(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024113675
(43)【公開日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ポリオキシエチレン誘導体およびその結合体
(51)【国際特許分類】
C08G 65/48 20060101AFI20240815BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240815BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240815BHJP
C07K 2/00 20060101ALN20240815BHJP
【FI】
C08G65/48
A61K47/60
A61P43/00 123
C07K2/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016786
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2023018695
(32)【優先日】2023-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】小野田 晃
(72)【発明者】
【氏名】林 高史
(72)【発明者】
【氏名】羽村 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輝
(72)【発明者】
【氏名】岸田 聖司
【テーマコード(参考)】
4C076
4H045
4J005
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076EE59M
4C076FF31
4H045AA10
4H045BA57
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA50
4H045FA71
4J005AA04
4J005BD05
(57)【要約】
【課題】生体機能性分子として機能し得るポリペプチドとの結合体であって、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる結合体を形成できるポリオキシエチレン誘導体を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表されるポリオキシエチレン誘導体(下記式中の記号の定義は、明細書に記載した通りである)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
(式(1)中
R
1は、水素原子または置換基であり、
P
1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基であり、および
Lは、2価のスペーサーである。)
で表されるポリオキシエチレン誘導体。
【請求項2】
Lが、式(2)
【化2】
(式(2)中、
m1は、0または1であり、
m2は、1~3の整数であり、
wは、1または2であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、
*は、P
1との結合点を表し、および
**は、Nとの結合点を表す。)
で表される2価のスペーサーである、請求項1に記載のポリオキシエチレン誘導体。
【請求項3】
m1が0であり、およびwが1である、請求項2に記載のポリオキシエチレン誘導体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに一項に記載のポリオキシエチレン誘導体とポリペプチドとの結合体。
【請求項5】
式(3):
【化3】
(式(3)中、
R
1は、水素原子または置換基であり、
R
6は、アミノ酸残基の側鎖であり、
R
7は、アミノ酸残基またはポリペプチド鎖の末端の-NH-が除かれてなる基であり、
P
1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基であり、および
Lは、2価のスペーサーである。)
で表される、請求項4に記載の結合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシエチレン誘導体、および前記ポリオキシエチレン誘導体とポリペプチドとの結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルモンやサイトカイン、酵素などの生体機能性分子などを用いた医薬品は、通常生体内へ投与されると腎臓における糸球体濾過や肝臓や脾臓などにおけるマクロファージによる取り込みによって、生体内から速やかに排出されてしまう。そのため血中半減期が短く、十分な薬理効果を得ることが困難であることが多い。この問題を解決するため、生体機能性分子にポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマーによって化学修飾する試みが行われている。その結果、分子量の増大や水和層の形成などにより生体機能性分子などの血中半減期を延長することが可能となる。また、これらの修飾により、生体機能性分子などの毒性や抗原性の低下、凝集性の改善などの効果が得られることも良く知られている。
【0003】
また、PEGなどの水溶性ポリマーで化学修飾された生体機能性分子は、当該水溶性ポリマーによる水和層の形成や活性部位の立体的な遮蔽効果により、ターゲットとする生体内因性分子や受容体などとの相互作用が低下し、生体機能性分子本来の薬理作用の低下や、体内・細胞内動態の変化など好ましくない影響を与える場合があることが知られている。
上記のような課題に対するアプローチとして、生体機能性分子に一時的結合を介して水溶性ポリマーを化学修飾し、生体内でこの一時的結合を開裂させて化学修飾されていない生体機能性分子を放出させる方法、即ちプロドラッグ化の方法が用いられる。
【0004】
近年、水溶性ポリマーで修飾された生体機能性分子について、プロドラッグ化の方法を用いて生体機能性分子本来の薬理作用の低下や、体内・細胞内動態の変化を抑制可能な技術として、例えば特許文献1および2に記載の技術が知られている。これら特許文献1および2には、非酵素依存的で生理的条件下、即ち中性条件下において分解して、生体機能性分子であるヒト成長ホルモン(hGH)やインスリンを適度な速度で放出するリンカーを介してPEGで修飾したPEG化hGHならびにPEG化インスリンがそれぞれの血中半減期を延長しつつ、リンカーの分解に伴い、生体機能性分子が放出されることでPEG化による薬理作用の低下を改善できることが報告されている。このことから、生体機能性分子の血中半減期を延長しつつ、かつ、生理的条件下において非酵素依存的に生体機能性分子を適度な速度で放出し、薬理作用を発現させるプロドラッグ化技術は重要である。
【0005】
さらに、PEG化による生体機能性分子の血中半減期の延長効果を妨げないために、一時的結合には適切な分解速度が求められる。例えば、特許文献1の、一時的結合を介してPEGを結合したヒト成長ホルモンの生理的条件下での分解半減期は、約50時間であり、特許文献2の、一時的結合を介してPEGを結合したインスリンの生理的条件下での分解半減期は、約4.5日である。なお、本明細書中、「分解半減期」とは、化学修飾された生体機能性分子中の一時的結合が開裂し、化学修飾された生体機能性分子の半分(即ち、化学修飾された生体機能性分子1モルあたり0.5モル)が、化学修飾されていない生体機能性分子として放出される時間のことをいう。
【0006】
特許文献3では、PEGで化学修飾された生体機能性分子が非酵素依存的に一時結合を開裂し、化学修飾されていない生体機能性分子を放出する化合物が報告されている。具体的には、特許文献3では、トリアゾール環にホルミル基が結合した化合物と生体機能性分子が結合して形成されたアミナール結合が生理的条件下で徐々に開裂し、開裂して生じるイミノ基が加水分解することで化学修飾されていない生体機能性分子を放出することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-150311号公報
【特許文献2】国際公開第2006/138572号
【特許文献3】国際公開第2020/175680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3の実施例18には、その実施例10で作製した、ウシ膵臓由来リボヌクレアーゼA(R Nase A)と化合物7(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルバルデヒド)との結合体の安定性が調べられている。特許文献3の
図54に示される結果から生理的条件下での前記結合体の分解半減期は12~18時間と短いことが分かる。さらに、特許文献3には、分解半減期を延長できる、生体機能性分子のプロドラッグ化技術は記載されていない。
【0009】
本発明の目的は、生体機能性分子として機能し得るポリペプチドとの結合体であって、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる結合体を形成できるポリオキシエチレン誘導体(本明細書中「リリーサブルポリオキシエチレン誘導体」と記載することがある)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、後述する特定のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体を用いれば、生体機能性分子として機能し得るポリペプチドとの結合体であって、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる結合体を形成できることを見出した。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
[1] 式(1):
【0011】
【0012】
(式(1)中
R1は、水素原子または置換基であり、
P1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基であり、および
Lは、2価のスペーサーである。)
で表されるポリオキシエチレン誘導体。
[2] Lが、式(2):
【0013】
【0014】
(式(2)中、
m1は、0または1であり、
m2は、1~3の整数であり、
wは、1または2であり、
R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、
*は、P1との結合点を表し、および
**は、Nとの結合点を表す。)
で表される2価のスペーサーである、前記[1]に記載のポリオキシエチレン誘導体。
[3] m1が0であり、およびwが1である、前記[2]に記載のポリオキシエチレン誘導体。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに一つに記載のポリオキシエチレン誘導体とポリペプチドとの結合体。
[5] 式(3):
【0015】
【0016】
(式(3)中、
R1は、水素原子または置換基であり、
R6は、アミノ酸残基の側鎖であり、
R7は、アミノ酸残基またはポリペプチド鎖の末端の-NH-が除かれてなる基であり、
P1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基であり、および
Lは、2価のスペーサーである。)
