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特開2023-106331二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム並びに炭酸塩の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106331
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム並びに炭酸塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230725BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20230725BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20230725BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20230725BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20230725BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20230725BHJP
   C01F 11/18 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/18
B01D53/14 220
B01D53/96
C01B32/50
C01F11/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004107
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022007350
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/カーボンリサイクル・次世代火力推進事業/カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願、及び、令和4年度、独立行政法人環境再生保全機構、環境研究総合推進費委託研究、バイオミネラリゼーションを模した海水からの炭酸カルシウム合成による大気中の二酸化炭素固定技術の研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000191135
【氏名又は名称】株式会社日本海水
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安元 剛
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 美奈
(72)【発明者】
【氏名】勝又 聡
(72)【発明者】
【氏名】牟田(植田) 直幸
(72)【発明者】
【氏名】森安 賢司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道生
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4G076
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA14
4D002CA01
4D002CA06
4D002DA04
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA31
4D002DA32
4D002DA36
4D002EA01
4D002EA02
4D002EA07
4D002EA13
4D002EA14
4D002FA02
4D002FA10
4D002GA01
4D002GB08
4D002GB09
4D002GB11
4D002GB20
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA02
4D020BA16
4D020BA19
4D020BA21
4D020BA23
4D020BB03
4D020BC06
4D020BC10
4D020CB01
4D020CB03
4D020CB25
4D020CC02
4D020CC21
4D020CD02
4D020DA03
4D020DB06
4D020DB07
4D020DB08
4D020DB20
4G076AA16
4G076AB06
4G076AB24
4G076BA30
4G076BB03
4G076BB08
4G076BC02
4G076BD01
4G076BE11
4G076CA02
4G076DA30
4G146JA02
4G146JB09
4G146JB10
4G146JC22
4G146JC28
4G146JC29
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の固定化効率に優れる二酸化炭素の固定化方法を提供する。
【解決手段】生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンのポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)の存在下で、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素由来の炭酸イオンとを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する、二酸化炭素の固定化方法であって、前記アミン化合物(A)に起因する前記第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、二酸化炭素を含む気体(C)を利用して抑制する工程(S)を含む、二酸化炭素の固定化方法とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)の存在下で、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素由来の炭酸イオンとを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する、二酸化炭素の固定化方法であって、
前記アミン化合物(A)に起因する前記第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、二酸化炭素を含む気体(C)を利用して抑制する工程(S)
を含む、二酸化炭素の固定化方法。
【請求項2】
前記工程(S)は、
前記アミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、前記気体(C)とを接触させて、前記気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する第一の接触工程(S1-1)
を含む、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項3】
前記工程(S)は、
前記工程(S1-1)の後に、
前記アミン水溶液(A2)と、前記第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させる第二の接触工程(S1-2)
を含む、請求項2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項4】
前記工程(S)は、
前記アミン化合物(A)と、前記第二族元素イオン含有水溶液(B)と、前記気体(C)とを同時に接触させる接触工程(S2)
を含む、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項5】
前記工程(S)は、
前記アミン化合物(A)と、前記第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させて、前記アミン化合物(A)と前記第二族元素イオン含有水溶液(B)との混合液(AB)を調製する第一の接触工程(S3-1)、及び
前記第一の接触工程(S3-1)の後に、前記混合液(AB)と、前記気体(C)とを接触させる第二の接触工程(S3-2)
を含む、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項6】
前記生体内で合成されるアミンが、1,3-プロパンジアミン、プトレシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、ノルスペルミジン、及びノルスペルミンからなる生体アミン群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項7】
前記人工的に合成されるアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン、メチルジエタノールアミン、ピペラジン、及びエチレンジアミンからなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項8】
前記第二族元素イオン含有水溶液(B)が、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンを少なくとも含む、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項9】
前記第二族元素イオン含有水溶液(B)が、海水である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項10】
前記第二族元素イオン含有水溶液(B)は、カルシウムイオン濃度が400質量ppm以上である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項11】
前記第二族元素イオン含有水溶液(B)は、マグネシウムイオン濃度が500質量ppm以下である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項12】
前記工程(S)の後に、前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する回収工程(T)をさらに含む、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項13】
アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相から前記アミン化合物(A)を回収し、前記工程(S)において用いる前記アミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給工程(U)をさらに含む、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項14】
請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンのポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、前記気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する第一の接触部(P1-1)、
前記アミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる第二の接触部(P1-2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
【請求項15】
前記第一の接触部(P1-1)を複数備える、請求項14に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項16】
前記第二の接触部(P1-2)を複数備える、請求項14又は15に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の二酸化炭素の固定化システムにおいて、
