(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114551
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】モード交換器
(51)【国際特許分類】
G02B 6/14 20060101AFI20230810BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20230810BHJP
G02B 6/124 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G02B6/14
G02B6/122 311
G02B6/124
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016918
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】森 崇嘉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰志
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽子
(72)【発明者】
【氏名】今田 諒太
(72)【発明者】
【氏名】中島 和秀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 剛
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 晋聖
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AB28
2H147BA02
2H147BB02
2H147BB03
2H147BB07
2H147BC03
2H147BC05
2H147BC13
2H147CB01
2H147CD01
2H147EA12A
2H147EA13A
2H147EA14A
2H147EA16A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、PLC基板上のモード交換器において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDL(Mode Dependent Loss)を低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、複数のモードを有する光信号が伝搬するマルチモード光ファイバに挿入され、複数のモードの間の交換を行うPLC基板上のモード交換器M2であって、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動するサイドテーパー状導波路21及びサイドグレーティング状導波路22と、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動するトップグレーティング状導波路23及びトップテーパー状導波路24と、を光信号の伝搬方向にこの順序で備えるモード交換器M2である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモードを有する光信号が伝搬するマルチモード光ファイバに挿入され、前記複数のモードの間の交換を行うPLC基板上のモード交換器であって、
前記PLC基板に平行方向及び垂直方向のうちの一方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動する第1テーパー状導波路及び第1グレーティング状導波路と、
前記PLC基板に平行方向及び垂直方向のうちの他方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動する第2グレーティング状導波路及び第2テーパー状導波路と、
を前記光信号の伝搬方向にこの順序で備えることを特徴とするモード交換器。
【請求項2】
前記第1テーパー状導波路は、光ファイバモードを矩形導波路モードに交換し、
前記第1グレーティング状導波路は、所望の矩形導波路モードの間の交換を行い、
前記第2グレーティング状導波路は、前記第1グレーティング状導波路で不交換の矩形導波路モードとその他の矩形導波路モードとの間の交換を行い、
前記第2テーパー状導波路は、矩形導波路モードを光ファイバモードに交換する
ことを特徴とする、請求項1に記載のモード交換器。
【請求項3】
前記第1テーパー状導波路と前記第1グレーティング状導波路との間に挿入され、前記一方方向の厚みが前記光信号の伝搬方向に変動する第3テーパー状導波路と、
前記第2グレーティング状導波路と前記第2テーパー状導波路との間に挿入され、前記他方方向の厚みが前記光信号の伝搬方向に変動する第4テーパー状導波路と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のモード交換器。
【請求項4】
前記第3テーパー状導波路及び前記第4テーパー状導波路は、前記一方方向又は前記他方方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードを、それぞれ、前記他方方向又は前記一方方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードに交換する
ことを特徴とする、請求項3に記載のモード交換器。
【請求項5】
前記第1グレーティング状導波路及び前記第2グレーティング状導波路は、それぞれの入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、それぞれの出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、それぞれ、前記一方方向及び前記他方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動する
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のモード交換器。
【請求項6】
前記第1グレーティング状導波路は、前記光信号の伝搬方向の長さが、10000μm以上20000μm以下であり、前記第2グレーティング状導波路は、前記光信号の伝搬方向の長さが、14000μm以上20000μm以下である
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のモード交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のモードを有する光信号が伝搬するマルチモード光ファイバに挿入され、複数のモードの間の交換を行うPLC基板上のモード交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のモードを有する光信号が伝搬するマルチモード光ファイバに挿入され、複数のモードの間の交換を行うPLC基板上のモード交換器が、特許文献1及び非特許文献1に開示されている。光ファイバ通信の大容量化を図るために、マルチモード光ファイバを用い、モード特性間の均一化を図るために、PLC基板上のモード交換器を用いる。ここで、PLC基板上のモード交換器とは、SOI(Si on Insulator)基板上にSiO2膜が火炎堆積法により形成されエッチングにより加工され、その上からさらにSiO2が堆積されSiO2導波路が作製された、PLC基板上の導波路素子である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-191224号公報
【特許文献2】特開2016-151660号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T.Fujisawa et al.,“Wavefront-matching-method-designed six-mode-exchanger based on grating-like waveguide on silica-PLC platform,”OFC2020,paper Th1A.5(2020).
