単位(a12)の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0147】
【0148】
【0149】
(P)成分が有する構成単位(a02)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0150】
構成単位(a02)としては、レジスト膜の表面に偏析しやすくなることから、疎水性の高いものが好ましい。構成単位(a02)としては、上記の中でも、構成単位(a5)が好ましい。
【0151】
(P)成分が構成単位(a01)を有する場合、(P)成分中の構成単位(a02)の割合は、(P)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、10モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、100モル%であってもよい。
構成単位(a02)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることにより、レジスト膜の難溶化がより抑制され、パターン形状等のリソグラフィー特性が向上する。
【0152】
≪他の構成単位≫
(P)成分は、上記構成単位(a01)及び/又は(a02)に加えて、他の構成単位を有していてもよい。他の構成単位としては、下記構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a9)、(a11)が挙げられる。下記構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a9)、(a11)の説明において、ハロゲン化アルキル基からはフッ素化アルキル基が除外される。また、ハロゲン原子からはフッ素原子が除外される。
【0153】
・構成単位(a1)
構成単位(a1)は、酸解離性基を含む構成単位(但し、構成単位(a01)に該当するものを除く)である。
【0154】
酸解離性基としては、これまで、化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものが挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものとして具体的には、以下に説明する「アセタール型酸解離性基」、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」、「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」が挙げられる。
【0155】
アセタール型酸解離性基:
前記極性基のうちカルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある。)が挙げられる。
【0156】
【化20】
[式中、Ra’
1、Ra’
2は水素原子またはアルキル基である。Ra’
3は炭化水素基であって、Ra’
3は、Ra’
1、Ra’
2のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
【0157】
式(a1-r-1)中、Ra’1及びRa’2のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra’1又はRa’2がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0158】
式(a1-r-1)中、Ra’3の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素原子数が1~5であることが好ましく、炭素原子数が1~4がより好ましく、炭素原子数1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn-ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0159】
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数が3~10であることが好ましく、炭素原子数3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
【0160】
Ra’3が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0161】
Ra’3の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra’3における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2であることがより好ましく、炭素原子数1であることが特に好ましい。
【0162】
Ra’3における環状の炭化水素基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、-RP1、-RP2-O-RP1、-RP2-CO-RP1、-RP2-CO-ORP1、-RP2-O-CO-RP1、-RP2-OH、-RP2-CN又は-RP2-COOH(以下これらの置換基をまとめて「Rax5」ともいう。)等が挙げられる。
ここで、RP1は、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素原子数6~30の1価の芳香族炭化水素基である。また、RP2は、単結合、炭素原子数1~10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素原子数3~20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素原子数6~30の2価の芳香族炭化水素基である。但し、RP1及びRP2の鎖状飽和炭化水素基、脂肪族環状飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部はハロゲン原子で置換されていてもよい。上記脂肪族環状炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有していてもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有していてもよい。
炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素原子数6~30の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
【0163】
Ra’3が、Ra’1、Ra’2のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4~7員環が好ましく、4~6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0164】
第3級アルキルエステル型酸解離性基:
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-2)で表される酸解離性基が挙げられる。
なお、下記式(a1-r-2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある。
【0165】
【化21】
[式中、Ra’
4~Ra’
6はそれぞれ炭化水素基であって、Ra’
5、Ra’
6は互いに結合して環を形成してもよい。]
【0166】
Ra’4の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra’4における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、環状の炭化水素基(単環式基である脂肪族炭化水素基、多環式基である脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)は、前記Ra’3と同様のものが挙げられる。
Ra’4における鎖状もしくは環状のアルケニル基は、炭素原子数2~10のアルケニル基が好ましい。
Ra’5、Ra’6の炭化水素基としては、前記Ra’3と同様のものが挙げられる。
【0167】
Ra’5とRa’6とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1-r2-1)で表される基、下記一般式(a1-r2-2)で表される基、下記一般式(a1-r2-3)で表される基が好適に挙げられる。
一方、Ra’4~Ra’6が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1-r2-4)で表される基が好適に挙げられる。
【0168】
【化22】
[式(a1-r2-1)中、Ra’
10は、一部がハロゲン原子又はヘテロ原子含有基で置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1~12のアルキル基を示す。Ra’
11はRa’
10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基を示す。式(a1-r2-2)中、Yaは炭素原子である。Xaは、Yaと共に環状の炭化水素基を形成する基である。この環状の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra
101~Ra
103は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基である。この鎖状飽和炭化水素基及び脂肪族環状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra
101~Ra
103の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。式(a1-r2-3)中、Yaaは炭素原子である。Xaaは、Yaaと共に脂肪族環式基を形成する基である。Ra
104は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。式(a1-r2-4)中、Ra’
12及びRa’
13は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra’
14は、置換基を有してもよい炭化水素基である。*は結合手を示す。]
【0169】
