(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017612
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】送信器、受信器、通信システム及び位置決定情報取得方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20240201BHJP
H04B 10/80 20130101ALI20240201BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/80
H04J14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120366
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】胡間 遼
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 稜
(72)【発明者】
【氏名】可児 淳一
(72)【発明者】
【氏名】永妻 忠夫
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA22
5K102AL23
5K102MH02
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH15
5K102PB01
5K102PB13
5K102PB15
5K102PH31
5K102PH41
5K102PH45
5K102PH47
5K102PH48
5K102PH49
5K102PH50
5K102RB02
(57)【要約】
【課題】ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うこと。
【解決手段】ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信する送信部と、1以上の波長の光波を出力する光源と、無線電波と1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射部と、を備える送信器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信する送信部と、
1以上の波長の光波を出力する光源と、
前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射部と、
を備える送信器。
【請求項2】
前記反射部は、前記アンテナの同軸上に設置され、前記光源から出力された前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射媒体、
又は、前記アンテナの同軸上に設置され、前記光源から出力された前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射媒体と、前記無線電波と前記1以上の波長の光波との方路を変更するための第1のミラーとの組み合わせ、
又は、前記光源から出力された前記1以上の波長の光波を出力する開口部を有し、前記無線電波の方路を変更するための第2のミラーのいずれかである、
請求項1に記載の送信器。
【請求項3】
送信器から送信された1以上の波長の光波を集光する集光レンズと、
前記送信器から送信された前記1以上の波長の光波と同軸上で伝送された無線電波を少なくとも受信するアンテナと、
前記アンテナの前段又は後段のいずれかで前記1以上の波長の光波を受信する受信部と、
を備える受信器。
【請求項4】
前記送信器から同軸上で送信された前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を前記アンテナの前段で反射する反射部材をさらに備え、
前記受信部は、前記反射部材により反射された前記1以上の波長の光波を受信する、
請求項3に記載の受信器。
【請求項5】
前記受信部は、前記アンテナ内を伝搬した前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を受信する、
請求項4に記載の受信器。
【請求項6】
送信器と、受信器とを備える通信システムであって、
前記送信器は、
ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信する送信部と、
1以上の波長の光波を出力する光源と、
前記アンテナの同軸上に設置され、前記光源から出力された前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射部と、
前記受信器から折り返された光波を、前記反射部を介して受信し、受信した前記光波に基づく電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する取得部と、
を備え、
前記受信器は、
前記送信器から同軸上で送信された前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を反射する第1の反射部と、
前記第1の反射部で反射された前記1以上の波長の光波のうち少なくとも1波長の光波を反射する第2の反射部と、
を備え、
前記第1の反射部は、前記第2の反射部により反射された前記1波長の光波を前記送信器に反射する、通信システム。
【請求項7】
前記受信器は、
前記1以上の波長の光波に基づく電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する取得部と、
前記第1の反射部で反射された前記1以上の波長の光波を分岐、又は、波長毎に分波して、少なくとも前記第2の反射部及び前記取得部に出力する振分部と、
をさらに備える、
請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
送信器と、受信器とを備える通信システムにおける前記送信器と前記受信器との位置決定情報取得方法であって、
前記送信器が、
ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信し、
1以上の波長の光波を出力し、
前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させ、
前記受信器から折り返された光波を受信し、受信した前記光波に基づく電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得し、
前記受信器が、
前記送信器から同軸上で送信された前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を反射し、
反射された前記1以上の波長の光波のうち少なくとも1波長の光波を反射して、前記1波長の光波を前記送信器に反射する、
位置決定情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器、受信器、通信システム及び位置決定情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高速無線通信方式として、ミリ波又はテラヘルツ波をキャリアに使った通信方式と、赤外光をキャリアに使った通信方式(例えば、自由空間無線:FSO:Free Space Optics)が競合している。特にテラヘルツ波は、約100GHz~10THzまでの周波数帯を示し、この周波数帯は電波法で周波数の割り当てがされていない。そのため、高いキャリア周波数と広い周波数帯から、高速無線通信への適用に期待ができる。
