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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126968
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】工業炉
(51)【国際特許分類】
   F23M 9/06 20060101AFI20240912BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20240912BHJP
   F23C 1/00 20060101ALI20240912BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240912BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20240912BHJP
   F27B 5/16 20060101ALI20240912BHJP
   F27B 5/06 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F23M9/06
F23C99/00 325
F23C1/00 301
F23K5/00 302
F27D7/02 A
F27B5/16
F27B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035768
(22)【出願日】2023-03-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」委託研究、産業技術強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】592017002
【氏名又は名称】三建産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000116105
【氏名又は名称】ロザイ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】岸村 司
(72)【発明者】
【氏名】三宅 智久
(72)【発明者】
【氏名】竹村 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】下栗 大右
(72)【発明者】
【氏名】橋本 望
(72)【発明者】
【氏名】中村 寿
【テーマコード(参考)】
3K065
3K068
3K091
4K061
4K063
【Fターム(参考)】
3K065TA01
3K065TC03
3K065TD05
3K065TP10
3K068AA01
3K068BA03
3K091BB07
3K091BB25
3K091CC06
3K091EA34
3K091FB42
4K061AA01
4K061BA02
4K061CA08
4K061CA13
4K061DA03
4K061GA03
4K061GA06
4K063AA05
4K063AA13
4K063AA15
4K063BA02
4K063BA03
4K063CA02
4K063DA04
4K063DA13
4K063DA24
4K063DA34
(57)【要約】
【課題】効果的に窒素酸化物の低減を図りつつアンモニアを燃焼させる工業炉を提供する。
【解決手段】炉体2の側壁3に設けられたバーナ10からの火炎Fで、バーナ10に燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させる工業炉1であって、炉体2内で火炎Fに接する位置に燃焼促進用の耐火物100を設けた。炉体2の天井壁5に、火炎Fの延びる方向に間隔をあけて設けられ下方にアンモニアを噴射する複数のアンモニア注入ノズル11,12,13を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体の側壁に設けられたバーナからの火炎で、前記バーナに燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させる工業炉であって、
前記炉体内で前記火炎に接する位置に燃焼促進用の耐火物を設けたことを特徴とする工業炉。
【請求項2】
前記耐火物を、前記火炎の延びる方向の先端と後端の中間位置と先端との間に設けたことを特徴とする請求項1に記載の工業炉。
【請求項3】
炉体の側壁に設けられたバーナからの火炎で、前記バーナに燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させる工業炉であって、
前記炉体内で前記火炎の先端周辺に燃焼促進用の耐火物を設けたことを特徴とする工業炉。
【請求項4】
前記耐火物は、耐火煉瓦であることを特徴とする請求項1又は3に記載の工業炉。
【請求項5】
前記炉体の天井壁に、前記火炎の延びる方向に間隔をあけて設けられ下方にアンモニアを噴射する複数のアンモニア注入ノズルを設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載の工業炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを燃料として燃焼させる工業炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制の観点から、燃焼しても二酸化炭素を発生しないアンモニアが新たな燃料として注目を集めているが、アンモニアを化石燃料と混合したりアンモニアだけで燃焼させると窒素酸化物(NOX)の排出量が増大することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の燃焼装置は、石炭にアンモニアを加えて燃焼する場合の窒素酸化物増大の課題を解決するものである。
