(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141393
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ロボットVRシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2662 20110101AFI20230928BHJP
H04N 21/4728 20110101ALI20230928BHJP
【FI】
H04N21/2662
H04N21/4728
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047702
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】福井 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小野 央也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】藤橋 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 翼
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 俊介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 尚
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164SA25S
5C164SB01S
5C164SC03P
5C164UD44P
(57)【要約】
【課題】本開示では、ロボットVRシステムにおいて、VR映像をリアルタイムに生成可能にすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像を、VR映像を生成するVR映像生成部に送信する映像送信部と、前記映像送信部から送信される前記複数のカメラ映像の一部の領域のビットレートを削減する送信映像制御部と、を備える映像送信装置である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像を取得し、前記複数のカメラ映像のうちの少なくとも一つのカメラ映像のビットレートを削減する送信映像制御部と、
前記送信映像制御部でビットレートの削減された前記複数のカメラ映像を、前記複数のカメラ映像を用いてVR映像を生成するVR映像生成部に送信する映像送信部と、
を備える映像送信装置。
【請求項2】
前記送信映像制御部は、
前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報に基づき、前記複数のカメラ映像のうちの前記操作者の視界に入らない領域のビットレートを削減する、
請求項1に記載の映像送信装置。
【請求項3】
前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報に基づき、前記移動型ロボットの向きを制御するモータ制御部をさらに備える、
請求項1に記載の映像送信装置。
【請求項4】
前記映像送信装置は、
前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報を取得し、
前記操作者の姿勢情報が変化した場合には、変化後の前記操作者の姿勢情報に基づき、前記操作者の視界に入らない領域のビットレートを削減する送信映像制御部を実行させ、
前記操作者の姿勢情報が一定時間継続した場合には、一定時間継続した姿勢情報に基づき、前記移動型ロボットの向きを制御するモータ制御部を実行させる、
請求項1に記載の映像送信装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の映像送信装置と、
前記映像送信装置から送信された前記複数のカメラ映像を用いて、VR映像を生成するVR映像生成部と、
を備え、
前記VR映像生成部は、前記移動型ロボットの制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて、前記移動型ロボットの前方方向の撮影されているカメラ映像が前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の前方方向に表示されるように、前記VR映像を生成する、
ロボットVRシステム。
【請求項6】
送信映像制御部が、移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像を取得し、前記複数のカメラ映像のうちの少なくとも一つのカメラ映像のビットレートを削減し、
映像送信部が、前記送信映像制御部でビットレートの削減された前記複数のカメラ映像を、前記複数のカメラ映像を用いてVR映像を生成するVR映像生成部に送信する、
映像送信方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の映像送信装置に備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像からVR映像を生成するロボットVRシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