【非特許文献2】Y.Sakamaki et al.,“New optical waveguide design based on wavefront matching method,”IEEE Journal of Lightwave Technology,vol.25,pp.3511-3518(2007).
【非特許文献3】T.Fujisawa et al.,“Scrambling-Type Three-Mode PLC Multiplexer Based on Cascaded Y-Branch Waveguide With Integrated Mode Rotator,”IEEE Journal of Lightwave Technology,vol.36,pp.1985-1992(2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のモード交換器M1の構成を
図1に示す。従来技術のモード交換器M1の処理を
図2に示す。モード交換器M1は、テーパー状導波路11、グレーティング状導波路12及びテーパー状導波路13を、光信号の伝搬方向にこの順序で備える。
【0006】
テーパー状導波路11は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、光ファイバモードを矩形導波路モードに交換する。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードを、それぞれ、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードに透過させる。そして、LP21b、LP02モードを混合させて(理由は
図3で後述。)、E13、E31モードに交換する。
【0007】
グレーティング状導波路12は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、所望の矩形導波路モードの間の交換を行う。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21a、E31モードを、それぞれ、E31、LP01、LP21a、LP11b、LP11aモードに交換する。しかし、E13モードを他のモードに交換することができず、E13モードに透過させてしまう。
【0008】
テーパー状導波路13は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、矩形導波路モードを光ファイバモードに交換する。具体的には、LP01、LP21a、LP11b、LP11aモードを、それぞれ、LP01、LP21a、LP11b、LP11aモードに透過させる。そして、E31、E13モードを、それぞれ、LP02、LP21bモードに交換する(モードの混合はなし。)。
【0009】
従来技術のモード交換器M1の効率を
図3に示す。LP01、LP11a、LP11b、LP21a入力モードは、それぞれ、LP02、LP01、LP21a、LP11b出力モードに、ほぼ100%の効率で交換されている。LP21b入力モードは、LP11a、LP21b出力モードに、ほぼ半々の効率で交換されている。LP02入力モードは、LP11a、LP21b出力モードに、ほぼ半々の効率で交換されている。
【0010】
このように、LP21b入力モードは、ほぼ半々の効率で他の出力モードに交換されているが、ほぼ半々の効率で他の出力モードに交換されていない。よって、MDL(Mode Dependent Loss)を低減することが困難である。そして、MDLを低減するために、多くの個数のモード交換器を導入することが必要である。
【0011】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、PLC基板上のモード交換器において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDL(Mode Dependent Loss)を低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動するグレーティング状導波路と、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動するグレーティング状導波路と、を組み合わせることとした。
【0013】
具体的には、本開示は、複数のモードを有する光信号が伝搬するマルチモード光ファイバに挿入され、前記複数のモードの間の交換を行うPLC基板上のモード交換器であって、前記PLC基板に平行方向及び垂直方向のうちの一方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動する第1テーパー状導波路及び第1グレーティング状導波路と、前記PLC基板に平行方向及び垂直方向のうちの他方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動する第2グレーティング状導波路及び第2テーパー状導波路と、を前記光信号の伝搬方向にこの順序で備えることを特徴とするモード交換器である。
【0014】
また、本開示は、前記第1テーパー状導波路は、光ファイバモードを矩形導波路モードに交換し、前記第1グレーティング状導波路は、所望の矩形導波路モードの間の交換を行い、前記第2グレーティング状導波路は、前記第1グレーティング状導波路で不交換の矩形導波路モードとその他の矩形導波路モードとの間の交換を行い、前記第2テーパー状導波路は、矩形導波路モードを光ファイバモードに交換することを特徴とするモード交換器である。
