(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068213
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】炎症性腸疾患処置剤、及び、アミド化合物又はその塩
(51)【国際特許分類】
C07D 209/44 20060101AFI20230510BHJP
A61K 31/4035 20060101ALI20230510BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20230510BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20230510BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20230510BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230510BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20230510BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20230510BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C07D209/44 CSP
A61K31/4035
C07D487/04
A61K31/405
C07D403/12
A61K31/4045
C07D401/14
A61K31/4439
C07D401/12
A61K31/497
C07D495/04 103
A61K31/4155
A61P1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020064635
(22)【出願日】2020-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 難治性疾患実用化研究事業「研究開発課題名:HDACアイソザイム選択的阻害を基盤としたクローン病治療薬の開発」に係る委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷 耕二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝禎
(72)【発明者】
【氏名】黒原 崇
(72)【発明者】
【氏名】上田 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
4C071
4C086
4C204
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB03
4C063BB09
4C063CC07
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC34
4C063CC92
4C063DD03
4C063DD04
4C063DD06
4C063DD07
4C063EE01
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC01
4C071CC21
4C071DD03
4C071EE13
4C071FF03
4C071GG05
4C071JJ05
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC06
4C086BC10
4C086BC17
4C086BC36
4C086BC48
4C086CB03
4C086CB26
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA66
4C204BB09
4C204CB04
4C204DB01
4C204EB01
4C204FB20
4C204GB01
4C204GB07
4C204GB13
4C204GB32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができる炎症性腸疾患処置剤の提供。
【解決手段】式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩を含有する炎症性腸疾患処置剤、及び、式(III)で表される、アミド化合物又はその塩。R
1~R
4はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表し、R
1~R
4の全てが同時に水素原子となることはなく、R
1~R
4は一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、R
5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、R
A1は、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表し、R
A2は、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩を含有する
炎症性腸疾患処置剤。
【化1】
式(I-1)において、
R
1~R
4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC
2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
2-6アルケニル基を表し、
R
1~R
4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R
1とR
2と、又は、R
3とR
4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R
1~R
4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R
5はそれぞれ独立に、水素原子、C
1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R
5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR
5が結合して環を形成してもよく、
R
6は、水素原子又はC
1-10アルキル基を表し、
L1は、0又は1を表す。
【請求項2】
全てのR5が、フッ素原子である、請求項1に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【請求項3】
R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成している、請求項1又は請求項2に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【請求項4】
R1~R4が一体となって形成する置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環が、置換基を有してもよいベンゼン環、置換基を有してもよいチオフェン環又は置換基を有してもよいピラゾール環である、請求項3に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【請求項5】
R1~R4が一体となって形成する前記芳香族炭化水素環又は前記芳香族ヘテロ環上に有していてもよい置換基が、
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、及び、
-L2-SO2NR51R52よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基である、請求項3又は請求項4に記載の炎症性腸疾患処置剤。
なお、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいアルキレン基を表す。
【請求項6】
前記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩が、下記式(II-1)~式(II-4)のいずれかで表されるアミド化合物又はその塩である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【化2】
式(II-1)中、
R
11はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC
1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L
2-NR
51R
52、
-L
2-NR
51C(O)R
54、
-L
2-NR
51C(O)NR
53R
54、
-L
2-NR
51SO
2R
54、
-L
2-C(O)NR
51R
52、又は、
-L
2-SO
2NR
51R
52を表し、
R
51、R
52、R
53及びR
54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基を表し、
L
2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC
1-10アルキレン基を表し、
m1は、1~4の整数を表す。
【化3】
式(II-2)中、
R
12はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC
1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L
2-NR
51R
52、
-L
2-NR
51C(O)R
54、
-L
2-NR
51C(O)NR
53R
54、
-L
2-NR
51SO
2R
54、
-L
2-C(O)NR
51R
52、又は、
-L
2-SO
2NR
51R
52を表し、
R
51、R
52、R
53及びR
54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基を表し、
L
2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC
1-10アルキレン基を表し、
m2は、1又は2を表す。
【化4】
式(II-3)中、
Xはそれぞれ独立に、N、NH又はNR
13を表し、
R
13はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC
2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC
2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC
1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L
2-NR
51R
52、
-L
2-NR
51C(O)R
54、
-L
2-NR
51C(O)NR
53R
54、
-L
2-NR
51SO
2R
54、
-L
2-C(O)NR
51R
52、又は、
-L
2-SO
2NR
51R
52を表し、
R
51、R
52、R
53及びR
54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基を表し、
L
2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC
1-10アルキレン基を表し、
m3は、0~2の整数を表す。
【化5】
式(II-4)中、
R
14~R
17はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいC
2-6アルキニル基を表し、
R
14とR
15とが、又は、R
16とR
17とが結合して、置換基を有してもよいC
1-6アルキリデン基を形成してもよい。ただし、R
14~R
17の全てが同時に水素原子となることはない。
【請求項7】
下記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩を含有し、
ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する
炎症性腸疾患処置剤。
【化6】
式(I)において、
R
01は、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-6アルキニル基、又は、置換基を有してもよい炭化水素環基を表し、
R
02は、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、又は、置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、
R
01とR
02とは一体となって、置換基を有してもよい含窒素ヘテロ環を形成してもよく、
R
03はそれぞれ独立に、水素原子、C
1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R
03のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR
03が環を形成してもよく、
R
04は、水素原子又はC
1-10アルキル基を表す。
【請求項8】
前記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩が、下記式(I-01)で表されるアミド化合物又はその塩である、請求項7に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【化7】
式(I-01)において、
R
1~R
4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC
2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC
2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
2-6アルケニル基を表し、
R
1~R
4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R
1とR
2と、又は、R
3とR
4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R
1~R
4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R
5はそれぞれ独立に、水素原子、C
1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R
5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR
5が結合して環を形成してもよく、
R
6は、水素原子又はC
1-10アルキル基を表し、
L1は、0~2の整数を表す。
【請求項9】
下記式(III)で表される、アミド化合物又はその塩。
【化8】
式(III)において、
R
A1は、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表し、
R
A2は、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表し、
R
A1とR
A2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
m4は、1~10の整数を表し、
R
14は、-NR
51R
52、
-NR
51C(O)R
54、
-NR
51C(O)NR
53R
54、
-NR
51SO
2R
54、
-C(O)NR
51R
52、又は、
-SO
2NR
51R
52を表し、
R
51、R
52、R
53及びR
54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキルC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC
1-10アルキル基を表す。
【請求項10】
下記式(III-1)で表される、請求項9に記載のアミド化合物又はその塩。
【化9】
式(III-1)において、
R
A1は、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表し、
R
A2は、水素原子、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC
3-6シクロアルキル基を表し、
R
A1とR
A2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
R
A3はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいC
1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいジ(C
1-6アルキル)アミノ基、置換基を有してもよいC
1-10アルキル基、置換基を有してもよいC
3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC
1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC
2-7アルキルアミド基、又は、置換基を有してもよいC
7-
11アリールアミド基を表し、
mAは、0~5の整数を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炎症性腸疾患処置剤、及び、アミド化合物又はその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)とは、大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症又は潰瘍をひきおこす疾患の総称であり、潰瘍性大腸炎及びクローン病がその代表的疾患である。
炎症性腸疾患の治療には、例えば、免疫抑制薬、ステロイド剤、サラゾスルファピリジン、又はメサラジン等の薬剤が用いられているが、有効性と安全性との面で未だ十分ではなかった。
炎症性腸疾患の処置剤としては、様々な化合物が検討されている(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-528226号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0350002号明細書
【特許文献3】特表2018-515494号公報
【特許文献4】特表2006-522791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができる炎症性腸疾患処置剤を提供することである。
また、本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができるアミド化合物又はその塩を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩を含有する炎症性腸疾患処置剤。
【0006】
【0007】
式(I-1)において、
R1~R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-6アルケニル基を表し、
R1~R4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R1とR2と、又は、R3とR4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R5はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR5が結合して環を形成してもよく、
R6は、水素原子又はC1-10アルキル基を表し、
L1は、0又は1を表す。
【0008】
<2> 全てのR5が、フッ素原子である、<1>に記載の炎症性腸疾患処置剤。
<3> R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成している、<1>又は<2>に記載の炎症性腸疾患処置剤。
<4> R1~R4が一体となって形成する置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環が、置換基を有してもよいベンゼン環、置換基を有してもよいチオフェン環又は置換基を有してもよいピラゾール環である、<3>に記載の炎症性腸疾患処置剤。
<5> R1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有していてもよい置換基が、
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、-L2-NR51R52、-L2-NR51C(O)R54、-L2-NR51C(O)NR53R54、-L2-NR51SO2R54、-L2-C(O)NR51R52、及び、-L2-SO2NR51R52よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基である、<3>又は<4>に記載の炎症性腸疾患処置剤。
なお、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいアルキレン基を表す。
<6> 上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩が、下記式(II-1)~式(II-4)のいずれかで表されるアミド化合物又はその塩である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の炎症性腸疾患処置剤。
【0009】
【0010】
式(II-1)中、
R11はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基を表し、
m1は、1~4の整数を表す。
【0011】
【0012】
式(II-2)中、
R12はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基を表し、
m2は、1又は2を表す。
【0013】
【0014】
式(II-3)中、
Xはそれぞれ独立に、N、NH又はNR13を表し、
R13はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基を表し、
m3は、0~2の整数を表す。
【0015】
【0016】
式(II-4)中、
R14~R17はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基を表し、
R14とR15とが、又は、R16とR17とが結合して、置換基を有してもよいC1-6アルキリデン基を形成してもよい。ただし、R14~R17の全てが同時に水素原子となることはない。
【0017】
<7> 下記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩を含有し、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する炎症性腸疾患処置剤。
【0018】
【0019】
式(I)において、
R01は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、又は、置換基を有してもよい炭化水素環基を表し、
R02は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、又は、置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、
R01とR02とは一体となって、置換基を有してもよい含窒素ヘテロ環を形成してもよく、
R03はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R03のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR03が環を形成してもよく、
R04は、水素原子又はC1-10アルキル基を表す。
【0020】
<8> 上記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩が、下記式(I-01)で表されるアミド化合物又はその塩である、<7>に記載の炎症性腸疾患処置剤。
【0021】
【0022】
式(I-01)において、
R1~R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-6アルケニル基を表し、
R1~R4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R1とR2と、又は、R3とR4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R5はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR5が結合して環を形成してもよく、
R6は、水素原子又はC1-10アルキル基を表し、
L1は、0~2の整数を表す。
【0023】
<9> 下記式(III)で表される、アミド化合物又はその塩。
【0024】
【0025】
式(III)において、
RA1は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA2は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA1とRA2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
m4は、1~10の整数を表し、
R14は、-NR51R52、
-NR51C(O)R54、
-NR51C(O)NR53R54、
-NR51SO2R54、
-C(O)NR51R52、又は、
-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表す。
【0026】
<10> 下記式(III-1)で表される、<9>に記載のアミド化合物又はその塩。
【0027】
【0028】
式(III-1)において、
RA1は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA2は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA1とRA2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
RA3はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいジ(C1-6アルキル)アミノ基、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC2-7アルキルアミド基、又は、置換基を有してもよいC7-11アリールアミド基を表し、
mAは、0~5の整数を表す。
【0029】
<11> <1>~<8>のいずれか1つに記載の炎症性腸疾患処置剤を、炎症性腸疾患の対象(ヒトを含む哺乳動物、好ましくはヒト)に投与する工程を含む、処置方法。
<12> 炎症性腸疾患の処置方法であって、上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の治療有効量を、ヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む、処置方法。
<13> 炎症性腸疾患の処置に使用するための、上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩。
<14> 炎症性腸疾患処置剤の製造のための、上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の使用。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態によれば、炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができる炎症性腸疾患処置剤を提供することができる。
また、本発明の他の一実施形態によれば、炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができるアミド化合物又はその塩を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0032】
更に、本開示において、「Cx-y」は、炭素数(「炭素原子数」ともいう。)がx~yであることを表し、例えば、C1-6アルキル基は、炭素数1~6のアルキル基を表す。
また、本開示における「アルキル基」は、特に言及していない場合、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよい。また、アルケニル基、及び、アルキニル基についても、アルキル基と同様である。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0033】
C1-6アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、2-ペンチル、3-ペンチル及びヘキシル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキル基を意味する。
C1-8アルキル基とは、上記C1-6アルキル基、ヘプチル、2-メチルヘプチル、2-メチル-4-ヘプチル及びオクチル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-8アルキル基を意味する。
C1-10アルキル基とは、上記C1-8アルキル基、2-エチルヘキシル、ノニル及びデシル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-10アルキル基を意味する。
