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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032999
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】食品切断装置及び食品切断方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/24 20060101AFI20230302BHJP
   B26D 1/553 20060101ALI20230302BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B26D3/24 Z
B26D1/553
B26D3/26 605A
B26D3/26 605E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139431
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堂本 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 俊和
(72)【発明者】
【氏名】藤山 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】石坂 信太
(72)【発明者】
【氏名】田中 元章
(72)【発明者】
【氏名】西田 祥太郎
(57)【要約】
【課題】部品点数やコストの削減が図れるだけでなく、切断された食品の形の乱れを抑制できる食品切断装置及び食品切断方法を提供する。
【解決手段】食品切断装置1は、食品Eを保持し、保持した食品Eを押し上げる押し上げ部3と、押し上げられた食品Eを切断する切断部4と、を備え、押し上げ部3は、食品Eを保持する食品保持部311aと、食品保持部311aを昇降させる昇降部32と、を備え、食品保持部311aは、切断部4の下方であり、切断前の食品Eを保持する切断前食品保持位置と、切断部4の上方であり、切断部4を通り抜けて切断された食品Eを取り出し可能に保持する切断後食品保持位置と、の間を昇降する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を切断する食品切断装置であって、
食品を保持し、保持した食品を押し上げる押し上げ部と、
押し上げられた食品を切断する切断部と、を備え、
前記押し上げ部は、
食品を保持する食品保持部と、
前記食品保持部を昇降させる昇降部と、を備え、
前記食品保持部は、
前記切断部の下方であり、切断前の食品を保持する切断前食品保持位置と、
前記切断部の上方であり、前記切断部を通り抜けて切断された食品を取り出し可能に保持する切断後食品保持位置と、の間を昇降する、食品切断装置。
【請求項2】
前記食品保持部は、
食品を保持する凹部と、
少なくとも前記凹部の側壁に形成され、前記切断部を通り抜け可能にする複数のスリット部と、を備える、請求項1に記載の食品切断装置。
【請求項3】
前記食品保持部は、前記凹部の側壁内周部に形成され、食品をセンターリングするテーパ部をさらに備える、請求項2に記載の食品切断装置。
【請求項4】
前記切断部は、食品の切断線に沿うように張設されたワイヤを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の食品切断装置。
【請求項5】
食品を導入する食品導入部と、
導入された食品を前記食品保持部に誘導する食品誘導部と、をさらに備え、
前記食品誘導部は、誘導する食品をセンターリングするテーパ部を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品切断装置。
【請求項6】
前記食品導入部に対して食品を1つずつ供給する食品供給部をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の食品切断装置。
【請求項7】
食品を切断する食品切断方法であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の食品切断装置を用いて食品を切断する、食品切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品切断装置及び食品切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<背景技術の説明>
従来、茹卵などの食品を切断する食品切断装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
<特許文献1の説明>
例えば、特許文献1に記載の食品切断装置は、食品を断続的に供給する供給手段と、食品を櫛切りする切断手段と、切断手段に向かって水平方向に食品を押し出す押出手段と、切断された食品を受け取る受取手段と、を備える。