前記第二の接触部(P1-2)を備えることなく、前記第一の接触部(P1-1)において前記アミン水溶液(A2)と前記第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させる、二酸化炭素の固定化システム。
【請求項18】
請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンのポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを同時に接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる接触部(P2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
【請求項19】
請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンのポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)との混合液(AB)を調製する第一の接触部(P3-1)、
混合液(AB)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる第二の接触部(P3-2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)、
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
【請求項20】
前記アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相から前記アミン化合物(A)を回収し、前記第一の接触部(P1-1)、前記接触部(P2)、又は前記第一の接触部(P3-1)において使用する前記アミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給部(R)、
をさらに備える、請求項14又は15に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項21】
請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法を用いた、炭酸塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、並びに当該二酸化炭素の固定化方法を利用した炭酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因物質と言われている温室効果ガスの中でも、特に影響が大きいのが二酸化炭素(炭酸ガス)であり、大気中の二酸化炭素濃度の増大を防止することが地球温暖化抑制手段の1つとなりうる。そのため、化石資源の利用を制限して大気中への二酸化炭素の放出量を削減する技術についての研究が行われている。また、既に放出した大気中の二酸化炭素を吸収・固定する技術や、化石資源を燃焼した二酸化炭素を大気中に放出させることなく、あるいは大気中への放出を抑えつつ吸収・固定する技術について、日本を含む多くの国で盛んに研究されている。
【0003】
近年、二酸化炭素を吸収・固定する方法の1つとして、二酸化炭素を化学反応により炭酸塩として固定するというアイディアが提案されている。
例えば特許文献1では、二酸化炭素を含む気体を、水とアルカリ土類金属含有物質(例えば鉄鋼スラグ)を弱塩基と強酸の塩とから得られる水溶液に接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-097072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、二酸化炭素の固定化効率が十分ではないという問題があった。
【0006】
本開示は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、二酸化炭素の固定化効率に優れる二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、当該二酸化炭素の固定化方法を利用した炭酸塩の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、下記[1]~[5]が提供される。
[1] 生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)の存在下で、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素由来の炭酸イオンとを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する、二酸化炭素の固定化方法であって、
前記アミン化合物(A)に起因する前記第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、二酸化炭素を含む気体(C)を利用して抑制する工程(S)
を含む、二酸化炭素の固定化方法。
[2] 上記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、前記気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する第一の接触部(P1-1)、
前記アミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる第二の接触部(P1-2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
[3] 上記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを同時に接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる接触部(P2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
[4] 上記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムであって、
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)との混合液(AB)を調製する第一の接触部(P3-1)、
混合液(AB)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる第二の接触部(P3-2)、及び
前記アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する炭酸塩回収部(Q)、
を少なくとも備える、二酸化炭素の固定化システム。
[5] 上記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法を用いた、炭酸塩の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、二酸化炭素の固定化効率に優れる二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、当該二酸化炭素の固定化方法を利用した炭酸塩の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を示す工程概略図である。
図2】第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法の好ましい態様の一例を示す工程概略図である。
図3】第一実施形態の二酸化炭素の固定化システムの一例を示す概略図である。
図4】第一実施形態の二酸化炭素の固定化システムについて、好ましい態様の一例を示す概略図である。
図5】第一実施形態の二酸化炭素の固定化システムについて、好ましい態様の他の例を示す概略図である。
図6】第一実施形態の二酸化炭素の固定化システムのさらに好ましい態様の一例を示す概略図である。
図7】第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を示す工程概略図である。
図8】第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法の好ましい態様の一例を示す工程概略図である。
図9】第二実施形態の二酸化炭素の固定化システムの一例を示す概略図である。
図10】第二実施形態の二酸化炭素の固定化システムについて、好ましい態様の一例を示す概略図である。
図11】第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を示す工程概略図である。
図12】第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法の好ましい態様の一例を示す工程概略図である。
図13】第三実施形態の二酸化炭素の固定化システムの一例を示す概略図である。
図14】第三実施形態の二酸化炭素の固定化システムについて、好ましい態様の一例を示す概略図である。
図15】海水と各種塩基を用いて、炭酸カルシウム形成速度を検討した結果を示す図である。
図16】海水と各種塩基を用いて、炭酸カルシウム形成速度を検討した際のpHの経時変化を示す図である。
図17】海水(天然海水)に石灰乳を添加した後、生成した水酸化マグネシウムスラリーを除去して生成した脱マグネシウム海水を用いて、炭酸カルシウム形成速度の塩基濃度の影響を検討した結果を示す図である。
図18】上記脱マグネシウム海水を用いて、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響を検討した結果を示す図である。
図19】上記脱マグネシウム海水を用いて、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響を検討した際のpHの経時変化を示す図である。
図20】上記脱マグネシウム海水を用いて、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響をさらに検討した結果を示す図である。
図21】かん水を用いて、炭酸カルシウム形成速度を検討した結果を示す図である。
図22】かん水を用いて、炭酸カルシウム形成速度を検討した際のpHの経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本開示の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
さらに、本明細書に記載された「アミン」及び「ポリアミン」は、特に断りのない限り、生体内で合成されるアミン及び人工的に合成されるアミンから選択されるアミンを意味する。
【0011】
本明細書において、「第二族元素」は、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、及びラジウム(Rd)を意味する。
また、本明細書において、「アルカリ土類金属」とは、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、及びBa(バリウム)を意味する。
【0012】
[二酸化炭素の固定化方法]
本実施形態の二酸化炭素の固定化方法は、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)の存在下で、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素由来の炭酸イオンとを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する、二酸化炭素の固定化方法であって、前記アミン化合物(A)に起因する前記第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、二酸化炭素を含む気体(C)を利用して抑制する工程(S)を含む。
以下、本実施形態の二酸化炭素の固定化方法の具体例として、第一実施形態から第三実施形態について、以下に詳細に説明する。
【0013】
[第一実施形態]
第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を図1に示す。