C2-6アルケニル基とは、ビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、1,3-ブタジエニル、ペンテニル及びヘキセニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-6アルケニル基を意味する。
C2-10アルケニル基とは、上記C2-6アルケニル基、ペプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-10アルケニル基を意味する。
C2-6アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル及びヘキシニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-6アルキニル基を意味する。
C2-10アルキニル基とは、上記C2-6アルキニル基、ペンチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-10アルキニル基を意味する。
C3-8シクロアルキル基とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル基などのC3-8シクロアルキル基を意味する。
C3-8シクロアルケニル基とは、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニル基などのC3-8シクロアルケニル基を意味する。
C3-8シクロアルキルC1-10アルキル基とは、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、2-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシルエチル、3-シクロヘキシルプロピル及び10-シクロヘキシルデシル基などのC3-8シクロアルキル基が結合したC1-10アルキル基を意味する。
C3-8シクロアルキルC2-10アルケニル基とは、2-シクロプロピルエテニル、2-シクロブチルエテニル、2-シクロペンチルエテニル、2-シクロヘキシルエテニル、2-シクロヘプチルエテニル、2-シクロオクチルエテニル、1-シクロヘキシルエテニル、3-シクロヘキシルアリル及び10-シクロヘキシル-9-デセニル基などのC3-8シクロアルキル基が結合したC2-10アルケニル基を意味する。
架橋式炭化水素環基としては、アダマンチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.0]ヘキシル、ビシクロ[3.2.1]オクチル及びビシクロ[5.2.0]ノニル基などが挙げられる。
スピロ式炭化水素環基としては、スピロ[3.3]ヘプチル及びスピロ[3.4]オクチル基などが挙げられる。
【0034】
C1-6アルキレン基とは、メチレン、エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、ジメチルメチレン、1,2-ブチレン、1,3-ブチレン、1,4-ブチレン、ジメチルエチレン、1,5-ペンチレン、2,2-ジメチル-1,3-ペンチレン、1,6-ヘキシレン基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキレン基を意味する。
C1-6アルキリデン基とは、メチリデン、メチルメチリデン、エチルメチリデン、ジメチルメチリデン、プロピルメチリデン、ブチルメチリデン及びペンチルメチリデン基などの直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキリデン基(2価の基、無置換又は1個若しくは2個のアルキル基が置換したメチリデン基(H2C=))を意味する。
【0035】
アリール基とは、芳香族炭化水素基を意味し、また、縮環した芳香族炭化水素基であってもよく、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。
また、芳香族炭化水素環は、縮環した芳香族炭化水素環であってもよく、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましい。
アリールC1-6アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル及びナフチルメチル基などのアリールC1-6アルキル基を意味する。
アリールC1-10アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、6-フェニルヘキシル、10フェニルデシル及びナフチルメチル基などのアリールC1-6アルキル基を意味する。
アリールC2-6アルケニル基とは、2-フェニルビニル、1-フェニルビニル、3-フェニルアリル、3-フェニル-1-プロペニル、4-フェニル-3-ブテニル、5-フェニル-4-ペンテニル、6-フェニル-5-ヘキセニル及び2-ナフチルビニル基などのアリールC2-6アルケニル基を意味する。
アリールC2-10アルケニル基とは、2-フェニルビニル、1-フェニルビニル、3-フェニルアリル、3-フェニル-1-プロペニル、4-フェニル-3-ブテニル、5-フェニル-4-ペンテニル、6-フェニル-5-ヘキセニル、10-フェニル-9-デセニル及び2-ナフチルビニル基などのアリールC2-10アルケニル基を意味する。
ヘテロアリールC2-6アルケニル基とは、2-(2-チエニル)ビニル、2-(2-フラニル)ビニル、2-(2-ピリジル)ビニル、2-(2-チアゾリル)ビニル、3-(2-チエニル)アリル、3-(2-チエニル)-1-プロペニル、4-(2-チエニル)-3-ブテニル、5-(2-チエニル)-4-ペンテニル及び6-(2-チエニル)-5-ヘキセニル基などのアリールC2-6アルケニル基を意味する。
ヘテロアリールC2-6アルケニル基とは、2-(2-チエニル)ビニル、2-(2-フラニル)ビニル、2-(2-ピリジル)ビニル、2-(2-チアゾリル)ビニル、3-(2-チエニル)アリル、3-(2-チエニル)-1-プロペニル、4-(2-チエニル)-3-ブテニル、5-(2-チエニル)-4-ペンテニル、6-(2-チエニル)-5-ヘキセニル、10-(2-チエニル)-9-デセニル基などのアリールC2-10アルケニル基を意味する。
【0036】
C1-6アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロブトキシ、ペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘキシルオキシ及びシクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、環状又は分枝鎖状のC1-6アルキルオキシ基を意味する。
C1-6アルコキシC1-10アルキル基とは、メトキシメチル及び1-エトキシエチル基などのC1-6アルキルオキシC1-10アルキル基を意味する。
アリールC1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、ベンジルオキシメチル及びフェネチルオキシメチル基などのアリールC1-6アルキルオキシC1-6アルキル基を意味する。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基又はナフチルオキシ基であることが好ましい。
【0037】
アシル基は、ホルミル基、スクシニル基、グルタリル基、マレオイル基、フタロイル基、C2-6アルカノイル基、アロイル基、複素環式カルボニル基又は(α-置換)アミノアセチル基であることが好ましい。
C2-6アルカノイル基とは、アセチル、プロピオニル、バレリル、イソバレリル及びピバロイル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-6アルカノイル基を意味する。
アロイル基とは、芳香族アシル基を意味し、ベンゾイル基又はナフトイル基であることが好ましい。
複素環式カルボニル基とは、フロイル、テノイル、ピロリジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、モルホリニルカルボニル又はピリジニルカルボニル基を意味する。
(α-置換)アミノアセチル基とは、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン及びヒドロキシプロリンなどのアミノ酸が挙げられる。)から誘導されるN末端が保護されてもよい(α-置換)アミノアセチル基を意味する。
【0038】
アシルC1-6アルキル基とは、アセチルメチル、ベンゾイルメチル及び1-ベンゾイルエチル基などのアシルC1-6アルキル基を意味する。
アシルオキシC1-6アルキル基とは、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、ベンゾイルオキシメチル及び1-(ベンゾイルオキシ)エチル基などのアシルオキシC1-6アルキル基を意味する。
C1-6アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル及び1,1-ジメチルプロポキシカルボニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキルオキシカルボニル基を意味する。
アリールC1-6アルコキシカルボニル基とは、ベンジルオキシカルボニル及びフェネチルオキシカルボニル基などのアリールC1-6アルキルオキシカルボニル基を意味する。
アリールオキシカルボニル基は、フェニルオキシカルボニル基又はナフチルオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0039】
C1-6アルキルアミノ基とは、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、ブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、シクロブチルアミノ、ペンチルアミノ、シクロペンチルアミノ、ヘキシルアミノ及びシクロヘキシルアミノ基などの直鎖状、分枝鎖状又は環状のC1-6アルキルアミノ基を意味する。
ジ(C1-6アルキル)アミノ基とは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジ(tert-ブチル)アミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、(エチル)(メチル)アミノ、(メチル)(プロピル)アミノ、(シクロプロピル)(メチル)アミノ、(シクロブチル)(メチル)アミノ及び(シクロヘキシル)(メチル)アミノ基などの直鎖状、分枝鎖状又は環状のジ(C1-6アルキル)アミノ基を意味する。
【0040】
C2-7アルキルアミド基とは、アセチルアミド、プロピオニルアミド、バレリルアミド、イソバレリルアミド及びピバロイルアミド基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-7アルキルアミド基を意味する。
C7-11アリールアミド基とは、フェニルアミド及びナフチルアミド基などのC7-11アリールアミド基を意味する。
【0041】
C1-6アルキルスルホニル基とは、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ヘキサンスルホニル及びシクロヘキサンスルホニル基などの直鎖状、分枝鎖状又は環状のC1-6アルカンスルホニル基を意味する。
【0042】
ヘテロアリール基とは、芳香族ヘテロ環基を意味し、芳香族ヘテロ環、芳香族炭化水素環、ヘテロ脂肪族環又は脂肪族炭化水素環が縮環した芳香族ヘテロ環基であってもよく、単環の含窒素ヘテロアリール基、単環の含酸素ヘテロアリール基、単環の含硫黄ヘテロアリール基、単環の含窒素含酸素ヘテロアリール基、単環の含窒素含硫黄ヘテロアリール基、二環式の含窒素ヘテロアリール基、二環式の含酸素ヘテロアリール基、二環式の含硫黄ヘテロアリール基、二環式の含窒素含酸素ヘテロアリール基又は二環式の含窒素含硫黄ヘテロアリール基であることが好ましい。
また、芳香族ヘテロ環とは、環員にヘテロ原子を有する芳香環を意味し、芳香族ヘテロ環、芳香族炭化水素環、ヘテロ脂肪族環又は脂肪族炭化水素環が縮環していてもよく、単環の含窒素芳香族ヘテロ環、単環の含酸素芳香族ヘテロ環、単環の含硫黄芳香族ヘテロ環、単環の含窒素含酸素芳香族ヘテロ環、単環の含窒素含硫黄芳香族ヘテロ環、二環式の含窒素芳香族ヘテロ環、二環式の含酸素芳香族ヘテロ環、二環式の含硫黄芳香族ヘテロ環、二環式の含窒素含酸素芳香族ヘテロ環又は二環式の含窒素含硫黄芳香族ヘテロ環であることが好ましい。
単環の含窒素ヘテロアリール基とは、ピロリニル、ピロリル、テトラヒドロピリジル、ピリジル、イミダゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアゾリル及びテトラゾリル基などの少なくとも1つの窒素原子を含む環が芳香族性を有するヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。このヘテロアリール基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
単環の含酸素ヘテロアリール基とは、フラニル又はピラニル基などの少なくとも1つの酸素原子を含む環が芳香族性を有するヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。このヘテロアリール基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
単環の含硫黄ヘテロアリール基とは、チエニル基などの少なくとも1つの硫黄原子を含む環が芳香族性を有するヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。このヘテロアリール基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
単環の含窒素含酸素ヘテロアリール基とは、オキサゾリル、イソオキサゾリル又はオキサジアゾリル基などを意味する。このヘテロアリール基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
単環の含窒素含硫黄ヘテロアリール基とは、チアゾリル、イソチアゾリル又はチアジアゾリル基などを意味する。このヘテロアリール基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
二環式の含窒素ヘテロアリール基とは、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジル、ピリドピラジル、プリニル、プテリジニル、5,6,7,8-テトラヒドロフタラジニル、5,6,7,8-テトラヒドロシンノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリド[2,3-d]ピリダジニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリダジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,2-c]ピリダジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-c]ピリダジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリダジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[c]ピリダジニル、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリダジニル、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-d]ピリダジニル、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,2-c]ピリダジニル、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-c]ピリダジニル及び6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,3-c]ピリダジニル基などの少なくとも1つの窒素原子を含む環が芳香族性を有する二環式のヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。
二環式の含酸素ヘテロアリール基とは、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル及びクロメニル基などの少なくとも1つの酸素原子を含む環が芳香族性を有する二環式のヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。
二環式の含硫黄ヘテロアリール基とは、ベンゾチエニル基などの少なくとも1つの硫黄原子を含む環が芳香族性を有する二環式のヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。
二環式の含窒素含酸素ヘテロアリール基とは、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ジヒドロピラノピリジル、ジヒドロジオキシノピリジル、ジヒドロピリドオキサジエニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-d]ピリダジニル、7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-d]ピリダジニル、7,8-ジヒドロ-6H-ピラノ[3,2-c]ピリダジニル、7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[4,3-c]ピリダジニル、2,3-ジヒドロフロ[2,3-d]ピリダジニル、5,7-ジヒドロフロ[3,4-d]ピリダジニル、6,7-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリダジニル、5,7-ジヒドロフロ[3,4-c]ピリダジニル及び5,6-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリダジニル基などの少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの酸素原子とを含む環が芳香族性を有する二環式のヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。
二環式の含窒素含硫黄ヘテロアリール基とは、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル及びチアゾロピリジル基などの少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子とを含む環が芳香族性を有する二環式のヘテロアリール基(このヘテロアリール基は、一部飽和されていてもよい。)を意味する。
【0043】
ヘテロ脂肪族環基とは、含窒素ヘテロ脂肪族環基、含酸素ヘテロ脂肪族環基、含硫黄ヘテロ脂肪族環基、含窒素含酸素ヘテロ脂肪族環基、含窒素含硫黄ヘテロ脂肪族環基、ヘテロ架橋環基又はヘテロスピロ環基を意味する。
また、ヘテロ脂肪族環とは、環員にヘテロ原子を有する脂肪族環を意味し、含窒素ヘテロ脂肪族環、含酸素ヘテロ脂肪族環、含硫黄ヘテロ脂肪族環、含窒素含酸素ヘテロ脂肪族環、含窒素含硫黄ヘテロ脂肪族環、ヘテロ架橋環、及び、ヘテロスピロ環が好ましく挙げられる。
含窒素ヘテロ脂肪族環基とは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、オクタヒドロアゾシニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル及びホモピペラジニル基などの少なくとも1つの窒素原子を含む環が芳香族性を有さないヘテロ脂肪族環基を意味する。この含窒素ヘテロ脂肪族環基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
含酸素ヘテロ脂肪族環基とは、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル又は1,3-ジオキサニル基などを意味する。この含酸素ヘテロ脂肪族環基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
含硫黄ヘテロ脂肪族環基とは、テトラヒドロチエニル又はテトラヒドロチオピラニル基などを意味する。この含硫黄ヘテロ脂肪族環基は、硫黄原子が酸化された基を含み、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
含窒素含酸素ヘテロ脂肪族環基とは、モルホリニル又は1,4-オキサゼパニル基などを意味する。この含窒素含酸素ヘテロ脂肪族環基は、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
含窒素含硫黄ヘテロ脂肪族環基とは、チオモルホリニル基などを意味する。この含窒素含硫黄ヘテロ脂肪族環基は、硫黄原子が酸化された基を含み、更に他の芳香族環又は脂肪族環と縮合していてもよい。
ヘテロ架橋環基とは、3-アザ-6-オキサビシクロ[3.1.1]ヘプチル、3-アザ-8-オキサビシクロ[3.2.1]オクチル及び8-アザ-3-オキサビシクロ[3.2.1]オクチル基などの少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含むヘテロ架橋環基を意味する。
また、ヘテロ架橋環とは、2以上のヘテロ脂肪族環が縮環した環、又は、1以上のヘテロ脂肪族環と1以上の脂肪族炭化水素環とが縮環した環を意味し、3-アザ-6-オキサビシクロ[3.1.1]ヘプタン環、3-アザ-8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン環及び8-アザ-3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン環が好ましく挙げられる。
ヘテロスピロ環基とは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、2-オキサスピロ[3.3]ヘプチル、6-アザ-2-オキサスピロ[3.3]ヘプチル、1-アザスピロ[4.5]デシル及び1-オキサスピロ[4.5]デシル基などの少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を含むヘテロスピロ環基を意味する。
ヘテロ脂肪族環C1-8アルキル基とは、ピロリジニルメチル基、ピロリジニルエチル基、ピロリジニルプロピル基、ピロリジニルオクチル基、ピペリジニルメチル基、テトラヒドロフラニルメチル基などのヘテロ脂肪族環基が結合した直鎖状、分枝鎖状又は環状のC1-8アルキル基を意味する。
【0044】
また、本開示におけるヒドロキシ基、一置換又は無置換アミノ基、及び、カルボキシ基は、保護されていてもよい。
ヒドロキシ基の保護基としては、通常のヒドロキシ基の保護基として使用し得るすべての基が挙げられ、例えば、T.W.グリーン(T. W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第16~299頁、2007年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(JohnWiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アリールC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アリールC1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールC1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シリル基、テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
【0045】
一置換又は無置換アミノ基の保護基としては、通常のアミノ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、T.W.グリーン(T. W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第696~926頁、2007年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には例えば、アリールC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリールC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はシリル基が挙げられる。
【0046】
カルボキシ基の保護基としては、通常のカルボキシ基の保護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、T.W.グリーン(T. W. Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、第533~643頁、2007年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。具体的には例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アリール基、アリールC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アリールC1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシルC1-6アルキル基、アシルオキシC1-6アルキル基又はシリル基が挙げられる。
【0047】
本開示において、予防とは、発症の阻害、発症リスクの低減又は発症の遅延などを意味する。
本開示において、治療とは、対象となる疾患又は状態の改善又は進行の抑制などを意味する。
本開示において、処置とは、各種疾患に対する予防又は治療などを意味する。
本開示において、処置剤とは、各種疾患に対して予防又は治療などの目的で供せられる物質を意味する。
【0048】
本開示に係る炎症性腸疾患としては、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸管型ベーチェット病、出血性直腸潰瘍、回腸嚢炎などが挙げられる。
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤は、クローン病又は潰瘍性大腸炎の処置用として好適であり、クローン病の処置剤として特に好適である。
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤を用いる対象は、哺乳動物等の動物、例えば、霊長類(例、ヒト、サル等)が挙げられる。上記対象は、ヒトであることが好ましい。
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤は、種々の剤形により処方することができる。
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤は、薬理学的に許容される添加物を適宜混合してもよい。添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、矯味剤、着色剤、着香剤、界面活性剤、コーティング剤、可塑剤等の公知の添加物が挙げられる。これらの添加物は、いずれか一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤によれば、炎症の原因となる細胞を減少させることができ、炎症性サイトカインの産生を減少させることができると推定される。
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する。
ヒトでは、18種類のHDACが知られており、クラスI、クラスII、クラスIII、又は、クラスIVに分類される。ヒトクラスIHDACには、HDAC1,2,3及び8が含まれる。ヒトクラスIIHDACには、HDAC4,5,6,7,9及び10が含まれる。ヒトクラスIHDAC及びヒトクラスIIHDACの活性はZn2+依存性があり、酵素活性部位にはZn2+が存在する。
本開示に係るアミド化合物又はその塩は、ヒトクラスIIHDACの阻害能が高く、ヒトクラスIHDACの阻害能が低いことから、安全性が高い。従来のヒドロキサム酸阻害剤は、ヒトクラスIHDAC及びヒトクラスIIHDACの全てを阻害し、強い毒性が見られた。本開示に係るアミド化合物又はその塩は、HDACの酵素活性部位に存在するZn2+とキレートを形成し、基質のアセチル化リジンに拮抗して活性を阻害すると推定される。すなわち、本開示に係るアミド化合物又はその塩は、Znを有するメタロプロテアーゼ阻害作用を有する。
本開示に係るアミド化合物又はその塩は、HDAC6、7及び9の少なくとも1つの阻害能が高く、HDAC1及び2の少なくとも1つの阻害能が低い。より具体的には、本開示に係るアミド化合物又はその塩は、HDAC6の阻害能が高く、HDAC1の阻害能が低い。
HDACが関与する疾患としては、ヒトクラスIIHDACが関与する疾患が好ましく、HDAC6が関与する疾患が特に好ましい。
本開示に係るアミド化合物又はその塩は、HDAC6の選択的阻害能に優れることから、副作用の少ない医薬の創製が可能である。HDACが関与する疾患としては、クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)が挙げられる。