【0004】
<要望される技術-1>
しかしながら、特許文献1に記載の食品切断装置は、切断された食品を受け取る専用の受取手段を備えるので、部品点数が増加してコスト高になるだけでなく、押出手段から受取手段に食品が受け渡される際に、切断された食品の形が乱れ、その後の作業(例えば、盛り付け作業)の効率が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-15109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
<背景技術の課題>
そこで、本発明の目的は、部品点数やコストの削減が図れるだけでなく、切断された食品の形の乱れを抑制できる食品切断装置及び食品切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1の内容>
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、食品を切断する食品切断装置であって、食品を保持し、保持した食品を押し上げる押し上げ部と、押し上げられた食品を切断する切断部と、を備え、前記押し上げ部は、食品を保持する食品保持部と、前記食品保持部を昇降させる昇降部と、を備え、前記食品保持部は、前記切断部の下方であり、切断前の食品を保持する切断前食品保持位置と、前記切断部の上方であり、前記切断部を通り抜けて切断された食品を取り出し可能に保持する切断後食品保持位置と、の間を昇降する。
【0008】
<請求項2の内容>
(2)本発明は、上記(1)の構成において、前記食品保持部は、食品を保持する凹部と、少なくとも前記凹部の側壁に形成され、前記切断部を通り抜け可能にする複数のスリット部と、を備える。
【0009】
<請求項3の内容>
(3)本発明は、上記(2)の構成において、前記食品保持部は、前記凹部の側壁内周部に形成され、食品をセンターリングするテーパ部をさらに備える。
【0010】
<請求項4の内容>
(4)本発明は、上記(1)~(3)のいずれかの構成において、前記切断部は、食品の切断線に沿うように張設されたワイヤを有する。
【0011】
<請求項5の内容>
(5)本発明は、上記(1)~(4)のいずれかの構成において、食品を導入する食品導入部と、導入された食品を前記食品保持部に誘導する食品誘導部と、をさらに備え、前記食品誘導部は、誘導する食品をセンターリングするテーパ部を備える。
【0012】
<請求項6の内容>
(6)本発明は、上記(1)~(5)のいずれかの構成において、前記食品導入部に対して食品を1つずつ供給する食品供給部をさらに備える。
【0013】
<請求項7の内容>
(7)本発明は、食品を切断する食品切断方法であって、(1)~(6)のいずれか1つの構成の食品切断装置を用いて食品を切断する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部品点数やコストの削減が図れるだけでなく、切断された食品の形の乱れを抑制できる食品切断装置及び食品切断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る食品切断装置の概略正面図である。
図2】食品切断装置の概略側面図である。
図3】食品切断装置の概略平面図である。
図4】(a)は誘導ユニット(8分割用又は2分割用)及び切断ユニット(8分割用)の平面図、(b)は誘導ユニット(8分割用又は2分割用)の正面図である。
図5】(a)は誘導ユニット(6分割用)及び切断ユニット(6分割用)の平面図、(b)は誘導ユニット(6分割用)の正面図である。
図6】(a)は押し上げユニット(8分割用又は2分割用)の概略正面図、(b)は押し上げユニット(8分割用又は2分割用)及び切断ユニット(8分割用)の平面図である。
図7】(a)は押し上げユニット(6分割用)の概略正面図、(b)は押し上げユニット(6分割用)及び切断ユニット(6分割用)の平面図である。
図8】食品切断装置の切断前食品保持状態を示す説明図である。
図9】食品切断装置の切断後食品保持状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態の説明-1>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
【0017】
<食品切断装置の構成-1>
図1は、本発明の一実施形態に係る食品切断装置の概略正面図、図2は、食品切断装置の概略側面図、図3は、食品切断装置の概略平面図である。
図1図3に示すように、本実施形態の食品切断装置1は、食品Eを切断する装置であって、食品Eを1つずつ供給する食品供給部2と、食品供給部2から供給された食品Eを保持し、保持した食品Eを押し上げる押し上げ部3と、押し上げ部3によって押し上げられた食品Eを切断する切断部4と、食品供給部2及び押し上げ部3を制御する制御部5と、を備える。
【0018】
<食品切断装置の構成-2>