【0004】
工業炉などの燃焼を必要とする熱設備では、常温から温度を上げる昇温工程が必ずあり、アンモニアだけを燃料とすれば、炉内低温時には未燃焼アンモニアや窒素酸化物(NOX)などが発生し、温室効果や環境問題を悪化させてしまう。
また、アンモニアは、都市ガスなど既存のガス燃料より燃焼速度が遅いため、燃焼機器に対してアンモニアの供給量を増やすと未燃焼のアンモニアが増加するといった悪循環になってしまう。
【0005】
これに対しては、工業炉を含む熱設備のサイズを大きくしてアンモニアの燃焼量を増加させることが考えられるが初期投資が嵩んでしまう。また、窒素酸化物(NOX)を無害化するため排ガス処理設備として脱硝装置を設置することが一般的ではあるがその分、コスト高になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7020759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、効果的に窒素酸化物の低減を図りつつアンモニアを燃焼させる工業炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の工業炉は、炉体(2)の側壁(3)に設けられたバーナ(10)からの火炎(F)で、前記バーナ(10)に燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させる工業炉(1)であって、
前記炉体(2)内で前記火炎(F)に接する位置に燃焼促進用の耐火物(100)を設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記耐火物(100)を、前記火炎(F)の延びる方向の先端と後端の中間位置と先端との間に設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、炉体(2)の側壁(3)に設けられたバーナ(10)からの火炎(F)で、前記バーナ(10)に燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させる工業炉(1)であって、
前記炉体(2)内で前記火炎(F)の先端周辺に燃焼促進用の耐火物(100)を設けたことを特徴とする。
ここで、火炎(F)の先端周辺とは、火炎(F)に直接接しない位置に耐火物(100)が設ける場合も含まれることを意味するものであり、ここで「周辺」とは先端を中心にして200mm以内の範囲内であることを意味する。
【0011】
また本発明は、前記耐火物(100)は、耐火煉瓦であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記炉体(2)の天井壁(5)に、前記火炎(F)の延びる方向に間隔をあけて設けられ下方にアンモニアを噴射する複数のアンモニア注入ノズル(21,22,23,24)を設けたことを特徴とする。
【0013】
なお、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の工業炉によれば、炉体の側壁に設けられたバーナからの火炎で、バーナに燃焼用空気とガス燃料とともに供給されるアンモニアを燃焼させるときに、炉体内で火炎に接する位置に燃焼促進用の耐火物、例えば耐火煉瓦などの耐火物を設けることで、アンモニアの燃焼を、耐火物を設けない場合と比較して飛躍的に促進させることができる。
これにより、未燃のアンモニアを低減させることができる。
【0015】
耐火物を設ける位置としては、火炎の延びる方向の先端と後端の中間位置と先端との間に設けることが好ましい。
なお、炉体内で火炎の先端周辺に燃焼促進用の耐火物を設けたものであっても未燃のアンモニアを低減させる効果はある。すなわち、火炎の先端から火炎に遠ざかる位置で火炎に接しない位置(先端から200mm以内の範囲内の位置)に燃焼促進用の耐火物を設けたものであっても未燃のアンモニアを低減させる効果はある。
【0016】
また本発明によれば、炉体の天井壁に、火炎の延びる方向に間隔をあけて設けられ下方にアンモニアを噴射する複数のアンモニア注入ノズルを設けたので、窒素酸化物(NOX)の排出量を低減させることができる。
すなわち、炉体内で火炎に接する位置に燃焼促進用の耐火物を設けるとアンモニアの燃焼を促進させることができるがそれにともない窒素酸化物(NOX)が高くなるので、バーナ取付部以外の炉体にアンモニア注入ノズルを複数設けることにより、アンモニアを発熱させ還元反応させることで窒素酸化物(NOX)を無害化させることができる。
耐火物を設けることによりアンモニアを完全燃焼させるとアンモニアの特性上、窒素酸化物(NOX)が規制値の10倍以上排出されることもあるが、2次燃料として複数のアンモニア注入ノズルを設けることで窒素酸化物(NOX)を効率的に低減させることができる。
【0017】
本発明によれば、工業炉を含む熱設備のサイズを大きくしてアンモニアの燃焼量を増加するようにしたり、窒素酸化物(NOX)を無害化するため排ガス処理設備として脱硝装置などを設置したりする必要がないのでその分、コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る工業炉の要部を示す縦断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る工業炉の要部を示す横断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る別の工業炉の要部を示す縦断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る耐火物を設けた工業炉と、耐火物を設けない工業炉を、排ガス成分の濃度において比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る工業炉1を説明する。