【0050】
(炎症性腸疾患処置剤の第一の実施態様)
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤の第一の実施態様は、下記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩を含有する。
【0051】
【0052】
式(I-1)において、
R1~R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-6アルケニル基を表し、
R1~R4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R1とR2と、又は、R3とR4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R5はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR5が結合して環を形成してもよく、
R6は、水素原子又はC1-10アルキル基を表し、
L1は、0又は1を表す。
【0053】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩が、炎症性腸疾患の予防及び治療に効果的な化合物であることを見出した。
【0054】
式(I-1)におけるR5、R6及びL1を説明した後、R1~R4について説明する。
式(I-1)におけるR5はそれぞれ独立に、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、水素原子、又は、フッ素原子であることが好ましく、全てのR5がフッ素原子であることがより好ましい。
式(I-1)におけるR6は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、水素原子、又は、メチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(I-1)におけるL1は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、1であることが好ましい。
【0055】
式(I-1)におけるR1~R4は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、R1とR2とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成し、かつR3及びR4が水素原子であるか、又は、R1~R4は一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環若しくは置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成していることが好ましく、R1~R4は一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成していることがより好ましく、R1~R4は一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を形成していることが特に好ましい。
また、R1~R4が一体となって形成する「置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環」は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、置換基を有してもよいベンゼン環、置換基を有してもよいチオフェン環又は置換基を有してもよいピラゾール環であることが好ましく、置換基を有してもよいベンゼン環であることがより好ましい。
【0056】
式(I-1)のR1~R4が有してもよい置換基としては、特に制限はないが、重水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ脂肪族環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、-N(Rst)-CO-Rst、-CON(Rst)2、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ウレア基、ウレタン基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、オキソ基、並びに、これらの基及びこれらの基から水素原子を1つ以上除いた基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を2以上組み合わせた基等が挙げられる。なお、Rstはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、2以上の置換基が結合して、環構造を形成していてもよい。
また、上記置換基の炭素数は、0~50であることが好ましく、1~30であることがより好ましく、1~25であることが更に好ましく、1~20であることが特に好ましい。
式(I-1)のR1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有してもよい置換基(後述するR11、R12、R13などの芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環上の置換基も同様である。)は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルキニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52であることが好ましい。
R1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有してもよい置換基としては、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52であることが好ましく、
-L2-NR51C(O)R54であることが特に好ましい。
【0057】
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリール基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基であることが好ましい。
L2は、単結合、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアルキレン基を表す。以下、構造式が異なるもの(式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)など)でも、R51、R52、R53、R54、L2で示される原子、置換基又は連結基などは、特に説明しない限り、同じ意味であり、好適な範囲も同じである。
R51は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、水素原子、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
R52及びR54はそれぞれ独立に、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリール基であることが好ましく、
置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリール基、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリール基であることがより好ましい。上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。上記ヘテロアリール基としては、単環の含窒素ヘテロアリール基が好ましく、ピロリル基、又は、ピロゾリル基がより好ましい。
R53は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、水素原子、又は、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基であることが好ましく、置換基群A1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基であることがより好ましい。
【0058】
上記L2としては、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基が好ましく、置換基を有してもよいC1-6アルキレン基が好ましく、置換基を有してもよいC1-3アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
L2における好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-10アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基が挙げられ、複数の置換基を有してもよい。中でも、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又は、C1-10アルキル基が好ましい。
【0059】
<置換基群A1>
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいジ(C1-6アルキル)アミノ基、
置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、
置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリール基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC2-7アルキルアミド基、置換基群B1から選ばれる1つ以上の置換基を有してもよいC7-11アリールアミド基。
置換基群A1としては、C1-10アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、アリールC1-10アルキル基、ヘテロアリールC1-10アルキル基が好ましい。
【0060】
<置換基群B1>
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、C1-6アルキルアミノ基、ジ(C1-6アルキル)アミノ基、C1-10アルキル基、C3-8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、C1-6アルコキシ基、C2-7アルキルアミド基、C7-11アリールアミド基。
【0061】
式(I-1)で表されるアミド化合物の塩としては、通常知られているアミノ基などの塩基性基における塩、及び、ヒドロキシ基又はカルボキシ基などの酸性基における塩等を挙げることができる。好ましい塩としては、薬理学的に許容される塩が挙げられる。以下、他の構造の化合物でも同様である。
【0062】
上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-1)~式(II-4)のいずれかで表されるアミド化合物又はその塩であることが好ましく、下記式(II-1)~式(II-3)のいずれかで表されるアミド化合物又はその塩であることがより好ましく、下記式(II-1)又は式(II-2)で表されるアミド化合物又はその塩であることが更に好ましい。
【0063】
【0064】
式(II-1)中、
R11はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルケニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基(直鎖が好ましい)を表し、
m1は、1~4の整数を表す。
【0065】
上記式(II-1)におけるR11の好ましい態様は、上記式(I-1)におけるR1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有してもよい置換基の好ましい態様と同様である。以下、構造式が異なるもの(式(II-1A))でも、R11で示される置換基は、特に説明しない限り、同じ意味であり、好適な範囲も同じである。
【0066】
上記式(II-1)におけるm1は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
また、m1が1である場合、上記式(II-1)におけるR11の置換位置は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-1A)に示す位置であることが好ましい。すなわち、上記式(II-1)で表される化合物は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-1A)で表される化合物であることが好ましい。
【0067】
【0068】
【0069】
式(II-2)中、
R12は、上述したR11と同義であり、好ましい態様も同様であり、
R51、R52、R53及びR54は、上述したR51、R52、R53及びR54と同義であり、好ましい態様も同様であり、
L2は、上述したL2と同義であり、好ましい態様も同様であり、
m2は、1又は2を表す。
【0070】
上記式(II-2)におけるR12の好ましい態様は、上記式(I-1)におけるR1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有してもよい置換基の好ましい態様と同様である。以下、構造式が異なるもの(式(II-2A))でも、R11で示される置換基は、特に説明しない限り、同じ意味であり、好適な範囲も同じである。
【0071】
上記式(II-2)におけるm2は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、1であることが好ましい。
また、m2が1である場合、上記式(II-2)におけるR12の置換位置は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-2A)に示す位置であることが好ましい。すなわち、上記式(II-2)で表される化合物は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-2A)で表される化合物であることが好ましい。
【0072】
【0073】
【0074】
式(II-3)中、
Xはそれぞれ独立に、N、NH又はNR13を表し、
R13は、上述したR11と同義であり、好ましい態様も同様であり、
R51、R52、R53及びR54は、上述したR51、R52、R53及びR54と同義であり、好ましい態様も同様であり、
L2は、上述したL2と同義であり、好ましい態様も同様であり、
m3は、0~2の整数を表す。
【0075】
上記式(II-3)におけるXは、1つのXがNであり、かつもう1つのXがNHであることが好ましい。
上記式(II-3)におけるm3は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
また、m3が0である場合、上記式(II-3)で表される化合物は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、下記式(II-3A)で表される化合物であることが好ましい。
【0076】
【0077】
上記式(II-3)におけるR13の好ましい態様は、上記式(II-1)におけるR11の好ましい態様と同様である。
また、中でも、上記式(II-3)におけるR13は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、置換基群A3から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-10アルキル基、置換基群A3から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換基群A3から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC2-6アルキニル基、又は、置換基群A3から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいアミド基であることが好ましい。
<置換基群A3>
置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよいヘテロアリール基
【0078】
【0079】
式(II-4)中、
R14~R17はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、
置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいC2-10アルキニル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基、
置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいアリールC2-10アルケニル基、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-10アルケニル基、
置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、
-L2-NR51R52、
-L2-NR51C(O)R54、
-L2-NR51C(O)NR53R54、
-L2-NR51SO2R54、
-L2-C(O)NR51R52、又は、
-L2-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表し、
L2は、単結合、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキレン基を表し、
R14とR15とが、又は、R16とR17とが一体となって、置換基を有してもよいC1-6アルキリデン基を形成してもよい。
ただし、R14~R17の全てが同時に水素原子となることはない。
【0080】
上記式(II-4)におけるR14~R17はそれぞれ独立に、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、水素原子、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-10アルキル基、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニル基、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC2-6アルキニル基、又は、R14とR15とが若しくはR16とR17とが結合して、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキリデン基であることが好ましい。
<置換基群A4>
置換基を有してもよいアリール基、及び、置換基を有してもよいヘテロアリール基。
【0081】
上記式(II-4)におけるR14の好ましい態様は、上記式(II-1)におけるR11の好ましい態様と同様である。
【0082】
また、上記式(II-4)において、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、少なくとも、R14とR15とが又はR16とR17とが結合して、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキリデン基であることがより好ましく、R14とR15とが結合して、置換基群A4から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキリデン基であることが更に好ましい。
更に、上記式(II-4)において、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、R14とR15とが結合して、上述した置換基群A1から選択される1つ以上の置換基を有してもよいフェニルメチリデン基、又は、上述した置換基群A1から選択される1つ以上の置換基を有してもよい2-チエニルメチリデン基であり、かつ、R16及びR17が水素原子であることが特に好ましい。
【0083】
式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の好ましい具体例を以下に示すが、上記アミド化合物の具体例は、これらに限定されないことは、言うまでもない。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
<式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の合成方法>
式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の合成方法は、特に制限はないが、例えば、イソインドリン化合物又はピロリジン化合物に、3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸を反応させ、式(I-1)で表されるアミド化合物を得る方法が好適に挙げられる。
また、イソインドリン化合物又はピロリジン化合物については、公知の方法により置換基等を変換して合成してもよいし、鈴木-宮浦カップリング等の芳香族化合物のクロスカップリング反応を行い、必要に応じて置換基等を変換して合成してもよい。
また、各原料化合物については、公知の方法を用いて、又は、公知の方法を参照して合成することができる。
また、式(I-1)で表されるアミド化合物を、公知の塩形成方法により、式(1)で表されるアミド化合物の塩とすることができる。
また、式(1)で表されるアミド化合物は、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の公知の精製方法により精製することもできる。
【0101】
また、式(I-1)で表されるアミド化合物及びその塩において、異性体(例えば、光学異性体、幾何異性体及び互変異性体など)が存在する場合、これらの異性体も使用することができる。また、溶媒和物、水和物及び種々の形状の結晶が存在する場合、これらの溶媒和物、水和物及び種々の形状の結晶も使用することができる。
中でも、式(I-1)で表されるアミド化合物及びその塩は、式(I-1)におけるカルボニル基のヒドロキシ基及び(R5)3C-が結合している側のα位が、(S)体であることが好ましい。
【0102】
上記式(I-1)で表されるアミド化合物及びその塩の合成方法、並びに、上記式(I-1)で表されるアミド化合物及びその塩の精製方法には、公知の溶媒を用いることができる。また、公知の溶媒を、再結晶、再沈殿等における貧溶媒として用いてもよい。
溶媒としては、特に制限はなく、水、及び、有機溶媒を用いることができる。
有機溶媒としては、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、カルボン酸類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0103】
脂肪族炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、及び、シクロヘキサンなどが好適に挙げられる。
ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルム、及び、ジクロロエタンなどが好適に挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び、プロピレングリコールなどが好適に挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及び、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど等が好適に挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、2-ブタノン、及び、4-メチル-2-ペンタノンなど等が好適に挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、及び、酢酸アミルなどが好適に挙げられる。
アミド類としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、N-メチルピロリドンなどが好適に挙げられる。
スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシドなどが好適に挙げられる。
カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、及び、トリフルオロ酢酸などが好適に挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、及び、キシレンなど好適に挙げられる。
【0104】
(炎症性腸疾患処置剤の第二の実施態様)
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤の第二の実施態様は、下記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩を含有し、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する。
【0105】
【0106】
式(I)において、
R01は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、又は、置換基を有してもよい炭化水素環基を表し、
R02は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、又は、置換基を有してもよいヘテロ環基を表し、
R01とR02とは一体となって、置換基を有してもよい含窒素ヘテロ環を形成してもよく、
R03はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R03のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR03が環を形成してもよく、
R04は、水素原子又はC1-10アルキル基を表す。
【0107】
本開示に係る炎症性腸疾患処置剤の第二の実施態様において、上記式(I)で表されるアミド化合物又はその塩は、下記式(I-01)で表されるアミド化合物又はその塩であることが好ましい。
【0108】
【0109】
式(I-01)において、
R1~R6は、上述したR1~R6とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様であり、
R1~R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC2-6アルケニル基、置換基を有してもよいC2-6アルキニル基、置換基を有してもよい炭化水素環基、置換基を有してもよいアリールC2-6アルケニル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC2-6アルケニル基を表し、
R1~R4の全てが同時に水素原子となることはなく、
R1とR2と、又は、R3とR4とが一体となって、置換基を有してもよいアルキリデン基を形成してもよく、
R1~R4が一体となって、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成してもよく、
R5はそれぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、又は、フッ素原子を表し、
R5のうち少なくとも1つはフッ素原子であり、
2個のR5が結合して環を形成してもよく、
R6は、水素原子又はC1-10アルキル基を表し、
L1は、0~2の整数を表す。
【0110】
本開示に係る炎症性腸疾患治療剤の第二の実施態様における上記式(I-01)で表されるアミド化合物又はその塩の好ましい態様は、L1の好ましい態様以外、本開示に係る炎症性腸疾患処置剤の第一の実施態様における上記式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩の好ましい態様と同様である。
上記式(I-01)で表されるアミド化合物又はその塩におけるL1は、炎症性腸疾患の予防及び治療の観点から、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0111】
(アミド化合物又はその塩)
本開示に係るアミド化合物又はその塩は、下記式(III)で表される。
【0112】
【0113】
式(III)において、
RA1は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA2は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA1とRA2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
m4は、1~10の整数を表し、
R14は、-NR51R52、
-NR51C(O)R54、
-NR51C(O)NR53R54、
-NR51SO2R54、
-C(O)NR51R52、又は、
-SO2NR51R52を表し、
R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよい架橋式炭化水素環基、置換基を有してもよいヘテロ脂肪族環基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキルC1-10アルキル基、置換基を有してもよいアリールC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいヘテロアリールC1-10アルキル基を表す。
【0114】
