(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128039
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法及び通信サーバ装置
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20230907BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20230907BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20230907BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20230907BHJP
H04W 92/04 20090101ALI20230907BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W88/08
H04W88/18
H04W84/12
H04W92/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032086
(22)【出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 友規
(72)【発明者】
【氏名】小川 智明
(72)【発明者】
【氏名】大槻 信也
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 俊介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD01
5K067DD57
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】本開示は、様々なサービスの展開や機能拡張が想定される環境下での使用に適した通信システム、通信方法及び通信サーバ装置に関し、サービス展開及び機能拡張のコストを下げることができる通信システム、通信方法及び通信サーバ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の通信システムは、無線LANアクセスポイントと、クラウドサーバと、復調器を備える。無線LANアクセスポイントは、受信した信号の少なくとも一部を、生信号として前記クラウドサーバへアップロードする機能を有する。クラウドサーバは、生信号を受信する機能と、生信号の信号処理方法を事前指定に基づき選択する機能を有する。復調器は、信号処理方法に基づき決定された復調器により、生信号を受信する機能と、生信号を復調する機能を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LANアクセスポイントと、クラウドサーバと、復調器を備える通信システムであって、
前記無線LANアクセスポイントが、
受信した信号の少なくとも一部を、生信号として前記クラウドサーバへアップロードする機能を有し、
前記クラウドサーバが、
前記生信号を受信する機能と、
当該生信号の信号処理方法を、事前指定に基づき選択する機能と
を有し、
前記復調器が、
前記信号処理方法に基づき決定された該復調器により、前記生信号を受信する機能と、
前記生信号を復調する機能を有する、
通信システム。
【請求項2】
前記クラウドサーバが、前記信号処理方法をプラグイン形式により新しく受け入れ可能である請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
識別子判定器を備える請求項1または2に記載の通信システムであって、
前記無線LANアクセスポイントが、前記生信号に該無線LANアクセスポイントを識別する識別子を付与し、
前記事前指定が、
前記識別子に応じた信号処理方法を含み、
前記クラウドサーバが、
前記事前指定により、前記識別子と前記信号処理方法の組み合わせ表を作成し、前記識別子判定器に送信する機能を有し、
前記識別子判定器が、
前記識別子を判定する機能と、
判定した前記識別子と前記組み合わせ表に基づき、信号処理方法を決定する機能と、
決定した前記信号処理方法に基づき、前記復調器を選択し、該復調器に前記生信号を送信する機能を有する
通信システム。
【請求項4】
前記生信号が、
定期的に受信する複数の信号の差分情報を含む
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
受信した信号の少なくとも一部を、生信号としてクラウドサーバへアップロードする処理と、
前記生信号を受信する処理と、
前記生信号の信号処理方法を、事前指定に基づき選択する処理と、
前記信号処理方法に基づき、復調に用いる復調器を選択する処理と、
前記生信号を復調する処理と、
を備える通信方法。
【請求項6】
要求解析部とデータ制御部を備える通信サーバ装置であって、
前記要求解析部は、
入力された要求情報を解析し、信号処理方法を選択する機能と、
決定した信号処理方法をデータ制御部に送信する機能と
を有し、
前記データ制御部は、
前記信号処理方法に基づいて復調に用いる復調器を決定する機能と、
無線LANアクセスポイントがアップロードした生信号を記録する機能と、
前記生信号を前記復調器へ出力する機能と、
を備える通信サーバ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通信サーバ装置が有する機能をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は通信システム、通信方法及び通信サーバ装置に係り、特に様々なサービスの展開や機能拡張が想定される環境下での使用に適した通信システム、通信方法及び通信サーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ワイヤレスセンシングによる状況認識についての技術が開示されている。ワイヤレスセンシングとは、無線LAN(Local Area Network)等の電波を用いて物理空間の情報を感知する技術である。
【0003】
また非特許文献2には、バックスキャッタ(Back Scatter: 以下「BS」とする)通信の技術について開示されている。BS通信では、自ら電波を発射するのではなく、無線LAN等の電波をアンテナで反射または吸収する。それにより電波をONまたはOFFするよう変調をかけることで、データの伝送を制御する。
【0004】
ワイヤレスセンシングやBS通信は、次世代の情報通信技術として期待されるIoT(Internet of Things)の中でも新しい技術である。このように、これまでになかった多様な電波の利用方法が生まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Akira Uchiyama, Shunsuke Saruwatari, Takuya Maekawa, Kazuya Ohara, Teruo Higashino, “Context Recognition by Wireless Sensing: A Comprehensive Survey,” Journal of Information Processing, Vol.29, pp.46-57, 2021.