【0020】
本実施形態に係る工業炉1(ここでは、金属加熱炉を例に説明する)は、図1に示すように、断面略矩形状で、炉体2を構成する炉壁3にはバーナ10が設けられ、そのバーナ10からの火炎でアンモニア(NH3)をガス燃料と混焼させる炉1である。
【0021】
アンモニア(NH3)は、アンモニア供給装置14から第一配管11を介してバーナ10に送られ第一配管11には途中、アンモニア用開閉弁(電磁弁)17が設けられている。ガス燃料は、都市ガスやプロパンガスなどといった既存のガスからなり、ガス供給装置15から第二配管12を介してバーナ10に送られ第二配管12には途中、ガス用開閉弁(電磁弁)18が設けられている。燃焼用空気は、外気がブロワ16でエア配管13を介してバーナ10に送られエア配管13には途中、エア用開閉弁(電磁弁)19が設けられている。
バーナ10は水平方向に延び、火炎Fを水平方向(図1及び図2では右側から左側)に放射させる。
【0022】
工業炉1の天井壁5には火炎Fの延びる方向、すなわち図1及び図2では右側から左側に向けて間隔をあけて(ここでは等間隔)、4つのアンモニア注入ノズル(第1アンモニア注入ノズル,第2アンモニア注入ノズル,第3アンモニア注入ノズル,第4アンモニア注入ノズル)21,22,23,24が設けられている。
【0023】
アンモニア注入ノズル21,22,23,24からは、アンモニア供給装置14から供給されたアンモニアがそれぞれ電磁弁(第1電磁弁,第2電磁弁,第3電磁弁,第4電磁弁)31,32,33,34を介して炉内に、火炎Fの延びる方向に直交する方向、すなわち上から下に向けて噴射される。
アンモニア供給装置14から各アンモニア注入ノズル21,22,23,24にアンモニアを送る第三配管41は、第一配管11においてアンモニア供給装置14とアンモニア用開閉弁17の間から分岐している。
なお、工業炉1の天井壁5の一部には排ガスを放出するための煙道20が設けられている。
【0024】
そして、炉体2内で火炎Fに接する位置には、燃焼促進用の耐火物100が設けられている。
耐火物100は耐火煉瓦(耐熱性金物であってもよい)からなり、炉体2の底から立設している。
耐火物100は、図1に示すように、その高さは、火炎Fの高さの半分程度で、しかも、火炎Fの延びる方向の先端(Mで示す位置)と後端(側壁3の内壁)の中間位置(Cで示す位置)と先端との間(Rで示す範囲)に位置するように設けられている。
【0025】
耐火物100を設けると、火炎Fが耐火物100に接することで耐火物100は赤熱し、ここにアンモニアが接するとアンモニアの燃焼は、耐火物100を設けない場合と比較して飛躍的に促進させられ、未燃のアンモニアを低減させることができる。
これによれば、工業炉1の昇温時などの低温度の場合であってもアンモニアを燃料として使用することでき、アンモニアの燃焼量を増やすことができる。
【0026】
その際、工業炉を含む熱設備のサイズを大きくしてアンモニアの燃焼量を増加する必要はなく、アンモニアの燃焼場をコンパクトにすることができるので設備に対する初期投資を抑えることができ経済的である。
また、耐火物100の放熱効果によって熱設備の昇温に寄与することができるといったメリットもある。
【0027】
またアンモニアの燃焼の促進にともない窒素酸化物(NOX)が高くなってしまうが、バーナ取付部以外の炉体2にアンモニア注入ノズル21~24を複数設けることにより、アンモニアを発熱させ還元反応させることで窒素酸化物(NOX)を無害化させることができるので問題ない。
これによれば、窒素酸化物(NOX)を無害化するため排ガス処理設備として脱硝装置などを設置したりする必要がないのでその分、コストを低減させることができる。
【0028】
また、アンモニア注入ノズル21~24を複数設けているので、アンモニアの燃焼量とそれにともなって発生する窒素酸化物(NOX)の排出量をオンタイムでチェックしながら適切な量のアンモニアをアンモニア注入ノズル21~24から容易に供給することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、複数のアンモニア注入ノズル21~24を炉体2の天井壁5に設けたが、予想される窒素酸化物(NOX)の排出量が少ない場合や、コスト高となっても脱硝装置などを設置する場合には、図3に示すように、複数のアンモニア注入ノズル21~24を一切設けないようにすることもできる。
【0030】
ここで、図4に、耐火物100を設けた工業炉と、耐火物100を設けない工業炉を、排ガス成分の濃度において比較した実験データを示す。耐火物100としては、煉瓦を使用し、テストNO1~3は、炉内温度により赤熱した煉瓦ありの場合、テストNO4~5は、赤熱した煉瓦なしの場合を示している。
【0031】
テストNO4は、炉内温度が946℃で燃焼量が40kWであり、未燃焼ガス成分として、CO(一酸化炭素)が12,242ppm,CH4(メタン)が1,613ppm,NH3(アンモニア)が1,251ppmであった。このとき、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量は1ppmで、NO2(二酸化窒素)の排出量は2ppmであった。なお、O2(酸素)の占める割合は0%であった。未燃焼のNH3(アンモニア)の量が多いため排出される窒素酸化物(NOX)は少ないものであった。
