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特開2023-180615映像配信システム、エッジサーバ及び映像配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180615
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】映像配信システム、エッジサーバ及び映像配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/4728 20110101AFI20231214BHJP
   H04N 21/2662 20110101ALI20231214BHJP
   H04N 21/6377 20110101ALI20231214BHJP
【FI】
H04N21/4728
H04N21/2662
H04N21/6377
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094060
(22)【出願日】2022-06-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】椎名 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】福井 達也
(72)【発明者】
【氏名】小野 央也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
(72)【発明者】
【氏名】藤橋 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 翼
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 俊介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 尚
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA06
5C164GA03
5C164SA11S
5C164SB41S
5C164SC03P
5C164TB35
5C164UB82
5C164UD44P
5C164YA07
5C164YA12
(57)【要約】
【課題】本開示は、配信されたVR映像に対するユーザの体感品質を維持しながら、VR映像配信の低遅延化を目的とする。
【解決手段】本開示は、映像ソースからの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工し、複数の品質で圧縮符号化して送信するサーバと、前記サーバから受信した複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するエッジサーバと、前記エッジサーバに前記ユーザの視聴状況を送信し、前記エッジサーバからの選択された品質で圧縮符号化されたVR映像を受信するユーザ装置と、を備える映像配信システムである。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像ソースからの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工し、複数の品質で圧縮符号化して送信するサーバと、
前記サーバから受信した複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するエッジサーバと、
前記エッジサーバに前記ユーザの視聴状況を送信し、前記エッジサーバからの選択された品質で圧縮符号化されたVR映像を受信するユーザ装置と、
を備える映像配信システム。
【請求項2】
前記サーバは、複数の品質で圧縮符号化したVR映像をさらにタイルに分割して前記エッジサーバに送信し、
前記エッジサーバは、前記サーバから受信した複数の品質で圧縮符号化され、タイルに分割されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質のVR映像を前記ユーザ装置に配信し、
前記ユーザ装置は、ユーザのVR映像に対する視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を前記ユーザの視聴状況として前記エッジサーバに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像配信システム。
【請求項3】
前記エッジサーバは、前記サーバからの複数の品質で圧縮符号化されたVR映像をタイルに分割し、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質のVR映像を前記ユーザ装置に配信し、
前記ユーザ装置は、ユーザのVR映像に対する視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を前記ユーザの視聴状況として前記エッジサーバに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像配信システム。
【請求項4】
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像配信システム。
【請求項5】
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にマルチキャスト配信する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像配信システム。
【請求項6】
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にブロードキャスト配信する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像配信システム。
【請求項7】
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度のより多いタイルについてより高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度のより少ないタイルについてより低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択するよう3以上のレベルに分類し、いずれかのレベルで二分し、各ユーザ装置に、より高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをマルチキャスト配信し、他のVR映像のタイルをユニキャスト配信する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像配信システム。
【請求項8】
前記エッジサーバは、前記ユーザ装置から受信した高優先度のタイル番号に対応するタイルについてはより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする請求項7に記載の映像配信システム。
【請求項9】
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度のより多いタイルについてより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のより少ないタイルについてより低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択するよう3以上のレベルに分類し、いずれかのレベルで三分し、各ユーザ装置に、より高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをマルチキャスト配信し、より低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをブロードキャスト配信し、残りの中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユニキャスト配信する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の映像配信システム。
【請求項10】
前記エッジサーバは、前記ユーザ装置から受信した高優先度のタイル番号に対応するタイルについてはより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする請求項9に記載の映像配信システム。
【請求項11】
複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するエッジサーバ。
【請求項12】
複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信する映像配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、VR映像のユーザの体感品質を維持しながら、映像配信の低遅延化を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ネットワークを通じて離れた場所にいながら、共同作業や遠隔作業を行うニーズが増えてきた。共同作業や遠隔作業を行う上で、ユーザに、よりリアルな体感を与え、高い没入感を得るためには、従来のような2次元映像に加えて、VRへの対応が求められている。VRに対応したシステムでは、ネットワークを通じて複数ユーザが同時に同一のVR空間を共有する。各ユーザは有線/無線VRヘッドセットを通じてVR空間のうち、一部を視聴する。
【0003】
VR映像を配信する方法として、サーバとユーザ装置間の許容帯域に応じてVR映像を符号化する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。VR映像を複数の品質段階に分けて、品質段階に応じて圧縮符号化し、サーバとユーザ装置間の許容帯域に合わせた圧縮符号化したVR映像を配信するものである。
【0004】
VR映像をタイル分割して配信する技術には、タイル分割した映像を、ユーザの視線情報を活用して、ユーザの視聴領域を高品質に圧縮符号化し、それ以外を低品質に圧縮符号化して配信する技術も提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】G. He, J. Hu, H. Jiang and Y. Li, “Scalable Video Coding Based on User′s View for Real-Time Virtual Reality Applications,“ in IEEE Communications Letters, vol. 22, no. 1, pp. 25-28, Jan. 2018.