式(III)におけるRA1は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
RA2は、水素原子、又は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基であることが好ましく、水素原子、又は、メチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(III)におけるRA1及びRA2における好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C1-10アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシC1-10アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基が挙げられ、複数の置換基を有してもよい。中でも、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は、カルボキシ基が好ましい。
また、式(III)におけるRA1とRA2とは、一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、上記シクロアルキル基は、3員環~7員環のシクロアルキル基であることが好ましく、5員環又は6員環のシクロアルキル基であることがより好ましい。また、上記シクロアルキル基は、上述したRA1及びRA2における置換基を有していてもよい。
m4は、1~4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
式(III)におけるR14の好ましい態様は、上記式(I-1)におけるR1~R4が一体となって形成する上記芳香族炭化水素環又は上記芳香族ヘテロ環上に有してもよい置換基の好ましい態様と同様である。
【0115】
本開示に係るアミド化合物又はその塩は、下記式(III-1)で表される、アミド化合物又はその塩であることが好ましい。
【0116】
【0117】
式(III-1)において、
RA1は、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA2は、水素原子、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、又は、置換基を有してもよいC3-6シクロアルキル基を表し、
RA1とRA2とが一体となってシクロアルキル基を形成してもよく、
RA3はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいC1-6アルキルアミノ基、置換基を有してもよいジ(C1-6アルキル)アミノ基、置換基を有してもよいC1-10アルキル基、置換基を有してもよいC3-8シクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいC1-6アルコキシ基、置換基を有してもよいC2-7アルキルアミド基、又は、置換基を有してもよいC7-11アリールアミド基を表し、
mAは、0~5の整数を表す。
【0118】
式(III-1)におけるRA1及びRA2は、式(III)におけるRA1及びRA2とそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
式(III-1)におけるRA3は、式(I-1)の置換基群A1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(III-1)におけるmAは、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
【実施例0119】
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
また、実施例で使用したAm-1~Am-48は、上述したAm-1~Am-48とそれぞれ同じ化合物である。
【0120】
特に記載のない場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製は、自動精製装置ISOLERA(Biotage社)又は中圧液体クロマトグラフYFLC-Wprep2XY.N、Parallel Frac FR-260(山善株式会社)を使用した。
特に記載のない場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体はSNAP KP-Sil Cartridge(Biotage社)、ハイフラッシュカラム W001、W002、W003、W004、W005(山善株式会社)、Purif-Pack(登録商標)-EX CAP04132、CAP04133、CAP04134、CAP04135、CAP04138、CAP04139、CAP04140、CAP04141(昭光サイエンス株式会社)を、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体はSNAP KP-NH Cartridge(Biotage社)、Purif-Pack(登録商標)-EX CAP0418、CAP0419(昭光サイエンス株式会社)、ハイフラッシュカラム アミノ W093(山善株式会社)、又は、Q-PACK NH60 SIZE:20(富士シリシア化学株式会社)を、ジオールシリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体はQ-PACK DIOL60 SIZE:20(富士シリシア化学株式会社)を使用した。
特に記載のない場合、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、Waters 600Eシステム(Waters社)又はProminence UFLCシステム(SHIMADZU社)を使用した。
特に記載のない場合、HPLCにおける担体は、SunFire C18 OBDカラム(Waters社)またはCOSMOSIL 5C18-AR-II Packed Column(ナカライテスク社)を使用した。
溶離液における混合比は、容量比である。例えば、「ヘキサン:酢酸エチル=100:0→50:50」は、100%ヘキサン/0%酢酸エチルの溶離液を最終的に50%ヘキサン/50%酢酸エチルの溶離液へ変化させたことを意味する。
【0121】
フロー式水素化反応装置は、H-Cube(ThalesNano社製)を使用した。
マイクロウェーブ装置は、Initiator+又はInitiator Sixty(いずれもBiotage社製)を使用した。
MSスペクトルは、装置としてACQUITY SQD LC/MS System(Waters社製)、JMS-700(日本電子株式会社製)又はAccuTOF-DART(日本電子株式会社製)を用い、イオン化法としてESI(ElectroSpray Ionization、エレクトロスプレーイオン化法)又はDART(Direct Analysis in Real Time、リアルタイム直接分析法)を用いて測定した。
NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用い、Bruker AV300(Bruker社製)又はECS-400(日本電子株式会社製)を用いて測定し、全δ値をppmで示した。
【0122】
NMR測定における略号は、以下の意味を有する。
s:シングレット
br:ブロードシングレット
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
t:トリプレット
m:マルチプレット
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
【0123】
実施例における略号は、以下の意味を有する。
Boc:tert-ブトキシカルボニル
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
Me:メチル
【0124】
【0125】
イソインドリン(24mg)、(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(43mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド (0.053mL)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(46mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液を室温で3時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルおよび水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:2)で精製し、白色固体の(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-1-(イソインドリン-2-イル)プロパン-1-オン(Am-1)を22mg得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=7.41-7.29 (4H,m), 6.99 (1H,d,J=8.1), 5.08-4.91 (3H,m), 4.72 (2H,s).
MS(m/z):246.2(M+H)+
【0126】
<実施例0002:Am-2の合成>
-フェニル化反応-
【化39】
【0127】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(45mg)、フェニルボロン酸(27mg)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホナート(4.2mg)、リン酸カリウム(48mg)及び水(0.2mL)の1,4-ジオキサン(0.8mL)懸濁液を、封管中、窒素雰囲気下、100℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)で精製し、無色油状のtert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラート(36mg)を得た。
MS(m/z):296.2(M+H)+
【0128】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化40】
【0129】
tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラート(30mg)に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(0.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体を得た。3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(22mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(29mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(23mg)、トリエチルアミン(0.04mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→35:65)で精製し、白色固体の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-1-(5-フェニルイソインドリン-2-イル)プロパン-1-オン(Am-2、17mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=7.61-7.51 (4H, m), 7.42-7.34 (3H, m), 7.32-7.27 (1H, m), 7.01-6.95 (1H, m), 5.05-4.88 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m).
MS(m/z):322.2(M+H)+
【0130】
【0131】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートと3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 2,6-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピラゾール-5(4H)-カルボキシラートと(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(2,6-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピラゾール-5(4H)-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(Am-3)を得た。
MS(m/z):236.2(M+H)+
【0132】
<実施例0004:Am-4の合成>
-アミド化反応-
【化42】
【0133】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(45mg)、ベンズアミド(27mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4.5mg)、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(9.6mg)及びリン酸カリウム(64mg)の2-メチル-2-ブタノール(0.5mL)懸濁液を、封管中、窒素雰囲気下、110℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→50:50)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5-ベンズアミドイソインドリン-2-カルボキシラート(35mg)を得た。
MS(m/z):339.2(M+H)+
【0134】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化43】
【0135】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル 5-ベンズアミドイソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体のN-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)ベンズアミド(Am-4)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.34 (1H, s), 7.97-7.93 (2H, m), 7.86-7.80 (1H, m), 7.68-7.57 (2H, m), 7.56-7.50 (2H, m), 7.38-7.31 (1H, m), 7.05 (1H, br), 5.08-4.90 (3H, m), 4.74-4.68 (2H, m).
MS(m/z):365.1(M+H)+
【0136】
【0137】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(45mg)、アクリル酸エチル(0.024mL)、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー(2.7mg)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(8.7mg)及びトリエチルアミン(0.042mL)の1,4-ジオキサン溶液(1.0mL)を、封管中、窒素雰囲気下、110℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.0mL)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、褐色個体を得た。3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(32mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(43mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(34mg)、トリエチルアミン(0.04mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=83:17→50:50)で精製し、白色固体のエチル 3-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)アクリラート(Am-5、22mg)を得た。
MS(m/z):344.1(M+H)+
【0138】
<実施例0006:Am-6の合成>
-スルホンアミド化反応-
【化45】
【0139】
実施例0004のアミド化反応において、ベンズアミドを用いた代わりに、ベンゼンスルホンアミドを用いる以外は実施例0004のアミド化反応と同様の方法で、無色油状のtert-ブチル 5-(フェニルスルホンアミド)イソインドリン-2-カルボキシラートを得た。
MS(m/z):373.2(M-H)-
【0140】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化46】
【0141】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル 5-(フェニルスルホンアミド)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0006の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体のN-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)ベンゼンスルホンアミド(Am-6)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=10.36 (1H, s), 7.78-7.74 (2H, m), 7.64-7.50 (3H, m), 7.23-7.16 (1H, m), 7.12-6.99 (2H, m), 6.95-6.90 (1H, m), 4.98-4.79 (3H, m), 4.63-4.57 (2H, m).
MS(m/z):399.1(M-H)-
【0142】
【0143】
tert-ブチル 5-アミノイソインドリン-2-カルボキシラート(23mg)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液にフェニルイソシアナート(0.016mL)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、ヘキサン(5.0mL)を加えた。固形物を濾取した後、トリフルオロ酢酸(1.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残留物に3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(22mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(29mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(23mg)、トリエチルアミン(0.04mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→90:10)で精製し、白色固体の1-フェニル-3-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)ウレア(Am-7、9mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.76 (1H, s), 8.70-8.67 (1H, m), 7.56-7.52 (1H, m), 7.47-7.43 (2H, m), 7.35-7.23 (4H, m), 7.02-6.94 (2H, m), 5.05-4.85 (3H, m), 4.71-4.64 (2H, m).
MS(m/z):380.2(M+H)+
【0144】
<実施例0008:Am-8の合成>
-フェノキシカルボニル化反応-
【化48】
【0145】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(596mg)、ギ酸フェニル(488mg)、酢酸パラジウム(14mg)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(94mg)及びトリエチルアミン(0.584mL)のトルエン(2.0mL)懸濁液を、封管中、窒素雰囲気下、100℃で8時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→80:20)で精製し、淡黄色油状の2-tert-ブチル 5-フェニル イソインドリン-2,5-ジカルボキシラート(617mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.16-8.05 (2H, m), 7.47-7.34 (3H, m), 7.31-7.18 (3H, m), 4.80-4.71 (4H, m), 1.54 (9H, s).
【0146】
-フェニルエステル構造の選択的還元反応-
【化49】
【0147】
2-tert-ブチル 5-フェニル イソインドリン-2,5-ジカルボキシラート(400mg)のテトラヒドロフラン(5.0mL)溶液に、0℃で1mol/L水素化アルミニウムリチウム/テトラヒドロフラン溶液(1.77mL)を加え、同温度で30分間撹拌した。反応混合物に0℃でメタノール(1mL)を3分間かけて加えた後、5%(w/v)ロッシェル塩水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→40:60)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5-(ヒドロキシメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(254mg)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ=7.29-7.18 (3H, m), 4.70 (2H, s), 4.66-4.61 (4H, m), 2.01 (1H, br), 1.52 (9H, s).
【0148】
【0149】
tert-ブチル 5-(ヒドロキシメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(125mg)、トリフェニルホスフィン(262mg)及びフタルイミド(166mg)のテトラヒドロフラン(3.0mL)溶液に、0℃で1.9mol/Lアゾジカルボン酸ジイソプロピル/トルエン溶液(0.526mL)を加えた後、室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=67:33→50:50)で精製し、黄色油状のtert-ブチル 5-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(174mg)を得た。
MS(m/z):379.2(M+H)+
【0150】
【0151】
tert-ブチル 5-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(174mg)のエタノール(2.0mL)溶液に、ヒドラジン1水和物(0.2mL)を加え、還流下、1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、不溶物を濾去した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(111mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.26-7.16 (3H, m), 4.69-4.62 (4H, m), 3.88 (2H, s), 1.51 (9H, s), 1.46 (2H, br).
MS(m/z):249.3(M+H)+
【0152】
【0153】
tert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(20mg)及びトリエチルアミン(0.027mL)のテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液に、氷冷下、ベンゼンスルホニルクロリド(0.013mL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)で精製した。得られた残留物に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.0mL)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体を得た。(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(14mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(18mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(15mg)、トリエチルアミン(0.027mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→80:20)で精製し、無色油状の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンゼンスルホンアミド(Am-8、3.3mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.19 (1H, br), 7.81-7.76 (2H, m), 7.62-7.55 (3H, m), 7.30-7.14 (3H, m), 7.01 (1H, br), 5.02-4.52 (5H, m), 4.00 (2H, s).
MS(m/z):415.3(M+H)+
【0154】
【0155】
実施例0008のスルホンアミド化反応において、ベンゼンスルホニルクロリドを用いた代わりに、2-フェニルアセチルクロリドを用いる以外は実施例0008のスルホンアミド化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-2-フェニル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)アセトアミド(Am-9)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.62-8.51 (1H, m), 7.32-7.16 (8H, m), 6.99 (1H, d, J = 8.7 Hz), 5.02-4.87 (3H, m), 4.67 (2H, s), 4.27 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.47 (2H, s).
MS(m/z):393.3(M+H)+
【0156】
【0157】
tert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(20mg)、1H-インドール-6-カルボン酸(15mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(18mg)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(15mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)で精製した。得られた残留物に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.0mL)を加え、室温で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体を得た。(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(14mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(18mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(15mg)、トリエチルアミン(0.027mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→90:10)で精製し、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-6-カルボキサミド(Am-10)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=11.40 (1H, s), 9.00-8.95 (1H, m), 8.00 (1H, s), 7.61-7.54 (2H, m), 7.52-7.48 (1H, m), 7.36-7.28 (3H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 6.50-6.47 (1H, m), 5.06-4.88 (3H, m), 4.72-4.67 (2H, m), 4.50 (2H, d, J = 5.7 Hz).
