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特開2023-68739液体循環システム、基板処理装置及び液体循環方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068739
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】液体循環システム、基板処理装置及び液体循環方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230511BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
B01J3/02 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180011
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】上田 博一
(72)【発明者】
【氏名】梅下 尚己
(72)【発明者】
【氏名】岩下 光秋
(72)【発明者】
【氏名】関口 賢治
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩二
(72)【発明者】
【氏名】森本 保
(72)【発明者】
【氏名】秋元 敏和
(57)【要約】
【課題】真空中でイオン液体を連続的に循環させることができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による液体循環システムは、真空容器内に供給したイオン液体を回収して再び真空容器内に戻す液体循環システムであって、前記真空容器内と連通する開口を有し、該開口を介して前記真空容器内から取り出されるイオン液体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに対して鉛直方向下方に設けられる粘性ポンプと、前記貯留タンク内のイオン液体を前記真空容器内に送る配管と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内に供給したイオン液体を回収して再び真空容器内に戻す液体循環システムであって、
前記真空容器内と連通する開口を有し、該開口を介して前記真空容器内から回収されるイオン液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに対して鉛直方向下方に設けられる粘性ポンプと、
前記貯留タンク内のイオン液体を前記真空容器内に送る配管と、
を有する、液体循環システム。
【請求項2】
前記粘性ポンプは、前記貯留タンクの下端に接続される、
請求項1に記載の液体循環システム。
【請求項3】
前記粘性ポンプは、円筒形状の筐体と、前記筐体内で前記筐体の中心軸を回転軸として回転する回転体と、を含む、
請求項1又は2に記載の液体循環システム。
【請求項4】
前記回転体は、イオン液体の液面よりも鉛直方向下方に設けられる、
請求項3に記載の液体循環システム。
【請求項5】
前記回転体の外周面には、螺旋状の溝が形成されている、
請求項3又は4に記載の液体循環システム。
【請求項6】
前記回転体の外周面と前記筐体の内周面との間には、隙間が設けられる、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項7】
前記貯留タンクは、円筒形状を有し、内径が前記筐体の内径と同じ又は前記筐体の内径より大きい、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項8】
前記粘性ポンプと前記配管との間に設けられるダイヤフラムポンプを有する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項9】
前記配管を流れるイオン液体の流量を制御する流量制御器を有する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項10】
前記配管の内部の圧力を検出するセンサを有し、
前記流量制御器は、前記センサが検出した前記圧力に基づいて前記流量を制御する、
請求項9に記載の液体循環システム。
【請求項11】
前記貯留タンクの前記開口に設けられ、前記貯留タンク内から前記真空容器内への飛沫の侵入を遮蔽する飛沫遮蔽部材を有する、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項12】
前記貯留タンク内のイオン液体の温度を調整する温調器を有する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項13】
前記真空容器内は、超高真空(10-5Pa~10-8Pa)に維持される、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液体循環システム。
【請求項14】
基板を処理する真空容器と、
前記真空容器内に供給したイオン液体を回収して再び真空容器内に戻す液体循環システムと、