【0003】
電波(光波)は、キャリア周波数が増大するにつれて、直進性が増大する特性を持つ。そのため、ビーム幅の狭いFSOのような高周波キャリアを用いることで、伝搬中に意図しないユーザや悪意のあるユーザによる信号の受信を低減することできる。したがって、高周波信号を使うことはセキュリティを高める観点で有効であるが、シンチレーションや大気の分散の影響を受けやすく、広帯域の信号を伝送すること(高速信号伝送)には適していない。そのため、広帯域の信号伝送には、ミリ波ないしはテラヘルツ波を用いた通信方式が望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】永妻忠夫, “テラヘルツ波が拓く超高速無線通信”, 精密工学会誌/Journal of the Japan Society for Precision Engineering Vol.82, No.3, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ミリ波又はテラヘルツ波は、可視光の視認性を利用したFSOのようにビームの到達位置を目視で確認することができず、送信器と受信器の位置決め(置局設計)が容易ではないという問題があった。ミリ波やテラヘルツ波は、直進性が高いため、送信器と受信器の位置決めを高精度で実施しないと、受信面からのビームのずれによる受信感度の低下を招いてしまう。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信する送信部と、1以上の波長の光波を出力する光源と、前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射部と、を備える送信器である。
【0008】
本発明の一態様は、送信器から送信された1以上の波長の光波を集光する集光レンズと、前記送信器から送信された前記1以上の波長の光波と同軸上で伝送された無線電波を少なくとも受信するアンテナと、前記アンテナの前段又は後段のいずれかで前記1以上の波長の光波を受信する受信部と、を備える受信器である。
【0009】
本発明の一態様は、送信器と、受信器とを備える通信システムであって、前記送信器は、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信する送信部と、1以上の波長の光波を出力する光源と、前記アンテナの同軸上に設置され、前記光源から出力された前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させる反射部と、前記受信器から折り返された光波を、前記反射部を介して受信し、受信した前記光波に基づく電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する取得部と、を備え、前記受信器は、前記送信器から同軸上で送信された前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を反射する第1の反射部と、前記第1の反射部で反射された前記1以上の波長の光波のうち少なくとも1波長の光波を反射する第2の反射部と、を備え、前記第1の反射部は、前記第2の反射部により反射された前記1波長の光波を前記送信器に反射する、通信システムである。
【0010】
本発明の一態様は、送信器と、受信器とを備える通信システムにおける前記送信器と前記受信器との位置決定情報取得方法であって、前記送信器が、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波を、アンテナを介して送信し、1以上の波長の光波を出力し、前記1以上の波長の光波を反射することで前記無線電波と前記1以上の波長の光波とを同軸上で伝送させ、前記受信器から折り返された光波を受信し、受信した前記光波に基づく電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得し、前記受信器が、前記送信器から同軸上で送信された前記1以上の波長の光波と前記無線電波のうち、前記1以上の波長の光波を反射し、反射された前記1以上の波長の光波のうち少なくとも1波長の光波を反射して、前記1波長の光波を前記送信器に反射する、位置決定情報取得方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態における通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態における送信器の他の構成例(その1)を示す図である。
【
図3】第1の実施形態における送信器の他の構成例(その2)を示す図である。
【
図4】第1の実施形態における送信器の他の構成例(その3)を示す図である。
【
図5】第1の実施形態における送信器の他の構成例(その4)を示す図である。
【
図6】第1の実施形態における受信器の他の構成例(その1)を示す図である。
【
図7】第1の実施形態における受信器の他の構成例(その2)を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における受信器の他の構成例(その3)を示す図である。
【
図9】第1の実施形態における通信システムにおける送信器と受信器の設置地決定処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図10】第2の実施形態における通信システムの構成例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態の変形例2における通信システムの構成例を示す図である。
【
図12】第2の実施形態の変形例3における通信システムの構成例を示す図である。
【
図13】第2の実施形態の変形例4における通信システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における通信システム100の構成例を示す図である。通信システム100は、送信器10と、受信器20とを備える。通信システム100では、送信器10と、受信器20との間で通信を行うために、事前に送信器10と受信器20の設置位置を決定する必要がある。送信器10と受信器20の設置位置を決定するとは、送信器10のアンテナの位置と、受信器20のアンテナの位置とを決定することを意味する。送信器10と受信器20は、設置位置を決定するための構成を備える。
【0015】
送信器10には、設置位置を決定するための構成として、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を出力するアンテナの同軸上に光波を反射する反射媒体が設置される。送信器10は、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送させる。
【0016】
受信器20には、設置位置を決定するための構成として、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を受信するアンテナの同軸上に光波を反射する反射媒体が設置される。受信器20は、ミリ波又はテラヘルツ波の電波をアンテナで受信し、反射媒体で反射された光波を光学系で受信する。光波の到達位置に、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を受信するアンテナを設置することで設置位置を決定することができる。なお、光波は、アンテナの位置決めに利用する以外にもキャリアとして変調信号を送信又は受信しても同様の効果が得られるとともに無線伝送+光空間伝送の組み合わせにより同一空間上での伝送帯域を拡張することができる。以下、送信器10及び受信器20の具体的な構成例について説明する。
