(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146040
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】レーザ光源およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02253 20210101AFI20231004BHJP
【FI】
H01S5/02253
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053023
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】竹田 英明
(72)【発明者】
【氏名】出島 範宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鶴 一真
(72)【発明者】
【氏名】山下 利章
(72)【発明者】
【氏名】行本 晃
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC30
5F173MD59
5F173ME22
5F173ME64
5F173ME85
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】レンズ部材の固定に用いられる接合材の、レンズ部材の光入射面への付着を抑制する点で、改善の余地がある。
【解決手段】レーザ光源は、サブマウントと、サブマウントに固定された半導体レーザ素子であって、レーザ光を出射する光出射面を有する、半導体レーザ素子と、レーザ光が入射する光入射面、および光入射面から側方に広がる接合面を有するレンズ部材と、レンズ部材とサブマウントとを接続し、レンズ部材の光入射面を半導体レーザ素子の光出射面に対向させる支持部材と、レンズ部材の接合面と支持部材とを接合する無機接合層と、を備える。レンズ部材は、光入射面と接合面との間に、光入射面および接合面の各々に交差する方向に広がる面を有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマウントと、
前記サブマウントに固定された半導体レーザ素子であって、レーザ光を出射する光出射面を有する、半導体レーザ素子と、
前記レーザ光が入射する光入射面、および前記光入射面から側方に広がる接合面を有するレンズ部材と、
前記レンズ部材と前記サブマウントとを接続し、前記レンズ部材の前記光入射面を前記半導体レーザ素子の前記光出射面に対向させる支持部材と、
前記レンズ部材の前記接合面と前記支持部材とを接合する無機接合層と、
を備え、
前記レンズ部材は、前記光入射面と前記接合面との間に、前記光入射面および前記接合面の各々に交差する方向に広がる面を有する、レーザ光源。
【請求項2】
前記レンズ部材の前記光入射面および前記接合面の各々は平面である、請求項1に記載のレーザ光源。
【請求項3】
前記レンズ部材は、前記光入射面と前記接合面との間に段差部または壁部を有する、請求項1または2に記載のレーザ光源。
【請求項4】
前記レンズ部材は、前記光入射面が前記接合面よりも突出または後退した形状を有し、
前記段差部は、前記光入射面と前記接合面とを繋ぐ、請求項3項に記載のレーザ光源。
【請求項5】
前記段差部の高さは、10μm以上1mm以下である、請求項4に記載のレーザ光源。
【請求項6】
前記レンズ部材は、前記光入射面が前記接合面よりも後退した形状を有し、
前記半導体レーザ素子の前記光出射面は、前記レンズ部材の前記接合面よりも前方に位置する、請求項4または5に記載のレーザ光源。
【請求項7】
前記レンズ部材は、前記光入射面が前記接合面よりも突出した形状を有し、
前記レンズ部材の突出した部分と、前記支持部材との間には隙間がある、請求項4または5に記載のレーザ光源。
【請求項8】
前記レンズ部材は、前記光入射面と前記接合面との間に位置する前記壁部を有し、
前記レンズ部材のうち、前記壁部はセラミックまたは金属から形成されている、請求項3に記載のレーザ光源。
【請求項9】
前記壁部の高さは、10μm以上1mm以下であり、
前記壁部の幅は、50μm以上500μm以下である、請求項8に記載のレーザ光源。
【請求項10】
前記壁部は、前記光入射面および前記接合面から突出した突出面を有し、
前記半導体レーザ素子の前記光出射面は、前記壁部の前記突出面よりも前方に位置する、請求項8または9に記載のレーザ光源。
【請求項11】
前記レンズ部材の前記壁部と、前記支持部材との間には隙間がある、請求項8から10のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項12】
前記半導体レーザ素子を封止するパッケージを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載のレーザ光源。
【請求項13】
レーザ光を出射する半導体レーザ素子、およびレンズ支持部材が接続されるサブマウントを用意する工程と、
前記レーザ光が入射する光入射面、および前記光入射面から側方に広がる接合面を有するレンズ部材であって、前記光入射面と前記接合面との間に、前記光入射面および前記接合面の各々に交差する方向に広がる面を有するレンズ部材を用意する工程と、
前記レンズ部材の前記接合面と、前記レンズ支持部材が前記レンズ部材を支持する面とを、有機バインダおよび前記有機バインダ中に分散する複数の金属粒子を有する金属ペーストを介して互いに接触させる工程と、
加熱用のレーザ光で前記レンズ支持部材を照射して前記金属ペーストを加熱することにより、前記複数の金属粒子を焼結して前記レンズ部材と前記レンズ支持部材とを互いに接合する工程と、
を含む、レーザ光源の製造方法。
【請求項14】
前記レンズ部材の前記接合面と前記レンズ支持部材が前記レンズ部材を支持する面とを金属ペーストを介して互いに接触させる工程と、前記金属ペーストを加熱することにより、前記レンズ部材と前記レンズ支持部材とを互いに接合する工程との間に、前記半導体レーザ素子に前記レーザ光を出射させた状態で、前記レンズ部材の光軸調整を行う工程をさらに含む、請求項13に記載のレーザ光源の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ光源およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザを含むレーザ光源は、加工機、プロジェクタ、および照明器具などの装置に利用される。そのようなレーザ光源の典型例は、半導体レーザと、半導体レーザを支持する基台と、半導体レーザから出射されるレーザ光をコリメートするコリメートレンズとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズ部材の固定に用いられる接合材の、レンズ部材の光入射面への付着を抑制する点で、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のレーザ光源は、ある実施形態において、サブマウントと、前記サブマウントに固定された半導体レーザ素子であって、レーザ光を出射する光出射面を有する、半導体レーザ素子と、前記レーザ光が入射する光入射面、および前記光入射面から側方に広がる接合面を有するレンズ部材と、前記レンズ部材と前記サブマウントとを接続し、前記レンズ部材の前記光入射面を前記半導体レーザ素子の前記光出射面に対向させる支持部材と、前記レンズ部材の前記接合面と前記支持部材とを接合する無機接合層と、を備え、前記レンズ部材は、前記光入射面と前記接合面との間に、前記光入射面および前記接合面の各々に交差する方向に広がる面を有する。
【0006】
本開示のレーザ光源の製造方法は、ある実施形態において、レーザ光を出射する半導体レーザ素子、およびレンズ支持部材が接続されるサブマウントを用意する工程と、前記レーザ光が入射する光入射面、および前記光入射面から側方に広がる接合面を有するレンズ部材であって、前記光入射面と前記接合面との間に、前記光入射面および前記接合面の各々に交差する方向に広がる面を有するレンズ部材を用意する工程と、前記レンズ部材の前記接合面と、前記レンズ支持部材が前記レンズ部材を支持する面とを、有機バインダおよび前記有機バインダ中に分散する複数の金属粒子を有する金属ペーストを介して互いに接触させる工程と、加熱用のレーザ光で前記レンズ支持部材を照射して前記金属ペーストを加熱することにより、前記複数の金属粒子を焼結して前記レンズ部材と前記レンズ支持部材とを互いに接合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レンズ部材の固定に用いられる接合材の、レンズ部材の光入射面への付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本開示の例示的な実施形態1によるレーザ光源の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示の他の例示的な実施形態1によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aに示すレーザ光源からパッケージ、リード端子、および内部のワイヤを省略した構成のより詳細を示す分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態1における支持部材およびレンズ部材の接合方法を説明するための上面図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態1における支持部材およびレンズ部材の接合方法を説明するための側面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態1によるレーザ光源の変形例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の例示的な実施形態2によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態2によるレーザ光源の変形例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の例示的な実施形態3によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の例示的な実施形態4によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態4における支持部材およびレンズ部材の接合方法を説明するための上面図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示的な実施形態5によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の例示的な実施形態6によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の例示的な実施形態7によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の例示的な実施形態8によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態によるレーザ光源およびその製造方法の詳細を説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を示す。
【0010】
さらに以下は、本発明の技術思想を具体化するために例示しているのであって、本発明を以下に限定しない。また、構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置などの記載は、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさや位置関係などは、理解を容易にするなどのために誇張している場合がある。
本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当する構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。 図面では、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。本明細書において、X軸の矢印の方向を+X方向と称し、その反対の方向を-X方向と称する。±X方向を区別しない場合、単にX方向と称する。Y方向およびZ方向についても同様である。また、説明のわかりやすさのため、本明細書または特許請求の範囲では、+Y方向を「上方」、-Y方向を「下方」、+Z方向を「前方」、-Z方向を「後方」とも表現する。参照した図面における相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0011】
(実施形態1)
[レーザ光源]
まず、
図1Aから
図2Bを参照して、本開示の実施形態1によるレーザ光源の例を説明する。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態1によるレーザ光源の構成を模式的に示す斜視図である。