MS(m/z):418.3(M+H)+
【0158】
【0159】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、酢酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)アセトアミド(Am-11)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.36 (1H, t, J = 5.6 Hz), 7.34-7.18 (3H, m), 6.98 (1H, d, J = 8.4 Hz), 5.05-4.88 (3H, m), 4.71-4.68 (2H, m), 4.25 (2H, d, J = 6.0 Hz), 1.87 (3H, s).
MS(m/z):317.3(M+H)+
【0160】
【0161】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、2-メトキシ安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-2-メトキシ-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-12)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.72 (1H, t, J = 6.0 Hz), 7.75-7.71 (1H, m), 7.51-7.44 (1H, m), 7.36-7.26 (3H, m), 7.15 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.07-6.95 (2H, m), 5.06-4.80 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.50 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.89 (3H, s).
MS(m/z):409.4(M+H)+
【0162】
【0163】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、3,5-ジメトキシ安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-3,5-ジメトキシ-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-13)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=9.39 (1H, t, J = 6.0 Hz), 7.35-7.24 (3H, m), 7.06 (2H, d, J = 2.4 Hz), 7.00-6.94 (1H, m), 6.66-6.63 (1H, m), 5.05-4.87 (3H, m), 4.71-4.66 (2H, m), 4.47 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.78 (6H, s).
MS(m/z):439.4(M+H)+
【0164】
【0165】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、4-アセトアミド安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-4-アセトアミド-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-14)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=10.17 (1H, s), 8.98-8.90 (1H, m), 7.84 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.65 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.35-7.24 (3H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.05-4.87 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.47 (2H, d, J = 6.0 Hz), 2.07 (3H, s).
MS(m/z):436.4(M+H)+
【0166】
【0167】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、3-メトキシ安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-3-メトキシ-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-15)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=9.06 (1H, t, J = 5.4 Hz), 7.50-7.24 (6H, m), 7.13-7.07 (1H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.06-4.88 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.48 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.80 (3H, s).
MS(m/z):409.3(M+H)+
【0168】
<実施例0016:Am-16の合成>
-N-(メトキシエチル)化反応-
【化60】
【0169】
1H-インドール-3-カルボン酸(161mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)溶液に、氷冷下、60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(80mg)を加え、同温度で10分間撹拌した。1-ブロモ-2-メトキシエタン(0.095mL)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物に10%(w/v)クエン酸水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、白色固体の1-(2-メトキシエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸(99mg)を得た。
MS(m/z):220.2(M+H)+
【0170】
【0171】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-(2-メトキシエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(2-メトキシエチル)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-16)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.52-8.46 (1H, m), 8.18 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.07 (1H, s), 7.55 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.35-7.28 (3H, m), 7.23-7.12 (2H, m), 7.00-6.95 (1H, m), 5.05-4.88 (3H, m), 4.71-4.66 (2H, m), 4.48 (2H, d, J = 6.0 Hz), 4.37 (2H, t, J = 4.8 Hz), 3.68 (2H, t, J = 4.8 Hz), 3.23 (3H, s).
MS(m/z):476.4(M+H)+
【0172】
【0173】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の2-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-N-((2-((S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)シクロプロパン-1-カルボキサミド(Am-17)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.60 (1H, t, J = 5.7 Hz), 7.35-7.18 (3H, m), 7.00-6.01 (3H, m), 6.66(2H, d, J = 8.1 Hz), 5.06-4.87 (3H, m), 4.71-4.66 (2H, m), 4.39-4.22 (2H, m), 2.83 (6H, s), 2.20-2.12 (1H, m), 1.82-1.74 (1H, m), 1.32-1.25 (1H, m), 1.14-1.06 (1H, m).
MS(m/z):462.4(M+H)+
【0174】
<実施例0018:Am-18の合成>
-ニトロフェノキシカルボニル化反応-
【化63】
【0175】
クロロギ酸4-ニトロフェニル(100mg)及びトリエチルアミン(0.076mL)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液にインドリン(60mg)を加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、不溶物を濾去した。減圧下で溶媒を留去し、ヘキサン(1.5mL)及び酢酸エチル(1.5mL)を加えた。固形物を濾取し、黄色固体の4-ニトロフェニル インドリン-1-カルボキシラート(114mg)を得た。
MS(m/z):285.2(M+H)+
【0176】
-ニトロフェニルカーバメート構造の置換反応-
【化64】
【0177】
4-ニトロフェニル インドリン-1-カルボキシラート(28mg)、tert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(20mg)及び炭酸ナトリウム(17mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL)溶液を100℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 5-((インドリン-1-カルボキサミド)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(26mg)を得た。
MS(m/z):394.4(M+H)+
【0178】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化65】
【0179】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートと3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 5-((インドリン-1-カルボキサミド)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラートと(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)インドリン-1-カルボキサミド(Am-18)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=7.84 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.40-7.24 (4H, m), 7.15 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.09-7.02 (1H, m), 6.99-6.94 (1H, m), 6.87-6.79 (1H, m), 5.06-4.75 (3H, m), 4.69 (2H, d, J = 6.0 Hz), 4.34 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.94 (2H, t, J = 8.7 Hz), 3.13 (2H, t, J = 8.7 Hz).
MS(m/z):420.3(M+H)+
【0180】
<実施例0019:Am-19の合成>
-N-プロピル化反応-
【化66】
【0181】
実施例0016のN-(メトキシエチル)化反応において、1-ブロモ-2-メトキシエタンを用いた代わりに、1-ヨードプロパンを用いる以外は実施例0016のN-(メトキシエチル)化反応と同様の方法で、白色固体の1-プロピル-1H-インドール-3-カルボン酸を得た。
MS(m/z):204.3(M+H)+
【0182】
【0183】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-プロピル-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-プロピル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-19)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.49-8.42 (1H, m), 8.16 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.09 (1H, s), 7.54 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.35-7.28 (3H, m), 7.23-7.12 (2H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.05-4.88 (3H, m), 4.71-4.66 (2H, m), 4.48 (2H, d, J = 6.0 Hz), 4.17 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.86-1.76 (2H, m), 0.86 (3H, t, J = 7.2 Hz).
MS(m/z):460.4(M+H)+
【0184】
【0185】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、2-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-2-メチル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-20)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=11.45 (1H, s), 8.01-7.94 (1H, m), 7.82-7.76 (1H, m), 7.38-7.28 (4H, m), 7.11-6.60 (3H, m), 5.07-4.88 (3H, m), 4.71-4.66 (2H, m), 4.50 (2H, d, J = 6.0 Hz), 2.59 (3H, s).
MS(m/z):432.4(M+H)+
【0186】
<実施例0021:Am-21の合成>
-N-イソプロピル化反応-
【化69】
【0187】
実施例0016のN-(メトキシエチル)化反応において、1-ブロモ-2-メトキシエタンを用いた代わりに、2-ヨードプロパンを用いる以外は実施例0016のN-(メトキシエチル)化反応と同様の方法で、白色固体の1-イソプロピル-1H-インドール-3-カルボン酸を得た。
MS(m/z):204.3(M+H)+
【0188】
【0189】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-イソプロピル-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-イソプロピル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-21)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.48-8.40 (1H, m), 8.25 (1H, s), 8.18 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.57 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.36-7.28 (3H, m), 7.23-7.10 (2H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.05-4.88 (3H, m), 4.84-4.76 (1H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.49 (2H, d, J = 6.3 Hz), 1.48 (6H, d, J = 6.6 Hz).
MS(m/z):460.4(M+H)+
【0190】
【0191】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、4-(ジメチルアミノ)安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-4-(ジメチルアミノ)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-22)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.71 (1H, t, J = 6.0 Hz), 7.76 (2H, d, J = 9.0 Hz), 7.34-7.26 (3H, m), 6.99-6.93 (1H, m), 6.71 (2H, d, J = 9.0 Hz), 5.05-4.87 (3H, m), 4.71-4.65 (2H, m), 4.45 (2H, d, J = 6.0 Hz), 2.97 (6H, s).
MS(m/z):422.4(M+H)+
【0192】
【0193】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、3-(ジメチルアミノ)安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-3-(ジメチルアミノ)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-23)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.96 (1H, t, J = 5.1 Hz), 7.34-7.10 (6H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 6.90-6.84 (1H, m), 5.06-4.88 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.47 (2H, d, J = 6.0 Hz), 2.93 (6H, s).
MS(m/z):422.4(M+H)+
【0194】
【0195】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1H-インドール-2-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-2-カルボキサミド(Am-24)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=11.61 (1H, s), 9.10-9.02 (1H, m), 7.62 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.43 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.38-7.28 (3H, m), 7.22-7.14 (2H, m), 7.08-6.94 (2H, m), 5.07-4.88 (3H, m), 4.72-4.67 (2H, m), 4.53 (2H, d, J = 5.7 Hz).
MS(m/z):418.4(M+H)+
【0196】
【0197】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-ナフトエ酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1-ナフトアミド(Am-25)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=9.13 (1H, t, J = 6.0 Hz), 8.24-8.16 (1H, m), 8.05-7.95 (2H, m), 7.68-7.62 (1H, m), 7.60-7.52 (3H, m), 7.42-7.34 (3H, m), 6.99 (1H, d, J = 8.7 Hz), 5.10-4.90 (3H, m), 4.75-4.70 (2H, m), 4.56 (2H, d, J = 6.0 Hz).
MS(m/z):429.4(M+H)+
【0198】
<実施例0026:Am-26の合成>
-N-ベンジル化反応-
【化75】
【0199】
メチル 1H-ピロール-3-カルボキシラート(63mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(20mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。ベンジルブロミド(0.06mL)を加え、室温で30分間撹拌した後、反応混合物に水及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→60:40)で精製し、無色油状のメチル 1-ベンジル-1H-ピロール-3-カルボキシラート(84mg)を得た。
MS(m/z):216.3(M+H)+
【0200】
【0201】
メチル 1-ベンジル-1H-ピロール-3-カルボキシラート(84mg)のメタノール(1.0mL)及びテトラヒドロフラン(1.0mL)溶液に、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.5mL)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルと1mol/L塩酸を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体の1-ベンジル-1H-ピロール-3-カルボン酸(77mg)を得た。
MS(m/z):202.1(M+H)+
【0202】
【0203】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-ベンジル-1H-ピロール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-ベンジル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(Am-26)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.35 (1H, t, J = 5.7 Hz), 7.40-7.20 (9H, m), 6.99 (1H, s), 6.86-6.83 (1H, m), 6.52-6.49 (1H, m), 5.11 (2H, s), 5.04-4.86 (3H, m), 4.70-4.66 (2H, m), 4.38 (2H, d, J = 5.7 Hz).
MS(m/z):458.5(M+H)+
【0204】
【0205】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-27)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=11.57 (1H, s), 8.50-8.45 (1H, m), 8.15 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.06 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.35-7.26 (3H, m), 7.18-7.07 (2H, m), 7.01-6.95 (1H, m), 5.05-4.88 (3H, m), 4.71-4.68 (2H, m), 4.49 (2H, d, J = 6.0 Hz).
MS(m/z):418.3(M+H)+
【0206】
<実施例0028:Am-28の合成>
-N-ヒドロキシエチル化反応-
【化79】
【0207】
メチル 1H-インドール-3-カルボキシラート(175mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(40mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(239mg)を加えた後、室温で2時間撹拌した。反応混合物にメタノール(2mL)及び4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(0.2mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に水及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→0:100)で精製し、無色油状のメチル 1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-インドール-3-カルボキシラート(147mg)を得た。
MS(m/z):220.2(M+H)+
【0208】
【0209】
実施例0026のエステル構造の加水分解反応において、メチル 1-ベンジル-1H-ピロール-3-カルボキシラートを用いた代わりに、メチル 1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-インドール-3-カルボキシラートを用いる以外は実施例0026のエステル構造の加水分解反応と同様の方法で、白色固体の1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸を得た。
MS(m/z):206.2(M+H)+
【0210】
【0211】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-28)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.52-8.44 (1H, m), 8.18 (1H, d, J = 7.5 Hz), 8.01 (1H, s), 7.53 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.35-7.28 (3H, m), 7.23-7.10 (2H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.05-4.88 (4H, m), 4.71-4.65 (2H, m), 4.48 (2H, d, J = 6.0 Hz), 4.22 (2H, t, J = 5.1 Hz), 3.77-3.71 (2H, m).
MS(m/z):462.4(M+H)+
【0212】
<実施例0029:Am-29の合成>
-N-(アミノカルボニルメチル)化反応-
【化82】
【0213】
1H-インドール-3-カルボン酸(161mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム(80mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。2-クロロアセタミド(94mg)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物に10%(w/v)クエン酸水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→70:30)で精製し、白色固体の1-(2-アミノ-2-オキソエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸(60mg)を得た。
MS(m/z):219.2(M+H)+
【0214】
【0215】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-(2-アミノ-2-オキソエチル)-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(2-アミノ-2-オキソエチル)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-29)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.55-8.48 (1H, m), 8.18 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.02 (1H, s), 7.71 (1H, s), 7.42-7.28 (5H, m), 7.23-7.10 (2H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.05-4.83 (5H, m), 4.71-4.65 (2H, m), 4.48 (2H, d, J = 5.7 Hz).
MS(m/z):475.4(M+H)+
【0216】
【0217】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-30)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=9.08 (1H, t, J = 5.1 Hz), 7.89 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.57-7.44 (3H, m), 7.35-7.26 (3H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.06-4.89 (3H, m), 4.70-4.68 (2H, m), 4.59 (2H, d, J = 6.0 Hz).
MS(m/z):379.3(M+H)+
【0218】
【0219】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1H-ピロール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(Am-31)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=11.14 (1H, s), 8.36-8.30 (1H, m), 7.35-7.26 (4H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 6.77-6.72 (1H, m), 6.52-6.47 (1H, m), 5.05-4.86 (3H, m), 4.71-4.65 (2H, m), 4.40 (2H, d, J = 6.0 Hz).
MS(m/z):368.3(M+H)+
【0220】
【0221】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、4-メトキシ安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-4-メトキシ-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-32)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.92 (1H, t, J = 6.0 Hz), 7.87 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.34-7.24 (3H, m), 7.03-6.94 (3H, m), 5.05-4.87 (3H, m), 4.71-4.65 (2H, m), 4.47 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.81 (3H, s).