【0017】
送信器10は、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107とを備える。なお、送信器10が備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106及び反射媒体107は、送信側の位置を決めるために用いられる装置(以下「送信側位置決め装置」という。)である。送信側位置決め装置は、送信器10の内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信側位置決め装置が外部に備えられることで、送信器10の位置決めが決定した後に取り外しが容易になる。
【0018】
信号生成部101は、無線電波として送信対象となる信号を生成する。
【0019】
送信部102は、信号生成部101によって生成された信号を、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波としてアンテナ103を介して送信する。
【0020】
光源104は、光波を出力する。
【0021】
光ファイバ105は、光源104と、コリメータレンズ106とを接続し、光源104から出力された光をコリメータレンズ106に入力する。
【0022】
コリメータレンズ106は、光ファイバ105を介して入力された光波を平行にして出力する。
【0023】
反射媒体107は、アンテナ103の同軸上であって、かつ、コリメータレンズ106から出力された光波を受信器20に反射可能な位置及び向きで設置される。反射媒体107は、コリメータレンズ106から出力された光波を反射する。反射媒体107は、例えば、偏光板や高分子薄膜等で形成された反射ミラーである。反射媒体107は、反射部の一態様である。
【0024】
受信器20は、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、コリメータレンズ204とを備える。なお、受信器20が備える集光レンズ201、反射媒体202及びコリメータレンズ204は、受信側の位置を決めるために用いられる装置(以下「受信側位置決め装置」という。)である。受信側位置決め装置は、受信器20の内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信側位置決め装置が外部に備えられることで、受信器20の位置決めが決定した後に取り外しが容易になる。
【0025】
集光レンズ201は、送信器10から出力された光波を集光する。
【0026】
反射媒体202は、アンテナ203の同軸上であって、かつ、集光レンズ201によって集光された光波を反射可能な位置及び向きで設置される。送信器10と受信器20との設置位置が正しい位置であれば、反射媒体202は、集光レンズ201によって集光された光波をコリメータレンズ204に向けて反射する。ここで、送信器10と受信器20との設置位置が正しい位置とは、送信器10から送信されたミリ波又はテラヘルツ波の電波を、閾値以上の受信感度で受信可能な位置である。反射媒体202は、第1の反射部の一態様である。
【0027】
アンテナ203は、送信器10から送信されたミリ波又はテラヘルツ波の電波を受信する。
【0028】
コリメータレンズ204は、反射媒体202によって反射された光波を平行にして光ファイバに出力する。コリメータレンズ204及び光ファイバを介して光波が得られれば送信器10と受信器20との設置位置が正しいとみなすことができる。
【0029】
なお、上述した例では、送信器10において、光ファイバ105及びコリメータレンズ106を用いてミリ波又はテラヘルツ波の電波と光波とを結合する構成を示した。それに対して、LD(Laser Diode)とコリメータレンズを設置し、空間光学系でミリ波・テラヘルツ波と結合しても同様の効果が得られる。
【0030】
次に、
図2から
図5を用いて、送信器10の他の構成について説明する。
図2は、第1の実施形態における送信器の他の構成例(その1)を示す図である。
図2に示すように、送信器10aは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107aとを備える。なお、送信器10aが備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106及び反射媒体107aは、送信側位置決め装置であり、送信器10aの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器10aは、反射媒体107に代えて反射媒体107aを備える点で送信器10と構成が異なる。送信器10aのその他の構成については送信器10と同様である。以下、送信器10との相違点について説明する。
【0031】
反射媒体107aは、
図1に示す反射媒体107よりもサイズが小さい小型の媒体である。サイズが異なる点を除けば、そのほかは反射媒体107と同様である。このように、光波を反射する媒体を小型にすることで、電波の回折による影響を低減することが可能になる。反射媒体107aは、反射部の一態様である。
【0032】
図3は、第1の実施形態における送信器の他の構成例(その2)を示す図である。
図3に示すように、送信器10bは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107と、レンズ108とを備える。なお、送信器10bが備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106、反射媒体107及びレンズ108は、送信側位置決め装置であり、送信器10bの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器10bは、レンズ108を新たに備える点で送信器10と構成が異なる。送信器10bのその他の構成については送信器10と同様である。以下、送信器10との相違点について説明する。
【0033】
レンズ108は、例えば、長距離伝搬をする際には、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を平行にするために用いられるレンズ(例えば、シリンドリカルレンズ等)である。このように、レンズ108をさらに備えることで、無線電波を平行ビームに変換することができる。なお、送信器10bにおける反射媒体107は、反射媒体107aであってもよい。このように、
図3に示す送信器10bは、コリメータレンズ106から出力された光波を反射媒体107により反射させ、かつ、アンテナ103から出力された電波をレンズ108により平行ビームに変換することで、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する。
【0034】
図4は、第1の実施形態における送信器の他の構成例(その3)を示す図である。