【0015】
これらの構成によれば、PLC基板上のモード交換器において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDLを低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることができる。
【0016】
また、本開示は、前記第1テーパー状導波路と前記第1グレーティング状導波路との間に挿入され、前記一方方向の厚みが前記光信号の伝搬方向に変動する第3テーパー状導波路と、前記第2グレーティング状導波路と前記第2テーパー状導波路との間に挿入され、前記他方方向の厚みが前記光信号の伝搬方向に変動する第4テーパー状導波路と、をさらに備えることを特徴とするモード交換器である。
【0017】
また、本開示は、前記第3テーパー状導波路及び前記第4テーパー状導波路は、前記一方方向又は前記他方方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードを、それぞれ、前記他方方向又は前記一方方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードに交換することを特徴とするモード交換器である。
【0018】
これらの構成によれば、PLC基板上のモード交換器において、ある入力モードが他の入力モードと混合されることを防止することにより、MDLを低減することをさらに容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることができる。
【0019】
また、本開示は、前記第1グレーティング状導波路及び前記第2グレーティング状導波路は、それぞれの入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、それぞれの出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、それぞれ、前記一方方向及び前記他方方向の厚みが、前記光信号の伝搬方向に変動することを特徴とするモード交換器である。
【0020】
この構成によれば、第1グレーティング状導波路及び第2グレーティング状導波路において、所望の矩形導波路モードの間の交換を行うように設計することができる。
【0021】
また、本開示は、前記第1グレーティング状導波路は、前記光信号の伝搬方向の長さが、10000μm以上20000μm以下であり、前記第2グレーティング状導波路は、前記光信号の伝搬方向の長さが、14000μm以上20000μm以下であることを特徴とするモード交換器である。
【0022】
この構成によれば、1個のモード交換器のみであっても、MDLを低減することを容易にするため、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示は、PLC基板上のモード交換器において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDL(Mode Dependent Loss)を低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術のモード交換器の構成を示す図である。
【
図2】従来技術のモード交換器の処理を示す図である。
【
図3】従来技術のモード交換器の効率を示す図である。
【
図4】第1実施形態のモード交換器の構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態のモード交換器の処理を示す図である。
【
図6】第1実施形態のサイドグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図7】第1実施形態のトップグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図8】第1実施形態のモード交換器の効率を示す図である。
【
図9】第1実施形態のモード交換器のMDLを示す図である。
【
図10】第2実施形態のモード交換器の構成を示す図である。
【
図11】第2実施形態のモード交換器の処理を示す図である。
【
図12】第2実施形態のグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図13】第2実施形態のグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図14】第2実施形態のグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図15】第2実施形態のグレーティング状導波路の設計を示す図である。
【
図16】第2実施形態のテーパー状導波路の設計を示す図である。
【
図17】第2実施形態のテーパー状導波路の設計を示す図である。
【
図18】第2実施形態のテーパー状導波路の設計を示す図である。
【
図19】第2実施形態のテーパー状導波路の設計を示す図である。
【
図20】第2実施形態のモード交換器のMDLを示す図である。
【
図21】第2実施形態のモード交換器のMDLを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