【非特許文献2】Lungaro, Pietro, et al. ”Gaze-aware streaming solutions for the next generation of mobile VR experiences,“ IEEE transactions on visualization and computer graphics, vol. 24, no. 4, pp-1535-1544, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、VR映像は年々高解像度化しており、非特許文献1~3の技術を適用したとしても、ネットワークトラヒックの増大につながっている。そのため、VR映像配信の遅延が増大し、配信されたVR映像に対するユーザの体感品質の劣化となっている。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、配信されたVR映像に対するユーザの体感品質を維持しながら、VR映像配信の低遅延化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本開示の映像配信システムでは、映像ソースからの映像を配信するために、サーバ及びエッジサーバの階層化アーキテクチャを適用することとした。
【0009】
具体的には、本開示は、
映像ソースからの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工し、複数の品質で圧縮符号化して送信するサーバと、
前記サーバから受信した複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するエッジサーバと、
前記エッジサーバに前記ユーザの視聴状況を送信し、前記エッジサーバからの選択された品質で圧縮符号化されたVR映像を受信するユーザ装置と、
を備える映像配信システム
である。
【0010】
また、本開示は、
前記サーバは、複数の品質で圧縮符号化したVR映像をさらにタイルに分割して前記エッジサーバに送信し、
前記エッジサーバは、前記サーバから受信した複数の品質で圧縮符号化され、タイルに分割されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質のVR映像を前記ユーザ装置に配信し、
前記ユーザ装置は、ユーザのVR映像に対する視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を前記ユーザの視聴状況として前記エッジサーバに送信する
ことを特徴とする。
【0011】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、前記サーバからの複数の品質で圧縮符号化されたVR映像をタイルに分割し、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質のVR映像を前記ユーザ装置に配信し、
前記ユーザ装置は、ユーザのVR映像に対する視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を前記ユーザの視聴状況として前記エッジサーバに送信する
ことを特徴とする。
【0012】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0013】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にマルチキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0014】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、選択した品質のVR映像を前記複数のユーザ装置にブロードキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0015】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度のより多いタイルについてより高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度のより少ないタイルについてより低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択するよう3以上のレベルに分類し、いずれかのレベルで二分し、各ユーザ装置に、より高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをマルチキャスト配信し、他のVR映像のタイルをユニキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0016】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、前記ユーザ装置から受信した高優先度のタイル番号に対応するタイルについてはより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0017】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、複数のユーザ装置からのユーザの視聴状況に応じて、高優先度のより多いタイルについてより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のより少ないタイルについてより低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択するよう3以上のレベルに分類し、いずれかのレベルで三分し、各ユーザ装置に、より高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをマルチキャスト配信し、より低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをブロードキャスト配信し、残りの中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユニキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0018】
また、本開示は、