図1Aに示すレーザ光源100-1は、外観に表れない半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子を収容するパッケージ50と、半導体レーザ素子に電力を供給する2つのリード端子60とを備える。パッケージ50は、蓋体50Lと、基体50bと、透光窓50wとを備える。半導体レーザ素子は、レーザ光を出射する光出射面を有する。当該光出射面から出射されるレーザ光は、透光窓50wからパッケージ50の外部に取り出される。パッケージ50は、半導体レーザ素子を封止する。この封止は気密封止であることが好ましい。気密封止による効果は、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の波長が短くなるほど高くなる。気密封止されず、半導体レーザ素子の光出射面が外気に接している構成では、レーザ光の波長が短くなるほど、集塵によって動作中に光出射面の劣化が進行していく可能性が高くなるからである。
【0012】
図1Bは、
図1Aに示すレーザ光源100-1の内部の平面構成を模式的に示す図である。
図1Bにおいて、
図1Aに示すパッケージ50のうち、蓋体50Lが省略されている。基体50bは、底板50b1と、底板50b1に設けられたステージ50b2と、ステージ50b2を囲む側壁50b3を含む。レーザ光源100-1は、基体50bの内部に、ステージ50b2によって支持されるサブマウント10と、サブマウント10によって支持される半導体レーザ素子20および支持部材30Aと、支持部材30Aによって支持されるレンズ部材40Aとを備える。半導体レーザ素子20は、レンズ部材40Aに向けてレーザ光を出射する。本明細書において、サブマウント、半導体レーザ素子、支持部材、およびレンズ部材を少なくとも備える構成を「レーザ光源」と称する。また、支持部材を「レンズ支持部材」とも称する。
【0013】
レーザ光源100-1は、さらに、基体50bの内部に複数のワイヤ60wを備える。複数のワイヤ60wのうち、一部のワイヤ60wは、サブマウント10を介して半導体レーザ素子20に電気的に接続されており、かつ一方のリード端子60に電気的に接続されている。残りのワイヤ60wは、直接半導体レーザ素子20に電気的に接続されており、かつ他方のリード端子60に電気的に接続されている。複数のワイヤ60wは、2つのリード端子60から半導体レーザ素子20に電力を供給するために用いられる。2つのリード端子60は、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の出射タイミングおよび出力を調整する外部回路に電気的に接続されている。
【0014】
図1Aおよび
図1Bに示すレーザ光源100-1とは別に、以下のレーザ光源を用いてもよい。
図1Cは、本開示の他の例示的な実施形態1によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図1Cに示すレーザ光源100-2は、サブマウント10と、半導体レーザ素子20と、支持部材30Aと、レンズ部材40Aと、2本のワイヤ60wと、第1基板70aと、第2基板70bと、枠体80とを備える。
図1Cでは、第1基板70a、第2基板70b、および枠体80は互いに分離された状態で示されているが、枠体80は、第1基板70aおよび第2基板70bに接合されている。
【0015】
第1基板70aは、XZ平面に対して平行である上面70as1および下面70as2を有し、上面70as1はサブマウント10を支持する。第1基板70aは、2つの配線72を内部に備える。配線72の一部は上面70as1に露出しており、他の一部は下面70as2に露出している。2つのワイヤ60wのうち、一方のワイヤ60wは、サブマウント10を介して半導体レーザ素子20に電気的に接続されており、かつ一方の配線72に電気的に接続されている。他方のワイヤ60wは、直接半導体レーザ素子20に電気的に接続されており、かつ他方の配線72に電気的に接続されている。2つの配線72は、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の出射タイミングおよび出力を調整する外部回路に電気的に接続されている。
【0016】
第2基板70bは、XZ平面に対して平行である上面70bs1および下面70bs2を有し、第2基板70bの下面70bs2は第1基板70aの上面70as1に対向している。第2基板70bは蓋体である。
【0017】
枠体80は、第1基板70aと第2基板70bとによって挟まれており、サブマウント10、半導体レーザ素子20、支持部材30A、レンズ部材40A、および2本のワイヤ60wを囲む。枠体80は、XZ平面に対して平行である上面80s1および下面80s2を有し、枠体80の上面80s1は第2基板70bの下面70bs2の周縁領域に接合されており、枠体80の下面80s2は第1基板70aの上面70as1の周縁領域に接合されている。
【0018】
枠体80は、レンズ部材40Aに対向する透光部80aを有する。半導体レーザ素子20からレンズ部材40Aを介して出射されるレーザ光は、透光部80aから外側に取り出される。
図1Cに示す例において、枠体80のうち、透光部80a以外の部分は、透光部80aと同じ材料から形成されている。透光部80a以外の部分は、透光部80aとは異なる材料から形成されていてもよく、透光性を有していなくてもよい。
【0019】
第1基板70a、第2基板70b、および枠体80は、半導体レーザ素子20を封止する。前述したように、この封止は気密封止であることが好ましい。
【0020】
図2Aは、
図1Aに示すレーザ光源100-1からパッケージ50、リード端子60、および内部のワイヤ60wを省略した構成のより詳細を示す分解斜視図である。当該構成は、
図1Cに示すレーザ光源100-2から第1基板70a、第2基板70b、ワイヤ60w、および枠体80を省略した構成でもある。
図2Aに示す破線によって囲まれた領域には、後方(-Z方向)から見たレンズ部材40Aが示されている。
図2Aに示すレーザ光源100Aは、サブマウント10と、半導体レーザ素子20と、支持部材30Aと、無機接合層32と、レンズ部材40Aとを備える。
図2Aでは、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aが互いに分離された状態で示されているが、実際には、両者は互いに接合されている。
図2Bは、
図2Aに示すレーザ光源100Aの上面図である。
図2Bに示す破線は、支持部材30Aの上面よりも下方に位置する構成を表す。
【0021】
レーザ光源100Aにおいて、レンズ部材40Aは、光入射面が後方(-Z方向)に突出した形状を有する。支持部材30Aは、レンズ部材40Aの形状に合わせて、レンズ部材40Aの光入射面に対向する面が後方(-Z方向)に後退した形状を有する。後で詳しく説明するが、レンズ部材40Aの後方(-Z方向)に突出した形状により、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合において、レンズ部材40Aの固定に用いられる無機接合材がレンズ部材40Aの光入射面および半導体レーザ素子20の光出射面に付着することを抑制できる。
【0022】
以下に、各構成要素を説明する。各構成要素の材料および寸法などの詳細は後述する。
【0023】
サブマウント10は、
図2Aに示すように、XZ平面に対して平行である上面10s1および下面10s2を有する。サブマウント10は、さらに、上面10s1および下面10s2を繋ぐ前方端面10s3を有する。
図2Aに示す例において、サブマウント10は直方体の形状を有するが、任意の平板形状を有していてもよい。上面10s1の法線方向は+Y方向である。
【0024】
半導体レーザ素子20は、
図2Aに示すように、サブマウント10の上面10s1に固定されている。
図2Aおよび
図2Bに示す例において、半導体レーザ素子20は、Z方向に延びる直方体の形状を有する。半導体レーザ素子20は、Z方向に交差する2つの端面を有する。当該2つの端面のうち、レンズ部材40Aの側に位置する前方端面が、レーザ光を出射する光出射面20eである。光出射面20eはX方向に沿って延びる矩形形状を有する。
【0025】
半導体レーザ素子20は、光出射面20eからレーザ光を+Z方向に出射する。当該レーザ光の光軸方向は+Z方向である。当該レーザ光は、+Z方向に進行するにつれて、YZ平面において相対的に速く広がり、XZ平面において相対的に遅く広がる。その結果、当該レーザ光は、光出射面20eに対して平行な面において、楕円形状のファーフィールドパターンを形成する。楕円の長軸はY方向に対して平行であり、短軸はX方向に対して平行である。ファーフィールドパターンとは、光出射面20eから離れた位置における光強度分布である。当該光強度分布において、レーザ光の強度がそのピーク強度の1/e2以上である部分をレーザ光の主要部分とする。eは自然対数の底である。
【0026】
支持部材30Aは、
図2Aに示すように、サブマウント10の上面10s1に固定されている。支持部材30Aは、レンズ部材40Aとサブマウント10とを接続する。支持部材30Aは、2つの支持部分30a1と、2つの支持部分30a1を連結する連結部分30a2とを有する。半導体レーザ素子20は2つの支持部分30a1の間に位置する。
図2Aに示す一点鎖線は、2つの支持部分30a1の各々と、連結部分30a2との境界を表す。支持部材30Aのうち、連結部分30a2は、半導体レーザ素子20を跨ぐ形状を有するが、2つの支持部分30a1の上部を連結する直方体の形状を有していてもよい。支持部材30Aは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の進行を妨げない。
【0027】
支持部材30Aは、2つの支持部分30a1の各々において第1前方端面30as1を有し、連結部分30a2において第2前方端面30as2を有する。第1前方端面30as1は、レンズ部材40Aを支持する面である。支持部材30Aは、2つの第1前方端面30as1によってレンズ部材40Aを支持してもよいし、一方の第1前方端面30as1によってレンズ部材40Aを支持してもよい。第1前方端面30as1および第2前方端面30as2の各々は、例えば平面であり得る。これら2つの面は、例えば互いに平行であり得る。第1前方端面30as1が平面である場合、レンズ部材40Aを安定的に支持できる。
【0028】
本明細書において、平面とは、平面度が0.01mm以下であることを意味する。平面度は、例えばJIS 0621-1984によると、平面形体の幾何学的に正しい平面(以下、「幾何学的平面」)からの狂いの大きさであると定義されている。平面度は、互いに厳密に平行である2つの幾何学的平面によって対象物を挟んだ場合に当該2つの幾何学的平面の間に生じる隙間の寸法である。平面度は、例えば3次元測定機によって測定できる。本明細書において、2つの平面が互いに平行であるとは、2つの平面が厳密に平行である場合だけでなく、2つの平面のなす角度の絶対値が0.5°以下である場合も意味する。
【0029】
支持部材30Aは、レンズ部材40Aの形状に合わせて、第2前方端面30as2が第1前方端面30as1よりも後方(-Z方向)に後退した形状を有する。支持部材30Aは、そのような形状に起因して2つの段差部30as3を有する。2つの段差部30as3の各々は、2つの第1前方端面30as1の一方と第2前方端面30as2との間に位置し、2つの第1前方端面30as1の一方と第2前方端面30as2とを繋ぐ。段差部30as3は、例えば平面であり得る。段差部30as3の高さ(Z方向における寸法)は、例えば10μm以上1mm以下であり得る。
【0030】
本明細書において、基準となる面から突出した突出面および後退した後退面を繋ぐ面を「段差部」と称する。突出面および後退面は同一平面上に位置しない。段差部は、突出面および後退面を有する構造の表面の一部であり、突出面および後退面の間に位置する。
【0031】
段差部の高さは、突出面と後退面との間に形成される段差の大きさである。段差面が後退面に対して垂直でない場合、段差面の高さは、後退面に対して垂直な平面に段差面を射影した仮想的な平面の、後退面の法線方向における寸法によって規定される。当該垂直な平面および当該法線方向は、後退面および段差部が互いに接触する線上に位置する。
【0032】
支持部材30Aは、2つの第1前方端面30as1の各々に設けられる金属膜30mを備える。
図2Aに示す金属膜30mは、濃いハッチングによって表されている。金属膜30mは、レンズ部材40Aを支持部材30Aに無機接合材で接合する際に、接合強度を向上させる。
【0033】
無機接合層32は、
図2Aに示すように、支持部材30Aとレンズ部材40Aとの間に位置する。
図2Aに示す無機接合層32は、薄いハッチングによって表されている。無機接合層32は、レンズ部材40Aの接合面40as3と支持部材30Aの第1前方端面30as1とを接合する。無機接合層32は、支持部材30Aとレンズ部材40Aとを接合する無機接合材を加熱することによって形成される。無機接合材は、例えば焼結材であり得る。焼結では、金属の粒体または金属の粉体を当該金属の融点よりも低い温度で加熱して焼き固めることにより、部材同士が接合される。
【0034】
無機接合材として、例えば金属ペーストを用いてもよい。金属ペーストは、有機バインダとその中に分散する複数の金属粒子とを有する。金属ペーストは流動性を有するので、金属ペースト中の複数の金属粒子を加熱によって焼結して支持部材30Aとレンズ部材40Aとを接合する際に、後述するように、レンズ部材40Aの光軸調整を行うことができる。金属ペースト中の有機バインダは加熱中に揮発し、残りの焼結された複数の金属粒子から無機接合層32が形成される。