5G/FTTHの普及や、感染症の拡大によるリモート作業の需要増大に伴い、移動型ロボットを操作者が遠隔から操作することで監視やコミュニケーションを行うユースケースが普及している。本ユースケースでは、移動型ロボットに具備されているカメラの映像がネットワーク越しに送信され、操作者は本映像を見ながら操作を行っている。
【0003】
より臨場感を持って操作を行うために、操作者にVR(Virtual Reality)デバイスを介してVR映像を表示するロボットVRシステムの検討が進められている。VR映像を表示するためには、移動型ロボットに搭載されている複数のカメラで撮影した複数のカメラ映像をリアルタイムにスティッチングして、移動型ロボットの周囲360度のVR映像を生成し、VRデバイス上に表示する必要がある。
【0004】
複数のカメラの映像からリアルタイムにVR映像を生成するためのリアルタイムVR通信システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、サービス提供側でVR映像を生成する。
【0005】
しかし、移動型ロボットは小型であり、高い処理性能を持つ計算機を搭載することができないため、移動型ロボットにおいてVR映像を生成することはできない。また、移動型ロボットの特性上、ネットワークは無線で接続せざるを得ない。このため、複数のカメラ映像を送信するための帯域が確保できず、カメラ映像の遅延や不達によってリアルタイムにVR映像が生成できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本開示では、ロボットVRシステムにおいて、VR映像をリアルタイムに生成可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の映像送信装置は、
移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像を取得し、前記複数のカメラ映像のうちの少なくとも一つのカメラ映像のビットレートを削減する送信映像制御部と、
前記送信映像制御部でビットレートの削減された前記複数のカメラ映像を、前記複数のカメラ映像を用いてVR映像を生成するVR映像生成部に送信する映像送信部と、
を備える。
【0009】
本開示の映像送信方法は、
送信映像制御部が、移動型ロボットで撮影された複数のカメラ映像を取得し、前記複数のカメラ映像のうちの少なくとも一つのカメラ映像のビットレートを削減し、
映像送信部が、前記送信映像制御部でビットレートの削減された前記複数のカメラ映像を、前記複数のカメラ映像を用いてVR映像を生成するVR映像生成部に送信する。
【0010】
本開示のロボットVRシステムは、
本開示の映像送信装置と、
前記映像送信装置から送信された前記複数のカメラ映像を用いて、VR映像を生成するVR映像生成部と、
を備える。
【0011】
本開示では、前記送信映像制御部は、前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報に基づき、前記複数のカメラ映像のうちの前記操作者の視界に入らない領域のビットレートを削減してもよい。
【0012】
本開示では、前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報に基づき、前記移動型ロボットの向きを制御するモータ制御部をさらに備えてもよい。
【0013】
本開示では、前記映像送信装置は、
前記VR映像を表示するVRデバイスの操作者の姿勢情報を取得し、
前記操作者の姿勢情報が変化した場合には、変化後の前記操作者の姿勢情報に基づき、前記操作者の視界に入らない領域のビットレートを削減する送信映像制御部を実行させ、
前記操作者の姿勢情報が一定時間継続した場合には、一定時間継続した姿勢情報に基づき、前記移動型ロボットの向きを制御するモータ制御部を実行させてもよい。
【0014】
本開示のプログラムは、本開示に係る映像送信装置及びVR映像生成部に備わる各機能部としてコンピュータを実現させるためのプログラムであり、本開示に係る映像送信装置が実行する方法に備わる各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0015】
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ロボットVRシステムにおいて、VR映像をリアルタイムに生成可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】リアルタイムVR通信システムの構成例を示す。
【
図3】複数のカメラ映像からVR映像への合成例である。
【
図4】本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。
【
図5】複数のカメラ映像からVR映像への合成例である。
【
図6】本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。
【
図7】複数のカメラ映像からVR映像への合成例である。
【
図8】本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。
【
