(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121779
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】酸クロリド誘導体の製造方法及びケトン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/29 20060101AFI20240830BHJP
C07D 333/22 20060101ALI20240830BHJP
C07D 307/20 20060101ALI20240830BHJP
C07D 333/56 20060101ALI20240830BHJP
C07C 69/63 20060101ALI20240830BHJP
C07C 67/293 20060101ALI20240830BHJP
C07C 51/60 20060101ALN20240830BHJP
C07C 45/45 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
C07C67/29
C07D333/22
C07D307/20
C07D333/56
C07C69/63
C07C67/293
C07C51/60
C07C45/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214194
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2023028760
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023083432
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023147089
(32)【優先日】2023-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】関 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】真島 和志
(72)【発明者】
【氏名】ムラニ シャヘーン カシム
(72)【発明者】
【氏名】タプキル サンジープ ラメシュラオ
(72)【発明者】
【氏名】ナディヴェードヒ マヘシュワラ レディ
(72)【発明者】
【氏名】ナンディ サンタヌ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC30
4H006AC44
4H006BA05
4H006BA32
4H006BA37
4H006BA42
4H006BA51
4H006BC10
4H006BE50
4H006BE51
4H006BE54
4H006BE90
4H006BJ50
4H006BM72
4H006BP30
4H006BS90
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、チオエステル誘導体を使用することなく、ケトン誘導体を製造することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、下記式(II):
で表される酸クロリド誘導体(II)と、特定のグリニャール試薬とを、銅塩の存在下で接触させて、下記式(III):
[式中、R
1及びR
2は独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基等を表す。]
で表されるケトン誘導体(III)を製造する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II):
【化1】
[式中、R
1は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリールアルケニル基を表す。]
で表される酸クロリド誘導体(II)を製造する方法であって、
下記式(I):
【化2】
[式中、R
1は、前記と同義である。]
で表されるカルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを接触させる工程を含む、方法。
【請求項2】
前記工程において、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下で接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
クロル化剤が、塩化チオニル、塩化オキサリル、三塩化リン、オキシ塩化リン及び五塩化リンから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
下記式(III):
【化3】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリールアルケニル基を表す。]
で表されるケトン誘導体(III)を製造する方法であって、
下記式(II):
【化4】
[式中、R
1は、前記と同義である。]
で表される酸クロリド誘導体(II)と、
下記式(IVa):
【化5】
[式中、R
2は、前記と同義であり、Xは、ハロゲン原子を表す。]
で表されるグリニャール試薬(IVa)、及び、
下記式(IVb):
【化6】
[式中、R
2及びXは、前記と同義である。]
で表されるグリニャール試薬(IVb)
から選択されるグリニャール試薬(IV)とを、
銅塩の存在下で接触させる工程を含む、方法。
【請求項5】
前記工程において、グリニャール試薬(IV)と銅塩とを接触させて有機銅試薬を形成させた後、有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを接触させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
銅塩が、シアン化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)及びチオフェン-2-カルボン酸銅(I)から選択される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法により酸クロリド誘導体(II)を製造する工程をさらに含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記工程において、酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合し、得られた混合物にグリニャール試薬(IV)を添加する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
銅塩の使用量が、グリニャール試薬(IV) 1モルに対して、0.005モル以上1モル以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加を、-30℃以上30℃以下の温度で行う、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加を滴下により行う、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
銅塩が、シアン化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)及びチオフェン-2-カルボン酸銅(I)から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法により酸クロリド誘導体(II)を製造する工程をさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸クロリド誘導体の製造方法及びケトン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅塩の存在下、チオエステル誘導体とグリニャール試薬とを接触させて、ケトン誘導体を製造する方法が知られている(例えば、非特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J.Org.Chem.2020,85(19),pp.12382-12392(DOI:10.1021/acs.joc.0c01635)
【非特許文献2】Chem.Eur.J.2022,28,e202200474(doi.org/10.1002/chem.202200474)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チオエステル誘導体は、悪臭があり、分子量が大きく、原子効率が低いため製造にコストがかかる。したがって、チオエステル誘導体を使用することなく、ケトン誘導体を製造することができる技術が求められている。
【0005】
本発明は、チオエステル誘導体を使用することなく、緩和な反応条件でケトン誘導体を製造することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を包含する。
[1]下記式(II):
【化1】
[式中、R
1は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリールアルケニル基を表す。]
で表される酸クロリド誘導体(II)を製造する方法であって、
下記式(I):
【化2】
[式中、R
1は、前記と同義である。]
で表されるカルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを接触させる工程を含む、方法。
[2]前記工程において、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下で接触させる、[1]に記載の方法。
[3]クロル化剤が、塩化チオニル、塩化オキサリル、三塩化リン、オキシ塩化リン及び五塩化リンから選択される、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]下記式(III):
【化3】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリールアルケニル基を表す。]
で表されるケトン誘導体(III)を製造する方法であって、
下記式(II):
【化4】
[式中、R
1は、前記と同義である。]
で表される酸クロリド誘導体(II)と、
下記式(IVa):
【化5】
[式中、R
2は、前記と同義であり、Xは、ハロゲン原子を表す。]
で表されるグリニャール試薬(IVa)、及び、
下記式(IVb):
【化6】
[式中、R
2及びXは、前記と同義である。]
で表されるグリニャール試薬(IVb)
から選択されるグリニャール試薬(IV)とを、
銅塩の存在下で接触させる工程を含む、方法。
[5]前記工程において、グリニャール試薬(IV)と銅塩とを接触させて有機銅試薬を形成させた後、有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを接触させる、[4]に記載の方法。
[6]銅塩が、シアン化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)及びチオフェン-2-カルボン酸銅(I)から選択される、[4]又は[5]に記載の方法。
[7][1]~[3]のいずれか一項に記載の方法により酸クロリド誘導体(II)を製造する工程をさらに含む、[4]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]前記工程において、酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合し、得られた混合物にグリニャール試薬(IV)を添加する、[4]に記載の方法。
[9]銅塩の使用量が、グリニャール試薬(IV) 1モルに対して、0.005モル以上1モル以下である、[8]に記載の方法。
[10]混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加を、-30℃以上30℃以下の温度で行う、[8]又は[9]に記載の方法。
[11]混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加を滴下により行う、[8]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]銅塩が、シアン化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)及びチオフェン-2-カルボン酸銅(I)から選択される、[8]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13][1]~[3]のいずれか一項に記載の方法により酸クロリド誘導体(II)を製造する工程をさらに含む、[8]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チオエステル誘導体を使用することなく、ケトン誘導体を製造することができる技術が提供される。当該技術は、安価な試薬を使用して、緩和な反応条件下、短時間に、目的とするケトン誘導体を得ることができる優れた技術である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1及び2で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,30℃)を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例3で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例4で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例4で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の
13C NMRスペクトル(126MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例5で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例5で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の
13C NMRスペクトル(126MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例6で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((S)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXc)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl3,25℃)を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例7で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXd)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例7で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXd)の
13C NMRスペクトル(126MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例8で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXe)の
1H NMRスペクトル(500MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例8で得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXe)の
13C NMRスペクトル(126MHz,CDCl
3,25℃)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について説明する。本明細書に記載の2以上の実施形態を組み合わせることができ、2以上の実施形態の組み合わせも本発明に包含される。
【0010】
≪用語の説明≫
以下、本明細書で用いられる用語について説明する。以下の説明は、別段規定される場合を除き、本明細書を通じて適用される。なお、「値A~値B」という表現は、別段規定される場合を除き、値A以上値B以下を意味する。
【0011】
ハロゲン原子
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択される。
【0012】
アルキル基
アルキル基の炭素数は、例えば1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~12(例えば、1~10、1~8、1~6、1~5、1~4、1~3又は1~2)である。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素数は1以上であり、分岐鎖状のアルキル基の炭素数は3以上である。
【0013】
アルケニル基
アルケニル基の炭素数は、例えば2~20、好ましくは2~15、より好ましくは2~12(例えば、2~10、2~8、2~6、2~5、2~4又は2~3)である。アルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。直鎖状のアルケニル基の炭素数は2以上であり、分岐鎖状のアルケニル基の炭素数は3以上である。
【0014】
シクロアルキル基
シクロアルキル基の炭素数は、例えば3~10、好ましくは3~8、より好ましくは3~6である。
【0015】
ヘテロシクロアルキル基