本実施形態の食品切断装置1は、殻むき後の茹卵を櫛切り(例えば、2分割、6分割、8分割)にするが、切断する食品Eは、茹卵に限定されず、トマトなどであってもよい。また、食品Eの切断形態は、櫛切りに限定されず、輪切りなどであってもよい。
【0019】
<食品供給部の構成-1>
図1図3に示すように、食品供給部2は、食品Eを貯留するホッパ21と、ホッパ21内の食品Eを1列に整列された状態で搬送するシュータ22と、シュータ22の終端部に配置される第1ゲートユニット23と、第1ゲートユニット23よりも食品Eの1個分だけ搬送上流側に配置される第2ゲートユニット24と、を備える。
【0020】
<食品供給部の構成-2>
ホッパ21は、食品Eを貯留するホッパ本体211と、ホッパ本体211を食品Eの排出方向に沿って往復移動させるホッパ移動機構212と、を備える。
【0021】
<食品供給部の構成-3>
ホッパ本体211は、上方が開口して有底箱形状であり、その底面部の隅部には、食品Eをシュータ22に向けて排出する排出口211aが設けられている。また、ホッパ本体211の底面部は、ホッパ本体211に貯留された食品Eを排出口211aに導く第1傾斜面部211b及び第2傾斜面部211cを備える。
【0022】
<食品供給部の構成-4>
ホッパ本体211に大量の食品Eを投入した場合、下側の食品Eが重力で押しつぶされて排出口211aで詰まりが発生し、食品Eをシュータ22に円滑に供給できなくなる可能性がある。本実施形態では、ホッパ本体211内の底面部上方に傾斜状のスノコ211dを設けることで、排出口211a付近に食品Eが過度に供給されることを防止している。つまり、スノコ211dは、第1傾斜面部211bと逆向きの傾斜を有しており、スノコ211d上に投入された食品Eは、スノコ211dの傾斜によって第1傾斜面部211bの傾斜上流側に導かれた後、第1傾斜面部211b及び第2傾斜面部211cの傾斜によって排出口211aに導かれる。これにより、ホッパ本体211に投入された食品Eが上下方向に重なることを抑制し、排出口211aでの食品Eの詰まりを防止できる。なお、スノコ211dの間隔は、食品Eの最小幅よりも小さく設定される。
【0023】
<食品供給部の構成-5>
ホッパ移動機構212は、排出口211aでの食品Eの詰まりをより確実に防止するために設けられるものであって、食品切断装置1の上部に固定されるホッパフレーム213と、ホッパ本体211に設けられる一対のガイドレール211eと、ホッパフレーム213に設けられ、一対のガイドレール211eを移動可能に支持する複数のローラ213a~213cと、ホッパ本体211の底部とホッパフレーム213との間に介設されるシリンダ214と、を備える。
【0024】
<食品供給部の構成-6>
ホッパ本体211の排出口形成面を正面としたとき、一対のガイドレール211eは、ホッパ本体211の両側面部に食品Eの排出方向に沿って設けられる。ホッパフレーム213は、食品切断装置1の上部に沿って固定される固定部213dと、固定部213dの両側端部から上方に起立する一対の起立部213eと、を備える。複数のローラ213a~213cは、一対の起立部213eにそれぞれ設けられる。複数のローラ213a~213cには、ガイドレール211eを下側から支える一対の下部ローラ213aと、ガイドレール211eを上側から支える上部ローラ213bと、ガイドレール211aを側方から支える側部ローラ213cと、が含まれる。
【0025】
<食品供給部の構成-7>
シリンダ214は、ホッパ本体211の下方に食品Eの排出方向に沿って配置される。シリンダ214の一端側は、ホッパフレーム213に回動可能に連結され、シリンダ214の他端側は、ホッパ本体211にリンク部材214aを介して回動可能に連結されている。シリンダ214が伸縮動作すると、ホッパ本体211が食品Eの排出方向に沿って往復移動し、ホッパ本体211内の食品Eの排出が促進される。
【0026】
<食品供給部の構成-8>
シリンダ214は、所定時間毎に動作させてもよいが、食品Eが詰まったときに動作させるようにすると、無駄な動作を減らすことができる。例えば、シュート22の途中(第2ゲートユニット24よりも上流側)に食品Eを検出する食品センサ25(例えば、光学センサ)を設け、食品センサ25がシュート22上の食品Eを検出しない状態が所定時間以上続いたとき、シリンダ214を動作させる。このようにすると、ホッパ本体211に食品Eを投入するだけで、自動的に食品Eの詰まりを防止しつつ、シュート22に食品Eを確実に供給することが可能になる。
【0027】
<食品供給部の構成-9>
第1ゲートユニット23及び第2ゲートユニット24は、それぞれ、食品Eの送り出しを許容する開状態と、食品Eの送り出しを規制する閉状態と、に動作可能に構成されている。食品供給待機状態では、第1ゲートユニット23を閉状態、第2ゲートユニット24を開状態とする。この状態で、第2ゲートユニット24を閉じた後、第1ゲートユニット23を開くと、食品Eが1つ送り出される。その後、第1ゲートユニット23を閉じ、第2ゲートユニット24を開くと、食品供給待機状態に戻る。食品供給部2は、このような動作の繰り返しによって、食品Eを1つずつ供給する。
