(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137897
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】マイクロ波反応装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B01J19/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044324
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 定次
(72)【発明者】
【氏名】中村 道生
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA02
4G075AA63
4G075AA65
4G075BA10
4G075CA02
4G075CA26
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA01
4G075EA05
4G075EB01
4G075EB25
4G075EB31
4G075EC07
4G075ED02
4G075ED08
4G075ED09
4G075FB02
4G075FB06
4G075FB12
4G075FC04
(57)【要約】
【課題】筐体内に配された処理対象物が収容された反応器の周面全体にマイクロ波を隈なく照射して処理対象物を効率的に処理し、反応器の中心部における処理を促進させて処理対象物全体を均一に処理する。
【解決手段】マイクロ波反応装置1の筐体2内に処理対象物が収容された反応器6を設置する。周側面体4は複数の側面体を底面体5上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視多角形状に形成する。反応器6内には金属製の冷却又は加熱用コイル10を設置し、当該コイルに照射したマイクロ波により冷却又は加熱用コイル10内に誘導磁場及び電界を生じさせ、アンテナ効果により反応器6中心部の処理を促進させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面体、周側面体及び底面体を有する筐体内にマイクロ波を導入して前記筐体内に配された処理対象物を処理する縦型のマイクロ波反応装置であって、
前記周側面体は複数の側面体を底面体上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視多角形状に形成され、
前記複数の側面体のうちの少なくとも一つの側面体にマイクロ波導入口が設けられているともに、
前記筐体内であって前記マイクロ波導入口の正面に前記処理対象物を収容する少なくとも一つの反応器が設けられた構成を有することを特徴とするマイクロ波反応装置。
【請求項2】
前記反応器がガラス製又は樹脂製の容器である、請求項1に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項3】
前記樹脂がテフロン系樹脂である、請求項2に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項4】
前記テフロン系樹脂が、PTFE、PFA、ETFEからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項5】
前記反応器内部に冷却又は加熱用のコイルを備えてなる、請求項1から4の何れかに記載のマイクロ波反応装置。
【請求項6】
前記コイルの外周部と前記反応器の内壁との距離(D)がマイクロ波の半減深度未満である、請求項5に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項7】
前記反応器が補強部材で覆われている、請求項1から6の何れかに記載のマイクロ波反応装置。
【請求項8】
前記補強部材が開口部を有する金属で形成されてなる、請求項7に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項9】
前記開口部の最大口径が、マイクロ波の波長(λ)に対してλ/6~λ/2であり、開口率が15~45%である、請求項8に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項10】
前記補強部材は複数の開口部を備え、隣接開口部の配置間隔が、マイクロ波の波長(λ)に対してλ/10~λである、請求項9に記載のマイクロ波反応装置。
【請求項11】
前記周側面体が、少なくとも一つの側面体の幅が他の側面体の幅とは同一ではない五つの側面体を組み合わせて平面視五角形状に形成されている、請求項1から10の何れかに記載のマイクロ波反応装置。
【請求項12】
前記マイクロ波導入口が設けられていない他の側面体のうちの少なくとも一つの側面体にマイクロ波拡散用のファンアンテナが設けられている、請求項1から11の何れかに記載のマイクロ波反応装置。