ヘテロシクロアルキル基は、環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含む単環式の飽和脂肪族複素環基である。飽和脂肪族複素環基は、飽和結合のみによって環が構成された脂肪族複素環基である。ヘテロ原子の数は、例えば1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個である。ヘテロシクロアルキル基の員数は、例えば3~8員、好ましくは4~7員、より好ましくは5~7員、より一層好ましくは5又は6員である。ヘテロシクロアルキル基としては、例えば、1~2個の酸素原子を含むもの、1~2個の硫黄原子を含むもの、1~2個の酸素原子と1~2個の硫黄原子とを含むもの、1~4個の窒素原子を含むもの、1~3個の窒素原子と1~2個の硫黄原子及び/又は1~2個の酸素原子とを含むもの等が挙げられる。ヘテロシクロアルキル基は、酸素原子をヘテロ原子として含むことが好ましい。ヘテロシクロアルキル基としては、アジリジニル基、オキシラニル基、チイラニル基、アゼチジニル基、オキセタニル基、チエタニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリジニル基、ピラゾリジニル基、チアゾリジニル基、テトラヒドロイソチアゾリル基、テトラヒドロオキサゾリル基、テトラヒドロイソオキサゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基(環上の硫黄原子は酸化されてもよい)、アゼパニル基、ジアゼパニル基、オキセパニル基、アゾカニル基、ジアゾカニル基等が挙げられる。
【0016】
一実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、テトラヒドロフラニル基及びテトラヒドロピラニル基から選択される。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは、テトラヒドロフラニル基である。
【0017】
アリール基
アリール基は、例えば、単環式又は多環式(例えば二環式又は三環式)の炭素数4~14、好ましくは6~14、より好ましくは6~10の芳香族炭化水素環基である。多環式は、好ましくは、縮合環式である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基は、好ましくは、フェニル基である。
【0018】
ヘテロアリール基
ヘテロアリール基は、環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含む単環式又は多環式(例えば二環式又は三環式)の芳香族複素環基である。多環式は、好ましくは、縮合環式である。ヘテロ原子の数は、例えば1~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個である。ヘテロアリール基の員数は、好ましくは4~14員、より好ましくは5~10員である。ヘテロアリール基としては、例えば、1~2個の酸素原子を含むもの、1~2個の硫黄原子を含むもの、1~2個の酸素原子と1~2個の硫黄原子とを含むもの、1~4個の窒素原子を含むもの、1~3個の窒素原子と1~2個の硫黄原子及び/又は1~2個の酸素原子とを含むもの等が挙げられる。ヘテロアリール基は、好ましくは単環式又は二環式の4~10員、好ましくは5~10員の芳香族複素環基である。
【0019】
単環式の芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チエニル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,3,4-オキサジアゾリル基等)、チアジアゾリル基(例えば、1,2,4-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基等)、トリアゾリル基(例えば、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基等)、テトラゾリル基、トリアジニル基等の5~7員の単環式の芳香族複素環基が挙げられる。
【0020】
縮合多環式の芳香族複素環基としては、例えば、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾピリジニル基、チエノピリジニル基、フロピリジニル基、ピロロピリジニル基、ピラゾロピリジニル基、オキサゾロピリジニル基、チアゾロピリジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリミジニル基、チエノピリミジニル基、フロピリミジニル基、ピロロピリミジニル基、ピラゾロピリミジニル基、オキサゾロピリミジニル基、チアゾロピリミジニル基、ピラゾロトリアジニル基、ナフト[2,3-b]チエニル基、フェノキサチイニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H-インダゾリル基、プリニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、カルバゾリル基、α-カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基等の8~14員の縮合多環式(好ましくは2環式又は3環式)の芳香族複素環基等が挙げられる。
【0021】
一実施形態において、ヘテロアリール基は、チエニル基、ベンゾチオフェニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基及びピリジル基から選択される。ヘテロアリール基は、好ましくは、チエニル基及びベンゾチオフェニル基から選択される。
【0022】
ハロアルキル基、ハロアリール基及びハロヘテロアリール基
ハロアルキル基、ハロアリール基及びハロヘテロアリール基は、それぞれ、1以上のハロゲン原子を有するアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基であり、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基に関する説明は、上記の通りである。ハロアルキル基、ハロアリール基又はハロヘテロアリール基が有するハロゲン原子の数は、例えば1~3、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
【0023】
アルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基
アルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、それぞれ、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基から1個の水素原子を除去することにより生成される2価の官能基であり、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基に関する説明は、上記の通りである。
【0024】
ハロアルキレン基、ハロアリーレン基及びハロヘテロアリーレン基
ハロアルキレン基、ハロアリーレン基及びハロヘテロアリーレン基は、それぞれ、ハロアルキル基、ハロアリール基及びハロヘテロアリール基から1個の水素原子を除去することにより生成される2価の官能基であり、ハロアルキル基、ハロアリール基及びハロヘテロアリール基に関する説明は、上記の通りである。
【0025】
アリールアルキル基
アリールアルキル基は、1以上のアリール基を有するアルキル基であり、アルキル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。アリールアルキル基が有するアリール基の数は、例えば1~3、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
【0026】
アリールアルケニル基
アリールアルケニル基は、1以上のアリール基を有するアルケニル基であり、アルケニル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。アリールアルケニル基が有するアリール基の数は、例えば1~3、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
【0027】
アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基
アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基は、それぞれ、式:-CO-アルキル基及び式:-CO-アリール基で表される基であり、アルキル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。
【0028】
アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、ヘテロシクロアルキルオキシ基及びアリールアルキルオキシ基
アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、ヘテロシクロアルキルオキシ基及びアリールアルキルオキシ基は、それぞれ、式:-O-アルキル基、式:-O-ハロアルキル基、式:-O-ヘテロシクロアルキル基及び式:-O-アリールアルキル基で表される基であり、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びアリールアルキル基に関する説明は、上記の通りである。
【0029】
アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びアリールアルキルチオ基
アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基及びアリールアルキルチオ基は、それぞれ、式:-S-アルキル基、式:-S-ハロアルキル基、式:-S-ヘテロシクロアルキル基及び式:-S-アリールアルキル基で表される基であり、アルキル基、ハロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びアリールアルキル基に関する説明は、上記の通りである。
【0030】
アルキルオキシカルボニル基
アルキルオキシカルボニル基は、式:-CO-O-アルキル基で表される基であり、アルキル基に関する説明は、上記の通りである。アルキルオキシカルボニル基に含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3、より一層好ましくは1又は2である。
【0031】
アミノ基
アミノ基は、式:-NH2で表される基(1級アミノ基)である。
【0032】
モノアルキルアミノ基
モノアルキルアミノ基は、式:-NH(-Q1)[式中、Q1は、アルキル基を表す。]で表される基であり、アルキル基に関する説明は、上記の通りである。Q1で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3、より一層好ましくは1又は2である。
【0033】
ジアルキルアミノ基
ジアルキルアミノ基は、式:-N(-Q2)(-Q3)[式中、Q2及びQ3は、それぞれ独立して、アルキル基を表す。]で表される基であり、アルキル基に関する説明は、上記の通りである。Q2又はQ3で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3、より一層好ましくは1又は2である。
【0034】
脂環式アミノ基
脂環式アミノ基は、例えば、5又は6員環の脂環式アミノ基であり、5又は6員環の脂環式アミノ基としては、例えば、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピロリジン-1-イル基、ピラゾリジン-1-イル基、イミダゾリジン-1-イル基、ピペリジン-1-イル基等が挙げられる。脂環式アミノ基は、脂環式アミノ基の結合手を有する窒素原子に加えて、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子(例えば、1個のヘテロ原子)を含んでいてもよい。脂環式アミノ基は、好ましくは、モルホリノ基である。
【0035】
アミノカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基及び脂環式アミノカルボニル基
アミノカルボニル基、モノアルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基及び脂環式アミノカルボニル基は、それぞれ、式:-CO-アミノ基、式:-CO-モノアルキルアミノ基、式:-CO-ジアルキルアミノ基及び式:-CO-脂環式アミノ基で表される基であり、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基及び脂環式アミノ基に関する説明は、上記の通りである。
【0036】
1以上の置換基
1以上の置換基は、好ましくは1~3個の置換基、より好ましくは1個又は2個の置換基を意味する。
【0037】
置換基群α
置換基群αは、以下の置換基で構成される。
(α-1)ハロゲン原子
(α-2)ニトリル基
(α-3)ニトロ基
(α-4)アミノ基
(α-5)アルキル基
(α-6)ハロアルキル基
(α-7)モノアルキルアミノ基
(α-8)ジアルキルアミノ基
(α-9)脂環式アミノ基
(α-10)アルキルオキシカルボニル基
(α-11)アミノカルボニル基
(α-12)モノアルキルアミノカルボニル基
(α-13)ジアルキルアミノカルボニル基
(α-14)脂環式アミノカルボニル基
(α-15)保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基
(α-16)保護基で保護されていてもよいチオール基
【0038】
置換基群β
置換基群βは、以下の置換基で構成される。
(β-1)式(i)で表される置換基
(β-2)式(ii)で表される置換基
【0039】
以下、置換基群α及びβについて説明する。
【0040】
(α-5)において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3、より一層好ましくは1又は2である。
【0041】
(α-6)において、ハロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3、より一層好ましくは1又は2である。ハロアルキル基が有するハロゲン原子の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2、より一層好ましくは1である。
【0042】
(α-15)保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基
ヒドロキシ基保護基は、目的の反応を行う際にはヒドロキシ基を保護することができ、目的の反応の終了後にはヒドロキシ基から脱離させることができるものであることが好ましい。ヒドロキシ基保護基としては、例えば、アルキルカルボニル型保護基、アリールカルボニル型保護基、アリールアルキル型保護基、アルキル型保護基、アリールアルキルオキシアルキル型保護基、アルキルオキシアルキル型保護基、シリル型保護基、オキシカルボニル型保護基、アセタール型保護基、アリール型保護基等が挙げられる。これらの保護基は、1以上のハロゲン原子を有していてもよい。
【0043】
アルキルカルボニル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキルカルボニル基が挙げられる。置換基は、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、フェニル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~6、より一層好ましくは炭素数1~4)のアルキル基、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~6、より一層好ましくは炭素数1~4)のアルキルオキシ基、炭素数2~11(好ましくは炭素数2~9、より好ましくは炭素数2~7、より一層好ましくは炭素数2~5)のアルキルオキシカルボニル基等から選択され得る。1以上の置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、イソプロパノイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アルキルカルボニル型保護基は、好ましくは、炭素数2~5のアルキルカルボニル基、より好ましくは、アセチル基又はピバロイル基であり、より一層好ましくは、アセチル基である。
【0044】
アリールカルボニル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数7~11のアリールカルボニル基等が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。1以上の置換基を有していてもよい炭素数7~11のアリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、4-ニトロベンゾイル基、4-メチルオキシベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基、4-フルオロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、4-ブロモベンゾイル基、4-フェニルベンゾイル基、4-メチルオキシカルボニルベンゾイル基等が挙げられる。
【0045】
アリールアルキル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数7~11のアリールアルキル基等が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。1以上の置換基を有していてもよい炭素数7~11のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、1-フェニルエチル基、ジフェニルメチル基、1,1-ジフェニルエチル基、ナフチルメチル基、トリチル基等が挙げられる。アリールアルキル型保護基は、好ましくは、ベンジル基である。
【0046】
