(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010148
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】FXC網の増設装置、増設方法、および、増設プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20230113BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20230113BHJP
G06F 113/16 20200101ALN20230113BHJP
【FI】
G06F30/18
H04B10/27
G06F113:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114064
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】間野 暢
(72)【発明者】
【氏名】井上 武
(72)【発明者】
【氏名】宇野 毅明
【テーマコード(参考)】
5B146
5K102
【Fターム(参考)】
5B146AA14
5K102AA35
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】初期投資コストを抑えつつ、通信ビル内での配線作業を自動化する。
【解決手段】FXC網の増設装置1であって、前記FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、前記FXC網の最終構成を決定する決定部11と、前記FXC網の初期構成を設計する設計部12とを備え、前記設計部12は、初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて前記最終ファイバの数より小さくする。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FXC網の増設装置であって、
前記FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、
前記FXC網の最終構成を決定する決定部と、
前記FXC網の初期構成を設計する設計部と、を備え、
前記設計部は、
初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、
初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて前記最終ファイバの数より小さくする
増設装置。
【請求項2】
前記設計部は、入出力層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数と、中間層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数とに基づいて、増設するFXCを配置する層を選択する
請求項1に記載の増設装置。
【請求項3】
前記最終構成のFXC網を、c
∞=(k
∞,l
∞,m
∞,n
∞)とした場合、
前記設計部は、初期構成のFXC網を
【数1】
とし、
kは入出力FXCの数で、lは中間FXCの数で、mは各入出力FXCと各中間FXCとの内部配線数で、nは各入出力FXCが収容するファイバの数である
請求項1または2に記載の増設装置。
【請求項4】
前記入出力層は、入力層と、出力層とを含む
請求項1から3のいずれか1項に記載の増設装置。
【請求項5】
増設装置が行うFXC網の増設方法であって、
前記FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、
前記FXC網の最終構成を決定する決定ステップと、
前記FXC網の初期構成を設計する設計ステップと、を行い、
前記設計ステップは、
初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、
初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて前記最終ファイバの数より小さくする
増設方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の増設装置として、コンピュータを機能させる増設プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FXC網の増設装置、増設方法、および、増設プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの配線は面倒な作業であるが、高速で堅牢なネットワークサービスにおいて不可欠な基礎となっている。通信ビルにおけるこれらのタスクの運用コストは大きい。なぜならば、これらのタスクは、通常、作業手順書の作成、光ファイバの両端において接続作業を実施する2人の作業員の派遣、光ファイバの疎通と電力レベルの試験、これらの作業の統制者を必要とするからである。さらに、人間のオペレータが光ファイバを間違って配線することがあり、これがサービス品質の劣化および/またはこれらの作業ミスを修正するための追加の作業を引き起こす。人手を介することなく、配線作業を遠隔から自動で実行できるようになれば、これらの作業に必要な経費を削減できる。
【0003】
配線作業を遠隔から自動で実行可能な光ファイバクロスコネクト(FXC:Fiber Cross Connect)が研究開発されている(特許文献1、非特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Mano,T.Inoue,K.Mizutani,and O.Akashi,“Increasing capacity of the clos structure for optical switchingnetworks,”in2019IEEE Global CommunicationsConference(GLOBECOM),2019,pp. 1-6.