で表される、前記[4]に記載の結合体。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体を用いれば、生体機能性分子として機能し得るポリペプチドとの結合体であって、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる結合体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】試験例1(分解性試験)で得られた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体は、ポリペプチドとの結合体を形成することができ、前記結合体は、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる。本明細書中、「生理的条件」とは、35~40℃およびpH7.0~8.0を意味する。本明細書中、「リリーサブルポリオキシエチレン誘導体とポリペプチドとの結合体が生理的条件下で長時間かけて分解する」とは、生理的条件下における、前記結合体の分解半減期(即ち、生理的条件下で、前記結合体の半分が分解して、前記ポリペプチドを放出する時間)が1日以上であることを意味する。前記分解半減期は、好ましくは1~30日、より好ましくは3~20日、さらに好ましくは3~10日である。
【0020】
特許文献3の実施例18に記載されたタンパク質(ポリペプチド)の結合体は、生理的条件下での前記分解半減期は達成できなかった。これに対して本発明者らは、本発明のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体とポリペプチドとの結合体(本明細書中、「本発明の結合体」と記載することがある)であれば、生理的条件下での前記分解半減期を達成可能であることを見出した。
【0021】
本発明のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体は、式(1):
【0022】
【0023】
(式(1)中
R1は、水素原子または置換基であり、
P1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基であり、および
Lは、2価のスペーサーである。)
で表されるリリーサブルポリオキシエチレン誘導体(以下「ポリオキシエチレン誘導体(1)」と記載することがある)である。
【0024】
式(1)中、R1は、水素原子または置換基である。
R1の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のハロゲン化アルコキシ基、炭素数2~5のアシル基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~5のカルバモイル基、炭素数2~5のアシルオキシ基、炭素数2~5のアシルアミノ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数1~4のアルキルスルファニル基、炭素数1~4のアルキルスルホニル基、炭素数6~10のアリールスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、置換されていてもよいフェニル基等が挙げられる。
【0025】
フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のハロゲン化アルコキシ基、炭素数2~5のアシル基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~5のカルバモイル基、炭素数2~5のアシルオキシ基、炭素数2~5のアシルアミノ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数1~4のアルキルスルファニル基、炭素数1~4のアルキルスルホニル基、炭素数6~10のアリールスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
【0026】
R1は、
好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のハロゲン化アルコキシ基、または置換されていてもよいフェニル基であり、
より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基であるか、或いはハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基およびニトロ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、
さらに好ましくは水素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フルオロフェニル基(例、2-フルオロフェニル基)、メトキシフェニル基(例、4-メトキシフェニル基)、またはニトロフェニル基(例、4-ニトロフェニル基)である。
【0027】
式(1)中、P1は、ポリオキシエチレン鎖を含み、且つポリオキシエチレン鎖の数平均分子量が5,000~50,000である基である。P1のポリオキシエチレン鎖の数平均分子量は、原料のポリオキシエチレン誘導体のサイズ排除クロマトグラフィーや質量分析法などから求められる数平均分子量からポリオキシエチレン鎖以外の分子に由来する分子量を引いて算出することができる。例えば、P1が後述の式(p1)で表される場合、出発原料であるX1-O-(CH2CH2O)n1-Hの数平均分子量から末端のX1-O-で表されるアルコキシ基の分子量および水素原子の原子量を引いて算出することができる。なお、P1が複数のポリオキシエチレン鎖を有する場合、本明細書中の「ポリオキシエチレン鎖の数平均分子量」とは、複数のポリオキシエチレン鎖の数平均分子量の合計を意味する。
【0028】
P1のポリオキシエチレン鎖の数平均分子量は、ポリペプチドの血中半減期の延長の観点から、好ましくは10,000~50,000、より好ましくは15,000~50,000、さらに好ましくは15,000~45,000である。
【0029】
P1は、好ましくは式(p1):
【0030】
【0031】
(式(p1)中、
X1は、炭素数1~24のアルキル基であり、
n1は、114~1,136であり、および
***は、Lとの結合点を表す。)
で表される基、または式(p2):
【0032】
【0033】
(式(p2)中、
X2~X4は、それぞれ独立して、炭素数1~24のアルキル基であり、
n2~n5は、それぞれ独立して、57~568の数であり、
n2~n4の合計は、114~1,136の数であり、
sは、0または1であり、
tは、2または3であり、
vは、0または2であり、および
***は、Lとの結合点を表す。)
で表される基である。
【0034】
式(p1)および(p2)中、n1~n5は、それぞれオキシエチレン単位の繰返し数を表すため、小数であってもよい。式(p1)中のn1は、好ましくは204~1023の数であり、より好ましくは409~1023の数である。式(p2)中のn2~n4は、それぞれ独立して、好ましくは102~568の数であり、より好ましくは102~511の数であり、さらに好ましくは204~511であり、これらの合計は、好ましくは114~1023の数であり、より好ましくは204~1023の数であり、さらに好ましくは409~1023の数である。
【0035】
式(p2)において、sが0であるとは、(O-CO-NH-(CH2)t-(OCH2CH2)n5)sが存在せず、-(O-CO-NH-(CH2)t-(OCH2CH2)n5)s-の部分が単結合であることを意味する。sは、好ましくは0である。
式(p2)において、vが0であるとは、X3-O-(CH2CH2O)n3-CHが存在せず、X3-O-(CH2CH2O)n3-が結合した-(CH)-の部分が単結合であることを意味する。vは、好ましくは0である。
【0036】
X1~X4の炭素数1~24のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。X1~X4は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
【0037】
式(p1)で表される基において、
X1は炭素数1~24のアルキル基であり、およびn1は204~1023の数であることが好ましく、
X1は炭素数1~10のアルキル基であり、およびn1は204~1023の数であることがより好ましく、
X1はメチル基またはエチル基であり、およびn1は409~1023の数であることがさらに好ましく、
X1はメチル基であり、およびn1は409~1023の数であることが特に好ましい。
【0038】
式(p2)で表される基において、
vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、炭素数1~24のアルキル基であり、n2およびn4は、それぞれ独立して、57~568の数であり、並びにn2およびn4の合計は、114~1023の数であることが好ましく、
vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、102~568の数であり、並びにn2およびn4の合計は、204~1023の数であることがより好ましく、
vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、102~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数であることがさらに好ましく、
vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、共にメチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、204~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数であることが特に好ましい。
【0039】
式(1)中、Lは、2価のスペーサー(詳しくは、P1とトリアゾール環とをつなぐ2価のスペーサー)である。Lの2価のスペーサーとしては、例えば
(i)アミド結合(-NH-CO-または-CO-NH-)、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、ウレタン結合(-NH-CO-O-または-O-CO-NH-)、イミノ基(-NH-)、カルボニル基(-CO-)、およびウレア結合(-NH-CO-NH-)からなる群から選択される少なくとも一つと、置換されていてもよい炭素数1~24のアルキレン基との組合せ、および
(ii)アミド結合(-NH-CO-または-CO-NH-)、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、ウレタン結合(-NH-CO-O-または-O-CO-NH-)、イミノ基(-NH-)、カルボニル基(-CO-)、およびウレア結合(-NH-CO-NH-)からなる群から選択される少なくとも一つと、置換されていてもよいフェニレン基(-Ph-)と、置換されていてもよい炭素数1~24のアルキレン基との組合せ、
が挙げられる。
【0040】
前記(i)または(ii)のLは、「アミド結合(-NH-CO-または-CO-NH-)、エーテル結合(-O-)、チオエーテル結合(-S-)、ウレタン結合(-NH-CO-O-または-O-CO-NH-)、イミノ基(-NH-)、カルボニル基(-CO-)、およびウレア結合(-NH-CO-NH-)からなる群から選択される少なくとも一つ」、「置換されていてもよい炭素数1~24のアルキレン基」および「置換されていてもよいフェニレン基(-Ph-)」を、いずれも二つ以上有していてもよい。例えば、前記(i)のLは、二つの「置換されていてもよいフェニレン基(-Ph-)」が連結したビフェニレン構造(-Ph-Ph-)を有していてもよい。
【0041】
Lは、好ましくは式(2):
【0042】
【0043】
(式(2)中、
m1は、0または1であり、
m2は、1~3の整数であり、
wは、1または2であり、