図4に示すように、送信器10cは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107と、放物面ミラー109とを備える。なお、送信器10cが備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106、反射媒体107及び放物面ミラー109は、送信側位置決め装置であり、送信器10cの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器10cは、放物面ミラー109を新たに備える点で送信器10と構成が異なる。送信器10cのその他の構成については送信器10と同様である。以下、送信器10との相違点について説明する。
図4に示す送信器10cの構成は、送信器10cと受信器20とが、対向する位置関係ではない場合に用いられる構成である。
【0035】
放物面ミラー109は、凹面鏡の一種であり、内側が放物線の回転体である放物面の鏡である。放物面ミラー109は、反射媒体107と対向する位置に設置され、反射媒体107により反射された光波及び電波の方路を変更する。この場合にも、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波が同軸上で伝送される。送信器10cの横方向に受信器20が位置している場合、放物面ミラー109は反射媒体107により反射された光波の方路を横方向に変更する向きに設置されることになる。このように、放物面ミラー109による光路を変更することで、送信器10cと受信器20とが対向する位置関係でない場合であっても、設置位置を決定することができる。なお、送信器10cにおける反射媒体107は、反射媒体107aであってもよい。放物面ミラー109は、反射部の一態様である。
【0036】
図4に示す送信器10cは、コリメータレンズ106から出力された光波を反射媒体107により反射させた後、反射媒体107により反射された光波と、アンテナ103から出力された電波の方路を放物面ミラー109で変更させることで、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する。
【0037】
図5は、第1の実施形態における送信器の他の構成例(その4)を示す図である。
図5に示すように、送信器10dは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、レンズ108と、放物面ミラー109と、サーキュレーター110と、光受信部111とを備える。なお、送信器10dが備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106、レンズ108、放物面ミラー109、サーキュレーター110及び光受信部111は、送信側位置決め装置であり、送信器10dの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器10dは、送信器10cを拡張した構成であり、放物面ミラー109に開口部を設け、開口部から光波を出力するような構成である。そのため、送信器10dは、反射媒体107を備えなくてよい。
【0038】
サーキュレーター110は、第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有する。サーキュレーター110が有する第1ポートは、光源104に接続される。サーキュレーター110が有する第2ポートは、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106に接続される。サーキュレーター110が有する第3ポートは、光受信部111に接続される。第1ポートに入力された光信号は、第2ポートから出力される。第2ポートに入力された光信号は、第3ポートから出力される。第3ポートに入力された光信号は、第1ポートから出力される。
【0039】
例えば、サーキュレーター110の第1ポートには、光源104から出力された光波が入力される。サーキュレーター110の第1ポートに入力された光波は、第2ポートから出力される。例えば、サーキュレーター110の第2ポートには、受信器20から折り返された光波が入力される。サーキュレーター110の第2ポートに入力された光波は、第3ポートから出力される。
【0040】
光受信部111は、サーキュレーター110の第3ポートから出力された光波を受信する。光受信部111は、例えば受光器又はパワーメータである。光受信部111が受光器である場合、光受信部111は受信した光波を電気信号に変換して、電流値又は電圧値を取得する。光受信部111がパワーメータである場合、光受信部111は受信した光波の光の強度を取得する。
【0041】
図5に示すように、放物面ミラー109の一部には開口部が設けられる。放物面ミラー109の開口部には、コリメータレンズ106が設置される。光源104から出力された光波は、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106から出力される。コリメータレンズ106により平行にして出力された光波は、放物面ミラー109の開口部から出力される。さらに、アンテナ103から出力された電波は、放物面ミラー109により方路が変更された後にレンズ108により平行ビームに変換されて、光波と同じ方向に伝搬される。このように、
図5に示す送信器10dは、放物面ミラー109においてアンテナ103から出力された電波の方路を光波が伝搬される方向と同じ方向に変更した後にレンズ108により平行ビームに変換することで、放物面ミラー109の開口部に設けられたコリメータレンズ106から出力された光波と、ミリ波又はテラヘルツ波の電波とを同軸上で伝送する。このように構成される場合、反射媒体107を電波伝搬上に設ける必要がなく部品点数を削減することができるとともに、回折による影響を低減することができる。
【0042】
次に、
図6から
図8を用いて、受信器20の他の構成について説明する。
図6は、第1の実施形態における受信器の他の構成例(その1)を示す図である。
図6に示すように、受信器20aは、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、受光器205とを備える。なお、受信器20aが備える集光レンズ201、反射媒体202及び受光器205は、受信側位置決め装置であり、受信器20aの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器20aは、コリメータレンズ204に代えて受光器205を備える点で受信器20と構成が異なる。受信器20aのその他の構成については受信器20と同様である。以下、受信器20との相違点について説明する。
【0043】
受光器205は、反射媒体202によって反射された光波を受光する。例えば、受光器205は、フォトダイオードである。受光器205は、受光した光波を電気信号に変換して、電流値又は電圧値を出力する。受光器205により得られた電流値又は電圧値が閾値以上である場合、より強度の強い光が受信されたことになり、送信器10と受信器20aとの設置位置が正しいとみなすことができる。したがって、受光器205により得られた電流値又は電圧値が閾値以上となる位置を、受信器20aを設置位置と決定することができる。そのため、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことが可能になる。
【0044】
図7は、第1の実施形態における受信器の他の構成例(その2)を示す図である。
図7に示すように、受信器20bは、集光レンズ201と、アンテナ203と、光受信素子206とを備える。なお、受信器20bが備える集光レンズ201及び光受信素子206は、受信側位置決め装置であり、受信器20bの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器20bは、反射媒体202及びコリメータレンズ204を備えない点、光受信素子206を新たに備える点で受信器20と構成が異なる。受信器20bのその他の構成については受信器20と同様である。以下、受信器20との相違点について説明する。