前記エッジサーバは、前記ユーザ装置から受信した高優先度のタイル番号に対応するタイルについてはより高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルを選択し、高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置にユニキャスト配信する
ことを特徴とする。
【0019】
また、本開示は、
複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するエッジサーバ
である。
【0020】
また、本開示は、
複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信する映像配信方法
である。
【0021】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本開示は、配信されたVR映像に対するユーザの体感品質を維持しながら、映像配信の低遅延化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図2】本開示の映像配信システムのタイル構造を説明する図である。
図3】本開示の映像配信システムのタイル構造を説明する図である。
図4】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図5】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図6】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図7】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図8】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図9】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図10】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図11】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
図12】本開示の映像配信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0025】
(実施形態1)
本実施形態の映像配信システムを図1に示す。本実施形態の映像配信システムは、映像ソース11、サーバ12、通信ネットワーク13、エッジサーバ14及びユーザ装置15を備える。図1を使用して映像配信方法を説明する。
【0026】
サーバ12は、映像ソース11からの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工する。具体的には、複数の映像を繋ぎ合わせるスティッチング処理及び球面マッピング処理を行う。さらに、VR映像を複数の品質で圧縮符号化し、通信ネットワーク13を介して、圧縮符号化した全ての品質のVR映像をエッジサーバ14に配信する。
【0027】
エッジサーバ14は、サーバ12からの複数の品質で圧縮符号化されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質で圧縮符号化されたVR映像をユーザ装置15に配信する。サーバ12とエッジサーバ14との間は、通信ネットワーク13で接続されている。
【0028】
ユーザ装置15は、エッジサーバ14にユーザの視聴状況を送信し、選択された品質で圧縮符号化されたVR映像をエッジサーバ14から受信する。ユーザは、ユーザ装置15を介してVR映像を視聴する。
【0029】
本実施形態の映像配信システムでは、VR映像の配信に、映像ソース11とユーザ装置15との間に、サーバ12及びエッジサーバ14を設ける階層化アーキテクチャを適用することにより、映像ソース11とサーバ12との間のデータ量を削減できるため、映像配信の低遅延化を実現することができる。また、エッジサーバ14を経由してもユーザの体感品質を維持することができる。
【0030】
(実施形態2)
ユーザの視聴状況に応じて低遅延の映像配信を可能とするために、映像をタイルに分割する。360度映像をタイルに分割する方法を図2に示す。360度映像(図2(1))に対して、行で分割してもよいし(図2(2))、列で分割してもよいし(図2(3))、行列のブロックに分割してもよいし(図2(4))、これらの混合でもよい(図2(5))。タイル分割領域はすべて均等でなくてもよい。例えば、配信するVR映像に応じて、領域の大きさを変えてもよい。視聴領域が限定される場合は、その領域を小さくしてもよい。
【0031】
以後の実施形態では、4×4行列のブロックに分割したタイル配列の例で説明する。図3に4×4行列のブロックに分割したタイル配列の例を示す。タイルには、t0からt11のタイル番号が割り当てられている、
【0032】
本実施形態の映像配信システムを図4に示す。本実施形態の映像配信システムは、映像ソース11、サーバ12、通信ネットワーク13、エッジサーバ14及びユーザ装置15を備える。
【0033】
サーバ12は、映像ソース11からの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工し、複数の品質で圧縮符号化する。その後、複数の品質で圧縮符号化したVR映像を図3のようなタイルに分割する。さらに、通信ネットワーク13を介して、タイルに分割した全ての品質のVR映像をエッジサーバ14に送信する。図4の例では、VR映像を例えば5段階の品質で圧縮符号化を行っている。「5」が最も高品質で、「1」が最も低品質としている。以下の実施形態でも同様である。
【0034】
エッジサーバ14は、サーバ12から受信した複数の品質で圧縮符号化され、タイルに分割されたVR映像の中から、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質で圧縮符号化されたVR映像をユーザ装置15に配信する。
【0035】
ユーザ装置15は、ユーザのVR映像に対する視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を視聴状況としてエッジサーバ14に送信する。例えば、視線検出装置(不図示)が、VR映像のタイルのうちで、ユーザが視線を向けているタイルのタイル番号を高優先度のタイル番号として抽出し、ユーザ装置15が、抽出された高優先度のタイル番号を視聴状況としてエッジサーバ14に送信する。