R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、
*は、P1との結合点を表し、および
**は、Nとの結合点を表す。)
で表される2価のスペーサーである。
【0044】
式(2)中、m1およびm2は、それぞれ、メチレン単位の繰返し数を表す。m1は、0または1であり、好ましくは0である。ここで、m1が0であるとは、-(CH2)m1-が単結合であることを意味する。m2は、1~3の整数であり、好ましくは3である。
【0045】
式(2)中、wは、置換されていてもよいフェニレン単位の繰返し数を表す。wは、1または2であり、好ましくは1である。
式(2)中、m1が0であり、およびwが1であることが好ましい。
【0046】
式(2)中、R2~R5は、それぞれ独立して、水素原子または置換基である。
wが2である場合、2個のR2は、互いに同一でもよく、異なっていてもよく、2個のR3は、互いに同一でもよく、異なっていてもよく、2個のR4は、互いに同一でもよく、異なっていてもよく、2個のR5は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
【0047】
R2~R5の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のハロゲン化アルコキシ基、炭素数2~5のアシル基、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基、炭素数2~5のカルバモイル基、炭素数2~5のアシルオキシ基、炭素数2~5のアシルアミノ基、炭素数2~5のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数1~4のアルキルスルファニル基、炭素数1~4のアルキルスルホニル基、炭素数6~10のアリールスルホニル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
【0048】
R2~R5は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であり、さらに好ましくは水素原子、メトキシ基、またはニトロ基である。
【0049】
式(2)において、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、wは1または2であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、wは1または2であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがより好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、wは1または2であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがさらに好ましく、
m1は0であり、m2は3であり、wは1であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、またはニトロ基であることが特に好ましい。
【0050】
式(2)で表されるLの中で、式(2a):
【0051】
【0052】
(式(2a)中、記号の定義は、上記の通りである。)
で表される2価のスペーサー、式(2b):
【0053】
【0054】
(式(2b)中、記号の定義は、上記の通りである。)
で表される2価のスペーサー、および式(2c):
【0055】
【0056】
(式(2c)中、R2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、並びに他の記号の定義は、上記の通りである。)
で表される2価のスペーサーが好ましい。なお、R2a~R5aおよびR2b~R5bの置換基の説明は、上述のR2~R5の置換基の説明と同じである。
【0057】
式(2a)において、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがより好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがさらに好ましく、
m1は0であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが特に好ましく、
m1は0であり、m2は3であり、R2は、水素原子またはメトキシ基であり、およびR3~R5は、共に水素原子であることが最も好ましい。
【0058】
式(2b)において、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがより好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがさらに好ましく、
m1は0であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが特に好ましく、
m1は0であり、m2は3であり、およびR2およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、またはニトロ基であり、並びにR3およびR5は、共に水素原子であることが最も好ましい。
【0059】
式(2c)において、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがより好ましく、
m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることがさらに好ましく、
m1は0であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基であることが特に好ましく、
m1は0であり、m2は3であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、共に水素原子であることが最も好ましい。
【0060】
本発明のポリオキシエチレン誘導体(1)の好適例としては、以下のポリオキシエチレン誘導体(1-1)~ポリオキシエチレン誘導体(1-6)が挙げられる。
【0061】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-1)>
R1が、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のハロゲン化アルコキシ基、または置換されていてもよいフェニル基であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1は炭素数1~24のアルキル基であり、およびn1は114~1,136の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、炭素数1~24のアルキル基であり、n2およびn4は、それぞれ独立して、57~568の数であり、並びにn2およびn4の合計は、114~1,136の数である)
であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、または
(iii)式(2c)で表される2価のスペーサー(式(2c)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、および式(2a)~式(2c)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0062】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-2)>
R1が、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基であるか、或いはハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基およびニトロ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1は炭素数1~10のアルキル基であり、およびn1は204~1023の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、102~568の数であり、並びにn2およびn4の合計は、204~1023の数である)
であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、または
(iii)式(2c)で表される2価のスペーサー(式(2c)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、および式(2a)~式(2c)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0063】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-3)>
R1が、水素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フルオロフェニル基(例、2-フルオロフェニル基)、メトキシフェニル基(例、4-メトキシフェニル基)、またはニトロフェニル基(例、4-ニトロフェニル基)であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1はメチル基またはエチル基であり、およびn1は409~1023の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、204~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数である)
であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、または
(iii)式(2c)で表される2価のスペーサー(式(2c)中、m1は0または1であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、および式(2a)~式(2c)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0064】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-4)>
R1が、水素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フルオロフェニル基(例、2-フルオロフェニル基)、メトキシフェニル基(例、4-メトキシフェニル基)、またはニトロフェニル基(例、4-ニトロフェニル基)であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1はメチル基であり、およびn1は409~1023の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、共にメチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、204~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数である)であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、およびR2~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)、または
(iii)式(2c)で表される2価のスペーサー(式(2c)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、またはニトロ基である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、および式(2a)~式(2c)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0065】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-5)>