図1に示す二酸化炭素の固定化方法は、アミン化合物(A)に起因する前記第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、二酸化炭素を含む気体(C)を利用して抑制する工程(S)(以下、「工程(S)」と略記することもある。)として、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する第一の接触工程(S1-1)を含む。
また、図1に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)として、工程(S1-1)の後に、アミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させる第二の接触工程(S1-2)を含む。
さらに、図1に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)の後に、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する回収工程(T)をさらに含む。
【0014】
また、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法の好ましい態様の一例を図2に示す。
図2に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)及び回収工程(T)に加え、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、工程(S)において用いるアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給工程(U)をさらに含む。
【0015】
次に、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの一例を図3に示す。
図3に示す二酸化炭素の固定化システム1aは、第一の接触部(P1-1)、第二の接触部(P1-2)、及び炭酸塩回収部(Q)を少なくとも備える。
第一の接触部(P1-1)では、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、二酸化炭素を含む気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する。
第二の接触部(P1-2)では、アミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる。
炭酸塩回収部(Q)では、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する。
【0016】
また、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの好ましい態様の一例を図4に示す。
図4に示す二酸化炭素の固定化システム1a’は、第一の接触部を複数備える。図4では、第一の接触部が2つ備えられているが(符号(P1-1)、(P1-1)’)、第一の接触部は3つ以上であってもよい。
また、図4に示す二酸化炭素の固定化システム1a’は、第二の接触部を複数備える。図4では、第二の接触部が2つ備えられているが(符号(P1-2)、(P1-2)’)、第二の接触部は3つ以上であってもよい。
なお、第一実施形態における二酸化炭素の固定化システムは、第一の接触部と第二の接触部の双方が複数備えられる態様には限定されず、第一の接触部を複数備え、第二の接触部は1つだけ備えられる態様であってもよい。また、第二の接触部を複数備え、第一の接触部は1つだけ備えられる態様であってもよい。
【0017】
さらに、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの好ましい態様の他の例を図5に示す。
図5に示す二酸化炭素の固定化システム1a’’は、第二の接触部(P1-2)を備えることなく、第一の接触部(P1-1)においてアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させるようにしている。
なお、図示省略しているが、図5に示す二酸化炭素の固定化システム1a’’においても、第一の接触部は複数備えるようにしてもよい。
【0018】
また、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための本実施形態の二酸化炭素の固定化システムのさらに好ましい態様の一例を図6に示す。
図6に示す二酸化炭素の固定化システム11aは、第一の接触部(P1-1)、第二の接触部(P1-2)、及び炭酸塩回収部(Q)に加えて、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、第一の接触部(P1-1)において使用するアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給部(R)をさらに備える。
なお、図6に示す二酸化炭素の固定化システム11aは、図3に二酸化炭素の固定化システム1aに、アミン化合物回収・供給部(R)をさらに備えるものとしているが、このような態様には必ずしも限定されない。
例えば、図4に示す二酸化炭素の固定化システム1a’において、アミン化合物回収・供給部(R)をさらに備えるようにしてもよい。また、図5に示す二酸化炭素の固定化システム1a’’において、アミン化合物回収・供給部(R)をさらに備えるようにしてもよい。
【0019】
以下、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法について、当該方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの構成を説明しながら、詳細に説明する。
【0020】
<第一の接触工程(S1-1)>
第一の接触工程(S1-1)では、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させることで、気体(C)中の二酸化炭素がアミン水溶液(A1)に効率よく吸収され、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)が効率よく調製される。アミン水溶液(A2)に含まれる二酸化炭素由来の炭酸イオンは、第二の接触工程(S1-2)において、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させるための炭酸イオン源として機能する。
【0021】
以下、アミン水溶液(A1)、二酸化炭素を含む気体(C)、及びアミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触方法について、詳細に説明する。
【0022】
(アミン水溶液(A1))
アミン水溶液(A1)は、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物を含む。
【0023】
本開示者らは、海洋生物の炭酸カルシウム形成解明研究の一環として、炭酸カルシウムの顆粒を形成する海洋細菌の研究を行っていた。この海洋細菌は、カルシウムを含む人工培地で培養すると、菌体外にダンベル状や球状の形をした炭酸カルシウム(カルサイト)を形成する。本開示者らは、このメカニズムを研究する過程で、海洋細菌が産生するアミンが大きな働きをしていることを究明した。
つまり、海洋細菌の培養中にみられるダンベルや球状の炭酸カルシウム顆粒は、海洋細菌の増殖に伴い培地中に増えたアミンが、培地中の炭酸イオン濃度を高めることで、炭酸カルシウムの結晶化を促すことがわかった。
炭酸カルシウムの顆粒形成が見られた海洋細菌の培養液のアミンを食品衛生検査指針における「食品中の不揮発性腐敗アミンの分析」に準じて、ダンシルクロライドで蛍光誘導化し、HPLCにより分析した結果、1,3-プロパンジアミン、プトレシン、カタベリン、スペルミン、スペルミジン、ノルスペルミジン、及びノルスペルミン等のアミン類が検出された。
以上のことから、海洋細菌が産生するアミンが空気中の二酸化炭素と結合し、その後加水分解されることで、培地中の炭酸イオン濃度が上昇し、炭酸カルシウムが析出するということがわかった。なお、炭酸カルシウムの析出は、海洋細菌が存在しない水溶液中にアミンと塩化カルシウムとを混合して静置した場合にも確認された。このことから、炭酸カルシウムの析出は、海洋細菌の不存在下でも起こることがわかった。つまり、海洋細菌が産生するアミンは、海洋細菌の不存在下においても、二酸化炭素と塩を形成することで、炭酸イオンを効率よく生成し得ることがわかった。
【0024】
しかしながら、本開示者らがさらに鋭意検討した結果、ポリアミン等のアミン類を海水と混合した場合、炭酸カルシウムを十分に効率よく生成することができないことがわかった。この理由は、海水にアミン類を添加すると、海水のpHが一時的に上昇し、海水中にカルシウムイオンの3倍量存在するマグネシウムイオンが水酸化マグネシウムとなり、これが炭酸カルシウムの生成を阻害するためと推察された。
【0025】
そこで、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法では、第一の接触工程(S1-1)において、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させるようにしている。これにより、第二の接触工程(S1-2)においてアルカリ土類金属の炭酸塩を析出させるための炭酸イオンが、アミン水溶液(A2)中に効率よく生成される。しかも、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させるための炭酸イオンが、アミン水溶液(A2)に効率よく生成されることで、アミン水溶液(A2)のpHの上昇も抑えられる。そのため、アミン水溶液(A2)を第二族元素イオン含有水溶液(B)と接触させた際に、第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH(アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との混合液のpH)の上昇も抑えられる。したがって、第二族元素イオン含有水溶液(B)にマグネシウムイオンが含まれていたとしても、水酸化マグネシウムの生成に起因する炭酸カルシウムの生成阻害も抑制される。よって、第二の接触工程(S1-2)において、炭酸カルシウムが極めて効率よく生成される。
【0026】
アミン化合物(A)としては、生体内(例えば、海洋細菌の生体内)で合成されるアミン(モノアミン及びポリアミン)を特に制限なく用いることができる。当該アミンの中でも、アミン水溶液(A2)中の炭酸イオンを増大させやすくする観点から、1,3-プロパンジアミン、プトレシン(ブタン-1,4-ジアミン)、カタベリン(ペンタン-1,4-ジアミン)、スペルミン(1,11-ジアミノ-4,9-ジアザウンデカン)、スペルミジン(1,8-ジアミノ-4-アザオクタン)、ノルスペルミジン(3,3’-イミノビス(プロパン-1-アミン))、及びノルスペルミン(3,3’-[(プロパン-1,3-ジイル)ビスイミノ]ビス(プロパン-1-アミン))からなる群から選択される1種以上のポリアミンを用いることが好ましい。
また、本発明者らの実験によると、アミン化合物(A)として、人工的に合成されるアミンを用いた場合にも、生体内で合成されるアミンと同様の効果が奏され得ることが確認されている。したがって、人工的に合成されるアミンを用いることもできる。人工的に合成されるアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、ジグリコールアミン(DGA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、並びにピペラジン及びエチレンジアミンなどのジアミン等が挙げられる。
また、アミン化合物(A)としては、上記アミンから誘導される基を含むポリマー(生体内で合成されるアミンから誘導される基を含むポリマー、人工的に合成されるアミンから誘導される基を含むポリマー)を用いてもよい。