図9】複数のカメラ映像からVR映像への合成例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0019】
(リアルタイムVR通信システム)
図1に、リアルタイムVR通信システムの構成例を示す。リアルタイムVR通信システムでは、サービス提供側に、一部の範囲を撮影する複数台のカメラ51と、VR映像送信装置100を備える。VR映像送信装置100は、リアルタイムスティッチング部123と、VR映像出力部124と、映像送信部112を備える。
【0020】
リアルタイムスティッチング部123は、各カメラ51からの複数のカメラ映像をリアルタイムに合成してVR映像を生成する。VR映像出力部124がVR映像を出力し、映像送信部112がVR映像を送信する。VR映像は、ネットワーク41を介して送信され、映像受信部122で受信される。これにより、VRデバイス30で、VR映像が表示可能になる。
【0021】
(ロボットVRシステム)
図2に、ロボットVRシステムの構成例を示す。本開示では、移動型ロボット50がカメラ51A,51B及び51Cを備える例を示す。ロボットVRシステムは、移動型ロボット50の操作を、VRデバイス30が行う。このときのVRデバイス30による移動型ロボット50の制御方法については、本開示では省略する。
【0022】
移動型ロボット50は小型であることから、リアルタイムスティッチングのような高い処理性能を持つ計算機を搭載することができない。そのため、ロボットVRシステムは、移動型ロボット50がカメラ映像送信装置10を備え、移動型ロボット50の外部にVR映像生成部20が配置される。カメラ映像送信装置10は、本開示の映像送信装置として機能する。VR映像生成部20は、移動型ロボット50の外部の任意の装置に配置可能であり、例えば、VRデバイス30の近傍のサーバやPCに備わる。
【0023】
カメラ映像送信装置10は、ネットワークインタフェース(NW IF)11及び映像送信部12を備える。VR映像生成部20は、ネットワークインタフェース(NW IF)21、映像受信部22、リアルタイムスティッチング部23、及びVR映像出力部24を備える。ネットワークインタフェース11及び21はネットワーク41で接続されている。
【0024】
映像送信部12が複数のカメラ映像をネットワーク41を介して送信し、映像受信部22で複数のカメラ映像を受信し、リアルタイムスティッチング部23がスティッチングを行う。本実施形態では、移動型ロボット50がカメラ51A,51B及び51Cを用いて、移動型ロボット50の周囲360度方向を撮影する例を示す。この場合、リアルタイムスティッチング部23は、
図3に示すように、カメラ51A,51B及び51Cで撮影されたカメラ映像PA、PB及びPCを合成し、移動型ロボット50の周囲360度方向のVR映像P360を生成する。
【0025】
ここで、リアルタイムスティッチング部23におけるスティッチング方法は任意であり、本開示では限定しない。例えば、カメラ映像PA、PB及びPCの一致部分を合成してつなぎ目を見えなくする一般的な手法を用いることができる。
【0026】
カメラ51A,51B及び51Cの配置は任意であるが、本実施形態では、カメラ51A,51B及び51Cが水平方向に120度間隔で配置され、カメラ51Bが移動型ロボット50の前方方向を撮影する例を示す。なお、本実施形態では3台のカメラを用いて水平方向における360度方向のカメラ映像を撮影する例を示すが、カメラの台数は4台以上であってもよい。また、垂直方向についても360度方向のカメラ映像を撮影し、VR映像として生成してもよい。また、リアルタイムスティッチング部23において生成するVR映像は、360度方向に限らず、VRデバイス30の表示範囲に応じた範囲であってもよい。
【0027】
VR映像出力部24は、リアルタイムスティッチング部23からのVR映像P360をVRデバイス30に出力する。本実施形態のロボットVRシステムでは、勿論、さらにVR映像生成部20からのVR映像を、NW(不図示)を介してVRデバイス30に送信する形態も可能である。
【0028】
移動型ロボット50は、その特性上、無線を利用する必要がある。そのため、ロボットVRシステムでは、複数のカメラ映像PA、PB及びPCを伝送する際の帯域を確保できない可能性がある。
【0029】
そこで、本開示のロボットVRシステムは、以下の構成を備える。
・第1の構成:カメラ映像送信装置10は、移動型ロボット50で撮影された複数のカメラ映像PA、PB及びPCの一部の領域のビットレートを削減する送信映像制御部を備える。ここで、送信映像制御部は、VRデバイス30より受信した姿勢情報に基づき、複数のカメラ映像PA、PB及びPCのうちのVRデバイス30の操作者の視界に入らない部分のビットレートを削減してもよい。
・第2の構成:カメラ映像送信装置10は、VRデバイス30より受信した姿勢情報に基づき、移動型ロボット50の向きを制御するモータ制御部を備える。
・第3の構成:VR映像生成部20は、モータ制御部より受信した制御情報に基づき、複数のカメラ映像PA、PB及びPCを合成する際の向きを制御するリアルタイムスティッチング部23を備える。
・第4の構成:カメラ映像送信装置10は、VRデバイス30より姿勢情報を受信し、姿勢情報の変化に応じて第1及び第2の構成を動作させる状態制御部を備える。
【0030】