【非特許文献2】[2]C.Clos,“A study ofnon-blockingswitchingnetworks,”Bell System Technical Journal,vol.32,no.2, pp.406-424,1953.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FXC網を構築し通信ビル内の光配線を収容することで、配線作業を遠隔から自動で実行できる。すなわち、FXCにあらかじめ多数のファイバを接続しておき、FXC内部の接続関係を遠隔から変更することで、現場での人手の作業なしに、FXCに接続されているファイバの接続関係を変更できる。
【0007】
1台のFXCでは通信ビルの配線全てを収容できないため、配線作業を自動化するには複数のFXCを使用したFXC網を構成する必要がある。このとき、閉塞を避けるためファイバを収容するFXCだけでなくFXC 同士を接続するFXC が必要である。閉塞とはFXC網内の FXC の内部接続状態をどのように変更しても接続できないファイバのペアが存在する状態である。FXC網が閉塞すると遠隔制御では接続できないファイバペアが存在するため人手の作業が必要となり、配線作業の自動化が実現できない。
【0008】
通信ビル内の通信ビル内のファイバ数(配線数)は、最初は少なく、時間とともに増加していくため、FXC網も初期はFXC台数が少なく、その後、FXC台数を増加させると収容できるファイバ数も増加するような増設可能な構成が望ましい。このようにFXCを追加して収容可能なファイバ数を増加できるFXC網を増設が可能と表現する。また、FXCを追加して収容可能な配線数を増加する行為を増設と呼ぶ。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、増設可能なFXC網において、初期投資コストを抑えつつ、通信ビル内での配線作業を自動化可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、FXC網の増設装置であって、前記FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、前記FXC網の最終構成を決定する決定部と、前記FXC網の初期構成を設計する設計部と、を備え、前記設計部は、初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて、前記最終ファイバの数より小さくする。
【0011】
本発明の一態様は、増設装置が行うFXC網の増設方法であって、前記FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、前記FXC網の最終構成を決定する決定ステップと、前記FXC網の初期構成を設計する設計ステップと、を行い、前記設計ステップは、初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて前記最終ファイバの数より小さくする。
【0012】
本発明の一態様は、上記増設装置として、コンピュータを機能させる増設プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本増設可能なFXC網において、初期投資コストを抑えつつ、通信ビル内での配線作業を自動化可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1B】FXC(N=3)の内部接続例を示す図である。
【
図2】
図2は、改善Clos構成のFXC網構成の例である。
【
図3】
図3は、改善Clos構成の2つのファイバを接続する例である。
【
図4】
図4は、従来Clos構成のFXC網構成の例である。
【
図5】
図5は、従来Clos構成の2つのファイバを接続する例である。
【
図6】
図6は、改善Clos構成へ再帰法を適用した増設例である。
【
図7】
図7は、従来Clos構成へ再帰法を適用した増設例である。
【
図8】
図8は、改善Clos構成へ中間配置法を適用した初期状態の構成例である。
【
図9】
図9は、改善Clos構成へ中間配置法を適用した増設例である。
【
図10】
図10は、従来Clos構成へ中間配置法を適用した初期状態の構成例である。
【
図11】
図11は、従来Clos構成へ中間配置法を適用した増設例である。
【
図14】
図14は、本実施形態の具体例の増設1回後の構成を示す。
【
図15】
図15は、本実施形態の具体例の増設2回後の構成を示す。
【
図16】
図16は、本実施形態の具体例の増設3回後の構成を示す。
【
図17】
図17は、本実施形態の具体例の増設4回後の構成を示す。
【
図18】
図18は、本実施形態の具体例の増設5回後の構成を示す。
【
図19】
図19は、本実施形態の具体例の増設6回後の構成を示す。
【
図20】
図20は、本実施形態の増設装置の構成を示す構成図である。
【
図21】
図21は、初期構成のFXC網を構築する処理を示す説明図である。
【
図22】
図22は、FXCを増設する処理を示す説明図である。
【
図23】
図23は、初期構築および増設時の処理を示すシーケンス図である。
【
図24】
図24は、本実施形態の増設法と中間配置法で使用するFXC台数と収容可能なファイバ数を示すグラフである。