【請求項13】
前記ファンアンテナは、前記マイクロ波導入口とは対面しない位置に設けられている、請求項12に記載のマイクロ波反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理対象物が配された筐体内にマイクロ波を導入して処理対象物を処理する縦型のマイクロ波反応装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ反応装置として、ハウジング内に処理対象物を収容する反応器を設置するとともに、処理対象物が収容された反応器内に冷却媒体を没入させ、或いは反応器の外周を冷却媒体で囲った構成のものが知られている(例えば特許文献1の
図14参照)。
【0003】
また、他のマイクロ波反応装置として、横断面が正五角形の筒体の前後両端をフランジで閉鎖してハウジングを形成し、このハウジングの軸方向中央を通るように処理対象物が流通する反応管を配置し、前記断面正五角形の筒体の周側面のうちの一の側面に設けられたマイクロ波導入口からハウジング内にマイクロ波を導入し、前記筒体の内周面に沿ってマイクロ波を伝搬させることで、前記反応管内の処理対象物にマイクロ波が照射されるように構成されたものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005-113133号公報
【特許文献2】特開2016-91636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術のうち前者のものは、ハウジング内に処理対象物を収容した反応器を配した二重構造のマイクロ波反応装置であるが、処理対象物とハウジングの間、或いは反応器とハウジングの間に冷却媒体が存在しているため、ハウジング内に照射されて伝搬するマイクロ波が処理対象物に到達する前に冷却媒体に吸収されてしまいやすいという問題がある。処理対象物が吸収するマイクロ波は極めて少なくなり、効果的かつ効率的な反応は望めない。
【0006】
また、後者のものは、ハウジング内で局所的にマイクロ波が集中する領域が発生しにくく、マイクロ波の分布のばらつきを抑制可能であるが、導波管からマイクロ波を直接反応管に向けて照射する場合と比べて、マイクロ波の照射量が少なくなる場合がある。
【0007】
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、筐体内に配された処理対象物が収容された反応器の周面全体にマイクロ波を隈なく照射して処理対象物を効率的に処理することができるようにするとともに、反応器の中心部における処理を促進させて処理対象物全体を均一に処理することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明のマイクロ波反応装置は、天面体、周側面体及び底面体を有する筐体内にマイクロ波を導入して前記筐体内に配された処理対象物を処理する縦型のマイクロ波反応装置であって、
前記周側面体は複数の側面体を底面体上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視多角形状に形成され、
前記複数の側面体のうちの少なくとも一つの側面体にマイクロ波導入口が設けられているともに、
前記筐体内であって前記マイクロ波導入口の正面に前記処理対象物を収容する少なくとも一つの反応器が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0009】
これによれば、筐体の周側面体を構成する一つの側面体に設けられたマイクロ波導入口から筐体内にマイクロ波が導入され、筐体内に配された処理対象物を収容した反応器に照射されて処理対象物の処理がなされる。
前記側面体に設けられたマイクロ波導入口に導波管が接続され、この導波管から当該マイクロ波導入口を通って筐体内の対向周側面体側に向けて水平にマイクロ波が照射され、導波管から照射されるマイクロ波の伝搬方向途上に反応器が配されていることで、マイクロ波吸収が大きい溶媒中においてマイクロ波を処理対象物に対して効率的に吸収せしめて処理することが可能である。
また、筐体内に導入されたマイクロ波のうち、前記処理対象物に吸収されない分は、前記周側面体の内面で反射して筐体内を伝搬するが、周側面体は複数の側面体を底面体上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視多角形状に設けられているため、各側面体の内面で反射して前記マイクロ波導入口側に向けて伝搬しにくくなり、マイクロ波が導波管内に逆流してエネルギーロスが生じることを効果的に防止することができる。
【0010】
前記構成のマイクロ波反応装置において、反応器は非磁性の材料を用いて形成されるが、ガラス製又は樹脂製の容器であることが好ましい。