【非特許文献2】N. Van Huynh, D. T. Hoang, X. Lu, D. Niyato, P. Wang and D. I. Kim, “Ambient Backscatter Communications: A Contemporary Survey,” IEEE Communications Surveys & Tutorials, Vol.20, No.4, pp. 2889-2922, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新しい電波の利用方法が生まれるのに伴い、新しいセンシングアルゴリズムや通信方式を採用する機会が増えている。しかし、新しいセンシングアルゴリズムや通信方式を採用する場合、既存の無線LANアクセスポイントで対応するにはコストがかかる課題があった。
【0007】
本開示は上述の問題を解決するため、サービス展開及び機能拡張のコストを下げることができる通信システムを提供することを第一の目的とする。
【0008】
また、本開示は上述の問題を解決するため、サービス展開及び機能拡張のコストを下げることができる通信方法を提供することを第二の目的とする。
【0009】
また、本開示は上述の問題を解決するため、サービス展開及び機能拡張のコストを下げることができる通信サーバ装置を提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第一の態様は、無線LANアクセスポイントと、クラウドサーバと、復調器を備える通信システムであって、無線LANアクセスポイントが、受信した信号の少なくとも一部を、生信号としてクラウドサーバへアップロードする機能を有し、クラウドサーバが、生信号を受信する機能と、生信号の信号処理方法を事前指定に基づき選択する機能を有し、復調器が、信号処理方法に基づき決定された復調器により、生信号を受信する機能と、生信号を復調する機能を有する通信システムであることが好ましい。
【0011】
本開示の第二の態様は、受信した信号の少なくとも一部を、生信号としてクラウドサーバへアップロードする処理と、生信号を受信する処理と、生信号の信号処理方法を事前指定に基づき選択する処理と、信号処理方法に基づき復調に用いる復調器を選択する処理と、生信号を復調する処理を備える通信方法であることが好ましい。
【0012】
本開示の第三の態様は、要求解析部とデータ制御部を備える通信サーバ装置であって、要求解析部は、入力された要求情報を解析し、信号処理方法を選択する機能と、決定した信号処理方法をデータ制御部に送信する機能を有し、データ制御部は、信号処理方法に基づいて復調に用いる復調器を決定する機能と、無線LANアクセスポイントがアップロードした生信号を記録する機能と、生信号を復調器へ出力する機能を備える通信サーバ装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第一から第三の態様によれば、サービス展開及び機能拡張のコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来のワイヤレスセンシングシステムの一例を示す図である。
【
図2】従来のBS通信システムの一例を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る無線通信システムを示す図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係るクラウドサーバの構成図である。
【
図5】本開示の実施の形態2に係る無線通信システムを示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態3に係る無線通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1
図1は、従来のワイヤレスセンシングシステムの一例を示す図である。ワイヤレスセンシングとは、無線LAN等の電波を用いて物理空間の情報を感知する技術である。感知できる情報としては、人の位置情報や呼吸数、心拍数が例示できる。
【0016】
ワイヤレスセンシングを用いて人体の状態変化を感知する場合の処理の流れについて説明する。まず無線LAN端末2が、トレーニング信号3を発信する。トレーニング信号3は、任意の無線信号である。トレーニング信号3は、一部が無線LANアクセスポイント4に直接到達し、一部は感知対象5に到達する。
【0017】
感知対象5はセンシングデバイスを有する。センシングデバイスはトレーニング信号3を受信すると、環境情報を含んだ信号6を発信する。ここで言う環境情報は、センシングデバイスによって感知できる、感知対象5の状態変化に関する情報を意味する。環境情報を含んだ信号6は、無線LANアクセスポイント4に到達すると、トレーニング信号3と共に復調器8に送信される。復調器8はトレーニング信号3と環境情報を含んだ信号6を復調し、環境情報を取得する。
【0018】
図2は、従来のBS通信システムの一例を示す図である。BS通信では、自ら電波を発射するのではなく、無線LAN等の電波をアンテナで反射または吸収する。それにより電波をONまたはOFFするよう変調をかけることで、データの伝送を制御する。BS通信では送受信回路が不要となるため、数十マイクロWの消費電力でデータを送信することができることから、省電力化も可能となる。