【
図25】
図25は、
図24の収容可能なファイバ数が15000以下の範囲で拡大したグラグである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.FXCの構成
図1Aは、FXC(光ファイバクロスコネクト)の概略構成を示す構成図である。FXCは、フロントサイドにN個の受信ポート101と、バックサイドにN個の送信ポート102とを有する。受信ポート101は、FXCから見て光信号が入力される方向に流れる光ファイバポートである。送信ポート102は、その逆でFXCから見て光信号が出力される方向に流れる光ファイバポートである。
【0016】
本実施形態では、各FXCの受信ポート数と送信ポート数は等しく、さらに全てのFXCの受信ポート数は等しいとする。そして、FXCの受信ポート数をNであらわし、これをFXCサイズとも呼ぶ。
図1Aは、FXCサイズが4のFXCにおける内部接続状態の例を示す。
【0017】
図1Bは、FXCサイズが3のFXCにおける可能な全ての内部接続状態を示す。
【0018】
2.FXC網構成
本実施形態では、複数のFXCを備えるFXC網の構成として、
図2に示すFXC網構成と、
図3に示すFXC網構成とを前提とする。
図2に示す網構成を改善Clos構成と呼び、
図3に示す網構成を従来Clos構成と呼ぶ。
【0019】
2.1 改善Clos構成
図2に示す改善Clos構成は、FXCなどの受信ポート数と送信ポート数が等しいスイッチを利用した場合に、従来Clos構成よりも少ないFXC台数で同じ数の配線を収容することができる(非特許文献1参照)。
【0020】
改善Clos 構成は、通信ビル内のファイバ(ビル間に敷設されたファイバ、NW機器に接続されるファイバなど)を収容する入出力層のFXCの集合と、それらFXCを相互接続する中間層のFXCの集合とを備える。
【0021】
具体的には、改善Clos構成のFXC網は、通信ビル内のファイバを収容し入出力を担当するk台のFXC(入出力FXC)と、入出力FXCを相互接続し中継するl台のFXC(中間FXC)と、を備える。入出力FXCの集合を入出力層、中間FXCの集合を中間層と呼ぶ。
【0022】
各入出力FXCは、通信ビル内のファイバを収容する受信ポートをnポート、送信ポートをnポートもつ。入出力FXC Piのj番目の受信ポートに接続するファイバをti
j、j番目の送信ポートに接続するファイバをri
jとする。また、各入出力FXCは、中間FXCと接続する受信ポートをmポート、送信ポートをmポート、それぞれ中間FXC毎にもつ。
【0023】
同様に各中間FXCは、入出力FXCと接続する受信ポートをmポート、送信ポートをmポート、それぞれ入出力FXC毎にもつ。
【0024】
このFXC網は、各入出力FXCがnペアのファイバを収容できるため、網全体でnkペアのファイバを収容することができる。中間FXC数l、または、入出力FXCと中間FXCの間の配線数mを大きくすることで、閉塞する確率を小さくすることができる。また、中間FXC数l、または、入出力FXCと中間FXCの間の配線数mを十分大きくすることで、閉塞する確率が0、つまり非閉塞となる(非特許文献1参照)。
【0025】
図3は、
図2に示す改善Clos構成に収容されている2つのファイバを、FXC網で接続する例である。
図3では、ファイバt
1
1とファイバr
1
kが接続されている。ファイバt
1
1の光信号は入出力FXC P
1に入力され、中間FXC P
k+1を通過し、さらに入出力FXC P
kを通過し、そこに接続しているファイバr
1
kに入力される。
【0026】
2.2 従来Clos構成
図4に示す従来Clos構成は、通信ビル内のファイバからの光が入力される入力層のFXCの集合と、ファイバへ光を出力する出力層のFXCの集合と、それらFXCを相互接続する中間層のFXCの集合とを備える。
【0027】
具体的には、従来Clos構成は、通信ビル内のファイバからの光が入力されるk台のFXC(入力FXC)と、ファイバへ光を出力するk台のFXC(出力FXC)と、それらを相互接続するl台のFXC(中間FXC)とを備える。入力FXCの集合を入力層、出力FXCの集合を出力層、中間FXCの集合を中間層と呼ぶ。
【0028】
各入力FXCは、通信ビル内のファイバを収容する受信ポートをnポートもち、各中間FXCに接続する送信ポートをmポートもつ。入力FXC Piの j番目の受信ポートに接続するファイバをti
jとする。
【0029】
同様に各出力FXCは、通信ビル内のファイバを収容する送信ポートをnポートもち、各中間FXCに接続する受信ポートをmポートもつ。出力FXC Piのj番目の送信ポートに接続するファイバをri
jとする。よって各中間FXCは、各入力FXCと接続する受信ポートをmポート、各出力FXCに接続する送信ポートをmポートもつ。
【0030】
このFXC網は、各入力FXCおよび出力FXCがn本のファイバを収容できるため、網全体でnkペアのファイバを収容することができる。中間FXC数l、または、入力FXCおよび出力FXCと中間FXCの間の配線数mを大きくすることで、閉塞する確率を小さくすることができる。また、中間FXC数lまたは前記配線数mを十分大きくすることで、閉塞する確率が0、つまり非閉塞となる(非特許文献1参照)。
【0031】