【0036】
図4の例では、エッジサーバ14は、ユーザ装置15からの高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5又はt6、t7、t10、t11を受信し、高優先度のタイル番号に相当するタイルには「5」の高品質のVR映像を選択し、それ以外のタイルには「2」の低品質のVR映像を選択して、それぞれのユーザ装置15に配信する。ユーザ装置15は、タイルごとに選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を受信する。低品質で符号化されたVR映像はデータ量が小さくなるため、映像配信を低遅延で行うことができる。
【0037】
高優先度に対応する品質が選択されたタイルは「5」の高品質のVR映像を選択し、低優先度に対応する品質が選択されたタイルは「2」の低品質のVR映像を選択しているが、高品質か低品質かは相対的な関係である、高優先度のタイルを高優先度でないタイルよりも高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する趣旨である。
【0038】
図4では、VR映像の品質を5段階としているが、この値は例示である。また、高優先度の数の多少を高優先度の有無の2段階のレベルとしているが、3以上にレベル分けしてもよい。
【0039】
本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに複数の品質の中から選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するため、体感品質を維持しながら、低遅延の映像配信を可能とすることができる。
【0040】
(実施形態3)
本実施形態の映像配信システムを図5に示す。本実施形態の映像配信システムは、映像ソース11、サーバ12、通信ネットワーク13、エッジサーバ14及びユーザ装置15を備える。
【0041】
タイルに分割するのがサーバ12ではなく、エッジサーバ14である点が実施形態2との違いである。
【0042】
サーバ12は、映像ソース11からの映像をVR(Virtual Reality)映像に加工し、複数の品質で圧縮符号化する。さらに、通信ネットワーク13を介して、複数の品質で圧縮符号化した全ての品質のVR映像をエッジサーバ14に送信する。図5の例では、VR映像を例えば5段階の品質で圧縮符号化を行っている。
【0043】
エッジサーバ14は、サーバ12からの複数の品質で圧縮符号化されたVR映像をタイルに分割し、分割したVR映像をユーザの視聴状況に応じてタイルごとに選択した品質で圧縮符号化されたVR映像をユーザ装置15に配信する。
【0044】
ユーザ装置15は、エッジサーバ14は、ユーザ装置15からの高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5又はt6、t7、t10、t11を受信し、高優先度のタイル番号に相当するタイルには「5」の高品質のVR映像を選択し、それ以外のタイルには「2」の低品質のVR映像を選択して、それぞれのユーザ装置15に配信する。ユーザ装置15は、タイルごとに選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を受信する。低品質で符号化されたVR映像はデータ量が小さくなるため、映像配信を低遅延で行うことができる。
【0045】
図5の例では、エッジサーバ14は、ユーザ装置15からの高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5又はt6、t7、t10、t11を受信し、高優先度のタイル番号に想到するタイルには「5」の高品質のVR映像を選択し、それ以外のタイルには低品質のVR映像を選択して、それぞれのユーザ装置15に配信する。低品質符号化したVR映像はデータ量が小さくなるため、映像配信を低遅延で行うことができる。
【0046】
高優先度に対応する品質が選択されたタイルは「5」の高品質のVR映像を選択し、低優先度に対応する品質が選択されたタイルは「2」の低品質のVR映像を選択しているが、高品質か低品質かは相対的な関係である、高優先度のタイルを高優先度でないタイルよりも高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する趣旨である。
【0047】
図5では、VR映像の品質を5段階としているが、この値は例示である。また、高優先度の数の多少を高優先度の有無の2段階のレベルとしているが、3以上にレベル分けしてもよい。
【0048】
本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じてタイルごとに複数の品質の中から選択した品質で圧縮符号化されたVR映像を配信するため、体感品質を維持しながら、低遅延の映像配信を可能とすることができる。
【0049】
(実施形態4)
本実施形態の映像配信システムを図6図7及び図8に示す。本実施形態の映像配信システムは、実施形態2又は実施形態3の中でエッジサーバ14及びユーザ装置15に的を絞って、エッジサーバ14の複数の品質からなるVR映像のタイルの選択及び配信を説明する。
【0050】
複数のユーザ装置15は、ユーザの視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を視聴状況としてエッジサーバ14に送信する。エッジサーバ14は、タイルごとに高優先度の数でレベル分けし、高優先度の多いタイルについて高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。高優先度のレベル分けを決める数は、予め設定してもよいし、任意に変更してもよい。
【0051】