MS(m/z):409.3(M+H)+
【0222】
【0223】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、3-アセトアミド安息香酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、無色油状の(S)-3-アセトアミド-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ベンズアミド(Am-33)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=10.09 (1H, s), 9.06-8.99 (1H, m), 8.06-8.02 (1H, m), 7.79-7.73 (1H, m), 7.56-7.51 (1H, m), 7.42-7.24 (4H, m), 7.00-6.94 (1H, m), 5.08-4.88 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.47 (2H, d, J = 6.0 Hz), 2.05 (3H, s).
MS(m/z):436.4(M+H)+
【0224】
【0225】
tert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(20mg)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液に4-メトキシフェニルイソシアナート(0.013mL)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→0:100)で精製した。得られた残留物に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1mL)を加え、室温で30分間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去し、白色固体を得た。(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(17mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(23mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(18mg)、トリエチルアミン(0.033mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→90:10)で精製し、白色固体の(S)-1-(4-メトキシフェニル)-3-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)ウレア(Am-34、3.9mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6)δ=8.36 (1H, s), 7.35-7.21 (5H, m), 7.00-6.95 (1H, m), 6.81 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.52 (1H, t, J = 5.7 Hz), 5.07-4.87 (3H, m), 4.72-4.66 (2H, m), 4.29 (2H, d, J = 6.0 Hz), 3.81 (3H, s).
MS(m/z):424.3(M+H)+
【0226】
<実施例0035:Am-35の合成>
-N-シクロブチル化反応-
【化89】
【0227】
1H-ピロール-3-カルボン酸(106mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(95mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。ブロモシクロブタン(0.074mL)を加えた後、70℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、白色固体の1-シクロブチル-1H-ピロール-3-カルボン酸(28mg)を得た。
MS(m/z):166.1(M+H)+
【0228】
【0229】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-シクロブチル-1H-ピロール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-シクロブチル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(Am-35)を得た。
MS(m/z):422.3(M+H)+
【0230】
<実施例0036:Am-36の合成>
-N-(フルオロフェニルメチル)化反応-
【化91】
【0231】
実施例0035のN-シクロブチル化反応において、ブロモシクロブタンを用いた代わりに、1-(ブロモメチル)-2-フルオロベンゼンを用いる以外は実施例0035のN-シクロブチル化反応と同様の方法で、白色固体の1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピロール-3-カルボン酸を得た。
MS(m/z):220.2(M+H)+
【0232】
【0233】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピロール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(2-フルオロベンジル)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(Am-36)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.34-7.20 (6H, m), 7.14-7.02 (3H, m), 6.70-6.66 (1H, m), 6.38-6.35 (1H, m), 6.10-6.02 (1H, m), 5.10 (2H, s), 5.02-4.58 (7H, m).
MS(m/z):476.2(M+H)+
【0234】
<実施例0037:Am-37の合成>
-N-(ピリジルメチル)化反応-
【化93】
【0235】
1H-ピロール-3-カルボン酸(51mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(55mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。2-(クロロメチル)ピリジン塩酸塩(75mg)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体の1-(ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピロール-3-カルボン酸(14mg)を得た。
MS(m/z):203.1(M+H)+
【0236】
【0237】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-(ピリジン-2-イルメチル)-1H-ピロール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(ピリジン-2-イルメチル)-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-ピロール-3-カルボキサミド(Am-37)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.58 (1H, d, J = 4.5 Hz), 7.67-7.60 (1H, m), 7.36-7.20 (6H, m), 6.94 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.74-6.70 (1H, m), 6.43-6.40 (1H, m), 6.16-6.03 (1H, m), 5.19 (2H, s), 5.03-4.57 (7H, m).
MS(m/z):459.2(M+H)+
【0238】
<実施例0038:Am-38の合成>
-ホーナー-ワズワース-エモンズ反応-
【化95】
【0239】
ベンジルホスホン酸ジエチル(1.25mL)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、氷冷下で60%水素化ナトリウム流動パラフィン分散物(143mg)を加え、同温度で5分間撹拌した。tert-ブチル 3-オキソピロリジン-1-カルボキシラート(1.0g)を加え、70℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を氷浴で冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液5mLを加えた後、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 3-ベンジリデンピロリジン-1-カルボキシラート(7mg)を得た。
MS(m/z):260.2(M+H)+
【0240】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化96】
【0241】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートと3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 3-ベンジリデンピロリジン-1-カルボキシラートと(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-1-(3-ベンジリデンピロリジン-1-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(Am-38)を得た。
MS(m/z):286.2(M+H)+
【0242】
<実施例0039:Am-39の合成>
-グリニャール反応-
【化97】
【0243】
tert-ブチル 3-ホルミルピロリジン-1-カルボキシラート(228mg)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に0℃で2-チエニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(1mol/L、1.25mL)を加え、窒素雰囲気下、同温度で1時間撹拌した。反応混合物に飽和クエン酸水溶液と酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 3-(ヒドロキシ(チオフェン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシラート(150mg)を得た。
MS(m/z):284.2(M+H)+
【0244】
【0245】
tert-ブチル 3-(ヒドロキシ(チオフェン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシラート(150mg)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、室温でカルバミン酸メチル-N-(トリエチルアンモニウムスルホニル)(143mg)を加え、75℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 3-(チオフェン-2-イルメチレン)ピロリジン-1-カルボキシラート(7mg)を得た。
MS(m/z):265.2(M+H)+
【0246】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化99】
【0247】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートと3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 3-(チオフェン-2-イルメチレン)ピロリジン-1-カルボキシラートと(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-1-(3-(チオフェン-2-イルメチレン)ピロリジン-1-イル)プロパン-1-オン(Am-39)を得た。
MS(m/z):292.1(M+H)+
【0248】
<実施例0040:Am-40の合成>
-イミド基の還元反応-
【化100】
【0249】
5,6-ジブロモイソインドリン-1,3-ジオン(350mg)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(434mg)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.46ml)とを加え、60℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(50mL)を5分間かけて滴下した後、減圧下で溶媒を留去した。酢酸エチルを加え、不溶物を濾去した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物にテトラヒドロフラン(5mL)とジ-tert-ブチル ジカルボナート(400mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5,6-ジブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(130mg)を得た。
MS(m/z):377.9(M+H)+
【0250】
-モノピリジルアミノ化及び3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化101】
【0251】
tert-ブチル 5,6-ジブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(20mg)、2-アミノピリジン(11mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4mg)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(5mg)及び炭酸セシウム(163mg)の1,4-ジオキサン(1mL)懸濁液を封管中、窒素雰囲気下、110℃で2時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)で精製した。得られた残留物にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温で30分間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物に(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(22mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(29mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(23mg)、トリエチルアミン(0.05mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→70:30)で精製し、白色固体の(S)-1-(5-ブロモ-6-(ピリジン-2-イルアミノ)イソインドリン-2-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(Am-40、0.8mg)を得た。
MS(m/z):416.0(M+H)+
【0252】
<実施例0041:Am-41の合成>
-ヒドロキシ基の酸化反応-
【化102】
【0253】
tert-ブチル 5-(ヒドロキシメチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(828mg)のジクロロメタン(20mL)溶液に二酸化マンガン(400mg)を加え、室温で24時間撹拌した。不溶物を濾去した後、減圧下で溶媒を留去し、褐色個体のtert-ブチル 5-ホルミルイソインドリン-2-カルボキシラート(750mg)を得た。
MS(m/z):248.3(M+H)+
【0254】
【0255】
tert-ブチル 5-ホルミルイソインドリン-2-カルボキシラート(40mg)、2-アミノピラジン(19mg)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(64mg)及び酢酸(0.4mL)のクロロホルム(2mL)溶液を封管中、70℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→0:100)で精製し、無色油状のtert-ブチル 5-((ピラジン-2-イルアミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(10mg)を得た。
MS(m/z):327.2(M+H)+
【0256】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化104】
【0257】
実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル 5-フェニルイソインドリン-2-カルボキシラートと3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 5-((ピラジン-2-イルアミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラートと(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸とを用いる以外は実施例0002の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-1-(5-((ピラジン-2-イルアミノ)メチル)イソインドリン-2-イル)プロパン-1-オン(Am-41)を得た。
MS(m/z):353.1(M+H)+
【0258】
<実施例0042:Am-42の合成>
-Boc保護、アミド基の還元反応及びブロモ化反応-
【化105】
【0259】
4,5-ジヒドロ-6H-チエノ[2,3-c]ピロール-6-オン(1.7g)のアセトニトリル(17mL)溶液にジ-tert-ブチル ジカルボナート(4.0g)とN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(0.745g)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、5%(w/v)クエン酸水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物に1mol/Lボラン-テトラヒドロフラン錯体(24mL)を加え、60℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、1mol/Lボラン-テトラヒドロフラン錯体(12mL)を追加し、60℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(20mL)を5分間かけて滴下した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物にジクロロメタン(50mL)及びN-ブロモスクシンイミド(3.3g)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)、チオ硫酸ナトリウム(3.0g)及び酢酸エチル(50mL)を加え、不溶物をセライトで濾去した。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)で精製し、薄紫色固体のtert-ブチル 2-ブロモ-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(0.870g)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=6.86 (1H, d, J = 15.0 Hz), 4.62-4.42 (4H, m), 1.50 (9H, s).
【0260】
【0261】
tert-ブチル 2-ブロモ-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(315mg)、シアン化亜鉛(II)(149mg)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(102mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)溶液を、マイクロウェーブ装置を使用して、120℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、10%(w/v)アンモニア水及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→82:18)で精製し、白色固体のtert-ブチル 2-シアノ-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(202mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.39 (1H, d, J = 13.8 Hz), 4.73-4.65 (2H, m), 4.57-4.49 (2H, m), 1.51 (9H, s).
【0262】
【0263】
tert-ブチル 2-シアノ-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(54mg)のメタノール(200mL)溶液を、フロー式水素化反応装置を用いて水素添加反応(ラネーニッケル、50℃、40bar、1.5時間)を行った。減圧下で溶媒を留去した後、得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、白色固体のtert-ブチル 2-(アミノメチル)-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(58mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=6.68 (1H, d, J = 13.2 Hz), 4.65-4.55 (2H, m), 4.49-4.40 (2H, m), 4.01 (2H, s), 1.56 (2H, br), 1.51 (9H, s).
【0264】
【0265】
tert-ブチル 2-(アミノメチル)-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(125mg)、1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(109mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(293mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(60mg)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.65mL)のジクロロメタン(6.5mL)溶液を室温で3時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製し、白色固体のtert-ブチル 2-((1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)メチル)-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(186mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.90-7.84 (2H, m), 7.39-7.20 (5H, m), 6.84-6.60 (2H, m), 5.28 (2H, s), 4.64 (2H, d, J = 5.4 Hz), 4.54-4.26 (4H, m), 1.50 (9H, s).
MS(m/z):439.0(M+H)+
【0266】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化109】
【0267】
tert-ブチル 2-((1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)メチル)-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-5-カルボキシラート(186mg)のジクロロメタン(3.0mL)溶液に、氷冷下、トリフルオロ酢酸(2.0mL)を加え、同温度で1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去した後、得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→0:100)で精製した。得られた残留物にジクロロメタン(5.0mL)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.0mL)を加えた後、氷冷下で1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(286mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(120mg)及び(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオン酸(89mg)を加えた。反応混合物を40℃で5時間撹拌した後、酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→70:30)で精製し、白色固体の(S)-1-ベンジル-N-((5-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)-4,6-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピロール-2-イル)メチル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(Am-42、102mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CD3OD)δ=8.11 (1H, s), 7.91 (1H, s), 7.38-7.23 (5H, m), 6.84 (1H, d, J = 6.0 Hz), 5.34 (2H, s), 5.04-4.46 (7H, m).
MS(m/z):465.9(M+H)+
【0268】
<実施例0043:Am-43の合成>
【化110】
【0269】
実施例0010において、1H-インドール-6-カルボン酸を用いた代わりに、1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸を用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-メチル-N-((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)-1H-インドール-3-カルボキサミド(Am-43)を得た。
MS(m/z):432.2(M+H)+
【0270】
<実施例0044:Am-44の合成>
-還元的アミノ化及び3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化111】
【0271】
tert-ブチル 5-ホルミルイソインドリン-2-カルボキシラート(31mg)、ベンジルアミン(0.016mL)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(55mg)及び酢酸(0.1mL)のクロロホルム(2mL)溶液を封管中、50℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物のN,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)溶液にトリエチルアミン(0.035mL)及びクロロギ酸ベンジル(0.018mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に水及び酢酸エチルを加え、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→0:100)で精製した。得られた残留物に、4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.0mL)を加え、室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体を得た。(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸(20mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(50mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(5mg)、トリエチルアミン(0.05mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル及び水を加え、有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0→80:20)で精製し、白色固体のベンジル (S)-ベンジル((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)カルバマート(1.5mg)を得た。
MS(m/z):499.3(M+H)+
【0272】
【0273】
ベンジル (S)-ベンジル((2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)メチル)カルバマート(1.5mg)に5.1mol/L臭化水素/酢酸(0.2mL)を加え、室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、白色固体の(S)-1-(5-((ベンジルアミノ)メチル)イソインドリン-2-イル)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-1-オンの臭化水素塩(Am-44、1.4mg)を得た。
MS(m/z):365.2(M+H)+
【0274】
<実施例0045:Am-45の合成>
-3-ヒドロキシプロピル化反応-
【化113】
【0275】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(1.30g)、アクリル酸メチル(0.41g)、酢酸パラジウム(25mg)、トリス(2-メチルフェニル)ホスフィン(66mg)及びトリエチルアミン(1.8mL)のN,N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)溶液を、封管中、窒素雰囲気下、130℃で10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)で精製した。得られた残留物(0.75g)のテトラヒドロフラン(5.0mL)溶液に、0℃で1mol/L水素化アルミニウムリチウム/テトラヒドロフラン溶液(3.3mL)を加え、同温度で15分間撹拌した。反応混合物に0℃でメタノール(1mL)を3分間かけて加えた後、5%(w/v)ロッシェル塩水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→50:50)で精製し、黄色油状のtert-ブチル 5-(3-ヒドロキシプロピル)イソインドリン-2-カルボキシラート(0.14g)を得た。
MS(m/z):277.2(M+H)+
【0276】
【0277】
実施例0008のフタルイミド化反応において、tert-ブチル 5-(ヒドロキシメチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル 5-(3-ヒドロキシプロピル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0008のフタルイミド化反応と同様の方法で、無色油状のtert-ブチル 5-(3-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)プロピル)イソインドリン-2-カルボキシラートを得た。
MS(m/z):407.1(M+H)+
【0278】
【0279】
実施例0008のフタルイミド基のアミノ化反応において、tert-ブチル 5-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル 5-(3-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)プロピル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0008のフタルイミド基のアミノ化反応と同様の方法で、無色油状のtert-ブチル 5-(3-アミノプロピル)イソインドリン-2-カルボキシラートを得た。
MS(m/z):277.2(M+H)+
【0280】
-アミド化及び3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化116】
【0281】
実施例0010において、tert-ブチル 5-(アミノメチル)イソインドリン-2-カルボキシラートと1H-インドール-6-カルボン酸とを用いた代わりに、それぞれtert-ブチル 5-(3-アミノプロピル)イソインドリン-2-カルボキシラートと1-ベンジル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸とを用いる以外は実施例0010と同様の方法で、白色固体の(S)-1-ベンジル-N-(3-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)プロピル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(Am-45)を得た。
MS(m/z):486.4(M+H)+
【0282】
<実施例0046:Am-46の合成>
-アルデヒド化反応-
【化117】
【0283】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(598mg)、N-ホルミルサッカリン(634mg)、酢酸パラジウム(22mg)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(68mg)、トリエチルシラン(0.414mL)及び炭酸ナトリウム(318mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)懸濁液を封管中、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した後、85℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、酢酸エチル及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→60:40)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5-ホルミルイソインドリン-2-カルボキシラート(330mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=9.94 (s, 1H), 7.80-7.65 (m, 2H), 7.44-7.29 (m, 1H), 4.73-4.62 (m, 4H), 1.48(s, 9H).