上記アミンから誘導される基を含むポリマーとしては、上記アミンから誘導される基を少なくとも末端に含むポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、上記アミンから誘導される基とエチレン性不飽和二重結合とを有する化合物由来の構成単位を有するポリマー、ポリアルキレンイミン等が挙げられ、好ましくはポリアルキレンイミンである。
ポリアルキレンイミンのアルキレン基の炭素数は、好ましくは2~4、より好ましくは2~3、更に好ましくは2である。 なお、「上記アミンから誘導される基」とは、上記アミン(生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン)の水素原子の少なくとも1つを除いた1価以上の基を意味する。例えば、エチレンジアミンから誘導される基としては、1価基である-NHCHCHNH等が挙げられる。
また、上記アミンから誘導される基を含むポリマーの、沸点上昇法により測定される数平均分子量は、好ましくは500~50,000、より好ましくは500~40,000、更に好ましくは500~35,000である。
アミン化合物(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
なお、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、二酸化炭素がアミン水溶液(A1)に吸収されると、当該二酸化炭素がアミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)と反応して、アミン水溶液(A1)中で炭酸イオンを生じ、アミン化合物(A)はカチオンになるものと推測される。
アミン化合物(A)がプトレシンである場合について推測される反応式を以下に示す。
【化1】
【0028】
アミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)の含有量は、アミン水溶液(A1)中に二酸化炭素を効率よく吸収させやすくする観点から、アミン水溶液(A1)の全量基準で、好ましくは1質量%~50質量%、より好ましくは10質量%~40質量%、更に好ましくは25質量%~35質量%である。
【0029】
二酸化炭素を含む気体(C)と接触させる前のアミン水溶液(A1)のpHは、吸収する二酸化炭素の量を考慮するとともに、第二の接触工程(S1-2)における反応性を考慮して決定される。具体的には、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させた後の、二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)のpHが、好ましくは6以上に、より好ましくは7以上に、さらに好ましくは8以上になるように、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させる前のアミン水溶液(A1)のpHが調整される。
また、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させる前のアミン水溶液(A1)のpHは、第二の接触工程(S1-2)において析出させる炭酸塩種に応じて調整されてもよい。例えば、炭酸カルシウムを析出させやすくする観点から、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させた後の、二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)のpHが、好ましくは7~12、より好ましくは7~9になるように、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させる前のアミン水溶液(A1)のpHが調整されてもよい。また、炭酸カルシウムを析出させやすくする観点から、第二の接触工程(S1-2)において、二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させた際のこれらの混合液のpHが、好ましくは8~9になるように、二酸化炭素を含む気体(C)と接触させる前のアミン水溶液(A1)のpHが調整されてもよい。
【0030】
アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させる際のアミン水溶液(A1)の温度は、二酸化炭素を効率よく吸収して、アミン水溶液(A2)中の炭酸イオン濃度を増大させやすくする観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは30℃~50℃である。本工程ではアミンと二酸化炭素の結合が失われることを抑制するため、アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させる際のアミン水溶液(A1)の温度は、50℃以下に維持することが好ましい。
【0031】
アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させる時間は、接触方式、アミン水溶液(A1)の温度、アミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)の含有量、及び二酸化炭素を含む気体(C)の温度、二酸化炭素濃度、二酸化炭素のガス流量、並びに容器(反応槽)の大きさ等に応じて適宜設定される。一般には30分~3時間であり、好ましくは1時間~24時間である。
【0032】
(二酸化炭素を含む気体(C))
二酸化炭素を含む気体(C)としては、例えば、空気、燃焼排ガス等が挙げられる。
燃焼排ガスとしては、例えば、製鉄所等の各種工場から排出される燃焼排ガス、LNG火力発電所から排出される燃焼排ガス、石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス、製油所の水素製造装置から排出されるオフガスが挙げられる。二酸化炭素の固定化効率をより向上させやすくする観点から、これらの中でも、二酸化炭素濃度が高い、石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス(二酸化炭素濃度は、11~15体積%)や製油所の水素製造装置から排出されるオフガス(二酸化炭素濃度は、40~60体積%)が好適である。また、空気中の二酸化炭素濃度が0.04体積%以上の場合には空気を用いることとしても良い。
【0033】
(アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触方法)
アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触方法は、アミン水溶液(A1)中に二酸化炭素を効率よく吸収できる方法であれば特に制限されない。
【0034】
ここで、アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触方法の一例について、第一実施形態における二酸化炭素の固定化システムに基づいて説明する。
第一実施形態の二酸化炭素の固定化システム1a,1a’、1a’’、及び11aにおいて、第一の接触工程(S1-1)は、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する第一の接触部(P1-1)において実施される。
生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)は、貯留タンク21に収容され、供給ライン21aを介して、第一の接触部(P1-1)に供給される。
一方、二酸化炭素を含む気体(C)は、例えば、図示省略するボンベ又は設備(例えば石炭火力発電所等)から供給され、ブロア22により、供給ライン22aを介して第一の接触部(P1-1)に供給される。
ここで、二酸化炭素を含む気体(C)が、燃焼排ガスのように高温のガスである場合、燃焼排ガスを冷却して適切な温度に低下させた後、アミン水溶液(A1)と接触させることが好ましい。燃焼排ガスの冷却方法としては、例えば熱交換器を用いた方法等が挙げられる。
また、燃焼排ガスは、必要に応じて、脱硝、集塵、及び脱硫から選択される1種以上の処理を施してもよい。
【0035】
第一の接触部(P1-1)におけるアミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触方法としては、例えば、下記(1)~(4)の方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、気体を液体に溶かすことを目的とした各種方法を使ってもよい。
(1)反応槽にアミン水溶液(A1)を収容してアミン水溶液(A1)を撹拌翼等で撹拌しつつ、アミン水溶液(A1)の液面近傍に二酸化炭素を含む気体(C)を吹き付ける。
(2)反応槽にアミン水溶液(A1)を収容し、アミン水溶液(A1)中に二酸化炭素を含む気体(C)を直接吹き込む。
(3)密閉された反応塔の下部から二酸化炭素を含む気体(C)を導入して上昇させるとともに、反応塔の上部からアミン水溶液(A1)をノズル等で噴霧し、二酸化炭素を含む気体(C)とアミン水溶液(A1)とを向流接触させる。
(4)二酸化炭素を含む気体(C)をファインバブル化してアミン水溶液(A1)中に導入する。これにより、アミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触面積を向上させて、より効率よく二酸化炭素をアミン水溶液(A1)中に吸収させることができる。
なお、第一の接触部(P1-1)におけるアミン水溶液(A1)と二酸化炭素を含む気体(C)との接触は、好ましくは50℃以下でかつ常圧下、より好ましくは常温(25±15℃)でかつ常圧下で行われる。
【0036】
第一の接触工程(S1-1)で調製された、二酸化炭素に由来する炭酸イオンを豊富に含むアミン水溶液(A2)は、第二の接触工程(S1-2)に供給される。
アミン水溶液(A2)が二酸化炭素に由来する炭酸イオンを豊富に含むことで、第二の接触工程(S1-2)において、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出しやすくなる。また、アミン水溶液(A2)が二酸化炭素に由来する炭酸イオンを豊富に含むことで、第二の接触工程(S1-2)において、アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させた際に、これらの混合液の急激なpH上昇が抑えられる。したがって、第二の接触工程(S1-2)において、アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させた際に、アルカリ土類金属の炭酸塩を直ちに析出させやすくすることができる。換言すれば、二酸化炭素を効率よく固定化することができる。
また、アミン水溶液(A2)が二酸化炭素に由来する炭酸イオンを豊富に含むことで、第二族元素イオン含有水溶液(B)のアルカリ土類金属イオン濃度が低濃度であっても、炭酸塩を析出させることが可能になる。例えば、カルシウムイオン濃度が300質量ppm(さらには400質量ppm)である第二族元素イオン含有水溶液(B)を用いた場合にも、炭酸塩(炭酸カルシウム)を析出させることが可能である。
【0037】
なお、上述の方法では、二酸化炭素を含む気体(C)は、図示省略するボンベ又は設備(例えば石炭火力発電所等)から供給され、ブロア22により、供給ライン22aを介して第一の接触部(P1-1)に供給されるものとしたが、これらを省略し、アミン水溶液(A1)の液面に空気を接触させながら、アミン水溶液(A1)を撹拌翼等で撹拌し、アミン水溶液(A1)中に空気中の二酸化炭素を吸収させるようにしてもよい。
【0038】
<第二の接触工程(S1-2)>
第二の接触工程(S1-2)では、第一の接触工程(S1-1)で調製されたアミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる。
