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特開2024-11506ログ処理装置、ログ処理方法、および、ログ処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011506
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ログ処理装置、ログ処理方法、および、ログ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113520
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 忍
(72)【発明者】
【氏名】飯村 結香子
(72)【発明者】
【氏名】田島 和樹
(72)【発明者】
【氏名】杜 博見
(72)【発明者】
【氏名】成末 義哲
(72)【発明者】
【氏名】森川 博之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】ログに含まれる文字列によらずに、複数の異なるシステムのログから一連の業務のまとまりのログを抽出する。
【解決手段】ログ処理装置は、複数の異なる業務システムから取得したログ群を、当該ログが示すタスクの実行時刻でソートする。そして、ログ処理装置は、ソートしたログ群において隣接するログのペアごとに、当該ログのペアが示すタスクペアの登場頻度が高く、作成元の業務システムが異なり、かつ、当該ログのペアが示すタスクの実行時刻の差が短いログのペアを抽出する。その後、ログ処理装置は、抽出したログのペアに示されるケースIDを対応付けて示したケースマッピングテーブルを作成する。そして、ログ処理装置は、作成したケースマッピングテーブルに基づき、複数の異なる業務システムから取得したログ群のうち、一連の業務に関するログ群を抽出し、抽出したログ群を統合した統合レコードを作成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる業務システムから、当該業務システムで実行した業務の識別情報、前記業務で実行したタスクおよび前記タスクの実行時刻を対応付けて示したログ群を取得する取得部と、
取得したログ群を、前記ログが示すタスクの実行時刻でソートするソート部と、
ソートした前記ログ群において隣接するログのペアごとに、当該ログのペアが示すタスクのペアの前記ログ群における登場頻度が所定値以上であり、作成元の業務システムが異なり、かつ、前記ログのペアが示すタスクの実行時刻の差が所定値以下であるログのペアを抽出する抽出部と、
抽出した前記ログのペアごとに、前記ログのペアに示される異なる業務システムの業務の識別情報のペアを対応付けて示したマッピング情報を作成する情報作成部と、
前記複数の異なる業務システムから取得したログ群から、前記マッピング情報において対応付けられている業務の識別情報のペアごとに、前記ペアを構成する業務の識別情報を持つログ群を抽出する統合レコード作成部と
を備えることを特徴とするログ処理装置。
【請求項2】
前記統合レコード作成部は、
抽出した前記ログ群を統合した統合レコードを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載のログ処理装置。
【請求項3】
前記マッピング情報は、
前記対応付けられている業務の識別情報のペアにおいて、どちらの業務が先に実行されたかを示す情報を含み、
前記統合レコード作成部は、
前記マッピング情報に対応付けられている業務の識別情報のペアにおいて、先に行われた業務の識別情報を持つログ群の後に、前記業務の後に行われた業務の識別情報を持つログ群を結合することにより前記統合レコードを作成する
ことを特徴とする請求項2に記載のログ処理装置。
【請求項4】
ログ処理装置により実行されるログ処理方法であって、
複数の異なる業務システムから、当該業務システムで実行した業務の識別情報、前記業務で実行したタスクおよび前記タスクの実行時刻を対応付けて示したログ群を取得する工程と、
取得したログ群を、前記ログが示すタスクの実行時刻でソートする工程と、
ソートした前記ログ群において隣接するログのペアごとに、当該ログのペアが示すタスクのペアの前記ログ群における登場頻度が所定値以上であり、作成元の業務システムが異なり、かつ、前記ログのペアが示すタスクの実行時刻の差が所定値以下であるログのペアを抽出する工程と、
抽出した前記ログのペアごとに、前記ログのペアに示される業務システムの業務の識別情報のペアを対応付けて示したマッピング情報を作成する工程と
前記複数の異なる業務システムから取得したログ群から、前記マッピング情報において対応付けられている業務の識別情報のペアごとに、前記ペアを構成する業務の識別情報を持つログ群を抽出する工程と