上記の式(a1-r2-1)中、Ra’10は、一部がハロゲン原子もしくはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素原子数1~12のアルキル基である。
【0170】
Ra’10における、直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1~12であり、炭素原子数1~10が好ましく、炭素原子数1~5が特に好ましい。
Ra’10における、分岐鎖状のアルキル基としては、前記Ra’3と同様のものが挙げられる。
【0171】
Ra’10におけるアルキル基は、一部がハロゲン原子もしくはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基を構成する水素原子の一部が、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。また、アルキル基を構成する炭素原子(メチレン基など)の一部が、ヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
ここでいうヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、(-O-)、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-等が挙げられる。
【0172】
式(a1-r2-1)中、Ra’11(Ra’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基)は、式(a1-r-1)におけるRa’3の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基)として挙げた基が好ましい。その中でも、単環式の脂環式炭化水素基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がより好ましく、シクロペンチル基がさらに好ましい。
【0173】
式(a1-r2-2)中、XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基としては、前記式(a1-r-1)中のRa’3における環状の1価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基)から水素原子1個以上をさらに除いた基が挙げられる。
XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、上記Ra’3における環状の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(a1-r2-2)中、Ra101~Ra103における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
Ra101~Ra103における、炭素原子数3~20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基等が挙げられる。
Ra101~Ra103は、中でも、合成容易性の観点から、水素原子、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基が好ましく、その中でも、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0174】
上記Ra101~Ra103で表される鎖状飽和炭化水素基、又は脂肪族環状飽和炭化水素基が有する置換基としては、例えば、上述のRax5と同様の基が挙げられる。
【0175】
Ra101~Ra103の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成することにより生じる炭素-炭素二重結合を含む基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、シクロペンチリデンエテニル基、シクロへキシリデンエテニル基等が挙げられる。これらの中でも、合成容易性の観点から、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチリデンエテニル基が好ましい。
【0176】
式(a1-r2-3)中、XaaがYaaと共に形成する脂肪族環式基は、式(a1-r-1)におけるRa’3の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましい。
式(a1-r2-3)中、Ra104における芳香族炭化水素基としては、炭素原子数5~30の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。中でも、Ra104は、炭素原子数6~15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ベンゼン又はナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ベンゼンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
【0177】
式(a1-r2-3)中のRa104が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0178】
式(a1-r2-4)中、Ra’12及びRa’13は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。Ra’12及びRa’13における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、上記のRa101~Ra103における、炭素原子数1~10の1価の鎖状飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
Ra’12及びRa’13は、中でも、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記Ra’12及びRa’13で表される鎖状飽和炭化水素基が置換されている場合、その置換基としては、例えば、上述のRax5と同様の基が挙げられる。
【0179】
式(a1-r2-4)中、Ra’14は、置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra’14における炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
【0180】
Ra’14における直鎖状のアルキル基は、炭素原子数が1~5であることが好ましく、1~4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0181】
Ra’14における分岐鎖状のアルキル基は、炭素原子数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
【0182】
Ra’14が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0183】
Ra’14における芳香族炭化水素基としては、Ra104における芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。中でも、Ra’14は、炭素原子数6~15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
Ra’14が有していてもよい置換基としては、Ra104が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0184】
式(a1-r2-4)中のRa’14がナフチル基である場合、前記式(a1-r2-4)における第3級炭素原子と結合する位置は、ナフチル基の1位又は2位のいずれであってもよい。
式(a1-r2-4)中のRa’14がアントリル基である場合、前記式(a1-r2-4)における第3級炭素原子と結合する位置は、アントリル基の1位、2位又は9位のいずれであってもよい。
【0185】
前記式(a1-r2-1)で表される基の具体例を以下に挙げる。
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
前記式(a1-r2-2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
前記式(a1-r2-3)で表される基の具体例を以下に挙げる。
【0194】
【0195】
前記式(a1-r2-4)で表される基の具体例を以下に挙げる。
【0196】
【0197】
第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基:
前記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
【0198】
【化31】
[式中、Ra’
7~Ra’
9はそれぞれアルキル基である。]
【0199】
式(a1-r-3)中、Ra’7~Ra’9は、それぞれ炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素原子数は、3~7であることが好ましく、炭素原子数3~5であることがより好ましく、炭素原子数3~4であることが最も好ましい。
【0200】
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の-C(=O)-OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
【0201】
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1-1)又は(a1-2)で表される構成単位が挙げられる。
【0202】
【化32】
[式中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。Va
1は、エーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基である。n
a1は、0~2の整数である。Ra
1は、上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-2)で表される酸解離性基である。Wa
1はn
a2+1価の炭化水素基であり、n
