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  • 特開-粘着材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031536
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】粘着材
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/04 20060101AFI20240229BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20240229BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C09J183/04
C09K3/00 103K
C09K3/00 103L
C09J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135172
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】萩原 南
(72)【発明者】
【氏名】小平 広和
(72)【発明者】
【氏名】浦田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】穂積 篤
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EK031
4J040EK032
4J040KA03
4J040MB11
(57)【要約】
【課題】優れた粘着性を有する粘着材の提供。
【解決手段】本開示の粘着材は、ポリマーで構成される網目構造中にオイルを含有するオルガノゲルを備え、且つ前記オルガノゲル表面に前記オイルが存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーで構成される網目構造中にオイルを含有するオルガノゲルを備え、且つ前記オルガノゲル表面に前記オイルが存在する、粘着材。
【請求項2】
25℃における前記オイルの粘度が、5,000~1,000,000mPa・sである、請求項1に記載の粘着材。
【請求項3】
前記ポリマー100質量部に対する前記オイルの含有量が、50~500質量部である、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項4】
前記ポリマーが、主剤と硬化剤とを反応させて得たポリマーであり、且つ前記硬化剤1質量部に対し前記主剤を質量基準で、10~50質量部反応させて得たポリマーである、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項5】
前記ポリマーが、シリコーン樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項6】
前記オルガノゲルの厚みが、10μm~50,000μmである、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項7】
前記オルガノゲルが、粒子を含有する、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項8】
基材をさらに備え、且つ前記オルガノゲルは前記基材の一方の面又は両面の少なくとも一部に配置される、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項9】
前記基材が網目形状を有する、請求項8に記載の粘着材。
【請求項10】
異物捕捉部材である、請求項1又は2に記載の粘着材。
【請求項11】
油で汚染された異物への吸着性又は粘着性を有する、請求項1又は2に記載の粘着材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粘着材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、埃、虫等を捕捉することを目的として、基材及び粘着層を備える粘着材が使用されている。例えば、特許文献1においては、基材及び感圧型接着剤からなる粘着層を備える粘着材が提案されている。そして、通常、上記粘着材には、優れた粘着性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-053193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、優れた粘着性を有する粘着材の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
<1> ポリマーで構成される網目構造中にオイルを含有するオルガノゲルを備え、且つ上記オルガノゲル表面に上記オイルが存在する、粘着材。
<2> 25℃における上記オイルの粘度が、5,000~1,000,000mPa・sである、上記<1>に記載の粘着材。
<3> 上記ポリマー100質量部に対する上記オイルの含有量が、50~500質量部である、上記<1>又は<2>に記載の粘着材。
<4> 上記ポリマーが、主剤と硬化剤とを反応させて得たポリマーであり、且つ上記硬化剤1質量部に対し上記主剤を質量基準で、10~50質量部反応させて得たポリマーである、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の粘着材。
<5> 上記ポリマーが、シリコーン樹脂を含有する、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の粘着材。
<6> 上記オルガノゲルの厚みが、10μm~50,000μmである、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の粘着材。
<7> 上記オルガノゲルが、粒子を含有する、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の粘着材。