を備え、
前記液体循環システムは、
前記真空容器内と連通する開口を有し、該開口を介して前記真空容器内から取り出されるイオン液体を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに対して鉛直方向下方に設けられる粘性ポンプと、
前記貯留タンク内のイオン液体を前記真空容器内に送る配管と、
を有する、
基板処理装置。
【請求項15】
前記真空容器のチャンバ壁に形成された開口を開閉するゲートバルブを備え、
前記ゲートバルブは、
前記開口を閉じる位置と開く位置との間で移動するゲートシャッタと、
前記ゲートシャッタにより鉛直方向上方に押し付けられる浮上体と、
前記液体循環システムからイオン液体が供給されることで前記浮上体を鉛直方向下方に押し付けて前記浮上体を支持する流体軸受と、
を有する、
請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記真空容器内に設けられる回転ステージと、
前記回転ステージの下部に接続され、前記回転ステージを回転させる回転軸と、
中空形状を有し、中空部に前記回転軸が挿通される軸受ハウジングと、
前記液体循環システムからイオン液体が供給されることで前記軸受ハウジングに対して前記回転軸を支持する流体軸受と、
を備える、
請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項17】
真空容器内に供給したイオン液体を回収して再び真空容器内に戻す液体循環方法であって、
前記真空容器内と連通する開口を介して前記真空容器内から貯留タンクにイオン液体を回収して貯留することと、
前記貯留タンクに対して鉛直方向下方に設けられる粘性ポンプにより配管を介して前記真空容器内にイオン液体を送ることと、
を有する液体循環方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体循環システム、基板処理装置及び液体循環方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体ポンプを用いて真空チャンバ内にイオン液体を供給する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-239220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、真空中でイオン液体を連続的に循環させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による液体循環システムは、真空容器内に供給したイオン液体を回収して再び真空容器内に戻す液体循環システムであって、前記真空容器内と連通する開口を有し、該開口を介して前記真空容器内から取り出されるイオン液体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに対して鉛直方向下方に設けられる粘性ポンプと、前記貯留タンク内のイオン液体を前記真空容器内に送る配管と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、真空中でイオン液体を連続的に循環させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の基板処理装置の一例を示す図
図2】実施形態の液体循環システムの一例を示す断面斜視図
図3】粘性ポンプの一部を拡大して示す断面斜視図
図4】配管に設けられる継ぎ手の位置の一例を示す図
図5】粘性ポンプと配管との接続部の一例を示す断面図
図6】粘性ポンプと配管との接続部の別の一例を示す断面図
図7】イオン液体再生機構の一例を示す図
図8】高温対応ゲートバルブの一例を示す断面図(1)
図9】高温対応ゲートバルブの一例を示す断面図(2)
図10】高温対応回転シールの一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔超高真空環境におけるイオン液体の循環について〕
超高真空環境でナノレベルの運動が可能な機構の需要が半導体製造分野で高まっている。ナノレベルの運動が滑らかに可能な機械要素には磁気軸受や流体軸受が挙げられる。なぜならば、磁気軸受や流体軸受は浮上して運動するので機械的な摩擦による振動や抵抗がないためである。振動や抵抗がないことは、ナノレベルの位置決め制御のしやすさと摩耗粉のコンタミレス化にも寄与するためナノレベルの加工精度がクリーンな環境下で要求される半導体製造の分野に適している。特に流体軸受は磁気軸受よりも軸受剛性が高く、放出される磁界も少ないためこの分野で既に多く利用されている。
【0010】
近年では、情報の大容量化に伴って半導体リソグラフィの微細化が求められている。そのため、リソグラフィ光源(ビーム源)に極端紫外放射(EUV:Extreme Ultra Violet Radiation)や電子線(EB:Electron Beam)を用いる動きが広まっている。これらの低波長のビームは気体分子によって吸収・散乱されてしまうためリソグラフィを超高真空環境で行う必要がある。このため、加工対象についても超高真空環境で位置決めすることが求められる。