a2は1~3の整数であり、Ra
2は上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-3)で表される酸解離性基である。]
【0203】
前記式(a1-1)中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。
【0204】
前記式(a1-1)中、Va1における2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0205】
Va1における2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0206】
前記直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH2-]、エチレン基[-(CH2)2-]、トリメチレン基[-(CH2)3-]、テトラメチレン基[-(CH2)4-]、ペンタメチレン基[-(CH2)5-]等が挙げられる。
前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数3~6がより好ましく、炭素原子数3又は4がさらに好ましく、炭素原子数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0207】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、前記直鎖状の脂肪族炭化水素基または前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0208】
Va1における2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素原子数が3~30であることが好ましく、5~30であることがより好ましく、5~20がさらに好ましく、6~15が特に好ましく、6~12が最も好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0209】
前記式(a1-1)中、Ra1は、上記式(a1-r-1)又は(a1-r-2)で表される酸解離性基である。
【0210】
前記式(a1-2)中、Wa1におけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2~4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
【0211】
前記式(a1-2)中、Ra2は、上記の一般式(a1-r-1)又は(a1-r-3)で表される酸解離性基である。
【0212】
以下に前記式(a1-1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、又はメチル基を示す。
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0222】
(P)成分が構成単位(a1)を有する場合、(P)成分中の構成単位(a1)の割合は、(P)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、1~60モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることによって、他の構成単位とのバランスが取りやすくなる。
【0223】
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基、-SO2-含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(但し、酸解離性基を含むものを除く)である。
【0224】
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
【0225】
【化41】
[式中、Ra’
21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO
2-含有環式基であり;A”は酸素原子(-O-)もしくは硫黄原子(-S-)を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数であり、m’は0または1である。]
【0226】
前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素原子数1~6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(-O-)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0227】
Ra’21における-COOR”、-OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO2-含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素原子数は1~15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素原子数1~10であることが好ましく、炭素原子数1~5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素原子数3~15であることが好ましく、炭素原子数4~12であることがさらに好ましく、炭素原子数5~10が最も好ましい。具体的には、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における-SO2-含有環式基としては、後述の-SO2-含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数が1~6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
【0228】
前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中、A”における炭素原子数1~5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に-O-または-S-が介在する基が挙げられ、例えばO-CH2-、-CH2-O-CH2-、-S-CH2-、-CH2-S-CH2-等が挙げられる。A”としては、炭素原子数1~5のアルキレン基または-O-が好ましく、炭素原子数1~5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
【0229】
下記に一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
【0230】
【0231】
【0232】
「-SO2-含有環式基」とは、その環骨格中に-SO2-を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、-SO2-における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に-SO2-を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。-SO2-含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
-SO2-含有環式基は、特に、その環骨格中に-O-SO2-を含む環式基、すなわち-O-SO2-中の-O-S-が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
-SO2-含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
【0233】
【化44】
[式中、Ra’
51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO
2-含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0~2の整数である。]
【0234】
前記一般式(a5-r-1)~(a5-r-2)中、A”は、前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中のA”と同様である。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-O-を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
【0239】
【化48】
[式中、Ra’
x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO
2-含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素原子数1~5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、p’は0~3の整数であり、q’は0または1である。]
【0240】
前記一般式(ax3-r-2)~(ax3-r-3)中、A”は、前記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
【0241】
【0242】
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2-1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0243】
【化50】
[式中、前記式(a02-1)中のRと同様である。Ya
21は単結合または2価の連結基である。La
21は-O-、-COO-、-CON(R’)-、-OCO-、-CONHCO-又は-CONHCS-であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa
21が-O-の場合、Ya
21は-CO-にはならない。Ra
21はラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO
2-含有環式基である。]
【0244】
前記式(a2-1)中、Rは前記と同じである。
【0245】
前記式(a2-1)中、Ya21における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適に挙げられる。