(第1実施形態のモード交換器の構成)
第1実施形態のモード交換器M2の構成を
図4に示す。第1実施形態のモード交換器M2の処理を
図5に示す。モード交換器M2は、サイドテーパー状導波路21、サイドグレーティング状導波路22、トップグレーティング状導波路23(新規に追加。)及びトップテーパー状導波路24(新規に追加。)を、光信号の伝搬方向にこの順序で備える。ここで、第1実施形態のモード交換器M2は、次のように製造される。まず、サイドテーパー状導波路21、サイドグレーティング状導波路22、トップグレーティング状導波路23及びトップテーパー状導波路24が、通常のPLC基板上の導波路素子製造法により作製される、すなわち、いずれもサイドテーパー状導波路及びサイドグレーティング状導波路として別々に作製される。次に、トップグレーティング状導波路23及びトップテーパー状導波路24が、光信号の伝搬方向を回転軸として90°回転され、サイドテーパー状導波路21及びサイドグレーティング状導波路22と突き合わせ結合される。
【0027】
サイドテーパー状導波路21は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、光ファイバモードを矩形導波路モードに交換する。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードを、それぞれ、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードに透過させる。そして、LP21b、LP02モードを混合させて(
図2と同様。)、E13、E31モードに交換する。
【0028】
サイドグレーティング状導波路22は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、所望の矩形導波路モードの間の交換を行う。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21a、E31モードを、それぞれ、E31、LP01、LP21a、LP11b、LP11aモードに交換する。しかし、E13モードを他のモードに交換することができず、E13モードに透過させてしまう。
【0029】
トップグレーティング状導波路23は、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、サイドグレーティング状導波路22で不交換の矩形導波路モードとその他の矩形導波路モードとの間の交換を行う。具体的には、LP01、E13モードを、それぞれ、E13、LP01モードに交換する。ここで、E13モードが、上記の不交換の矩形導波路モードであり、LP01モードが、上記のその他の矩形導波路モードである。そして、E31、LP21a、LP11b、LP11aモードを、それぞれ、E31、LP21a、LP11b、LP11aモードに透過させる。
【0030】
トップテーパー状導波路24は、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、矩形導波路モードを光ファイバモードに交換する。具体的には、LP21a、LP11b、LP01、LP11aモードを、それぞれ、LP21a、LP11b、LP01、LP11aモードに透過させる。そして、E31、E13モードを混合させて(導波路21の逆処理。)、LP21b、LP02モードに交換する。
【0031】
第1実施形態のサイドグレーティング状導波路22の設計を
図6に示す。サイドグレーティング状導波路22は、入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。
【0032】
つまり、入力モードがLP01、LP11a、LP11b、LP21a、E13、E31モードであるときに、それぞれ、理想の出力モードがE31、LP01、LP21a、LP11b、E13、LP11aモードとなる状態で、順伝搬フィールドの波面と逆伝搬フィールドの波面とが光信号の伝搬方向の全位置で一致するように、サイドグレーティング状導波路22を設計する(特許文献2及び非特許文献2の波面整合方法を参照。)。
【0033】
図6では、サイドグレーティング状導波路22の構造パラメータとして、PLC基板に平行方向の厚み(幅)10μm±変動幅、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)10μm、光信号の伝搬方向の長さ10000μm、比屈折率差Δ1.1%としている。
【0034】
第1実施形態のトップグレーティング状導波路23の設計を
図7に示す。トップグレーティング状導波路23は、入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。
【0035】
つまり、入力モードがE31、LP01、LP21a、LP11b、E13、LP11aモードであるときに、それぞれ、理想の出力モードがE31、E13、LP21a、LP11b、LP01、LP11aモードとなる状態で、順伝搬フィールドの波面と逆伝搬フィールドの波面とが光信号の伝搬方向の全位置で一致するように、トップグレーティング状導波路23を設計する(特許文献2及び非特許文献2の波面整合方法を参照。)。
【0036】
図7では、トップグレーティング状導波路23の構造パラメータとして、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)10μm±変動幅、PLC基板に平行方向の厚み(幅)10μm、光信号の伝搬方向の長さ10000μm、比屈折率差Δ1.1%としている。