【0011】
しかしながら、流体軸受は気体や液体を使用するという特徴上、真空で扱いづらいという問題がある。高真空用の流体軸受としては、差動排気シールが挙げられる。差動排気シールは、加圧気体で軸受を浮かせた後、超高真空環境にその気体が放出される前に真空ポンプで吸い出す仕組みである。差動排気シールを用いることにより超高真空環境でナノレベルの位置決め精度が得られる。しかしながら、差動排気シールは機構が複雑であり、高価な上に大型化する問題がある。
【0012】
また、高真空用の流体軸受としては、磁気軸受が挙げられる。しかしながら、磁気軸受はコイルが発熱し超高真空環境をベーキングするため、真空度が悪化しやすい。そのため、機構は10-3Paの低真空に置いておき、ビーム照射部分のみを差動排気シールで10-5Pa台にシーリングすることが行われている。
【0013】
本発明者らは、鋭意検討した結果、真空中でイオン液体を連続的に循環させることができる液体循環システムを見出し、該液体循環システムを用いることで機構の簡素化、小型化及び低コスト化が可能な流体軸受を実現できることを見出した。以下、詳細に説明する。
【0014】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態の基板処理装置の一例について説明する。実施形態の基板処理装置は、半導体ウエハやガラス基板等の基板に対して各種の半導体プロセスを実行する装置である。
【0015】
基板処理装置は、処理容器1、排気部2、液体利用部3及び液体循環システム4を備える。
【0016】
処理容器1は、内部を所定の真空度に維持可能な真空容器である。所定の真空度は、例えば超高真空(10-8Pa~10-5Pa)、高真空(10-5Pa~10-1Pa)である。
【0017】
排気部2は、処理容器1内を排気することで所定の真空度に減圧する。排気部2は、真空ポンプ、排気配管及び圧力制御弁を含む。
【0018】
液体利用部3は、処理容器1内に設けられる。液体利用部3は、液体循環システム4から送られるイオン液体が利用される対象である。液体利用部3は、例えば真空シール、温調対象物、除電対象物である。
【0019】
真空シールとしては、例えば処理容器1に対して基板を搬入又は搬出するための搬入出口を開閉するゲートバルブをシールする流体軸受、処理容器1内で基板を回転可能に保持する回転ステージを回転させる回転軸をシールする流体軸受が挙げられる。イオン液体は真空中かつ高温下において不揮発性を示すことから、真空中かつ高温下に置かれた流体軸受にイオン液体を供給できる。これにより、Oリングを用いることが困難な高温下(例えば240°以上)における真空シールを実現できる。
【0020】
温調対象物としては、例えば処理容器1内に設けられる真空断熱された部材(以下「真空断熱部材」という。)が挙げられる。真空断熱部材としては、例えばモータ、基板が挙げられる。イオン液体は真空中かつ高温下において不揮発性を示すことから、真空中に置かれた真空断熱部材にイオン液体を供給できる。これにより、真空断熱部材に低温のイオン液体を供給することで真空断熱部材を冷却できる。また、真空断熱部材に高温のイオン液体を供給することで真空断熱部材を加熱できる。
【0021】
除電対象物としては、例えば処理容器1内に設けられる電気的に浮遊した部材(以下「浮遊部材」という。)が挙げられる。イオン液体は真空中において不揮発性を示すことから、真空中に置かれた浮遊部材にイオン液体を供給できる。また、イオン液体は導電性を示すことから、浮遊部材にイオン液体を供給することで、イオン液体を介して浮遊部材を除電できる。
【0022】
液体循環システム4は、処理容器1内の液体利用部3に供給したイオン液体を回収して再び液体利用部3に戻すことでイオン液体を循環させるように構成される。液体循環システム4の詳細については後述する。
【0023】
〔液体循環システム〕
図1図6を参照し、実施形態の液体循環システムの一例について説明する。
【0024】
液体循環システム4は、貯留タンク41、粘性ポンプ42、ダイヤフラムポンプ43、配管44、吐出圧センサ45、流量制御器46、供給圧センサ47、液体回収トレイ48、温調器49、飛沫遮蔽部材50、計測ユニット51及びフレーム52を有する。
【0025】
貯留タンク41は、イオン液体ILを貯留する。貯留タンク41は、円筒形状を有する。貯留タンク41は、上端の開口41aが処理容器1内と連通する。これにより、処理容器1内から開口41aを介して貯留タンク41内にイオン液体ILが回収され、貯留タンク41内のイオン液体ILの液面LLが真空中に曝露される。また、イオン液体ILが大気に触れることなく真空中で保管されるので、イオン液体ILの特性の劣化を抑制でき、結果としてイオン液体の交換頻度を低くできる。また、貯留タンク41は、下端の開口41bが粘性ポンプ42内と連通する。貯留タンク41内では、イオン液体ILが重力により下端の開口41bに向けて落下して粘性ポンプ42に送られ、イオン液体ILに含まれ得る気泡は浮力により液面LLに向かって上昇して液面LLにおいて脱気される。これにより、イオン液体ILに含まれ得る気泡が粘性ポンプ42内に侵入することを抑制できる。イオン液体ILの脱気は、粘性ポンプ42の駆動中に行うことができ、また粘性ポンプ42の停止中にも行うことができる。イオン液体ILの種類は限定されないが、例えばアンモニウム型、イミダゾリウム型、ピリジニウム型を利用できる。