【0246】
・置換基を有してもよい2価の炭化水素基:
Ya21が置換基を有してもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよい。
【0247】
・・Ya21における脂肪族炭化水素基
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0248】
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH2-]、エチレン基[-(CH2)2-]、トリメチレン基[-(CH2)3-]、テトラメチレン基[-(CH2)4-]、ペンタメチレン基[-(CH2)5-]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数3~6がより好ましく、炭素原子数3又は4がさらに好ましく、炭素原子数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-等のアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-等のアルキルエチレン基;-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0249】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0250】
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0251】
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることがより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-が好ましい。
【0252】
・・Ya21における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でもよいし、多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2であることがより好ましく、炭素原子数1であることが特に好ましい。
【0253】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることがより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0254】
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとしては、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)2-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有してもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0~3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-C(=O)-、-NH-、-NH-C(=NH)-の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~5であることが特に好ましい。
一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)2-O-Y22-中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記Ya21における2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有してもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
Y21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Y22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基において、m”は0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基としては、式-Y21-C(=O)-O-Y22-で表される基が特に好ましい。なかでも、式-(CH2)a’-C(=O)-O-(CH2)b’-で表される基が好ましい。該式中、a’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0255】
上記の中でも、Ya21としては、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-]、エーテル結合(-O-)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましい。
【0256】
前記式(a2-1)中、Ra21はラクトン含有環式基、-SO2-含有環式基またはカーボネート含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基、-SO2-含有環式基、カーボネート含有環式基としてはそれぞれ、前述した一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基、一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基、一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が好適に挙げられる。
中でも、ラクトン含有環式基または-SO2-含有環式基が好ましく、前記一般式(a2-r-1)、(a2-r-2)、(a2-r-6)または(a5-r-1)でそれぞれ表される基がより好ましい。具体的には、前記化学式(r-lc-1-1)~(r-lc-1-7)、(r-lc-2-1)~(r-lc-2-18)、(r-lc-6-1)、(r-sl-1-1)、(r-sl-1-18)でそれぞれ表される、いずれかの基がより好ましい。
【0257】
・構成単位(a3)
構成単位(a3)は、極性基を含む構成単位(但し、酸解離性基を含むもの、及び構成単位(a2)に該当するものを除く)である。構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
【0258】
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたヒドロキシアルキル基、オキシ基(-O-)等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
【0259】
構成単位(a3)が極性基含有脂肪族炭化水素基を含む場合、前記脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1~10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
【0260】
該環式基が単環式基である場合、炭素原子数は3~10であることがより好ましい。その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族単環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該単環式基としては、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基を例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどのモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの単環式基の中でも、シクロペンタンから2個以上の水素原子を除いた基、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0261】
該環式基が多環式基である場合、該多環式基の炭素原子数は7~30であることがより好ましい。その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0262】
構成単位(a3)としては、極性基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素原子数1~10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3-1)で表される構成単位、式(a3-2)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0263】
【化51】
[式中、Rは前記と同じであり、jは1~3の整数であり、kは1~3の整数であり、t’は1~3の整数であり、lは0~5の整数であり、sは1~3の整数である。]
【0264】
式(a3-1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
【0265】
式(a3-2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
【0266】
構成単位(a3)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。以下の各式中、Rαは、水素原子又はメチル基を示す。
【0267】
【0268】
・構成単位(a9)
構成単位(a9)は、下記の一般式(a9-1)で表される構成単位である。
【0269】
【化53】
[式中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。Ya
91は、単結合又は2価の連結基である。Ya
92は、2価の連結基である。R
91は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。]
【0270】
前記式(a9-1)中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。
【0271】
前記式(a9-1)中、Ya91における2価の連結基は、上述のYax0で説明した内容と同様である。中でも、Ya91としては、単結合であることが好ましい。
【0272】