【0019】
BS通信を用いて人体の状況を感知する場合の処理の流れについて説明する。まず無線LAN端末2が、トレーニング信号3を発信する。トレーニング信号3は、一部が無線LANアクセスポイント4に直接到達し、一部はBSタグ9に到達する。
【0020】
BSタグは受信したトレーニング信号3から駆動電力を得ることで、アンテナが電波を反射するか吸収するかを切り替える。それにより電波をONまたはOFFするよう変調をかけることで、データの伝送を制御する。つまりBSタグから環境情報を含んだ信号を送信したい場合、トレーニング信号3を反射及び変調させたBS変換信号10を用いる。
【0021】
BS変換信号10が無線LANアクセスポイント4に到達すると、トレーニング信号3と共にBS復調器12に送信される。BS復調器12はトレーニング信号3とBS変換信号10を復調し、環境情報を取得する。
【0022】
以上の例のように、情報通信技術における電波の利用方法は多様であり、技術の進歩に伴い新しいセンシングアルゴリズムや通信方式も次々と生まれる。そのため、設置済である無線LANアクセスポイントを用いて、そういった新しい方式を用いた情報通信を行いたい場面が生じることがある。しかし現状のシステムでは、その新しい方式に対応した復調器等を再購入、再設置する必要があるため、コストがかかる課題がある。本開示はこの課題を解決する。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態1に係る無線通信システムを示す図である。実施の形態1の無線通信システムは、生信号を一度クラウドサーバにアップロードしてから信号処理を実行する点が従来技術と異なる。
【0024】
詳細な処理の流れを説明する。まず無線LAN端末2が、トレーニング信号3を発信する。トレーニング信号3は、任意の無線信号である。トレーニング信号3は、一部が無線LANアクセスポイント4に直接到達し、一部は感知対象5に到達する。感知対象5はセンシングデバイスを有する。センシングデバイスはトレーニング信号3を受信すると、環境情報を含んだ信号6を発信する。ここまでは従来技術と同様である。
【0025】
無線LANアクセスポイント4は、受信した生信号11を、通信用ネットワーク15を介してクラウドサーバ14にアップロードする。通信用ネットワーク15では、例えばRoF(Radio over Fiber)技術を用いて効率的な伝送を行うことができる。なお、無線信号のヘッダ情報を解析し、誤りがない場合にのみクラウドサーバ14にアップロードする形にしても良い。
【0026】
クラウドサーバ14は生信号11を受信すると、事前指定に基づいて信号処理方法を選択する。この事前指定は、クラウドサーバに入荷時から設定されていても良いし、ユーザが外部入力によって設定しても良い。そしてその信号処理方法に基づき、適切な復調器16を決定し、生信号11を送信する。なお信号処理方法は、プラグイン形式で新しいものを追加することもできる。プラグインとしては、物理情報の抽出等を行うワイヤレスセンシングや、BS通信の復調等も含む。そして選択された復調器16が、受信した信号を復調する。
【0027】
実施の形態1の効果として、サービス展開及び機能拡張のコストを下げられることが挙げられる。この態様において、新しい通信方式への対応及び機能拡張のため必要なのは、クラウドサーバへの信号処理方法追加のみである。そのため、無線LANアクセスポイントを展開した後であっても対応しやすい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)や組込みシステムではなく、ウェブアプリケーションとして開発を行えるため、開発コスト自体も低く抑えることができる。
【0028】
図4は、本開示の実施の形態1に係るクラウドサーバの構成図である。クラウドサーバ14は、要求解析部20を有する。要求解析部20は、ユーザ操作により入力される要求情報を解析する。要求情報には、ユーザが指定したい信号処理方法等が含まれる。そのため要求解析部20は、これを解析して信号処理方法を選択し、データ制御部18に送信する。
【0029】
データ制御部18は、要求解析部20から送信された信号処理方法に基づき、復調に用いる復調器16を決定する。またデータ制御部18は、無線LANアクセスポイント4からアップロードされた生信号11を記録する。そして生信号11を、復調用信号21として出力する。この復調用信号21は、データ制御部18が決定した復調器16へ送信される。以後、復調器16が復調用信号21を復調することにより、ユーザ指定の通信方式での信号処理が達成される。
【0030】
なお、本開示のクラウドサーバ14に係るサーバ装置の機能は、コンピュータとプログラムによっても実現できる。このプログラムは、記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0031】
実施の形態2
図5は、本開示の実施の形態2に係る無線通信システムを示す図である。実施の形態2は、トレーニング信号3の代わりにBS用信号22を用いる点が実施の形態1と異なる。
【0032】