【0026】
粘性ポンプ42は、貯留タンク41に対して鉛直方向下方に設けられる。本実施形態において、粘性ポンプ42は、筐体421、回転体422、ステータ423、軸受424及び回転数検出器425を含む。
【0027】
筐体421は、鉛直方向を中心軸とする円筒形状を有する。筐体421は、上端が貯留タンク41の下端に接続され、筐体421の上端の開口421aと貯留タンク41の下端の開口41bとが連通する。これにより、貯留タンク41内のイオン液体ILが重力により開口41b及び開口421aを介して筐体421内に落下し、筐体421内がイオン液体ILで満たされる。このように負圧や液体を押し出すためのガス等を用いることなく貯留タンク41内から筐体421内にイオン液体を送液する。そのため、筐体421内から配管44に所定量の液体が送られると、該所定量と同じ量のイオン液体が貯留タンク41内から重力により筐体421内に供給される。
【0028】
また、筐体421は、貯留タンク41と同軸に設けられ、内径が貯留タンク41の内径と同じ又は貯留タンク41の内径よりも小さく構成される。これにより、筐体421内で生じる気泡が貯留タンク41と筐体421との接続部において滞留することなく処理容器1内に向けて鉛直方向上方に移動する。その結果、筐体421内の気泡を効率よく除去できる。また、筐体421の内径が貯留タンク41の内径より小さく構成される場合、筐体421側から貯留タンク41側に向けて拡径する傾斜面を設けることが好ましい。これにより、貯留タンク41と筐体421との接続部における気泡の滞留を特に抑制できる。
【0029】
回転体422は、筐体421内に設けられ、イオン液体ILに浸されている。すなわち、回転体422は、イオン液体ILの液面LLよりも鉛直方向下方に設けられている。回転体422は、筐体421の中心軸を回転軸とする円筒形状を有する。回転体422の軸方向の長さは、例えば回転体422の直径の2倍~3倍である。回転体422は、筐体421内で回転することで筐体421内のイオン液体を該イオン液体の粘性を用いて配管44に送る。回転体422の外周面と筐体421の内周面との間には、隙間G1(図3)が設けられている。隙間G1は例えば0.01mm~0.5mmであり、一例として0.25mmである。回転体422の外周面には、回転体422の回転軸を螺旋軸とする螺旋状の送液溝422a(図3)が形成されている。送液溝422aの深さD1は例えば0.01mm~1mmであり、一例として0.22mmである。
【0030】
ステータ423は、回転体422の外側に設けられ、回転体422を回転させるための力を発生させる。ステータ423は、例えば永久磁石型ステータである。
【0031】
軸受424は、上部軸受ブロック424a及び下部軸受ブロック424bを含む。軸受424は、上部軸受ブロック424aにより回転体422の上部を軸支し、下部軸受ブロック424bにより回転体422の下部を軸支する。軸受424は、流体軸受であることが好ましい。これにより、コンタミネーションの発生を防止し、かつ回転体422を高速で回転させることができる。ただし、軸受424は、転がり軸受であってもよい。
【0032】
回転数検出器425は、センサ回転側425a及びセンサ固定側425bを含み、回転体422の回転数を検出する。
【0033】
ダイヤフラムポンプ43は、粘性ポンプ42と配管44との間に設けられる。本実施形態において、ダイヤフラムポンプ43は粘性ポンプ42の下部に接続されている。ダイヤフラムポンプ43は、粘性ポンプ42から送られるイオン液体ILを配管44に送る。なお、ダイヤフラムポンプ43は設けられなくてもよく、図2ではダイヤフラムポンプ43が設けられていない場合を示している。
【0034】
配管44は、一端がダイヤフラムポンプ43に気密に接続され、他端が処理容器1の底板11を貫通して処理容器1内に挿通される。これにより、配管44はダイヤフラムポンプ43から送られるイオン液体ILを処理容器1内に送り、液体利用部3に供給する。配管44は、例えば1本の配管で構成される。ただし、図4に示されるように、配管44は、複数本、例えば4本の配管441~444で構成されていてもよい。配管44が4本の配管441~444で構成される場合、配管441~444同士を接続する継ぎ手445~447を鉛直方向に延びる配管に設けることが好ましい。
【0035】
例えば、図5に示されるように、鉛直方向に延びる配管P1,P2同士を接続すると、OリングR1が取り付けられる溝部T1内で生じる気泡が浮力により上昇しながら配管P1,P2内の流路FPに移動する。そのため、溝部T1内の気泡を除去できる。また、図5に示されるように、溝部T1の内周面の周方向における一部に、溝部T1の底面から上面まで鉛直方向に延び、かつ上面において流路FPに連通するドレインDRを設けることが好ましい。これにより、溝部T1の内周面、溝部T1の底面及びOリングR1で囲まれる領域A1の気泡がドレインDPを通って流路FPに移動する。そのため、溝部T1内の気泡を効率よく除去できる。