樹脂材料を用いて反応器を形成する場合は、テフロン系樹脂を用いることが好ましく、テフロン系樹脂は、PTFE、PFA、ETFEからなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0011】
また、反応器内で処理対象物の反応温度を調整して反応及び処理の促進が図れるように、反応器内部に冷却又は加熱用のコイルが設けられていることが好ましい。
【0012】
この場合、前記コイルとして磁性体である金属製のものを用いることで、反応器内に収容された処理対象物の中心部の反応促進を図れることが期待される。
すなわち、反応器を照射するマイクロ波は、反応器を透過して処理対象物を照射し、処理対象物に吸収されながら減衰する。よって、マイクロ波照射による処理対象物の反応は、半減深度が短いものは照射される表面反応に限られる。筐体内部の前記コイルが金属製であれば、反応器に照射されたマイクロ波が前記コイルに到達すると当該コイル内にいわゆる電磁誘導によって誘導電流が流れ、さらにこの誘導電流に応じて誘導磁場及び電界、すなわちマイクロ波が生じる。前記金属製のコイルでは、このマイクロ波は、その中心付近に集中的に発生することになる。こうして発生するマイクロ波によって、当該コイルの内側の処理対象物、つまり反応器内の中心部の処理対象物の反応を促進させ、処理対象物の反応効率を向上させる可能性があると推察される。
【0013】
反応器内に設置されるコイルは、当該コイルの外周部と反応器の内壁との距離(D)が、マイクロ波の半減深度未満であることが好ましい(
図6参照)。前記距離に設定することで、マイクロ波が反応器を透過して処理対象物を深く照射し、さらにコイルへの到達による電場の発生を確保することができる。
【0014】
前記構成のマイクロ波反応装置において、反応器の強度確保のため、反応器が補強部材で覆われていることが好ましい。
【0015】
前記反応器を覆う補強部材は、開口部を有する磁性体である金属を用いて形成することができる。
開口部の形状は特に限定されないが、開口部の間隔の調整のし易さから四角形と略円形が好ましく、正方形と円形が特に好ましい。この場合、補強部材の開口部を通って反応器を照射するマイクロ波が多くなるように、前記開口部の最大口径が、マイクロ波の波長(λ)に対してλ/6~λ/2であり、開口率が15~45%であるように設定されていることが好ましい。
前記補強部材は複数の開口部を備え、隣接開口部の配置間隔が、マイクロ波の波長(λ)に対してλ/10~λであるように設定されていることが好ましい。
穴径と開口率は、四角の場合においては、マイクロ波の波長λに対して、λ/4~λ/2の一辺長さで20~50%であり、より好ましくはλ/2~λ/4の穴径で20~40%、さらにより好ましくはλ/2で30~40%、λ/4で25~35%である。円の場合においては、λ/2~λ/4の直径で20~35%であり、より好ましくはλ/2で20~30%、λ/4で20~35%、さらにより好ましくはλ/4で20~35%である。
【0016】
前記構成のマイクロ波反応装置において、筐体の周側面体は少なくとも一つの側面体の幅が他の側面体の幅とは同一ではない複数の側面体を組み合わせることで、容易に各側面体同士が平行に向き合わない配置に構成することができる。
筐体の周側面体を平面視で多角形状、好ましくは奇数多角形状の配置とするのは、マイクロ波導入口から筐体内に導入されたマイクロ波がマイクロ波導入口側へ戻る方向に伝搬することを抑制するためである。ここで、配置される側面体の数が多く、角部(コーナー部)が多いと、マイクロ波導入口側へ戻る方向への伝搬が促進され、却ってエネルギーの損失量が増える傾向がある。また、側面体の数が多いと筐体の組み立てが複雑となり、作業工数も増える。マイクロ波導入口側へ戻る方向への伝搬を効果的に抑制することができ、しかも筐体の組み立てが簡易に行える点で、周側面体は平面視五角形の配置とすることが好ましい。
【0017】
また、前記マイクロ波導入口が設けられていない他の側面体のうちの少なくとも一つの側面体にマイクロ波拡散用のファンアンテナが設けられていることが好ましい。
さらに、このファンアンテナは、前記マイクロ波導入口とは対面しない位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
これによれば、筐体内でマイクロ波は、マイクロ波導入口が設けられていない他の側面体に設けられたファンアンテナで反射して筐体内に拡散して伝搬するため、前記各側面体の内面で反射しつつ伝搬するマイクロ波と相俟って、筐体内全体にマイクロ波が分布せしめられるので、筐体内部に局所的に集中する領域が発生しにくく、筐体内に配された反応器の周面全体にマイクロ波を照射せしめて処理対象物を効率的に処理することが可能である。
なお、前記ファンアンテナが前記マイクロ波導入口と対峙する位置に設けられていると、マイクロ波がファンアンテナで反射してマイクロ波導入口側へ伝搬しやすくなることがあるため、ファンアンテナは前記マイクロ波導入口とは対面しない位置の側面体に設けられていることが好ましい。