図2Aに示す例において、無機接合層32の形状を簡単のために矩形としているが、焼結後の無機接合層32の形状は矩形である必要はなく、楕円のように任意の形状であってもよい。
【0035】
無機接合層32には以下の利点がある。
図1Aに示すパッケージ50によってレーザ光源100Aを気密封止しても、パッケージ50の内部に有機ガスが存在すると、有機ガスによる集塵が原因で半導体レーザ素子20の光出射面20eが劣化する可能性がある。無機接合層32は有機ガスを発生させないので、半導体レーザ素子20の光出射面20eのそのような劣化を抑制できる。
【0036】
レンズ部材40Aは、レーザ光が入射する光入射面40as1と、当該レーザ光を出射する光出射面40as2とを有する。レンズ部材40Aは、さらに、光入射面40as1から側方に広がる2つの接合面40as3を有する。光入射面40as1および接合面40as3の各々は、例えば平面であり得る。光入射面40as1が平面である場合、入射するレーザ光の散乱を抑制できる。接合面40as3が平面である場合、支持部材30Aの第1前方端面30as1が平面であればこれら2つの面を互いに平行に配置でき、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合においてレンズ部材40Aの光軸調整が容易になる。さらに、レンズ部材40Aの光入射面40as1および接合面40as3は、例えば互いに平行であり得る。これら2つの面が互いに平行である場合も、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合においてレンズ部材40Aの光軸調整が容易になる。
【0037】
レンズ部材40Aは、
図2Aに示すように、光入射面40as1が接合面40as3よりも後方(-Z方向)に突出した形状を有する。レンズ部材40Aは、そのような形状に起因して2つの段差部40as4を有する。2つの段差部40as4の各々は、光入射面40as1と2つの接合面40as3の一方との間に位置し、光入射面40as1と2つの接合面40as3の一方とを繋ぐ。段差部40as4は、例えば平面であり得る。
【0038】
図2Aに示す例において、段差部40as4は、光入射面40as1および接合面40as3の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面40as1および接合面40as3の各々に交差する方向に広がる面であればよい。段差部40as4と、光入射面40as1および接合面40as3の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。段差部40as4の高さ(Z方向)は、例えば10μm以上1mm以下であり得る。
【0039】
レンズ部材40Aは、YZ平面において曲率を有し、曲率がX方向に沿って一様であるコリメート部を有する。レンズ部材40Aは、当該コリメート部において光入射面40as1を有する。支持部材30Aは、レンズ部材40Aを固定してレンズ部材40Aの光入射面40as1を半導体レーザ素子20の光出射面20eに対向させる。レンズ部材40Aは、後方(-Z方向)の光軸上に焦点を有する。半導体レーザ素子20の光出射面20eの発光点の中心は、レンズ部材40Aの焦点にほぼ一致する。したがって、レンズ部材40Aは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光をYZ平面においてコリメートして光出射面40as2から前方(+Z方向)に向けて出射する。レンズ部材40Aの光軸は、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の光軸にほぼ一致する。本明細書において、「コリメートする」とは、レーザ光を平行光にすることだけではなく、レーザ光の広がり角を低減することも意味する。
【0040】
なお、用途によっては、レンズ部材40AはYZ平面およびXZ平面において曲率を有し、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光をYZ平面およびXZ平面においてコリメートしてもよい。あるいは、レンズ部材40Aは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光を集光してもよい。
【0041】
レンズ部材40Aは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光に対して60%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の透過率を有する。レンズ部材40Aは、例えば透光性材料から形成され得る。具体的な透光性材料については後述する。レンズ部材40Aは、2つの接合面40as3の各々に設けられる金属膜40mを備える。
図2Aに示す金属膜40mは、濃いハッチングによって表されている。金属膜40mは、金属膜30mと同様に、レンズ部材40Aを支持部材30Aに無機接合材で接合する際に、接合強度を向上させる。
【0042】
レーザ光源100Aでは、支持部材30Aがレンズ部材40Aを支持するので、半導体レーザ素子20の光出射面20eと、レンズ部材40Aの光入射面40as1との距離が短くなる。したがって、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光が大きく広がる前に、レンズ部材40Aによってその広がりを低減することができ、小型のレーザ光源100Aを実現することが可能になる。
【0043】
半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の光軸方向から見て、すなわち前方(+Z方向)から見て、レンズ部材40Aの重心は、X方向において、支持部材30Aの2つの第1前方端面30as1の間に位置し、2つの第1前方端面30as1には重ならない。前方から見て、レンズ部材40Aの重心は、さらに、Y方向において、第1前方端面30as1の上辺および下辺のうち、下辺と同じ位置またはそれよりも高い位置にあり、上辺よりも低い位置にある。レンズ部材40Aの重心を上記の位置とすることにより、支持部材30Aはレンズ部材40Aを安定的に支持することができる。
【0044】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
次に、サブマウント10、半導体レーザ素子20、支持部材30A、およびレンズ部材40Aの相対的な位置関係の詳細を説明する。
【0045】
半導体レーザ素子20と支持部材30Aとの位置関係は以下の通りである。
図2Aに示す例において、半導体レーザ素子20の前方部分は、支持部材30Aの2つの支持部分30a1の間に位置するが、中央部分および後方部分は2つの支持部分30a1の間に位置していない。そのような配置の他に、半導体レーザ素子20の前方部分および中央部分が2つの支持部分30a1の間に位置し、後方部分が2つの支持部分30a1の間に位置していなくてもよい。あるいは、半導体レーザ素子20の前方部分、中央部分、および後方部分が2つの支持部分30a1の間に位置していてもよい。半導体レーザ素子20の前方部分および後方部分とは、それぞれ、前方端面および後方端面から半導体レーザ素子20の全長の1/4以内の部分であり、中央部分とは前方部分と後方部分との間に位置する部分である。
【0046】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図2Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置する。レンズ部材40Aの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置していてもよいし、後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0047】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、支持部材30Aの面との位置関係は以下の通りである。
図2Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Aの第1前方端面30as1よりも後方(-Z方向)に位置する。半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Aの第2前方端面30as2と同じ平面上に位置する。レンズ部材40Aの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Aの第2前方端面30as2よりも前方に位置していてもよいし、後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0048】
支持部材30Aの面と、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図2Aに示す例において、支持部材30Aの第1前方端面30as1は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置し、支持部材30Aの第2前方端面30as2は、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置する。第2前方端面30as2は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置していてもよいし、後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0049】
レンズ部材40Aの面と、支持部材30Aの面との位置関係は以下の通りである。
図2Bに示す例において、レンズ部材40Aの光入射面40as1は、支持部材30Aの第1前方端面30as1よりも後方(-Z方向)に位置する。レンズ部材40Aの光入射面40as1は、支持部材30Aの第2前方端面30as2に対向する。レンズ部材40Aの接合面40as3は、支持部材30Aの第1前方端面30as1に対向する。レンズ部材40Aの段差部40as4は、支持部材30Aの段差部30as3に対向する。
【0050】
[支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合]
次に、
図3Aおよび
図3Bを参照して、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合方法を説明する。
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ、実施形態1における支持部材30Aおよびレンズ部材40Aの接合方法を説明するための上面図および側面図である。
図3Aおよび
図3Bに示す2点鎖線によって囲まれた領域は、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光20Lの主要部分を表す。
図3Aおよび
図3Bに示す例では、支持部材30Aとレンズ部材40Aとを接合する無機接合材として、金属ペースト32aが用いられている。
【0051】
最初の工程において、半導体レーザ素子20および支持部材30Aが接続されたサブマウント10、ならびにレンズ部材40Aが用意される。次の工程において、用意したサブマウント10およびレンズ部材40Aが、
図3Aに示すように、レンズ部材40Aの接合面40as3と、支持部材30Aの第1前方端面30as1とを、金属ペースト32aを介して互いに接触させるように配置される(接触工程)。金属ペースト32aは、そのような配置の前に、レンズ部材40Aの接合面40as3および/または支持部材30Aの第1前方端面30as1に塗布される。次の工程において、
図3Aに示すように、支持部材30Aを加熱用のレーザ光で照射することにより、金属ペースト32aが加熱される。
図3Aに示す白抜きの矢印は、加熱用のレーザ光の照射方向を表す。支持部材30Aは、2つの支持部分30a1の各々において、加熱用のレーザ光で照射される外側面30as4を有する。支持部材30Aの外側面30as4が加熱用のレーザ光で照射された結果、支持部材30Aの2つの支持部分30a1から金属ペースト32aに熱が伝わり、金属ペースト32a中の複数の金属粒子を焼結して支持部材30Aとレンズ部材40Aとを互いに接合することができる(接合工程)。金属ペースト32a中の有機バインダは加熱中に揮発する。有機バインダが揮発しきれずに残った場合には、
図3Aに示す中間生成物をオーブンによって加熱することにより、残った有機バインダを完全に揮発させてもよい。
【0052】
加熱用のレーザ光のパワー密度は、例えば10kW/cm2以上10000kW/cm2以下であり得る。レーザ光の照射時間は、例えば1ms以上50ms以下であり得る。加熱用のレーザ光の波長に特に制限はない。加熱用のレーザ光として、例えば紫外光、青色光、緑色光、赤色光、または赤外光を用いることができる。加熱用のレーザ光が赤外光である場合、加熱用のレーザ光の波長は、例えば0.9μm以上1.2μm以下であり得る。そのような波長のレーザ光を出射する光源は、例えばYAGレーザ光源であり得る。
【0053】
支持部材30Aの外側面30as4の反射率が高い場合には、加熱用のレーザ光を垂直方向ではなく、傾斜させて照射してもよい。そのような照射により、反射光が加熱用のレーザ光源に戻ることを抑制し、加熱用のレーザ光源を保護することができる。