【0028】
<食品供給部の構成-10>
ホッパ本体211に食品Eを投入してから所定以上の時間が経過すると、食品Eの表面が乾燥して摩擦抵抗が大きくなることなどに起因し、第1ゲートユニット23から誘導ユニット41への供給途中で食品Eが止まってしまう可能性がある。本実施形態では、図8及び図9に示すように、第1ゲートユニット23の下流側に急激な段差部221を設け、この段差部221で食品Eの落下スピードを上げることで、食品Eの途中停止を防止している。
【0029】
<切断部の構成-1>
図1及び図2に示すように、切断部4は、食品供給部2から供給される食品Eを押し上げ部3に導く誘導ユニット41と、押し上げ部3によって押し上げられた食品Eを切断する切断ユニット42と、を備える。
【0030】
<切断部の構成-2>
図4の(a)は誘導ユニット(8分割用又は2分割用)及び切断ユニット(8分割用)の平面図、図4の(b)は誘導ユニット(8分割用又は2分割用)の正面図、図5の(a)は誘導ユニット(6分割用)及び切断ユニット(6分割用)の平面図、図5の(b)は誘導ユニット(6分割用)の正面図である。
図4及び図5に示すように、誘導ユニット41は、食品供給部2から供給される食品Eを誘導ユニット41内に導入する食品導入部411と、導入された食品Eを押し上げ部3に導く食品誘導部412と、切断ユニット42が取付けられる切断ユニット取付部413と、食品誘導部412を支持するユニットフレーム414と、食品切断装置1のフレーム部11に着脱可能に固定される固定部415と、を備える。
【0031】
<切断部の構成-3>
食品誘導部412は、スリット部412aを介して周方向に並ぶ複数の縦プレート412bによって、上下方向に開口する筒形状を構成しており、その内周部で食品Eを押し上げ部3に誘導する。食品誘導部412の内周部(縦プレート412bの内側部)には、誘導する食品Eをセンターリングするテーパ部412cが形成されている。テーパ部412cは、食品誘導部412の内周径を下側ほど小さくするように形成されており、テーパ部412cで誘導される食品Eは、食品誘導部412の中心に寄せられながら押し上げ部3に導かれる。
【0032】
<切断部の構成-4>
図1図2図4及び図5に示すように、切断ユニット42は、誘導ユニット41の切断ユニット取付部413に取付けられる環状の枠部421と、食品Eの切断線に沿うように枠部421の内側に張設されたワイヤ422と、枠部421から上方に立ち上がるガード筒423と、を備える。図4の(a)及び図5の(a)に示すように、切断ユニット42は、平面視でワイヤ422が誘導ユニット41の縦プレート412bと重なるように誘導ユニット41に対して取付けられる。なお、本実施形態の切断手段としてワイヤ422を備えるが、切断手段は、ワイヤ422に限定されず、食品Eの押し上げ方向に幅を有する切断刃の形態であってもよい。
【0033】
<押し上げ部の構成-1>
図1及び図2に示すように、押し上げ部3は、食品Eを保持する押し上げユニット31と、押し上げユニット31を昇降させる昇降部32と、押し上げユニット31に振動を与える振動発生部33と、を備える。
【0034】
<押し上げ部の構成-2>
図6の(a)は押し上げユニット(8分割用又は2分割用)の概略正面図、図6の(b)は押し上げユニット(8分割用又は2分割用)及び切断ユニット(8分割用)の平面図、図7の(a)は押し上げユニット(6分割用)の概略正面図、図7の(b)は押し上げユニット(6分割用)及び切断ユニット(6分割用)の平面図である。
図6及び図7に示すように、押し上げユニット31は、押し上げユニット本体311と、押し上げユニット本体311から下方に延在する押し上げ棒312と、を備える。
【0035】
<押し上げ部の構成-3>
押し上げユニット本体311の上端部には、食品保持部311aが形成されている。食品保持部311aは、食品を保持する凹部311bと、凹部311bの側壁及びその下方に形成され、切断部4(誘導ユニット41及び切断ユニット42)を通り抜け可能にする複数のスリット部311cと、を備える。例えば、本実施形態では、スリット部311cを介して周方向に並ぶ複数の縦プレート311dによって、上方に開口する筒形状の押し上げユニット本体311を構成するとともに、複数の縦プレート311dの上端側内周部に食品Eを受け止める段差部311eを形成し、これを凹部311bの底部としている。そして、図6の(b)及び図7の(b)に示すように、押し上げユニット31は、平面視で縦プレート311dが切断ユニット42のワイヤ422(及び誘導ユニット41の縦プレート412b)と重ならないように配置される。
【0036】
<押し上げ部の構成-4>