【0019】
前記構成のマイクロ波反応装置において、処理対象物が収容された複数の反応器を筐体内に配した構成としてもよい。また、複数の側面体にマイクロ波導入口と導波管を設け、各導波管が設置された各マイクロ波導入口から筐体内にマイクロ波が導入されるようにしてもよく、これら各マイクロ波導入口とは非対面となる複数の位置にファンアンテナがそれぞれ設置されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のマイクロ波反応装置によれば、筐体内に配された処理対象物が収容された反応器の周面全体にマイクロ波を隈なく照射し処理対象物を効率的に処理することが可能である。また、反応器の中心部における処理を促進させて処理対象物全体を均一に処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態のマイクロ波反応装置の外観図である。
【
図2】
図1のマイクロ波反応装置の概略側面図である。
【
図3】
図1のマイクロ波反応装置の内部を透過した概略上面図である。
【
図4】
図1のマイクロ波反応装置の周側面体の構成を説明するための概略平面図である。
【
図5】マイクロ波反応装置の開閉口となる側面体のそれぞれ扉側(A)と本体側(B)の構成を示す図である。
【
図7】(A)は反応器の他の形態の外観図、(B)は反応器を覆う補強部材の外観図である。
【
図8】
図7の反応器の外周に同図の補強部材を嵌めた状態の外観図である。
【
図9】本発明の他の実施形態のマイクロ波反応装置の概略外観図である。
【
図10】比較例における筐体内の加熱状態を示した図である。
【
図11】実施例における筐体内の加熱状態を示した図である。
【
図12】他の実施例で用いた反応器に代わるビーカーの構成を示した図である。
【
図13】(A)、(B)はともに他の実施例で用いた補強部材の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のマイクロ波反応装置の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下に説明する形態のものには限定されない。
【0023】
図1は本発明の一実施形態のマイクロ反応装置の外観、
図2と
図3は同装置の概略側面と内部を透過した概略上面をそれぞれ示している。
各図に示されるように、本形態のマイクロ波反応装置1は、天面体3と周側面体4と底面体5とにより構成された筐体2内に、処理対象物を収容した反応器6が設置され、前記周側面体4のうち一の側面体41の外側面に接続された導波管7からマイクロ波を筐体2内に導入し、反応器6内の処理対象物にマイクロ波が照射されることで、処理対象物の処理がなされるように構成されている。
【0024】
詳しくは、天面体3、周側面体4及び底面体5は何れもアルミニウムや非磁性ステンレスなどの非磁性の金属板により形成されており、底面体5上に周側面体4を垂直に立て並べ、周側面体4の上端に天面体3を被せて、内部空間が略密閉された筐体2を構成している。
【0025】
周側面体4は、
図3及び
図4に示されるように、5枚の側面体41,42,43,44,45を継ぎ合わせて平面視五角形に形成してある。5枚の側面体は、側面体41,42が略同幅に形成され、側面体43,45がこれよりも広い幅、側面体44が狭い幅にそれぞれ形成されており、幅の異なるこれら側面体を平面視五角形に配置することで、各側面体同士が平行に向き合わない配置となっている。
【0026】
前記側面体41には開口であるマイクロ波導入口41aが形成されており、当該側面体41の外側面に接続された導波管7から出力されるマイクロ波がマイクロ波導入口41aを通して筐体2内に導入されるようになっている。
図3及び
図4中の円形線は、筐体2内に設置された処理対象物を収容した反応器6を示している。反応器6は前記マイクロ波導入口41aの正面に配置されて導波管7から出力されるマイクロ波が照射されるようになっている。
このように反応器6をマイクロ波導入口41aの正面に配置する場合には、反応器6にマイクロ波吸収の大きい溶媒を充填してもよい。マイクロ波吸収の大きい溶媒としては、アルカリ水溶液その他の水溶液が挙げられる。反応器6をマイクロ波導入口41aの正面に配置すると、反射・攪拌前のマイクロ波が処理対象物に集中し、熱暴走を生じるおそれがあるが、反応器6に上記態様のようにマイクロ波吸収の大きい溶媒が満たされている場合は、かかる現象が生じる可能性を緩和できる。逆に、かかる溶媒で満たされている場合には、マイクロ波の浸透深さが短くなるため、少しでも強度の強いマイクロ波を照射する意味で、反応器6をマイクロ波導入口41aの正面側に配置することが好ましいともいえる。
なお、充填する溶媒のマイクロ波吸収の程度は、マイクロ波の強度、反応器6とマイクロ波導入口41aとの距離、反応器6のサイズなどに応じて、処理対象物に熱暴走が生じないよう解析的又は実験的に定めることができる。