【0045】
光受信素子206は、アンテナ203と接続され、アンテナ203内を伝搬した光波を受光する。例えば、光受信素子206は、フォトダイオードである。光受信素子206は、受光した光波を電気信号に変換して、電流値又は電圧値を出力する。光受信素子206により得られた電流値又は電圧値が閾値以上である場合、より強度の強い光が受信されたことになり、送信器10と受信器20bとの設置位置が正しいとみなすことができる。そのため、光受信素子206により得られた電流値又は電圧値が閾値以上となる位置を、受信器20bを設置位置と決定することができる。
【0046】
このように、
図7に示す受信器20bでは、光波がアンテナ203である導波管中も伝搬できることを利用し、位置決めの際にアンテナ203の終端点に光受信素子206を設置している。そして、光受信素子206から得られる電流値又は電圧値が、最も高くなるようにアンテナ203の位置を、受信器20bの設置位置と決定すればよい。これにより、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことが可能になる。
【0047】
図8は、第1の実施形態における受信器の他の構成例(その3)を示す図である。
図8に示すように、受信器20cは、集光レンズ201と、アンテナ203と、RF受信素子207とを備える。なお、受信器20cが備える集光レンズ201及びRF受信素子207は、受信側位置決め装置であり、受信器20cの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器20cは、反射媒体202及びコリメータレンズ204を備えない点、RF受信素子207を新たに備える点で受信器20と構成が異なる。受信器20cのその他の構成については受信器20と同様である。以下、受信器20との相違点について説明する。
【0048】
RF受信素子207は、化合物半導体で作製された受信素子である。RF受信素子207は、微弱な光でも検出することができる。そのため、電波と光波の一括受信が可能であり、部品点数の削減が期待できる。
【0049】
第1の実施形態における通信システム100は、
図1から
図5に示した送信器10,10a,10b,10c,10dのいずれかと、
図1、
図6から
図8に示した受信器20,20a,20b,20cのいずれかを組み合わせて構成されてもよい。
【0050】
図9は、第1の実施形態における通信システム100における送信器10と受信器20の設置地決定処理の流れを示すシーケンス図である。なお、
図9の説明では、送信器10及び受信器20が、
図1に示す構成である場合を例に説明する。
送信器10を設置するユーザは、送信側位置決め装置を備える送信器10を設置候補の場所に設置する(ステップS101)。受信器20を設置するユーザは、受信側位置決め装置を備える受信器20を設置候補の場所に設置する(ステップS102)。送信器10の光源104は、光波を出力する(ステップS103)。光源104により出力された光波は、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106に入力される。コリメータレンズ106は、入力された光波を平行に変換して反射媒体107に出力する。コリメータレンズ106から出力された光波は、反射媒体107によって反射される。
【0051】
信号生成部101は、信号を生成する(ステップS104)。信号生成部101は、生成した信号を送信部102に出力する。送信部102は、信号生成部101によって生成された信号を、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波としてアンテナ103を介して送信する(ステップS105)。これにより、送信器10から出力された無線電波と、光波とが同軸上で伝送される。受信器20が、送信器10と通信するための位置として正しい位置に設置されている場合、受信器20は送信器10から送信された無線電波と、光波とを受信することができる。一方、受信器20が、送信器10と通信するための位置として正しい位置に設置されていない場合、受信器20は送信器10から送信された無線電波と、光波とを受信することができない。
【0052】
受信器20を設置するユーザは、送信器10から送信された光波をマーカとして、光波を受信できる位置(光波の到達位置)に受信器20のアンテナ203が来るように位置合わせする(ステップS106)。例えば、受信器20を設置するユーザは、受信器20が備えるコリメータレンズ204から光信号が出力された位置を、光波を受信できる位置と判断してもよい。位置合わせ後の受信器20において、アンテナ203は無線電波を受信する(ステップS107)。光波は、反射媒体202により反射されてコリメータレンズ204に入力されることで受信される(ステップS108)。
【0053】
以上のように構成された通信システム100によれば、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことが可能になる。具体的には、送信器10において、無線電波の伝搬上に光波のみを反射媒体107を設置し、ミリ波と光波を同軸上で伝送させる。受信器20では、光波の特徴である視認性や直進性を利用し、光波をマーカとすることで光波の到達位置にミリ波・テラヘルツ波のアンテナを設置する。このように、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波とを同軸上で伝送させ、光波の直進性及び視認性の特徴を利用することで、ミリ波又はテラヘルツ波のような高周波数帯を用いた通信における送信器と受信器の位置決めを容易に行うことが可能になる。
【0054】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、送信器から送信された光波に応じて、受信器の位置を決定することで、送信器と受信器との位置を決定する構成を示した。第2の実施形態では、受信器が、送信器から送信された光波を折り返すことで送信器側でも位置を決定する構成について説明する。
【0055】
図10は、第2の実施形態における通信システム200の構成例を示す図である。通信システム200は、送信器15と、受信器25とを備える。通信システム200では、送信器15と、受信器25との間で通信を行うために、事前に送信器15と受信器25の設置位置を決定する必要がある。送信器15と受信器25は、設置位置を決定するための構成を備える。
【0056】
送信器15は、第1の実施形態における送信器10,10a,10b,10c,10dのいずれかの構成で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送させる。さらに、送信器15は、受信器25で折り返された光波を受信する。
【0057】
受信器25には、設置位置を決定するための構成として、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を受信するアンテナの同軸上に光波を反射する反射媒体が設置される。さらに、受信器25は、ミリ波又はテラヘルツ波の電波をアンテナで受信し、反射媒体で反射された光波を反射板により送信器10に折り返す。以下、送信器15及び受信器25の具体的な構成例について説明する。