【0036】
これに対し、図6に示されるように、水平方向に延びる配管P3,P4同士を接続すると、OリングR2が取り付けられる溝部T2のうち配管P3,P4内の流路FPよりも鉛直方向上方に位置する領域A2において生じる気泡が流路FPに移動しない。そのため、溝部T2内の気泡を完全に除去できない。
【0037】
配管44には、ダイヤフラムポンプ43の側から順に、吐出圧センサ45、流量制御器46及び供給圧センサ47が介設されている。
【0038】
吐出圧センサ45は、配管44に介設されており、ダイヤフラムポンプ43から吐出されるイオン液体ILの吐出圧を検出する。吐出圧センサ45は、検出した吐出圧を流量制御器46に送信する。
【0039】
流量制御器46は、配管44に介設されている。流量制御器46は、吐出圧センサ45が検出した吐出圧及び供給圧センサ47が検出した供給圧の少なくともいずれかに基づいて、配管44を流れるイオン液体ILの流量を制御する。
【0040】
供給圧センサ47は、配管44に介設されており、流量制御器46で流量が制御されて処理容器1内に供給されるイオン液体ILの供給圧を検出する。供給圧センサ47は、検出した供給圧を流量制御器46に送信する。
【0041】
液体回収トレイ48は、処理容器1の底板11上に設けられ、貯留タンク41の開口41aに向けて傾斜する漏斗状を有する。液体回収トレイ48は、液体利用部3で利用されたイオン液体ILを集めて貯留タンク41の開口41aに回収する。液体回収トレイ48を設けることにより、イオン液体ILは液体回収トレイ48の傾斜面を通過する際に薄い液膜となって表面積が大きくなるため、イオン液体ILからの脱気が促進される。
【0042】
温調器49は、貯留タンク41内のイオン液体ILの温度を測定し調整する。例えば、液体利用部3が温調対象物であり、温調対象物を冷却する場合、温調器49は貯留タンク41内のイオン液体ILの温度を低下させるように制御する。また、例えば液体利用部3が温調対象物であり、温調対象物を加熱する場合、温調器49は貯留タンク41内のイオン液体ILの温度を高めるように制御する。また、例えば温調器49が貯留タンク41内のイオン液体ILの温度を低下させるように制御することで粘性ポンプ42を冷却してもよい。
【0043】
飛沫遮蔽部材50は、貯留タンク41の開口41aに設けられる。飛沫遮蔽部材50は、貯留タンク41内のイオン液体ILが脱気する際に液面LLにおいて泡が割れることで生じる飛沫が貯留タンク41内から処理容器1内に侵入することを遮蔽する。本実施形態において、飛沫遮蔽部材50は、上部遮蔽板501及び下部遮蔽板502を含む。ただし、飛沫遮蔽部材50は、1枚の遮蔽板のみで構成されていてもよく、3枚以上の遮蔽板で構成されていてもよい。
【0044】
上部遮蔽板501は、開口41aの直径と略同じ外径の円板形状を有し、開口41aを塞ぐように設けられる。これにより、貯留タンク41内から処理容器1内への飛沫の侵入が遮蔽される。上部遮蔽板501には、複数の貫通穴501aが形成されている。これにより、液体回収トレイ48で集められたイオン液体ILは、複数の貫通穴501aを通過して鉛直方向下方に落下する。
【0045】
下部遮蔽板502は、上部遮蔽板501の鉛直方向下方に、上部遮蔽板501と間隔をあけて設けられている。下部遮蔽板502は、開口41aの直径と略同じ外径の円板形状を有し、開口41aを塞ぐように設けられる。これにより、貯留タンク41内から処理容器1内への飛沫の侵入が遮蔽される。下部遮蔽板502には、複数の貫通穴502aが形成されている。これにより、上部遮蔽板501を通過したイオン液体ILは、複数の貫通穴502aを通過して鉛直方向下方に落下して貯留タンク41内に流れ込む。複数の貫通穴502aは、平面視において複数の貫通穴501aと異なる位置に設けられることが好ましい。これにより、飛沫が複数の貫通穴502aを通過したとしても、上部遮蔽板501によって鉛直方向上方への飛散が遮蔽されるので、貯留タンク41内から処理容器1内への飛沫の侵入を特に抑制できる。
【0046】
計測ユニット51は、貯留タンク41内のイオン液体ILの状態を監視する。計測ユニット51は、例えばイオン液体ILの比抵抗又は比色を測定することにより、イオン液体ILが真空中の水分や酸化性ガスを吸収した度合いを監視する。これにより、イオン液体ILの一部をサンプリングしてイオン液体ILの状態を監視する方法に比べ、イオン液体IL全体の劣化度合いを容易に把握できる。
【0047】
フレーム52は、液体循環システム4の各要素を保持する。例えば、フレーム52は、粘性ポンプ42に取り付けられ、吐出圧センサ45、流量制御器46及び供給圧センサ47を保持する。
【0048】