詳細な処理の流れを説明する。まず無線LAN端末2が、BS用信号22を発信する。BS用信号22は例えば、レーダ信号であるBS信号50と、識別信号52と、無線LANプリアンブル信号54を組み合わせた信号である。BS用信号22は、一部が無線LANアクセスポイント4に直接到達し、一部は感知対象5に到達する。感知対象5はBSタグを有し、BSタグはBS用信号22を受信すると、環境情報を含んだ信号6を発信する。
【0033】
無線LANアクセスポイント4は、受信した信号を、通信用ネットワーク15を介してクラウドサーバ14にアップロードする。この際アップロードする信号は、BS用信号であった場合に限ることとする。BS用信号であるか否かは、無線LANプリアンブル信号54のようなヘッダ情報から判断する。クラウドサーバ14は生信号11を受信すると、事前指定に基づいて信号処理方法を選択する。そしてその信号処理方法に基づき、適切な復調器16を決定し、生信号11を送信する。選択された復調器16は、受信した信号を復調する。
【0034】
実施の形態2の効果として、処理が必要な特定の信号のみをアップロードすることから、クラウドサーバ14及び通信用ネットワーク15の負荷を低減できることが挙げられる。無線LANアクセスポイント4が、無線LANプリアンブル信号54のようなヘッダ情報に基づき、受信した信号の中からBS用信号のみを選択する。そして選択した信号のみをアップロードすることで、処理を行わない信号を排除できるため、上述した負荷の低減が実現できる。
【0035】
実施の形態3
図6は、本開示の実施の形態3に係る無線通信システムを示す図である。実施の形態3は、複数の無線LAN端末によるマルチユーザ対応を想定した形態である。複数の無線LANアクセスポイントを共通のクラウドサーバで扱う点が、実施の形態1と異なる。
【0036】
詳細な処理の流れを説明する。まず無線LAN端末2が、トレーニング信号3を発信する。トレーニング信号3は任意の無線信号であり、無線LANアクセスポイント4に到達する。なお一つの無線LANアクセスポイント4には、一つあるいは複数の無線LAN端末2が紐づけられている。
【0037】
無線LANアクセスポイント4は、トレーニング信号3に識別子を付加した受信信号24を、インターネット26を介してクラウドサーバ14にアップロードする。この識別子は、一つの通信システムに存在する複数の無線LANアクセスポイント4を特定するため、予めクラウドサーバに登録されているものである。識別子方式は、クライアントサイド識別子方式でも、サーバサイド識別子方式でも良い。
【0038】
クラウドサーバ14は受信信号24を受信すると、事前指定に基づいて信号処理方法の候補を選択する。図示していないが、実施の形態3のクラウドサーバ14は、識別子に紐づいた信号に対して行いたい信号処理方法を、事前に各ユーザから受信している。クラウドサーバ14は、その情報を用いることで、識別子と信号処理方法の組み合わせ表を作成する。そしてその組み合わせ表から、信号処理方法の候補を選択する。
【0039】
クラウドサーバ14は、選択した信号処理方法の候補と作成した組み合わせ表を、受信信号24と共に識別子判定器28に送信する。識別子判定器28は、まず受信した信号がどの無線LANアクセスポイント4由来のものか、識別子を用いて判定する。そして組み合わせ表に基づき、適切な信号処理方法を決定する。続けてその信号処理方法に基づき、適切な復調処理を行える復調器16を選択する。そして受信信号24を、選択した復調器16に送信する。選択された復調器16は、受信した信号を復調する。
【0040】
実施の形態3の効果として、複数のユーザを共通のクラウドサーバで扱うことができるため、展開コストを抑えられる点が挙げられる。クラウドサーバが共通であっても、上述のように識別子を利用することで、各ユーザは自分の端末に対して行う信号処理をそれぞれ選ぶことができる。
【0041】
実施の形態4
実施の形態4は、装置の構成については実施の形態3と同様である。しかし、無線LANアクセスポイント4が、クラウドサーバ14にアップロードする情報を選択する点が異なる。選択する情報としては、例えば前回との差分情報が挙げられる。
【0042】
無線LANアクセスポイント4からクラウドサーバ14へのアップロードは、定期的に行うことを想定している。そこで無線LANアクセスポイント4は、アップロードの前に、今回受信した生信号と前回受信した生信号を比較し、その差分情報を取得する。そしてアップロードの際、元のトレーニング信号またはレーダ信号と共に、この差分情報を選択する。
【0043】
実施の形態4の効果として、展開コストを抑えられる点に加えて、データ量を削減できる点が挙げられる。定期的に情報をアップロードする場合、無線LANアクセスポイント4が受信する信号の変化量は、情報源の状態の変化量に比例する。例えばセンシングデバイスが感知する状態変化が微小であれば、無線LANアクセスポイント4が受信する信号の変化量も微小となる。そこで、実施の形態3のように生信号全てではなく、この変化量にあたる前回との差分情報のみをアップロードすることで、データ量の削減が実現できる。
【符号の説明】
【0044】
8 復調器
11 生信号
14 クラウドサーバ
16 復調器
18 データ制御部
20 要求解析部
28 識別子判定器