R1が、水素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フルオロフェニル基(例、2-フルオロフェニル基)、メトキシフェニル基(例、4-メトキシフェニル基)、またはニトロフェニル基(例、4-ニトロフェニル基)であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1はメチル基であり、およびn1は409~1023の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、共にメチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、204~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数である)であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、R2は、水素原子またはメトキシ基であり、およびR3~R5は、共に水素原子である)、
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、およびR2およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、またはニトロ基であり、並びにR3およびR5は、共に水素原子である)、または
(iii)式(2c)で表される2価のスペーサー(式(2c)中、m1は0であり、m2は1~3の整数であり、並びにR2a~R5aおよびR2b~R5bは、共に水素原子である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、および式(2a)~式(2c)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0066】
<ポリオキシエチレン誘導体(1-6)>
R1が、水素原子、メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フルオロフェニル基(例、2-フルオロフェニル基)、メトキシフェニル基(例、4-メトキシフェニル基)、またはニトロフェニル基(例、4-ニトロフェニル基)であり;
P1が、
(i)式(p1)で表される基(式(p1)中、X1はメチル基であり、およびn1は409~1023の数である)、または
(ii)式(p2)で表される基(式(p2)中、vは0であり、sは0であり、X2およびX4は、共にメチル基であり、並びにn2およびn4は、それぞれ独立して、204~511の数であり、並びにn2およびn4の合計は、409~1023の数である)であり;並びに
Lが、
(i)式(2a)で表される2価のスペーサー(式(2a)中、m1は0であり、m2は3であり、R2は、水素原子またはメトキシ基であり、およびR3~R5は、共に水素原子である)、または
(ii)式(2b)で表される2価のスペーサー(式(2b)中、m1は0であり、m2は3であり、およびR2およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、メトキシ基、またはニトロ基であり、並びにR3およびR5は、共に水素原子である)
である
ポリオキシエチレン誘導体。
なお上記態様において、式(p1)、式(p2)、式(2a)、および式(2b)中の*、**、および***の定義は、上記の通りである。
【0067】
本発明は、ポリオキシエチレン誘導体(1)とポリペプチドとの結合体(本明細書中、「本発明の結合体」と記載することがある)も提供する。本明細書中、「ポリペプチド」は、ジペプチド、トリペプチド等のオリゴペプチドも包含する。
本発明の結合体は、好ましくは式(3):
【0068】
【0069】
(式(3)中、
R6は、アミノ酸残基の側鎖であり、
R7は、アミノ酸残基またはポリペプチド鎖の末端の-NH-が除かれてなる基であり、および、
他の記号の定義は、上記の通りである。)
で表される結合体である。
【0070】
式(3)中、R6は、水素原子またはアミノ酸残基の側鎖である。アミノ酸残基とは、アミノ酸の分野で周知であるように、アミノ酸の-NH2のHが除かれ、その-COOHのOHが除かれてなる2価の基を意味する。アミノ酸残基の側鎖とは、アミノ酸残基を形成するためのアミノ酸が有する側鎖である。アミノ酸残基を形成するためのアミノ酸には、特に限定はなく、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、バリン、ロイシン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、メチオニン、システイン等が挙げられる。なお、アミノ酸残基がグリシン残基である場合、R6の「アミノ酸残基の側鎖」は、水素原子である。
【0071】
式(3)中のR7は、アミノ酸残基またはポリペプチド鎖の末端の-NH-が除かれてなる基である。なお、この-NH-は、式(3)中の含窒素環を形成するために用いられる。
【0072】
ポリオキシエチレン誘導体(1)と結合するポリペプチドは、好ましくは生体機能性物質である。ここで「生体機能性物質であるポリペプチド」とは、ヒトまたは他の動物の疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防に関わるポリペプチドを意味する。生体機能性物質であるポリペプチドとしては、例えば、サイトカイン、ホルモン、抗体、酵素、成長因子、血液凝固因子等が挙げられる。
【0073】
サイトカインとしては、例えば、免疫を調整するインターフェロンタイプI、タイプII、タイプIIIや、インターロイキンや腫瘍壊死因子、それらの受容体アンタゴニスト等が挙げられる。
ホルモンとしては、例えば、カルシトニンやインスリン、そのアナログやエキセナチド、GLP-1、そしてソマトスタチンやヒト成長ホルモン等が挙げられる。
抗体としては、例えば、完全長抗体、FabやsvFV等が挙げられる。
酵素としては、例えば、リボヌクレアーゼ(RNase)、スーパーオキシドディスムターゼ、ウリカーゼ等が挙げられる。
成長因子としては、例えば、造血因子であるエリスロポエチンや刺激因子である顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)等が挙げられる。
血液凝固因子としては、例えば、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XII因子等が挙げられる。
【0074】
ポリペプチドの好ましい例としては、RNase、インターフェロン、インターロイキン、エリスロポエチン、GCSF、第VIII因子、第IX因子、ヒト成長ホルモン、抗体フラグメント、インスリン、ビバリルジン、テリパラチド、エキセナチド、エンフビルチド、デガレリクス、ミファムルチド、ネシリチド、ゴセレリン、グラチラマー、オクトレオチド、ランレオチド、イカチバント、ジコチニド、プラムリンチド、ロミプロスチム、カルシトニン、オキシトシン、リュープロレリン、グルカゴン等が挙げられ、これらの中で、RNase、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、GCSF、エリスロポエチン、抗体フラグメント(特にFab)、インスリン、エキセナチド、カルシトニン(特にサーモンカルシトニン)がより好ましい。
【0075】
本発明のポリオキシエチレン誘導体(1)とポリペプチドとの結合体は、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる。本発明のポリオキシエチレン誘導体(1)は、このような結合体を形成するために用いられることが好ましい。また、本発明の結合体は、生理的条件下で分解して、長時間かけて前記ポリペプチドを放出するために用いられることが好ましい。
【実施例0076】
以下、実施例および試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例および試験例に限定されない。
【0077】
下記実施例の1H-NMRは、日本電子株式会社製JNM-ECP400またはJNM-ECA600を使用して測定した。測定にはφ5mmチューブを用い、重水素化溶媒には、内部標準物質として3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホン酸ナトリウムを含有するD2Oまたは内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を含有するd6-DMSOを用いた。
【0078】
[実施例1]下記式で表される化合物(6)(mPEG(20k)-BzTA4C)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0079】
【0080】
国際公開第2020/175680号を参考に合成した4-((4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)安息香酸 15.1mg(0.0656mmol)と4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(n水和物)(DMT-MM)45.4mg(0.1313mmol)をアセトニトリル4.5gに溶解し、1時間撹拌した。その後、日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-20T(数平均分子量:19,729)700mg(0.035mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間反応させた。反応後、トルエン100gを加え、5分間撹拌した。撹拌後ヘキサン50gを加えて室温で分間撹拌し、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(6)(mPEG(20k)-BzTA4C)459mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.74ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.75ppm(s,2H,-NH-CO-(C6H4)-CH
2
-)、7.4-7.8ppm(m,4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-CH2-)、8.63ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.03ppm(s,1H,-(C6H4)-CH2-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.04ppm(s,1H,-(C6H4)-CH2-(C2HN3)-CHO)
【0081】
[実施例2]下記式で表される化合物(7)(mPEG(10k)-BzTA4C)の合成(下記式中、nは約227である。)
【0082】
【0083】