【0284】
【0285】
tert-ブチル 5-ホルミルイソインドリン-2-カルボキシラート(370mg)、(S)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(273mg)及び硫酸銅(599mg)の1,2-ジクロロエタン(2mL)溶液を、封管中、80℃で24時間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、セライトで不溶物をろ去した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→70:30)で精製し、白色固体のtert-ブチル (S,E)-5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(484mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.40 (s, 1H), 7.67-7.51 (m, 2H), 7.24-7.14 (m, 1H), 4.62-4.48 (m, 4H), 1.37 (s, 9H), 1.10 (s, 9H).
MS(m/z):352.1(M+H)+
【0286】
【0287】
tert-ブチル (S,E)-5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(105mg)のジクロロメタン(3mL)溶液に、窒素雰囲気下、-40℃で3mol/Lメチルマグネシウムブロミド/ジエチルエーテル溶液(0.3mL)を2分間かけて加え、同温度で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温し、室温で更に14時間撹拌した。反応混合物に氷冷下で飽和塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5-((R)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)エチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(76mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.25-7.09 (m, 3H), 4.68-4.48 (m, 5H), 3.40-3.27 (m, 1H), 1.56-1.40 (m, 12H), 1,16, (s, 9H)
MS(m/z):367.1(M+H)+
【0288】
【0289】
tert-ブチル 5-((R)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)エチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(76mg)のメタノール(2mL)溶液に、氷冷下、4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(0.2mL)を加え、同温度で45分間攪拌した。反応混合物に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液に加え、ジクロロメタンで3回抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物に、氷冷下、ジクロロメタン(0.5mL)、トリエチルアミン(0.017mL)および塩化ベンゾイル(0.013mL)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→40:60)で精製し、無色油状のtert-ブチル (R)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(36mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.82-7.73 (m, 2H), 7.52-7.34 (m, 3H), 7.33-7.13 (m, 3H), 6.64-6.49 (m, 1H), 5.38-5.22 (m, 1H), 4.69-4.56 (m, 4H), 1.58 (d, J = 7.1Hz, 3H), 1.51(s, 9H).
MS(m/z):367.1(M+H)+
【0290】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化121】
【0291】
tert-ブチル (R)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(37mg)に4mol/L塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(2mL)を加え、室温で45分間撹拌した後、減圧下で溶媒を留去した。N,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.052mL)、1mol/L(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン酸/N,N-ジメチルホルムアミド溶液(0.1mL)、0.5mol/L (1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシド ヘキサフルオロホスファート/N,N-ジメチルホルムアミド溶液(0.2mL)及び1mol/L 3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール/N,N-ジメチルホルムアミド溶液(0.1mL)を氷冷下で加えた後、室温で1時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム及び水を加えた。有機層を分取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40→40:60)で精製し、白色固体のN-((R)-1-(2-((S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)エチル)ベンズアミド(Am-46、12mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.81-7.73 (m, 2H), 7.55-7.21 (m, 6H), 6.48-6.28 (m, 1H), 5.40-5.24 (m, 1H), 5.03-4.58 (m, 5H), 4.22 (d, J = 9.0Hz, 1H), 1.61 (d, J = 6.9Hz, 3H).
MS(m/z):393.1(M+H)+
【0292】
<実施例0047:Am-47の合成>
-スルフィンイミド化反応-
【化122】
【0293】
実施例0046のスルフィンイミド化反応において、(S)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを用いた代わりに、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを用いる以外は実施例0046のスルフィンイミド化反応と同様の方法で、白色固体のtert-ブチル (R,E)-5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(494mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.40 (s, 1H), 7.66-7.51 (m, 2H), 7.24-7.14 (m, 1H), 4.63-4.48 (m, 4H), 1.37 (s, 9H), 1.10 (s, 9H).
MS(m/z):351.1(M+H)+
【0294】
【0295】
実施例0046の不斉メチル化反応において、(S,E)-5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、(R,E)-5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)メチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0046の不斉メチル化反応と同様の方法で、白色固体のtert-ブチル 5-((S)-1-(((R)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)エチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(69mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.25-7.11 (m, 3H), 4.68-4.49 (m, 5H), 3.38-3.29 (m, 1H), 1.56-1.44 (m, 12H), 1.18 (s, 9H).
MS(m/z):367.1(M+H)+
【0296】
【0297】
実施例0046のベンゾイル化反応において、tert-ブチル 5-((R)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)エチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、(tert-ブチル 5-((S)-1-(((R)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)エチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0046のベンゾイル化反応と同様の方法で、白色固体のtert-ブチル (S)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラート(40mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.82-7.73 (m, 2H), 7.52-7.34 (m, 3H), 7.33-7.13 (m, 3H), 6.64-6.49 (m, 1H), 5.38-5.22 (m, 1H), 4.69-4.55 (m, 4H), 1.58 (d, J = 7.1Hz, 3H), 1.50 (s, 9H).
MS(m/z):367.1(M+H)+
【0298】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化125】
【0299】
実施例0046の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル (R)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル (S)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0046の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体のN-((S)-1-(2-((S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)エチル)ベンズアミド(Am-47、14.4mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.81-7.73 (m, 2H), 7.55-7.21 (m, 6H), 6.48-6.24 (m, 1H), 5.40-5.24 (m, 1H), 5.05-4.59 (m, 5H), 4.22 (d, J = 9.0Hz, 1H), 1.60 (d, J = 6.9Hz, 3H).
MS(m/z):393.1(M+H)+
【0300】
<実施例48:Am-48の合成>
-2-ベンゾイル-2-プロピル化反応-
【化126】
【0301】
tert-ブチル 5-ブロモイソインドリン-2-カルボキシラート(244mg)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、窒素雰囲気下、3mol/Lメチルマグネシウムブロミド/ジエチルエーテル溶液(1mL)を加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物にオルトチタン酸テトライソプロピル(0.296mL)を加え、室温で18時間撹拌した。反応混合物に氷冷下で1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加えた後、室温で30分間撹拌した。反応混合物にジクロロメタン及び水を加えた。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物にジクロロメタン(2mL)、トリエチルアミン(0.278mL)及び塩化ベンゾイル(0.116mL)を加え、室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25→60:40)で精製し、白色固体のtert-ブチル 5-(2-ベンズアミドプロパン-2-イル)イソインドリン-2-カルボキシラート(106mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.81-7.71 (m, 2H), 7.53-7.28 (m, 5H), 7.25-7.13 (m, 5H), 6.65-6.51 (m, 1H), 4.70-4.57 (m, 4H), 1.79(s, 6H), 1.51 (s, 9H).
MS(m/z):381.2(M+H)+
【0302】
-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応-
【化127】
【0303】
実施例0046の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応において、tert-ブチル (R)-5-(1-ベンズアミドエチル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いた代わりに、tert-ブチル 5-(2-ベンズアミドプロパン-2-イル)イソインドリン-2-カルボキシラートを用いる以外は実施例0001の3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロピオニル化反応と同様の方法で、白色固体の(S)-N-(2-(2-(3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパノイル)イソインドリン-5-イル)プロパン-2-イル)ベンズアミド(Am-48、17mg)を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.83-7.71 (m, 1H), 7.60-7.19 (m, 7H), 6.48 (s, 1H), 5.04-4.74 (m, 4H), 4.74-4.60 (m, 1H), 4.27-4.17 (m, 1H), 1.80 (s, 6H).
MS(m/z):407.1(M+H)+
【0304】
(実施例101~148)
<HDAC1及び6酵素反応阻害評価>
-酵素反応阻害試験-
HDAC1及び6の酵素活性は、基質の脱アセチル化された割合による蛍光強度の違いを検出する評価系を用いて評価した。精製された組換えヒトHDAC1(HDAC1 active,88kDa,グルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST) tag)をSignalchem社から、ヒトHDAC6(HDAC6,a.a. full length,161kDa,グルタチオン S-トランスフェラーゼ(GST) tag)をBPS社から購入した。脱アセチル化の基質として、Ac化されたRHKKの配列から構成されるペプチド(FLUOR DE LYS(登録商標) Substrate SIRT1、BML-KI176、Enzo社)を用いた。蛍光基の解離にはHDAC Assay Developer 2X (BPS社製)を用いた。試験化合物サンプルの調液にはDMSO(ナカライテスク社製)を、試薬の調液にはHDAC assay buffer(BPS社製)を用いた。黒色96ウェルプレートハーフエリア(corning社製)に試験化合物の5%DMSO溶液(10μL)、5ng/μL enzyme(HDAC1又は6、20μL)を加え、25℃で10分振とうし、続いて12.5μMペプチド基質(20μL)を加え、25℃で20分振とうした。振とう後、反応を停止させるために、HDACassay bufferを用いて2倍に希釈したHDAC Assay Developer 2X(BPS社製、50μL)を加え、更に25℃で30分振とうした。基質の脱アセチル化の割合(product変換率)を、EZ reader(Caliper社)、Ensight(登録商標) マルチモードプレートリーダー(PerkinElmer社)又はARVO Xシリーズ マルチラベルリーダー(PerkinElmer社)を用いて、蛍光強度として検出した。試験化合物濃度10μM(=μmol/L)における酵素反応阻害率を下記式より求めた。
酵素反応阻害率(%)=(試験化合物添加ウェルproduct変換率)÷(DMSOのみ添加ウェルproduct変換率)×100
【0305】
-HDAC6酵素反応のIC50(μM(=μmol/L))の算出-
上記HDAC6酵素反応阻害試験を、5段階の試験化合物濃度で、1化合物につき3回実施した。試験3回分の平均値から各試験化合物濃度における酵素反応阻害率を下記式より求め、Grafitソフトウエア(Erinthacus Software社製)を用いて50%酵素反応阻害濃度[IC50(μM)]を算出した。
酵素反応阻害率(%)=(試験化合物添加ウェルproduct変換率)÷(DMSOのみ添加ウェルproduct変換率)×100
評価基準を以下に示す。
A:HDAC6 IC50<0.5μM
B:HDAC6 IC50=0.5μM~2.0μM
C:HDAC6 IC50>2μM
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
上記表1~表6に示すように、式(I-1)で表されるアミド化合物又はその塩であるAm-1~Am-48は、いずれもHDAC6阻害能が高く、炎症性腸疾患を有効に予防又は治療することができると推定される。
【0313】
<CD45RBhiCD4+T細胞移入大腸炎モデルマウスの作製及び薬効評価>