前記式(a9-1)中、Ya92における2価の連結基は、上述のYax0で説明した内容と同様である。
Ya92における2価の連結基において、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
また、Ya92における2価の連結基において、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-、-C(=S)-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21、[Y21-C(=O)-O]m’-Y22-または-Y21-O-C(=O)-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0~3の整数である。]等が挙げられる。なかでも、-C(=O)-、-C(=S)-が好ましい。
【0273】
前記式(a9-1)中、R91における炭化水素基としては、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。
R91におけるアルキル基は、炭素数1~8が好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が好ましいものとして挙げられる。
R91における1価の脂環式炭化水素基は、炭素数3~20が好ましく、炭素数3~12がより好ましく、多環式でもよく、単環式でもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
R91におけるアリール基は、炭素数6~18であるものが好ましく、炭素数6~10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
R91におけるアラルキル基としては、炭素数1~8のアルキレン基と上記「R91におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキレン基と上記「R91におけるアリール基」とが結合したアラルキル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基と上記「R91におけるアリール基」とが結合したアラルキル基が特に好ましい。
【0274】
R91における炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、オキソ基(=O)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)、-SO2-NH2等が挙げられる。また、その炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-NH-、-N=、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)2-、-S(=O)2-O-が挙げられる。
R91において、置換基を有する炭化水素基としては、前記の一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基が挙げられる。
【0275】
また、R91において、置換基を有する炭化水素基としては、前記の一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO2-含有環式基;下記化学式で表される置換アリール基、1価の複素環式基なども挙げられる。
【0276】
【0277】
構成単位(a9)の中でも、下記一般式(a9-1-1)で表される構成単位が好ましい。
【0278】
【化55】
[式中、Rは前記と同様であり、Ya
91は単結合または2価の連結基であり、R
91は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R
92は酸素原子又は硫黄原子である。]
【0279】
一般式(a9-1-1)中、Ya91、R91、Rについての説明は前記同様である。また、R92は酸素原子又は硫黄原子である。
【0280】
以下に、前記式(a9-1)又は一般式(a9-1-1)で表される構成単位の具体例を示す。下記式中、Rαは、水素原子又はメチル基を示す。
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
・構成単位(a11)
構成単位(a11)は、下記一般式(a11-1)で表される構成単位である。
【0285】
【化59】
[式中、Rは、前記式(a02-1)中のRと同じである。Ya
x1は、単結合又は2価の連結基である。Wa
x1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。n
ax1は、1以上の整数である。]
【0286】
前記式(a11-1)中、前記式(a02-1)中のRと同じである。
【0287】
前記式(a11-1)中、Yax1は、単結合又は2価の連結基である。
前記の化学式中、Yax1における2価の連結基としては、特に限定されないが、前記式(a2-1)中のYa21における2価の連結基と同様のものが挙げられる。
【0288】
前記式(a11-1)中、Wax1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。
Wax1における芳香族炭化水素基としては、置換基を有してもよい芳香環から(nax1+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。ここでの芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。該芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
また、Wax1における芳香族炭化水素基としては、2以上の置換基を有してもよい芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から(nax1+1)個の水素原子を除いた基も挙げられる。
上記の中でも、Wax1としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンまたはビフェニルから(nax1+1)個の水素原子を除いた基が好ましく、ベンゼン又はナフタレンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がより好ましく、ベンゼンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がさらに好ましい。
【0289】
Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよく、有していなくてもよい。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。前記置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、前記式(a2-1)中のYa21における環状の脂肪族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。前記置換基は、炭素原子数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、エチル基又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有していないことが好ましい。
【0290】
前記式(a11-1)中、nax1は、1以上の整数であり、1~10の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。
【0291】
以下に、前記式(a11-1)で表される構成単位(a11)の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子又はメチル基を示す。
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
(P)成分としては、構成単位(a01)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a02)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a01)と構成単位(a02)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a01)と任意の構成単位(例えば、構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a9)又は(a11))の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a02)と任意の構成単位(例えば、構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a9)又は(a11))の繰り返し構造を有する高分子化合物;及び構成単位(a01)と構成単位(a02)と任意の構成単位(例えば、構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a9)又は(a11))の繰り返し構造を有する高分子化合物が挙げられる。
【0297】
(P)成分は、構成単位(a01)を有することが好ましく、構成単位(a01)と構成単位(a01)以外の構成単位とを有することがより好ましい。前記構成単位(a01)以外の構成単位としては、構成単位(a02)、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、構成単位(a9)、及び構成単位(a11)のいずれであってもよいが、構成単位(a02)が好ましい。構成単位(a02)の中でも、構成単位(a5)が好ましく、脂環式基を有する構成単位(a5)がより好ましい。
【0298】
(P)成分の好ましい例としては、構成単位(a01)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a01)と構成単位(a02)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a01)と構成単位(a1)の繰り返し構造を有する高分子化合物;及び構成単位(a01)と構成単位(a02)と構成単位(a1)の繰り返し構造を有する高分子化合物が挙げられる。