国際公開第2020/175680号を参考に合成した4-((4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチル)安息香酸 32.4mg(0.14mmol)とDMT-MM 96.9mg(0.28mmol)をアセトニトリル4.8gに溶解し、1時間撹拌した。その後、日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-10T(数平均分子量:10,386)800mg(0.08mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間反応させた。反応後、濃縮して得られた濃縮液をトルエン100gで希釈し、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌した。撹拌後ヘキサン50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、2-プロパノール 150gを加えて窒素雰囲気下、室温で15分間撹拌した。撹拌後、結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(7)(mPEG(10k)-BzTA4C)693mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.74ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約900H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.75ppm(s,2H,-NH-CO-(C6H4)-CH
2
-)、7.4-7.8ppm(m,4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-CH2-)、8.63ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.03ppm(s,1H,-(C6H4)-CH2-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.04ppm(s,1H,-(C6H4)-CH2-(C2HN3)-CHO)
【0084】
[実施例3] 下記式で表される化合物(8)(mPEG(20k)-PhTA4C(4CB))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0085】
【0086】
[実施例3-1] 下記式で表される化合物(9)(mPEG(20k)-Ph-Azide(4CB))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0087】
【0088】
日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-20T 5.0g(0.25mmol)をアセトニトリル 20gに溶解し、4-アジド安息香酸 61.2mg(0.375mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)63.8μL(0.375mmol)およびDMT-MM 259.4mg(0.75mmol)を添加して、窒素雰囲気下、室温で3時間反応した。反応後、濃縮し、得られた濃縮液をトルエン100gで希釈し、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌した。その後ヘキサン50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、2-プロパノール 150gを加えて窒素雰囲気下、室温で15分間撹拌した。撹拌後、結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(9)(mPEG(20k)-Ph-Azide)4.8gを得た。
【0089】
[実施例3-2]化合物(8)(mPEG(20k)-PhTA4C(4CB))の合成
実施例3-1で得られた化合物(9)3.0g(0.15mmol)およびtert-ブチル-p-クレゾール(BHT)3.0mgを100mM 硫酸銅(II)水溶液2.5mLおよびtert-ブタノール2.5mLの混合溶液に溶解した後、3,3-ジエトキシプロピン 28.8μL(0.2mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム 14.9mg(0.075mmol)を加え、窒素雰囲気下、70℃で6時間反応した。反応後、20重量%食塩水 10mLで希釈した後、クロロホルム20mLを加えて窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置した後、有機層を回収した。回収した有機層に硫酸マグネシウムを加え、室温で10分間撹拌した後、吸引ろ過した。ろ過して得られたろ液をトルエン 100gで希釈し、室温で5分間撹拌した。その後ヘキサン 50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収した。回収した結晶を乾燥させた後、pH1.7のリン酸水溶液 50gに溶解し、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。撹拌後、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH6.7に調整した後、食塩11.4gを溶解した。その後、クロロホルム24.0gを添加し、窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置し、有機層を回収した。回収した有機層に硫酸マグネシウムを加えて脱水操作を行った後、吸引ろ過した。得られたろ液をトルエン 150gで希釈し、5分間撹拌した。その後ヘキサン75gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、2-プロパノール 150gを加えて窒素雰囲気下、室温で15分間撹拌した。撹拌後、結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(8)(mPEG(20k)-PhTA4C(4CB))2.2gを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、8.06ppm(m,4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.63ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.66ppm(s,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.13ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2HN3)-CHO)
【0090】
[実施例4]下記式で表される化合物(10)(mPEG(40k)-PhTA4C(4CB))の合成(下記式中、nは約909である。)
【0091】
【0092】
[実施例4-1] 下記式で表される化合物(11)(mPEG(40k)-Ph-Azide(4CB))の合成(下記式中、nは約909である。)
【0093】
【0094】
日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-40T(数平均分子量:43,470)5.0g(0.125mmol)をアセトニトリル 20gに溶解し、4-アジド安息香酸 30.6mg(0.188mmol)、DIPEA 32.0μL(0.188mmol)およびDMT-MM 130mg(0.375mmol)を添加して、窒素雰囲気下、室温で3時間反応した。その後の操作は実施例3-1と同様に行い、化合物(11)(mPEG(40k)-Ph-Azide(4CB))4.6gを得た。
【0095】
[実施例4-2]化合物(10)(mPEG(40k)-PhTA4C(4CB))の合成
実施例4-1で得られた化合物(11)3.0g(0.075mmol)およびBHT
3.0mgを100mM 硫酸銅(II)水溶液 2.5mLおよびtert-ブタノール 2.5mLの混合溶液に溶解した後、3,3-ジエトキシプロピン 14.4μL(0.1mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム 7.4mg(0.038mmol)を加え、窒素雰囲気下、70℃で6時間反応した。その後の操作は実施例3-2と同様に行い、化合物(10)(mPEG(40k)-PhTA4C(4CB))1.8gを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約3,600H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、8.06ppm(m,4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.63ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.66ppm(s,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.13ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2HN3)-CHO)
【0096】
[実施例5]下記式で表される化合物(12)(mPEG(20k)-PhTA4C(4CB2MO))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0097】
【0098】
Tetrahedron Lett., 2017, 58, 4450-4454 およびMedchem Lett., 2017, 27, 1119-1123 を参考に合成した4-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-5-メトキシ安息香酸 17.3mg(0.07mmol)とDMT-MM 48.4mg(0.14mmol)をアセトニトリル4.8gに溶解し、1時間撹拌した。その後、日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-20T 800mg(0.08mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間反応させた。その後の操作は実施例2と同様に行い、化合物(12)(mPEG(40k)-PhTA4C(4CB2MO))736mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、3.95ppm(s,3H,-(C6H3(OCH
3
))-)、7.6-7.8ppm(3H,-NH-CO-(C
6
H
3
(OCH3))-)、8.63ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H3(OCH3))-)、9.27ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.13ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C2HN3)-CHO)
【0099】
[実施例6]下記式で表される化合物(13)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0100】
【0101】