【0037】
なお、サイドテーパー状導波路21の構造パラメータとして、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が10μmから11μmへとテーパー、光信号の伝搬方向の長さ1000μm、比屈折率差Δ1.1%としている。また、トップテーパー状導波路24の構造パラメータとして、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が11μmから10μmへとテーパー、光信号の伝搬方向の長さ50μm、比屈折率差Δ1.1%としている。
【0038】
第1実施形態のモード交換器M2の効率を
図8に示す。LP01入力モードは、LP02、LP21b出力モードに、ある程度偏った効率で交換されている。LP11a入力モードは、LP02、LP21b出力モードに、ある程度偏った効率で交換されている。LP11b、LP21a入力モードは、それぞれ、LP21a、LP11b出力モードに、ほぼ100%の効率で交換されている。LP02入力モードは、LP01、LP11a出力モードに、ある程度偏った効率で交換されている。LP21b入力モードは、LP01、LP11a出力モードに、ある程度偏った効率で交換されている。
【0039】
第1実施形態のモード交換器M2のMDLを
図9に示す。全長150kmのマルチモード光ファイバは、長さの等しいマルチモード光ファイバF-0、F-1、・・・、F-Nに分割され、
図4に示したモード交換器M2-1、M2-2、・・・、M2-Nを挿入される。モード交換器を用いないときには、約12dBのMDLが測定されたところ、従来技術では、1個のモード交換器M1を用いて、約8dBのMDLが測定された一方で、第1実施形態では、1個のモード交換器M2を用いて、約5dBのMDLが測定されており、約3dBのMDLの低減が実現されている(非特許文献3のMDL算出方法を参照。)。
【0040】
このように、PLC基板上のモード交換器M2において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDLを低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器M2を導入することを不要とすることができる。
【0041】
そして、サイドグレーティング状導波路22及びトップグレーティング状導波路23において、所望の矩形導波路モードの間の交換を行うように設計することができる。さらに、1個のモード交換器M2のみであっても、MDLを低減することを容易にするため、多くの個数のモード交換器M2を導入することを不要とすることができる。
【0042】
第1実施形態では、モード交換器M2の入力側では、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備え、モード交換器M2の出力側では、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備えている。変形例では、モード交換器M2の入力側では、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備え、モード交換器M2の出力側では、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備えてもよい。
【0043】
第1実施形態では、モード交換器M2の導波路として、ガラス系材料が適用され、マルチモード光ファイバの伝搬波長として、通信波長帯(1.3μm~1.7μm程度、特に1.55μm。)が適用されている。変形例では、モード交換器M2の導波路として、SiやInGaAsP等の半導体又はポリマー等の有機物が適用され、マルチモード光ファイバの伝搬波長として、中赤外領域(2μm以上)又は可視光帯等が適用されてもよい。
【0044】
(第2実施形態のモード交換器の構成)
第2実施形態のモード交換器M3の構成を
図10に示す。第2実施形態のモード交換器M3の処理を
図11に示す。モード交換器M3は、テーパー状導波路31(新規に追加。)、テーパー状導波路32(新規に追加。)、グレーティング状導波路33、グレーティング状導波路34(新規に追加。)、テーパー状導波路35(新規に追加。)及びテーパー状導波路36(新規に追加。)を、光信号の伝搬方向にこの順序で備える。ここで、第2実施形態のモード交換器M3は、次のように製造される。まず、テーパー状導波路31、テーパー状導波路32、グレーティング状導波路33、グレーティング状導波路34、テーパー状導波路35及びテーパー状導波路36が、通常のPLC基板上の導波路素子製造法により作製される、すなわち、いずれもサイドテーパー状導波路及びサイドグレーティング状導波路として別々に作製される。次に、グレーティング状導波路34、テーパー状導波路35及びテーパー状導波路36が、光信号の伝搬方向を回転軸として90°回転され、テーパー状導波路31、テーパー状導波路32及びグレーティング状導波路33と突き合わせ結合される。
【0045】