雄の8週齢のC57BL6/Jマウス(日本クレア社より入手)5匹より脾臓を摘出した。摘出した脾臓を、50-mlコニカルチューブにセットした100μm径のセルストレイナー (Greiner Bio-One、商品名: EASYstrainerTM Cell Strainer、商品コード: 542000)上に置き、2%牛胎児血清 (FCS)含有RPMI1640培地(nacalai tesque、商品コード: 30264-85)中で1-mLシリンジで押しつぶすことでシングル細胞懸濁液を調製した。調製した細胞懸濁液を、1,200 rpm、4℃、10分間遠心することで細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を、2% FCS/2 mM EDTA含有リン酸緩衝液 (PBS)で1×108 cells/mLとなるように再懸濁した。再懸濁液中にMojoSortTM Mouse CD4 T Cell Isolation Kit (BioLegend、商品コード: 480033)中のBiotin-Antibody Cocktailを添加し(1×108 cells 当たり100μL)混和後に、15分間4℃で静置した。処理した細胞を2% FCS/2 mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2% FCS/2 mM EDTA含有PBSで1×108 cells/mLとなるように再懸濁した。再懸濁液中にMojoSortTMMouse CD4 T Cell Isolation Kit中のStreptavidin Nanobeadsを添加し(1×108 cells 当たり100μL)混和後に、15分間4℃で静置した。細胞懸濁液をMojoSortTMMagnet (BioLegend、商品コード: 480020)内に設置し、静置することで、CD4+T細胞以外の細胞をマグネットに付着させた。マグネットに付着していないCD4+T細胞を含む細胞懸濁液を回収し、2% FCS/2 mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2% FCS/2 mM EDTA含有PBSで1×107 cells/mLとなるように再懸濁した。細胞懸濁液に対して、フィコエリスリン(PE)ラベル抗CD45RB抗体 (16A; BD Biosciences社製、商品コード: 553101)、BV605ラベル抗CD4抗体 (RM4-5; BD Biosciences社製、商品コード: 563151)、PE-Cy7TMラベル抗CD25抗体 (PC61; ThermoFisher Scientific社製、商品コード: 25-0251-82)、APC-eF780ラベル抗NK1.1抗体 (PK136; ThermoFisher Scientific社製、商品コード: 47-5941-82)、red Fluor 710ラベル抗CD45抗体 (30-F11; TONBO biosciences社製、商品コード: 80-0451-U100)を細胞懸濁液1mLに対して2.5μLずつそれぞれ添加し、30分間4℃で静置することで細胞表面の染色を行った。2% FCS/2 mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2%FCS/2mM EDTA含有PBSで1×107 cells/mLとなるように再懸濁した。死細胞を染色するために、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD、TONBO biosciences社製、商品コード: 13-6993-T500)を細胞懸濁液1mLに対して10μLずつ添加し混和した。染色後の細胞懸濁液の中から、FACSAriaTMIIIセルソーター (BD Biosciences)を用いて、CD45+CD4+CD25-NK1.1-CD45RBhiの細胞集団 (CD45RBhiCD4+ ナイーブT細胞)を単離した。単離した細胞を2%FCS/2mM EDTA含有PBSで洗浄後に、ハンクス緩衝液(HBSS)で1×106 cells/mLとなるように再懸濁した。
Rag1欠損マウス(ジャクソン研究所、商品名: B6.129S7-Rag1tm1Mom/J、商品コード:002216)1匹あたり、2×105個のCD45RBhiCD4+ ナイーブT細胞を含む200μLの細胞懸濁液を尾静脈から移入した。Rag1欠損マウスは、免疫不全であり、CD45RBhiCD4+ ナイーブT細胞の移入により、特にクローン病及び潰瘍性大腸炎に対応する大腸炎を発症する。0.5% w/vカルボキシメチルセルロース(CMC)溶液に懸濁したAm-35、Am-42、Tubastatin A(下記化合物)、ACY-1215(下記化合物)を20 mg/kgの投与量となるようにCD45RBhiCD4+ナイーブT細胞を移入したRag1欠損マウス(雄、8週齢、1群n = 6-10)に細胞移入日から毎日経口投与した(1回/日)。体重を1週間に1回ずつ、7週間目まで測定した。得られた結果を下記に示す。下記の結果からわかるように、Am-35を投与した群では、溶媒DMSO投与のコントロール(vihicle)群に対して大腸炎に伴う体重減少が十分に抑制された。また、Am-35を投与した群では、Rag1欠損マウスの下痢が抑制され、飼育ケージは比較的きれいな状態が維持された。
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
(実施例202)
<大腸粘膜固有層の細胞調製>
CD45RBhiCD4+ ナイーブT細胞の移入の7週間後にマウスを解剖した。まず大腸を摘出し縦方向に切り開いた後に、内容物や粘液を取り除いた。次に、長さと重量を測定することで、大腸1mm当たりの重量(大腸の肥厚度)を算出した。その結果、Am-35投与群で、DMSO投与コントロール(vihicle)群と比較し、大腸の肥厚度が有意に減少していた。なお、下記における縦軸が大腸の肥厚度を表す。
【0318】
【0319】
CD45RBhiCD4+T細胞移入大腸炎モデルでは大腸粘膜固有層に浸潤するIFN-γ及びIL-17Aを産生するエフェクターT細胞(Th1細胞、Th17細胞)が病態形成に関与している。これらの細胞の異常な活性化が、クローン病の炎症の原因の一つと考えられている。そこで、大腸粘膜固有層の細胞を調製し、FACSCelestaアナライザー(BD Biosciences)を用いてIFN-γ及びIL-17Aを産生するCD4+T細胞等を解析した。詳細を下記に記載する。
ハンクス緩衝液(HBSS)にて大腸組織を洗浄後に、50-mLのコニカルチューブへ移した。そこへあらかじめ37℃に加温してある25 mLの1 mM DTT(dithiothreitol), 20 mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)含有HBSSを加え、恒温シェイカーにて250rpmで37℃20分間振盪した。ボルテックス後に、大腸組織のみを回収し、新しい50-mLのコニカルチューブへ移した。そこへあらかじめ37℃に加温してある25mLの1 mM DTT, 20 mM EDTA含有HBSSを加え、恒温シェイカーにて250rpmで37℃20分間振盪した。
振盪後に、大腸組織のみを回収し、新しい50-mLのコニカルチューブへ移した。そこへあらかじめ37℃に加温してある25mLの2%牛胎児血清(FCS)含有RPMI1640培地を加え、大腸組織を洗浄した。2%FCS含有RPMI1640培地を除去後に、最終濃度26units/mLとなるようにLiberaseTM(Roch社製、商品名: LiberaseTM Research Grade商品名コード: 05 401 127 001)を添加し、最終濃度5 mg/mLとなるようにDNase I (Sigma-Aldrich、商品名: Deoxyribonuclease I from bovine pancreas、商品コード: DN25-5G)を添加し、かつあらかじめ37℃に加温してある2%FCS含有RPMI1640培地を加え、恒温シェイカーにて250rpmで37℃20分間振盪した。振盪後に更に追加で37℃10分間振盪することで、大腸粘膜固有層の細胞を単離した。
25mLの2%FCS含有RPMI1640培地を加え、穏やかに転倒混和した後、10μmのセルストレーナーを用いて細胞浮遊液をこし、50-mLのコニカルチューブへ移した。1,200rpm、4℃10分間遠心することで細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を、10% FCS含有RPMI1640培地で1×106 cells/mLとなるように再懸濁し、5-mLのラウンドチューブへ移した。細胞懸濁液1mLに対して、2μLのBrefeldin A (5.3 mM)とMonensin (1 mM)混合液 (Thermo Fisher Scientific社製、商品名: eBioscienceTM Protein Transport Inhibitor Cocktail (500X)、商品コード: 00-4980-93)、及び、2μLの40.5μM phorbol-12-myristate 13-acetate (PMA) and 669.3μM ionomycin (BioLegend社製、商品名: Cell Activation Cocktail (without Brefeldin A)、商品コード: 423302)の両者を添加し、CO2インキュベーター内で37℃、4時間インキュベーションした。
4時間後に、2% FCS含有PBSで洗浄後に2×107cells/mLとなるように再懸濁した。細胞懸濁液に対して、BV605ラベル抗TCRβ抗体 (H57-597; BD Biosciences社製、商品コード: 562840)、BV510ラベル抗CD45抗体 (30-F11; BD Horizon社製、商品コード: 563891)、red Fluor 710ラベル抗CD4抗体 (RM4-5; TONBO biosciences社製、商品コード: 80-0042-U100) を細胞懸濁液50μLに対して0.2μLずつそれぞれ添加し、30分間4℃で静置することで細胞表面の染色を行った。2% FCS含有PBSで洗浄後に2×107cells/mLとなるように再懸濁し、細胞懸濁液50μLに対して0.05μLのFixable Viability Stain 780 (BD Horizon社製、商品コード: 565388)を添加し、室温で15分間インキュベーションすることで死細胞を染色した。
2%FCS含有PBSで洗浄後に、Transcription Factor Buffer Set (BD Pharmingen社製、商品コード: 562574)内の固定液を1mL加え細胞を再懸濁し、45分間氷上に静置することで細胞の固定/膜透過処理を行った。その後、同キット内の洗浄バッファーで細胞を洗浄後に、2×107cells/mLとなるように再懸濁した。細胞懸濁液に対して、BV786ラベル抗IL-17A抗体 (TC11-18H10; BD Horizon社製、商品コード: 564171)、BV650ラベル抗IFN-γ抗体 (XMG1.2; BD Horizon社製、商品コード: 563854)、BV421ラベル抗TNF-α抗体 (MP6-XT22; BD Horizon社製、商品コード: 563387)を細胞懸濁液50μLに対して0.2μLずつそれぞれ添加し、30分間室温で静置することで細胞内の染色を行った。洗浄バッファーで洗浄後に、300μLに再懸濁し、FACSCelestaアナライザー(BD Biosciences社製)を用いて解析し、大腸粘膜固有層に浸潤したCD4+陽性T細胞(CD4+TCRβ+)数、サイトカイン産生CD4+陽性T細胞の割合(Frequency(%))並びに細胞数を算出した。その結果、Am-35投与群で、DMSO投与コントロール群と比較し、CD4+陽性T細胞数が有意に減少していた。またIFN-γ産生細胞数、TNF-α産生細胞数は、Am-35投与群で、DMSO投与コントロール(vihicle)群と比較して減少傾向にあった。このことから、大腸の炎症状態がvihicleほど悪化しなかったと推察される。
【0320】
下記データは、CD4+陽性T細胞数を表す。また、各バーは、左から、vihicle(DMSO)、Am-35、Am-42、Tubastatin A、ACY-1215を使用した場合のデータを示す。
【0321】
【0322】
下記データは、サイトカイン産生CD4+陽性T細胞数を表す。また、各細胞毎の5本のバーは、左から、vihicle(DMSO)、Am-35、Am-42、Tubastatin A、ACY-1215を使用した場合のデータを示す。Am-35は、他群に比べて、TNF-α産生細胞を抑制していることが示唆される。
【0323】
【0324】
<In vitroのT細胞分化>
In vitroで制御性T(Treg)細胞を分化誘導するため、前処理としてタンパク質高結合96ウェルプレート (Corning社製、商品名: Corning 96-well EIA/RIA Clear Flat Bottom Polystyrene High Bind Microplate, 20 per Bag, with Lid, Sterile、商品コード: 3361)に、5μg/mLの抗TCRβモノクローナル抗体 (H57-597; BioXCell社製、商品コード: BE0102)含有PBSを加え4℃で1晩静置することで、プレートに抗体を固層化した。
上記各群のマウスから摘出した脾臓を、50-mLコニカルチューブにセットした100μm径のセルストレイナー(Greiner Bio-One社製、商品名: EASYstrainerTM Cell Strainer、商品コード: 542000)上に置き、2%牛胎児血清(FCS)含有RPMI1640培地(nacalai tesque社製、商品コード: 30264-85)中で1-mLシリンジで押しつぶすことでシングル細胞懸濁液を調製した。調製した細胞懸濁液を、1,200rpm、4℃、10分間遠心することで細胞を沈殿させた。沈殿した細胞を、2% FCS/2 mM EDTA含有リン酸緩衝液 (PBS)で1×108 cells/mLとなるように再懸濁した。再懸濁液中にMojoSortTM Mouse CD4 T Cell Isolation Kit (BioLegend社製、商品コード: 480033)中のBiotin-Antibody Cocktailを添加し(1×108 cells 当たり100μL)混和後に、15分間4℃で静置した。処理した細胞を2%FCS/2mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2%FCS/2mM EDTA含有PBSで1×108 cells/mLとなるように再懸濁した。再懸濁液中にMojoSortTMMouse CD4 T Cell Isolation Kit中のStreptavidin Nanobeadsを添加し(1×108 cells 当たり10μL)混和後に、15分間4℃で静置した。細胞懸濁液をMojoSortTM Magnet (BioLegend、商品コード: 480020)内に設置し、静置することで、CD4+T細胞以外の細胞をマグネットに付着させた。マグネットに付着していないCD4+T細胞を含む細胞懸濁液を回収し、2%FCS/2mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2%FCS/2mM EDTA含有PBSで1×107 cells/mLとなるように再懸濁した。細胞懸濁液に対して、BV510ラベル抗CD44抗体 (IM7; BD Horizon社製、商品コード: 563114)、BV421ラベル抗CD62L抗体 (MEL-14; BD Horizon社製、商品コード: 562910)、BV605ラベル抗CD4抗体 (RM4-5; BD Horizon社製、商品コード: 563151)、PE-Cy7TMラベル抗CD25抗体 (PC61; BioLegend社製、商品コード: 102016)、APC-eF780ラベル抗NK1.1抗体 (PK136; ThermoFisher Scientific社製、商品コード: 47-5941-82)、red Fluor 710ラベル抗CD45抗体 (30-F11; TONBO biosciences社製、商品コード: 80-0451-U100)を細胞懸濁液1mLに対して2.5μLずつそれぞれ添加し、30分間4℃で静置することで細胞表面の染色を行った。2%FCS/2mM EDTA含有PBSで洗浄後に、2%FCS/2mM EDTA含有PBSで1×107 cells/mLとなるように再懸濁した。死細胞を染色するために、7-AAD (TONBO biosciences社製、商品コード: 13-6993-T500)を細胞懸濁液1mLに対して10μLずつ添加し混和した。染色後の細胞懸濁液の中から、FACSAriaTMIIIセルソーター (BD Biosciences社製)を用いてCD45+CD4+CD25-NK1.1-CD44loCD62LhiのナイーブCD4+T細胞集団を単離した。単離した細胞を10%牛胎児血清 (FCS; MP Biomedicals社製)含有完全RPMI1640培地(ナカライテスク社製)にて洗浄後、同培地で2×106 cells/mLとなるように再懸濁した。
1×105個のナイーブCD4+T細胞 (200μL)を、最終濃度0.1 ng/mLの組換えヒトTGF-β1 (BioLegend社製、商品コード: 580702)、10 ng/mLの組換えマウスIL-2 (BioLegend社製、商品コード: 575406)、2μg/mL抗CD28抗体 (37.51; BioXCell社製、商品コード: BE0015-1)を含む10%FCS含有完全RPMI1640培地に懸濁し、抗TCRβモノクローナル抗体が固定化された96ウェルプレートに撒いた。48時間刺激後に、細胞を回収し、10%FCS含有完全RPMI1640培地で洗浄後に最終濃度0.1 ng/mlの組換えヒトTGF-β1、10 ng/mLの組換えマウスIL-2を含む10%FCS含有完全RPMI1640培地に懸濁し、新しい細胞培養用の96ウェルプレート (Thermo Fisher Scientific社製、商品名: BioLite 96 well Multidish商品コード: 130188)に再度撒いた。
72時間後に、2%FCS含有PBSでウェルを洗浄後、細胞を50μLに再懸濁した。BV605ラベル抗TCRβ抗体 (H57-597; BD Biosciences社製、商品コード: 562840)、BV510ラベル抗CD45抗体 (30-F11; BD Horizon社製、商品コード: 563891)、red Fluor 710ラベル抗CD4抗体 (RM4-5; TONBO biosciences社製、商品コード: 80-0042-U100) を細胞懸濁液50μLに対して0.2μLずつそれぞれ添加し、30分間4℃で静置することで細胞表面の染色を行った。2% FCS含有PBSで洗浄後に300μLに再懸濁し、細胞懸濁液50μLに対して0.05μLのFixable Viability Stain 780 (BD Horizon社製、商品コード: 565388)を添加し、室温で15分間インキュベーションすることで死細胞を染色した。2% FCS含有PBSで洗浄後に、Transcription Factor Buffer Set (BD Pharmingen社製、商品コード: 562574)内の固定液を300μL加え細胞を再懸濁し、45分間氷上に静置することで細胞の固定/膜透過処理を行った。その後、同キット内の洗浄バッファーで細胞を洗浄後に、50μLに再懸濁した。細胞懸濁液に対して、eFluor660ラベル抗Foxp3抗体 (FJK-16s; Thermo Fisher Scientific社製、商品コード: 50-5773-82)、PEラベル抗CD152 (CTLA-4)抗体 (UC10-4B9; Thermo Fisher Scientific社製、商品コード: 12-1522-82)を細胞懸濁液50μLに対して0.2μLずつそれぞれ添加し、30分間室温で静置することで細胞内の染色を行った。洗浄バッファーで洗浄後に、22%FCS含有PBSで300μLに再懸濁し、FACSCelestaアナライザー (BD Biosciences社製)を用いて解析し、CD4+T細胞 (CD4+TCRβ+)細胞の中での生細胞の割合、生細胞の中でのCTLA-4+Fopx3+機能的Treg細胞の割合を算出した。
その結果、Am-35、Am-42処理群では、DMSO処理コントロール(vihicle)群や市販のHDAC6選択的阻害剤であるTubacin処理群と比較し、CD4+T細胞の中での生細胞の割合が有意に高かった。また、Am-35、Am-42処理群では、DMSO処理コントロール群や市販のHDAC6選択的阻害剤であるTubcin処理群と比較し、CTLA-4+Fopx3+機能的Treg細胞誘導能が有意に高かった。
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