Tetrahedron Lett., 2017, 58, 4450-4454 およびMedchem Lett., 2017, 27, 1119-1123 を参考に合成した3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)安息香酸 3.8mg(0.018mmol)とDMT-MM 12.1mg(0.035mmol)をアセトニトリル1.2gに溶解し、1時間撹拌した。その後、日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-20T 200mg(0.01mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で3時間反応させた。その後の操作は実施例2と同様に行い、化合物(13)(mPEG(40k)-PhTA4C(3CB))153mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.7-8.4ppm(4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.67ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.62ppm(s,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.14ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2HN3)-CHO)
【0102】
[実施例7]下記式で表される化合物(14)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB6MO))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0103】
【0104】
3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)安息香酸の代わりに3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-4-メトキシ安息香酸 4.3mg(0.018mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、化合物(14)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB6MO))178mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、3.92ppm(s,1H,-(C6H3(OCH
3
))-)、7.4-8.2ppm(3H,-NH-CO-(C
6
H
3
(OCH3))-)、8.54ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H3(OCH3))-)、9.25ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.12ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C2HN3)-CHO)
【0105】
[実施例8]下記式で表される化合物(15)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB4MO))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0106】
【0107】
3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)安息香酸の代わりに3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-6-メトキシ安息香酸 4.3mg(0.018mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、化合物(15)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB4MO))178mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、3.97ppm(s,1H,-(C6H3(OCH
3
))-)7.4-8.3ppm(3H,-NH-CO-(C
6
H
3
(OCH3))-)、8.34ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H3(OCH3))-)、9.55ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.11ppm(s,1H,-(C6H3(OCH3))-(C2HN3)-CHO)
【0108】
[実施例9]下記式で表される化合物(16)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB4NO2))の合成(下記式中、nは約455である。)
【0109】
【0110】
3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)安息香酸の代わりに3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-4-ニトロ安息香酸 4.6mg(0.018mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、化合物(16)(mPEG(20k)-PhTA4C(3CB4NO2))171mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、8.3ppm(3H,-NH-CO-(C
6
H
3
(NO2))-)、8.81ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H3(NO2))-)、9.78ppm(s,1H,-(C6H3(NO2))-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.15ppm(s,1H,-(C6H3(NO2))-(C2HN3)-CHO)
【0111】
[実施例10]下記式で表される化合物(17)((mPEG(10k))2-PhTA4C(3CB))の合成(下記式中、nは約227である。)
【0112】
【0113】
日油株式会社製SUNBRIGHT MEPA-20Tの代わりに日油株式会社製SUNBRIGHT GL2-200PA(数平均分子量:19,910)200mg(0.01mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、化合物(17)((mPEG(10k))2-PhTA4C(3CB))148mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-CH2-CH
2
-CH2-NH-CO-)、3.24ppm(s,6H,(CH
3
-O-(CH2CH2O)n)2-)、3.64ppm(m,約1,800H,(CH
3
-O-(CH2CH2O)n)2-)、7.7-8.4ppm(4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.67ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、9.62ppm(s,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-CHO)、10.14ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2HN3)-CHO)
【0114】
[実施例11]下記式で表される化合物(18)(mPEG(20k)-PhTA4C5CH3)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0115】
【0116】
[実施例11-1] 下記式で表される化合物(19)(mPEG(20k)-PhTA4C5CH3)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0117】
【0118】
実施例3-1と同様にして得られた化合物(9)2.0g(0.1mmol)とBHT
3.0mgをジメチルスルホキシド(DMSO)2.2mLとイオン交換水220μLの混合溶液に溶解し、アセト酢酸エチル 253μL(2.0mmol)とピペリジン 39.6μL(0.4mmol)を添加して、窒素雰囲気下、80℃で6時間反応した。反応後、ジクロロメタン 20mLで希釈した。希釈した溶液に20重量%食塩水 20mLを加え窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置して有機層を回収した。回収した有機層に硫酸マグネシウムを加え、室温で10分間撹拌した後、吸引ろ過した。ろ過して得られたろ液を濃縮した後、トルエン100gで希釈し、室温で5分間撹拌した。その後ヘキサン50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(19)(mPEG(20k)-PhTA4C5CH3)1.7gを得た。
【0119】
[実施例11-2] 下記式で表される化合物(20)(mPEG(20k)-PhTA4OH5CH3)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0120】
【0121】
実施例11-1で得られた化合物(19)500mg(0.013mmol)とナトリウムメトキシド 2.4mg(0.013mmol)をメタノール1.25mLに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム 284mg(7.5mmol)を加えて窒素雰囲気下、室温で30時間反応した。反応後、20重量%食塩水5mLを加えて室温で5分間撹拌した、その後、ジクロロメタン10mLを加え窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置して有機層を回収した。回収した有機層を濃縮乾固し、トルエン100mLで再溶解して、ヘキサン50mLを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(20)(mPEG(20k)-PhTA4OH5CH3)277mgを得た。
【0122】
[実施例11-3]化合物(18)(mPEG(20k)-PhTA4C5CH3)の合成
実施例11-2で得られた化合物(20)200mg(0.01mmol)をクロロホルム 1.0mLに溶解し、Dess-Martin試薬 25.4mg(0.06mmol)、クロロホルム 1.0mL、イオン交換水 0.2μLを加えて窒素雰囲気下、室温で6時間反応した。反応後、クロロホルム5mLで希釈して、10重量%チオ硫酸ナトリウム 3.5mLと5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液 3.5mLの混合溶媒を加えて、窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置して有機層を回収した。回収した有機層に硫酸マグネシウムを加え、室温で10分間撹拌した後、吸引ろ過した。ろ過して得られたろ液を濃縮した後、トルエン100gで希釈し、室温で5分間撹拌した。その後ヘキサン50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(18)(mPEG(20k)-PhTA4C5CH3)55mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、2.61ppm(s,3H,-(C6H4)-(C
2
(CH
3
)N
3
)-CHO)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.7-8.1ppm(m,4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.66ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.17ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2(CH3)N3)-CHO)