【0027】
さらに、
図3に示されるように、前記側面体41と非対面、つまり対面する位置からずれた位置の側面体44の内面にはファンアンテナ8、外面には当該ファンアンテナ8を駆動するモータ81が設置され、ファンアンテナ8を回転させることで筐体2内に導入されたマイクロ波を拡散させることができるようになっている。
ファンアンテナ8は、反射したマイクロ波がマイクロ波導入口41a側に戻らないように設計されていることが好ましい。
【0028】
また、側面体45は、中央に開口45A1を有する側面本体45Aと、一側の端部がヒンジ46を介して前記側面体45Aの一側の端部に回動自在に接続した扉体45Bとにより構成されている。
詳しくは、
図5に示されるように、側面本体45Aは、横長矩形の開口45A1を中央に配した枠状に形成されており、両側部をそれぞれ前記側面体41と側面体44とに一続きに接続して周側面体4の一部を構成している。
扉体45Bは、側面本体45Aにぴったりと重なる大きさに形成され、その一側がヒンジ46を介して前記側面体45Aの一側の端部に接続されて前記側面本体45Aの正面側に重ねて取り付けてある。扉体45Bの面内には金網が埋め込まれたガラス板を配してなる覗き窓45B1が設けられ、また、前記ヒンジ46が取り付けられた側とは反対側の端部にはその上下両端に前記側面本体45Aに接続するラッチ式の留め具47,47、中央には取っ手48が取り付けてある。
側面体45は、側面本体45Aと扉体45Bとで筐体2の開閉口を構成し、前記ヒンジ46を軸として扉体45Bを水平外向きに回動することで側面本体45Aの開口45A1を開放させ、その状態で反応器6の筐体2内への設置と取り出しを行え、また、扉体45Bを前記とは反対側に回動して側面本体45Aに重ねることで筐体2を閉鎖し、前記留め具47,47で扉体45Bを側面本体45A上に固定することで筐体2内を密閉し、その状態でマイクロ波の導入による処理対象物の処理を行えるようになっている。
【0029】
天面体3は、その面内に三つの開口31,32,33が互いに間隔を開けて形成され、各開口の上部には適宜な長さの配管31a,32a,33aを接続して各配管と筐体2内部とを連通させてある。
【0030】
前記配管のうち、その中央の配管32にはその上端から撹拌機9が筐体2内に挿通され、前記反応器6に収容された処理対象物を攪拌させることができるようになっている(
図6参照)。配管31には図示されない凝縮器又は蒸発器の熱媒体(冷媒及び熱媒)の流入管10aと流出管10bが挿通しており、両管を反応器6内に設置される冷却又は加熱用コイル10に接続して熱媒体を冷却又は加熱用コイル10に循環供給することができようになっている(同図参照)。また、配管33にはその上端から温度計(熱電対)11が筐体2内に挿通され、前記反応器6に収容された処理対象物の温度を測定することができるようになっている(同図参照)。
なお、冷媒は任意に選択可能であるが、前記反応器6に充填する溶液よりも、マイクロ波吸収が小さいものを用いることが好ましい。こうすることで、冷媒によってマイクロ波が吸収されることを抑制し、加熱効率の低減を抑制することができる。
【0031】
また、天面体3には、前記三つの開口31,32,33の両側にそれぞれ開口34,35が形成してある。両開き口34,35は蓋で塞いである。
図3に示されるように、これら五つの開口は前記側面体41に形成されたマイクロ波導入口41aの正面に一列に並んだ配置となっており、同図に示されるように反応器6を筐体2の略中央に配置したときは開口31,32,33に、前記側面体41に近づけて配置したときは開口34,31,32に、前記側面体41から遠ざけて配置したときには開口32,33,35にそれぞれ前記配管を設置して、各配管に挿通した撹拌機9,熱媒体配管10a,10b及び温度計11を反応器6内に至らしめることができるようになっている。
【0032】
底面体5は、その下側に熱交換器12が設置されており、熱交換器12が放熱又は冷却動作することによる温度変化を、底面体5を介して筐体2内に伝熱することで、筐体2内の温度を制御することができるようになっている。
【0033】
反応器6は、ガラスや樹脂材料などのマイクロ波を透過する材料で形成されており、
図6に示されるように、上部が開口していて内部に処理対象物が収容される有底円筒形の本体容器61と、本体容器61の上部開口に被さる蓋体62により構成してある。
【0034】
本体容器61内には、当該本体容器の内径よりも小径の螺旋状に巻かれた金属製の管体からなる冷却又は加熱用コイル10が設置されており、前記凝縮器から供給される冷媒を、当該コイル10を介して本体容器61内に循環流通させることにより処理対象物を冷却することができるようになっている。
なお、