第一の接触工程(S1-1)で調製されたアミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させることで、アミン水溶液(A2)中の炭酸イオンと第二族元素イオン含有水溶液(B)中のアルカリ土類金属イオンとが反応し、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出する。アミン水溶液(A2)中の炭酸イオンは、気体(C)中の二酸化炭素を原料として生成されているため、二酸化炭素がアルカリ土類金属の炭酸塩として固定されることになる。
【0039】
以下、第二の接触工程(S1-2)で用いる第二族元素イオン含有水溶液(B)、及びアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との接触方法について、詳細に説明する。
【0040】
(第二族元素イオン含有水溶液(B))
第二族元素イオン含有水溶液(B)は、第二族元素イオンを含む。但し、第二族元素イオン含有水溶液(B)は、少なくともアルカリ土類金属イオンを含む。
本明細書において、「第二族元素イオン」とは、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、バリウムイオン(Ba2+)、及びラジウムイオン(Rd2+)を意味する。
また、本明細書において、「アルカリ土類金属イオン」とは、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、及びバリウムイオン(Ba2+)を意味する。
第二族元素イオン含有水溶液(B)に含まれるアルカリ土類金属イオンは、これらの中でも、カルシウムイオンが好ましい。カルシウムイオンから製造される炭酸カルシウムには、各種産業上の用途があるためである。
【0041】
ここで、第二族元素イオン含有水溶液(B)は、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンを少なくとも含んでいてもよい。
第一実施形態では、第一の接触工程(S1-1)において、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)を含むアミン水溶液(A1)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させるようにしている。これにより、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)のpHの上昇が抑えられるため、アミン水溶液(A2)を第二族元素イオン含有水溶液(B)と接触させた際に、アミン水溶液(A)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との混合液のpHの上昇も抑えられる。そのため、第二族元素イオン含有水溶液(B)にマグネシウムイオンが含まれていたとしても、水酸化マグネシウムの生成に起因する炭酸カルシウムの生成阻害も抑制される。したがって、第二の接触工程(S1-2)において、炭酸カルシウムが極めて効率よく生成される。
【0042】
よって、第二族元素イオン含有水溶液(B)としては、海水を用いることが好ましい。海水は入手容易である反面、カルシウムイオンとともに、マグネシウムイオンがカルシウムイオンよりも多く含まれている。そのため、既述のように炭酸カルシウムの生成阻害が生じる問題がある。しかし、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法によれば、第二族元素イオン含有水溶液(B)として海水を用いた場合であっても、水酸化マグネシウムの生成に起因する炭酸カルシウムの生成阻害が抑制されるため、入手容易である海水を第二族元素イオン含有水溶液(B)として用いても、炭酸カルシウムが極めて効率よく生成される。
【0043】
また、第二族元素イオン含有水溶液(B)としては、海水以外にも、例えば、海水を淡水化した際に得られる廃海水;塩やにがりを製造した際に生じる濃縮海水;塩湖かん水;地下かん水;及び汽水等のかん水を用いることができる。
なお、かん水とは、塩化ナトリウムなどの塩分を含んだ水であり、通常、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、及びバリウムイオンからなる群から選択される1種以上のアルカリ土類金属イオン(特に、カルシウムイオン)を含んでいる。したがって、第二族元素イオン含有水溶液(B)として、かん水を利用することで、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成するためのアルカリ土類金属イオンを簡易に供給することが可能である。
ここで、濃縮海水には、アルカリ土類金属イオン(特に、カルシウムイオン)が高濃度に含まれているため、第二の接触工程(S1-2)において、アルカリ土類金属の炭酸塩の生成源となるアルカリ土類金属イオンを効率よく供給することができる。したがって、二酸化炭素の固定化効率をより向上させることができ、アルカリ土類金属の炭酸塩の収量の向上を図ることが可能となる。また、第二の接触工程(S1-2)を行う第二の接触部(P1-2)をコンパクト化して製造システムの小型化を図ることもできる。また、ウユニ塩湖に代表される塩湖かん水、米国ソルトンレイクに代表される温水かん水なども、同様に、アルカリ土類金属イオン濃度が高いため、好ましい。近年、再生可能エネルギーとして地熱発電の開発が盛んに行われている。これらの地下温水かん水も同様に、好ましい。
したがって、第二族元素イオン含有水溶液(B)としては、カルシウムイオン濃度が好ましくは400質量ppm以上のもの、より好ましくは600質量ppm以上のもの、更に好ましくは800質量ppm以上のもの、より更に好ましくは1,000質量ppm以上のもの、更になお好ましくは1,500質量ppm以上のもの、一層好ましくは1,800質量%ppm以上のものを用いることができる。
なお、第二族元素イオン含有水溶液(B)として例示したものは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
なお、濃縮海水は、海水を原料として、イオン交換膜法、蒸発法、及び逆浸透法等の公知の方法により製造することができる。
【0045】
また、第二族元素イオン含有水溶液(B)として、マグネシウムイオン濃度が500質量ppm以下(好ましくは400質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下)であるアルカリ土類金属イオン含有水(好ましくはカルシウムイオン含有水)を用いてもよい。
例えば、海水からの工業的な水酸化マグネシウム製造工程では、副生成物としてマグネシウムイオン濃度が500質量ppm以下であるアルカリ土類金属イオン含有水が生じる。第一実施形態では、このような副生成物の有効利用を図ることもできる。
また、海水からの工業的な水酸化マグネシウム製造工程では、海水に石灰乳を添加することで、生成した水酸化マグネシウムスラリーを抜き出した後に、副生成物としてマグネシウムイオン濃度が500質量ppm以下であるアルカリ土類金属イオン含有水が生じる。このような副生成物には、海水に石灰乳を添加することによって、副生成物であるアルカリ土類金属イオン含有水のカルシウムイオン濃度が、海水よりも高まる(例えば、好ましくは400質量ppm以上、より好ましくは600質量ppm以上、更に好ましくは800質量ppm以上、より更に好ましくは1,000質量ppm以上、更になお好ましくは1,500質量ppm以上、一層好ましくは1,800質量%ppm以上)。そのため、副生成物であるアルカリ土類金属イオン含有水からカルシウムイオンを全量回収するためには、アミン水溶液(A1)のアミン化合物濃度を高める必要がある。アミン水溶液(A1)のアミン化合物(A)の濃度を高めると、アミン水溶液(A1)のpHが上昇するため、炭酸カルシウムの生成反応が進行し難くなる。しかし、第一実施形態では、アミン水溶液(A1)に二酸化炭素を含む気体(C)を接触させることで、カルシウムイオン濃度が海水よりも高いアルカリ土類金属イオン含有水を第二族元素イオン含有水溶液(B)として用いても、pH上昇を抑えて、炭酸カルシウムを効率よく生成することができる。
【0046】
(アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との接触方法)
アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との接触方法は、アルカリ土類金属の炭酸塩が効率よく生成できる方法であれば特に制限されない。
【0047】
ここで、アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との接触方法の一例について、第一実施形態における二酸化炭素の固定化システムに基づいて説明する。
第一実施形態における二酸化炭素の固定化システム1a,1a’、及び11aにおいて、第二の接触工程(S1-2)は、アミン水溶液(A2)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる第二の接触部(P1-2)において実施される。
アミン水溶液(A2)は、第一の接触部(P1-1)から、供給ライン2aを介して、第二の接触部(P1-2)に供給される。
一方、第二族元素イオン含有水溶液(B)は、貯留タンク31に収容されており、供給ライン31aを介して、第二の接触部(P1-2)に供給される。
【0048】
第二の接触部(P1-2)におけるアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)の接触方法としては、例えば、下記(5)及び(6)の方法等が挙げられる。
(5)反応槽内にアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを導入し、撹拌翼等を用いて撹拌し混合する。
(6)アミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とをラインミキサー等に導入し、撹拌翼等を用いた撹拌を行うことなく、乱流撹拌等により混合する。
ここで、(5)の方法において、反応槽として、液相中に析出して分散混合されるアルカリ土類金属の炭酸塩を、重力の作用で沈降させて液相から分離することができる、シックナー沈降分離装置を用いることが好ましい。この場合、第二の接触部(P1-2)は、後述する炭酸塩回収部(Q)の機能を兼ね備えることができる。
第二の接触部(P1-2)におけるアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との接触の際の各溶液の温度は、10℃~45℃、好ましくは25℃~40℃である。
また、第二の接触部(P1-2)へのアミン水溶液(A2)の供給量と第二族元素イオン含有水溶液(B)の供給量との比率は、アミン水溶液(A2)の二酸化炭素(炭酸イオン)モル量と、カルシウムイオンモル量とが、当量程度となるように適宜調整される。
なお、アルカリ土類金属の炭酸塩の析出は短時間で起こる。また、上記ポリアミンを用いることで高pH化を防ぐことができるため、水酸化マグネシウムの析出を抑えつつ、炭酸カルシウムを析出させやすいという利点もある。
【0049】
<第一の接触工程(S1-1)と第二の接触工程(S1-2)の好ましい態様>
第一の接触工程(S1-1)は、図4に示すように、複数の第一の接触部において実施されることが好ましい。
また、第二の接触工程(S1-2)も、図4に示すように、複数の第二の接触部において実施されることが好ましい。
具体的には、1基目(第一の接触部(P1-1))ではアミン水溶液(A1)を製造し、二酸化炭素を含む気体(C)を接触させて、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)を調製する。そして、2基目(第一の接触部(P1-1)’)には既に調製されたアミン水溶液(A2)を準備しておくことで、1基目においてアミン水溶液(A2)を調製している間に、2基目から第二の接触部にアミン水溶液(A2)を供給し、第二の接触工程(S1-2)を実施することができる。