【0054】
上記の接触工程と接合工程との間に、以下の工程があってもよい。当該工程において、半導体レーザ素子20にレーザ光を出射させた状態で、レンズ部材40Aの位置を微調整することにより、レーザ光20Lをコリメートするためのレンズ部材40Aの光軸調整が行われる。金属ペースト32aは流動性を有するので、そのような光軸調整が可能になる。光軸調整において、レーザ光20Lがコリメートされているか否かは、レンズ部材40Aの光出射面40as2から出射されるレーザ光20Lの広がり角を計測することによって調べることができる。
【0055】
ただし、金属ペースト32aを加熱すると、金属ペースト32aが焼結によって収縮することにより、レンズ部材40Aの位置がシフトする。レンズ部材40Aの光軸調整は、そのようなレンズ部材40Aの位置のシフト量を考慮して行われる。当該シフト量は、例えば0.1μm以上3μm以下であり得る。
【0056】
サブマウント10およびレンズ部材40Aを、金属ペースト32aを加熱して互いに接合する工程では、光軸調整が行われた状態で保持されたレンズ部材40Aおよび支持部材30Aが、
図3Aに示す太線の矢印によって表されるように、互いに反対の方向から加圧される。この加圧により、レンズ部材40Aおよび支持部材30Aの接合強度を向上させることができる。
【0057】
以上のようにして、
図3Bに示すように、レーザ光20Lを正確にコリメートすることができる位置にレンズ部材40Aを取り付けることができる。
【0058】
レンズ部材40Aの突出した部分と、支持部材30Aの後退した部分との間に隙間があることは、レンズ部材40Aの光軸調整に役立つ。
図3Aに示す例において、レンズ部材40Aの段差部40as4と、支持部材30Aの段差部30as3との間、およびレンズ部材40Aの光入射面40as1と、支持部材30Aの第2前方端面30as2との間に隙間がある。したがって、レンズ部材40AをX方向および/またはZ方向に少しシフトさせたり、Y軸を回転軸としてレンズ部材40Aを少し回転させたりしてレンズ部材40Aの位置を微調整することができる。
【0059】
そのような微調整が可能な上記の隙間の範囲は以下の通りである。レンズ部材40Aにおける段差部40as4と、支持部材30Aにおける段差部30as3との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。レンズ部材40Aにおける光入射面40as1と、支持部材30Aにおける第2前方端面30as2との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。
【0060】
[レンズ部材40Aの後方(-Z方向)に突出する形状によって得られる効果]
次に、レンズ部材40Aの後方(-Z方向)に突出する形状によって得られる効果を説明する。金属ペースト32aが加熱されると、有機バインダが突沸し、金属粒子を含む有機バインダの塊である金属ペースト32aの一部が空中に飛散したり、レンズ部材40Aの接合面40as3に沿って飛散したりすることがある。
【0061】
実施形態1とは異なり、レンズ部材40Aの光入射面40as1および接合面40as3が互いに繋がり、かつ同一平面上に位置する構成では、飛散した金属ペースト32aの一部がレンズ部材40Aの光入射面40as1に付着する可能性がある。その結果、駆動時に、付着した金属ペースト32a中の金属粒子がレーザ光20Lを吸収して加熱され、レンズ部材40Aが損傷する可能性がある。さらに、付着した金属ペースト32a中の金属粒子によってレーザ光20Lが反射されて戻り光が生じ、当該戻り光によって半導体レーザ素子20が損傷する可能性がある。さらに、付着した金属ペースト32a中の金属粒子によってレーザ光20Lの一部の進行が妨げられて、レンズ部材40Aの光出射面40as2から出射されるレーザ光20Lの形状が歪む可能性がある。
【0062】
これに対して、実施形態1では、レンズ部材40Aの光入射面40as1および接合面40as3が同一平面上には位置しておらず、光入射面40as1と接合面40as3との間には段差部40as4がある。したがって、加熱によって有機バインダが突沸して金属ペースト32aの一部が飛散しても、段差部40as4が障壁になり、金属ペースト32aの一部が光入射面40as1に付着することを抑制できる。その結果、レンズ部材40Aが加熱されて損傷したり、半導体レーザ素子20が戻り光によって損傷したり、レーザ光20Lの形状が歪んだりする可能性を低減することが可能になる。
【0063】
金属ペースト32aの一部は、レンズ部材40Aの光入射面40as1だけでなく、半導体レーザ素子20の光出射面20eにも付着しない方がよい。金属ペースト32aの一部が半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着すると、半導体レーザ素子20からのレーザ光20Lの出射が妨げられたり、レーザ光20Lの形状が歪んだりする可能性があるからである。レンズ部材40Aの段差部40as4は、金属ペースト32aの一部が半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することも抑制できる。
【0064】
レンズ部材40Aの段差部40as4の高さが小さすぎると、金属ペースト32aの一部が段差部40as4を越えてレンズ部材40Aの光入射面40as1および/または半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着する可能性がある。段差部40as4の高さが前述の数値範囲であれば、金属ペースト32aの一部のそのような付着を効果的に抑制できる。
【0065】
レンズ部材40Aの段差部40as4と、支持部材30Aの段差部30as3との間の隙間が小さすぎると、金属ペースト32aの一部が段差部40as4を越えてレンズ部材40Aの光入射面40as1および/または半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着する可能性がある。レンズ部材40Aの段差部40as4と、支持部材30Aの段差部30as3との間の隙間が前述の数値範囲であれば、金属ペースト32aの一部のそのような付着を効果的に抑制できる。
【0066】
以上のことから、実施形態1によれば、レンズ部材40Aの光入射面40as1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペースト32aが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100Aを実現できる。「金属ペースト32aがほとんど付着していない」とは、上記のような不都合が生じない程度に金属ペースト32aが付着していることを意味する。
【0067】
(実施形態1の変形例)
次に、
図4Aおよび
図4Bを参照して、実施形態1によるレーザ光源100Aの変形例を説明する。
図4Aは、実施形態1によるレーザ光源の変形例を模式的に示す分解斜視図である。
図4Bは、
図4Aに示すレーザ光源の上面図である。
図4Aに示すレーザ光源110Aが
図2Aに示すレーザ光源100Aとは異なる点は、支持部材31Aおよびレンズ部材41Aの形状である。以下では、レーザ光源110Aとレーザ光源100Aとの相違点を中心に説明する。
【0068】
支持部材31Aは、2つの支持部分31a1と、2つの支持部分31a1を連結する連結部分31a2とを有する。半導体レーザ素子20は、2つの支持部分31a1の間に位置する。支持部材31Aは、2つの支持部分31a1の各々において第1前方端面31as1を有し、連結部分31a2において第2前方端面31as2を有する。第1前方端面31as1は、レンズ部材41Aを支持する面である。支持部材31Aは、2つの第1前方端面31as1によってレンズ部材41Aを支持してもよいし、一方の第1前方端面31as1によってレンズ部材41Aを支持してもよい。第1前方端面31as1および第2前方端面31as2は、XY平面に対して平行な同一平面上に位置する。支持部材31AはZ方向において一様な断面形状を有するので、
図2Aに示す支持部材30Aよりも作製が容易である。
【0069】
レンズ部材41Aは、光入射面41as1と、光出射面41as2とを有する。レンズ部材41Aは、さらに、光入射面41as1から側方に広がる2つの接合面41as3と、2つの接合面41as3の上部を繋ぐ面41as4とを有する。光入射面41as1、接合面41as3、および面41as4の各々は、例えば平面であり得る。これらの面は、例えば互いに平行であり得る。
【0070】
レンズ部材41Aは、光入射面41as1が接合面41as3および面41as4よりも後方(-Z方向)に突出した形状を有する。レンズ部材41Aは、そのような形状に起因して、2つの段差部41as5と、段差部41as6とを有する。2つの段差部41as5の各々は、光入射面41as1と2つの接合面41as3の一方との間に位置し、光入射面41as1と2つの接合面41as3の一方とを繋ぐ。段差部41as6は、光入射面41as1と面41as4との間に位置し、光入射面41as1と面41as4とを繋ぐ。段差部41as5および段差部41as6の各々は、例えば平面であり得る。
【0071】
図4Aに示す例において、段差部41as5は、光入射面41as1および接合面41as3の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面41as1および接合面41as3の各々に交差する方向に広がる面であればよい。段差部41as5と、光入射面41as1および接合面41as3の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。同様に、
図4Aに示す例において、段差部41as6は、光入射面41as1および面41as4の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面41as1および面41as4の各々に交差する方向に広がる面であればよい。段差部41as6と、光入射面41as1および面41as4の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。段差部41as5および段差部41as6の各々の高さは、例えば10μm以上1mm以下であり得る。
【0072】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、支持部材31Aの面との位置関係は以下の通りである。
図4Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2よりも後方(-Z方向)に位置する。
【0073】
支持部材31Aの面と、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図4Aに示す例において、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置する。
【0074】
レンズ部材41Aの面と、支持部材31Aの面との位置関係は以下の通りである。
図4Bに示す例において、レンズ部材41Aの光入射面41as1は、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2よりも後方(-Z方向)に位置する。レンズ部材41Aの光入射面41as1は、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2には対向しない。レンズ部材41Aの面41as4は、支持部材31Aの第2前方端面31as2に対向する。レンズ部材41Aの接合面41as3は、支持部材31Aの第1前方端面31as1に対向する。
【0075】
[支持部材31Aおよびレンズ部材41Aの接合]
支持部材31Aおよびレンズ部材41Aの接合において、レンズ部材41Aの段差部41as5が障壁になり、飛散した金属ペーストの一部がレンズ部材41Aの光入射面41as1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することを抑制できる。
【0076】
以上のことから、実施形態1の変形例においても、レンズ部材41Aの光入射面41as1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源110Aを実現できる。
【0077】
(実施形態2)
次に、
図5Aおよび
図5Bを参照して、実施形態2によるレーザ光源の構成例を説明する。
図5Aは、本開示の例示的な実施形態2によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示すレーザ光源の上面図である。
図5Aに示すレーザ光源100Bが
図2Aに示すレーザ光源100Aとは異なる点は、支持部材30Bおよびレンズ部材40Bの形状、ならびに半導体レーザ素子20が配置される位置である。以下では、レーザ光源100Bとレーザ光源100Aとの相違点を中心に説明する。
【0078】