このような押し上げユニット31の食品保持部311aによれば、切断ユニット42の下方位置(切断前食品保持位置)で切断前の食品Eを保持した後、切断ユニット42を通り抜けて切断ユニット42の上方位置(切断後食品保持位置)まで上昇することにより、食品Eを切断ユニット42のワイヤ422で所望の形態に切断することが可能になる。また、押し上げユニット31の食品保持部311aは、切断ユニット42を通り抜けた後も、切断された食品Eを取り出し可能に保持するので、切断された食品Eを受け取る専用の受取手段が不要となる。その結果、部品点数やコストの削減が図れるだけでなく、切断された食品Eの食品切断装置1内での受け渡しがなくなるので、切断された食品Eの形の乱れを防止し、その後の作業(例えば、盛り付け作業)の効率を向上させることができる。
【0037】
<押し上げ部の構成-5>
食品保持部311aは、凹部311bの側壁内周部に形成され、食品Eをセンターリングするテーパ部311fを備える。テーパ部311fは、凹部311bの内周径を下側ほど小さくするように形成されており、テーパ部311fに当接した食品Eは、凹部311bの中心に寄せられながら凹部311b内に導かれる。また、このようなテーパ部311fと段差部311eによって形成される食品保持部311a(凹部311b)によれば、食品Eの大きさのバラツキに適応することができる。例えば、食品Eが茹卵である場合、1種類の押し上げユニット31で複数のサイズ(S、M、L)の茹卵を適切に保持し、切断することが可能になる。
【0038】
<押し上げ部の構成-6>
図1及び図2に示すように、昇降部32は、押し上げユニット31を昇降可能に支持する昇降ガイド部321と、押し上げユニット31を昇降させる昇降駆動部322と、を備える。昇降ガイド部321は、食品切断装置1の正面に上下方向に沿って配置されるガイドレール321aと、ガイドレール321aに昇降可能に支持され、且つ押し上げユニット31の下端部と連結される昇降部材321bと、を備える。昇降駆動部322は、回転角度を制御可能なステッピングモータなどの昇降用モータ322aと、昇降用モータ322aの駆動に応じて回動する駆動アーム322bと、駆動アーム322bと昇降部材321bとを連結する連結ロッド322cと、を備える。
【0039】
<押し上げ部の構成-7>
昇降用モータ322aの駆動に応じて駆動アーム322bが回動すると、クランク運動によって昇降部材321b及び押し上げユニット31が昇降する。制御部5は、昇降用モータ322aの回転角度制御に基づいて、押し上げユニット31を切断前食品保持位置で停止させる食品供給待機状態と、押し上げユニット31を上昇させて食品Eを切断する上昇動作状態と、押し上げユニット31を切断後食品保持位置で停止させる食品取り出し待機状態と、食品取り出し後に押し上げユニット31を切断前食品保持位置まで下方させる下降動作状態と、を順次現出させる。
【0040】
<押し上げ部の構成-8>
振動発生部33は、振動発生用モータ331と、振動発生用モータ331の駆動に応じて回転するカム332と、を備える。カム332は、押し上げユニット31が切断前食品保持位置にあるとき、昇降部材321bの下面部に近接又は当接しており、振動発生用モータ331の駆動に応じて回転すると、昇降部材321bを打撃し、押し上げユニット31に振動を発生させる。この振動は、食品供給部2が押し上げ部3に食品Eを供給するタイミングに合わせて発生されることにより、誘導ユニット41のテーパ部412cや押し上げユニット31のテーパ部311fによる食品Eのセンターリング作用を促進する。これにより、食品Eが誘導ユニット41内に引っ掛かったり、傾いた状態で押し上げユニット31の食品保持部311aに保持されることを抑制できる。
【0041】
<食品切断装置の動作-1>
つぎに、食品切断装置1の動作について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、食品切断装置の切断前食品保持状態を示す説明図、図9は、食品切断装置の切断後食品保持状態を示す説明図である。
図8に示すように、押し上げユニット31が切断前食品保持位置まで下降した状態で食品供給部2から食品Eを供給すると、供給された食品Eは、誘導ユニット41を介して押し上げユニット31に導かれ、食品保持部311aに保持される。このとき、振動発生部33が振動を発生させることにより、食品Eが誘導ユニット41内に引っ掛かったり、傾いた状態で押し上げユニット31の食品保持部311aに保持されることを防止できる。
【0042】
<食品切断装置の動作-2>
つぎに、昇降用モータ322aの駆動に基づいて、切断前食品保持状態の押し上げユニット31を上昇動作させる。このとき、食品Eを保持する食品保持部311aは、誘導ユニット41及び切断ユニット42を通り抜けて切断ユニット42の上方位置(切断後食品保持位置)まで上昇する。これにより、食品Eは、切断ユニット42のワイヤ422で所望の形態に切断される。
【0043】
<食品切断装置の動作-3>
