(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150563
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】動物管理装置、プログラム、及び動物の体調出力方法
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059731
(22)【出願日】2022-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度採択 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業(うち群飼育下の乳用雌哺育牛から体調不良個体を早期検出するリアルタイムモニタリング技術の開発)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾高 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】喜瀬 智文
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 將行
(72)【発明者】
【氏名】山崎 美来
(72)【発明者】
【氏名】中井 祐賀子
(72)【発明者】
【氏名】成井 公一
(57)【要約】
【課題】複数の動物によって形成される群れ内の各動物の体調の変化をより早期に把握することができる動物管理装置、プログラム、及び体調出力方法を提供すること。
【解決手段】動物管理装置1は、所定の領域内に存在する複数のウシCそれぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得部13と、複数のウシCの活動状態情報の代表値を決定する代表値決定部14と、代表値と一のウシCの活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力する体調出力処理部15と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得部と、
複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定部と、
前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理部と、を備える動物管理装置。
【請求項2】
前記体調出力処理部は、前記代表値と一の前記動物の定量化された前記活動状態情報との差分が正常範囲内であるか否を判定し、前記差分が前記正常範囲外である場合に一の前記動物の体調が不調であると判定する請求項1に記載の動物管理装置。
【請求項3】
前記体調出力処理部は、一の前記動物の定量化された前記活動状態情報が前記代表値よりも所定の閾値以上低い場合に一の前記動物の体調が不調であると判定する請求項1に記載の動物管理装置。
【請求項4】
前記体調出力処理部は、一の前記動物の定量化された前記活動状態情報が前記代表値よりも一定時間以上連続して低い場合に一の前記動物の体調が不調であると判定する請求項1に記載の動物管理装置。
【請求項5】
前記活動状態情報は、前記動物が存在する位置を示す位置情報、前記動物に設けた加速度センサから取得される加速度情報、及び前記動物に設けた角速度センサから取得される角速度情報の少なくともいずれかに基づいて算出された前記動物の行動量である請求項1~4のいずれか1項に記載の動物管理装置。
【請求項6】
前記代表値決定部は、複数の前記動物の前記行動量に基づいて前記動物の行動類型を特定し、特定された前記行動類型に基づいて前記代表値を決定する前記請求項5に記載の動物管理装置。
【請求項7】
前記代表値は、複数の前記動物の定量化された前記活動状態情報の平均値、中央値、標準偏差、分散、四分位範囲、最大値、及び最小値のいずれかである請求項1~5のいずれかに1項に記載の動物管理装置。
【請求項8】
所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得機能と、
複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定機能と、
前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理機能と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
動物管理装置が実行する動物の体調出力方法であって、
所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得ステップと、
複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定ステップと、
前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理ステップと、を含む体調出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物管理装置、プログラム、及び動物の体調出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、安定的な酪農経営を継続する上で、飼育している動物の健康管理を効率的に行うことが重要になってきている。例えば、特許文献1には、動物の活動状態や行動を検出し、動物の身体異常の発生を判定する判定情報処理システムが記載されている。また例えば特許文献2には、複数の動物の存在位置から群れを判断し、群れから離れて行動する動物を管理対象動物として抽出することで動物の状態を管理するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6745794号