アルキル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基等が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。アルキル型保護基は、好ましくは、1以上の置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、tert-ブチル基であり、より一層好ましくは、メチル基である。
【0047】
アリールアルキルオキシアルキル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数8~12のアリールアルキルオキシメチル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数9~13のアリールアルキルオキシエチル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数10~14のアリールアルキルオキシプロピル基等のアリールアルキルオキシアルキル基が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。アリールアルキルオキシアルキル型保護基は、例えば、1以上の置換基を有していてもよいベンジルオキシメチル基、好ましくは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基又はメチルオキシ基で置換されていてもよいベンジルオキシメチル基、より好ましくはベンジルオキシメチル基である。
【0048】
アルキルオキシアルキル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキルオキシメチル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~10のアルキルオキシエチル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数4~10のアルキルオキシプロピル基等のアルキルオキシアルキル基が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。アルキルオキシアルキル型保護基は、好ましくは、1以上の置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキルオキシメチル基、より好ましくは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチルオキシ基又はエチルオキシ基を有していてもよい炭素数2~6のアルキルオキシメチル基、より一層好ましくは、メチルオキシメチル基である。
【0049】
シリル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数7~11のアリールアルキル基及び1以上の置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基から選択される官能基を有するシリル基が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。シリル型保護基は、好ましくは、炭素数1~10のアルキル基及び炭素数6~10のアリール基から選択される官能基を有するシリル基、より好ましくは、炭素数1~5のアルキル基及びフェニル基から選択される官能基を有するシリル基、より一層好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基又はtert-ブチルジフェニルシリル基である。
【0050】
オキシカルボニル型保護基としては、例えば、1以上の置換基を有していてもよい炭素数2~10のアルキルオキシカルボニル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数3~10のアルケニルオキシカルボニル基、1以上の置換基を有していてもよい炭素数8~12のアリールアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。置換基の具体例は、アルキルカルボニル型保護基と同様である。オキシカルボニル型保護基は、好ましくは、炭素数2~6のアルキルオキシカルボニル基、炭素数3~6のアルケニルオキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基、より好ましく、メチルオキシメチル基、アリルオキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基である。
【0051】
アセタール型保護基としては、例えば、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0052】
アリール型保護基としては、例えば、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0053】
保護基で保護されたヒドロキシ基は、式:-O-Qで表される基であることが好ましい。Qは、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、ハロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアリールアルキル基を表す。式:-O-Qで表される基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8である。Qは、アルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルカルボニル基又はアリールアルキル基であることが好ましく、エチル基、テトラヒドロフラニル基、アセチル基又はベンジル基であることがより好ましい。
【0054】
(α-16)保護基で保護されていてもよいチオール基
チオール基保護基は、目的の反応を行う際にはチオール基を保護することができ、目的の反応の終了後にはチオール基から脱離させることができるものであることが好ましい。チオール基保護基としては、例えば、アルキルカルボニル型保護基、アリールカルボニル型保護基、アリールアルキル型保護基、アルキル型保護基、アリールアルキルオキシアルキル型保護基、アルキルオキシアルキル型保護基、シリル型保護基、オキシカルボニル型保護基、アセタール型保護基、アリール型保護基等が挙げられる。これらの保護基は、1以上のハロゲン原子を有していてもよい。これらの保護基に関する説明は、上記の通りである。
【0055】
保護基で保護されたチオール基は、式:-S-Qで表される基であることが好ましい。Qに関する説明は、上記の通りである。
【0056】
【0057】
式(i)において、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、ハロアリール基又は保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基を表す。保護基で保護されていてもよいヒドロキシ基は、上記式:-O-Qで表される基であることが好ましい。aは、0以上3以下である。
【0058】
【0059】
式(ii)において、V10は、アルキレン基、ハロアルキレン基、アリーレン基、ハロアリーレン基、ヘテロアリーレン基、ハロヘテロアリーレン基、エステル結合、エーテル結合又はカルボニル基を表す。アルキレン基及びハロアルキレン基の炭素数は、それぞれ、1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。アリーレン基及びハロアリーレン基の炭素数は、それぞれ、4~14であることが好ましく、6~14であることがより好ましい。ヘテロアリーレン基及びハロヘテロアリーレン基の炭素数は、それぞれ、4~14であることが好ましい。V10は、アルキレン基であることが好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがより好ましい。
【0060】
式(ii)において、bは、0又は1を表す。bは、1であることが好ましい。
【0061】
式(ii)において、W10は、アルキレン基、ハロアルキレン基、アリーレン基、ハロアリーレン基、ヘテロアリーレン基、ハロヘテロアリーレン基、エステル結合、エーテル結合又はカルボニル基を表す。W10は、ヘテロアリーレン基であることが好ましく、硫黄原子をヘテロ原子として含む5員環のヘテロアリーレン基であることがより好ましく、チエニレンであることがより一層好ましい。
【0062】
式(ii)において、cは、0又は1を表す。cは、1であることが好ましい。
【0063】
式(ii)において、X10は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群αから選択され得る。1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルオキシ基及びヘテロシクロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキルオキシ基及びヘテロシクロアルキルオキシ基から選択されることがより好ましく、フッ素原子、エチルオキシ基及びテトラヒドロフラニルオキシ基から選択されることがより一層好ましい。ヘテロシクロアルキルオキシ基は、酸素原子をヘテロ原子として含むことが好ましい。アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。
【0064】
X10は、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基であることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキルオキシ基又はヘテロシクロアルキルオキシ基を有するアリール基、或いは、非置換のヘテロアリール基であることがより好ましく、フッ素原子、エチルオキシ基又はテトラヒドロフラニルオキシ基を有するフェニル基、或いは、非置換のベンゾチオフェニル基であることがより一層好ましい。ヘテロシクロアルキルオキシ基は、酸素原子をヘテロ原子として含むことが好ましい。
【0065】
≪カルボン酸誘導体(I)≫
カルボン酸誘導体(I)は、下記式(I)で表される。
【0066】
【0067】
式(I)において、R1は、
(1)置換基を有していてもよいアルキル基、
(2)置換基を有していてもよいアルケニル基、
(3)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(4)置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、
(5)置換基を有していてもよいアリール基、
(6)置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
(7)置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、
(8)置換基を有していてもよいアリールアルケニル基
を表す。
【0068】
以下、官能基(1)~(8)について説明する。
【0069】
(1)置換基を有していてもよいアルキル基
アルキル基に関する説明は、上記の通りである。アルキル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0070】
(2)置換基を有していてもよいアルケニル基
アルケニル基に関する説明は、上記の通りである。アルケニル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0071】
(3)置換基を有していてもよいシクロアルキル基
シクロアルキル基に関する説明は、上記の通りである。シクロアルキル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0072】
(4)置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基
ヘテロシクロアルキル基に関する説明は、上記の通りである。ヘテロシクロアルキル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0073】
(5)置換基を有していてもよいアリール基
アリール基に関する説明は、上記の通りである。アリール基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0074】
(6)置換基を有していてもよいヘテロアリール基
ヘテロアリール基に関する説明は、上記の通りである。ヘテロアリール基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0075】
(7)置換基を有していてもよいアリールアルキル基
アリールアルキル基に関する説明は、上記の通りである。アリールアルキル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0076】
(8)置換基を有していてもよいアリールアルケニル基
アリールアルケニル基に関する説明は、上記の通りである。アリールアルケニル基は、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基が選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。
【0077】
官能基(5)(すなわち、置換基を有していてもよいアリール基)において、アリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(I)中の-CO-と結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子は、置換基を有していてもよい。
【0078】
官能基(6)(すなわち、置換基を有していてもよいヘテロアリール基)において、ヘテロアリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(I)中の-CO-と結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子又はヘテロ原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子又はヘテロ原子は置換基を有していてもよい。
【0079】
一実施形態において、式(I)におけるR1は、置換基を有していてもよいアルキル基、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキル基、より一層好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基である。
【0080】
一実施形態において、カルボン酸誘導体(I)は、下記式(Ia)で表されるカルボン酸誘導体(Ia)である。
【0081】
【0082】
式(Ia)において、nは、1又は2を表す。
【0083】
式(Ia)において、Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。アルキル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3である。アリール基は、好ましくは、フェニル基である。アルキル基及びアリール基は、それぞれ、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。アルキル基及びアリール基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基を選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のハロアルキル基、炭素数1~3のアルキルオキシ基及び炭素数1~3のハロアルキルオキシ基から選択されることがより好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基及び炭素数1~3のアルキルオキシ基から選択されることがより一層好ましい。
【0084】
式(Ia)において、n=1の場合、4個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、4個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、4個のRはすべてフェニル基である。
【0085】
式(Ia)において、n=2の場合、5個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、5個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、5個のRはすべてフェニル基である。
【0086】
カルボン酸誘導体(Ia)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、「Ac」はアセチル基を表す。
【0087】
【0088】
≪酸クロリド誘導体(II)≫
酸クロリド誘導体(II)は、下記式(II)で表される。
【0089】
【0090】
式(II)において、R1は、式(I)と同義である。R1に関する上記説明は、式(II)におけるR1にも適用される。
【0091】
一実施形態において、式(II)におけるR1は、置換基を有していてもよいアルキル基、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキル基、より一層好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基である。
【0092】
一実施形態において、酸クロリド誘導体(II)は、下記式(IIa)で表される酸クロリド誘導体(IIa)である。
【0093】
【0094】
式(IIa)において、nは、1又は2を表す。
【0095】