を含むことを特徴とするログ処理方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のログ処理装置としてコンピュータを機能させるためのログ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる業務システムのログを処理するための、ログ処理装置、ログ処理方法、および、ログ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務システムにおいて、相互に関連する一連の業務のログが複数の異なるシステムに分散していることがある。これらの複数の異なるシステムでは、ログのID体系等も異なる場合もある。よって、異なるシステムに分散しているログを対象に業務分析をするためには、人手でこれらのログのIDの紐づけを行う必要があり、多大なコストを要する。ここで、ログに含まれる文字列(例えば、タスク名の文字列)の類似度を用いて、一連の業務のまとまりのログを抽出する技術が提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Hernandez-Resendiz J.D., Tello-Leal E., Marin-Castro H.M., Ramirez-Alcocer U.M., Mata-Torres J.A. (2021) Merging Event Logs for Inter-organizational Process Mining. In: Zapata-Cortes J.A., Alor-Hernandez G., Sanchez-Ramirez C., Garcia-Alcaraz J.L. (eds) New Perspectives on Enterprise Decision-Making Applying Artificial Intelligence Techniques. Studies in Computational Intelligence, vol 966. Springer, Cham.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術は、例えば、ログに含まれるタスク名に付け方によっては一連の業務のまとまりのログを抽出できない場合もある。そこで、本発明は、ログに含まれる項目(文字列等)によらずに、複数の異なるシステムのログから一連の業務のまとまりのログを抽出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、本発明は、複数の異なる業務システムから、当該業務システムで実行した業務の識別情報、前記業務で実行したタスクおよび前記タスクの実行時刻を対応付けて示したログ群を取得する取得部と、取得したログ群を、前記ログが示すタスクの実行時刻でソートするソート部と、ソートした前記ログ群において隣接するログのペアごとに、当該ログのペアが示すタスクのペアの前記ログ群における登場頻度が所定値以上であり、作成元の業務システムが異なり、かつ、前記ログのペアが示すタスクの実行時刻の差が所定値以下であるログのペアを抽出する抽出部と、抽出した前記ログのペアごとに、前記ログのペアに示される異なる業務システムの業務の識別情報のペアを対応付けて示したマッピング情報を作成する情報作成部と前記複数の異なる業務システムから取得したログ群から、前記マッピング情報において対応付けられている業務の識別情報のペアごとに、前記ペアを構成する業務の識別情報を持つログ群を抽出する統合レコード作成部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ログに含まれる文字列によらずに、複数の異なるシステムのログから一連の業務のまとまりのログを抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ログ処理装置の概要を説明するための図である。
図2図2は、タスクペアと実行時間差を説明するための図である。
図3図3は、ログ処理装置が実行する処理の例と、ログ処理装置が抽出するタスクペアの集合を説明するための図である。
図4図4は、ログ処理装置の構成例を示す図である。
図5図5は、高頻度タスクペアの抽出処理の例を説明するための図である。
図6図6は、微小時間差タスクペアの抽出処理の例を説明するための図である。
図7図7は、ケースマッピングテーブルの作成処理の例を説明するための図である。
図8図8は、統合レコードの作成処理の例を説明するための図である。
図9図9は、ログ処理プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。本発明は、本実施形態に限定されない。なお、以下の説明においてケースとは、業務システム(システム)で行われた一連の業務のまとまりを示す。また、各システムのログデータベース(DB)には、自身のシステムで実行された業務(ケース)のID、当該ケースで実行されたタスク、当該タスクの実行時刻とを示したログが蓄積される。
【0009】
[概要]
まず、図1を用いて、本実施形態のログ処理装置の概要を説明する。例えば、ユーザが、業務(X)として、2つの異なるシステムA,Bを用いて7つのタスクを実行する場合を考える。
【0010】
この場合、業務Xに関する7つのタスクのログが、システムAのログDBと、システムBのログDBに分離して蓄積される。その結果、各システムにおいて、業務Xに対し、異なるケースIDが付与されることになる。そこで、ログ処理装置は、各システムで付与されるケースIDの対応付け(ケースマッピング)を行う。
【0011】
例えば、ログ処理装置は、業務Xに関するシステムAのケースID「AC_001」とシステムBのケースID「BC_001」とを対応付ける。そして、ログ処理装置は、符号101に示すように、ケースID「AC_001」のログ群と、ケースID「BC_001」のログ群とを統合し、これらのログ群に新たなケースID「C_001」を付与する。
【0012】