支持部材30Bは、2つの支持部分30b1と、2つの支持部分30b1を連結する連結部分30b2とを有する。半導体レーザ素子20は、2つの支持部分30b1の間に位置する。支持部材30Bは、2つの支持部分30b1の各々において第1前方端面30bs1を有し、連結部分30b2において第2前方端面30bs2を有する。第1前方端面30bs1は、レンズ部材40Bを支持する面である。支持部材30Bは、2つの第1前方端面30bs1によってレンズ部材40Bを支持してもよいし、一方の第1前方端面30bs1によってレンズ部材40Bを支持してもよい。第1前方端面30bs1および第2前方端面30bs2の各々は、例えば平面であり得る。これら2つの面は、例えば互いに平行であり得る。第1前方端面30bs1が平面である場合、レンズ部材40Bを安定的に支持できる。
【0079】
支持部材30Bは、第2前方端面30bs2が第1前方端面30bs1よりも前方(+Z方向)に突出した形状を有する。支持部材30Bは、そのような形状に起因して2つの段差部30bs3を有する。2つの段差部30bs3の各々は、2つの第1前方端面30bs1の一方と第2前方端面30bs2との間に位置し、2つの第1前方端面30bs1の一方と第2前方端面30bs2とを繋ぐ。段差面30bs3は、例えば平面であり得る。段差面30bs3の高さは、例えば10μm以上1mm以下であり得る。
【0080】
レンズ部材40Bは、光入射面40bs1と、光出射面40bs2と、光入射面40bs1から側方に広がる2つの接合面40bs3とを有する。レンズ部材40Bは、光入射面40bs1が接合面40bs3よりも前方(+Z方向)に後退した形状を有する。レンズ部材40Bの前方(+Z方向)に後退した形状により、支持部材30Bの前方(+Z方向)に突出した形状が可能になる。レンズ部材40Bは、そのような形状に起因して2つの段差部40bs4を有する。2つの段差部40bs4の各々は、光入射面40bs1と、2つの接合面40bs3の一方との間に位置し、光入射面40bs1と2つの接合面40bs3の一方とを繋ぐ。段差部40bs4は、例えば平面であり得る。
【0081】
図5Aに示す例において、段差部40bs4は、光入射面40bs1および接合面40bs3の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面40bs1および接合面40bs3の各々に交差する方向に広がる面であればよい。段差部40bs4と、光入射面40bs1および接合面40bs3の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。段差部40bs4の高さは、例えば10μm以上1mm以下であり得る。
【0082】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図5Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置する。レンズ部材40Bの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置していてもよいし、前方端面10s3よりも後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0083】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、支持部材30Bの面との位置関係は以下の通りである。
図5Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Bの第1前方端面30bs1よりも前方(+Z方向)に位置し、第2前方端面30bs2よりも後方(-Z方向)に位置する。レンズ部材40Bの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Bの第1前方端面30bs1と同じ平面上に位置していてもよいし、第1前方端面30bs1よりも後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0084】
支持部材30Bの面と、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図5Aに示す例において、支持部材30Bの第1前方端面30bs1はサブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置し、支持部材30Bの第2前方端面30bs2は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置する。第1前方端面30bs1は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置していてもよいし、レンズ部材40Bを接合可能であれば後方(-Z方向)に位置していてもよい。第1前方端面30bs1がサブマウント10の前方端面10s3よりも後方(-Z方向)に位置する場合、第1前方端面30bsとサブマウント10の前方端面10s3とのZ方向における距離は、金属膜30mの厚さおよび無機接合層32の厚さの合計以下である。
【0085】
レンズ部材40Bの面と、支持部材30Bの面との位置関係は以下の通りである。
図5Bに示す例において、レンズ部材40Bの光入射面40bs1は、支持部材30Bの第1前方端面30bs1よりも前方(+Z方向)に位置する。レンズ部材40Bの光入射面40bs1は、支持部材30Bの第2前方端面30bs2に対向する。レンズ部材40Bの接合面40bs3は、支持部材30Bの第1前方端面30bs1に対向する。レンズ部材40Bにおける段差部40bs4は、支持部材30Bにおける段差部30bs3に対向する。
【0086】
[支持部材30Bおよびレンズ部材40Bの接合]
支持部材30Bおよびレンズ部材40Bの接合において、レンズ部材40Bの後退した部分と、支持部材30Bの突出した部分との間に隙間があることは、レンズ部材40Bの光軸調整に役立つ。
図5Bに示す例において、レンズ部材40Bの光入射面40bs1と、支持部材30Bの第2前方端面30bs2との間、およびレンズ部材40Bの段差部40bs4と、支持部材30Bの段差部30bs3との間に隙間がある。したがって、レンズ部材40BをX方向および/またはZ方向に少しシフトさせたり、Y軸を回転軸としてレンズ部材40Bを少し回転させたりしてレンズ部材40Bの位置を微調整することができる。
【0087】
そのような微調整が可能な上記の隙間の範囲は以下の通りである。レンズ部材40Bの光入射面40bs1と、支持部材30Bの第2前方端面30bs2との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。レンズ部材40Bの段差部40bs4と、支持部材30Bの段差部30bs3との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。
【0088】
さらに、支持部材30Bおよびレンズ部材40Bの接合において、支持部材30Bの段差部30bs3が障壁になり、飛散した金属ペーストの一部がレンズ部材40Bの光入射面40bs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することを抑制できる。支持部材30Bの段差部30bs3の高さが前述の数値範囲であれば、金属ペーストの一部のそのような付着を効果的に抑制できる。
【0089】
以上のことから、実施形態2においても、レンズ部材40Bの光入射面40bs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100Bを実現できる。
【0090】
(実施形態2の変形例)
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照して、実施形態2によるレーザ光源100Bの変形例を説明する。
図6Aは、実施形態2によるレーザ光源の変形例を模式的に示す分解斜視図である。
図6Bは、
図6Aに示すレーザ光源の上面図である。
図6Aに示すレーザ光源110Bが
図5Aに示すレーザ光源100Bとは異なる点は、支持部材31Bの形状である。支持部材31Bは、
図4Aに示す支持部材31Aと同様の構造を有する。支持部材31Bの2つの支持部分31b1および連結部分31b2は、それぞれ、支持部材31Aの2つの支持部分31a1および連結部分31a2に対応する。支持部材31Bの第1前方端面31bs1および第2前方端面31bs2は、それぞれ、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2に対応する。以下では、レーザ光源110Bとレーザ光源100Bとの相違点を中心に説明する。
【0091】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、支持部材31Bの面との位置関係は以下の通りである。
図6Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材31Bの第1前方端面31bs1および第2前方端面31bs2よりも前方(+Z方向)に位置する。
【0092】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、レンズ部材40Bの面との位置関係は以下の通りである。
図6Bに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、レンズ部材40Bの接合面40bs3よりも前方(+Z方向)に位置する。
【0093】
支持部材31Bの面と、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図6Aに示す例において、支持部材31Bの第1前方端面31bs1および第2前方端面31bs2は、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置する。支持部材31Bの第1前方端面31bs1および第2前方端面31bs2は、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置していてもよし、レンズ部材40Bを接合可能であれば後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0094】
[支持部材31Bおよびレンズ部材40Bの接合]
支持部材31Bおよびレンズ部材40Bの接合において、前方(+Z方向)から見て、金属ペーストが、支持部材31Bの第1前方端面31bs1およびレンズ部材40Bの接合面40bs3にすべて重なるものとする。すなわち、金属ペーストにはこれら2つの面からはみ出る部分がない。その場合、有機バインダの突沸によって金属ペーストの一部が空中に飛散しても、そのほとんどはZ方向に対して垂直な方向に飛散する。したがって、実施形態2のように支持部材31Bの第2前方端面31bs2が第1前方端面31bs1よりも前方(+Z方向)に位置していなくても、飛散した金属ペーストの一部がレンズ部材40Bの光入射面40bs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することを抑制できる。レンズ部材40Bの光入射面40bs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eは、レンズ部材40Bの接合面40bs3よりも前方(+Z方向)に位置するからである。金属ペーストの一部は半導体レーザ素子20の側面に付着する程度である。
【0095】
以上のことから、実施形態2の変形例においても、レンズ部材40Bの光入射面40bs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源110Bを実現できる。
【0096】
(実施形態3)
次に、
図7Aおよび
図7Bを参照して、実施形態3によるレーザ光源の構成例を説明する。
図7Aは、本開示の例示的な実施形態3によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図7Bは、
図7Aに示すレーザ光源の上面図である。
図7Aに示すレーザ光源100Cが
図2Aに示すレーザ光源100Aとは異なる点は、レンズ部材40Cの形状および材料、ならびに半導体レーザ素子20が配置される位置である。支持部材30Cは、
図2Aに示す支持部材30Aと同様の構造を有する。支持部材30Cの2つの支持部分30c1および連結部分30c2は、それぞれ、支持部材30Aの2つの支持部分30a1および連結部分30a2に対応する。支持部材30Cの第1前方端面30cs1、第2前方端面30cs2、および段差部30cs3は、それぞれ、支持部材30Aの第1前方端面30as1、第2前方端面30as2、および段差部30as3に対応する。以下では、レーザ光源100Cとレーザ光源100Aとの相違点を中心に説明する。
【0097】
レンズ部材40Cは、光入射面40cs1と、光出射面40cs2と、光入射面40cs1から側方に広がる2つの接合面40cs3とを有する。光入射面40cs1および接合面40cs3は同一平面上に位置する。レンズ部材40Cは、後方(-Z方向)に突出する2つの壁部40cwを備える。2つの壁部40cwの各々は、光入射面40cs1と、2つの接合面40cs3の一方との間に位置する。壁部40cwは、外側に位置する外壁面40cs4と、光入射面40cs1および接合面40cs3から後方(-Z方向)に突出した突出面40cs5とを有する。言い換えれば、レンズ部材40Cは、2つの壁部40cwの各々において外壁面40cs4を有し、かつ、2つの壁部40cwの各々において突出面40cs5を有する。外壁面40cs4および突出面40cs5の各々は、例えば平面であり得る。突出面40cs5は、例えば、光入射面40cs1および接合面40cs3の各々に対して平行であり得る。2つの外壁面40cs4の各々は、光入射面40cs1と2つの接合面40cs3の一方との間に位置する。