【0123】
[実施例12] 下記式で表される化合物(21)(mPEG(20k)-PhTA4C5CHF2)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0124】
【0125】
[実施例12-1] 下記式で表される化合物(22)(mPEG(20k)-PhTA4Et5CHF2)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0126】
【0127】
実施例3-1と同様にして得られた化合物(9)1.0g(0.05mmol)とBHT 1.0mgをDMSO 1.1mLとイオン交換水110μLの混合溶媒に溶解し、エチル 4,4-ジフルオロアセトアセテート 135μL(1.0mmol)とピペリジン 19.8μL(0.2mmol)を添加して、窒素雰囲気下、80℃で6時間反応した。反応後、実施例11-1と同様の操作を行い、化合物(22)(mPEG(20k)-PhTA4Et5CHF2)930mgを得た。
【0128】
[実施例12-2] 下記式で表される化合物(23)(mPEG(20k)-PhTA4OH5CHF2)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0129】
【0130】
実施例12-1で得られた化合物(22)700mg(0.035mmol)とナトリウムメトキシド 20.3mg(0.105mmol)をメタノール 3.15mLに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム 397mg(10.5mmol)を加えて窒素雰囲気下、室温で8時間反応した。反応後、実施例11-2と同様の操作を行い、化合物(23)(mPEG(20k)-PhTA4OH5CHF2)590mgを得た。
【0131】
[実施例12-3]化合物(21)(mPEG(20k)-PhTA4C5CHF2)の合成
実施例12-2で得られた化合物(23)300mg(0.015mmol)をクロロホルム1.5mLに溶解し、Dess-Martin試薬 38.2mg(0.09mmol)、クロロホルム 1.5mL、イオン交換水 0.3μL加えて窒素雰囲気下、室温で6時間反応した。反応後、実施例11-3と同様の操作を行い、化合物(21)(mPEG(20k)-PhTA4C5CHF2)185mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.4-7.6ppm(t,1H,-(C6H4)-(C
2
(CHF
2
)N
3
)-CHO))7.7-8.1ppm(4H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-)、8.68ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.23ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2(CHF2)N3)-CHO)
【0132】
[実施例13] 下記式で表される化合物(24)(mPEG(20k)-PhTA4C5Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0133】
【0134】
[実施例13-1] 下記式で表される化合物(25)(mPEG(20k)-PhTA4Et5Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0135】
【0136】
エチル 4,4-ジフルオロアセトアセテートの代わりにベンゾイル酢酸エチル 173μL(1.0mmol)を用いたこと以外は実施例12-1と同様にして、化合物(25)(mPEG(20k)-PhTA4Et5Ph)を925mg得た。
【0137】
[実施例13-2] 下記式で表される化合物(26)(mPEG(20k)-PhTA4OH5Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0138】
【0139】
化合物(22)の代わりに実施例13-1で得られた化合物(25)700mg(0.035mmol)を用いたこと以外は実施例12-2と同様にして、化合物(26)(mPEG(20k)-PhTA4OH5Ph)349mgを得た。
【0140】
[実施例13-3]化合物(24)(mPEG(20k)-PhTA4C5Ph)の合成
化合物(23)の代わりに実施例13-2で得られた化合物(26)300mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例12-3と同様にして、化合物(24)136mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.4-8.1ppm(9H,-(C
6
H
4
)-(C
2
(C
6
H
5
)N
3
)-CHO))、8.68ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.23ppm(s,1H,-(C6H4)-(C2(C6H5)N3)-CHO)
【0141】
[実施例14] 下記式で表される化合物(27)(mPEG(20k)-PhTA4C5p-OCH3Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0142】
【0143】
[実施例14-1] 下記式で表される化合物(28)(mPEG(20k)-PhTA4Et5p-OCH3Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0144】
【0145】
エチル 4,4-ジフルオロアセトアセテートの代わりに4-メトキシベンゾイル酢酸エチル 192μL(1.0mmol)を用いたこと以外は実施例12-1と同様にして、化合物(28)(mPEG(20k)-PhTA4Et5p-OCH3Ph)796mgを得た。
【0146】
[実施例14-2] 下記式で表される化合物(29)(mPEG(20k)-PhTA4OH5p-OCH3Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0147】
【0148】
化合物(22)の代わりに実施例14-1で得られた化合物(28)700mg(0.035mmol)を用いたこと以外は実施例12-2と同様にして、化合物(29)(mPEG(20k)-PhTA4OH5p-OCH3Ph)333mgを得た。
【0149】
[実施例14-3]化合物(27)(mPEG(20k)-PhTA4C5p-OCH3Ph)の合成
化合物(23)の代わりに実施例14-2で得られた化合物(29)300mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例12-3と同様にして、化合物(27)191mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.76ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、3.83ppm(s,3H,-(C6H4)-(C2(C6H4(CH
3
))N3)-)、6.9-7.9ppm(8H,-(C
6
H
4
)-(C2(C
6
H
4
(CH3))N3)-)、8.58ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.03ppm(s,1H,-(C2(C6H4(CH3))N3)-CHO)
【0150】
[実施例15] 下記式で表される化合物(30)(mPEG(20k)-PhTA4C5p-NO2Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0151】
【0152】
[実施例15-1] 下記式で表される化合物(31)(mPEG(20k)-PhTA4Et5p-NO2Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0153】
【0154】
エチル 4,4-ジフルオロアセトアセテートの代わりに4-ニトロベンゾイル酢酸エチル 192μL(1.0mmol)を用いたこと以外は実施例12-1と同様にして、化合物(31)(mPEG(20k)-PhTA4Et5p-NO2Ph)813mgを得た。
【0155】
[実施例15-2] 下記式で表される化合物(32)(mPEG(20k)-PhTA4OH5p-NO2Ph)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0156】
【0157】
化合物(22)の代わりに実施例15-1で得られた化合物(31)700mg(0.035mmol)を用いたこと以外は実施例12-2と同様にして、化合物(32)(mPEG(20k)-PhTA4OH5p-NO2Ph)511mgを得た。
【0158】
[実施例15-3] 化合物(30)(mPEG(20k)-PhTA4C5p-NO2Ph)の合成
化合物(23)の代わりに実施例15-2で得られた化合物(32)300mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例12-3と同様にして、化合物(30)154mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.76ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.5-8.3ppm(8H,-(C
6
H
4
)-(C2(C
6
H
4
(NO2))N3)-)、8.58ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.13ppm(s,1H,-(C2(C6H4(NO2))N3)-CHO)
【0159】
[実施例16] 下記式で表される化合物(33)(mPEG(20k)-PhTA4C5o-FPh)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0160】
【0161】
[実施例16-1] 下記式で表される化合物(34)(mPEG(20k)-PhTA4Et5o-FPh)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0162】
【0163】
エチル 4,4-ジフルオロアセトアセテートの代わりに(4-フルオロベンゾイル)酢酸エチル 178μL(1.0mmol)を用いたこと以外は実施例12-1と同様にして、化合物(34)(mPEG(20k)-PhTA4Et5o-FPh)923mgを得た。
【0164】
[実施例16-2] 下記式で表される化合物(35)(mPEG(20k)-PhTA4OH5o-FPh)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0165】
【0166】
化合物(22)の代わりに実施例16-1で得られた化合物(34)700mg(0.035mmol)を用いたこと以外は実施例12-2と同様にして、化合物(35)(mPEG(20k)-PhTA4OH5o-FPh)633mgを得た。
【0167】
[実施例16-3] 化合物(33)(mPEG(20k)-PhTA4C5o-FPh)の合成
化合物(23)の代わりに実施例16-2で得られた化合物(35)300mg(0.015mmol)を用いたこと以外は実施例12-3と同様にして、化合物(34)214mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.76ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.3-7.9ppm(8H,-(C