第二の接触部においても同様に、1基目(第二の接触部(P1-2))でアミン水溶液(A2)と第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させてアルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる。その間、2基目(第二の接触部(P1-2)’)では、アミン水溶液(A2)を受け入れることができる。または、アルカリ土類金属の炭酸塩の回収部への払い出しを行うことができる。
【0050】
また、図5に示すように、第二の接触部(P1-2)を備えることなく、第一の接触部(P1-1)にて、第一の接触工程(S1-1)及び第二の接触工程(S1-2)を行うことも可能である。この場合にも、第一の接触部(P1-1)を複数備えることで、炭酸塩回収部(Q)へのアルカリ土類金属の炭酸塩の連続供給が可能となる。
【0051】
第一の接触部(P1-1)と第二の接触部(P1-2)を、複数とするか単数とするか、あるいは第一の接触部にて第一の接触工程(S1-1)及び第二の接触工程(S1-2)を実施するかは、目的とする二酸化炭素の固定量等の条件・要求に応じて選択することができる。
【0052】
また、第一の接触部(P1-1)を密閉された反応塔を用いた交流接触方式とし、第二の接触部(P1-2)を連続式撹拌槽型反応器やラインミキサーとすることで、プロセス全体を連続式とすることができる。
【0053】
<回収工程(T)>
回収工程(T)では、第二の接触工程(S1-2)において生成したアルカリ土類金属の炭酸塩を回収する。
アルカリ土類金属の炭酸塩は、析出して沈殿するので、濾過及び遠心分離等から選択される1種以上の固液分離処理により、分離して回収することができる。
アルカリ土類金属の炭酸塩は、炭酸塩回収部(Q)において回収される。図3図6に示す二酸化炭素の固定化システム1a、1a’、1a’’、及び11aにおいて、炭酸塩回収部(Q)は、例えばサブタンクであり、第二の接触工程(S1-2)で得られたアルカリ土類金属の炭酸塩を含む液相をサブタンク等に移送し、サブタンク内で固液分離処理が行われて、アルカリ土類金属の炭酸塩が回収される。
なお、既述のように、第二の接触部(P1-2)において、反応槽としてシックナー沈降分離装置を用いた場合には、第二の接触部(P1-2)は、炭酸塩回収部(Q)の機能を兼ね備えることができる。
【0054】
回収したアルカリ土類金属の炭酸塩は、必要に応じて水洗し、さらに乾燥して、製品とすることができる。
【0055】
<アミン化合物回収・供給工程(U)>
アミン化合物回収工程(U)では、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、第一の接触工程(S1-1)において用いるアミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給する。
アミン回収・供給工程(U)により、アミン化合物(A)を二酸化炭素の固定化方法及び固定化システムの系内で繰り返し利用することが可能となり、アミン化合物(A)にかかるコスト等を抑えることができる。
【0056】
以下、アミン化合物回収・供給工程(U)において行われる、アミン化合物(A)の回収方法及び回収したアミン化合物(A)の供給方法について、詳細に説明する。
【0057】
(アミン化合物の回収方法)
アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からのアミン化合物(A)の回収は、例えば、以下に説明する、吸着剤を利用した方法により行うことができる。ここで説明する方法は、イオン交換クロマトグラフィーの原理と方法と同等である。アミン化合物(A)の回収は、既知の方法を利用すれば良く、吸着剤を利用した方法に限定されるものではい。具体的には電気透析法、透析膜法、限界濾過法を用いることができる。
【0058】
-吸着剤-
吸着剤は、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相を接触させることで、アミン化合物(A)を回収することができる固体状の吸着剤が用いられる。
固体状の吸着剤としては、例えば、-SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を示す)で表される置換基を有するものが用いられる。
Mとして選択し得るアルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、又はフランシウム(Fr)である。
水溶性及び操作性の観点から、Mは、Na又は水素原子であることが好ましい。
なお、固体状の吸着剤は、1種を単独で用いてもよいし、Mが異なる2種以上の固体状の吸着剤を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
固体状の吸着剤は、担体に上記置換基が結合することで、アミン化合物(A)の回収機能を発揮する。担体としては、上記置換基が結合可能であれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、アルミナ、ガラス、カオリン、マイカ、タルク、クレイ、水和アルミナ、ウォラストナイト、鉄粉、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪素、炭酸カルシウム、炭素、硫酸バリウム、ボロン、フェライト、セルロース、及び活性炭等が挙げられる。
担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
固体状の吸着剤の形状は特に限定されず、例えば、粉末状、粒状、シート状であってもよい。また、固体状の吸着剤の粉末や粒子を充填したカートリッジ、カラム、又は漏斗等であってもよい。
【0061】
-液相と固体状の吸着剤との接触-
アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相と固体状の吸着剤とを接触させることで、アミン化合物(A)が固体状の吸着剤に回収される。この際、液相のpHは1~7であることが好ましい。また、液相の温度は特に限定されないが、好ましくは20℃~40℃である。
【0062】
アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相と固体状の吸着剤とを接触方法は、特に制限されないが、取り扱いの容易性等の観点から、固体状の吸着剤の粉末や粒子を充填したカートリッジ、カラム、又は漏斗を用い、これに液相を流通させることが好ましい。
【0063】
-アミン化合物(A)の溶出-
固体状の吸着剤に回収されたアミン化合物(A)は、固体状の吸着剤に溶出液を接触させることで、溶出液中に溶出させて回収することができる。
溶出液としては、塩基性化合物を含有する水溶液(有機溶媒を添加もしくは一部を置換したものを含む)が挙げられる。
塩基性化合物は、回収対象であるアミン化合物(A)との間で化学的反応を実質的に生じないものであって、水に溶解ないし混和可能なものを適宜用いることができる。好ましい塩基性化合物としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、トリエチルアミン、ピリジン、ヒスチジン、ジアザビシクロウンデセン、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0064】
塩基性化合物の濃度は、アミン化合物(A)の溶出効率向上の観点から、塩基性化合物と有機溶媒との合計100質量%を基準として、0.5質量%~10質量%が好ましい。
【0065】
有機溶媒は、回収対象であるアミン化合物(A)と塩基性化合物とを溶解する一般的な有機溶媒を用いることができるが、操作性等の観点から、低粘性、低沸点の有機溶媒が好ましく、更には水と均一に混合するものが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、及び2-プロパノール等の炭素数1~3の低級アルコール;アセトン;アセトニトリル等が挙げられる。
なお、有機溶媒は、塩基性化合物を含有する水溶液の調整のために少量添加または混合してもよいが、塩基性化合物を含有する水溶液は、有機溶媒を含まないことが好ましい。
【0066】
アミン化合物(A)を溶出液に溶出させる際の溶出液の温度は特に限定されないが、一般には、20~40℃である。
【0067】
固体状の吸着剤に回収されたアミン化合物(A)を溶出させる方法は、特に制限されないが、取り扱いの容易性等の観点から、固体状の吸着剤の粉末や粒子を充填したカートリッジ、カラム、又は漏斗を用いる場合には、これにアルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相を流通させてアミンを回収した後、アミン化合物(A)が回収された固体状の吸着剤に溶出液を流通させて、当該溶出液中にアミン化合物(A)を溶出させて回収する方法が挙げられる。
したがって、アミン化合物回収・供給部(R)を構成するアミン化合物回収手段としては、例えば、供給ライン51aから供給される液相を流通させて、アミン化合物(A)を回収するための、固体状の吸着剤の粉末や粒子を充填したカートリッジ、カラム、又は漏斗と、当該カートリッジ、カラム、又は漏斗に溶出液を流通させる供給ライン(不図示)とを備える構成が挙げられる。
【0068】
(アミン化合物(A)の供給方法)
溶出液中に回収されたアミン化合物(A)は、供給ライン51bを介して、貯留タンク21に供給される。これにより、第一実施形態の二酸化炭素の固定化方法及び固定化システムにおいて、アミン化合物(A)が系内で循環利用される。
なお、溶出液中に回収されたアミン化合物(A)は、溶出液ごと貯留タンク21に供給してもよいし、溶出液の少なくとも一部を分離してアミン化合物(A)を濃縮した後、貯留タンク21に供給してもよい。
【0069】
なお、上述したアミン化合物回収・供給工程(U)では、固体状の吸着剤を用いてアミン化合物(A)を回収する例を説明したが、アミン化合物(A)の回収は、この方法には限定されず、例えば、イオン交換膜電解装置、逆浸透膜装置、電気透析装置、拡散透析装置、イオン交換樹脂を備える装置等を用いて行うようにしてもよい。
したがって、第一実施形態の二酸化炭素の固定化システムは、アミン化合物回収・供給工程(U)を実施するためのアミン化合物回収・供給部(R)として、イオン交換膜電解装置、逆浸透膜装置、電気透析装置、拡散透析装置、又はイオン交換樹脂を備える装置を備えていてもよい。
また、アミン化合物(A)として、生体アミンから誘導される基を含むポリマーや人工アミンから誘導される基を含むポリマーを用いる場合、アミン化合物を、限界濾過膜(UF膜)で回収するようにしてもよい。
【0070】
[第二実施形態]
第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を図7に示す。
図7に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)として、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを同時に接触させる接触工程(S2)を含む。
さらに、図7に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)の後に、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する回収工程(T)を含む。
【0071】
第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法では、接触工程(S2)において、アミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを、同時に接触するようにしている。したがって、アミン化合物(A)に起因する第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を、第二族元素イオン含有水溶液(B)中に生成した、気体(C)中の二酸化炭素由来の炭酸イオンによって抑えながら、アルカリ土類金属の炭酸塩を効率よく生成することができる。
【0072】