図6に示されるように、冷却又は加熱用コイル10は、当該コイル10の外周部と本体容器61の内壁との距離(D)が、筐体2内に導入されるマイクロ波の半減深度未満の距離となるように設置してある。また、冷却又は加熱用コイル10は、螺旋状に巻かれた中心軸を本体容器61の中心から若干ずらして設置してある。
【0035】
蓋体62には、列状に配した三つの開口62a,62a,62aが形成されており、本体容器61に蓋体62を被せた状態で、これら開口に前記撹拌機9、熱媒体配管10a,10b及び温度計11を通して本体容器61内に至らしめるようになっている。なお、冷媒配管10a,10bは、筐体2内で接地処理がなされており、それぞれ蓋体62の下側で前記冷却又は加熱用コイル10の両端に接続してある。
【0036】
このように構成された本形態のマイクロ波反応装置1によれば、処理対象物を収容した反応器6が筐体2内に配され、導波管7から出力されて前記マイクロ波導入口41aを通して筐体2内に導入されたマイクロ波が反応器6に照射され、反応器6を透過したマイクロ波が処理対象物に吸収されることで、処理対象物の処理が行われる。
【0037】
筐体2内で処理対象物を収容した反応器6は前記マイクロ波導入口41aの正面、つまり導波管7から筐体2内に導入されるマイクロ波の伝搬方向途上に配置されているので、マイクロ波を効率的に処理対象物に吸収させて処理することが可能である。また、筐体2内に導入されたマイクロ波のうち、処理対象物に吸収されない分は、前記周側面体4の内面で反射して筐体2内を伝搬するが、周側面体4は5枚の側面体41,42,43,44,45を底面体5上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視五角形の配置に形成してあるので、マイクロ波は各側面体の内面で反射して前記マイクロ波導入口41a側に向けて伝搬しにくくなり、マイクロ波が導波管7内に逆流してエネルギーロスが生じることを効果的に防止することが可能である。
【0038】
筐体2内で導入されたマイクロ波は、マイクロ波導入口41aと対面しない位置の側面体44に設けられファンアンテナ8で反射して筐体2内に拡散して伝搬するため、前記各側面体の内面で反射しつつ伝搬するマイクロ波と相俟って、筐体2内全体にマイクロ波が一様に拡散せしめられるので、筐体2内部にマイクロ波が局所的に集中する領域が発生しにくく、筐体2内に配された処理対象物を効率的に処理することが可能である。
【0039】
また、前記処理対象物の処理の際、反応器6に収容されたマイクロ波吸収の大きい溶媒と処理対象物とを撹拌機9で攪拌させながら、或いは温度計11で処理対象物の温度を測定しつつ、必要に応じて冷却又は加熱用コイル10に冷媒を流通させて処理対象物の温度を調整することで、処理対象物の反応の促進を図ることが可能である。
【0040】
さらに、前記冷却又は加熱用コイル10が金属管を螺旋状に巻いて形成してあるため、以下に述べる作用により、反応器6内の中心部の処理対象物の反応を促進させる効果もある。金属板、金属管などが存在するとマイクロ波はそれによって遮断されるのが一般的であるが、本形態のように螺旋状に巻いてある場合は、反応器6に照射されたマイクロ波が冷却又は加熱用コイル10に到達すると、いわゆる電磁誘導によって冷却又は加熱用コイル10に誘導電流が流れ、さらにこの誘導電流に応じて誘導磁場及び電界、すなわちマイクロ波が生じる。螺旋状に巻いた形状の場合、このマイクロ波は、冷却又は加熱用コイル10の中心付近に集中的に発生することになる。従って、こうして生じたマイクロ波の影響によって、冷却又は加熱用コイル10の内側の処理対象物、つまり反応器6内の中心部の処理対象物の反応を促進させるものと推察されるのである。
併せて、冷却又は加熱用コイル10に到達したマイクロ波によって誘導電流が生じると、冷却又は加熱用コイル10自体にいわゆる誘導加熱が生じ、これによって処理対象物の加熱が進むという効果も得られる。
本形態では、冷却又は加熱用コイル10はその外周部と反応器6の内壁との距離(D)をマイクロ波半減深度未満の距離に設定してあるため、マイクロ波が反応器6を透過して冷却又は加熱用コイル10に至るまでの範囲では処理対象物を深く照射し、さらに冷却又は加熱用コイル10に到達した後も上述した作用によって反応が促進されることになる。
このように反応器6内でマイクロ波の伝搬による反応する場が広範囲に広がることで、反応器6の周辺から中心部に亘る処理対象物全体にマイクロ波を吸収せしめて、処理対象物を効率的に処理することが可能である。
【0041】
図7と
図8は、補強のため反応器の補強部材で覆う形態を示している。
反応器6は、同図(A)に示されるように、テフロン系樹脂を用い、有底円筒形の本体容器61と蓋体61とにより形成してある。なお、同図は反応器6の概略図であり、蓋体61の上面から本体容器61内に撹拌機9、熱媒体配管10a,10b及び温度計11が挿通されることは前記形態と同様である。
【0042】