【0058】
送信器15は、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光源104と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107と、サーキュレーター110と、光受信部111とを備える。なお、送信器15が備える光源104、光ファイバ105、コリメータレンズ106、反射媒体107、サーキュレーター110及び光受信部111は、送信側位置決め装置であり、送信器15の内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器15は、サーキュレーター110及び光受信部111を新たに備える点で送信器10と構成が異なる。送信器15のその他の構成については送信器10と同様である。以下、送信器10との相違点について説明する。
【0059】
サーキュレーター110は、第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有する。サーキュレーター110が有する第1ポートは、光源104に接続される。サーキュレーター110が有する第2ポートは、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106に接続される。サーキュレーター110が有する第3ポートは、光受信部111に接続される。第1ポートに入力された光信号は、第2ポートから出力される。第2ポートに入力された光信号は、第3ポートから出力される。第3ポートに入力された光信号は、第1ポートから出力される。
【0060】
例えば、サーキュレーター110の第1ポートには、光源104から出力された光波が入力される。サーキュレーター110の第1ポートに入力された光波は、第2ポートから出力される。例えば、サーキュレーター110の第2ポートには、受信器25から折り返された光波が入力される。サーキュレーター110の第2ポートに入力された光波は、第3ポートから出力される。
【0061】
光受信部111は、サーキュレーター110の第3ポートから出力された光波を受信する。光受信部111は、例えば受光器又はパワーメータである。光受信部111が受光器である場合、光受信部111は受信した光波を電気信号に変換して、電流値又は電圧値を取得する。光受信部111がパワーメータである場合、光受信部111は受信した光波の光の強度を取得する。
【0062】
受信器25は、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、反射板208とを備える。なお、受信器25が備える集光レンズ201、反射媒体202及び反射板208は、受信側位置決め装置であり、受信器25の内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器25は、コリメータレンズ204を備えない点、反射板208を新たに備える点で受信器20と構成が異なる。受信器25のその他の構成については受信器20と同様である。以下、受信器20との相違点について説明する。
【0063】
反射板208は、反射媒体202によって反射された光波を反射する。反射板208により反射された光波は、
図10の点線で示すように、反射媒体202で反射されて送信器15に折り返される。反射板208は、第2の反射部の一態様である。
【0064】
次に、通信システム200の動作について説明する。送信器15を設置するユーザは、送信側位置決め装置を備える送信器15を設置候補の場所に設置する。受信器25を設置するユーザは、受信側位置決め装置を備える受信器25を設置候補の場所に設置する。送信器15の光源104は、光波を出力する。光源104により出力された光波は、サーキュレーター110の第1ポートに入力される。サーキュレーター110の第1ポートに入力された光波は、サーキュレーター110の第2ポートから出力される。サーキュレーター110の第2ポートから出力された光波は、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106に入力される。コリメータレンズ106は、入力された光波を平行に変換して反射媒体107に出力する。コリメータレンズ106から出力された光波は、反射媒体107によって反射される。
【0065】
信号生成部101は、信号を生成する。信号生成部101は、生成した信号を送信部102に出力する。送信部102は、信号生成部101によって生成された信号を、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波としてアンテナ103を介して送信する。これにより、送信器15から出力された無線電波と、光波とが同軸上で伝送される。受信器25のアンテナ203は無線電波を受信する。送信器15から出力された光波は、反射媒体202により反射されて反射板208に向かう。反射媒体202により反射された光波は、反射板208により反射されて反射媒体202に向かう。反射板208により反射された光波は、反射媒体202により反射されて送信器15に伝送される。
【0066】
送信器15の反射媒体107は、受信器25により反射された光波を反射する。反射媒体107により反射された光波は、コリメータレンズ106に入力される。コリメータレンズ106に入力された光波は、光ファイバ105を介してサーキュレーター110の第2ポートに入力される。サーキュレーター110の第2ポートに入力された光波は、第3ポートから出力される。光受信部111は、サーキュレーター110の第3ポートから出力された光波を受信する。光受信部111は、受信した光波に基づいて、電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する。ユーザは、光受信部111により取得された電流値、電圧値又は光の強度のいずれかに基づいて、電流値、電圧値又は光の強度のいずれかが最も高くなるように送信器15のアンテナ103と、受信器25のアンテナ203の位置を決定する。
【0067】
以上のように構成された通信システム200によれば、送信器15が送信した光波を受信器25で反射させて折り返し、送信器15において光波を受信することで、送信器15の位置と受信器25の位置とを合わせて決定する。このように、送信器15の位置と受信器25の位置とを合わせて調整することで、第1の実施形態に比べて、より通信効率が高くなる位置決めが可能になる。
【0068】
(第2の実施形態における変形例1)
上述した実施形態では、送信器15が、送信器10と同様の方法でミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する構成を示した。送信器15は、送信器10a,10b,10c,10dのいずれかと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送するように構成されてもよい。このように構成される場合、送信器15は、送信器10a,10b,10c,10dのいずれかと同様の構成を備えることになる。例えば、送信器15が、送信器10aと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15は反射媒体107に代えて反射媒体107aを備える。例えば、送信器15が、送信器10bと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15はレンズ108をさらに備える。例えば、送信器15が、送信器10cと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15は放物面ミラー109をさらに備える。例えば、送信器15が、送信器10dと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15は反射媒体107を備えず、レンズ108及び放物面ミラー109をさらに備え、放物面ミラー109の開口部にコリメータレンズ106を設置する。