図6図7及び図8の例では、高優先度の多いタイルと高優先度の少ないタイルの2つのレベルに分け、高優先度の多いタイルについて段階「5」の高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の少ないタイルについて段階「2」の低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。例として、2つのユーザ装置15からの「高優先度のタイル番号」の和集合をとっている。例えば、高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5と高優先度のタイル番号t4、t5、t8、t9の和集合はt0、t1、t4、t5、t8、t9である。つまり、いずれかのユーザ装置15が高優先度としたタイルについて、段階「5」の高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、いずれのユーザ装置15も高優先度としなかったタイルについて、段階「2」の低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。
【0052】
図6図7及び図8の例では、VR映像の品質を5段階としているが、この値は例示である。また、高優先度の数の多少を高優先度の有無の2段階のレベルとしているが、3以上にレベル分けしてもよい。
【0053】
図6の例では、エッジサーバ14は、共通して選択した品質のタイルからなるVR映像を各ユーザ装置15にユニキャスト配信する。ユニキャスト配信で高信頼な映像配信ができる。
【0054】
従って、本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質のVR映像をユニキャスト配信することにより、高信頼で低遅延な映像配信を可能とすることができる。
【0055】
図7の例では、エッジサーバ14は、共通して選択した品質のタイルからなるVR映像を各ユーザ装置15にマルチキャスト配信する。マルチキャスト配信ではデータ量が少なく、低遅延な映像配信が可能となる。
【0056】
従って、本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質のVR映像をマルチキャスト配信することにより、高信頼でより低遅延な映像配信を可能とすることができる。
【0057】
図8の例では、エッジサーバ14は、共通して選択した品質のタイルからなるVR映像を各ユーザ装置15にブロードキャスト配信する。ブロードキャスト配信では、データ量が少なく、また、双方向のネゴシエーションがない分、遅延が小さい。
【0058】
従って、本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質のVR映像をブロードキャスト配信することにより、さらに低遅延な映像配信を可能とすることができる。
【0059】
(実施形態5)
本実施形態の映像配信システムを図9から図12に示す。本実施形態の映像配信システムは、実施形態2又は実施形態3の中でエッジサーバ14及びユーザ装置15に的を絞って、エッジサーバ14の複数の品質からならVR映像のタイルの選択及び配信を説明する。
【0060】
ユーザ装置15は、ユーザの視線情報に基づき抽出された高優先度のタイル番号を視聴状況としてエッジサーバ14に送信する。エッジサーバ14は、タイルごとに高優先度の数でレベル分けし、高優先度のより多いタイルについて、より高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度のより少ないタイルについて、より低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択するよう3以上のレベルに分類する。高優先度のレベル分けを決める数は、予め設定してもよいし、任意に変更してもよい。
【0061】
高優先度が多いか少ないかは相対的関係であり、高優先度の数に応じて3以上のレベルに分類する趣旨である。高品質か低品質かは相対的な関係であり、高優先度の多いタイルについて、高優先度の少ないタイルよりも高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する趣旨である。例えば、高優先度の数に応じて3レベルに分類する場合、高優先度の数が中位のタイルについて、中品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の数のより多いタイルについて、高優先度の数が中位のタイルよりもより高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の数のより少ないタイルについて、高優先度の数が中位のタイルよりもより低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。
【0062】
なお、エッジサーバ14は、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号に対応するタイルについては、高優先度の多いタイルと同じように、より高品質で圧縮符号化されたVR映像を、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置15用に選択してもよい。
【0063】
図9及び図10の例では、高優先度のより多いタイル、高優先度の数が中位のタイル、高優先度のより少ないタイルの3つのレベルに分け、高優先度の数がより多いタイルについて段階「5」で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の数が中位のタイルについて段階「3」の中品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、高優先度の数がより少ないタイルについて段階「2」の低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。例として、2つのユーザ装置15からの「高優先度のタイル番号」の積集合と和集合をとっている。例えば、高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5と高優先度のタイル番号t5、t6、t9、t10の積集合はt5であり、高優先度のタイル番号t0、t1、t4、t5と高優先度のタイル番号t5、t6、t9、t10の和集合はt0、t1、t4、t5、t6、t9、t10である。つまり、いずれのユーザ装置15も高優先度としたタイルt5のタイルについて段階「5」の高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、いずれかのユーザ装置15が高優先度としたt0、t1、t4、t6、t9、t10のタイルについて、段階「3」の中品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、いずれのユーザ装置15も高優先度としなかった残りのタイルについて段階「2」の低品質で圧縮符号化されたVR映像を選択する。