補強部材63は、同図(B)に示されるように、帯状の金属板を反応器6の外周面に装着し得るように環状に形成してある三つの横桟材63aを、反応器6の上下両端部及び中間部に位置するように上下に間隔を開けて配置した状態で、各横枠材横桟材63aの外面に、周方向に間隔を開けて配置した金属板からなる複数の縦桟材63bを一体に固着して、反応器6の外面に嵌って装着するように枠状に形成してある。
【0043】
詳しくは、補強部材63は、上下に交差して固着された縦横の桟材63a,63b間が開口部63cとなっており、補強部材6の周辺に開口部63cを複数配した形状に形成してある。
そして、各開口部63cはそれぞれ最大口径がマイクロ波の波長(λ)に対してλ/6~λ/2の大きさとなり、且つ開口率が15~45%となるよう形成してある。
また、各開口部63cは、互いに隣接する開口部63cとの配置間隔が、マイクロ波の波長(λ)に対してλ/10~λとなるように形成してある。
【0044】
反応器6は、
図8に示されるように、その外周に補強部材63が装着されて一体に取り付けられ、補強された反応器6は、前記形態で説明したように、その内部に処理対象物を収容して筐体2内に設置される。
処理対象物を処理するため筐体2内で、補強部材63で覆われた反応器6にマイクロ波が照射されるが、補強部材63は上下に交差した縦横の桟材63a,63b間に前記の寸法条件に設定された複数の開口部63cを配して形成されているので、補強部材63で反射するマイクロ波は極めて少なく、マイクロ波は各開口部63cを通過して反応器6の周面全体を隈なく照射して、反応器6に収容された処理対象物を処理することが可能である。
【0045】
図9は本発明の他の実施形態のマイクロ波反応装置の概略外観を示している。
図示した形態のマイクロ波反応装置1は、平面視五角形に形成された周側面体4の側面体41と当該側面体41と非対面の位置の側面体44との二つの側面体の外側に導波管7,7をそれぞれ設置し、両側面体41,44に形成されたマイクロ波導入口を通して導波管7,7から出力されるマイクロ波が筐体2内に導入されるように構成するとともに、処理対象物を収容して筐体2内に設置される反応器6に処理対象物の供給管路13と送出管路14をそれぞれ接続し、未処理の処理対象物を筐体2の外側から反応器6内に供給管路13を通して流入させ、処理対象物の処理後に反応器6から送出管路14を通して筐体2の外部に送出することができるように構成されたものである。
前記平面視五角形の周側面体4の構成や筐体2内の前記導波管7,7が設けられた側面体41,44とは非対面の位置の側面体にファンアンテナ8が設置してあること、反応器6が本体容器61と蓋体62からなり、その外面に補強部材63が取り付けられて補強されていること、本体容器61の内部に冷却又は加熱用コイル10が設置され、撹拌機9と温度計11を具備することなども前述の形態のものと同様である。なお、周側面体4を構成する少なくとも一つの側面体には筐体2内を外部から観察することができるように覗き窓が設置される。
【0046】
本形態のマイクロ波反応装置1によれば、前記二つの導波管7,7から出力されるマイクロ波を筐体2内に導入し、これを反応器6に収容された処理対象物が吸収させて処理することが可能である。筐体2の周側面体4は5枚の側面体41,42,43,44,45を底面体5上に垂直に、且つ各側面体同士が平行に向き合わないように立ち並べて平面視五角形の配置に形成してあるので、マイクロ波は各側面体の内面で反射して導波管7,7内に逆流してエネルギーロスが生じることを効果的に防止し、また、筐体2の内部に設けられたファンアンテナ8で筐体2内にマイクロ波を拡散させ、マイクロ波が局所的に集中することを防止することが可能である。
また、反応器6に照射されたマイクロ波が金属製の冷却又は加熱用コイル10に到達するとそこで誘導磁場及び電界を発生させ、これによるコイルのアンテナ効果によって冷却又は加熱用コイル10内にマイクロ波を生じせしめ、このマイクロ波によって冷却又は加熱用コイル10の内側の処理対象物の反応を促進させることが可能である。
さらに、前記供給管路13を通して筐体2の外側から反応器6内に処理対象物を収容し、マイクロ波の照射による処理後に、反応器6内の処理対象物を、前記送出管路14を通して筐体2の外部に送出することで、筐体2の開閉操作を行うことなく、処理対象物を連続的に処理することができる。
【0047】
図1から
図3に示された形態のマイクロ波反応装置1について、ファンアンテナ8で筐体2内に導入されたマイクロ波を拡散させることの有効性について検証した結果を示す。
【0048】
図10及び
図11に示されるように、側面体43にファンアンテナ8を設置して筐体2を構成した。
30個の三角フラスコの各々に100ccの水を入れ、筐体2の底面体3上に両図に示されるように並べて配置した。試験前の水温は20℃である。
導波管7から出力400Wでマイクロ波を筐体2内に導入してフラスコに照射した。
実施例では筐体2内にマイクロ波を導入している間、ファンアンテナ8を回転動作させ、比較例ではファンアンテナを動作させなかった。