図5は、従来Clos構成にて収容されている2つのファイバを、FXC網で接続する例である。
図5では、ファイバt
1
1とファイバr
1
kが接続されている。ファイバt
1
1の光信号は、入力FXC P
1に入力され、中間FXC P
k+1を通過し、さらに出力FXC P
2k+1を通過し、そこに接続しているファイバr
1
kに入力される。
【0032】
3.既存の増設方法
次に、FXCの増設方法について、既存の再帰法、中間層配置法、再配置法を説明する。
【0033】
3.1 再帰法
再帰法は、配置済みの中間層とは別の中間層を追加することでFXC網を拡大する。まず改善Clos構成への適用を説明し、次に従来Clos構成への適用を説明する。
【0034】
図6は、再帰法を改善Clos構成に適用した例である。中間層の後ろに別の第2中間層のFXC集合が追加されており、中間FXCを相互接続している。この方法は、再帰的に繰り返すことができる。再帰法は、ファイバ接続に使用するFXCが増加し、光信号が減衰するという課題をもつ。例えば
図3では光信号が通過するFXCは3台であるが、
図6では最大5台のFXCを通過することになる。
【0035】
図7は、再帰法を従来Clos構成に適用した例である。中間層の後ろに別の2つの中間層(第2中間層、第3中間層)のFXC集合が追加されている。再帰法は、改善Clos構成の場合と同様に、ファイバ接続に使用するFXCが増加し、光信号が減衰するという課題をもつ。例えば
図5では光信号が通過するFXCは3台であるが、
図7では最大5台のFXCを通過することになる。
【0036】
3.2 中間層配置法
中間層配置法は、中間FXCを最初から全て設置し、増設の際は入出力FXC(もしくは入力FXCおよび出力FXC)を追加する。別の層が追加されないので増設後もファイバ接続に使用するFXC数は変化しないが、初期状態で全ての中間FXCを配置するため、初期状態で必要なFXC台数が多い。
【0037】
図8は、改善Clos構成に中間層配置法を適用した初期状態の例である。中間層にl台のFXC P
2~P
l+1を配置し、入出力層には1台のFXC P
1のみを配置する。
【0038】
図9は、中間層配置法により、
図8に1台の入出力FXC P
2を増設した例である。これにより、FXC網が収容可能なファイバペアの数がn増加している。これ以降も、入出力FXCを1台ずつ追加して増設していく。中間層配置法では、
図8で示したように初期状態で、l+1台のFXCが必要となり、初期状態で必要なFXC台数が多い。
【0039】
図10は、従来Clos構成に中間層配置法を適用した初期状態の例である。中間層にl台のFXC P
2~P
l+1を配置し、入力層に1台のFXC P
1、出力層に1台のFXC P
l+2を配置する。
【0040】
図11は、中間層配置法により、
図10に1台の入力FXC FXC P
2と、1台の出力FXC P
l+4を増設した例である。これにより、FXC網が収容可能なファイバペアの数がn増加している。これ以降も入力FXC、出力FXCをそれぞれ1台ずつ追加して増設していく。中間層配置法では、
図10で示したように初期状態でl+2台のFXCが必要となり、初期状態で必要なFXC台数が多い。
【0041】
3.3 再配置法
再配置法は、初期状態で少数の入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)と、中間FXCを配置し、増設毎に入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)と、中間FXCとを追加していく増設法である。
【0042】
中間配置法と異なり、増設途中で中間FXCのほぼ全てのポートを入出力FXCと接続する。そのため、入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)を追加する場合は、配置済みの中間FXCの未使用配線を再配置し、新しく追加するFXCとの間に再配置する必要がある。また中間配置法と同様に、増設途中で入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)のほぼ全てのポートを中間FXCと接続する。そのため、中間FXCを追加する場合は、配置済みの未使用配線を新しく追加する中間 FXC との間に再配置する必要がある。
【0043】
このように再配置法では、増設途中で中間FXCの配線を全て接続するので、FXC網に収容可能なファイバ数は増加するが、増設の度に敷設済みの入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)と中間FXCの間の再配置が必要となる。
【0044】
4.増設設計問題
次に、敷設済みの配線を再配置することなく、FXCを増設可能なFXC網の構成について、中間層配置を用いて説明する。再帰法は階層が深い構成となるため、再配置法は増設毎にFXC間に敷設済み配線の再配置が必要となるため、ここでは説明しない。
【0045】
通信ビルにファイバを導入 (ビル間を接続するファイバの敷設やNW機器に接続するファイバの新設)した際に、あらかじめFXC網に収容しておく(
図2のエンドポイントのいずれかを接続しておく)。その後、収容したファイバ同士の接続が必要になった時点でFXC網のFXCの内部接続状態を変更することでそれらを接続する(