【0064】
また、図11に示すように、エッジサーバ14は、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号t0、t1、t4に対応するタイルについては、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置用に高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、タイル番号t6、t9、t10に対応するタイルについては、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置用に高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択してもよい。
【0065】
図9から図12の例では、圧縮符号化の品質を「1」から「5」の5段階のレベルとしているが、3以上の段階にレベル分けしてもよい。
【0066】
図9の例では、エッジサーバ14は、選択したVR映像のタイルのうち、高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルと中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイル及び低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルとに二分し、高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユーザ装置15にマルチキャスト配信し、他のタイル、即ち、中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイル及び低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユーザ装置15にユニキャスト配信している。ユニキャスト配信では高信頼な映像配信が可能となる。マルチキャスト配信ではデータ量が少なく、低遅延な映像配信が可能となる。
【0067】
また、図11に示すように、エッジサーバ14は、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号t0、t1、t4に対応するVR映像のタイルについては、高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置15にユニキャスト配信してもよい。同様に、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号t6、t9、t10に対応するVR映像のタイルについては、高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置15にユニキャスト配信してもよい。
【0068】
従って、本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じて選択した品質のVR映像の配信に、マルチキャスト配信及びユニキャスト配信を組み合わせることにより、高信頼で低遅延な映像配信を可能とすることができる。
【0069】
図10の例では、エッジサーバ14は、選択したVR映像のタイルのうち、高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイル、中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイル及び低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルに三分し、高品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユーザ装置15にマルチキャスト配信し、中品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユーザ装置15にユニキャスト配信し、低品質で圧縮符号化されたVR映像のタイルをユーザ装置15にブロードキャスト配信している。ユニキャスト配信では高信頼な映像配信が可能となる。マルチキャスト配信ではデータ量が少なく、低遅延な映像配信が可能となる。ブロードキャスト配信では、データ量が少なく、また、双方向のネゴシエーションがない分、遅延が小さい。
【0070】
また、図12に示すように、エッジサーバ14は、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号t0、t1、t4に対応するVR映像のタイルについては、高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置15にユニキャスト配信してもよい。同様に、ユーザ装置15から受信した高優先度のタイル番号t6、t9、t10に対応するVR映像のタイルについては、高品質で圧縮符号化されたVR映像を選択し、その高優先度のタイル番号を送信したユーザ装置15にユニキャスト配信してもよい。
【0071】
従って、本実施形態の映像配信システムでは、ユーザの視聴状況に応じて各種品質で圧縮符号化したVR映像をタイルごとに選択し、マルチキャスト配信、ユニキャスト配信及びブロードキャスト配信を組み合わせることにより、高信頼で低遅延な映像配信を可能とすることができる。
【0072】
以上説明したように、本開示によれば、配信されたVR映像に対するユーザの体感品質を維持しながら、映像配信の低遅延化を実現することができる。
【0073】
本開示のエッジサーバはコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、通信ネットワークを通して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
11:映像ソース
12:サーバ
13:通信ネットワーク
14:エッジサーバ
15:ユーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12