式(IIa)において、Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。アルキル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3である。アリール基は、好ましくは、フェニル基である。アルキル基及びアリール基は、それぞれ、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。アルキル基及びアリール基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基を選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のハロアルキル基、炭素数1~3のアルキルオキシ基及び炭素数1~3のハロアルキルオキシ基から選択されることがより好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基及び炭素数1~3のアルキルオキシ基から選択されることがより一層好ましい。
【0096】
式(IIa)において、n=1の場合、4個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、4個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、4個のRはすべてフェニル基である。
【0097】
式(IIa)において、n=2の場合、5個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、5個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、5個のRはすべてフェニル基である。
【0098】
酸クロリド誘導体(IIa)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、「Ac」はアセチル基を表す。
【0099】
【0100】
≪ケトン誘導体(III)≫
ケトン誘導体(III)は、下記式(III)で表される。
【0101】
【0102】
式(III)において、R1は、式(I)と同義である。R1に関する上記説明は、式(III)におけるR1にも適用される。
【0103】
式(III)において、R2は、
(1)置換基を有していてもよいアルキル基、
(2)置換基を有していてもよいアルケニル基、
(3)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(4)置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、
(5)置換基を有していてもよいアリール基、
(6)置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
(7)置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、
(8)置換基を有していてもよいアリールアルケニル基
を表す。
【0104】
官能基(1)~(8)は、式(I)と同義であり、官能基(1)~(8)に関する上記説明は、式(III)における官能基(1)~(8)にも適用される。
【0105】
官能基(5)(すなわち、置換基を有していてもよいアリール基)において、アリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(III)中の-CO-と結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子は、置換基を有していてもよい。
【0106】
官能基(6)(すなわち、置換基を有していてもよいヘテロアリール基)において、ヘテロアリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(III)中の-CO-と結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子又はヘテロ原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子又はヘテロ原子は置換基を有していてもよい。
【0107】
R2は、R1と同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、R1及びR2は、それぞれ独立して、官能基(1)~(8)から選択される。
【0108】
一実施形態において、R1は、官能基(1)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(1)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0109】
別の実施形態において、R1は、官能基(2)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(2)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0110】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(3)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(3)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0111】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(4)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(4)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0112】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(5)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(5)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0113】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(6)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(6)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0114】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(7)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(7)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0115】
さらに別の実施形態において、R1は、官能基(8)であり、R2は、官能基(1)~(8)のいずれかである。R1及びR2がともに官能基(8)である場合、R1及びR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0116】
R2は、下記式(iv)で表される官能基であることが好ましい。
【0117】
【0118】
式(iv)において、Y10は、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基又は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基を表す。アルキレン基の炭素数は、1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましい。アリーレン基の炭素数は、4~14であることが好ましく、6~14であることがより好ましい。ヘテロアリーレン基の炭素数は、4~14であることが好ましい。アルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、それぞれ、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群αから選択され得る。1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基及び炭素数1~3のアルキルオキシ基から選択されることがより好ましい。アルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。
【0119】
Y10は、置換基を有するアリーレン基であることが好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル基を有するアリーレン基であることがより好ましく、フッ素原子、塩素原子又はメチル基を有するフェニレン基であることがより一層好ましい。
【0120】
Y10は、式(III)中の-CO-と結合する炭素原子の両隣に位置する炭素原子は置換基を有さず、残りの炭素原子は置換基を有していてもよいアリーレン基、又は、式(III)中の-CO-と結合する炭素原子の両隣に位置する炭素原子若しくはヘテロ原子は置換基を有さず、残りの炭素原子若しくはヘテロ原子は置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基であることが好ましい。Y10は、式(III)中の-CO-と結合する炭素原子に対してオルト位には置換基を有さず、メタ位及び/又はパラ位には置換基を有していてもよいフェニレン基であることがより好ましい。
【0121】
式(iv)において、V10、W10、X10、b及びcは、それぞれ、式(ii)と同義である。
【0122】
あるいは、R2は、下記式(vi)で表される官能基であることが好ましい。
【0123】
【0124】
式(vi)において、R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基の保護基を表す。アミノ基の保護基としては、カルバメート系、アシル系、アミド系、スルホンアミド系、フタロイル基等、いずれの保護基を用いてもよい。カルバメート系の保護基としては、例えば、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられる。アシル系の保護基としては、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。アミド系の保護基としては、例えば、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。スルホンアミド系の保護基としては、例えば、p-トルエンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基等が挙げられる。アミノ基の保護基は、アシル系又はアミド系の保護基であることが好ましい。アミノ基の保護基は、ピバロイル基又はトリフルオロアセチル基であることがより好ましい。R41及びR42は、互いに結合してフタロイル基等のアミノ基の保護基を形成していてもよい。R2が式(vi)の構造を有していると、ケトン誘導体(III)をレムデシビルの中間体として好適に用いることができる。
【0125】
一実施形態において、式(III)におけるR1は、置換基を有していてもよいアルキル基、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、より好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~16のアルキル基、より一層好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基であり、R2は、上記式(iv)で表される官能基又は上記式(vi)で表される官能基である。
【0126】
一実施形態において、ケトン誘導体(III)は、下記式(IIIa)で表されるケトン誘導体(IIIa)である。
【0127】
【0128】
式(IIIa)において、nは、1又は2を表す。
【0129】
式(IIIa)において、Rは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。アルキル基及びアリール基に関する説明は、上記の通りである。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8、より一層好ましくは1~6、より一層好ましくは1~4、より一層好ましくは1~3である。アリール基は、好ましくは、フェニル基である。アルキル基及びアリール基は、それぞれ、無置換であってもよいし、1以上の置換基を有していてもよい。アルキル基及びアリール基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。1以上の置換基は、それぞれ独立して、置換基群α及びβから選択され得る。置換基群αから1以上の置換基を選択されるとともに、置換基群βから1以上の置換基が選択されてもよい。1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のハロアルキル基、炭素数1~3のアルキルオキシ基及び炭素数1~3のハロアルキルオキシ基から選択されることがより好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基及び炭素数1~3のアルキルオキシ基から選択されることがより一層好ましい。
【0130】
式(IIIa)において、n=1の場合、4個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、4個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、4個のRはすべてフェニル基である。
【0131】
式(IIIa)において、n=2の場合、5個のRは、異なっていてもよいが、式:-CO-Rで表されるヒドロキシ基保護基の効率的な導入及び除去の観点から、同一であることが好ましい。一実施形態において、5個のRはすべてメチル基である。別の実施形態において、5個のRはすべてフェニル基である。
【0132】
ケトン誘導体(IIIa)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。なお、「Ac」はアセチル基を表す。
【0133】
【0134】
一実施形態において、式(IIIa)におけるR2は、上記式(iv)で表される官能基又は上記式(vi)で表される官能基である。
【0135】
式(III)又は(IIIa)におけるR2は、ケトン誘導体(III)又は(IIIa)をSGLT-2阻害剤又はその誘導体の製造原料として用いる観点から、SGLT-2阻害剤が有する官能基と同一であるか、SGLT-2阻害剤が有する官能基を誘導化した官能基であることが好ましい。
【0136】
SGLT-2阻害剤は、抗糖尿病薬として有用である。なお、「SGLT-2」は、ナトリウム-グルコース共輸送担体-2を意味する。SGLT-2阻害剤としては、例えば、カナグリフロジン(1-(β-D-グリコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン)、エンパグリフロジン((1S)-1,5-アンヒドロ-1-C-{4-クロロ-3-[(4-{[(3S)-オキソラン-3-イル]オキシ}フェニル)メチル]フェニル}-D-グルシトール)、イプラグリフロジン((1S)-1,5-アンヒドロ-1-C-{3-[(1-ベンゾチオフェン-2-イル)メチル]-4-フルオロフェニル}-D-グルシトール-(2S)-ピロリジン-2-カルボン酸)、ダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)-2-[4-クロロ-3-(4-エチルオキシベンジル)フェニル]-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)等が知られている。
【0137】
カナグリフロジン、エンパグリフロジン、イプラグリフロジン及びダパグリフロジンをはじめとするSGLT-2阻害剤は、下記式(A)で表される官能基を有する。
【0138】
したがって、式(III)又は(IIIa)におけるR2は、下記式(A)で表される官能基であることが好ましい。
【0139】
【0140】
式(A)において、dは、0~4の整数を表す。dは、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2であり、より一層好ましくは1である。dが2以上である場合、d個のRaは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0141】
式(A)において、d個のRaは、それぞれ独立して、置換基群αから選択され得る。d個のRaは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基及びハロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基及び炭素数1~3のアルキルオキシ基から選択されることがより好ましい。
【0142】
式(A)において、Ar’は、下記式(v)で表される官能基である。
【0143】
【0144】
式(v)において、W10、X10及びcは、それぞれ、式(ii)と同義である。
【0145】
式(A)において、Ar’は、以下の式(Ar’-1)、(Ar’-2)又は(Ar’-3)で表される官能基であることが好ましい。
【0146】
【0147】
式(Ar’-1)、(Ar’-2)及び(Ar’-3)において、pは、0~5の整数である。pは、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、より一層好ましくは0又は1である。
【0148】