テーパー状導波路31は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、光ファイバモードを矩形導波路モードに交換する。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードを、それぞれ、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードに透過させる。そして、LP21b、LP02モードを、それぞれ、E13、E31モードに交換する(モードの混合はなし。)。
【0046】
テーパー状導波路32は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、PLC基板に平行方向又は垂直方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードを、それぞれ、PLC基板に垂直方向又は平行方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードに交換する。具体的には、E13、E31モードを、それぞれ、E31、E13モードに交換する。ここで、E13モードが、上記の垂直方向に3個のピークを有するモードであり、E31モードが、上記の平行方向に3個のピークを有するモードである。そして、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードを、それぞれ、LP01、LP11a、LP11b、LP21aモードに透過させる。
【0047】
グレーティング状導波路33は、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、所望の矩形導波路モードの間の交換を行う。具体的には、LP01、LP11a、LP11b、LP21a、E31モードを、それぞれ、E31、LP01、LP21a、LP11b、LP11aモードに交換する。しかし、E13モードを他のモードに交換することができず、E13モードに透過させてしまう。
【0048】
グレーティング状導波路34は、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、グレーティング状導波路33で不交換の矩形導波路モードとその他の矩形導波路モードとの間の交換を行う。具体的には、LP01、E13モードを、それぞれ、E13、LP01モードに交換する。ここで、E13モードが、上記の不交換の矩形導波路モードであり、LP01モードが、上記のその他の矩形導波路モードである。そして、E31、LP21a、LP11b、LP11aモードを、それぞれ、E31、LP21a、LP11b、LP11aモードに透過させる。
【0049】
テーパー状導波路35は、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、PLC基板に平行方向又は垂直方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードを、それぞれ、PLC基板に垂直方向又は平行方向に3以上のピークを有する矩形導波路モードに交換する。具体的には、E31、E13モードを、それぞれ、E13、E31モードに交換する。ここで、E31モードが、上記の平行方向に3個のピークを有するモードであり、E13モードが、上記の垂直方向に3個のピークを有するモードである。そして、LP21a、LP11b、LP11a、LP01モードを、それぞれ、LP21a、LP11b、LP11a、LP01モードに透過させる。
【0050】
テーパー状導波路36は、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。そして、矩形導波路モードを光ファイバモードに交換する。具体的には、LP21a、LP11b、LP11a、LP01モードを、それぞれ、LP21a、LP11b、LP11a、LP01モードに透過させる。そして、E13、E31モードを、それぞれ、LP02、LP21bモードに交換する(モードの混合はなし。)。
【0051】
第2実施形態のグレーティング状導波路33の設計を
図12、13に示す。グレーティング状導波路33は、入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向に変動する。
【0052】
つまり、入力モードがLP01、LP11a、LP11b、LP21a、E31、E13モードであるときに、それぞれ、理想の出力モードがE31、LP01、LP21a、LP11b、LP11a、E13モードとなる状態で、順伝搬フィールドの波面と逆伝搬フィールドの波面とが光信号の伝搬方向の全位置で一致するように、グレーティング状導波路33を設計する(特許文献2及び非特許文献2の波面整合方法を参照。)。
【0053】
図12では、グレーティング状導波路33の構造パラメータとして、PLC基板に平行方向の厚み(幅)10μm±変動幅、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)10μm、光信号の伝搬方向の長さ16000μm、比屈折率差Δ1.1%としている。光信号の伝搬方向の長さL
grt1を16000μmとしているのは、
図13に示したように、E13モードからE13モードへの透過効率が高い(損失が小さい。)ためである。
【0054】
第2実施形態のグレーティング状導波路34の設計を
図14、15に示す。グレーティング状導波路34は、入力端からの入力フィールドについての順伝搬フィールドの波面と、出力端からの出力フィールドについての逆伝搬フィールドの波面と、が一致するように、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向に変動する。