以上に説明したように、実施形態の液体循環システム4によれば、粘性ポンプ42が貯留タンク41に対して鉛直方向下方に設けられる。これにより、貯留タンク41内からイオン液体ILが重力により粘性ポンプ42に送られ、イオン液体ILに含まれ得る気泡は浮力により上昇して脱気される。そのため、イオン液体ILに含まれ得る気泡が粘性ポンプ42内に侵入することを抑制できる。その結果、イオン液体ILに含まれ得る気泡を除去しながら真空中でイオン液体ILを連続的に循環させることができる。
【0049】
また、実施形態の液体循環システム4によれば、真空中で密閉された状態でイオン液体ILを循環させるので、イオン液体が気体に触れることがなく、イオン液体の品質を維持できる。そのため、液体循環システム4に導入したイオン液体を交換する頻度を低くできる。
【0050】
また、実施形態の液体循環システム4によれば、開閉弁の開閉による吸込・吐出過程がなく、定量かつ連続的にイオン液体ILを循環させるので、吐出圧に低周波の脈動が生じることを防止できる。
【0051】
また、実施形態の液体循環システム4によれば、イオン液体ILの流路の全てが真空であり、かつ差圧を利用することなくイオン液体ILを循環させるので、圧力差をシールするシール構造(例えば差動排気シール)が不要となる。そのため、液体循環システム4の小型化及び簡素化に寄与する。
【0052】
また、実施形態の液体循環システム4によれば、差圧を利用することなくイオン液体ILを循環させるので、停電等により動力を失った場合であってもイオン液体ILの循環が停止するのみのフェールセーフ構造を有する。これに対し、差圧を利用してイオン液体ILを循環させる場合には、動力を失うと処理容器1に対するイオン液体ILの流入や流出を停止できないことが懸念される。
【0053】
また、実施形態の液体循環システム4は、図7に示されるように液体再生機構53を有していてもよい。液体再生機構53は、蒸留装置531、配管532、開閉弁533及びダイヤフラムポンプ534を含む。
【0054】
蒸留装置531は、イオン液体ILを、例えば150℃~400℃に加熱することにより、イオン液体IL内に含まれる不純物(例えば水分)を選択的に蒸発させて除去する。
【0055】
配管532は、貯留タンク41と蒸留装置531とを接続する。配管532には、貯留タンク41側から順に、開閉弁533及びダイヤフラムポンプ534が介設されている。
【0056】
開閉弁533は、配管532に介設されており、配管532内の流路を開閉する。開閉弁533は、イオン液体ILの再生を行う場合に開かれ、それ以外の場合には閉じられる。開閉弁533は、例えば手動弁であるが、電磁弁であってもよい。
【0057】
ダイヤフラムポンプ534は、配管532に介設されている。ダイヤフラムポンプ534は、貯留タンク41内のイオン液体ILを蒸留装置531に送るように構成されると共に、蒸留装置531のイオン液体ILを貯留タンク41内に戻すように構成される。
【0058】
液体再生機構53によりイオン液体ILの再生を行う場合、まず、処理容器1内の圧力を、蒸留装置531内の圧力と同じ圧力、又は蒸留装置531内の圧力より僅かに高い圧力に調整する。続いて、開閉弁533を開き、ダイヤフラムポンプ534を駆動させることにより、貯留タンク41内のイオン液体ILを蒸留装置531内に送る。続いて、蒸留装置531においてイオン液体ILを加熱することにより、イオン液体IL内に含まれる不純物を選択的に蒸発させて除去する。続いて、ダイヤフラムポンプ534を駆動させることにより、蒸留装置531内のイオン液体ILを貯留タンク41内に戻す。蒸留装置531内から貯留タンク41内にイオン液体ILが戻された後、ダイヤフラムポンプ534を停止させ、開閉弁533を閉じる。以上の処理により、イオン液体ILが再生される。
【0059】
〔高温対応ゲートバルブ〕
図8及び図9を参照し、実施形態の液体循環システムが適用できる高温対応ゲートバルブの一例について説明する。図8はゲートシャッタが閉じている状態の高温対応ゲートバルブを示す断面図であり、図9はゲートシャッタが開いている状態の高温対応ゲートバルブを示す断面図である。
【0060】
高温対応ゲートバルブは、真空チャンバのチャンバ壁150に形成された開口151を開閉する。真空チャンバ内は、例えば超高真空、高真空に維持される。チャンバ壁150は、内部にヒータ152が埋設されており、高温に加熱される。高温対応ゲートバルブは、シール部110及び液体循環システム120を有する。
【0061】
シール部110は、ハウジング111、ゲートシャッタ112、浮上体保持部113、浮上体114、流体軸受パッド115、流体軸受116、液体回収溝117及びOリング118,119を含む。
【0062】
ハウジング111は、ゲートシャッタ112を水平方向に移動自在に収容する。ハウジング111におけるゲートシャッタ112の先端が収容される部分には傾斜面111aが設けられている。これにより、ハウジング111内にゲートシャッタ112がスムーズに収容される。
【0063】