ここで、ログ処理装置は、上記のケースマッピングを行うため、各システムのログ群から一連の業務のまとまりのログ群を抽出し、抽出したログ群に付与された各システムのケースIDを確認する。ここでログ処理装置が、異なるシステムのログ群から一連の業務のまとまりのログ群を抽出するため、ログ群を実行時刻でソートしたときに隣接するタスクの組み合わせ(タスクペア)と、タスクペアの実行時刻の時間差(実行時間差)とを用いる。
【0013】
例えば、図2に示す実行時刻でソートしたログ群(符号201)におけるタスクペアは、AF1→AF2と、AF2→AF3と、AF3→AF4である。また、AF1→AF2のタスクペアの実行時間差はTS2-TS1であり、AF2→AF3のタスクペアの実行時間差はTS3-TS2であり、AF3→AF4のタスクペアの実行時間差はTS4-TS3である。
【0014】
ここで、各システムのログDBから取得したログ群の中で、作成元のシステムが異なるが、高い頻度で発生するタスクペアであり、かつ、そのタスクペアの実行時間差が短ければ、複数のシステムにまたがって行われる一連の業務に関するタスクである可能性が高い。
【0015】
よって、ログ処理装置は、各システムのログDBから取得したログ群から、作成元のシステムは異なるが、高い頻度で発生し、かつ、実行時間差が短いタスクペアを抽出する。例えば、ログ処理装置は、図3の符号301に示すように、ログDB全体のタスクペアの集合から、作成元のシステムが異なり、高頻度に発生し、かつ、微小時間差(実行時間差が短い)のタスクペアの集合を抽出する。
【0016】
そして、ログ処理装置は、抽出したタスクペアに紐づくケースIDに基づき、ケースマッピングを行う。例えば、図1に示す、システムAのタスク「AF4」→システムBのタスク「BF1」のタスクペアが高頻度に発生し、かつ、微小時間差であれば、ログ処理装置は、タスク「AF4」に紐づくケースID「AC_001」とタスク「BF1」に紐づくケースID「BC_001」とを対応付ける。そして、ログ処理装置は、上記のケースマッピングの結果を用いて、一連の業務のログ群を統合し、統合レコード(図1の符号101参照)を作成する。
【0017】
[処理手順の例]
上記のログ処理装置の処理手順の例を、図3に示すフローチャートを用いて説明する。例えば、ログ処理装置、まず、各システムのログDBを統合したログDB全体から、高頻度で発生するタスクペアの抽出を行う(S1:高頻度のタスクペアの抽出)。次に、ログ処理装置は、S1で抽出したタスクペアの中から、作成元のシステムが異なるタスクペアの抽出を行う(S2)。その後、S2で抽出したタスクペアの中から、微小時間差のタスクペアの抽出を行う(S3)。次に、ログ処理装置は、S3で抽出されたタスクペアに紐づくケースIDを用いてケースマッピングを行う(S4)。その後、ログ処理装置は、S4で得られたケースマッピングの結果を用いて、一連の業務に関するログ群を抽出し、抽出したログ群を統合することにより統合レコードの作成を行う(S5)。
【0018】
このようにすることでログ処理装置は、ログに含まれる文字列によらずに、複数の異なるシステムのログDBから各システムにまたがって行われた一連の業務のまとまりのログ群を抽出することができる。
【0019】
[構成例]
次に、図4を用いて、上記のログ処理装置の構成例を説明する。ログ処理装置10は、入出力部11、記憶部12および制御部13を備える。
【0020】
[入出力部]
入出力部11は、ログ処理装置10が各種情報の入力を受け付けたり、出力したりする際のインタフェースを司る。例えば、入出力部11は、各システムのログDBのログ群の入力を受け付けたり、制御部13により作成された統合レコードを出力したりする。
【0021】
[記憶部]
記憶部12は、制御部13が動作する際に用いる各種情報やプログラム、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等である。例えば、記憶部12は、制御部13により作成されたマッピングテーブル(ケースマッピングの結果を示した情報)を記憶する。
【0022】
[ケースマッピングテーブル]
ケースマッピングテーブル(マッピング情報)は、一連の業務に関し、各システムで付与されるケースIDを対応付けて示した情報である。例えば、図7の符号701に示すケースマッピングテーブルは、システムAのケースID「AC_001」と、システムBのケースID「BC_001」とは、一連の業務で実行されたケースであることを示す。
【0023】
なお、ケースマッピングテーブルは、各ケースIDに対応する業務のうち、どちらの業務が先に実行されたかの情報も含んでいてもよい。例えば、符号701に示すケースマッピングテーブルは、前ケース(先に実行された業務)のケースIDは「AC_001」であり、後ケース(前ケースの後に実行された業務)のケースIDは「BC_001」であることを示す。
【0024】
また、このケースマッピングテーブルは、符号701に示すように、一連の業務において、実行されたタスク(例えば、前タスク「AF4」および後タスク「BF1」)の情報を含んでいてもよい。
【0025】
図4の説明に戻る。制御部13は、ログ処理装置10全体の制御を司る。制御部13は、例えば、取得部131と、ソート部132と、抽出部133と、マッピングテーブル作成(情報作成)部134と、統合レコード作成部135とを備える。制御部13は、例えば、ログ処理装置10内のCPUが、記憶部12に格納されたプログラムを実行することで上記の各部の機能を実現する。
【0026】
取得部131は、各システムのログDBからログ群を取得する。例えば、システムAのログDBとシステムBのログDBからログ群を取得する。
【0027】