【0055】
つまり、入力モードがE31、LP01、LP21a、LP11b、LP11a、E13モードであるときに、それぞれ、理想の出力モードがE31、E13、LP21a、LP11b、LP11a、LP01モードとなる状態で、順伝搬フィールドの波面と逆伝搬フィールドの波面とが光信号の伝搬方向の全位置で一致するように、グレーティング状導波路34を設計する(特許文献2及び非特許文献2の波面整合方法を参照。)。
【0056】
図14では、グレーティング状導波路34の構造パラメータとして、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)10μm±変動幅、PLC基板に平行方向の厚み(幅)10μm、光信号の伝搬方向の長さ16000μm、比屈折率差Δ1.1%としている。光信号の伝搬方向の長さL
grt2を16000μmとしているのは、
図15に示したように、E13/E11モードからE11/E13モードへの交換効率が高いためである。
【0057】
第2実施形態のテーパー状導波路31、36の設計を
図16、17に示す。テーパー状導波路36は、テーパー状導波路31に対して、光信号の伝搬方向を回転軸として、90°回転させたものである。
図16、17では、テーパー状導波路31について説明する。
【0058】
図16では、テーパー状導波路31は、以下の要素を光信号の伝搬方向にこの順序で備える:(1)PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向の長さL
1にわたり、W
1からW
tp1へと変動するテーパー、(2)PLC基板に平行方向の厚み(幅)が、光信号の伝搬方向の長さL
2にわたり、W
tp1からW
tp2へと変動するテーパー。
【0059】
図17では、W
1=10.0μm、W
tp1=10.2μm、W
tp2=11.0μm、L
2=2000μm、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)H=10.0μm、比屈折率差Δ=1.1%としたうえで、L
1を3000μm~16000μmで探索する。
【0060】
図17では、テーパー状導波路31は、LP21b、LP02モードを、それぞれ、E13、E31モードに交換することが望ましい。ここで、LP02モードからE31モードへの交換効率は、L
1=3000μm~16000μmで高くなり、LP02モードからE13モードへの交換効率は、L
1=3000μm~16000μmで低くなる。そこで、
図20、21に示すMDLを最小にするように、L
1=5000μmとしている。
【0061】
第2実施形態のテーパー状導波路32、35の設計を
図18、19に示す。テーパー状導波路35は、テーパー状導波路32に対して、光信号の伝搬方向を回転軸として、90°回転させたものである。
図18、19では、テーパー状導波路32について説明する。
【0062】
図18では、テーパー状導波路32は、以下の要素を光信号の伝搬方向にこの順序で備える:(1)PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向の長さL
3にわたり、W
2からW
tp3へと変動するテーパー、(2)PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向の長さL
4にわたり、W
tp3からW
tp4へと変動するテーパー、(3)PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向の長さL
5にわたり、W
tp4からW
tp5へと変動するテーパー、(4)PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向の長さL
stにわたり、W
tp5を維持する非テーパー、(5)PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が、光信号の伝搬方向の長さL
tp3にわたり、W
tp5からW
2へと変動するテーパー。ただし、(1)、(5)におけるW
2は、同様の厚み(高さ)である。
【0063】
図19では、W
2=11.0μm、W
tp3=10.4μm、W
tp4=9.8μm、W
tp5=9.0μm、L
3=100μm、L
5=500μm、L
st=300μm、L
tp3=300μm、PLC基板に水平方向の厚み(幅)H=10.0μm、比屈折率差Δ=1.1%としたうえで、L
4を2000μm~17000μmで探索する。
【0064】
図19では、テーパー状導波路32は、E13、E31モードを、それぞれ、E31、E13モードに交換することが望ましい。ここで、E31モードからE13モードへの交換効率は、L
4=7000μm~13000μmで高くなり、E31モードからE31モードへの透過効率は、L
4=7000μm~13000μmで低くなる。そこで、
図20、21に示すMDLを最小にするように、L
4=12000μmとしている。
【0065】
第2実施形態のモード交換器M3のMDLを
図20、21に示す。
図20では、1個のモード交換器M3のみを用いて、最小のMDLを小さくするために、グレーティング状導波路33の光信号の伝搬方向の長さL