ゲートシャッタ112は、ハウジング111内において、平面視で開口151と重なる位置(閉位置)に移動することで開口151を塞ぐ(図8)。これにより、真空チャンバの内部が気密に密閉される。一方、ゲートシャッタ112は、平面視で開口151と重ならない位置(開位置)に移動することで開口151を開く(図9)。これにより、真空チャンバの内部と外部とが連通する。ゲートシャッタ112の上面には、浮上体114の下面との隙間を気密にシールするOリング118が設けられる。
【0064】
浮上体保持部113は、ハウジング111上に設置される。浮上体保持部113は、ゲートシャッタ112が開位置に移動した状態において浮上体114を保持する。浮上体保持部113の内周面には、浮上体114の外周面との隙間を気密にシールするOリング119が設けられる。
【0065】
浮上体114は、ゲートシャッタ112が閉位置に移動すると、ゲートシャッタ112により鉛直方向上方に押し付けられて浮上体保持部113から離間する(図8)。一方、浮上体114は、ゲートシャッタ112が開位置に移動すると、ゲートシャッタ112による押付力がなくなるので、鉛直方向下方に移動して浮上体保持部113上に着地する(図9)。
【0066】
流体軸受パッド115は、金属ガスケット115aを介してチャンバ壁150の下面に接続される。流体軸受パッド115には、配管123から送られるイオン液体ILを流体軸受116に供給するための流路115bが形成されている。
【0067】
流体軸受116は、液体循環システム120により加圧されたイオン液体ILが、流体軸受パッド115と浮上体114により形成される軸受隙間116aに供給されることで浮上体114を非接触で支持する。
【0068】
液体回収溝117は、浮上体114及び流体軸受パッド115に形成され、軸受隙間116aに供給されるイオン液体ILを液体循環システム120に戻すための流路である。
【0069】
液体循環システム120は、貯留タンク121、粘性ポンプ122、配管123、温調器124、圧力調整機構125及び脱気穴126を有する。
【0070】
貯留タンク121は、浮上体保持部113、浮上体114及び流体軸受パッド115に囲まれる領域であり、イオン液体ILを貯留する。貯留タンク121には、液体回収溝117からイオン液体ILが流れ込む。
【0071】
粘性ポンプ122は、貯留タンク121に対して鉛直方向下方に設けられる。これにより、貯留タンク121内のイオン液体ILが重力により粘性ポンプ122内に落下し、粘性ポンプ122内がイオン液体ILで満たされる。粘性ポンプ122は、前述した粘性ポンプ42と同様の構成であってよい。また、粘性ポンプ122の下流側にダイヤフラムポンプを設けてもよい。
【0072】
配管123は、一端が粘性ポンプ122に気密に接続され、他端が流路115bに接続される。配管123は、粘性ポンプ122から送られるイオン液体ILを流路115b内に送る。配管123は、前述した配管44と同様の構成であってよい。配管123には、粘性ポンプ122側から順に、温調器124及び圧力調整機構125が介設されている。
【0073】
温調器124は、配管123に介設されている。温調器124は、配管123を流れるイオン液体ILの温度を測定し調整する。例えば、温調器124は、配管123を流れるイオン液体ILを冷やすことにより、流体軸受116に低温のイオン液体ILを供給する。これにより、浮上体114を冷却できるので、浮上体114の温度をOリングが使用可能な温度範囲に保つことができる。
【0074】
圧力調整機構125は、配管123に介設されている。圧力調整機構125は、配管123に供給されるイオン液体ILの圧力を調整する。圧力調整機構125が流体軸受116に供給されるイオン液体ILの圧力を調整することにより、浮上体114の鉛直方向の位置を正確に制御できる。例えば、流体軸受116に供給されるイオン液体ILの圧力を調整することにより、高温側(流体軸受パッド115)から浮上体114を離間させることで、高温側から浮上体114を介してOリングに伝わる熱を低減できる。また、高温のチャンバ壁150から逃げる熱量を低減できる。
【0075】
脱気穴126は、チャンバ壁150を貫通する貫通穴であり、貯留タンク121に対して鉛直方向上方に位置する。脱気穴126は、貯留タンク121内と真空チャンバ内とを連通させる。貯留タンク121内のイオン液体ILに含まれる気泡が脱気穴126を介して真空チャンバ内に移動し、真空チャンバに接続される排気部(図示せず)により排気される。
【0076】
以上に説明したように、高温対応ゲートバルブによれば、Oリング118、119の接触面を、機械的締結のない独立した浮上体114に設け、Oリング118,119が直接熱せられることを防いでいる。浮上体114は、ゲートシャッタ112が閉位置に移動すると、ゲートシャッタ112により鉛直方向上方に押し付けられる。このとき、浮上体114の上面にある流体軸受116が押し付けられた力を押し返すように浮上体114を支持する。浮上体114は、ゲートシャッタ112による押付力と流体軸受116による浮上力とが釣り合う位置で停止する。これにより、浮上体114は流体軸受116が非接触で支持する軸受隙間116aによって高温側と機械的に接触しないようになっている。その結果、Oリング128,129を用いて高温に加熱されたチャンバ壁150の開口151をゲートシャッタ112で開閉できる。