より好ましい例としては、構成単位(a01)と構成単位(a02)の繰り返し構造を有する高分子化合物;構成単位(a01)と構成単位(a1)の繰り返し構造を有する高分子化合物;及び構成単位(a01)と構成単位(a02)と構成単位(a1)の繰り返し構造を有する高分子化合物が好ましく、構成単位(a01)と構成単位(a02)の繰り返し構造を有する高分子化合物がより好ましい。
【0299】
(P)成分が、構成単位(a01)と他の構成単位とを有する場合、構成単位(a01)と他の構成単位とのモル比は、構成単位(a01):他の構成単位(構成単位(a02)、構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、構成単位(a9)又は構成単位(a11))は、2:8~8:2であることが好ましく、3:7~7:3であることがより好ましく、4:6~6:4であることがさらに好ましい。
【0300】
(P)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0301】
(P)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを重合溶媒に溶解し、ここに、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(例えばV-601など)等のラジカル重合開始剤を加えて重合することにより製造することができる。
【0302】
(P)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~50000が好ましく、2000~30000がより好ましく、3000~20000がさらに好ましい。
(P)成分のMwが、前記範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、前記範囲の下限値以上であると、リソグラフィー特性が良好である。
(P)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~4.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.0が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0303】
本実施形態のレジスト組成物中の(P)成分の含有量は、特に限定されないが、前記(M)成分100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましく、3~20質量部がさらに好ましく、5~15質量部が特に好ましい。
本実施形態のレジスト組成物中、(P)成分の含有量は、レジスト組成物の総質量(100質量%)に対して、0.001~3質量%が好ましく、0.001~1質量%がより好ましく、0.01~0.1質量%がさらに好ましい。
(P)成分の含有量が、前記範囲の下限値以上であると、レジスト膜と空気との接触が抑制されやすくなり、レジスト膜の難溶化が抑制されやすくなる。(P)成分の含有量が、前記範囲の上限値以下であると、他の成分とのバランスが取りやすくなる。
【0304】
(P)成分の好ましい例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0305】
【0306】
【0307】
<他の成分:(E)成分>
本実施形態のレジスト組成物は、前記(M)成分及び(P)成分に加えて、他の成分を含有していてもよい。
【0308】
≪架橋促進剤:成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、架橋促進剤を含有してもよい。架橋促進剤は、光又は熱によって酸又は塩基を発生する化合物である。架橋促進剤を含有することで、レジストパターン形成性及びエッチング選択性を向上させることができる。架橋促進剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N-スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。架橋促進剤としては、熱によって酸又は塩基を発生する熱架橋促進剤が好ましく、中でもオニウム塩化合物が好ましい。
【0309】
オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0310】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2-テトラフルオロ-6-(1-アダマンタンカルボニロキシ)-ヘキサン-1-スルホネート等が挙げられる。
【0311】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0312】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0313】
アンモニウム塩としては、例えば蟻酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタン酸アンモニウム、ペンタン酸アンモニウム、ヘキサン酸アンモニウム、ヘプタン酸アンモニウム、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、リノール酸アンモニウム、リノレイン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、p-アミノ安息香酸アンモニウム、p-トルエンスルホン酸アンモニウム、メタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロエタンスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。また、上記アンモニウム塩のアンモニウムイオンが、メチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、ブチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、ジメチルジエチルアンモニウムイオン、ジメチルエチルプロピルアンモニウムイオン、メチルエチルプロピルブチルアンモニウムイオン、エタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等に置換されたアンモニウム塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン蟻酸塩、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンp-トルエンスルホン酸塩等の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン蟻酸塩、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネンp-トルエンスルホン酸塩等の1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン塩等が挙げられる。
【0314】
N-スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ノナフルオロ-n-ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(パーフルオロ-n-オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0315】
中でも、オニウム塩化合物が好ましく、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩がより好ましく、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、酢酸テトラメチルアンモニウム、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンp-トルエンスルホン酸塩がさらに好ましい。
【0316】
架橋促進剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。架橋促進剤の含有量としては、前記(M)成分100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0317】
≪界面活性剤≫
本実施形態のレジスト組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤は塗布性、ストリエーション等を改良する作用を示す成分である。(界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名として、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-102、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC-106(以上、旭硝子社)等が挙げられる。
【0318】
界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。界面活性剤の配合量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0319】
≪他の添加剤:(G)成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、架橋促進剤、界面活性剤以外の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0320】
【0321】
≪有機溶剤成分(S)≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」という)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解又は分散し、均一な溶液又は分散液とすることができるものであればよく、従来、レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチルブチルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(S)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。なかでも、PGMEA、PGME、γ-ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノン、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。