【特許文献2】国際公開WO2021/033732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウシ等の社会性があり、群れで行動する動物は、体調が不調の個体であっても群れと同様の行動をとる傾向がある。このため、動物1個体毎の活動状態等に基づいて体調を判定する特許文献1の技術や個体が群れから離れた場合に該個体を管理対象とする特許文献2の技術では、動物1個体の体調の変化を早期に把握するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、複数の動物によって形成される群れ内の各動物の体調の変化をより早期に把握することができる動物管理装置、プログラム、及び動物の体調出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得部と、複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定部と、前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理部と、を備える動物管理装置に関する。
【0007】
前記体調出力処理部は、前記代表値と一の前記動物の定量化された前記活動状態情報との差分が正常範囲内であるか否を判定し、前記差分が前記正常範囲外である場合に一の前記動物の体調が不調であると判定してもよい。
【0008】
前記体調出力処理部は、一の前記動物の定量化された前記活動状態情報が前記代表値よりも所定の閾値以上低い場合に一の前記動物の体調が不調であると判定してもよい。
【0009】
前記体調出力処理部は、一の前記動物の定量化された前記活動状態情報が前記代表値よりも一定時間以上連続して低い場合に一の前記動物の体調が不調であると判定してもよい。
【0010】
前記活動状態情報は、前記動物が存在する位置を示す位置情報、前記動物に設けた加速度センサから取得される加速度情報、及び前記動物に設けた角速度センサから取得される角速度情報の少なくともいずれかに基づいて算出された前記動物の行動量であってもよい。
【0011】
前記代表値決定部は、複数の前記動物の前記行動量に基づいて前記動物の行動類型を特定し、特定された前記行動類型に基づいて前記代表値を決定してもよい。
【0012】
前記代表値は、複数の前記動物の定量化された前記活動状態情報の平均値、中央値、標準偏差、分散、四分位範囲、最大値、及び最小値のいずれかであってもよい。
【0013】
また本発明は、所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得機能と、複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定機能と、前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理機能と、をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【0014】
また本発明は、動物管理装置が実行する動物の体調出力方法であって、所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得ステップと、複数の前記動物の前記活動状態情報の代表値を決定する代表値決定ステップと、前記代表値と一の前記動物の前記活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一の前記動物の体調を判定し、出力する体調出力処理ステップと、を含む体調出力方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の動物によって形成される群れ内の各動物の体調の変化をより早期に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態における動物管理システムの全体構成を例示する模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるセンサ装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における動物管理装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【
図4】ある牛房内で飼育される5頭のウシの日別の行動量を示すグラフである。
【
図5】ある牛房内で飼育される全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量との比較を示すグラフである。
【
図6】本実施形態における動物管理装置が実行する体調出力処理のうち一のウシの行動量を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態における動物管理装置が実行する体調出力処理のうち
図6に示す処理によって取得された行動量を用いて牛房内のウシの体調を判定し、出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】牛房CB1内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の推移を示すグラフである。
【
図8B】牛房CB1内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の差分の推移を示すグラフである。