【0032】
次にテストNO5は、炉内温度がテストNO4よりも高く1040℃で燃焼量が40kWであり、未燃焼ガス成分として、CO(一酸化炭素)が141ppm,CH4(メタン)が0ppm,NH3(アンモニア)が1,749ppmであった。このとき、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量は416ppmで、NO2(二酸化窒素)の排出量は3ppmであった。なお、O2(酸素)の占める割合は0.27%であった。炉内温度がテストNO4よりも高くなることで燃焼は促進されるが、未燃焼のNH3(アンモニア)の量はテストNO4よりも多く、排出される窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量も多くなるものであった。
【0033】
これらに対して、耐火物100を設けたテストNO1は、炉内温度が944℃で燃焼量が50kWであり、未燃焼ガス成分として、CO(一酸化炭素)が0.52ppm,CH4(メタン)が0ppm,NH3(アンモニア)が0ppmであった。このとき、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量は500ppmで、NO2(二酸化窒素)の排出量は96ppmであった。なお、O2(酸素)の占める割合は1.80%であった。未燃焼のNH3(アンモニア)はなく完全燃焼され、それにともない排出される窒素酸化物(NOX)の量がテストNO4,5の場合と比較して多くなっている。
【0034】
また、耐火物100を設けたテストNO2は、炉内温度が1009℃で燃焼量が45kWであり、未燃焼ガス成分として、CO(一酸化炭素)が1.14ppm,CH4(メタン)が0ppm,NH3(アンモニア)が6ppmであった。このとき、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量は701ppmで、NO2(二酸化窒素)の排出量は12ppmであった。なお、O2(酸素)の占める割合は1.63%であった。未燃焼のNH3(アンモニア)は極めて少なく、それにともない排出される窒素酸化物(NOX)の量がテストNO4,5の場合と比較して多くなっている。また、テストNO1と比較して炉内温度が高いため、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量が多くなっている。
【0035】
さらに、耐火物100を設けたテストNO3は、炉内温度が1013℃で燃焼量が40kWであり、未燃焼ガス成分として、CO(一酸化炭素)が0ppm,CH4(メタン)が0ppm,NH3(アンモニア)が2ppmであった。このとき、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量は689ppmで、NO2(二酸化窒素)の排出量は12ppmであった。なお、O2(酸素)の占める割合は1.73%であった。未燃焼のNH3(アンモニア)は極めて少なく、それにともない排出される窒素酸化物(NOX)の量がテストNO4,5の場合と比較して多くなっている。また、テストNO1と比較して炉内温度が高いため、窒素酸化物(NOX)としてNO1(一酸化窒素)の排出量が多くなっている。
【0036】
このように実験データから、赤熱した煉瓦を耐火物100として使用した場合(テストNO1~3)では、CO(一酸化炭素),CH4(メタン),NH3(アンモニア)が燃焼してほとんど排出されないことがわかり、耐火物100の存在は、NH3(アンモニア)の燃焼を促進させるものであることが証明された。
さらに、炉体2が同じ容積であってもバーナ10の燃焼量を、40kWから、45kWあるいは50kWといったように5~10kW増やすことができた。
また、残存するO2(酸素)の量が多いので燃焼をさらに促進させることができる。
【0037】
そして、NH3(アンモニア)の燃焼にともない排出される窒素酸化物(NOX)の量も増加するが、これは、図1及び図2に示すように、バーナ10側とは別に、複数のアンモニア注入ノズル(第1アンモニア注入ノズル,第2アンモニア注入ノズル,第3アンモニア注入ノズル,第4アンモニア注入ノズル)21,22,23,24を二次的に設けることにより低減することができるので問題ない。
【0038】
なお、本実施形態では、耐火物100を炉体2の底から立設させたが、炉内に設けられるものであればどのような形態でもよく、例えば炉体2の上部から支持するようにしてもよい。
【0039】
また、図1及び図3に示すように、耐火物100を炉体2内で火炎Fに接する位置に設けたが、炉体2内で火炎Fの先端周辺に燃焼促進用の耐火物100を設けるようにしても未燃のアンモニアを低減させる効果はある。
ここで、火炎Fの先端周辺とは、火炎Fに直接接しない位置に耐火物100が設ける場合も含まれることを意味するものであり、ここで「周辺」とは先端を中心にして200mm以内の範囲内であることを意味する。
【符号の説明】
【0040】
1 工業炉
2 炉体
3 側壁
5 天井壁
10 バーナ
11 第一配管
12 第二配管
13 エア配管
14 アンモニア供給装置
15 ガス供給装置
16 ブロワ
17 アンモニア用開閉弁
18 ガス用開閉弁
19 エア用開閉弁
20 煙道
21 第1アンモニア注入ノズル
22 第2アンモニア注入ノズル
23 第3アンモニア注入ノズル
24 第4アンモニア注入ノズル
31 第1電磁弁
32 第2電磁弁
33 第3電磁弁
34 第4電磁弁
41 第三配管
100 耐火物
F 火炎
図1
図2
図3
図4