【0098】
図7Aに示す例において、壁部40cwの外壁面40cs4は、光入射面40cs1および接合面40cs3の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面40cs1および接合面40cs3の各々に交差する方向に広がる面であればよい。壁部40cwの外壁面40cs4と、光入射面40cs1および接合面40cs3の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。
【0099】
壁部40cwは、例えば、以下のようにして例えばセラミックまたは金属から形成され得る。まず、光入射面40cs1と接合面40cs3との間にY方向に沿って延びる金属膜が形成された中間生成物が用意される。次に、帯電したセラミック粒子を含む溶液に中間生成物を浸し、溶液と中間生成物とを通電することにより、帯電したセラミック粒子を金属膜に電着して、セラミックから形成された壁部40cwを得ることができる。あるいは、めっき液に中間生成物を浸し、めっき液と中間生成物とを通電することにより、金属から形成された壁部40cwを得ることができる。
【0100】
レンズ部材40Cのうち、壁部40cwおよび金属膜40m以外の残りの部分は、例えば、透光性材料から形成され得る。レンズ部材40Cのうち、壁部40cwをセラミックまたは金属から形成し、上記の残りの部分を透光性材料から形成する方が、壁部40cwおよび上記の残りの部分を透光性材料から形成するよりもレンズ部材40Cの作製が容易である。壁部40cwおよび上記の残りの部分を透光性材料から形成する場合、溶かした透光性材料を型に入れ、冷却すると、複雑な形状を有するレンズ部材40Cに気泡が混入する可能性があるからである。そのような可能性を考慮しないのであれば、壁部40cwおよび上記の残りの部分を透光性部材から形成してもよい。
【0101】
セラミックまたは金属から形成された壁部40cwは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光の一部が壁部40cwに入射しても、当該レーザ光の一部を反射する。したがって、当該レーザ光の一部が無機接合層32に到達することを抑制できる。その結果、無機接合層32がレーザ光の照射によってさらに焼結されて収縮することを抑制でき、レンズ部材40Cは、長期の使用において、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光を正確にコリメートすることが可能になる。
【0102】
壁部40cwの高さ(Z方向における寸法)、幅(Y方向における寸法)、および厚さ(X方向における寸法)は以下の通りである。壁部40cwの高さは、例えば10μm以上1mm以下であり得る。壁部40cwの幅は、50μm以上500μm以下であり得る。壁部40cwの厚さは、5μm以上200μm以下であり得る。
【0103】
図7Aに示す例において、壁部40cwの幅は、レンズ部材40CのY方向における寸法に等しい。飛散する金属ペーストの一部がレンズ部材40Cの光入射面40cs1に付着することを抑制できるのであれば、壁部40cwの幅は、レンズ部材40CのY方向における寸法よりも小さくてもよい。
【0104】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図7Aに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3よりも前方に位置する。レンズ部材40Cの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置していてもよいし、前方端面10s3よりも後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0105】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、支持部材30Cの面との位置関係は以下の通りである。
図7Bに示す例において、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、支持部材30Cの第2前方端面30cs2よりも前方に位置し、かつ、支持部材30Cの第1前方端面30cs1よりも後方(-Z方向)に位置する。半導体レーザ素子20の光出射面20eは、第2前方端面30cs2よりも後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0106】
半導体レーザ素子20の光出射面20eと、レンズ部材40Cの壁部40cwおよび面との位置関係は以下の通りである。半導体レーザ素子20の光出射面20eは、2つの壁部40cwの間に位置する。半導体レーザ素子20の光出射面20eは、突出面40cs5よりも前方(+Z方向)に位置する。レンズ部材40Cの焦点の位置によっては、半導体レーザ素子20の光出射面20eは、レンズ部材40Cの突出面40cs5よりも後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0107】
レンズ部材40Cの面と、支持部材30Cの面との位置関係は以下の通りである。レンズ部材40Cの突出面40cs5は、
図7Bに示すように、支持部材30Cの第1前方端面30cs1よりも後方(-Z方向)に位置する。レンズ部材40Cの突出面40cs5は、支持部材30Cの第2前方端面30cs2に対向する。レンズ部材40Cの接合面40cs3は、支持部材30Cの第1前方端面30cs1に対向する。レンズ部材40Cの外壁面40cs4は、支持部材30Cの段差部30cs3に対向する。
【0108】
[支持部材30Cおよびレンズ部材40Cの接合]
支持部材30Cおよびレンズ部材40Cの接合において、レンズ部材40Cの壁部40cwと、支持部材30Cの後退した部分との間に隙間があることは、レンズ部材40Cの光軸調整に役立つ。
図7Bに示す例において、レンズ部材40Cの突出面40cs5と、支持部材30Cの第2前方端面30cs2との間、およびレンズ部材40Cの外壁面40cs4と、支持部材30Cの段差部30cs3との間に隙間がある。したがって、レンズ部材40CをX方向および/またはZ方向に少しシフトさせたり、Y軸を回転軸としてレンズ部材40Cを少し回転させたりしてレンズ部材40Cの位置を微調整することができる。
【0109】
そのような微調整が可能な上記の隙間の範囲は以下の通りである。レンズ部材40Cの突出面40cs5と、支持部材30Cの第2前方端面30cs2との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。レンズ部材40Cの外壁面40cs4と、支持部材30Cの段差部30cs3との間の隙間は、例えば5μm以上500μm以下であり得る。
【0110】
さらに、支持部材30Cおよびレンズ部材40Cの接合において、レンズ部材40Cの外壁面40cs4が障壁になり、飛散した金属ペーストの一部がレンズ部材40Cの光入射面40cs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することを抑制できる。半導体レーザ素子20の光出射面20eが突出面40cs5よりも前方(+Z方向)に位置する方が、後方(-Z方向)に位置するよりも、飛散した金属ペーストの一部が半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着することを効果的に抑制できる。
【0111】
壁部40cwの高さ、幅、および厚さが小さすぎると、金属ペーストの一部が外壁面40cs4を越えてレンズ部材40Cの光入射面40cs1および/または半導体レーザ素子20の光出射面20eに付着する可能性がある。壁部40cwの高さ、幅、および厚さが前述の数値範囲であれば、金属ペーストの一部のそのような付着を効果的に抑制できる。
【0112】
以上のことから、実施形態3においても、レンズ部材40Cの光入射面40cs1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100Cを実現できる。
【0113】
(実施形態4)
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照して、実施形態4によるレーザ光源の構成例を説明する。
図8Aは、本開示の例示的な実施形態4によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図8Bは、
図8Aに示すレーザ光源の上面図である。
図8Aに示すレーザ光源100Dが
図2Aに示すレーザ光源100Aとは異なる点は、支持部材30Dおよびレンズ部材40Dの形状である。支持部材30Dは、
図4Aに示す支持部材31Aと同様の構造を有する。支持部材30Dの2つの支持部分30d1および連結部分30d2は、それぞれ、支持部材31Aの2つの支持部分31a1および連結部分31a2に対応する。支持部材30Dの第1前方端面30ds1および第2前方端面30ds2は、それぞれ、支持部材31Aの第1前方端面31as1および第2前方端面31as2に対応する。支持部材31Aでは説明を省略したが、支持部材30Dは、加熱用のレーザ光で照射される2つの外側面30ds3を有する。以下では、レーザ光源100Dとレーザ光源100Aとの相違点を中心に説明する。
【0114】
レンズ部材40Dは、光入射面40ds1と、光出射面40ds2と、光入射面40ds1から側方に広がる2つの接合面40ds3とを有する。光入射面40ds1および接合面40ds3は同一平面上に位置する。レンズ部材40Dは、2つの溝部40dgを備える。2つの溝部40dgの各々は、光入射面40ds1と、2つの接合面40ds3の一方との間に位置する。前方(+Z方向)から見て、半導体レーザ素子20は、2つの溝部40dgの間に位置し、2つの溝部40dgには重ならない。レンズ部材40Dは、2つの溝部40dgの各々において、外側に位置する側面40ds4を有する。側面40ds4は、例えば平面であり得る。2つの側面40ds4の各々は、光入射面40ds1と、2つの接合面40ds3の一方との間に位置する。
【0115】
図8Aに示す例において、側面40ds4は、光入射面40ds1および接合面40ds3の各々に対して垂直な方向に広がる面であるが、これに限られず光入射面40ds1および接合面40ds3の各々に交差する方向に広がる面であればよい。溝部40dgの側面40ds4と、光入射面40ds1および接合面40ds3の各々とがなす角度は、例えば80°以上100°以下であり得る。溝部40dgの深さ(Z方向における寸法)は、例えば10μm以上200μm以下であり得る。溝部40dgの幅(X方向における寸法)は、例えば5μm以上200μm以下であり得る。溝部40dgは、例えばダイヤモンドブレードによって形成され得る。
【0116】
[構成要素の相対的な位置関係の詳細]
支持部材30Dの面と、サブマウント10の前方端面10s3との位置関係は以下の通りである。
図8Aに示す例において、支持部材30Dの第1前方端面30ds1および第2前方端面30ds2は、サブマウント10の前方端面10s3と同じ平面上に位置する。第1前方端面30ds1および第2前方端面30ds2は、前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置していてもよいし、レンズ部材40Dを接合可能あれば後方(-Z方向)に位置していてもよい。
【0117】
レンズ部材40Dの面と、支持部材30Dの面との位置関係は以下の通りである。
図8Bに示す例において、レンズ部材40Dの光入射面40ds1は、支持部材30Dの第2前方端面30ds2に対向する。レンズ部材40Dの接合面40ds3は、支持部材30Dの第1前方端面30ds1に対向する。
【0118】
[支持部材30Dおよびレンズ部材40Dの接合]
次に、
図9を参照して、支持部材30Dおよびレンズ部材40Dの接合方法を説明する。
図9は、実施形態4における支持部材30Dおよびレンズ部材40Dの接合方法を説明するための上面図である。
図9に示す例において、+Z方向は鉛直方向である。白抜きの矢印は、加熱用のレーザ光の照射方向を表す。
【0119】
図9に示すように、半導体レーザ素子20および支持部材30Dが接続されたサブマウント10、ならびにレンズ部材40Dは、レンズ部材40Dの接合面40ds3と、支持部材30Dの第1前方端面30ds1とを、金属ペースト32aを介して互いに接触させるように配置される。レンズ部材40Dの光出射面40ds2は、鉛直方向を向いている。以下の2つの条件が満たされる場合、飛散した金属ペーストの一部は、空気中ではなく接合面40ds3に沿って飛散する傾向にある。第1の条件は、加熱用のレーザ光のパワー密度がそれほど高くないことである。そのようなパワー密度は、例えば15W/cm
2以上50W/cm
2以下である。第2の条件は、金属ペースト32aが、前方(+Z方向)から見て、支持部材30Dの第1前方端面30ds1およびレンズ部材40Dの接合面40ds3にすべて重なることである。すなわち、金属ペースト32aにこれら2つの面からはみ出る部分がないことである。
【0120】
図9に示す中間生成物において上記2つの条件が満たされる場合、接合面40ds3に沿って飛散する金属ペーストの一部は、重力によってレンズ部材40Dの溝部40dgに落ちる。その結果、飛散した金属ペーストの一部がレンズ部材40Dの光入射面40ds1に付着することを抑制できる。