図3)。
【0046】
通信ビルが建設された直後は、通信局舎に導入されているビル間ファイバ、NW機器に接続されたファイバは少ないが、時間とともにこれらファイバは増加する。よって初期投資を抑えるため、FXC網も最初はFXC台数が少なくし、FXCをFXC網に増設することで収容できるファイバ数を増加させる必要がある。また、増設時の作業コストを抑えるため、敷設した配線の再配置(張り替え)は行わずにFXCを増設することとする。
【0047】
前述のとおり、FXCの受信ポート数と送信ポート数は等しく、全てのFXCは等しい受信ポート数を有する。そして、FXCの受信ポート数をNであらわし、これをFXCサイズとも呼ぶ(
図1)。
【0048】
本実施形態のFXC網は、改善Clos構成もしくは従来Clos構成を前提とする。改善Clos構成は、4つのパラメータk,l,m,nで一意に特定できる。kは、入出力FXCの数、lは中間FXCの数である。mは、入出力FXCが有する、各中間FXCと接続する受信ポート(または送信ポート)の数である。同様に、中間FXCは、入出力FXCと接続するm個の受信ポートとm個の送信ポートを、入出力FXC毎にもつ。nは、各入出力FXCがエンドポイントのファイバを収容する受信ポート(または、送信ポート)の数である。
【0049】
同様に、従来Clos構成も、4つのパラメータk,l,m,nで一意に特定できる。よって、改善Clos構成もしくは従来Clos構成を、これら4つのパラメータ(k,l,m,n)で表す。網構成を表す記号としてcを用いc=(k,l,m,n)とする。
【0050】
4.1 改善Clos構成における増設設計問題
まず、改善Clos構成における増設設計問題を説明する。通信ビルの物理的な制約(空間的な広さの制約や電源容量的な制約)により、通信ビルが最終的に収容するファイバ数もしくは設置可能なFXC台数は既知であるとする。そして最終的なファイバ数を収容できる、もしくは設置可能なFXC台数で構成できる最終的な網構成がc∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)が与えられる。
【0051】
適当な初期状態c0=(k0,l0,m0,n0) から開始して、敷設済み配線を再配置することなく、FXCをFXC網に増設し網が収容できる配線数を増加させていく。第i回の増設後の構成をci=(ki,li,mi,ni)と書く。増設完了後の構成が最初に与えられた最終的な網構成c∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)となるように増設する。つまり、第j回の増設で増設が完了したとするとcj=c∞となっている必要がある。
【0052】
また、増設中の構成は、最終的な構成よりも閉塞しにくいことが望ましい。これは入出力FXCの中間層に接続する配線数miliと、収容するファイバペアの数niの比mili/niが最終的な構成の比m∞l∞/n∞を上まわるよう、mili/ni≧m∞l∞/n∞とすることで達成できる。
【0053】
増設設計問題は、最終的な網構成c∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)が与えられ、それに到達する網構成列c0,c1,...,cj=c∞を求める問題である。この網構成列の生成方法を増設法と呼ぶ。ただし、増設において、つまり第i回増設後の網構成ciから第i+1回増設後の網構成ci+1の変更において、敷設済みの配線の再配置(張り替え)はできないとする。
【0054】
これは増設の前後でki≦ki+1,li≦li+1,mi≦mi+1,ni≦ni+1が成立することと等価である。FXC網のファイバ収容数ni・kiに対して、使用FXC台数ki+liが少ないほど良い増設法とする。特に、初期設備投資を抑える観点から、ファイバ収容数が小さい範囲で使用FXC台数が小さいほど良い増設法である。本実施形態では、これを実現する増設方法を用いる。
【0055】
4.2 従来Clos構成における増設設計問題
次に従来Clos構成における増設設計問題を説明する。以下で説明するように、使用FXC台数が2ki+liとなる点を除き、改善Clos構成における増設設計と同様である。
【0056】
改善Clos構成と同様に、従来Clos構成の増設設計問題は、最終的な網構成c∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)が与えられ、それに到達する網構成列c0,c1,...,cj=c∞を求める問題である。ただし、増設において、つまり第i回増設後の網構成ciから第i+1回増設後の網構成ci+1の変更において、敷設済みの配線の再配置(張り替え)はできないとする。これは増設の前後でki≦ki+1,li≦li+1,mi≦mi+1,ni≦ni+1が成立することと等価である。
【0057】
FXC網のファイバ収容数ni・kiに対して、使用FXC台数2ki+liが少ないほど良い増設法とする。特に初期設備投資を抑える観点から、ファイバ収容数が小さい範囲で使用FXC台数が小さいほど良い増設法である。本実施形態では、これを実現する増設方法を用いる。
【0058】
5.本実施形態のFXC網の増設
以下に、本実施形態のFXCの増設について説明する。
【0059】