<8> 基材をさらに備え、且つ上記オルガノゲルは上記基材の一方の面又は両面の少なくとも一部に配置される、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の粘着材。
<9> 上記基材が網目形状を有する、上記<8>に記載の粘着材。
<10> 異物捕捉部材である、上記<1>~<9>のいずれか1つに記載の粘着材。
<11> 油で汚染された異物への吸着性又は粘着性を有する、上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の粘着材。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、優れた粘着性を有する粘着材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(A)及び(B)は、本開示の粘着材の一実施形態を示す模式断面図である。
図2図2は、本開示の粘着材の一実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示の実施形態は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示の実施形態を制限するものではない。
【0009】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
【0010】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率及び含有率は、特に記載しない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率及び含有率を意味する。
【0011】
本開示において、「オルガノゲル」とは、ポリマーで構成された網目構造中にオイルを含有するゲルを意味する。
【0012】
なお、本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
【0013】
[粘着材]
本開示の粘着材は、ポリマーで構成される網目構造中にオイルを含有するオルガノゲルを備え、且つ前記オルガノゲル表面に前記オイルが存在する。
本開示の粘着材は優れた粘着性を有する。その作用機構は定かではないが、概ね以下のように推定している。
本開示の粘着材が備えるオルガノゲルは、網目構造を有し、前記網目構造中に粘性の高いオイルが含有されている。オルガノゲルの網目構造からオイルが染み出し、オルガノゲル表面に満遍なく存在することとなるため、優れた粘着性を示すと推定される。
【0014】
オルガノゲルの厚みは、10μm~50,000μmが好ましく、30μm~30,000μmがより好ましく、50μm~10,000μmがさらに好ましい。
オルガノゲルの厚みが10μm以上であることにより、オルガノゲルが有する網目構造内部からのオイルの染み出しが容易となる。オルガノゲルの厚みが50,000μm以下であることにより、耐傷性向上による持続性を有し、粘着材の繰り返し使用適性を向上できる。
【0015】
オルガノゲルが有する網目構造を構成するポリマーは、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂(以下、特定樹脂とも記す。)を含有でき、油で汚染したダスト等の吸着及び油で汚染された表面への粘着性を担保する観点からは、シリコーン樹脂が好ましい。
【0016】
粘着性をより向上する観点から、オルガノゲルの総質量に対するポリマーの含有率は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。上記含有率の下限は特に限定されるものではないが、10質量%以上とできる。
粘着性をより向上する観点から、ポリマーの総質量に対する特定樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%が特に好ましく、100質量%であってもよい。
【0017】
オルガノゲルが有する網目構造中に含有され、且つオルガノゲル表面に存在するオイルの25℃における粘度は、粘着性をより向上する観点から、5,000~1,000,000mPa・sが好ましく、30,000~~1,000,000mPa・sがより好ましく、60,000~~1,000,000mPa・sがさらに好ましく、100,000~~1,000,000mPa・sが特に好ましい。
また、上記粘度を10,000mPa・s以上とすることにより、粘着材の繰り返しの使用が可能となる。
具体的には、図1(A)に示すように、表面にオイル2が存在するオルガノゲル1を備える粘着材10のオイル2上に異物3が付着した場合、図1(B)に示すように、オルガノゲル1が有する網目構造内部からオイル2が染み出し、異物3を覆うこととなり、粘着性を発揮する。そのため、本開示の粘着材は、異物が付着した後であっても繰り返しの使用が可能となる。
図1(B)においては、オイル2が、異物3の全体を覆う構成を示したが、図2に示すように、オイル2は、異物3の少なくとも一部を覆っていてもよい。
なお、オイルの粘度は、ウベローデ粘度計、E型粘度計等により測定する。
【0018】
オルガノゲルの総質量に対するオイルの含有率は、30~95質量%が好ましく、35~90質量%がより好ましく、40~85質量%がさらに好ましい。
上記含有率を30質量%以上とすることにより、粘着材の粘着性及び繰り返し使用適性を向上できる。また、上記含有率を95質量%以下とすることにより、良好なオルガノゲル形成が可能となる。
また、オルガノゲルにおいて、網目構造を構成するポリマー100質量部に対するオイルの含有量は、50~500質量部が好ましく、70~450質量部がより好ましく、90~400質量部がさらに好ましく、100~350質量部が特に好ましい。
上記含有量を50質量部以上とすることにより、粘着材の粘着性及び繰り返し使用適性を向上できる。また、上記含有量を500質量部以下とすることにより、良好なオルガノゲル形成が可能となる。
なお、本開示において、オイルの含有率及び含有量には、オルガノゲルの表面に存在するオイル及び網目構造中に含有されるオイルの含有量が含まれる。