【
図9A】牛房CB2内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の推移を示すグラフである。
【
図9B】牛房CB2内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の差分の推移を示すグラフである。
【
図10A】牛房CB3内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の推移を示すグラフである。
【
図10B】牛房CB3内で飼育されている全てのウシの行動量の代表値と一のウシの行動量の差分の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、その実施形態に即して添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
<動物管理システムS>
図1は、本発明の一実施形態における動物管理システムSの全体構成を例示する模式図である。
図1に示すように、本実施形態の動物管理システムSは、例えば酪農家が飼育しているウシCの体調を判定する機能を備えている。体調の判定対象となる動物は、ウシCに限らず、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ等の、いわゆる産業動物のカテゴリーに入る動物、動物園等で飼育される動物、いわゆる愛玩動物を含む、体調の判定、利用に利益のあるすべての動物が含まれうる。
【0019】
図1は、牛舎内に配置されている3つの牛房CBである牛房CB1~CB3を取り出して模式的に示している平面図である。
図1では、1つの牛房CB内に10頭のウシCが飼育されている状況を示しているが、各牛房CBに飼育されるウシCの頭数は特に限定されない。例えば、10頭未満であってもよく、10頭以上であってもよい。
【0020】
各牛房CB内には、その適宜の場所に餌場,哺乳場、水場が設けられ、それぞれの場所でウシCが餌を食べ(採食動作)、乳を飲み(吸乳動作)、水を飲む(飲水動作)ことができるように構成されている。
【0021】
動物管理システムSは、複数のセンサ装置2と、動物管理装置1を備え、牛房CB等の所定の領域内に存在する複数のウシCそれぞれの体調を判定し、出力するシステムである。
【0022】
図1に示すように、各牛房CB内の全てのウシCには、位置センサを備えるセンサ装置2が装着されており、ウシCが存在する位置を示す位置情報が取得される。センサ装置2には、データ伝送機能が設けられており、取得された位置情報が、例えば近距離無線通信(NFC)によって動物管理装置1に送信される。なお、本実施形態では、センサ装置2は例えばウシCの耳に装着されたタブに固定されるが、首輪に固定されてウシCの首に装着されてもよく、他の部位に取り付けるように構成してもよい。
【0023】
動物管理装置1は、牛房CBを含む牛舎の近傍、例えば酪農家の管理棟等に、本実施形態における体調出力処理の主要な機能が実装されている情報処理装置である。動物管理装置1は、各ウシCに装着されたセンサ装置2から各ウシCの位置情報を取得し、解析することで各ウシCの体調を判定し、その判定結果を出力する処理を実行する。
【0024】
<センサ装置2>
次に、センサ装置2の機能的構成について説明する。
図2は、センサ装置2のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0025】
センサ装置2は、
図2に示すように、処理部21と、位置情報検出部22と、通信部23とを備える。
【0026】
位置情報検出部22は、ウシCの位置情報を取得するためのセンサである。位置情報検出部22は、例えばGPS等の衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を利用して位置情報を検出する構成であってもよい。位置情報検出部22は、アンテナを含み、複数の測位衛星から送信される測位衛星信号を受信し、受信した測位衛星信号に基づいて、自身の位置を特定する。位置情報検出部22によって検出される位置情報としては、例えばセンサ装置2を装着しているウシCが存在する位置の緯度、経度、高度等が挙げられる。なお、位置情報検出部22がウシCの位置情報を検出するタイミングは特に限定されない。例えば本実施形態では、位置情報検出部22は、ウシCの位置情報を0.2秒おきに検出している。
【0027】
処理部21は、演算処理を実行するCPU等のプロセッサによって実現される。処理部21は、位置情報受信部211と、位置情報送信部212とを有する。
【0028】
位置情報受信部211は、位置情報検出部22からの出力信号を受け取ってAD変換等の所定の処理を行ってデジタルデータに変換する。
【0029】
位置情報送信部212は、位置情報受信部211で生成された位置情報のデジタルデータを通信部23へ送信する。
【0030】
通信部23は、処理部21の位置情報送信部212からセンサ出力信号を表すデジタルデータを受け取って、所定の通信方式によって無線送信する機能を有する。本実施形態では、例えば、Buetooth(登録商標)に準拠した通信機能を備えた通信モジュールとして構成されている。通信部23から送信される位置情報送信部212からのデジタルデータは、Bluetoothのデータとして送信され、動物管理装置1によって受信される。
【0031】