式(Ar’-1)、(Ar’-2)及び(Ar’-3)において、p個のRbは、それぞれ独立して、置換基群α、置換基群αから選択される1以上の置換基を有していてもよいアリール基、及び、置換基群αから選択される1以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基から選択され得る。p個のRbは、それぞれ独立して、置換基群α、及び、置換基群αから選択される1以上の置換基を有していてもよいアリール基から選択されることが好ましい。置換基群αから選択される1以上の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルオキシ基及びヘテロシクロアルキルチオ基から選択されることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルキルオキシ基及びヘテロシクロアルキルオキシ基から選択されることがより好ましく、フッ素原子、エチルオキシ基及びテトラヒドロフラニルオキシ基から選択されることがより一層好ましい。アリール基及びヘテロアリール基がそれぞれ有し得る置換基の数は、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2である。
【0149】
pが2以上である場合、p個のRbは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0150】
式(Ar’-1)において、pは、好ましくは1であり、Rbは、好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基であり、より好ましくは、ハロゲン原子を有するフェニル基であり、より一層好ましくは、フッ素原子を有するフェニル基である。非置換又は置換のフェニル基が結合している位置は、好ましくは、チオフェン環の2位である。ハロゲン原子を有するフェニル基において、ハロゲン原子が結合している位置は、好ましくは、ベンゼン環の4位である。
【0151】
式(Ar’-2)において、pは、好ましくは0である。
【0152】
式(Ar’-3)において、pは、好ましくは1であり、Rbは、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルオキシ基である。置換基を有していてもよいアルキルオキシ基は、好ましくは、炭素数1~3のアルキルオキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基である。置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルオキシ基は、好ましくは、テトラヒドロフラニルオキシ基である。置換基を有していてもよいアルキルオキシ基又は置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキルオキシ基が結合している位置は、好ましくは、ベンゼン環の4位である。
【0153】
d=1である場合、式(A)で表される官能基は、下記式(B)で表される官能基であることが好ましい。
【0154】
【0155】
式(B)において、Ra及びAr’は、式(A)と同義である。
【0156】
式(A)又は(B)で表される官能基は、下記式(Ar-1)、(Ar-2)、(Ar-3)又は(Ar-4)で表される官能基であることが好ましい。なお、「Et」は、エチル基を表す。
【0157】
【0158】
一実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが1であり、4個のRが同一であり(例えば、4個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-1)で表される官能基である化合物である。
【0159】
別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが2であり、5個のRが同一であり(例えば、5個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-1)で表される官能基である化合物である。
【0160】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが1であり、4個のRが同一であり(例えば、4個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-2)で表される官能基である化合物である。
【0161】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが2であり、5個のRが同一であり(例えば、5個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-2)で表される官能基である化合物である。
【0162】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが1であり、4個のRが同一であり(例えば、4個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-3)で表される官能基である化合物である。
【0163】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが2であり、5個のRが同一であり(例えば、5個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-3)で表される官能基である化合物である。
【0164】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが1であり、4個のRが同一であり(例えば、4個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-4)で表される官能基である化合物である。
【0165】
さらに別の実施形態において、ケトン誘導体(IIIa)は、nが2であり、5個のRが同一であり(例えば、5個のRがすべてメチル基又はフェニル基であり)、R2が式(Ar-4)で表される官能基である化合物である。
【0166】
≪グリニャール試薬(IV)≫
グリニャール試薬(IV)は、下記式(IVa)で表されるグリニャール試薬(IVa)及び下記式(IVb)で表されるグリニャール試薬(IVb)から選択される。
【0167】
【0168】
【0169】
式(IVa)及び(IVb)において、R2は、式(III)と同義である。すなわち、式(IVa)及び(IVb)において、R2は、
(1)置換基を有していてもよいアルキル基、
(2)置換基を有していてもよいアルケニル基、
(3)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(4)置換基を有していてもよいヘテロシクロアルキル基、
(5)置換基を有していてもよいアリール基、
(6)置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
(7)置換基を有していてもよいアリールアルキル基、又は、
(8)置換基を有していてもよいアリールアルケニル基
を表す。R2に関する上記説明は、式(IVa)及び(IVb)におけるR2にも適用される。
【0170】
官能基(5)(すなわち、置換基を有していてもよいアリール基)において、アリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(IVa)又は(IVb)中のMgと結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子は、置換基を有していてもよい。
【0171】
官能基(6)(すなわち、置換基を有していてもよいヘテロアリール基)において、ヘテロアリール基の結合手を有する炭素原子(すなわち、式(IVa)又は(IVb)中のMgと結合する炭素原子)の両隣に位置する炭素原子又はヘテロ原子は、置換基を有さないことが好ましい。残りの炭素原子又はヘテロ原子は置換基を有していてもよい。
【0172】
式(IVa)及び(IVb)において、Xは、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択されることが好ましく、塩素原子及び臭素原子から選択されることがより好ましく、臭素原子であることがより一層好ましい。
【0173】
≪酸クロリド誘導体(II)を製造する方法≫
酸クロリド誘導体(II)を製造する方法は、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを接触させる工程を含む。
【0174】
カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを接触させることにより、酸クロリド誘導体(II)を生じさせることができる。
【0175】
カルボン酸誘導体(I)及びクロル化剤は、それぞれ、市販品であってもよいし、常法に従って製造してもよい。
【0176】
一実施形態において、酸クロリド誘導体(II)は、n=1である酸クロリド誘導体(IIa)である。n=1である酸クロリド誘導体(IIa)は、n=1であるカルボン酸誘導体(Ia)とクロル化剤とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
【0177】
別の実施形態において、酸クロリド誘導体(II)は、n=2である酸クロリド誘導体(IIa)である。n=2である酸クロリド誘導体(IIa)は、n=2であるカルボン酸誘導体(Ia)とクロル化剤とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
【0178】
クロル化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル、三塩化リン、オキシ塩化リン、五塩化リン等が挙げられる。これらのうち、塩化チオニル及び塩化オキサリルが好ましく、塩化オキサリルがより好ましい。
【0179】
クロル化剤の使用量は、カルボン酸誘導体(I) 1モルに対して、例えば0.2モル以上10モル以下、好ましくは0.5モル以上5モル以下、より好ましくは0.8モル以上3モル以下である。
【0180】
カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤との接触は、溶媒中で行われることが好ましい。カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを溶媒中で混合することにより、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを溶媒中で接触させることができる。溶媒は、有機溶媒から選択されることが好ましい。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
【0181】
カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤との接触に使用される溶媒の使用量は、カルボン酸誘導体(I) 1gに対して、例えば1mL以上100mL以下、好ましくは3mL以上30mL以下、より好ましくは4mL以上20mL以下である。
【0182】
カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを、例えば-10℃以上50℃以下、好ましくは0℃以上40℃以下、より好ましくは-10℃以上30℃以下の温度で、例えば0.5時間以上48時間以下、好ましくは1時間以上24時間以下、より好ましくは1時間以上12時間以下、接触させることにより、酸クロリド誘導体(II)を得ることができる。カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤との接触は、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0183】
カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤との接触は、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で行うことが好ましい。カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とDMFとを溶媒中で混合することにより、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とをDMFの存在下で接触させることができる。カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを触媒量のDMFの存在下で接触させることにより、より穏和な条件で酸クロリド誘導体(II)を生じさせることができる。
【0184】
DMFの使用量は、カルボン酸誘導体(I) 1モルに対して、例えば0.005モル以上0.1モル以下、好ましくは0.01モル以上0.1モル以下、より好ましくは0.01モル以上0.05モル以下である。
【0185】
得られた酸クロリド誘導体(II)は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の常法に従って単離した後、次工程に使用してもよいし、単離することなく次工程に使用してもよい。例えば、得られた酸クロリド誘導体(II)は、濃縮残渣として未精製のまま次工程で使用してもよい。
【0186】
酸クロリド誘導体(II)の構造は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光分析により確認することができる。
【0187】
≪ケトン誘導体(III)を製造する方法≫
ケトン誘導体(III)を製造する方法は、酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを、銅塩の存在下で接触させる工程を含む。
【0188】
酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを、銅塩の存在下で接触させることにより、ケトン誘導体(III)を生じさせることができる。
【0189】
酸クロリド誘導体(II)及びグリニャール試薬(IV)は、それぞれ、市販品であってもよいし、常法に従って製造してもよい。例えば、酸クロリド誘導体(II)は、カルボン酸誘導体(I)とクロル化剤とを接触させる工程を含む上記方法により製造することができる。
【0190】
一実施形態において、ケトン誘導体(III)は、n=1であるケトン誘導体(IIIa)である。n=1であるケトン誘導体(IIIa)は、n=1である酸クロリド誘導体(IIa)とグリニャール試薬(IV)とを、銅塩の存在下で接触させる工程を含む方法により製造することができる。
【0191】
別の実施形態において、ケトン誘導体(III)は、n=2であるケトン誘導体(IIIa)である。n=2であるケトン誘導体(IIIa)は、n=2である酸クロリド誘導体(IIa)とグリニャール試薬(IV)とを、銅塩の存在下で接触させる工程を含む方法により製造することができる。
【0192】
グリニャール試薬(IV)としては、グリニャール試薬(IVa)又は(IVb)の一方を使用してもよいし、グリニャール試薬(IVa)及び(IVb)の両方を使用してもよい。グリニャール試薬(IVa)及び(IVb)の両方を使用する場合、グリニャール試薬(IVb)の使用量は、グリニャール試薬(IVa)及び(IVb)の合計質量を基準として、例えば10質量%以上90質量%以下である。
【0193】
グリニャール試薬(IVa)は、市販品であってもよいし、常法に従って製造してもよい。
【0194】
グリニャール試薬(IVb)は、ターボグリニャール試薬と呼ばれる。グリニャール試薬(IVb)は、市販品であってもよいし、常法に従って製造してもよい。グリニャール試薬(IVb)は、例えば、不活性化ガス(例えば、窒素、アルゴン等)に置換した反応容器において、リチウム塩の存在下、マグネシウムと、式:R2X[式中、R2及びXは、上記と同義である。]で表されるハロゲン有機化合物とを、有機溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0195】
銅塩は、例えば、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl2)、臭化銅(I)(CuBr)、臭化銅(II)(CuBr2)、ヨウ化銅(I)(CuI)、ヨウ化銅(II)(CuI2)、シアン化銅(I)(CuCN)、3-メチルサリチル酸銅(I)、メシチレン銅(I)(MesCu)、イソプロポキシ銅(I)(iPrOCu)、酢酸銅(I)(CuOAc)、酢酸銅(II)(Cu(OAc)2)、硫酸銅(I)(Cu2SO4)、硫酸銅(II)(CuSO4)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、ピバル酸銅(I)(CuOPiv)、ピバル酸銅(II)(Cu(OPiv)2)、硫黄(S)を含む銅塩等から選択され得る。銅塩は、CuCl、CuBr、CuI、CuCN、CuCl2、CuBr2、CuI2、Cu2O、CuO、CuOAc、Cu(OAc)2、CuOPiv、Cu(OPiv)2、Cu2SO4及びCuSO4から選択されることが好ましく、CuCl、CuI、CuBr及びCuCNから選択されることがより好ましい。1種の銅塩を単独で使用してもよいし、2種以上の銅塩を併用してもよい。
【0196】
硫黄(S)を含む銅塩としては、例えば、チオフェン-2-カルボン酸銅(I)(CuTC)等が挙げられる。Sは、Cuとの親和性が高く、銅塩において、SがCuに配位し易い。この配位により、Cuが活性化され、収率が高まる。
【0197】
銅塩に含まれる銅原子の価数は、通常1価又は2価であるが、好ましくは1価である。銅原子の価数が1価である銅塩は、触媒作用が優れている。銅原子の価数が1価である銅塩のうち、CuCN、CuCl、CuBr、CuI及びCuTCは、特に触媒作用が優れている。したがって、銅塩は、CuCN、CuCl、CuBr、CuI及びCuTCから選択されることが好ましい。
【0198】