ソート部132は、取得部131により取得された取得したログ群を、ログが示すタスクの実行時刻でソートする。例えば、図5の(1)に示すように、システムAのログDBから取得したログ群と、システムBのログDBから取得したログ群とをまとめた後、各ログに含まれるタスクの実行時刻が早い順にソートする。
【0028】
図4の説明に戻る。抽出部133は、ソート部132によりソートされたログ群から、作成元のシステムが異なり、高頻度で発生(登場)し、かつ、微小時間差(実行時間差が短い)のログのペアを抽出する。
【0029】
例えば、抽出部133は、ソート部132によりソートされたログ群において隣接するログのペアごとに、当該ログのペアが示すタスクペアの登場頻度を求める。そして、抽出部133は、上記のログ群から、ログのペアのタスクペアの登場頻度が所定値以上であり、作成元の業務システムが異なり、かつ、実行時刻の差が所定値以下であるログのペアを抽出する。
【0030】
例えば、抽出部133は、図5の(2)に示すように、(1)でソートされたログ群を上から順に調べていき、隣接するログのペアが示すタスクペアを抽出し、抽出したタスクペアでタスクペア発生回数テーブルを作成する。そして、抽出部133は、タスクペアごとに、上記のログ群における登場回数をカウントし、カウントした登場回数(ペア発生回数)をタスクペア発生回数テーブルに記録する。
【0031】
例えば、抽出部133は、図5の(2)に示すように、(1)でソートされたログ群から、AF4→BF1、BF2→BF3等のタスクペアを抽出し、タスクペア発生回数テーブルを作成する。そして、抽出部133は、AF4→BF1、BF2→BF3それぞれのペア発生回数(150回、80回)をタスクペア発生回数テーブルに書き込む。
【0032】
その後、抽出部133は、登場回数が所定の閾値以上のタスクペアを高頻度で登場するタスクペアと判断し、その旨を示すフラグを付与する。例えば、上記の閾値を100回とすると、抽出部133は、図5の(3)に示すように、ペア発生回数が100回以上であるAF4→BF1のタスクペアに高頻度フラグ(例えば、「1」)を付与する。
【0033】
次に、抽出部133は、図6の(4)に示すように、ソート部132によりソートされたログ群から、隣接するログのペアで、作成元のシステムが異なるペアを抽出する。例えば、抽出部133は、図6の符号601に示すログのペアと、符号602に示すログのペアとを抽出する。
【0034】
なお、ペアを構成するログの作成元のシステムが異なるか否かは、例えば、ログに付与されたケースIDに基づき判断される。例えば、ログ処理装置10は、予めシステムごとに、当該システムで用いられるケースIDの情報を保持しており、抽出部133は、当該情報を参照して、ペアを構成するログの作成元のシステムが異なるか否かを判断する。
【0035】
次に、抽出部133は、図6の(4)に示すように、抽出した作成元のシステムが異なるログのペアを用いて、別システムタスクペアテーブルを作成する。そして、抽出部133は、図6の(5)に示すように、ログのペアが示すタスクペアの実行時間差を計算し、計算した実行時間差を別システムタスクペアテーブルに書き込む。
【0036】
例えば、抽出部133は、図6の(5)に示すように、符号601に示すログのペアの実行時間差「30(秒)」を別システムタスクペアテーブルに書き込む。また、抽出部133は、符号602に示すログのペアの実行時間差「600(秒)」を別システムタスクペアテーブルに書き込む。
【0037】
そして、抽出部133は、図6の(6)に示すように、別システムタスクペアテーブルでログのペアの実行時間差が所定の閾値以下のログのペアに、微小時間差フラグ(例えば、「1」)を付与する。例えば、上記の閾値を60(秒)とすると、抽出部133は、別システムタスクペアテーブルにおける、符号603に示すログのペアの実行時間差は30(秒)なので、微小時間差フラグ(例えば、「1」)を付与する。
【0038】
図4の説明に戻る。マッピングテーブル作成部134は、抽出部133により抽出された、作成元のシステムが異なり、高頻度で登場し、かつ、実行時間差が短いログのペアに基づき、ケースマッピングテーブルを作成する。作成したケースマッピングテーブルは、記憶部12に格納される。
【0039】
例えば、マッピングテーブル作成部134は、図7の(7)に示すように、別システムタスクペアテーブルにおいて微小時間差フラグが立っており、かつ、タスクペア発生回数テーブルにおいても高頻度フラグが立っているタスクペア(前タスク「AF4」、後タスク「BF1」)のレコードをケースマッピングテーブルに挿入する。
【0040】
例えば、マッピングテーブル作成部134は、図7の符号701に示すように、別システムタスクペアテーブルにおける前タスク「AF4」、後タスク「BF1」のレコード702に基づき、前ケース「AC_001」、前タスク「AF4」、後ケース「BC_001」、後タスク「BF1」というレコード703をケースマッピングテーブルに挿入する。
【0041】
このとき、マッピングテーブル作成部134は、例えば、前ケース「AC_001」および後ケース「BC_001」を、一連の業務(ケース)であると判断し、新たなケースID「C_001」(新ケース「C_001」)を付与する。
【0042】
このようにすることで、マッピングテーブル作成部134、異なるシステムにおいて一連の業務として実行された業務のケースIDのペアを対応付けて示した情報(ケースマッピングテーブル)を作成することができる。
【0043】