なお、ウシCの位置情報検出方式は、衛星測位システムを利用した方式に限られない。例えば、ウシCに装着され、デジタルデータを送信するセンサ部と、該センサ部からのデジタルデータを受信し、牛房CB内に設置される位置検出部とから構成されるセンサ装置によってウシCの位置情報を検出する方式であってもよい。具体的には、例えば、Bluetoothに含まれる方向検知機能を利用するためのロケータとして機能する位置検出部が、Bluetoothのデータとしてセンサ部から受信したデジタルデータの入射角を算出し、センサ部の位置をウシCの位置情報として検出するようにする。そして、位置検出部がウシCの位置情報を動物管理装置1に送信するようにする。
【0032】
<動物管理装置1>
次に、動物管理装置1の機能的構成について説明する。
図3は、動物管理装置1のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。なお、動物管理装置1は、汎用的なハードウェアで構成されている。また、詳細は後述するが、本発明に係るプログラムは、汎用的なサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で実行されることにより、本発明の機能を実現する。
【0033】
動物管理装置1は、サーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータなどの情報処理装置であり、処理部10、記憶部30、入出力部40、データインタフェイス(データIF)部50、及び通信部60を備えている。処理部10、記憶部30、入出力部40、データIF部50、及び通信部60の間は、図示を省略する内部通信線としてのバスによって接続されている。
【0034】
処理部10は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部30から各種プログラム、データを読み込んで実行し、動物管理装置1の機能を実現する。本実施形態では、処理部10は、センサ情報取得部11、記憶処理部12、活動状態情報取得部13、代表値決定部14、及び体調出力処理部15の各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。
【0035】
記憶部30は、ハードウェア群を動物管理装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードウェア(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部30は、本実施形態の各機能を処理部10に実行させるためのプログラム(動物管理装置1の制御プログラム)、各種パラメータ、体調出力処理に利用されるデータ、ウシCに関するデータ、牛房CBに関するデータ、外部から入力される操作入力データ、及び各ウシCの体調の判定結果等が記憶される。
【0036】
入出力部40は、外部から動物管理装置1へのデータ入力を可能とするキーボード、マウス、タッチパネル、マイク等の各種入力デバイス、モニタディスプレイ、スピーカ等の出力デバイスから構成されている。
【0037】
データIF部50は、処理部10、記憶部30、入出力部40、通信部60の間でのデータ通信を制御する機能を有する。
【0038】
通信部60は、センサ装置2との間で各種データの送受信を行う通信モジュールであり、例えばネットワークインターフェイスカード(NIC)等のハードウェアとして構成される。通信部60は、動物管理装置1が通信ネットワークとの間で通信を実行するのにも使用することができる。
【0039】
次に、処理部10が実行する各プログラムによって実現される動物管理装置1の機能について説明する。
【0040】
センサ情報取得部11は、識別情報取得部111と、位置情報取得部112と、を有する。センサ情報取得部11は、複数のウシCそれぞれに装着されたセンサ装置2や位置検出部から出力されるセンサデータを受信する機能を有する。なお、センサ情報取得部11がセンサデータを受信する時間間隔は特に限定されない。
【0041】
識別情報取得部111は、動物管理装置1に送信されるセンサ装置2の動物識別情報を取得する処理を実行する。識別情報取得部111は、例えばセンサ装置2に登録されたウシCに関する情報を固有の動物識別情報として取得してもよく、センサ装置2自体の識別情報を動物識別情報として取得してもよい。動物識別情報には、例えばウシCの体重やサイズ、性別、年齢、病歴、所属する牛房CB等の情報が含まれていてもよい。
【0042】
位置情報取得部112は、センサ装置2の位置情報検出部22によって検出され、通信部23を介して動物管理装置1に送信されたウシCの位置情報を取得する処理を実行する。本実施形態では、位置情報として、経度や緯度等の水平面上のデータを取得しているが、例えば、高度等のウシCが存在する位置の高さに関する情報が含まれていてもよい。また本実施形態では、位置情報取得部112は、センサ装置2によって0.2秒おきに検出されたウシCの位置情報を取得する。そして、例えば位置情報取得部112は、0.2秒おきに連続して検出された5つの位置情報を平均化し、1秒間におけるウシCの位置情報として取得する。センサ情報取得部11は、識別情報取得部111によって取得された動物識別情報と位置情報取得部112によって取得されたウシCの1秒毎の位置情報とを紐付けて記憶部30に送信する。なお、位置情報取得部112が取得するウシCの位置情報は1秒間におけるものに限られない。例えば、1秒間未満であってもよく、1秒間を超えていてもよい。
【0043】
記憶処理部12は、センサ情報取得部11によって取得された動物識別情報に基づいて位置情報や活動状態情報取得部13によって取得された後述する活動状態情報をウシC毎に記憶する処理を実行する。具体的には、記憶処理部12は、ウシC毎の位置情報や行動量を記憶部30に時系列に格納する。