本開示のロボットVRシステムは、送信映像制御部(第1の構成)を備えることにより、複数のカメラ映像PA、PB及びPCを送信する際に、ビットレート低減とユーザ体感維持を両立できる方式を実現する。これにより、操作者の体感を損なわずにVRデバイス30を使った移動型ロボット50の操作が可能になる。
【0031】
ここで、ロボットVRシステムでは、移動型ロボット50及びVRデバイス30の両方の方向が可変であるため、操作者の前方方向と移動型ロボット50の前方方向がズレてしまうことがある。そこで、本開示は、モータ制御部(第2の構成)及びリアルタイムスティッチング部(第3の構成)を用いる。これにより、本開示は、ビットレート低減とユーザ体感維持を両立しつつ、移動型ロボット50の前方方向とVRデバイス30の操作者の前方方向を一致させることが可能となる。
【0032】
また、ロボットVRシステムでは、モータの制約などにより移動型ロボット50の方向変更に時間がかかったり、VR映像における方向変更が頻繁に発生するとVRデバイス30の操作性が低下したりする可能性がある。そこで、本開示は、状態制御部(第4の構成)を用いる。
【0033】
第4の構成では、状態制御部は、姿勢情報の変化に応じて送信映像制御部を動作させるとともに、姿勢情報が一定時間変化しない場合には、モータ制御部を動作させる。姿勢情報が一定時間変化しない場合、VR映像生成部20は第3の構成を動作させてもよい。これにより、本開示は、移動型ロボット50の方向が変更される頻度を下げつつ、ビットレート低減とユーザ体感維持の両立を行い、かつ移動型ロボット50の前方方向とVRデバイス30の操作者の前方方向を一致させることが可能となる。
【0034】
なお、本開示のカメラ映像送信装置10及びVR映像生成部20はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0035】
(実施形態例1)
図4に、本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。本開実施形態のロボットVRシステムは、VRデバイス30が姿勢情報出力部33を備え、カメラ映像送信装置10が送信映像制御部13を備える。
【0036】
姿勢情報出力部33は、VRデバイス30の操作者の姿勢情報を出力する。姿勢情報は、操作者の前方方向を検出可能な任意の情報であり、一般的なVRデバイス30に具備されているジャイロセンサ等で取得することができる。VRデバイス30は、姿勢情報出力部33から出力された姿勢情報を、カメラ映像送信装置10に送信する。図では、一例として、VR映像生成部20が姿勢情報をカメラ映像送信装置10に送信する例を示すが、これに限定されない。
【0037】
送信映像制御部13は、複数のカメラ映像PA1、PB1及びPC1を取得し、複数のカメラ映像PA1、PB1及びPC1の一部の領域のビットレートを削減する。映像送信部12は、送信映像制御部13からのカメラ映像PA1、PB1及びPC1を送信する。
【0038】
図5に、送信映像制御部13の動作の一例を示す。
送信映像制御部13は、VRデバイス30からの姿勢情報に基づき、VRデバイス30の操作者の視点と一致するカメラ映像PA1を判定する。ここで、操作者の視点は、例えば、操作者の前方方向から求められる操作者の視界の中心である。
【0039】
そして、送信映像制御部13は、操作者の前方方向に基づいて、カメラ映像PA1、PB1及びPC1のなかから、操作者の視界に入らない領域AA1、AB1及びAC1を判定する。操作者の視界に入らない領域は、例えば、操作者の視点から一定距離以上離れた領域とすることができる。
【0040】
そして、送信映像制御部13は、カメラ映像PA1、PB1及びPC1の領域AA1、AB1及びAC1のビットレートを削減する。ここで、送信映像制御部13は、カメラ映像PC1の全体のビットレートを削減してもよいし、カメラ映像PA1の一部の領域AA1を削減してもよい。また、ビットレートの削減方法は任意であり、例えば、カメラ映像の画素数を低減する、又は映像の一部だけ送るなどして、カメラ映像PA1、PB1及びPC1のうちの少なくともいずれかのデータ量を圧縮することが例示できる。
【0041】
本実施形態では、カメラ映像PA1及びPB1の一部のビットレートが削減され、カメラ映像PC1の全体のビットレートが削減されている。このため、本実施形態では、カメラ映像PA1、PB1及びPC1を送信する際のビットレートを低減することができる。
【0042】
VR映像生成部20では、映像受信部22がネットワーク41を介して送信されたカメラ映像PA1、PB1及びPC1を受信し、リアルタイムスティッチング部23が複数のカメラ映像PA1、PB1及びPC1をリアルタイムに合成する。これにより、
図5に示すようなVR映像P360が生成される。本実施形態では、
図5に示すように、VR映像P360のうちの領域AL及びARのビットレートが削減されているが、これらはVRデバイス30の操作者の操作者の視界に入らない領域である。このため、ユーザ体感への影響は少ない。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のロボットVRシステムは、姿勢情報出力部33及び送信映像制御部13を備えることにより、VR映像を構成するための複数のカメラ映像PA1、PB1及びPC1を送信する際に、ビットレート低減とユーザ体感維持を両立できる方式を実現する。