【0322】
また、(S)成分としては、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ-ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が、好ましくは70:30~95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.1~20質量%、好ましくは0.2~15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
【0323】
本実施形態のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0324】
本実施形態のレジスト組成物は、上記レジスト材料を(S)成分に溶解させた後、ポリイミド多孔質膜、ポリアミドイミド多孔質膜等を用いて、不純物等の除去を行ってもよい。例えば、ポリイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリイミド多孔質膜及びポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター等を用いて、レジスト組成物の濾過を行ってもよい。前記ポリイミド多孔質膜及び前記ポリアミドイミド多孔質膜としては、例えば、特開2016-155121号公報に記載のもの等が例示される。
【0325】
以上説明した本実施形態のレジスト組成物は、金属化合物((M)成分)を基材成分とて含有するレジスト組成物において、構成単位(a01)及び構成単位(a02)からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するポリマー((P)成分)を含有する。これにより、レジスト膜形成後の難溶化が抑制され、パターン形状等のリソグラフィー特性が向上し、且つ良好なエッチング耐性が維持される。
これは、レジスト膜を形成した際に、(P)成分がレジスト膜表面に偏析し、レジスト膜と空気との接触を妨げ、レジスト膜の難溶化を抑制するためと考えられる。
【0326】
(レジストパターン形成方法)
本発明の第2の態様に係るレジストパターン形成方法は、支持体上に、上述した実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を有する。
かかるレジストパターン形成方法の一実施形態としては、例えば以下のようにして行うレジストパターン形成方法が挙げられる。
【0327】
まず、上述した実施形態のレジスト組成物を、支持体上にスピンナー等で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えば電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。現像処理は、通常、溶剤現像プロセスにより行う。
【0328】
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を、超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することができる。
【0329】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
【0330】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性がより高く、EBまたはEUV用としての有用性が特に高い。すなわち、本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を露光する工程が、前記レジスト膜に、EUV(極端紫外線)又はEB(電子線)を露光する操作を含む場合に特に有用な方法である。
【0331】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70~180℃のものが好ましく、80~160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2-ブチル-テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0332】
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC-C(=O)-Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC-C(=O)-O-Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤である。「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC-O-Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。
【0333】
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)が好ましい。
【0334】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
【0335】
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
【0336】
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0337】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、例えば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0338】
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、例えば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6~8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。具体的には、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノールが好ましく、1-ヘキサノール、2-ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。但し、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0339】
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、例えば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0340】
以上説明した本実施形態のレジストパターン形成方法によれば、上述した第1の態様のレジスト組成物が用いられているため、レジスト膜の難溶化が抑制される。これにより、パターン形状等のリソグラフィー特性に優れ、且つ良好なエッチング耐性を維持したレジストパターンを形成することができる。
【実施例0341】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0342】
<金属化合物の製造>
(製造例1:金属化合物(M-1))
ジルコニウム(IV)ブトキシド38.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)50gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、メタクリル酸43.0gを混合し、80℃で4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、低沸点物をエバポレーターにて除去し、金属化合物(M-1)の粉体を得た。このサンプルを600℃で加熱し、ZrO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-1)の金属原子含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は32質量%であるとわかった。
【0343】
(製造例2:金属化合物(M-2))
ジルコニウム(IV)ブトキシド38.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)50gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、メタクリル酸34.4gと酢酸5.99gを混合し、60℃で4時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、低沸点物をエバポレーターにて除去し、金属化合物(M-2)の粉体を得た。このサンプルを600℃で加熱し、ZrO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-2)の金属含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は33質量%であるとわかった。
【0344】
(製造例3:金属化合物(M-3))
ハフニウム(IV)エトキシド47.0g及びテトラヒドロフラン(THF)50gを混合し、25℃で10分間攪拌した後、メタクリル酸43.0gを混合し、80℃で5時間加熱撹拌を行った。反応終了後、室温まで冷却し、低沸点物をエバポレーターにて除去し、金属化合物(M-3)の粉体を得た。このサンプルを600℃で加熱し、HfO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-3)の金属含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は51質量%であるとわかった。
【0345】
(製造例4:金属化合物(M-4))