【0044】
活動状態情報取得部13は、ウシCの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する処理を実行する。活動状態とは、生命活動を行っているウシC等の動物の身体状態である。活動状態情報としては、例えば動物の行動量、体温、脈拍等が挙げられる。本実施形態では、活動状態情報として連続して取得された位置情報に基づいて決定されたウシCの移動距離を行動量として用いている。ウシCの行動量は、位置情報以外に例えばウシCに設けた加速度センサから取得される加速度情報や角速度センサから取得される角速度情報に基づいて決定されたウシCの脚や胴体、頭の動きの量を示す動作量であってもよい。
【0045】
本実施形態の活動状態情報取得部13がウシCの活動状態情報としての行動量を取得するための処理について説明する。活動状態情報取得部13は、記憶部30から所定の期間における一のウシCの1秒毎の位置情報を抽出する。活動状態情報取得部13は、抽出された1秒毎の位置情報の差分を算出することで1秒間の活動量を取得する。例えば、活動状態情報取得部13は、一の位置情報と該位置情報の1秒前の位置情報との差分をウシCの1秒間の移動距離を算出し、該移動距離を1秒間の行動量として取得する。そして、活動状態情報取得部13は、所定の期間における複数の1秒間の行動量を加算することで該期間における一のウシCの行動量を取得する。活動状態情報取得部13は、ウシCの所定の期間における行動量を動物識別情報と紐付けて記憶部30に送信する。
【0046】
代表値決定部14は、複数のウシCの活動状態情報の代表値を決定する処理を実行する。代表値としては、例えば1つの牛房CB内の全てのウシCの定量化された活動状態情報の平均値や中央値、標準偏差、分散、四分位範囲、最大値、最小値等が挙げられる。本実施形態では、代表値として各牛房CBのウシCの行動量の平均値を用いている。具体的には、代表値決定部14は、記憶部30から牛房CB毎に1つの牛房CBに存在する全てのウシCの行動量を抽出してその平均値を算出する。なお、本明細書において、1つの牛房CBに存在する全てのウシCの行動量の平均値を「牛群平均」という。また例えば代表値決定部14は、各ウシCの行動量に基づいて牛房CB毎にウシCの行動類型を特定し、特定された行動類型に基づいて各牛房CBの代表値を決定してもよい。行動類型とは、採食動作、吸乳動作、飲水動作、歩行、走行、横臥、静止、反芻動作、発情等が挙げられる。例えば、行動類型毎に対応する行動量の変化のパターンと代表値が予め定められ、代表値決定部14は、牛房CB内の所定の頭数以上のウシCが同じ行動類型に対応する行動量の変化のパターンを示すと、該行動類型に対応する値を代表値として決定してもよい。
【0047】
体調出力処理部15は、代表値決定部14によって決定された代表値と一のウシCの活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力する処理を実行する。例えば体調出力処理部15は、一の牛房CBの牛群平均と一のウシCの行動量等の定量化された活動状態情報との差分が正常範囲内であるか否かを判定し、正常範囲内であればウシCの体調が正常であると判定し、正常範囲外であればウシCの体調が不調であると判定してもよい。このとき、体調出力処理部15は、一のウシCの行動量と牛群平均との差分が一定時間、正常範囲外である場合に、一のウシCの体調が不調であると判定してもよい。正常範囲は、例えば予め設定された数値範囲であってもよく、ユーザが入出力部40を介して入力した数値範囲であってもよい。また、決定された代表値に応じて数値範囲を設定してもよい。また例えば体調出力処理部15は、一のウシCの定量化された活動状態情報が代表値よりも所定の閾値以上低い場合に、一のウシCの体調が不調であると判定してもよい。このとき、体調出力処理部15は、例えば一定時間、一のウシCの行動量が代表値よりも所定の閾値以上低い場合に、体調が不調であると判定してもよい。また例えば、体調出力処理部15は、一のウシCの行動量が代表値よりも一定時間以上連続して低い場合に、体調が不調であると判定してもよい。また例えば、体調出力処理部15は、代表値及び一のウシCの活動状態情報と、一のウシCの体調の組を教師データとして学習モデルを構築し、該学習モデルを用いて、未知のウシの活動状態が入力されたらこの未知のウシの体調を推定する構成でもよい。
【0048】
体調出力処理部15は、例えばウシCの体調の判定結果を入出力部40に出力し、入出力部40のモニタディスプレイ等にウシC毎の体調の判定結果を表示させてもよい。また体調出力処理部15は、一のウシCの体調が不調であると判定された場合に、警報を発生させてもよい。例えば体調出力処理部15は、入出力部40のスピーカから警報音を発生させてもよく、モニタディスプレイに体調が不調であると判定された一のウシCの動物識別情報を表示させてもよい。
【0049】
ここで、牛房CBにおける各ウシCの行動量の一例について説明する。
図4は、ある1つの牛房CBで飼育されている5頭のウシCであるウシC1~C5の日別の行動量を示すグラフである。
図4の横軸は日付を示し、縦軸は各ウシCが1日に移動した距離を累積した値である1日の行動量を示している。なお、ウシC3は、主に2021年2月25日から3月28日にかけて体調が不調であると診断されたウシCである。
【0050】