銅塩の存在下での酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)との接触は、溶媒中で行われることが好ましい。酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)と銅塩とを溶媒中で混合することにより、酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを銅塩の存在下で接触させることができる。溶媒は、有機溶媒から選択されることが好ましい。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等が好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン等がより好ましい。
【0199】
銅塩の存在下での酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)との接触に使用される溶媒の使用量は、酸クロリド誘導体(II) 1gに対して、例えば1mL以上100mL以下、好ましくは3mL以上20mL以下、より好ましくは4mL以上20mL以下である。
【0200】
酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを銅塩の存在下で接触させる際、温度及び時間は、ケトン誘導体(III)を生じる範囲で適宜調整することができる。銅塩の存在下での酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)との接触は、例えば、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0201】
ケトン誘導体(III)は、常法に従って単離することができる。例えば、酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを、銅塩の存在下で接触させる工程を行った後、該工程により得られた反応混合物に水等のクエンチ液を加えて反応をクエンチし、必要に応じて反応混合物をろ過し、必要に応じてろ液を酢酸エチル等の有機溶媒で洗浄し、必要に応じてろ液を濃縮し、粗製物を得る。粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等で精製することにより、ケトン誘導体(III)を単離することができる。
【0202】
ケトン誘導体(III)の構造は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光分析により確認することができる。
【0203】
以下、酸クロリド誘導体(II)とグリニャール試薬(IV)とを銅塩の存在下で接触させる工程(以下「工程S1」という。)の実施形態について説明する。
【0204】
<第1実施形態>
第1実施形態では、工程S1において、グリニャール試薬(IV)と銅塩とを接触させて有機銅試薬を形成させた後、有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを接触させる。これにより、有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とが反応してケトン誘導体(III)が形成される。第1実施形態によれば、ケトン誘導体(III)の収率を高めることができる。なお、有機銅試薬は、organocuprate reagentと呼ばれる。
【0205】
グリニャール試薬(IV)と銅塩とを接触させる際、グリニャール試薬(IV)に銅塩を添加して混合してもよいし、銅塩にグリニャール試薬(IV)を添加して混合してもよい。
【0206】
グリニャール試薬(IV)と銅塩との接触は、溶媒中で行うことが好ましい。グリニャール試薬(IV)と銅塩とを溶媒中で混合することにより、グリニャール試薬(IV)と銅塩とを溶媒中で接触させることができる。溶媒は、有機溶媒から選択されることが好ましい。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒の具体例は、上記と同様である。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びヘプタンから選択されることが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びトルエンから選択されることがより好ましい。
【0207】
グリニャール試薬(IV)と銅塩とを溶媒中で接触させる際、グリニャール試薬(IV)及び有機溶媒を含む溶液に、銅塩及び有機溶媒を含む懸濁液を添加して混合してもよいし、銅塩及び有機溶媒を含む懸濁液に、グリニャール試薬(IV)及び有機溶媒を含む溶液を添加して混合してもよい。
【0208】
グリニャール試薬(IV)と銅塩との接触は、例えば0℃以上50℃以下、好ましくは5℃以上40℃以下、より好ましくは10℃以上30℃以下の温度で行うことができる。
【0209】
グリニャール試薬(IV)と銅塩との接触は、例えば0.1時間以上2時間以下、好ましくは0.1時間以上1.5時間以下、より好ましくは0.1時間以上1時間以下の時間をかけて行うことができる。
【0210】
グリニャール試薬(IV)と銅塩との接触は、例えば、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0211】
グリニャール試薬(IV)と銅塩との接触に関する上記条件は、適宜組み合わせることができる。
【0212】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを接触させる際、有機銅試薬に酸クロリド誘導体(II)を添加して混合してもよいし、酸クロリド誘導体(II)に有機銅試薬を添加して混合してもよい。
【0213】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との接触は、溶媒中で行うことが好ましい。有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを溶媒中で混合することにより、有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを溶媒中で接触させることができる。溶媒は、有機溶媒から選択されることが好ましい。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒の具体例は、上記と同様である。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びヘプタンから選択されることが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びトルエンから選択されることがより好ましい。
【0214】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とを溶媒中で接触させる際、有機銅試薬及び有機溶媒を含む溶液に、酸クロリド誘導体(II)及び有機溶媒を含む溶液を添加して混合してもよいし、酸クロリド誘導体(II)及び有機溶媒を含む溶液に、有機銅試薬及び有機溶媒を含む溶液を添加して混合してもよい。
【0215】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との接触は、例えば-20℃以上50℃以下、好ましくは-10℃以上40℃以下、より好ましくは0℃以上30℃以下の温度で行うことができる。
【0216】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との接触は、例えば0.05時間以上2時間以下、好ましくは0.05時間以上1時間以下、より好ましくは0.05時間以上0.5時間以下の時間をかけて行うことができる。
【0217】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との接触は、例えば、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0218】
有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との接触に関する上記条件は、適宜組み合わせることができる。
【0219】
第1実施形態におけるグリニャール試薬(IV)の使用量は、酸クロリド誘導体(II) 1モルに対して、例えば0.5モル以上10モル以下、好ましくは0.8モル以上5モル以下、より好ましくは1モル以上3モル以下である。グリニャール試薬(IV)の使用量は、1種のグリニャール試薬を使用する場合には当該1種のグリニャール試薬の使用量を意味し、2種以上のグリニャール試薬を使用する場合には当該2種以上のグリニャール試薬の合計使用量を意味する。
【0220】
第1実施形態における銅塩の使用量は、グリニャール試薬(IV) 1モルに対して、例えば0.5モル以上2モル以下、好ましくは0.7モル以上1.5モル以下、より好ましくは0.8モル以上1.5モル以下である。銅塩の使用量は、1種の銅塩を使用する場合には当該1種の銅塩の使用量を意味し、2種以上の銅塩を使用する場合には当該2種以上の銅塩の合計使用量を意味する。
【0221】
<第2実施形態>
第2実施形態では、工程S1において、酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合し、得られた混合物にグリニャール試薬(IV)を添加する。混合物にグリニャール試薬(IV)を添加すると、グリニャール試薬(IV)と銅塩とが反応して有機銅試薬が形成され、形成された有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)とが反応してケトン誘導体(III)が形成される。第2実施形態によれば、第1実施形態よりも少ない銅塩及びグリニャール試薬(IV)の使用量で、ケトン誘導体(III)を製造することができる。
【0222】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合する際、酸クロリド誘導体(II)に銅塩を添加して混合してもよいし、銅塩に酸クロリド誘導体(II)を添加して混合してもよい。
【0223】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合する際、酸クロリド誘導体(II)及び銅塩のうち一方を他方に添加する際、添加は滴下により行ってもよい。
【0224】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩との混合は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒は、有機溶媒から選択されることが好ましい。1種の有機溶媒を単独で使用してもよいし、2種以上の有機溶媒の混合溶媒を使用してもよい。有機溶媒の具体例は、上記と同様である。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びヘプタンから選択されることが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びトルエンから選択されることがより好ましい。
【0225】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを溶媒中で混合する際、酸クロリド誘導体(II)及び有機溶媒を含む溶液に、銅塩及び有機溶媒を含む懸濁液を添加して混合してもよいし、銅塩及び有機溶媒を含む懸濁液に、酸クロリド誘導体(II)及び有機溶媒を含む溶液を添加して混合してもよい。
【0226】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩との混合は、例えば-30℃以上50℃以下、好ましくは-20℃以上40℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下の温度で行うことができる。
【0227】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩との混合は、例えば0.01時間以上3時間以下、好ましくは0.02時間以上2時間以下、より好ましくは0.05時間以上2時間以下の時間をかけて行うことができる。
【0228】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩との混合は、例えば、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0229】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩との混合に関する上記条件は、適宜組み合わせることができる。
【0230】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合することにより得られた混合物にグリニャール試薬(IV)を添加する際、混合物に、グリニャール試薬(IV)及び有機溶媒を含む溶液を添加してもよい。有機溶媒の具体例は、上記と同様である。有機溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びヘプタンから選択されることが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチル-テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びトルエンから選択されることがより好ましい。
【0231】
酸クロリド誘導体(II)と銅塩とを混合することにより得られた混合物にグリニャール試薬(IV)を添加する際、混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加は、滴下により行うことが好ましい。混合物にグリニャール試薬(IV)を添加すると、グリニャール試薬(IV)と銅塩とが反応して有機銅試薬が形成され、形成された有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)と反応してケトン誘導体(III)が形成される。形成された有機銅試薬と酸クロリド誘導体(II)との反応が完了する前に、追加のグリニャール試薬(IV)が添加されると、添加された追加のグリニャール試薬(IV)と、形成されたケトン誘導体(III)との反応(過反応)が生じるおそれがある。混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加を滴下により行うことにより、このような過反応を防止することができる。
【0232】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加は、例えば-50℃以上-50℃以下、好ましくは-30℃以上30℃以下、より好ましくは-30℃以上20℃以下の温度で行うことができる。
【0233】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加は、例えば0.5時間以上24時間以下、好ましくは1時間以上17時間以下、より好ましくは1時間以上17時間以下の時間をかけて行うことができる。
【0234】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加は、例えば、不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下)で行うことができる。
【0235】
混合物へのグリニャール試薬(IV)の添加に関する上記条件は、適宜組み合わせることができる。
【0236】
第2実施形態におけるグリニャール試薬(IV)の使用量は、酸クロリド誘導体(II) 1モルに対して、例えば0.5モル以上3モル以下、好ましくは0.8モル以上2モル以下、より好ましくは1モル以上2モル以下である。グリニャール試薬(IV)の使用量は、1種のグリニャール試薬を使用する場合には当該1種のグリニャール試薬の使用量を意味し、2種以上のグリニャール試薬を使用する場合には当該2種以上のグリニャール試薬の合計使用量を意味する。
【0237】
第2実施形態における銅塩の使用量は、グリニャール試薬(IV) 1モルに対して、例えば0.005モル以上1モル以下、好ましくは0.005モル以上0.2モル以下、より好ましくは0.01モル以上0.1モル以下である。銅塩の使用量は、1種の銅塩を使用する場合には当該1種の銅塩の使用量を意味し、2種以上の銅塩を使用する場合には当該2種以上の銅塩の合計使用量を意味する。
【実施例0238】
<製造例1>
以下の反応式に従って、(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,6-テトラアセトキシ-5-ヒドロキシヘキサン酸(XVIa)を製造した。
【0239】
【0240】
d-(+)-グルコノ-1,5-ラクトン(I)(10g,0.056mol,1.00当量)及び無水酢酸(Ac2O)(IIa)(50.0mL,0.531mol,9.46当量)の懸濁液に、ZnCl2(4g,0.0029mol,0.52当量)を20~25℃の温度で5分間かけてゆっくりと加えた。次いで、反応混合物を20~25℃の温度で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(300mL,30倍容量)の添加により反応をクエンチし、16時間撹拌した。白色の結晶の形成が、反応塊で観察された。形成された結晶を濾過し、水(25mL×2)で洗浄した。湿った化合物を真空引きにより40~45℃で4時間乾燥させて、13.0g(収率64%)の(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,6-テトラアセトキシ-5-ヒドロキシヘキサン酸(XVIa)を白色固体として得た。
【0241】
得られた(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,6-テトラアセトキシ-5-ヒドロキシヘキサン酸(XVIa)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6,30℃) δ(ppm):5.65-5.55(m,2H),5.15-5.05(m,2H),4.00-3.88(m,2H),3.76(dt,J=11.8,5.8Hz,1H),2.09(s,3H),2.02(s,3H),2.00(s,6H).