東京化成工業株式会社からトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)ハフニウム(IV)トリフラート(製品コード:T1708)を購入し、金属化合物(M-4)として用いた。このサンプルを600℃で加熱し、HfO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-4)の金属含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は23質量%であるとわかった。
【0346】
(製造例5:金属化合物(M-5))
モノブチルスズオキシド水和物(BuSnOOH)粉末0.209gを10mLの4-メチル-2-ペンタノールに添加した。溶液を閉鎖バイアルに入れ、24時間攪拌させた。得られた混合物を4000rpmで15分間遠心分離し、0.45μmのPTFEシリンジフィルタによりろ過し、低沸点物をエバポレーターにて除去し、金属化合物(M-5)の粉体を得た。このサンプルを600℃で加熱し、SnO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-5)の金属含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は57質量%であるとわかった。
【0347】
(製造例6:金属化合物(M-6))
下記の各モノマーを、所定のモル比で混合し、重合開始剤V-601とテトラヒドロフランの存在下で、窒素ガス雰囲気下、室温で撹拌した。その後、70℃まで昇後、5時間に亘って加熱撹拌した後、これを室温まで放冷した。上記反応溶液を、ヘプタン中に滴下し、反応生成物を沈殿させ、ろ過した。ヘプタンを用いて、ろ過した固体のかけ洗いを行なった。その後、洗浄後の固体を減圧乾燥に供して、金属化合物(M-6)を得た。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は9800、分子量分散度(Mw/Mn)は1.78。13C-NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n/o=25/25/40/10であった。このサンプルを600℃で加熱し、FeO2残留質量に基づいて、金属化合物(M-5)の金属含有量を算出した。その結果、金属原子含有量は3.0質量%であるとわかった。
【0348】
【0349】
金属化合物(M-1)~(M-6)における(M1)成分(金属イオン又は金属酸化物)及び(M2)成分(結合子)を表1にまとめた。
【0350】
【0351】
<レジスト組成物の調製>
(実施例1~17、比較例1~6)
表2~3に示す各成分を混合して溶解し、各例のレジスト組成物をそれぞれ調製した。
【0352】
【0353】
【0354】
表2~3中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(M)-1~(M)-6:それぞれ上記の金属化合物(M-1)~(M-6)。
【0355】
(P)-1~(P)-10:下記の化学式(P-1)~(P-10)でそれぞれ表されるポリマー。各ポリマーは、各ポリマーを構成する構成単位を誘導するモノマーを、所定のモル比で用いてラジカル重合させることによって得た。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、及び分子量分散度(Mw/Mn)、並びに13C-NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、それぞれ以下の通りであった。
(P)-1:Mw=9800、Mw/Mn=1.68、l/m=60/40。
(P)-2:Mw=12000、Mw/Mn=1.56、l/m=70/30。
(P)-3:Mw=13000、Mw/Mn=1.69、l/m=80/20。
(P)-4:Mw=11000、Mw/Mn=1.54、l/m=80/20。
(P)-5:Mw=8600、Mw/Mn=1.62、l/m=60/40。
(P)-6:Mw=10000、Mw/Mn=1.75、l/m=60/40。
(P)-7:Mw=13000、Mw/Mn=1.58、l/m=60/40。
(P)-8:Mw=9700、Mw/Mn=1.60。
(P)-9:Mw=2000、Mw/Mn=1.70。
(P)-10:Mw=19000、Mw/Mn=1.50。
【0356】
【0357】
【0358】
(G)-1~(G)-3:下記の化学式(G-1)~(G-3)でそれぞれ表される化合物。
【0359】
【0360】
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
(S)-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル。
(S)-3:4-メチル-2-ペンタノール。
【0361】
<金属原子の含有量>
各例のレジスト組成物について、レジスト組成物の総質量に対する金属原子の含有量を算出した。これを、「金属原子含有量」として表4~5に示した。
【0362】
<レジストパターンの形成>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚40nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、電子線描画装置JEOL-JBX-9300FS(日本電子株式会社製)を用い、加速電圧100kVにて、ターゲットサイズをライン幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」)とする描画(露光)を行った。
次いで、23℃にて、酢酸ブチルを用いて、30秒間の溶剤現像を行い、振り切り乾燥を行った。その結果、ライン幅50nmの1:1のLSパターンが形成された。
【0363】
[LSパターン形状の評価]
前記<レジストパターンの形成>で形成したLSパターンの形状を、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧300V、商品名:SU-8000、日立ハイテクノロジー社製)により観察し、下記評価基準に基づき評価した。その結果を「パターン形状」として表4~5に示した。
評価基準
〇:パターンの断面形状が矩形であり垂直性が高い。
×:パターンの断面形状が頭張り(T-top)形状である。
【0364】
[LWR(ラインワイズラフネス)変化の評価]
上記<レジストパターンの形成>で形成したLSパターンについて、LWRを示す尺度である3σを求めた。これを「LWR(nm)」とした。
「3σ」は、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S-9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ラインの長手方向にラインポジションを400箇所測定し、その測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3σ)(単位:nm)を示す。
該3σの値が小さいほど、ライン側壁のラフネスが小さく、より均一な幅のLSパターンが得られたことを意味する。
【0365】
レジスト膜の形成直後におけるLWRをL0とし、レジスト膜形成の24時間後におけるLWRをL1として、LWR変化率(%)を下記式により求めた。
LWR変化率(%)=|L1-L0|×100/L0
【0366】
LWR変化率が小さいほど、レジスト膜の経時変化が抑制されていると評価できる。そのため、LWR変化率をLWR変化抑制性の指標として、下記評価基準に基づき評価した。その結果を「LWR変化率」として表4~5に示した。
評価基準
A:LWR変化率が10%未満。
B:LWR変化率が10%以上20%未満。
C:LWR変化率が20%以上。
D:解像しない。
【0367】
[最適露光量(Eop)変化の評価]
上記<レジストパターンの形成>によってターゲットサイズ(ライン幅50nm)のLSパターンが形成される露光量を最適露光量Eop(μC/cm2)として求めた。
レジスト膜の形成直後におけるEopをD0とし、レジスト膜形成の24時間後におけるEopをD1として、Eop変化率(%)を下記式により求めた。
Eop変化率(%)=|D1-D0|×100/D0
【0368】
Eop変化率が小さいほど、レジスト膜の経時変化が抑制されていると評価できる。そのため、Eop変化率を感度変化抑制性の指標として、下記評価基準に基づき評価した。その結果を「Eop変化率」として表4~5に示した。
評価基準
A:Eop変化率が10%未満。
B:Eop変化率が10%以上20%未満。
C:Eop変化率が20%以上。
D:解像しない。
【0369】
[エッチング耐性の評価]
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度80℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚400nmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対して、下記条件で、酸素ガスから得られるプラズマによるドライエッチング(O2プラズマエッチング)を行った。
<O2プラズマエッチング条件>
装置:高真空RIE装置(東京応化工業社製;製品名「TCA-2400」)。
ガス:酸素ガス60容積%、窒素ガス40容積%の混合ガス。
ガス流量:30sccm(「sccm」は1atm(大気圧1013hPa)、23℃における測定値を示す)。
チャンバ内の温度:60℃。
チャンバ内の圧力:300mmTorr。
プラズマを発生させるために印加する出力パワー(RF):200W。
処理時間:30秒。
【0370】
エッチング前後におけるレジスト膜の膜厚の差から、エッチングレート(単位時間当たりにエッチングされた膜の厚さ)を求めた。このエッチングレートを指標として、下記評価基準に基づき、エッチング耐性を評価した。その結果を「エッチング耐性」として表4~5に示した。
評価基準
◎:エッチングレートが5mm/秒未満。
〇:エッチングレートが5nm/秒以上10nm/秒以下。
×:エッチングレートが10nm/秒以上。
【0371】
【0372】
【0373】
表4~5に示す結果から、実施例のレジスト組成物は、比較例のレジスト組成物に比べ、パターン形状、Eop変化率、LWR変化率のいずれにも優れるレジストパターンを形成できることが確認できた。また、実施例のレジスト組成物は、良好なエッチング耐性を有することが確認できた。