図4に示すように、例えば2021年3月7日や3月12日等では5頭のウシC全ての1日の行動量が減少し、2021年3月22日や3月29日等では5頭のウシC全ての1日の行動量が増加している。これらの結果から5頭のウシC全ての行動量は、同様に推移する傾向にあることが確認できる。即ち、ウシCは、社会性のある動物でもあり、群れ全体で同様の行動をとる傾向があることが確認できる。このようにウシC等の動物は群れ全体で同様の行動をとるので、群れの中のウシCそれぞれの体調の変化を把握し難い。一方で、ウシC3の行動量は、他の4頭のウシCと同様に増減するものの、体調が不調であると診断された3月28日までは他の4頭のウシCに比べて少ないことが確認できる。
【0051】
次に、1つの牛房CBにおける全てのウシCの行動量の平均値と一のウシCの行動量及び体調の推移の一例について説明する。
【0052】
図5は、ある牛房CBの牛群平均と一のウシCの行動量との比較を示すグラフである。細い破線は1時間毎の牛群平均を示し、細い実線は1時間毎の一のウシCの行動量を示し、太い破線は24時間分の牛群平均をさらに平均化して算出した牛群平均を示し、太い実線は24時間分の行動量を平均化して算出した一のウシCの行動量の推移を示している。なお、一のウシCは、2021年3月2日に体調が不調ぎみであると診断され、2021年3月4日に体調が不調であると診断されている。
【0053】
図5に示すように、一のウシCの行動量は、一のウシCの体調が悪化するほど牛群平均から乖離することが確認できる。即ち、
図5に示すように、牛群平均等の1つの群れにおける全てのウシCの代表値と比較することで、1つの群れにおける1個体の体調を判定できる。本実施形態に係る動物管理システムSは、このような考えに基づいて群れの中に存在する動物それぞれの体調を判定し、出力するシステムである。
【0054】
<動物管理装置1による体調出力処理>
次に、本実施形態における動物管理装置1が実行するデータ処理について説明する。動物管理装置1は、主として、ウシCの行動量を取得する処理と、ウシCの体調を判定し、出力する処理とを実行する。
【0055】
まず、動物管理装置1が実行する一のウシCの行動量を取得する処理の流れの一例について
図6を参照しながら説明する。
図6は、動物管理装置1が実行する体調出力処理のうち一のウシCの行動量を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0056】
図6に例示する行動量取得処理は、牛房CB内で飼育されている各ウシCについて、一定時間間隔ごとに実行される(ステップS11のループ)。
【0057】
ステップS12において、センサ情報取得部11は、ウシCに装着されているセンサ装置2から、動物識別情報とともに位置情報検出部22によって所定の時間間隔で検出された所定の期間のウシCの位置情報を取得する。
【0058】
ステップS13において、位置情報取得部112は、ステップS12で一定時間内に取得した複数の位置情報を平均化する処理を実行する。位置情報取得部112は、例えば0.2秒おきに連続して1秒間に検出された5つの位置情報を平均化し、1秒間におけるウシCの位置情報として取得する。なお、所定の期間におけるステップS13で取得された1秒毎の位置情報は、動物識別情報と紐付けて記憶部30に時系列に格納される。
【0059】
ステップS14において、活動状態情報取得部13は、ステップS13で記憶した所定の期間のウシCの位置情報を抽出し、ウシCの行動量を算出する。活動状態情報取得部13は、前後の時間における位置情報の差分を算出してウシCの行動量を算出する。例えば、一の位置情報と該位置情報の1秒前の位置情報との距離の差を1秒間の行動量として算出する。そして、活動状態情報取得部13は、この処理を所定の期間分行い、該期間における複数の1秒間の行動量を加算することで該期間におけるウシCの行動量を算出する。
【0060】
ステップS15において、処理部10は、ウシCが所属する牛房CBを判定する。具体的には、処理部10は、識別情報取得部111によって取得されたウシCの動物識別情報と記憶部30に記憶された各ウシCの動物識別情報と牛房CBを対応付けたテーブルに基づいてウシCの牛房CBを判定する。
【0061】
ステップS16において、記憶処理部12は、ステップS14で算出したウシCの行動量とステップS15で判定したウシCが所属する牛房CBを記憶部30に時系列に格納する。前記のように、以上の処理は、例えば動物管理装置1が動作中は、各ウシCについて、一定時間間隔、例えば1秒ごとに繰り返し実行され、各ウシCについての行動記録が蓄積される。
【0062】
次に、動物管理装置1が実行する牛房CB内のウシCの体調を判定し、出力する処理の流れの一例について
図7を参照しながら説明する。
図7は、動物管理装置1が実行する体調出力処理のうち牛房CB内のウシCの体調を判定し、出力する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS21において、記憶処理部12は、牛房CBに属する全てのウシCの行動量を記憶部30から抽出する。
【0064】
ステップS22において、代表値決定部14は、ステップS21で抽出した牛房CB内の全てのウシCの行動量の平均値である牛群平均を算出する。
【0065】
ステップS23において、体調出力処理部15は、一のウシCの行動量と牛群平均との差分を算出する。
【0066】