5.1 本実施形態の増設法
本実施形態では、改善Clos構成の場合も従来Clos構成の場合も同様に、以下の説明に従い増設する。
【0060】
本増設法では、最終的な網構成c∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)とした場合、初期状態の網構成c0を以下の数1とする。k,l,m,nは、前述のとおりである。
【0061】
【0062】
第i+1回目の増設後の網構成は次のように決定する。
【0063】
(a) ki=k∞∧li=l∞ の場合、 FXCをこれ以上追加できないため増設しない。
【0064】
(b) ki=k∞∧li<l∞の場合、中間FXCを増設する。
【0065】
(c) ki<k∞∧li=l∞の場合、入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)を増設する。
【0066】
(d) 上記以外の場合dki≧niならば、中間FXCを増設し(d1)、そうでないならば入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)を増設する(d2)。
【0067】
ここで整数dを、以下の数2とする。
【0068】
【0069】
上記(b)もしくは(d1)で、中間FXCを増設する場合、ci+1=(ki,li+1,mi,ni+d) とする。
【0070】
上記(c)もしくは(d2)で、入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)を増設する場合、ci+1=(ki+1,li,mi,ni)とする。
【0071】
増設中ki≦ki+1,li≦li+1,mi≦mi+1,ni≦ni+1が成立するため、敷設済みの配線の再配置(張り替え)は不要である。
【0072】
本増設法は、初期状態で入出力FXC(もしくは入力FXCと出力FXC)に接続するファイバ数niを小さくすることで、必要な中間FXCの数を削減する。また、本増設法は、入出力層(もしくは入力層と出力層)もしくは中間層に、それぞれFXCを追加した場合に増加する収容可能なファイバ数を比較して、収容可能なファイバ数が多くなるようにFXCを追加配置する層を選択する。
【0073】
5.2 本増設法による具体例
本増設法による具体的な増設の例を、改善Clos構成を用いて説明する。最終構成としてc∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)=(72,37,14,476)が与えられたとする。
【0074】
図12に、本増設法の最終構成を示す。このとき初期、増設1回後、増設2回後、増設3回後、増設4回後、増設5回後、増設6回後の構成、c
0, c
1,c
2,c
3,c
4,c
5,c
6はそれぞれ次となる。なお、前述の数2で算出される整数dは、13である。
【0075】
c0=(1,1,14,12)
c1=(1,2,14,25)
c2=(2,2,14,25)
c3=(2,3,14,38)
c4=(3,3,14,38)
c5=(3,4,14,51)
c6=(4,4,14,51).
図13、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18および
図19に、c
0,c
1,c
2,c
3,c
4,c
5,c
6の網構成をそれぞれ示す。各図には、追加したFXCが点線で描かれている。また、図を見やすくするため、入出力FXC P
1と中間FXC P
2のみ配線を描き、それ以外の配線は省略している。
【0076】
5.3 増設装置の構成
図20は、本実施形態のFXC網の増設装置1の構成を示す構成図である。増設装置1は、5.1の増設法を用いて、FXCを増設する。図示する増設装置1は、最終網決定部11と、設計部12と、増設判定部13と、網構築部14と、網状態管理部15とを有する。増設装置1は、改善Clos構成および従来Clos構成のどちらにも用いることができる。
【0077】
最終網決定部11は、通信ビルの物理的な制約(空間的な広さの制約、電源容量的な制約など)、需要予測などを用いて、FXC網の最終構成c∞を決定する。例えば、最終網決定部11は、設置場所の空間的な広さの制約、電源容量的な制約などを用いて、設置可能な最大のFXC台数を算出し、算出した最大FXC台数から収容可能なファイバペア数を最大化する構成を、最終構成として算出してもよい。または、最終網決定部11は、需要予測から最終的に収容する必要があるファイバペア数を算出し、そのファイバペア数(収容数)を達成する構成のうち使用FXC台数を最小化する構成を最終構成として算出してもよい。また、最終構成の決定には、特許文献1の方法を用いてもよい。
【0078】
設計部12は、FXC網の初期構成c0を設計する。本実施形態では、設計部12は、初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数l∞より小さくし、初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数n∞より小さくする。設計部12は、前記初期ファイバの数を、前記最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて算出してもよい。