また、第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法においても、図8に示すように、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、工程(S)において用いるアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給工程(U)をさらに含むことが好ましい。
【0073】
次に、第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの一例を図9に示す。
図9に示す二酸化炭素の固定化システム1bは、接触部(P2)及び炭酸塩回収部(Q)を少なくとも備える。
接触部(P2)では、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを同時に接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる。
炭酸塩回収部(Q)では、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する。
【0074】
図9に示す二酸化炭素の固定化システム1bでは、アミン化合物(A)は、アミン水溶液(A1)として、貯留タンク21に収容され、アミン水溶液(A1)が供給ライン21aを介して、接触部(P2)に供給される。
第二族元素イオン含有水溶液(B)は、貯留タンク31に収容され、供給ライン31aを介して、接触部(P2)に供給される。
二酸化炭素を含む気体(C)は、例えば、図示省略するボンベ又は設備(例えば石炭火力発電所等)から供給され、ブロア22により、供給ライン22aを介して接触部(P2)に供給される。
アミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)と、二酸化炭素を含む気体(C)とは、接触部(P2)にて同時に接触し、アルカリ土類金属の炭酸塩が生成する。
なお、アミン化合物(A)は、アミン水溶液(A1)として接触部(P2)に供給される態様には限定されず、アミン化合物(A)を接触部(P2)に直接供給する態様であってもよい。
【0075】
なお、図示省略するが、第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムにおいて、接触部(P2)は、複数備えられていてもよい。
【0076】
また、第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための本実施形態の二酸化炭素の固定化システムの好ましい態様の一例を図10に示す。
図10に示す二酸化炭素の固定化システム11bは、接触部(P2)及び炭酸塩回収部Qに加えて、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、接触部(P2)において使用するアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給部(R)をさらに備える。
【0077】
なお、第二実施形態において、第一実施形態と共通する態様及び構成については、好適な態様及び構成も第一実施形態と同様であり説明は省略する。
例えば、第二実施形態で用いられるアミン化合物(A)、アミン水溶液(A1)、第二族元素イオン含有水溶液(B)、及び二酸化炭素を含む気体(C)は、第一実施形態と同様であり、好適態様等も第一実施形態と同様である。
また、回収工程(T)、アミン化合物回収・供給工程(U)、炭酸塩回収部(Q)、及びアミン化合物回収・供給部(R)も、第一実施形態と同様であり、好適態様等も第一実施形態と同様である。
【0078】
[第三実施形態]
第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を図11に示す。
図11に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)として、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)とを接触させて、アミン化合物(A)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との混合液(AB)を調製する第一の接触工程(S3-1)、及び第一の接触工程(S3-1)の後に、混合液(AB)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させる第二の接触工程(S3-2)を含む。
さらに、図11に示す二酸化炭素の固定化方法は、工程(S)の後に、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する回収工程(T)を含む。
【0079】
アミン化合物(A)と第二族元素イオン含有水溶液(B)との混合液(AB)に、二酸化炭素を含む気体(C)を接触させることでも、アミン化合物(A)に起因する第二族元素イオン含有水溶液(B)のpH上昇を抑えながら、アルカリ土類金属の炭酸塩を効率よく生成することができる。
但し、pH上昇をより抑制しやすくして、アルカリ土類金属の炭酸塩をより効率よく生成する観点から、混合液(AB)の調製後、できる限り速やかに、二酸化炭素を含む気体(C)を接触させることが好ましい。
【0080】
また、第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法においても、図12に示すように、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、第一の接触工程(S3-1)において用いるアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給工程(U)をさらに含むことが好ましい。
【0081】
次に、第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムの一例を図13に示す。
図13に示す二酸化炭素の固定化システム1cは、第一の接触部(P3-1)、第二の接触部(P3-2)、及び炭酸塩回収部(Q)を少なくとも備える。
第一の接触部(P3-1)では、生体内で合成されるアミン、人工的に合成されるアミン、及びこれらアミンから誘導される基を含むポリマーからなる群から選択される1種以上のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)(但し、該第二族元素イオン含有水溶液(B)は少なくともアルカリ土類金属イオンを含む)との混合液(AB)を調製する。
第二の接触部(P3-2)では、混合液(AB)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を析出させる。
炭酸塩回収部(Q)では、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収する。
【0082】
図13に示す二酸化炭素の固定化システム1cでは、アミン化合物(A)は、アミン水溶液(A1)として、貯留タンク21に収容され、アミン水溶液(A1)が供給ライン21aを介して、第一の接触部(P3-1)に供給される。
第二族元素イオン含有水溶液(B)は、貯留タンク31に収容され、供給ライン31aを介して、第一の接触部(P3-1)に供給される。
アミン水溶液(A1)中のアミン化合物(A)と、第二族元素イオン含有水溶液(B)とは、第一の接触部(P3-1)で接触して混合され、混合液(AB)が調製される。
混合液(AB)は、供給ライン2aを介して第二の接触部(P3-2)に供給される。第二の接触部(P3-2)中の混合液(AB)は、図示省略するボンベ又は設備(例えば石炭火力発電所等)から供給され、ブロア22により、供給ライン22aを介して第二の接触部(P3-2)に供給される、二酸化炭素を含む気体(C)と接触し、アルカリ土類金属の炭酸塩が生成する。
なお、アミン化合物(A)は、アミン水溶液(A1)として第一の接触部(P3-1)に供給される態様には限定されず、アミン化合物(A)を第一の接触部(P3-1)に直接供給する態様であってもよい。
【0083】
また、図示省略するが、第二実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための二酸化炭素の固定化システムにおいて、第一の接触部(P3-1)は、1つ備えられていてもよく、複数備えられていてもよい。また、第二の接触部(P3-2)は1つ備えられていてもよく、複数備えられていてもよい。
また、図示省略するが、図13に示す二酸化炭素の固定化システム1cは、第二の接触部(P3-2)を備えることなく、第一の接触部(P3-1)において混合液(AB)と、二酸化炭素を含む気体(C)とを接触させるようにすることが好ましい。このような構成を採用することで、第一の接触部(P3-1)において混合液(AB)を調製した後、速やかに二酸化炭素を含む気体(C)を接触させやすく、アルカリ土類金属の炭酸塩の生成効率をより向上させやすい。
【0084】
また、第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法を実施するための本実施形態の二酸化炭素の固定化システムの好ましい態様の一例を図14に示す。
図14に示す二酸化炭素の固定化システム11cは、第一の接触部(P3-1)、第二の接触部(P3-2)、及び炭酸塩回収部(Q)に加えて、アルカリ土類金属の炭酸塩が析出した後の液相からアミン化合物(A)を回収し、第一の接触部(P3-1)において使用するアミン化合物(A)の少なくとも一部として供給するアミン化合物回収・供給部(R)をさらに備える。
【0085】
なお、第三実施形態において、第一実施形態と共通する態様及び構成については、好適な態様及び構成も第一実施形態と同様であり説明は省略する。
例えば、第三実施形態で用いられるアミン化合物(A)、アミン水溶液(A1)、第二族元素イオン含有水溶液(B)、及び二酸化炭素を含む気体(C)は、第一実施形態と同様であり、好適態様等も第一実施形態と同様である。
また、回収工程(T)、アミン化合物回収・供給工程(U)、炭酸塩回収部(Q)、及びアミン化合物回収・供給部(R)も、第一実施形態と同様であり、好適態様等も第一実施形態と同様である。
【0086】
[炭酸塩の製造方法]
既述のように、第一実施形態から第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法によれば、アルカリ土類金属の炭酸塩を回収することができる。したがって、本開示によれば、第一実施形態から第三実施形態の二酸化炭素の固定化方法を用いた、炭酸塩の製造方法も提供される。
アルカリ土類金属の炭酸塩は、各種用途として有用である。
例えば、炭酸カルシウムは、製紙、ゴム、プラスチック、食品、及び化粧品等の広範囲な工業分野で、充填剤、顔料、及び増量剤などとして利用することができる。
また、炭酸ストロンチウムは、ブラウン管及びフェライト磁石の原料等として利用することができる。
さらに、炭酸バリウムは、電子材料用の原料等として利用することができる。
【実施例0087】
[海水と各種塩基を用いた炭酸カルシウム形成速度の検討]
海水と各種塩基を用い、炭酸カルシウム形成速度について検討した。
【0088】
<使用した塩基>
・「塩基1」:アミン化合物(A)としてプトレシン(1,4-ブタンジアミン)を用い、プトレシン濃度を30質量%に調整したアミン水溶液(A1)に、二酸化炭素を導入した、二酸化炭素由来の炭酸イオンを含むアミン水溶液(A2)。
なお、二酸化炭素の導入は、20Lのアミン水溶液(A1)に対し、エアストーンを介して1L/minでCOガス(99.9%)を2時間添加することにより行った。
・「塩基2」:アミン化合物(A)としてプトレシンを用い、プトレシン濃度を30質量%に調整したアミン水溶液(A1)。
・「塩基3」:NaOH
【0089】
<実施例1-1>
海水(天然海水)500mLに、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した。
塩基1の添加量は、海水と塩基1との混合液のアミン化合物濃度が10mMとなるように調整した。