【0069】
(第2の実施形態における変形例2)
通信システム200における送信器15及び受信器25は、
図11に示す構成であってもよい。
図11は、第2の実施形態の変形例2における通信システム300の構成例を示す図である。通信システム300は、送信器15aと、受信器25aとを備える。
【0070】
送信器15aは、第1の実施形態における送信器10,10a,10b,10c,10dのいずれかの構成において複数波長の光波と、ミリ波又はテラヘルツ波の電波を同軸上で伝送させる。さらに、送信器15aは、受信器25aで折り返された光波を受信する。
【0071】
送信器15aは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107と、サーキュレーター110と、光受信部111と、可変光源112とを備える。なお、送信器15aが備える光ファイバ105、コリメータレンズ106、反射媒体107、サーキュレーター110、光受信部111及び可変光源112は、送信側位置決め装置であり、送信器15aの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器15aは、光源104に代えて可変光源112を備える点で送信器15と構成が異なる。送信器15aのその他の構成については送信器15と同様である。以下、送信器15との相違点について説明する。
【0072】
可変光源112は、複数の異なる波長の光波を出力する。例えば、可変光源112は、2波長λ1,λ2の光波を出力する。
【0073】
受信器25aは、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、コリメータレンズ204と、反射板208と、合分波器209と、光受信部210とを備える。なお、受信器25aが備える集光レンズ201、反射媒体202、反射板208、合分波器209及び光受信部210は、受信側位置決め装置であり、受信器25aの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器25aは、合分波器209及び光受信部210を新たに備える点で受信器25と構成が異なる。受信器25aのその他の構成については受信器25と同様である。以下、受信器25との相違点について説明する。
【0074】
合分波器209は、入力された光波を合分波する。例えば、合分波器209は、コリメータレンズ204から出力された複数波長の光波を波長毎に分波する。合分波器209は、例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ又はAWG(Arrayed Waveguide Grating)である。
【0075】
光受信部210は、合分波器209により分波された光波を受信する。光受信部210は、例えば受光器又はパワーメータである。光受信部210が受光器である場合、光受信部210は受信した光波を電気信号に変換して、電流値又は電圧値を取得する。光受信部210がパワーメータである場合、光受信部210は受信した光波の光の強度を取得する。
【0076】
次に、通信システム300の動作について説明する。送信器15aを設置するユーザは、送信側位置決め装置を備える送信器15aを設置候補の場所に設置する。受信器25aを設置するユーザは、受信側位置決め装置を備える受信器25aを設置候補の場所に設置する。送信器15aの可変光源112は、複数の異なる波長λ1,λ2の光波を出力する。可変光源112により出力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、サーキュレーター110の第1ポートに入力される。サーキュレーター110の第1ポートに入力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、サーキュレーター110の第2ポートから出力される。サーキュレーター110の第2ポートから出力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、光ファイバ105を介してコリメータレンズ106に入力される。コリメータレンズ106は、入力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波を平行に変換して反射媒体107に出力する。コリメータレンズ106から出力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、反射媒体107によって反射される。
【0077】
信号生成部101は、信号を生成する。信号生成部101は、生成した信号を送信部102に出力する。送信部102は、信号生成部101によって生成された信号を、ミリ波又はテラヘルツ波の無線電波としてアンテナ103を介して送信する。これにより、送信器15aから出力された無線電波と、複数の異なる波長λ1,λ2の光波とが同軸上で伝送される。受信器25aのアンテナ203は無線電波を受信する。送信器15aから出力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、反射媒体202により反射されてコリメータレンズ204に入力される。コリメータレンズ204に入力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波は、合分波器209に入力される。合分波器209は、入力された複数の異なる波長λ1,λ2の光波を波長毎に分波する。例えば、合分波器209により分波された波長λ1の光波は光受信部210に出力され、波長λ2の光波は反射板208に出力される。
【0078】
光受信部210は、合分波器209から出力された波長λ
1の光波を受信する。光受信部210は、受信した波長λ
1の光波に基づいて、電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する。反射板208は、合分波器209から出力された波長λ
2の光波を反射する。このように、反射板208は、反射媒体202によって反射された1以上の波長の光波(
図11の例では、波長λ
1,λ
2の光波)のうち少なくとも1波長の光波(
図11の例では、波長λ
2の光波)を反射する。反射板208により反射された波長λ
2の光波は、合分波器209及びコリメータレンズ204を介して反射媒体202により反射されて送信器15aに伝送される。
【0079】
送信器15aの反射媒体107は、受信器25により反射された波長λ2の光波を反射する。反射媒体107により反射された波長λ2の光波は、コリメータレンズ106に入力される。コリメータレンズ106に入力された波長λ2の光波は、光ファイバ105を介してサーキュレーター110の第2ポートに入力される。サーキュレーター110の第2ポートに入力された波長λ2の光波は、第3ポートから出力される。光受信部111は、サーキュレーター110の第3ポートから出力された波長λ2の光波を受信する。光受信部111は、受信した波長λ2の光波に基づいて、電流値、電圧値又は光の強度のいずれかを取得する。