なお、図7に示すケースマッピングテーブルは、一連の業務として実行されたタスク(前タスク、後タスク)の情報も含むが、このタスクの情報を省いてもよい。
【0044】
図4の説明に戻る。統合レコード作成部135は、取得部131により取得されたログ群から、ケースマッピングテーブルにおいて対応付けられているケースID(前ケースおよび後ケースのケースID)に対応するログ群を抽出する。そして、統合レコード作成部135は、抽出したログ群を統合した統合レコードを作成する。その後、統合レコード作成部135は作成した統合レコードを入出力部11経由で出力する。
【0045】
例えば、図8の(8)に示すように、統合レコード作成部135は、ケースマッピングテーブルにおける符号801に示すレコードを参照し、実行時刻でソート済みのシステムA,Bのログ群から、前ケース「AC_001」に対応するログ群と後ケース「BC_001」に対応するログ群とを抽出する。そして、統合レコード作成部135は、抽出した前ケース「AC_001」のログ群と、後ケース「BC_001」のログ群とを統合する。
【0046】
例えば、統合レコード作成部135は、抽出した前ケース「AC_001」のログ群の後に、後ケース「BC_001」のログ群を結合することにより統合する。そして、統合レコード作成部135は、統合したログ群のケースIDとして、前ケース「AC_001」および後ケース「BC_001」に対応する新ケース「C_001」を付与する。このようにすることで、統合レコード作成部135は、統合レコードを作成することができる。
【0047】
このようにすることで、ログ処理装置10は、複数の異なるシステムのログ群から、一連の業務のまとまりのログ群を抽出することができる。そして、ログ処理装置10は、抽出した一連の業務のまとまりのログ群を統合し、統合レコードを作成することができる。これにより、分離されたログDBのログ群のうち、一連の業務のまとまりのログ群の紐づけを自動化することができるので、上記の紐づけに要する時間およびコストを低減することができる。
【0048】
なお、ログ処理装置10は、前記したケースマッピングテーブルの作成のみを行い、ケースマッピングテーブルに基づく、複数の異なるシステムのログ群から一連の業務のまとまりのログ群を抽出する処理は、他の装置で行ってもよい。
【0049】
また、ログ処理装置10は、タスクペアの登場頻度および実行時間差を用いて、連続して実行された可能性の高い業務と、連続して実行されていない可能性の高い業務とを切り分けることもできる。ここで、連続して実行された可能性の高い業務を正常系の業務(スムーズに実行された業務)、連続して実行されていない可能性の高い業務を非正常系の業務(スムーズに実行されなかった業務)と考えることもできる。よって、ログ処理装置10から、非正常系の業務のログ群を取得し、取得した非正常系のログ群を個別に分析することで、正常系の業務にはない問題点を発見できる可能性がある。
【0050】
[システム構成等]
また、図示した各部の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0051】
また、前記した実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0052】
[プログラム]
前記したログ処理装置10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとしてプログラム(ログ処理プログラム)を所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記のプログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置をログ処理装置10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置にはスマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等の端末等がその範疇に含まれる。
【0053】
図9は、ログ処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0054】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0055】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記のログ処理装置10が実行する各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、ログ処理装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態の処理で用いられるデータは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
【0057】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続される他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 ログ処理装置
11 入出力部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 ソート部
133 抽出部
134 マッピングテーブル作成部
135 統合レコード作成部
図1
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