【0077】
また、高温対応ゲートバルブによれば、軸受隙間116aに供給されるイオン液体ILの温度を調整する温調器124を有する。これにより、軸受隙間116aに供給されるイオン液体ILを温調器124で調整することで浮上体114を冷却し、浮上体114の温度をOリング118,119が使用可能な温度範囲に保つことができる。
【0078】
〔高温対応回転シール〕
図10を参照し、実施形態の液体循環システムが適用できる高温対応回転シールの一例について説明する。
【0079】
高温対応回転シールは、真空チャンバ251内に設けられる回転ステージ252を回転させる回転軸253を気密にシールする。真空チャンバ251内は、例えば超高真空、高真空に維持される。真空チャンバ251内には加熱用リアクタ254が設けられ、加熱用リアクタ254により回転ステージ252が高温に調整される。回転ステージ252上には、処理対象となる基板255が載置される。回転軸253は、回転ステージ252の下部に接続されており、モータ256により鉛直方向を回転軸として回転する。回転軸253は、スラスト軸受257により支持される。高温対応回転シールは、高温シール210及び液体循環システム220を有する。
【0080】
高温シール210は、軸受ハウジング211、流体軸受212、液体循環流路213及び軸シール214を含む。
【0081】
軸受ハウジング211は、中空形状を有し、中空部に回転軸253が挿通される。軸受ハウジング211は、液体循環流路213を形成する。
【0082】
流体軸受212は、液体循環システム220により加圧されたイオン液体ILが、回転軸253と軸受ハウジング211により形成される軸受隙間に供給されることで回転軸253を非接触で支持する。
【0083】
液体循環流路213は、軸受ハウジング211により形成され、軸受隙間に供給されるイオン液体ILを液体循環システム220に戻すための流路である。
【0084】
軸シール214は、後述する貯留タンク221内に設けられ、イオン液体IL中に浸漬される。軸シール214は、回転軸253を軸受ハウジング211に対して回転自在かつ気密にシールする。軸シール214は、Oリング、磁性流体シール等である。
【0085】
液体循環システム220は、貯留タンク221、粘性ポンプ222、配管223、温調器224及び圧力調整機構225を有する。
【0086】
貯留タンク221は、軸受ハウジング211の内部に形成され、イオン液体ILを貯留する。貯留タンク221には、液体循環流路213からイオン液体ILが流れ込む。
【0087】
粘性ポンプ222は、貯留タンク221に対して鉛直方向下方に設けられる。これにより、貯留タンク221内のイオン液体ILが重力により粘性ポンプ222内に落下し、粘性ポンプ222内がイオン液体ILで満たされる。粘性ポンプ222は、前述した粘性ポンプ42と同様の構成であってよい。また、粘性ポンプ222の下流側にダイヤフラムポンプを設けてもよい。
【0088】
配管223は、一端が粘性ポンプ222に気密に接続され、他端が軸受ハウジング211を水平方向に貫通して流体軸受212内に挿通される。配管223は、粘性ポンプ222から送られるイオン液体ILを流体軸受212内に送る。配管223は、前述した配管44と同様の構成であってよい。配管223には、粘性ポンプ222側から順に、温調器224及び圧力調整機構225が介設されている。
【0089】
温調器224は、配管223に介設されている。温調器224は、配管223を流れるイオン液体ILの温度を測定し調整する。例えば、温調器224は、配管223を流れるイオン液体ILを冷やすことにより、流体軸受212に低温のイオン液体ILを供給する。これにより、回転軸253を冷却でき、また、貯留タンク221内に浸漬した軸シール214を冷却できる。そのため、軸シール214が接触する部位の温度がOリングの使用可能温度となるため、軸シール214としてOリングを利用できる。
【0090】
圧力調整機構225は、配管223に介設されている。圧力調整機構225は、配管223に供給されるイオン液体ILの圧力を調整する。
【0091】
以上に説明したように、高温対応回転シールによれば、軸シール214をイオン液体IL中に浸漬させることで軸シール214が使用可能な温度に回転軸253を冷却している。これにより、回転軸253として長大な軸が不要となり、回転軸253を小型化できる。
【0092】
また、高温対応回転シールによれば、温調器224が、循環するイオン液体ILの温度を測定して調整する。これにより、真空チャンバ251のチャンバ壁や回転軸253に設けられる温度計測素子(例えば熱電対)を省略できるため、温度計測素子の数を削減できる。
【0093】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 処理容器
4 液体循環システム
41 貯留タンク
41a 開口
42 粘性ポンプ
44 配管
IL イオン液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10