【0242】
<製造例2>
以下の反応式に従って、(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)を製造した。
【0243】
【0244】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,6-テトラアセトキシ-5-ヒドロキシヘキサン酸(XVIa)(5g,13.72mmol,1.00当量)及び無水酢酸(Ac2O)(IIa)(20mL,4倍容量)の溶液に、ZnCl2(1.80g,13.17mol,0.96当量)を20~25℃の温度でゆっくりと加えた。次いで、反応混合物を20~25℃の温度で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(50mL)の添加により反応をクエンチした。反応塊を酢酸エチル(EtOAc)(50mL×2)で抽出し、有機層を水(50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50mL)及びブライン溶液(50mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒を真空引きにより除去して、粗化合物を得た。粗化合物をn-ヘキサン/酢酸エチル(50mL,比率80/20)でトリチュレーションして精製した。得られた結晶を濾過し、ヘキサン(25mL×2)で洗浄した。湿った化合物を真空引きにより40~45℃の温度で4時間乾燥させ、5.0g(収率89%)の(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)を白色固体として得た。
【0245】
得られた(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6,30℃) δ(ppm):5.53(dd,J=5.4,3.4Hz,1H),5.36(t,J=5.6Hz,1H),5.16(d,J=3.4Hz,1H),4.94(td,J=6.0,3.8Hz,1H),4.24(dd,J=12.2,3.7Hz,1H),4.08(dd,J=12.2,6.2Hz,1H),2.07(s,3H),2.02(s,3H),1.98(s,3H),1.97(s,3H),1.95(s,3H),1.87(s,1H).
【0246】
<実施例1>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)を製造した。
【0247】
【0248】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(0.25g,0.615mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(2.5mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサル(COCl)2(0.312g,2.46mmol,4.0当量)を室温で加えた。この溶液を、アルゴン雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、ジクロロメタン(2.5mL)を使用して、3回、共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0249】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(60mg,2.46mmol,4当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(3.5mL,14倍容量)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、2-(5-ブロモ-2-メチルベンジル)-5-(4-フルオロフェニル)チオフェン(VIII)(444mg,1.23mmol,2当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃の温度で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(1mL×2)を使用して、反応混合物を、CuCN(110mg,1.23mmol,2当量)及びTHF(1mL,4倍容量)の懸濁液が入った別のシュレンク管に室温で移し、10分間維持した。こうして、有機銅試薬(organocuprate reagent)を調製した。
【0250】
上記で調製した有機銅試薬に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×2)を、室温で5分以内に加えた。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.5mL,2倍容量)の添加により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物を濾過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、0.27g(収率66%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)をオフホワイトの固体として得た。
【0251】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,30℃) δ(ppm):7.80(d,J=1.7Hz,1H),7.73(dd,J=7.9,1.9Hz,1H),7.48-7.45(m,2H),7.28(d,J=8.0Hz,1H),7.04-6.99(m,3H),6.65(d,J=3.6Hz,1H),6.09(d,J=5.1Hz,1H),5.76-5.65(m,1H),5.48(dd,J=6.9,4.4Hz,1H),5.13-5.07(m,1H),4.30(dd,J=12.4,2.9Hz,1H),4.16(s,2H),4.08(dd,J=12.4,5.9Hz,1H),2.38(s,3H),2.13(s,3H),2.04(s,3H),2.04(s,3H),2.03(s,3H),1.94(s,3H);
13C{1H} NMR(101MHz,CDCl3,30℃) δ(ppm):192.63,170.67,169.84,169.72,169.61,169.47,162.10(d,1JC-F=248.5Hz),143.47,142.20,141.78,138.95,133.03,130.98,130.65(d,4JC-F=3.5Hz),129.62,127.13,127.10(d,3JC-F=7.5Hz),126.22,122.71,115.73(d,2JC-F=21.7Hz),72.37,69.30,68.68,68.66,61.71,33.97,29.68,20.75,20.53,20.45,20.34,19.87.
【0252】
<実施例2>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)を製造した。
【0253】
【0254】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(0.30g,0.738mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(3.0mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサリル(COCl)2(0.375g,2.95mmol,4.0当量)を室温で加えた。この溶液を、アルゴン雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(3.0mL)を使用して、3回、共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0255】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(38mg,1.536mmol,2.08当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(4.2mL,14倍容量)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、2-(5-ブロモ-2-メチルベンジル)-5-(4-フルオロフェニル)チオフェン(VIII)(277mg,0.768mmol,1.04当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(1mL×2)を使用して、反応混合物を別のシュレンク管に移した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0256】
CuCN(4mg,0.0369mmol,0.05当量)及びTHF(1mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×2)を-15℃で5分間かけて滴下により加えた。次いで、上記で調製したグリニャール試薬を-15℃で70分間かけて滴下により加え、-15℃で1時間維持した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.6mL,2倍容量)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物を濾過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、0.20g(収率41%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)をオフホワイトの固体として得た。
【0257】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,30℃) δ(ppm):7.80(d,J=1.7Hz,1H),7.73(dd,J=7.9,1.9Hz,1H),7.48-7.45(m,2H),7.28(d,J=8.0Hz,1H),7.04-6.99(m,3H),6.65(d,J=3.6Hz,1H),6.09(d,J=5.1Hz,1H),5.76-5.65(m,1H),5.48(dd,J=6.9,4.4Hz,1H),5.13-5.07(m,1H),4.30(dd,J=12.4,2.9Hz,1H),4.16(s,2H),4.08(dd,J=12.4,5.9Hz,1H),2.38(s,3H),2.13(s,3H),2.04(s,3H),2.04(s,3H),2.03(s,3H),1.94(s,3H).
13C{1H} NMR(101MHz,CDCl3,30℃) δ(ppm):192.63,170.67,169.84,169.72,169.61,169.47,162.10(d,1JC-F=248.5Hz),143.47,142.20,141.78,138.95,133.03,130.98,130.65(d,4JC-F=3.5Hz),129.62,127.13,127.10(d,3JC-F=7.5Hz),126.22,122.71,115.73(d,2JC-F=21.7Hz),72.37,69.30,68.68,68.66,61.71,33.97,29.68,20.75,20.53,20.45,20.34,19.87.
【0258】
<実施例3>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)を製造した。
【0259】
【0260】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(1.5g,3.691mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(15mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサル(COCl)2(930mg,7.382mmol,2.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(2.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0261】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(89mg,7.382mmol,2.0当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(13mL,10倍体積)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、2-(5-ブロモ-2-メチルベンジル)-5-(4-フルオロフェニル)チオフェン(VIII)(1.3g,3.691mmol,1.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流し、室温まで冷却した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0262】
CuCN(330mg,3.691mmol,1.0当量)及びTHF(3mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×1)を-15℃で加えた。次いで、反応混合物に、上記で調製したグリニャール試薬を-15℃で30分間かけて滴下し、-15℃で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.5mL,2倍体積)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、1.6g(収率66%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)を粘着性の固体として得た。
【0263】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXa)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,25℃):δ 7.81(d,J=1.8Hz,1H),7.74(dd,J=7.9,1.9Hz,1H),7.50-7.46(m,2H),7.29(d,J=8.0Hz,1H),7.06-7.00(m,3H),6.66(dt,J=3.5,0.9Hz,1H),6.11(d,J=5.1Hz,1H),5.73(dd,J=5.0,4.5Hz,1H),5.49(dd,J=6.9,4.3Hz,1H),5.12(ddd,J=6.9,5.9,2.9Hz,1H),4.31(dd,J=12.5,2.9Hz,1H),4.17(s,2H),4.09(dd,J=12.5,5.9Hz,1H),2.38(s,3H),2.14(s,3H),2.05(s,3H),2.05(s,3H),2.04(s,3H),1.95(s,3H).
【0264】
<実施例4>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)を製造した。
【0265】
【0266】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(1g,2.463mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(10mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサリル(COCl)2(0.625g,4.926mmol,2.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(3.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0267】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(239mg,9.852mmol,4.0当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(12mL,10倍体積)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-エトキシベンジル)ベンゼン(1.60g,4.926mmol,2.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(2mL×2)を使用して、反応混合物を別のシュレンク管に移した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0268】
別のオーブン乾燥させたシュレンク管中、CuCN(0.441g,4.926mmol,2.0当量)及びTHF(2mL)の懸濁液に、上記で調製したグリニャール試薬を室温で加えた。反応混合物を室温で10分間撹拌した。こうして、有機銅試薬(organocuprate reagent)を調製した。
【0269】
上記で調製した有機銅試薬に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×2)を加え、室温で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(2mL,2倍体積)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、ベッドを酢酸エチル(20mL×2)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、1.20g(収率80%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)をオフホワイトの綿毛状の固体(fluffy solid)として得た。
【0270】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,25℃):δ 7.74(d,J=2.1Hz,1H),7.71(dd,J=8.3,2.2Hz,1H),7.47(d,J=8.3Hz,1H),7.12-7.07(m,2H),6.84-6.80(m,2H),6.01(d,J=5.1Hz,1H),5.67(dd,J=5.0,4.4Hz,1H),5.45(dd,J=7.0,4.3Hz,1H),5.09(ddd,J=6.9,5.8,2.9Hz,1H),4.29(dd,J=12.5,2.9Hz,1H),4.10(d,J=5.9Hz,1H),4.07(dd,J=6.3,2.6Hz,2H),3.99(q,J=7.0Hz,2H),2.10(s,3H),2.05(s,3H),2.04(s,3H),2.04(s,3H),1.93(s,3H);
13C NMR(126MHz,CDCl3,25℃):δ 192.48,170.80,169.95,169.78,169.57,157.74,140.37,140.28,133.60,131.04,130.52,130.20,130.02,127.57,114.70,77.46,72.50,69.40,68.75,68.60,63.48,61.83,38.41,20.88,20.81,20.64,20.49,20.43,14.98.