【0080】
ユーザは、光受信部111により取得された電流値、電圧値又は光の強度のいずれかと、光受信部210により取得された電流値、電圧値又は光の強度のいずれかとに基づいて、電流値、電圧値又は光の強度のいずれかが最も高くなるように送信器15aのアンテナ103と、受信器25aのアンテナ203の位置を決定する。このように、送信側と受信側にそれぞれ、光受信器もしくはパワーメータを設置し、その双方で電流、電圧、光の強度のいずれかが最も高くなるように送信器15aのアンテナ103の位置と、受信器25aのアンテナ203の位置とを決定することで、送信側と受信側の位置決めをより高精度に、かつ簡易に実施することが可能になる。
【0081】
図11に示す送信器15a及び受信器25aの構成は、サーキュレーター110、合分波器209の構成に限定されない。例えば、
図11に示す例では、2波長を用いているため、サーキュレーター110や合分波器209の代わりに2×2の光カプラとWDMフィルタの組み合わせでも同様の効果が得られる。
【0082】
図11に示す例では、送信器15aが、送信器10と同様の方法でミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する構成を示した。送信器15aは、送信器10a,10b,10c,10dのいずれかと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送するように構成されてもよい。このように構成される場合、送信器15aは、送信器10a,10b,10c,10dのいずれかと同様の構成を備えることになる。例えば、送信器15aが、送信器10aと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15aは反射媒体107に代えて反射媒体107aを備える。例えば、送信器15aが、送信器10bと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15aはレンズ108をさらに備える。例えば、送信器15aが、送信器10cと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15aは放物面ミラー109をさらに備える。例えば、送信器15aが、送信器10dと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する場合には、送信器15aは反射媒体107を備えず、レンズ108及び放物面ミラー109をさらに備え、放物面ミラー109の開口部にコリメータレンズ106を設置する。
【0083】
(第2の実施形態における変形例3)
通信システム200における送信器15及び受信器25は、
図12に示す構成であってもよい。
図12は、第2の実施形態の変形例3における通信システム400の構成例を示す図である。通信システム400は、送信器15と、受信器25bとを備える。なお、通信システム400が備える送信器15は、
図10に示す送信器15と同様である。
【0084】
受信器25bは、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、コリメータレンズ204と、反射板208と、光受信部210と、合分岐器211とを備える。なお、受信器25bが備える集光レンズ201、反射媒体202、コリメータレンズ204、反射板208、光受信部210及び合分岐器211は、受信側位置決め装置であり、受信器25bの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器25bは、合分波器209に代えて合分岐器211を備える点で受信器25aと構成が異なる。受信器25bのその他の構成については受信器25aと同様である。以下、受信器25aとの相違点について説明する。
【0085】
合分岐器211は、コリメータレンズ204から出力された光波を反射板208と光受信部210に分岐する。
【0086】
図12に示す例では、送信器15が、送信器10と同様の方法でミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送する構成を示した。送信器15は、送信器10a,10b,10c,10dのいずれかと同様の方法で、ミリ波又はテラヘルツ波の電波と、光波を同軸上で伝送するように構成されてもよい。
【0087】
(第2の実施形態における変形例4)
通信システム200における送信器15及び受信器25は、
図13に示す構成であってもよい。
図13は、第2の実施形態の変形例4における通信システム500の構成例を示す図である。通信システム500は、送信器15bと、受信器25cとを備える。
【0088】
送信器15bは、信号生成部101と、送信部102と、アンテナ103と、光ファイバ105と、コリメータレンズ106と、反射媒体107と、サーキュレーター110と、光受信部111と、可変光源112bとを備える。なお、送信器15bが備える光ファイバ105、コリメータレンズ106、反射媒体107、サーキュレーター110、光受信部111及び可変光源112bは、送信側位置決め装置であり、送信器15bの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。送信器15bは、可変光源112に代えて可変光源112bを備える点で送信器15aと構成が異なる。送信器15bのその他の構成については送信器15aと同様である。以下、送信器15aとの相違点について説明する。
【0089】
可変光源112bは、複数の異なる波長の光波を出力する。例えば、可変光源112bは、3波長λ1,λ2,λ3の光波を出力する。可変光源112bは、波長λ3の光波をキャリアとして変調信号を送信する。
【0090】
受信器25bは、集光レンズ201と、反射媒体202と、アンテナ203と、コリメータレンズ204と、反射板208と、合分波器209と、光受信部210と、光受信部212とを備える。なお、受信器25bが備える集光レンズ201、反射媒体202、反射板208、合分波器209、光受信部210及び光受信部212は、受信側位置決め装置であり、受信器25bの内部に備えられず、外部に備えられてもよい。受信器25bは、光受信部212を新たに備える点で受信器25aと構成が異なる。受信器25bのその他の構成については受信器25aと同様である。以下、受信器25aとの相違点について説明する。
【0091】
光受信部212は、波長λ3の光波を受信する。これにより、無線伝送+光空間伝送の組み合わせにより同一空間上での伝送帯域を拡張することができる。
【0092】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10、10a、10b、10c、10d、15、15a、15b…送信器, 20、20a、20b、20c、25、25a、25b、25c…受信器, 101…信号生成部, 102…送信部, 103、203…アンテナ, 104…光源, 105…光ファイバ, 106、204…コリメータレンズ, 107、202…反射媒体, 108…レンズ, 109…放物面ミラー, 110…サーキュレーター, 111…光受信部, 112、112b…可変光源, 201…集光レンズ, 205…受光器, 206…光受信素子, 207…RF受信素子, 208…反射板, 209…合分波器, 210、212…光受信部, 211…合分岐器, 100、200、300、400、500…通信システム