【0079】
具体的には、設計部12は、最終構成のFXC網を、c∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)とした場合、初期構成のFXC網を、前述の数1の初期状態の網構成c0としてもよい。kは入出力FXCの数で、lは中間FXCの数である。mは、各入出力FXCと各中間FXCとの内部配線数である。具体的には、mは、各入出力FXCが有する、各中間FXCと接続する受信ポート(送信ポート)の数である。また、mは、各中間FXCが有する、各入出力FXCと接続する受信ポート(送信ポート)の数でもある。nは、各入出力FXCが収容するファイバの数である。具体的には、nは、各入出力FXCがエンドポイントのファイバを収容する受信ポート(送信ポート)の数である。
【0080】
また、設計部12は、現在の網構成ciからFXCを追加した網構成ci+1を算出する。設計部12は、入出力層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数と、中間層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数とに基づいて、増設するFXCを配置する層を選択してもよい。すなわち、設計部12は、入出力層もしくは中間層にそれぞれFXCを追加した場合に、増加する収容可能なファイバ数を比較して、収容可能なファイバ数が多くなるようにFXCを増設する層を選択する。
【0081】
具体的には、設計部12は、前述のとおり、dki≧niの場合は、中間層に中間FXCを増設し、dki<niの場合は入出力層の入出力FXC(もしくは入力層の入力FXCと出力層の出力FXC)を増設する。整数dは、前述の数2により算出される。
【0082】
増設判定部13は、網状態管理部15を参照してFXC網の状態を定期的に監視し、増設が必要か否かを判断する。例えば、増設判定部13は、入出力FXC(もしくは入力層の入力FXCと出力層の出力FXC)のエンドポイントのファイバを収容する受信ポートまたは送信ポートの空きが、所定の閾値より小さくなった場合に、増設が必要と判定する。
【0083】
網構築部14は、設計部12が設定した網構成ciを構築する。網状態管理部15は、現在の網構成、各FXCの内部接続状態、接続済みファイバペアなどFXC網の状態を記憶および管理する。
【0084】
5.4 増設装置の処理
図21は、増設装置1がFXC網の初期構成を構築する処理の概要を示す説明図である。最終網決定部11は、最終構成c
∞を決定し、当該最終構成を設計部12に送出する(S11)。設計部12は、最終構成c
∞を用いて初期構成c
0を算出し、算出した初期構成c
0を網構築部14に送出する(S12)。網構築部14は、入力された初期構成c
0に従って初期構成のFXC網を構築し、構築結果を網状態管理部15に記憶する(S13)。
【0085】
図22は、増設装置1がFXCを増設する処理の概要を示す説明図である。増設判定部13は、定期的に網状態管理部15の情報を取得し、増設が必要か否か判定する(S21)。増設判定部13は、不要と判定した場合、何もしない。増設が必要と判定した場合、増設判定部13は、設計部12にFXC網の増設を要求する(S22)。要求を受けた設計部12は、網状態管理部15から現在の網構成c
iを取得する(S23、S24)。設計部12は、初期構成を構築する際に最終網決定部11が算出した最終構成c
∞を取得する(S25)。
【0086】
設計部12は、現在の網構成ciおよび最終構成c∞を用いて増設後の構成c i+1を算出し、増設後の構成ci+1を網構築部14に送出する(S26)。網構築部14は、入力された構成c i+1に従ってFXC網を増設し、増設結果を網状態管理部15に記憶する(S27)。
【0087】
図23は、初期構築および増設時の処理を示すシーケンス図である。
【0088】
最終網決定部11は、最終構成c∞を決定し、当該最終構成を設計部12に送出する(S31)。設計部12は、最終構成c∞を用いて初期構成c0を算出し(S32)、算出した初期構成c0を網構築部14に送出する(S33)。網構築部14は、入力された初期構成c0に従って初期構成のFXC網を構築し、構築結果を網状態管理部15に記憶する(S34)。
【0089】
増設装置1は、FXC網が最終構成になるまで、増設処理を繰り返す(S40 )。増設判定部13は、定期的に網状態管理部15のFXC網の状態を監視し(S41)、FXCの増設が必要か否か判定する(S42)。網状態管理部15には、通信ビル内のファイバがFXCに収容される度に、収容されたファイバペアの接続/解除状態が記憶される(S43)。
【0090】
増設判定部13が、定期的に網状態管理部15のFXC網の状態を監視し(S44)、FXCの増設が必要であると判定した場合(S45)、設計部12にFXC網の増設を要求する(S46)。
【0091】
要求を受けた設計部12は、網状態管理部15から現在の網構成ciを取得する(S47、S48)。設計部12は、最終網決定部11が算出した最終構成c∞を取得し、現在の網構成ciおよび最終構成c∞を用いて増設後の構成c i+1を算出し(S49)、増設後の構成ci+1を網構築部14に送出する(S50)。網構築部14は、入力された構成c i+1に従ってFXC網を増設し、増設結果を網状態管理部15に記憶する(S51)。