図9に示すように、押し上げユニット31の食品保持部311aは、切断ユニット42を通り抜けた後も、切断された食品Eを取り出し可能に保持しており、その後の作業(例えば、盛り付け作業)を行う作業者は、切断された食品Eをその形を維持しつつ容易に取り出すことができる。切断された食品Eを作業者が取り出すと、それが光電スイッチ(図示せず)などで検出され、押し上げユニット31が下降動作される。このような動作の繰り返しにより、食品Eを1つずつ切断することが可能になる。
【0044】
<実施形態の効果-1>
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
実施形態の食品切断装置1は、食品Eを保持し、保持した食品Eを押し上げる押し上げ部3と、押し上げられた食品Eを切断する切断部4と、を備え、押し上げ部3は、食品Eを保持する食品保持部311aと、食品保持部311aを昇降させる昇降部32と、を備え、食品保持部311aは、切断部4の下方であり、切断前の食品Eを保持する切断前食品保持位置と、切断部4の上方であり、切断部4を通り抜けて切断された食品Eを取り出し可能に保持する切断後食品保持位置と、の間を昇降するので、食品Eを切断部4で所望の形態に切断することが可能になる。また、食品保持部311aは、切断部4を通り抜けた後も、切断された食品Eを取り出し可能に保持するので、切断された食品Eを受け取る専用の受取手段が不要となる。その結果、部品点数やコストの削減が図れるだけでなく、切断された食品Eの食品切断装置1内での受け渡しがなくなるので、切断された食品Eの形の乱れを防止し、その後の作業(例えば、盛り付け作業)の効率を向上させることができる。
【0045】
<実施形態の効果-2>
また、食品保持部311aは、食品Eを保持する凹部311bと、少なくとも凹部311bの側壁に形成され、切断部4を通り抜け可能にする複数のスリット部311cと、を備えるので、切断部4を通り抜け可能な食品保持部311aを容易に構成できる。
【0046】
<実施形態の効果-3>
また、食品保持部311aは、凹部311bの側壁内周部に形成され、食品Eをセンターリングするテーパ部311fを備えるので、保持する食品Eの姿勢を整えることができるだけでなく、食品Eの大きさのバラツキに適応できる。
【0047】
<実施形態の効果-4>
また、切断部4は、食品Eの切断線に沿うように張設されたワイヤ422を有し、ワイヤ422で食品Eを切断するので、食品Eとの接触面積を可及的に小さくし、良好な切断面を形成できるだけでなく、食品Eの屑の付着を抑制できる。
【0048】
<実施形態の効果-5>
また、食品切断装置1は、食品Eを導入する食品導入部411と、導入された食品Eを食品保持部311aに誘導する食品誘導部412と、をさらに備え、食品誘導部412は、誘導する食品Eをセンターリングするテーパ部412cを備えるので、食品Eを誘導しつつ食品Eの姿勢を整えることができる。
【0049】
<実施形態の効果-6>
また、食品切断装置1は、食品導入部411に対して食品Eを1つずつ供給する食品供給部2をさらに備えるので、作業効率をさらに向上させることができる。
【0050】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0051】
1 食品切断装置
11 フレーム部
2 食品供給部
21 ホッパ
211 ホッパ本体
211a 排出口
211b 第1傾斜面部
211c 第2傾斜面部
211d スノコ
211e ガイドレール
212 ホッパ移動機構
213 ホッパフレーム
213a 下部ローラ
213b 上部ローラ
213c 側部ローラ
213d 固定部
213e 起立部
214 シリンダ
214a リンク部材
22 シュータ
221 段差部
23 第1ゲートユニット
24 第2ゲートユニット
25 食品センサ
3 押し上げ部
31 押し上げユニット
311 押し上げユニット本体
311a 食品保持部
311b 凹部
311c スリット部
311d 縦プレート
311e 段差部
311f テーパ部
312 押し上げ棒
32 昇降部
321 昇降ガイド部
321a ガイドレール
321b 昇降部材
322 昇降駆動部
322a 昇降用モータ
322b 駆動アーム
322c 連結ロッド
33 振動発生部
331 振動発生用モータ
332 カム
4 切断部
41 誘導ユニット
411 食品導入部
412 食品誘導部
412a スリット部
412b 縦プレート
412c テーパ部
413 切断ユニット取付部
414 ユニットフレーム
415 固定部
42 切断ユニット
421 枠部
422 ワイヤ
423 ガード筒
5 制御部
E 食品
図1
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図3
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図9