6
H
4
)-(C2(C
6
H
4
F)N3)-)、8.58ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.13ppm(s,1H,-(C2(C6H4F)N3)-CHO)
【0168】
[実施例17] 下記式で表される化合物(37)(mPEG(20k)-biPhTA4C5CF3)の合成
【0169】
【0170】
3-(4-ホルミル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)安息香酸の代わりに4-(4-(4-ホルミル-5-トリフルオロメチル-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)安息香酸 6.3g(0.018mmol)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、化合物(37)125mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO);1.78ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.24ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、7.7-8.1ppm(8H,-NH-CO-(C
6
H
4
)-(C
6
H
4
)-)、8.68ppm(m,1H,-NH-CO-(C6H4)-)、10.23ppm(s,1H,-(C6H4)-(C6H4)-(C2(CF3)N3)-CHO)
【0171】
[実施例18]下記式で表される化合物(38)(mPEG(20k)-BzTA4-LGG)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0172】
【0173】
実施例1で得られた化合物(6)450mg(22.5μmol)とトリペプチド(Leu-Gly-Gly)55.2mg(225μmol)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4) 4.5mLに溶解し、窒素雰囲気下、40℃で24時間反応した、反応後、食塩1.3gを添加し、室温で10分間撹拌した。撹拌後、クロロホルム10mLを加えて窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌した。撹拌後、10分間静置して有機層を回収した。回収した有機層に硫酸マグネシウムを加え、室温で10分間撹拌した後、吸引ろ過した。ろ過して得られたろ液を濃縮した後、トルエン100gで希釈し、室温で5分間撹拌した。その後ヘキサン50gを加えて、結晶を析出させた。結晶を吸引ろ過して回収し、乾燥して、化合物(38)(mPEG(20k)-BzTA4-LGG)369mgを得た。
1H-NMR(D2O);0.95ppm(m,6H,-CH2-C(CH
3
)2)、1.6-1.7ppm(m,3H)、1.90ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.39ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.74ppm(d,2H,-(C6H4)-CH
2
-(C2HN3)-)、5.8ppm(d,1H)、7.4-7.8ppm(4H,-(C
6
H
4
)-CH2-(C2HN3)-)、8.22ppm(d,1H,-(C6H4)-CH2-(C
2
HN
3
)-)
【0174】
[実施例19]下記式で表される化合物(39)(mPEG(10k)-BzTA4-LGG)の合成(下記式中、nは約227である。)
【0175】
【0176】
実施例2で得られた化合物(7)600mg(60μmol)とトリペプチド(Leu-Gly-Gly)147.2mg(600μmol)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4) 6.0mLに溶解し、窒素雰囲気下、40℃で24時間反応した、反応後、実施例18と同様の操作を行い、化合物(39)(mPEG(10k)-BzTA4-LGG)535mgを得た。
1H-NMR(D2O);0.95ppm(m,6H,-CH2-C(CH
3
)2)、1.6-1.7ppm(m,3H)、1.90ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.39ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.74ppm(d,2H,-(C6H4)-CH
2
-(C2HN3)-)、5.8ppm(d,1H)、7.4-7.8ppm(4H,-(C
6
H
4
)-CH2-(C2HN3)-)、8.22ppm(d,1H,-(C6H4)-CH2-(C
2
HN
3
)-)
【0177】
[実施例20]下記式で表される化合物(40)(mPEG(20k)-PhTA4(4CB)-LGG)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0178】
【0179】
実施例3-3で得られた化合物(8)1.0g(50μmol)とトリペプチド(Leu-Gly-Gly)122.6mg(500μmol)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)10mLに溶解し、窒素雰囲気下、40℃で24時間反応した、反応後、実施例18と同様の操作を行い、化合物(40)(mPEG(20k)-PhTA4(4CB)-LGG)877mgを得た。
1H-NMR(D2O);0.95ppm(m,6H,-CH2-C(CH
3
)2)、1.6-1.7ppm(m,3H)、1.90ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.39ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.8ppm(d,1H)、7.4-7.8ppm(4H,-(C
6
H
4
)-(C2HN3)-)、8.22ppm(d,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-)
【0180】
[実施例21]下記式で表される化合物(41)(mPEG(40k)-PhTA4(4CB)-LGG)の合成(下記式中、nは約909である。)
【0181】
【0182】
実施例4-2で得られた化合物(10)800mg(20μmol)とトリペプチド(Leu-Gly-Gly)49.1mg(200μmol)を100mMリン酸緩衝液(pH7.4)4mLに溶解し、窒素雰囲気下、40℃で24時間反応した、反応後、実施例18と同様の操作を行い、化合物(41)(mPEG(40k)-PhTA4(4CB)-LGG)621mgを得た。
1H-NMR(D2O);0.95ppm(m,6H,-CH2-C(CH
3
)2)、1.6-1.7ppm(m,3H)、1.90ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.39ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.8ppm(d,1H)、7.4-7.8ppm(4H,-(C
6
H
4
)-(C2HN3)-)、8.22ppm(d,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-)
【0183】
[実施例22]下記式で表される化合物(42)(mPEG(40k)-PhTA4(4CB2MO)-LGG)の合成(下記式中、nは約455である。)
【0184】
【0185】
化合物(2)の代わりに実施例5で得られた化合物(12)600mg(30μmmol)を用いたこと以外は実施例19と同様にして、化合物(42)532mgを得た。
1H-NMR(D2O);0.95ppm(m,6H,-CH2-C(CH
3
)2)、1.6-1.7ppm(m,3H)、1.90ppm(m,2H,-(CH2CH2O)n-CH2-CH
2
-CH2-)、3.39ppm(s,3H,CH
3
-O-(CH2CH2O)n-)、3.95ppm(s,3H,-(C6H3(OCH
3
))-)、3.64ppm(m,約1,800H,CH3-O-(CH
2
CH
2
O)n-)、5.8ppm(d,1H)、7.4-7.8ppm(3H,-(C
6
H
3
(OCH3))-(C2HN3)-)、8.22ppm(d,1H,-(C6H4)-(C
2
HN
3
)-)
【0186】
[試験例1]分解性試験
実施例18~22で得られた化合物(38)~(42)を、それぞれ350mgの量でPBS 35mLに溶解し、得られた溶液を10mLずつ分割して、Slide-A-Lyzer Dialysis Cassette G2, 10,000MWCO(ThermoFisher Scientific社製、透析カセット)にそれぞれ供した。各化合物の溶液を供した透析カセットをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)2L中に浸漬させて37℃で保持した。所定の保持時間で透析カセット中の各化合物の溶液を一部サンプリングして、
1H-NMR測定を行った。
図1は、保持0時間の各化合物中のLeu-Gly-Gly付加体量を100%とした時の各保持時間のLeu-Gly-Gly付加体量を表わすグラフである。グラフを指数近似して得られる式をもとに、下記計算式
【0187】
【0188】
(lnはネイピア数を底とする対数であり、λは近似式中のネイピア数の冪指数と-1の積である)
から算出した分解半減期(t1/2)は、化合物(38)では4.1日、化合物(39)では4.6日、化合物(40)では6.4日、化合物(41)では6.2日、化合物(42)では5.1日であった。これらの結果から、本発明の化合物(38)~(42)は、特許文献3の実施例18に記載の化合物の分解半減期である12~18時間と比較して、生理的条件下で有意に長い分解半減期を有することが示された。
【0189】
[実施例23]ポリオキシエチレン誘導体(化合物(10))とRNase Aとの結合体の合成
実施例4-2で得られた化合物(10)25mg(1.25μmol)とRNase A(Roche社製)1.75mg(0.13μmol)を100mMホウ酸緩衝液(pH8.5)250μLに溶解し、37℃で24時間反応させた。反応後、HiTrap SP-HP(Cytiva社製)を用いた陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより未反応の化合物(10)およびRNase Aを除去した。下記条件にて逆相カラムを用いたHPLC分析により、化合物(10)とRNase Aとが1:1で結合している結合体が、純度83.8%で得られたことが確認された。
・HPLC装置:Nexera
・カラム:SunShell HFC18(3.0×150mm、3μm)
・流速:0.6mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:PDA(測定波長:280nm)
・移動相A:0.05体積%トリフルオロ酢酸(TFA)/水
・移動相B:0.05体積%TFA/アセトニトリル
・グラジエントプログラム(A/B):80/20(0min)→40/60(15min)→0/100(16min)→0/100(30min)
本発明のリリーサブルポリオキシエチレン誘導体を用いれば、生体機能性分子として機能し得るポリペプチドとの結合体であって、生理的条件下で長時間かけて分解して、前記ポリペプチドを放出することができる結合体を形成することができる。このような結合体は、プロドラッグとしての利用が期待される。