次いで、海水と塩基1との混合液をウォーターバスで40℃に保温しながら、空気を、エアストーンを介して1L/minで5時間導入し続け、混合液中のカルシウムイオン濃度を測定した。混合液中のカルシウムイオン濃度は、空気を導入し始める前と、空気を導入し始めた直後(空気の導入開始から1分後)に測定した後、さらに経時的に測定し続けた。
また、pHも経時的に測定した。
混合液中のカルシウムイオン濃度は、株式会社堀場製作所製のLAQAtwin-Ca-11を用いて測定した。
混合液中のpHは、株式会社堀場製作所製のF-72を用いて測定した。
【0090】
<実施例1-2>
塩基1を塩基2(アミン水溶液(A2))に変更し、実施例1-1と同様の方法により、海水と塩基2との混合液中のカルシウムイオン濃度とpHとを測定した。
【0091】
<比較例1-1>
塩基1を塩基3(NaOH)に変更し、実施例1-1と同様の方法により、海水と塩基3との混合液中のカルシウムイオン濃度とpHとを測定した。
塩基3の添加量は、海水と塩基3との混合液のNaOH濃度が10mMとなるように調整した。
【0092】
カルシウムイオン濃度の測定結果を図15に示し、pHの測定結果を図16に示す。
図15及び図16に示す結果から、以下のことがわかる。
実施例1-1では、海水に塩基1(アミン水溶液(A2))を添加すると、直ちにカルシウムイオン濃度が減少した。また、pHの大幅な上昇は見られなかった。このことから、海水に塩基1(アミン水溶液(A2))を添加すると、pHが大きく上昇することなく、直ちに炭酸カルシウムが沈殿したことがわかる。
これに対し、比較例1-1のように、海水に塩基3(NaOH)を添加すると、混合液の白濁が見られた。また、pHの大幅な上昇が見られた。このことから、海水への塩基3の添加によって海水のpHを上昇させると、海水中にカルシウムイオンの3倍量存在するマグネシウムイオンが、水酸化マグネシウムとなり、炭酸カルシウムの形成が阻害されたものと考えられる。
また、実施例1-2のように、塩基2(アミン水溶液(A1))を添加した場合、実施例1-1ほどはカルシウムイオン濃度が直ちには減少しないものの、比較例1-1と比較して、明らかにカルシウムイオン濃度が低下しやすい傾向がみられた。このことから、実施例1-2のように、塩基2(アミン水溶液(A1))を添加した場合にも、実施例1-1ほどではないにせよ、炭酸カルシウムが効率よく生成されたことがわかる。
【0093】
以上の結果から、実施例1-1のように、塩基1(アミン水溶液(A2))を用いることで、最も効率よく炭酸カルシウムを製造できることが明らかとなった。
また、実施例1-2のように、塩基2(アミン水溶液(A1))を用いることでも、効率よく炭酸カルシウムを製造できることが明らかとなった。
なお、カルシウムイオン濃度の初期(0分)~終了時(300分)の減少率は、図15に示すように、実施例1-1で86.2%、実施例1-2で78.8%、比較例1-1で50.9%であった。
【0094】
[脱マグネシウム海水を用いた、炭酸カルシウム形成速度の塩基濃度の影響の検討]
脱マグネシウム海水と塩基1を用い、炭酸カルシウム形成速度の塩基濃度の影響について検討した。
【0095】
<実施例2-1>
脱マグネシウム海水500mLに、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した。
脱マグネシウム海水は、海水(天然海水)に石灰乳を添加した後、生成した水酸化マグネシウムスラリーを除去して生成した。脱マグネシウム海水のマグネシウム濃度は、500質量ppm以下である。
塩基1の添加量は、脱Mg海水と塩基1との混合液のアミン化合物濃度が10mMとなるように調整した。
次いで、脱マグネシウム海水と塩基1との混合液をウォーターバスで40℃に保温しながら、空気を、エアストーンを介して1L/minで1時間導入し続け、混合液中のカルシウムイオン濃度を測定した。混合液中のカルシウムイオン濃度は、空気を導入する前と、空気を導入し始めた直後(空気の導入開始から1分後)に測定した後、さらに経時的に測定し続けた。
【0096】
<実施例2-2~実施例2-7>
塩基1の添加量を、脱マグネシウム海水と塩基1との混合液のアミン化合物濃度がそれぞれ以下の濃度となるように調整し、実施例2-1と同様の方法で混合液中のカルシウムイオン濃度を測定した。
・実施例2-2:20mM
・実施例2-3:30mM
・実施例2-4:40mM
・実施例2-5:50mM
・実施例2-6:60mM
・実施例2-7:70mM
【0097】
結果を図17に示す。
図17に示す結果から、以下のことがわかる。
実施例2-1~実施例2-7のいずれにおいても、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した直後にカルシウムイオン濃度は減少した。また、塩基1の添加量が多いほどカルシウムイオン濃度の減少速度が大きいことが確認された。
なお、実施例2-1~実施例2-7のいずれにおいても、塩基1を添加した直後にカルシウムイオン濃度が大きく減少した後は、カルシウムイオン濃度はあまり変化しなかった。
【0098】
[脱マグネシウム海水を用いた、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響の検討1]
脱マグネシウム海水と塩基1又は3を用い、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響について検討した。
【0099】
<実施例3-1>
上記実施例2-5と同様の試験を180分間実施し、混合液中のカルシウムイオン濃度の経時変化を測定するとともに、混合液のpHの経時変化を測定した。
【0100】
<比較例3-1>
塩基種を塩基1から塩基3(NaOH)に変更して実施例3-1と同様の試験を実施し、混合液中のカルシウムイオン濃度の経時変化を測定するとともに、混合液のpHの経時変化を測定した。
【0101】
カルシウムイオン濃度の測定結果を図18に示し、pHの測定結果を図19に示す。
図18に示す結果から、以下のことがわかる。
実施例3-1では、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した直後にカルシウムイオン濃度は減少し、その後カルシウムイオン濃度が低濃度である状態を維持した。
これに対し、比較例3-1では、初期に塩基3(NaOH)を添加すると徐々にカルシウムイオン濃度の上昇がみられ、その後徐々にカルシウムイオン濃度が低下した。そして、試験開始60分後以降は、カルシウムイオン濃度の大幅な変動はみられず、1,000質量ppmを超える値を維持した。
また、図19に示す結果から、以下のことがわかる。
実施例3-1では、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した直後にpHが低下し、その後徐々にpHの上昇がみられたものの、pHは8.5以下の状態を維持しつつけた。
これに対し、比較例3-1では、全試験期間にわたってpHが11以上である状態を維持し続けた。
【0102】
以上の結果から、実施例3-1のように塩基1(アミン水溶液(A2))を用いることで、比較例3-1のように塩基3(NaOH)を用いた場合と比較して、圧倒的に効率よく炭酸カルシウムを製造できることが明らかとなった。
【0103】
[脱マグネシウム海水を用いた、炭酸カルシウム形成速度の塩基種の影響の検討2]
塩基種として、ポリエチレンイミンを用い、炭酸カルシウム形成速度について検討した。
【0104】
<実施例4-1>
塩基としてポリエチレンイミン1(株式会社日本触媒製、品番「SP-006」、分子量600)を用い、実施例3-1と同様の試験を実施した。塩基濃度は50mMとした。
【0105】
<実施例4-2>
塩基としてポリエチレンイミン2(株式会社日本触媒製、品番「SP-018」、分子量1,800)を用い、実施例3-1と同様の試験を実施した。塩基濃度は50mMとした。
【0106】
<実施例4-3>
塩基としてポリエチレンイミン3(株式会社日本触媒製、品番「SP-200」、分子量10,000)を用い、実施例3-1と同様の試験を実施した。塩基濃度は50mMとした。
【0107】
<実施例4-4>
塩基としてポリエチレンイミン4(株式会社日本触媒製、品番「HM-2000」、分子量30,000)を用い、実施例3-1と同様の試験を実施した。塩基濃度は50mMとした。
【0108】
なお、ポリエチレンイミン1~4の分子量は、沸点上昇法による数平均分子量である。
【0109】
結果を図20に示す。
なお、図20には、実施例3-1及び比較例3-1の結果も掲載した。
図20に示す結果から、塩基としてポリエチレンイミン1~4のいずれを用いた場合にも、塩基としてNaOHを用いた場合と比較して、効率よく炭酸カルシウムを製造できることが明らかとなった。
【0110】
[かん水を用いた、炭酸カルシウム形成速度の検討]
かん水と塩基1を用い、炭酸カルシウム形成速度について検討した。
【0111】
<実施例5-1>
かん水500mLに、塩基1(アミン水溶液(A2))を添加した。
かん水は、海水淡水化装置の廃海水(カルシウムイオン濃度:800質量ppm)を用いた。
塩基1の添加量は、かん水と塩基1との混合液のアミン化合物濃度が10mMとなるように調整した。
次いで、かん水と塩基1との混合液をウォーターバスで40℃に保温しながら、空気を、エアストーンを介して1L/minで1時間導入し続け、混合液中のカルシウムイオン濃度を測定した。混合液中のカルシウムイオン濃度は、空気を導入する前と、空気を導入し始めた直後(空気の導入開始から1分後)に測定した後、さらに経時的に測定し続けた。
また、pHも経時的に測定した。
【0112】
<実施例5-2~5-4>
塩基1の添加量を、かん水と塩基1との混合液のアミン化合物濃度がそれぞれ以下の濃度となるように調整し、実施例5-1と同様の方法で混合液中のカルシウムイオン濃度及びpHを測定した。
・実施例5-2:20mM
・実施例5-3:50mM
・実施例5-4:100mM
【0113】
カルシウムイオン濃度の測定結果を図21に示し、pHの測定結果を図22に示す。
図21に示す結果から、かん水を用いた場合においても、塩基1を用いることで、アミン化合物濃度がいずれの場合においてもカルシウムイオン濃度が減少し、アミン化合物濃度が高まる程(特に、アミン化合物濃度が20mM以上になると)、塩基1を添加した直後のカルシウムイオン濃度の減少が顕著であることが確認された。
また、図22に示す結果から、アミン化合物の濃度が20mM以上になると、実験開始1分後にpHが一時的に低下することが明らかとなった。
以上の結果から、かん水を用いた場合においても、塩基1を用いることで、効率よく炭酸カルシウムを製造でき、塩基1を多く添加する程(特に、アミン化合物濃度が20mM以上になると)、炭酸カルシウム形成速度が顕著に大きくなることがわかった。
【符号の説明】
【0114】
1a、1a’、1a’’、11a (第一実施形態における)二酸化炭素の固定システム
1b、11b (第二実施形態における)二酸化炭素の固定システム
1c、11c (第三実施形態における)二酸化炭素の固定システム
(P1-1)、(P1-1)’ (第一実施形態における)第一の接触部
(P2) (第二実施形態における)接触部
(P3-1) (第三実施形態における)第一の接触部
2a (第一の接触部から第二の接触部への)供給ライン
21 (アミン水溶液(A1)の)貯留タンク
21a (アミン水溶液(A1)の)供給ライン
22 ブロア
22a (二酸化炭素を含む空気(C)の)供給ライン
(P1-2)、(P1-2)’ (第一実施形態における)第二の接触部
(P3-2) (第三実施形態における)第二の接触部
31 (第二族元素イオン含有水溶液(B)の)貯留タンク
31a (第二族元素イオン含有水溶液(B)の)供給ライン
(Q) 炭酸塩回収部
(R) アミン化合物回収・供給部
51a (炭酸塩回収部からアミン化合物回収・供給部への)供給ライン
51b (アミン化合物回収・供給部からアミン水溶液(A1)の貯留タンクへの)供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5
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