【0092】
5.5 本実施形態の増設法と中間配置法との比較
ここでは、改善 Clos 構成を用いて、本実施形態の増設法と中間配置法とで使用するFXC 台数を比較する。最終構成としてc∞=(k∞,l∞,m∞,n∞)=(72,37,14,476)が与えられた場合のそれぞれの増設中の網構成における使用FXC台数と、収容可能なファイバ数とを比較する。本実施形態の増設法は、前述の5.1の通りに増設する。
【0093】
中間層配置法では、改善Clos構成において、以下のように増設する。なお、従来Clos構成の場合も、改善Clos構成と同様である。
【0094】
中間層配置法では、初期状態c0を、c0=(1,l∞,m∞,n∞)とする。第i回目の増設後の網構成を、ci=(i+1,l∞,m∞,n∞)とする。整数 jをk∞-1として、第j回目の増設後の増設でcj=c∞となる。増設中ki+1=ki+1,li=li+1,mi=mi+1,ni=ni+1が成立するため、敷設済みの配線の再配置(張り替え)は不要である。
【0095】
図24は、本増設法と中間配置法とにより生成された網構成列c
0,c
1,...,c
jの使用FXC台数k
i+l
iと収容可能なファイバ数n
ik
iをプロットしたグラフである。収容可能なファイバ数が10000以下の場合、本増設法のほうが使用FXC台数が少なくなっていることが確認できる。収容可能なファイバ数が10000以上の場合では、2つの手法はおおむね同数のFXCを使用している。
【0096】
図25は、
図24の収容可能なファイバ数が15000以下の範囲で拡大したものである。 収容可能なファイバ数が4000の時点で、本増設法の使用FXC数が中間配置法より10台ほど少なくなっていることが確認できる。また、使用可能ファイバ数が小さいほど、本増設法で使用するFXC台数も中間配置法と比較して少なくなっている。
【0097】
6.本実施形態の効果
以上説明した本実施形態のFXC網の増設装置1において、FXC網は、中間層の中間FXCと、入出力層の入出力FXCとを備え、前記FXC網の最終構成を決定する最終網決定部11と、前記FXC網の初期構成を設計する設計部12と、を備え、前記設計部12は、初期構成の中間FXCの数を、最終構成の中間FXCの数より小さくし、初期構成の入出力FXCが収容する初期ファイバの数を、最終構成における各入出力FXCが収容する最終ファイバの数および最終構成の前記中間FXCの数を用いて前記最終ファイバの数より小さくする。なお、入出層は、入力層と、出力層とを含んでもよい。
【0098】
このように、本実施形態では、中間配置法をベースとしつつ、初期構成において、入出力FXCに接続するファイバ数を小さくすることで必要な中間FXCの数を削減する。したがって、本実施形態の増設法によれば、初期投資を抑えつつ、時間の経過にあわせて拡張が可能なFXC網を構築することができ、通信ビル内の配線作業を自動化できる。また、中間配置法と比較して、収容するファイバ数が少ない場合に、使用するFXC数が少なくてすむため設備投資額を抑えることができる。すなわち、複数のFXCを用いた増設可能なFXC網において、初期投資コストおよびFXCの増設時のコストを抑えつつ、通信ビル内での配線作業を自動化することができる。
【0099】
本実施形態では、入出力層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数と、中間層にFXCを増設した場合の各入出力FXCが収容可能なファイバ数とに基づいて、増設するFXCを配置する層を選択する。収容可能なファイバ数が多くなるようにFXCを追加配置する層を選択することで、効率的にFXCを増設することができる。
【0100】
本実施形態では、FXC網を2層構成(入出力層、中間層)もしくは3層構成(入力層、中間層、出力層)に保つため、多層化による光信号の減衰を回避できる。また、本実施形態では、増設の際に敷設済み配線の再配置 (張り替え) が不要であるため、増設に必要な作業を削減できる。
【0101】
7.ハードウェア構成
上記説明した増設装置1は、例えば、
図26に示すような汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。図示するコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える。メモリ902およびストレージ903は、記憶装置である。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、増設装置1の各機能が実現される。
【0102】
また、増設装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また、増設装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
【0103】
増設装置1用のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0104】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 :増設装置
11:最終網決定部(決定部)
12:設計部
13:増設判定部
14:網構築部
15:網状態管理部