【0121】
溝部40dgの深さが小さすぎると、金属ペーストの一部で溝部40dgがすべて埋められてしまい、金属ペーストの一部がレンズ部材40Dの光入射面40ds1に付着する可能性がある。溝部40dgの深さが前述の数値範囲であれば、金属ペーストの一部のそのような付着を効果的に抑制できる。
【0122】
図9に示す例において、光入射面40ds1および接合面40ds3の間に位置する溝部40dgの数は1個であるが、複数個であってもよい。溝部40dgの数がM個(Mは2以上の自然数)である場合、接合面40ds3に近い方から順にN番目(NはM-1以下の自然数)までの溝部40dgが金属ペーストの一部ですべて埋められても問題ない。金属ペーストの一部がN+1番目の溝部40dgに落ちれば、金属ペーストの一部がレンズ部材40Dの光入射面40ds1に付着することを抑制できるからである。複数の溝部40dgの深さは、前述の数値範囲であれば、すべて互いに等しくてもよいし、すべて互いに異なっていてもよいし、一部のみが互いに等しくてもよい。複数の溝部40dgの幅についても同様である。
【0123】
以上のことから、実施形態4においても、レンズ部材40Dの光入射面40ds1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100Dを実現できる。
【0124】
実施形態4における支持部材30Dおよびレンズ部材40Dの接合方法を、前述の各実施形態における支持部材およびレンズ部材の接合方法に適用してもよい。
図2Bに示す例において、レンズ部材40Aの光出射面40as2を鉛直方向に向けた状態で、支持部材30Aおよびレンズ部材40Aが接合されてもよい。その場合、重力の影響により、接合面40as3に沿って飛散する金属ペーストの一部が段差部40as4をはい上がって光入射面40as1に付着することを抑制できる。
図4Bおよび
図7Bに示す例についても同様である。
【0125】
図5Bに示す例において、レンズ部材40Bの光出射面40bs2を鉛直方向とは反対方向に向けた状態で、支持部材30Bおよびレンズ部材40Bが接合されてもよい。その場合、重力の影響により、接合面40bs3に沿って飛散する金属ペーストの一部が段差面40bs4をはい上がって光入射面40bs1に付着することを抑制できる。
図6Bに示す例についても同様である。
【0126】
(実施形態5)
次に、
図10を参照して、実施形態5によるレーザ光源の構成例を説明する。
図10は、本開示の例示的な実施形態5によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図10に示すレーザ光源100Eが
図2Aに示すレーザ光源100Aとは異なる点は、レンズ部材40Eとサブマウント10とを接続する支持部材30Eが、レンズ部材40Eだけでなく、サブマウント10も支持することである。レンズ部材40Eは、
図2Aに示すレンズ部材40Aと同様の構造を有する。レンズ部材40Eの光入射面40es1、光出射面40es2、接合面40es3、および段差部40es4は、それぞれ、レンズ部材40Aの光入射面40as1、光出射面40as2、接合面40as3、および段差部40as4に対応する。以下では、レーザ光源100Eとレーザ光源100Aとの相違点を中心に説明する。
【0127】
支持部材30Eは、2つの支持部分30e1と、2つの支持部分30e1を連結する連結部分30e2とを有する。サブマウント10および半導体レーザ素子20は、2つの支持部分30e1の間に位置する。2つの支持部分30e1はレンズ部材40Eを支持する一方、連結部分30e2はサブマウント10を支持する。支持部材30E、サブマウント10、および半導体レーザ素子20はY方向に沿ってこの順に位置する。
【0128】
支持部材30Eは、2つの支持部分30e1の各々において第1前方端面30es1を有し、連結部分30e2において第2前方端面30es2を有する。第1前方端面30es1は、レンズ部材40Eを支持する面である。支持部材30Eは、2つの第1前方端面30es1によってレンズ部材40Eを支持してもよいし、一方の第1前方端面30es1によってレンズ部材40Eを支持してもよい。第1前方端面30es1および第2前方端面30es2の各々は、例えば平面であり得る。両面は、例えば互いに平行であり得る。第1前方端面30es1が平面である場合、レンズ部材40Eを安定的に支持できる。
【0129】
支持部材30Eは、レンズ部材40Eの形状に合わせて、第2前方端面30es2が第1前方端面30es1よりも後方(-Z方向)に後退した形状を有する。支持部材30Eは、そのような形状に起因して2つの段差部30es3を有する。2つの段差部30es3の各々は、2つの第1前方端面30es1の一方と第2前方端面30es2との間に位置し、2つの第1前方端面30es1の一方と第2前方端面30es2とを繋ぐ。支持部材30Eは、さらに、前述の加熱用のレーザ光で照射される2つの外側面30es4を有する。段差部30es3および外側面30es4の各々は、例えば平面であり得る。
【0130】
支持部材30Eの形状は、以下の3つの点で
図2Aに示す支持部材30Aの形状とは異なる。第1の点は、支持部材30Eが、支持部材30Aの上下を反転させた形状を有していることである。第2の点は、支持部材30EのX方向における寸法が、サブマウント10のX方向における寸法より大きいことである。第3の点は、支持部材30Eの後方端面が、サブマウント10の後方端面よりも後方(-Z方向)に位置することである。
【0131】
図2Aおよび
図10に示すサブマウント10の寸法が同程度である場合、支持部材30EのX方向における寸法は、
図2Aに示す支持部材30AのX方向における寸法よりも大きい。同様に、レンズ部材40EのX方向における寸法は、
図2Aに示すレンズ部材40AのX方向における寸法よりも大きい。2つの第1前方端面30es1の間隔がより広くなるので、支持部材30Eおよびレンズ部材40Eの接合においてレンズ部材40Eを支持部材30Eに向けて加圧する際に、2つの第1前方端面30es1に均等に荷重を加えることが容易になる。したがって、支持部材30Eは、レンズ部材40Eをより安定的に支持することができる。さらに、支持部材30Eおよびレンズ部材40EのX方向における寸法が大きいので、支持部材30Eおよびレンズ部材40Eの接合において、レンズ部材40Eの位置をより微調整しやすくなる。
【0132】
一方で、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱を
図1Bに示す基体50bのステージ50b2により効率的に伝える観点で言えば、レーザ光源100Eよりも、
図2Aに示すレーザ光源100Aが有利である。
【0133】
支持部材30Eの面30es1~30es4と、レンズ部材40Eの面40es1~40es4との位置関係は、
図2Aに示す支持部材30Aの、面30as1~30as4と、レンズ部材40Aの面40as1~40as4との位置関係と同じである。
【0134】
以上のことから、実施形態5においても、レンズ部材40Eの光入射面40es1および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100Eを実現できる。
【0135】
(その他の実施形態)
次に、
図11から
図13を参照して、実施形態6から8によるレーザ光源の構成例をそれぞれ説明する。
図11から
図13は、それぞれ、本開示の例示的な実施形態6から8によるレーザ光源の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図11から
図13に示すレーザ光源100F~100Hが
図5A、
図7A、および
図8Aに示すレーザ光源100B~100Dとは異なる点は、実施形態5と同様に、レンズ部材40F~40Hとサブマウント10とを接続する支持部材30F~30Hが、レンズ部材40F~40Hだけでなく、サブマウント10も支持することである。レンズ部材40F~40Hは、それぞれ、レンズ部材40B~40Dと同様の構造を有する。
【0136】
支持部材30Eの形状が、
図2Aに示す支持部材30Aの形状と3つの点で異なることと同様に、支持部材30F~30Hの形状は、
図5A、
図7A、および
図8Aに示す支持部材30B~30Dの形状とは当該3つの点でそれぞれ異なる。
【0137】
したがって、実施形態6から8においても、レンズ部材40F~40Hの光入射面および半導体レーザ素子20の光出射面20eに金属ペーストが全くまたはほとんど付着していないレーザ光源100F~100Hを実現できる。
【0138】
前述した実施形態1から8および変形例は、矛盾がない限り、任意に組み合わせてもよい。
【0139】
[各構成要素の材料および寸法などの詳細]
次に、レーザ光源100A~100Hにおけるサブマウント10、半導体レーザ素子20、支持部材30A~30H、無機接合層32、およびレンズ部材40A~40H、
図1Aに示すパッケージ50およびリード端子60、ならびに
図1Cに示す第1基板70a、第2基板70b、および枠体80の材料および寸法などの詳細を説明する。
【0140】
<サブマウント10>
サブマウント10の一部または全体は、例えば、AlN、SiC、およびアルミナからなる群から選択される少なくとも1つのセラミックから形成され得る。あるいは、サブマウント10の一部または全体は、例えば、CuW、Cu、Cu/AlN/Cuの積層構造、および金属マトリクス複合材料(Metal Matrix Compound:MMC)からなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。MMCは、例えば、Cu、AgまたはAlからなる群から選択される少なくとも1つとダイヤモンドとを含む。
【0141】
サブマウント10の熱伝導率は、例えば10W/m・K以上800W/m・K以下であり得る。そのような範囲の熱伝導率により、サブマウント10は、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱をパッケージ50に効率的に伝えることができる。
【0142】
サブマウント10の熱膨張率は、例えば2×10-6K-1以上2×10-5K-1以下であり得る。そのような範囲の熱膨張率により、サブマウント10の上に半導体レーザ素子20を無機接合材で接合する際に加えられる熱によってサブマウント10が変形することを抑制できる。
【0143】
サブマウント10のX方向における寸法は、例えば1mm以上3mm以下であり、Y方向における寸法は、例えば0.1mm以上0.5mm以下であり、Z方向における寸法は、例えば1mm以上6mm以下である。
【0144】
サブマウント10は、図示していないが上面10s1および下面10s2の各々に設けられた金属膜を備える。上面10s1に設けられた金属膜は、半導体レーザ素子20をサブマウント10に無機接合材で接合する際に、接合強度を向上させる。上面10s1に設けられた金属膜は、さらに、半導体レーザ素子20に電力を供給するのに役立つ。下面10s2に設けられた金属膜は、サブマウント10を、
図1Bに示す基体50bのステージ50b2に無機接合材で接合する際に、接合強度を向上させる。また、当該金属膜によって熱伝導性を向上させることができるため、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱を、サブマウント10を介してステージ50b2に効率的に伝えることにも役立つ。
【0145】
サブマウント10の上面10s1および下面10s2の各々に設けられた金属膜は、例えば、単層または複数層を有し得る。単層の金属膜は、例えば、CrまたはAuから形成され得る。複数層の金属膜のうち、下地層は、例えばCr、Ti、およびNiから形成され、中間層は、Pt、Pd、Rh、およびRuから形成され、最表面は、例えばCrまたはAuから形成され得る。当該金属膜のY方向における寸法は、例えば0.5μm以上10μm以下であり得る。
【0146】
<半導体レーザ素子20>
半導体レーザ素子20は、Y方向に沿って、n型基板、n型クラッド層、活性層、およびp型クラッド層を備える半導体積層構造を有する。n型およびp型の関係は逆であってもよい。半導体レーザ素子20は、さらに、半導体積層構造の上面および下面の各々に設けられる電極を備える。半導体積層構造のうち、p型クラッド層に電気的に接続される電極を「p側電極」と称し、n型基板に電気的に接続される電極を「n側電極」と称する。p側電極とn側電極とに電圧を印加して閾値以上の電流を流すことにより、半導体レーザ素子20は、活性層の2つの端面のうち、前方端面である光出射面20eからレーザ光を出射する。前方端面に反射防止膜が設けられる場合は、反射防止膜の表面を光出射面20eとしてもよい。
【0147】