【0044】
(実施形態例2)
図6に、本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。本開実施形態のロボットVRシステムは、VRデバイス30が姿勢情報出力部33を備え、カメラ映像送信装置10が送信映像制御部13及びモータ制御部14を備える。
【0045】
モータ制御部14は、VRデバイス30からの姿勢情報に応じて、移動型ロボット50のモータを制御し、移動型ロボット50の前方方向をVRデバイス30の操作者の前方方向に合わせる。
【0046】
また、モータ制御部14は、移動型ロボット50の制御情報を、リアルタイムスティッチング部23に通知する。制御情報は、移動型ロボット50の前方方向を示す任意の情報を含む。これにより、リアルタイムスティッチング部23は、移動型ロボット50の前方方向の撮影されているカメラ映像が操作者の前方方向に表示されるよう、VR映像P360を生成する。
【0047】
本実施形態では、移動型ロボット50と操作者の前方方向が一致する。そのため、送信映像制御部13は、
図7に示すように、移動型ロボット50の前方方向を撮影するカメラ51Bからのカメラ映像PB2を高ビットレートに、移動型ロボット50の側方に配置されているカメラ51A及び51Cからのカメラ映像PA2及びPC2を低ビットレートにする。このとき、送信映像制御部13は、カメラ映像PA2及びPC2のうちのカメラ映像PB2と重複しない領域AA2及びAC2のみのビットレートを下げ、カメラ映像PB2と重複する領域についてはビットレートを下げずに維持してもよい。
【0048】
本実施形態では、移動型ロボット50の向きが操作者の前方方向と一致する。そのため、VR映像生成部20では、リアルタイムスティッチング部23が、制御情報に基づき、移動型ロボット50の前方方向を撮影するカメラ51Bからのカメラ映像PB2が操作者の前方方向に表示されるようにスティッチングして、出力するVR映像P360の角度を変える。これにより、移動型ロボット50の方向が変わる際に、VRデバイス30上のVR映像が回転することを防ぐことができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のロボットVRシステムは、VRデバイス30からの姿勢情報に基づき、移動型ロボット50の方向変更とリアルタイムスティッチング部23から出力されるVR映像P360の方向の補正を同時に実施する。これにより、本実施形態のロボットVRシステムは、ビットレート低減を行いつつ、VRデバイス30の操作者の視界に入る領域の映像を高ビットレートにする方式を実現する。
【0050】
(実施形態例3)
図8に、本開示のロボットVRシステムの実施形態例を示す。本開実施形態のロボットVRシステムは、VRデバイス30が姿勢情報出力部33を備え、カメラ映像送信装置10が送信映像制御部13、モータ制御部14及び状態制御部15を備える。
【0051】
状態制御部15は、姿勢情報に基づいて、VRデバイス30の操作者の視点の変化を検知する。状態制御部15は、操作者の視点が変化したことを検知すると、送信映像制御部13にビットレート削減領域の変更を指示する。すると、カメラ映像送信装置10は、実施形態例1と同様の動作を行う。これにより、
図9に示すように、移動型ロボット50の向きは変わらず、操作者の視界に入らない領域のビットレートの削減されたカメラ映像がカメラ映像送信装置10から送信される。
【0052】
本実施形態では、操作者の視点が変化し続けている間は、状態制御部15はモータ制御部14を実行させない。これにより、VR映像の方向が頻繁に変化することによるVRデバイス30の操作性の低下を防ぐことができる。
【0053】
状態制御部15は、一定時間操作者の視点が同じ向きを向いていることを検知すると、実施形態例2と同様に、
図9に示すように、モータ制御部14に移動型ロボット50の方向の変更を実行させ、リアルタイムスティッチング部23にVR映像の方向の補正を実行させる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のロボットVRシステムは、姿勢情報出力部33、送信映像制御部13、モータ制御部14、状態制御部15を備えることにより、カメラ映像のうちのVRデバイス30の操作者の視界に入らない部分のビットレートを削減しつつ、移動型ロボット50の方向変更とリアルタイムスティッチング部23から出力されるVR映像の方向の補正を同時に実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10:カメラ映像送信装置
11、111:ネットワークインタフェース(NW IF)
12、112:映像送信部
13:送信映像制御部
14:モータ制御部
15:状態制御部
50:移動型ロボット
51、51A、51B、51C:カメラ
52:モータ
20:VR映像生成部
21、121:ネットワークインタフェース(NW IF)
22、122:映像受信部
23:リアルタイムスティッチング部
24:VR映像出力部
30:VRデバイス
33:姿勢情報出力部
41、141:ネットワーク
100:VR映像送信装置
123:リアルタイムスティッチング部
124:VR映像出力部