ステップS24において、体調出力処理部15は、ステップS23で算出した差分が正常範囲内であるか否かを判定する。体調出力処理部15は、一のウシCの行動量と牛群平均との差分が正常範囲内でないと判定した場合(ステップS24;No)、一のウシCの体調が良いとし、判定結果を入出力部40に出力し、処理をステップS25に移行させる。そして、ステップS25において、体調出力処理部15は、一のウシCの体調が不調であるとし、判定結果を入出力部40に出力して警報を発生させる。そして、処理をステップS26に移行させる。一方で、体調出力処理部15は、一のウシCの行動量と牛群平均との差分が正常範囲内であると判定した場合(ステップS24;Yes)、ステップS25を介さずに処理をステップS26に移行させる。なお、ステップS23及びステップS24の処理を、一のウシCの行動量がステップS22で取得した代表値よりも一定時間以上連続して低い場合に体調が不調であると判定し、それ以外の場合に体調が良いと判定する処理に変更してもよい。また例えば、代表値及び一のウシCの活動状態情報と、一のウシCの体調の組を教師データとして予め学習モデルを構築し、該学習モデルを用いて、未知のウシの活動状態が入力されたらこの未知のウシの体調を推定する構成でもよい。
【0067】
ステップS26において、処理部10は、牛房CB内の全てのウシCに対する体調出力処理が完了したか否かを判定する。牛房CB内の全てのウシCに対する体調出力処理が完了していないと判定した場合(ステップS26;No)、処理をステップS23に戻し、他のウシCに対する体調出力処理を進める。一方で、牛房CB内の全てのウシCに対する体調出力処理が完了したと判定した場合(ステップS26;Yes)、体調出力処理において動物管理装置1が実行する処理が終了する。
【0068】
次に、牛房CB1~CB3における牛群平均と一のウシCの行動量の推移の一例について説明する。
図8Aは、牛房CB1内で飼育されている全てのウシCの牛群平均と一のウシCの行動量の推移を示すグラフである。
図8Bは、牛房CB1の牛群平均と一のウシCの行動量の差分の推移を示すグラフである。
図9Aは、牛房CB2内で飼育されている全てのウシCの牛群平均と一のウシCの行動量の推移を示すグラフである。
図9Bは、牛房CB2の牛群平均と一のウシCの行動量の差分の推移を示すグラフである。
図10Aは、牛房CB3内で飼育されている全てのウシCの牛群平均と一のウシCの行動量の推移を示すグラフである。
図10Bは、牛房CB3内で飼育されている全てのウシCの牛群平均と一のウシCの行動量の差分の推移を示すグラフである。
図8A、
図9A、及び
図10Aの縦軸は日別の行動量(m/日)を示し、横軸は日付を示している。
図8A、
図9A、及び
図10Aにおいて、実線は一のウシCの行動量を示し、破線は牛群平均を示している。
図8B、
図9B、及び
図10Bの縦軸は日別の牛群平均と一のウシCの行動量との差分(m/日)を示し、横軸は日付を示している。
【0069】
図8A、
図9A、及び
図10Aに示すように、牛房CBに応じて牛群平均の推移の傾向が異なることが確認できる。例えば牛房CB1は、
図8Aに示すように牛群平均が約500m/日から約800m/日の範囲で推移しており、他の牛房CBに比べて行動量が少なく比較的大人しい群れであると推定できる。牛房CB2は、
図9Aに示すように牛群平均が約700m/日から約900m/日の範囲で推移しており、日毎の行動量の変化が少ない群れであると推定できる。また牛房CB3は、
図10Aに示すように牛群平均が約650m/日から約1000m/日の範囲で推移しており、他の牛房CBに比べて行動量が高く比較的活発な群れであると推定できる。
【0070】
図8Bに示すように、牛房CB1の一のウシCは、8月10日~12日にかけて牛群平均と比較して行動量が100m/日以上低下しているので、体調が不調であると判定できる。このとき、8月10日や11日における一のウシCの行動量自体は2,3日前の行動量に比べて上昇しているが、牛群平均を考慮すると群れ全体の行動量が増加したために一のウシ群れ全体の行動量が上昇していることが把握できる。動物管理システムSでは、群れと同様に行動する傾向のあるウシCの社会性を加味して体調を判定するので、たとえ一のウシCの行動量が上昇する場合であっても、一のウシCの体調の変化をより正確に判定できる。
【0071】
また
図10Bに示すように、牛房CB3の一のウシCは、8月17日~23日にかけて牛群平均と比較して行動量が50以上低下している。動物管理装置1は、例えば所定の日数、一のウシCの行動量が代表値よりも所定の閾値以上低い場合に、体調が不調であると判定してもよい。これにより、体調が不調であるウシCをより正確に検出できる。
【0072】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0073】
本実施形態に係る動物管理装置1は、所定の領域内に存在する複数の動物それぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得部13と、複数のウシCの活動状態情報の代表値を決定する代表値決定部14と、代表値と一のウシCの活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力する体調出力処理部15と、を備える。
【0074】
これにより、1つの群れの活動状態情報の代表値と一の動物の活動状態情報を比較して動物1個体の体調を判定し、出力するので、複数の動物によって形成される群れに対しても該群れ内の動物の個々の体調の変化をより早期に把握できる。このように群れ全体の活動状態と比較して体調を判定するので、複数のウシCによって形成される群れ内の各ウシCの体調の変化をより早期に把握することができる。
【0075】
本実施形態に係る動物管理装置1において、体調出力処理部15は、代表値と一のウシCの定量化された活動状態情報との差分が正常範囲内であるか否を判定し、差分が正常範囲外である場合に一のウシCの体調が不調であると判定する。
【0076】
これにより、1つの群れの中から体調が不調である個体を簡易的な処理で早期に発見できる。