半導体レーザ素子20は、半導体積層構造において活性層よりも基板がサブマウント10に近い、いわゆるフェイスアップの状態で実装されてもよい。あるいは、半導体レーザ素子20は、半導体積層構造において基板よりも活性層がサブマウント10の近くに位置する、いわゆるフェイスダウンの状態で実装されてもよい。レーザ光の波長の長短に関係なく、フェイスダウンの状態で実装する方が、フェイスアップの状態で実装するよりも、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱をサブマウント10に効率的に伝えることができる。フェイスダウンの状態で実装する場合、半導体レーザ素子20は、サブマウント10の上に、半導体レーザ素子20の光出射面20eがサブマウント10の前方端面10s3よりも前方(+Z方向)に位置するように配置され得る。そのような配置により、レーザ光の一部の進行がサブマウント10によって妨げられることを抑制できる。半導体レーザ素子20の光出射面20eとサブマウント10の前方端面10s3とのZ方向における距離は、例えば、1μm以上40μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下であり得る。当該距離がこの範囲内であれば、サブマウント10の上面10s1と半導体レーザ素子20の下面との接触面積は十分大きいので、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱をサブマウント10に効率的に伝えることができる。
【0148】
半導体レーザ素子20は、可視領域における紫色、青色、緑色もしくは赤色のレーザ光、または不可視領域における赤外もしくは紫外のレーザ光を出射し得る。紫色光の発光ピーク波長は、400nm以上420nm以下の範囲内にあることが好ましく、400nm以上415nm以下の範囲内にあることがより好ましい。青色光の発光ピーク波長は、420nmより大きく495nm以下の範囲内にあることが好ましく、440nm以上475nm以下の範囲内にあることがより好ましい。緑色光の発光ピーク波長は、495nmより大きく570nm以下の範囲内にあることが好ましく、510nm以上550nm以下の範囲内にあることがより好ましい。赤色光の発光ピーク波長は、605nm以上750nm以下の範囲内にあることが好ましく、610nm以上700nm以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0149】
紫色、青色および緑色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子20としては、窒化物半導体材料を含むレーザダイオードが挙げられる。窒化物半導体材料としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子20としては、例えば、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、およびAlGaAs系の半導体材料を含むレーザダイオードが挙げられる。
【0150】
半導体レーザ素子20のX方向における寸法は例えば30μm以上500μm以下であり、Y方向における寸法は例えば20μm以上150μm以下であり、Z方向における寸法は例えば50μm以上5mm以下であり得る。
【0151】
<支持部材30A~30H>
支持部材30A~30Hは、例えば、AlN、SiC、アルミナ、およびジルコニアからなる群から選択される少なくとも1つのセラミックから形成され得る。あるいは、支持部材30A~30Hは、例えば、ガラス、シリコーン樹脂、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックからなる群から選択される少なくとも1つの透光性材料から形成され得る。支持部材30A~30Hは、例えば、コバール(kovar)およびCuWからなる群から選択される少なくとも1つの合金から形成され得る。コバールは、主成分である鉄にニッケルおよびコバルトを加えた合金である。あるいは、支持部材30A~30Hは、例えばSiから形成され得る。
【0152】
支持部材30A~30HのX方向における最大の寸法は、例えば0.6mm以上3mm以下であり、Y方向における最大の寸法は、例えば0.1mm以上3mm以下であり、Z方向における最大の寸法は、例えば0.2mm以上10mm以下であり得る。
【0153】
支持部材30A~30Hの第1前方端面に設けられる金属膜30mは、例えば、前述の単層または複数層を有し得る。金属膜30mのZ方向における寸法は、例えば0.3μm以上10μm以下であり得る。金属膜30mは、例えば、蒸着またはめっき加工によって形成され得る。
【0154】
<無機接合層32>
無機接合層32は、前述したように、支持部材30A~30Hとレンズ部材40A~40Hとを接合する無機接合材を加熱することによって形成される。無機接合材は、例えば、前述の金属ペーストのような焼結材であり得る。金属ペースト中の複数の金属粒子は、例えば、Ag粒子、Cu粒子、Au粒子、およびその他の貴金属粒子からなる群から選択される少なくとも1種類の金属粒子を含む。
【0155】
あるいは、レンズ部材40A~40Hの光軸調整の必要がない場合、無機接合材は、例えば、はんだ材またはろう材であり得る。はんだ付けまたはろう付けでは、はんだ材またはろう材を昇温によって溶融し、降温によって固化させることにより、部材同士が接合される。はんだ材は、例えばAuSn、SnCu、SnAg、およびSnAgCuからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。ろう材は、例えば、金ろう材、錫ろう材、および銀ろう材からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0156】
無機接合材の厚さは、例えば1μm以上30μm以下であり得る。そのような厚さを有する無機接合材により、接合強度を向上させることができ、かつ接合を短時間で終えることができる。
【0157】
サブマウント10と半導体レーザ素子20との接合、サブマウント10と支持部材30A~30Hとの接合、およびサブマウント10と基体50bのステージ50b2との接合に用いられる無機接合材は、例えば、前述の焼結材、はんだ材、またはろう材であり得る。
【0158】
<レンズ部材40A~40H>
レンズ部材40A~40Hは、例えば、ガラス、シリコン、石英、合成石英、サファイア、透明セラミック、およびプラスチックからなる群から選択される少なくとも1つの透光性材料から形成され得る。ただし、レンズ部材40Cの壁部40cwは、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、窒化アルミ、窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つのセラミック、またはAg、Cu、およびAuからなる群から選択される少なくとも1つの金属から形成され得る。レンズ部材40A~40Hは、半導体レーザ素子20から出射されるレーザ光に対して60%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の透過率を有する。
【0159】
レンズ部材40A~40HのX方向における最大の寸法は、例えば、支持部材30A~30HのX方向における最大の寸法に等しくてもよいし、支持部材30A~30HのX方向における最大の寸法よりも大きくてもよいし小さくてもよい。ただし、レンズ部材40A~40HのX方向における寸法は、支持部材30A~30Hの2つの支持部分のX方向における最短距離よりも大きい。レンズ部材40A~40HのY方向における最大の寸法は、例えば0.2mm以上3mm以下であり、Z方向における最大の寸法は、例えば0.2mm以上3mm以下であり得る。
【0160】
レンズ部材40A~40Hの接合面に設けられる金属膜40mの材料は、前述の単層または複数層を有し得る。金属膜40mのZ方向における寸法は、例えば0.3μm以上10μm以下であり得る。金属膜40mは、例えば、蒸着またはめっき加工によって形成され得る。
【0161】
<パッケージ50>
パッケージ50の基体50bのうち、底板50b1は、例えば、Cu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、Wからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属から形成され得る。そのような金属の例は、CuMoなどの合金を含む。そのような金属から形成される底板50b1は高い熱伝導率を有するので、駆動時に半導体レーザ素子20から発せられる熱を外部に効率的に伝えることができる。パッケージ50の基体50bのうち、側壁50b3は、サブマウント10、半導体レーザ素子20、支持部材30A~30H、およびレンズ部材40A~40Hを囲む。側壁50b3は、例えばコバールから形成され得る。
【0162】
基体50bの底板50b1に設けられるステージ50b2により、半導体レーザ素子20の光出射面20eと透光窓50wとの高さを合わせることができる。ステージ50b2は、例えば、基体50bの底板50b1と同じ材料から形成され得る。ステージ50b2は、例えば、基体50bの底板50b1の一部が突出した部分であり得る。
【0163】
パッケージ50に含まれる蓋体50Lは、基体50bが有する底板50b1、ステージ50b2、側壁50b3のいずれかと同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。パッケージ50に含まれる透光窓50wは、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、および透光性セラミックからなる群から選択される少なくとも1つの透光性材料から形成され得る。
【0164】
<リード端子60>
2つのリード端子60は、半導体レーザ素子20に電流を注入する。当該2つのリード端子60は、
図1Bに示すように、ワイヤ60wおよびサブマウント10を介して半導体レーザ素子20に電気的に接続されている。
図1Bに示す例において、一方のリード端子60は、3本のワイヤ60wを介して、半導体レーザ素子20の上面に設けられる金属膜(電極)に電気的に接続されている。他方のリード端子60は、3本のワイヤ60wを介して、サブマウント10の上面10s1に設けられる金属膜に電気的に接続されている。1つのリード端子60と半導体レーザ素子20とを電気的に接続するワイヤ60wの本数は3本である必要はなく、1本または2本でもよいし、4本以上でもよい。
【0165】
リード端子60は、例えばFe-Ni合金、またはCu合金のような導電性材料から形成され得る。ワイヤ60wは、例えばAu、Ag、Cu、およびAlからなる群から選択される少なくとも1つの金属から形成され得る。
【0166】
<第1基板70aおよび第2基板70b>
第1基板70aおよび第2基板70bの各々は、例えば、サブマウント10と同じ材料から形成され得る。あるいは、第1基板70aおよび第2基板70bの各々は、例えば、Cu、Ag、およびAlからなる群から選択される少なくとも1つの金属から形成され得る。第1基板70aの内部にある2つの配線72の各々は、例えばAu、Ag、Cu、およびAlからなる群から選択される少なくとも1つの金属から形成され得る。ただし、第1基板70aが金属から形成される場合、第1基板70aのうち、配線72およびそれ以外の部分が互いに導通しないように、両者の間には絶縁処理が施される。
【0167】
<枠体80>
枠体80の透光部80aは、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、および透光性セラミックからなる群から選択される少なくとも1つの透光性材料から形成され得る。枠体80の透光部80a以外の部分は、透光部80aと同じ材料から形成されていてもよいし、シリコンまたはサブマウント10と同じ材料から形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本開示のレーザ光源およびその製造方法は、例えば、加工、プロジェクタ、ディスプレイ、または照明器具に用いられる光源に適用され得る。
【符号の説明】
【0169】
10:サブマウント、10s1:上面、10s2:下面、10s3:前方端面、20:半導体レーザ素子、20L:レーザ光、20e:光出射面、30A~30H、31A、31B:支持部材、30a1、30b1、30c1、30d1、30e1、31a1、31b1:支持部分、30a2、30b2、30c2、30d2、30e2、31a2、31b2:連結部分、30as1、30bs1、30cs1、30ds1、30es1、31as1、31bs1:第1前方端面、30as2、30bs2、30cs2、30ds2、30es2、31as2、31bs2:第2前方端面、30as3、30bs3、30cs3、30es3:段差部、30as4、30ds3、30es4:外側面、30m、40m:金属膜、32:無機接合層、32a:金属ペースト、40A~40H、41A:レンズ部材、40as1、40bs1、40cs1、40ds1、40es1、41as1:光入射面、40as2、40bs2、40cs2、40ds2、40es2、41as2:光出射面、40as3、40bs3、40cs3、40ds3、40es3、41as3:接合面、40as4、40bs4、40es4、41as5、41as6:段差部、40cs4:外壁面、40cs5:突出面、40cw:壁部、40dg:溝部、40ds4:側面、41as4:面、50:パッケージ、50L:蓋体、50b:基体、50b1:底板、50b2:ステージ、50b3:側壁、50w:透光窓、60:リード端子、60w:ワイヤ、70a:第1基板、70b:第2基板、80:枠体、80a:透光部、70as1、70bs1、80s1:上面、70as2、70bs2、80s2:下面、100-1、100-2、100A~100H、110A、110B:レーザ光源