grt1を、6000μm~20000μmで探索し、グレーティング状導波路34の光信号の伝搬方向の長さL
grt2を、10000μm~20000μmで探索する(非特許文献3のMDL算出方法を参照。)
【0066】
1個のモード交換器M3のみを用いて、最小のMDLを3dB以下にするためには、グレーティング状導波路33の光信号の伝搬方向の長さLgrt1を、10000μm以上20000μm以下とすることが望ましく、グレーティング状導波路34の光信号の伝搬方向の長さLgrt2を、14000μm以上20000μm以下とすることが望ましい。
【0067】
1個のモード交換器M3のみを用いて、最小のMDLを2.5dB以下にするためには、グレーティング状導波路33の光信号の伝搬方向の長さLgrt1を、16000μm以上20000μm以下とすることが望ましく、グレーティング状導波路34の光信号の伝搬方向の長さLgrt2を、16000μmの近傍とすることが望ましい。
【0068】
図21の上段では、全長150kmのマルチモード光ファイバは、長さの等しいマルチモード光ファイバF-0、F-1、・・・、F-Nに分割され、
図10に示したモード交換器M3-1、M3-2、・・・、M3-Nを挿入される(N=1でもよい。)。
【0069】
図21の中段では、モード交換器を用いないときには、約12dBの最小のMDLが測定されたところ、従来技術では、1個のモード交換器M1のみを用いて、約8dBの最小のMDLが測定された一方で、第2実施形態では、1個のモード交換器M3のみを用いて、2.39dBの最小のMDLが測定されており、1.60dBのシステムのMDLの低減が実現されている(非特許文献3のMDL算出方法を参照。)。
【0070】
図21の下段では、モード交換器を用いないときには、約-28.5dBの平均の絶対損失が測定されたところ、従来技術では、2個のモード交換器M1を用いて、約-29.5dBの平均の絶対損失が測定された一方で、第2実施形態では、1個のモード交換器M3のみを用いて、約-29.5dBの平均の絶対損失が測定されており、同様な平均の絶対損失を実現するために、1個のモード交換器M3のみを配置すればよい。
【0071】
このように、PLC基板上のモード交換器M3において、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDLを低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器M3を導入することを不要とすることができる。そして、PLC基板上のモード交換器M3において、ある入力モードが他の入力モードと混合されることを防止することにより、MDLを低減することをさらに容易にするとともに、多くの個数のモード交換器M3を導入することを不要とすることができる。
【0072】
そして、グレーティング状導波路33及びグレーティング状導波路34において、所望の矩形導波路モードの間の交換を行うように設計することができる。さらに、1個のモード交換器M3のみであっても、MDLを低減することを容易にするため、多くの個数のモード交換器M3を導入することを不要とすることができる。
【0073】
第2実施形態では、モード交換器M3の入力側では、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備え、モード交換器M3の出力側では、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備えている。変形例では、モード交換器M3の入力側では、PLC基板に垂直方向の厚み(高さ)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備え、モード交換器M3の出力側では、PLC基板に平行方向の厚み(幅)が光信号の伝搬方向に変動する導波路を備えてもよい。
【0074】
第2実施形態では、モード交換器M3の導波路として、ガラス系材料が適用され、マルチモード光ファイバの伝搬波長として、通信波長帯(1.3μm~1.7μm程度、特に1.55μm。)が適用されている。変形例では、モード交換器M3の導波路として、SiやInGaAsP等の半導体又はポリマー等の有機物が適用され、マルチモード光ファイバの伝搬波長として、中赤外領域(2μm以上)又は可視光帯等が適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示のモード交換器は、複数のモードの間の交換を行うにあたり、ある入力モードが他の出力モードに交換されないことを解決することにより、MDLを低減することを容易にするとともに、多くの個数のモード交換器を導入することを不要とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
M1:モード交換器
11:テーパー状導波路
12:グレーティング状導波路
13:テーパー状導波路
M2、M2-1、M2-2、M2-N:モード交換器
F-0、F-1、F-N:マルチモード光ファイバ
21:サイドテーパー状導波路
22:サイドグレーティング状導波路
23:トップグレーティング状導波路
24:トップテーパー状導波路
M3、M3-1、M3-2、M3-N:モード交換器
F-0、F-1、F-N:マルチモード光ファイバ
31:テーパー状導波路
32:テーパー状導波路
33:グレーティング状導波路
34:グレーティング状導波路
35:テーパー状導波路
36:テーパー状導波路