マイクロ波の照射は10分間行い、照射停止後の各フラスコの水温を測定した。
【0049】
図10は比較例の試験結果を示している。底面体5上の「〇」印はフラスコであり、二重丸は30℃以上の水温が測定されたフラスコ、単丸は30℃より低い水温が測定されたフラスコを示している。
ファンアンテナ8を停止した状態でマイクロ波を照射した比較例では、実施例よりも水温の上昇度合が小さく、30度℃を超す水温となったフラスコは周側面体4の内面に沿って位置していた。底面体5の中央寄りに配置されたフラスコの水温は30℃に達しなかった。
【0050】
図11は実施例の試験結果を示している。
図10と同様に、底面体5上の「〇」印はフラスコであり、二重丸は30℃以上の水温が測定されたフラスコ、三重丸は40℃以上の水温が測定されたフラスコを示している。
ファンアンテナ8を回転動作させた実施例では、底面体5上の全てのフラスコの水温が30℃を超え、底面体5の中央寄りに配置されたものも含めて水温が40℃を超えたものが多かった。
これは、マイクロ波がファンアンテナ8で反射し筐体2内に拡散されて、導波管7に戻るように伝搬することなく、筐体2内に略均一の分布で伝搬したためと推測される。
【0051】
図1から
図3に示された形態のマイクロ波反応装置1を用い、反応器6の外側に装着する補強部材63の開口部63cの好適な形状と開口率を検証するための試験を行った。その結果を以下に示す。
【0052】
試験は、前記反応器6に代えて、容量1000mlのガラス製のビーカー(外径108mm、高さ158mm)を用いて行った。
図12に示されるように、このビーカーBeに水800mlを入れ、上部開口をアルミ製の蓋Cで塞ぎ、胴部外面には薄肉の金属板からなる補強部材63を巻き付けて装着した。蓋Caと補強部材63はともに接地されている。
【0053】
前記補強部材63cに、
図13に示される配列で開口部63cが形成されたものを用意した。
同図(A)は開口部63cの形状が正方形であり、同図中の実線で表された位置に計12個の開口部63cを形成した態様、実線と点線で表された位置に計16個の開口部63cを形成した態様、実線と点線及び一点鎖線で表された位置に計21個の開口部63cを形成した態様の、三つの態様の補強部材63cを用意した。同図中の左右及び上下に隣接する開口部63cの配置間隔は15mmとした。
また、同図(B)は開口部63cの形成が正方形であり、上下4列で千鳥状に開口部63cを配した。同図中の左右に隣接する開口部63cの配置間隔は70mm、上下に隣接する開口部63c間の隙間は6mm、最上列と3列目の開口部63cの配置間隔及び2列目と4列目の開口部63cの配置間隔は40mmとした。
【0054】
マイクロ波反応装置1内で、前記ビーカーBeにマイクロ波(波長λ=12.5cm)を出力300Wで照射し、ビーカーBe内を撹拌機9で攪拌しつつ水温を温度計1で測定して昇温速度を検出した。
前記のとおりビーカーBeを照射するマイクロ波の波長λは12.5cmである。マイクロ波の波長λに対する補強部材63の開口部63cの大きさによる前記昇温速度の違いを確認するため、前記
図13に示された開口部63cの大きさ(面積)を、同図(A)の正方形の開口部63cではλ/2:39cm
2、λ/4:9.77cm
2、λ/6:4.34cm
2、同図(B)の円形の開口部63cではλ/2:30.68cm
2、λ/4:7.66cm
2、λ/6:3.41cm
2というように、それぞれ開口部63cの大きさが異なる補強部材63を用意し、それぞれの補強部材63をビーカーBeに装着したときの前記昇温速度を求めた。
【0055】
試験結果を
図14に示す。
開口部63cの形状が正方形と円形との間で多少の差があるものの、開口部63cの最大口径がマイクロ波の波長λに対してλ/6~λ/2の範囲にあり、且つ、開口部63cの開口率が15~45%の範囲であれば、補強部材がない場合の昇温速度と比べて、同等以上の昇温速度での昇温効果が得られる。特に開口部63cの最大口径がλ/4で開口率が30~40%の範囲で効果が顕著であった。また、開口部63cの最大口径がλ/4のときに隣接する開口部63cの配置間隔をλ/8とλ/12で比較した場合、配置間隔がλ/8の方がλ/12よりも良好な昇温速度比を示した。
【0056】
なお、本発明のマイクロ波反応装置及びこれを構成する筐体や反応器などの各部材の構成や形状、組み合わせは一例であり、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 マイクロ波反応装置、2 筐体、3 天面体、4 周側面体、41,42,43,44,45 側面体、45A 側面本体、45B 扉体、5 底面体、6 反応器、61 本体容器、62 蓋体、63 補強部材、7 導波管、8 ファンアンテナ、9 撹拌機、10 冷却又は加熱用コイル、11 温度計、12 熱交換器、13 供給管路、14 送出管路