【0077】
本実施形態に係る動物管理装置1において、体調出力処理部15は、一のウシCの定量化された活動状態情報が代表値よりも所定の閾値以上低い場合に一のウシCの体調が不調であると判定する。
【0078】
これにより、1つの群れの中から体調が不調である個体を簡易的な処理で早期に発見できる。
【0079】
本実施形態に係る動物管理装置1において、体調出力処理部15は、一のウシCの定量化された活動状態情報が代表値よりも一定時間以上連続して低い場合に一のウシCの体調が不調であると判定する。
【0080】
これにより、1つの群れの中から体調が不調である個体を簡易的な処理で早期に発見できる。
【0081】
本実施形態に係る動物管理装置1において、活動状態情報は、ウシCが存在する位置を示す位置情報、ウシCに設けた加速度センサから取得される加速度情報、及びウシCに設けた角速度センサから取得される角速度情報の少なくともいずれかに基づいて算出されたウシCの行動量である。
【0082】
これにより、簡易的な処理でより正確に体調の不調を判定できる。
【0083】
本実施形態に係る動物管理装置1において、代表値決定部14は、複数のウシCの行動量に基づいてウシCの行動類型を特定し、特定された行動類型に基づいて代表値を決定する。
【0084】
これにより、ウシCの群れの行動をより正確に反映した代表値を決定できる。
【0085】
本実施形態に係る動物管理装置1において、代表値は、複数のウシCの定量化された活動状態情報の平均値、中央値、標準偏差、分散、四分位範囲、最大値、及び最小値のいずれかである。
【0086】
これにより、簡易的な処理でウシCの群れの代表値を決定できる。
【0087】
また本実施形態に係るプログラムは、所定の領域内に存在する複数のウシCそれぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得機能と、複数のウシCの活動状態情報の代表値を決定する代表値決定機能と、代表値と一のウシCの活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力する体調出力処理機能と、をコンピュータに実行させる。
【0088】
これにより、1つの群れの活動状態情報の代表値と一の動物の活動状態情報を比較して動物1個体の体調を判定し、出力するので、複数の動物によって形成される群れに対しても該群れ内の動物の個々の体調の変化をより早期に把握できる。このように群れ全体の活動状態と比較して体調を判定するので、複数のウシCによって形成される群れ内の各ウシCの体調の変化をより早期に把握することができる。
【0089】
また本実施形態に係る体調出力方法は、動物管理装置1が実行するウシCの体調出力方法であって、所定の領域内に存在する複数のウシCそれぞれの活動状態を示す情報である活動状態情報を取得する活動状態情報取得ステップと、複数のウシCの活動状態情報の代表値を決定する代表値決定ステップと、代表値と一のウシCの活動状態情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力する体調出力処理ステップと、を含む。
【0090】
これにより、1つの群れの活動状態情報の代表値と一のウシCの活動状態情報を比較して動物1個体の体調を判定し、出力するので、複数の動物によって形成される群れに対しても該群れ内の動物の個々の体調の変化をより早期に把握できる。このように群れ全体の活動状態と比較して体調を判定するので、複数のウシCによって形成される群れ内の各ウシCの体調の変化をより早期に把握することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0092】
上記実施形態では、位置情報検出部22を備えるセンサ装置2からウシCの位置情報を取得し、該位置情報に基づいて活動状態情報としての行動量を取得していたが、例えば活動状態情報取得部13は、ウシCに取り付けられた温度センサからウシCの体温情報を活動状態情報として取得してもよい。そして、体調出力処理部15は、1つの牛房CBにおける複数のウシCの体温情報の代表値と一のウシCの体温情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力してもよい。また例えば活動状態情報取得部13は、ウシCに取り付けられた脈拍センサからウシCの脈拍情報を活動状態情報として取得してもよい。そして、体調出力処理部15は、1つの牛房CBにおける複数のウシCの脈拍情報の代表値と一のウシCの脈拍情報とを比較し、その比較結果に基づいて一のウシCの体調を判定し、出力してもよい。
【0093】
上記実施形態では、センサ情報取得部11は、センサ装置2によって連続して検出された複数の位置情報を平均化した後に、記憶部30に送信していたが、複数の位置情報を平均化する処理を行わない構成であってもよい。この場合、活動状態情報取得部13は、平均化されていない位置情報を用いて行動量を取得してもよい。
【0094】
また例えば、活動状態情報取得部13は、行動量の時間変化に関する傾向を特定し、特定された行動量の時間変化に関する傾向に基づいて、位置情報や加速度情報、角速度情報、体温情報、脈拍情報等の時間帯毎の取得量を調整してもよい。例えば活動状態情報取得部13は、行動量の多い時間帯のウシCの位置情報の取得量を多く設定し、行動量の少ない時間帯のウシCの位置情報の取得量を少なく設定してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 動物管理装置
13 活動状態情報取得部
14 代表値決定部
15 体調出力処理部
C ウシ(動物)