【0271】
<実施例5>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)を製造した。
【0272】
【0273】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(250mg,0.615mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(3mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサリル(COCl)2(156mg,1.231mmol,2.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(2.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0274】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(30mg,1.231mmol,2.0当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(3mL,10倍体積)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-エトキシベンジル)ベンゼン(200mg,0.615mmol,1.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(1mL×2)を使用して、反応混合物を別のシュレンク管に移した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0275】
CuCN(55mg,0.615mmol,1.0当量)及びTHF(1mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×1)を-15℃で加えた。次いで、反応混合物に、上記で調製したグリニャール試薬を-15℃で30分間かけて滴下し、-15℃で1時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.5mL,2倍体積)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、300mg(収率77%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)をオフホワイトの綿毛状の固体として得た。
【0276】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXb)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,25℃):δ 7.74(d,J=2.1Hz,1H),7.70(dd,J=8.3,2.2Hz,1H),7.47(d,J=8.3Hz,1H),7.12-7.07(m,2H),6.84-6.80(m,2H),6.00(d,J=5.1Hz,1H),5.67(dd,J=5.0,4.3Hz,1H),5.44(dd,J=7.0,4.3Hz,1H),5.09(ddd,J=7.0,5.8,2.9Hz,1H),4.29(dd,J=12.5,2.9Hz,1H),44.08(dd,J=12.1,5.9Hz,3H),4.00(q,J=7.0Hz,2H),2.10(s,3H),2.05(s,3H),2.04(s,3H),2.04(s,3H),1.93(s,3H),1.39(t,J 7.0Hz,3H).
13C NMR(126MHz,CDCl3,25℃):δ 192.35,170.65,169.81,169.64,169.63,169.44,157.63,140.14,133.50,130.93,130.41,130.06,129.87,127.42,114.60,72.32,69.27,68.64,68.50,63.38,61.71,38.30,20.73,20.66,20.49,20.35,20.28,14.83.
【0277】
<実施例6>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を製造した。
【0278】
【0279】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(406mg,1mmol,1当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(4mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど1~2滴,約0.05当量)を加えた。次いで、塩化オキサリル(COCl)2(173μL,2mmol,2当量)を0℃で加えた。次いで、反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の完了をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(3.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。次いで、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を精製することなく次の操作に使用した。
【0280】
(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)の製造と並行して、以下の反応式に従って、グリニャール試薬(VIIIb)を製造した。
【0281】
【0282】
別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、切削片状マグネシウム(97.24mg,4mmol,4当量)を加えた。切削片状マグネシウムの入ったシュレンク管を加熱真空引きした後、アルゴンを充填した。この操作を3回繰り返した。次いで、アルゴン雰囲気下で、上記シュレンク管に、乾燥THF(1mL)を加え、次いで、1,2-ジブロモエタン(2~3滴,0.05当量)を加えた。次いで、(S)-3-(4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノキシ)テトラヒドロフラン(VIIIa)(735.33mg,2mmol,2当量)を反応混合物に加えた。得られた混合物を、アルゴン雰囲気下、80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、乾燥THF(2mL×2)を使用して、反応混合物を、次のカップリング反応に使用するために別のシュレンク管に移した。
【0283】
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((S)-テトロヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXc)を製造した。
【0284】
【0285】
CuCN(179.12mg,2mmol,2当量)及びTHF(1mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、上記で調製したグリニャール試薬(VIIIb)を、アルゴン雰囲気下、0℃で加えた。反応混合物を10分間撹拌した。次いで、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(1mL×2)を反応混合物に加え、室温で30分間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。次いで、反応を水(2mL)でクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。得られたろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空引きにより濃縮して、粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=3/7)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((S)-テトロヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXc)(420mg,収率62%)をオフホワイトの固体として得た。
【0286】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((S)-テトロヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXc)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3) δ(ppm):7.73(d,J=2.5Hz,1H),7.70(dd,J1=8.0Hz,J2=2.5Hz,1H),7.46(d,J=8.5Hz,1H),7.09(d,J=8.5Hz,2H),6.78(d,J=8.5Hz,2H),5.99(d,J=5.5Hz,1H),5.66(t,J=5Hz,1H),5.44(q,J=4Hz,1H),5.10-5.06(m,1H),4.89-4.86(m,1H),4.29(dd,J1=7.5Hz,J2=3.0Hz,1H),4.10-4.06(m,3H),3.98-3.93(m,3H),3.90-3.86(m,1H),2.18-2.12(m,2H),2.09(s,3H),2.04-2.03(m,9H),1.93(s,3H).
【0287】
<実施例7>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXd)を製造した。
【0288】
【0289】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(250mg,0.615mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(3mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサリル(COCl)2(156mg,1.231mmol,2.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(2.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0290】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(30mg,1.231mmol,2.0当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(3mL,10倍体積)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、2-(5-ブロモ-2-フルオロベンジル)ベンゾ[b]チオフェン(197mg,0.615mmol,1.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(1mL×2)を使用して、反応混合物を別のシュレンク管に移した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0291】
CuCN(55mg,0.615mmol,1.0当量)及びTHF(1mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×1)を-15℃で加えた。得られた反応混合物に、上記で調製したグリニャール試薬を-15℃で30分間かけて滴下し、-15℃で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.5mL,2倍体積)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、256mg(収率66%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXd)をオフホワイトの綿毛状の固体として得た。
【0292】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(3-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXd)の分析結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,25℃):δ 7.95(dd,J=7.1,2.3Hz,1H),7.86(ddd,J=8.5,4.9,2.3Hz,1H),7.75-7.72(m,1H),7.66(dd,J=7.3,0.8Hz,1H),7.32-7.28(m,1H),7.28-7.24(m,1H),7.17(t,J=8.9Hz,1H),7.04(s,1H),6.05(d,J=5.1Hz,1H),5.72-5.66(m,1H),5.45(dd,J=6.8,4.5Hz,1H),5.11-5.04(m,1H),4.30(dd,J=19.8,9.3Hz,2H),4.26-4.23(m,1H),4.00(dd,J=12.5,5.9Hz,1H),2.09(s,3H),2.03(s,3H),2.02(s,3H),2.02(s,3H),1.93(s,3H).
13C NMR(126MHz,CDCl3,25℃):δ 191.74,170.80,169.92,169.79,169.74,169.54,165.23,163.19,142.36,140.01,139.80,132.10,132.06,131.49,129.79,129.71,127.83,127.70,124.38,124.03,123.22,122.39,122.21,116.43,116.24,72.44,69.49,68.82,68.65,61.77,29.82,20.80,20.75,20.56,20.42,20.36.
【0293】
<実施例8>
以下の反応式に従って、(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXe)を製造した。
【0294】
【0295】
(2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタアセトキシヘキサン酸(XVIIa)(250mg,0.615mmol,1.0当量)のジクロロメタン(DCM)溶液(3mL)に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(ちょうど2~3滴,約0.05当量)を加えた後、塩化オキサリル(COCl)2(156mg,1.231mmol,2.0当量)を0℃で加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。反応混合物をエバポレーションし、トルエン(2.0mL)を使用して共蒸留(co-distillation)した。最後に、残渣を真空引きにより2時間乾燥させて、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)を得た。得られた(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)をそのまま次の操作に使用した。
【0296】
オーブン乾燥させたシュレンク管中、アルゴン雰囲気下、1,2-ジブロモエタン(0.050mL,ちょうど1~2滴)を、切削片状マグネシウム(30mg,1.231mmol,2.0当量)及びテトラヒドロフラン(THF)(3mL,10倍体積)を含む混合物に加えた。次いで、アルゴン雰囲気下、(R)-3-(4-(5-ブロモ-2-クロロベンジル)フェノキシ)テトラヒドロフラン(226mg,0.615mmol,1.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を75~80℃で3時間還流した。室温まで冷却した後、THF(1mL×2)を使用して、反応混合物を別のシュレンク管に移した。こうして、グリニャール試薬を調製した。
【0297】
CuCN(55mg,0.615mmol,1.0当量)及びTHF(1mL)の懸濁液が入った別のオーブン乾燥させたシュレンク管に、(2R,3R,4S,5R)-6-クロロ-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(XVIIIa)のTHF溶液(2mL×1)を-15℃で加えた。次いで、反応混合物に、上記で調製したグリニャール試薬を-15℃で30分間かけて滴下し、-15℃で1時間撹拌した。反応の進行をTLCによりモニターした。水(0.5mL,2倍体積)により反応をクエンチした。セライトパッドを通じて反応混合物をろ過し、ベッドを酢酸エチル(10mL×2)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。溶媒を真空引きにより除去して粗化合物を得た。粗化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/9~4/6)により精製して、234mg(収率72%)の(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXe)をオフホワイトの綿毛状の固体として得た。
【0298】
得られた(2R,3R,4S,5R)-6-(4-クロロ-3-(4-(((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)ベンジル)フェニル)-6-オキソヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタイル ペンタアセテート(IXe)の分析結果を以下に示す。
FTIR(NaCl):2997,1680,1509,1372,1218,1045cm-1.
1H NMR(500MHz,CDCl3,25℃):δ 7.74(d,J=2.1Hz,1H),7.72(d,J=2.2Hz,1H),7.70(d,J=2.2Hz,1H),7.12-7.08(m,1H),6.82-6.77(m,1H),6.00(d,J=5.2Hz,1H),5.67(dd,J=5.1,4.3Hz,1H),5.45(dd,J=7.0,4.3Hz,1H),5.13-5.06(m,1H),4.95-4.82(m,1H),4.30(dd,J=12.5,3.0Hz,1H),4.13-4.06(m,3H),4.00-3.92(m,3H),3.89(dd,J=8.2,4.5Hz,1H),2.23-2.11(m,2H),2.10(s,3H),2.05(s,3H),2.04(s,6H),1.93(s,3H).
13C NMR(126MHz,CDCl3,25℃):δ 192.45,170.72,169.88,169.72,169.52,156.18,140.33,140.09,133.63,131.03,131.00,130.17,130.07,130.06,127.57,115.60,115.59,115.58,77.39,73.16,72.44,69.39,68.74,68.57,67.24,61.80,38.36,33.07,20.81,20.73,20.58,20.42,20.36.
HRMS:[M+Na]+ C33H37O13NaCl 計算値:699.1815,実測値:699.1823.