【0019】
ポリマーは、主剤と硬化剤とを反応させて得たポリマーであってもよく、この場合、硬化剤1質量部に対し主剤を質量基準で、10~50質量部反応させて得たポリマーである
ことが好ましく、10~40質量部反応させて得たポリマーであることがより好ましく、20~40質量部反応させて得たポリマーであることがさらに好ましい。
上記比を10質量部以上とすることにより、粘着材の粘着性をより向上できる。上記比を50質量部以下とすることにより、良好なオルガノゲル形成が可能となり、且つ粘着材の繰り返し使用適性を向上できる。
【0020】
上記主剤としては、両末端にビニル基が導入されたシロキサン化合物を含有できる。シロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、ビニルメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体等が挙げられる。
上記硬化剤は、上記した主剤を硬化できるものであればよく、例えば、ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサンを使用できる。
上記主剤と硬化剤との反応には、触媒を使用してもよく、例えば、白金系触媒を使用できる。
【0021】
オイルとしては、粘着性を有するオイルであれば、特に限定されることなく使用でき、シリコーンオイル、変性フェニルエーテル、ポリエチレングリコール、変性ポリアクリレート等を使用でき、粘着材の粘着性及び繰り返し使用適性を向上する観点からは、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、これらの変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0022】
オルガノゲルの表面に存在するオイルの量は、オルガノゲルの製造時におけるオイルの使用量の調整、製造するオルガノゲルの架橋の程度の調整等を行うことにより制御できる。
【0023】
オルガノゲルは、粒子を含有してもよく、これにより、ゲルの機械的耐久性、化学的耐久性等を向上できる。また、粘着材の比表面積を向上でき、粘着性をより向上できる。
粒子としては、シリカ粒子、シロキサン粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、銀粒子、金粒子、白金粒子、磁性粒子等が挙げられる。粒子は、ビニル基、ヒドロシリル基等が表面に導入されていてもよい。
【0024】
粘着性をより向上する観点から、オルガノゲルの総質量に対する粒子の含有率は、0.1~10質量%が好ましく、0.5~8質量%以上がより好ましい。
【0025】
オルガノゲルの可視光線透過率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。
粘着材が後述する基材を備え、且つオルガノゲルの可視光線透過率を50%以上とすることにより、基材の両面にオルガノゲルを設けた場合であっても、基材の色味の視認が可能となる。基材を害虫等が好む色味とする場合、粘着材の意匠性を向上させる場合等に基材の色味を視認できることは有利である。
なお、本開示において、オルガノゲルの可視光線透過率は分光透過率測定装置により測定される波長550nmの光の透過率である。用途によっては不透明であっても良い。
【0026】
本開示の粘着材は、基材を備えていてもよい。粘着材が基材を備える場合、オルガノゲルは基材の一方の面又は両面の少なくとも一部に配置される。
基材の材質としては、紙、樹脂フィルム、合成紙、ガラス、アルミニウム、鉄、ステンレス、鋼板、銅板等の金属、これらの積層体などが挙げられる。
紙としては、上質紙、中質紙、更紙、中性紙、酸性紙、コート紙、マシンコート紙、アート紙、キャストコート紙、微塗工紙、トレーシングペーパー、再生紙、樹脂を含浸させた紙等を挙げられる。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム等を挙げられる。
合成紙の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を二軸延伸してミクロボイドを多数形成したもの(ユポ等)や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成繊維からなるものなどが挙げられる。
基材は、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよく、これにより、オルガノゲルとの密着性を向上できる。
また、基材の形状は、特に限定されず、例えば、網目形状を有してもよく、これにより、オルガノゲルとの密着性を向上できる。
また、基材は、害虫等が好む色味を有してもよく、例えば、黄色、橙色等が挙げられる。
【0027】
基材の厚みは、特に限定されず、例えば、50μm~5mmであってもよい。
【0028】
本開示の粘着材は、JIS Z 0237(2009)に準拠する傾斜式ボールタック試験により測定される。上記方法により測定されるボールの最大直径は、10mm以上が好ましく、13.5mm以上がより好ましく、15.0mm以上がさらに好ましい。
傾斜式ボールタック試験は、具体的には、以下の通り行う。
まず、粘着材を幅25mm、長さ100mmとなるようにカットし、試験片とし、試験片の上端及び下端を粘着テープにより傾斜板に貼り付ける。なお、傾斜板の標準角度は30°とする。
次いで、助走路の長さが100mmとなるようにボールを配置(スタート位置の調整)し、傾斜板上を転がし、固定した試験片上で停止(5秒間ボールが動かない状態)させる。
ボールの直径を徐々に大きくし、停止(5秒間ボールが動かない状態)するボールの最大直径を求める。なお、ボールの大きさを変更する際には、上記スタート位置の調整及び試験片の清浄を行う。
上記ボールの最大直径を3枚の試験片について測定し、平均値を求め、上記最大直径とする。
【0029】
本開示の粘着材は、油で汚染された異物への吸着性又は粘着性を有することが好ましい。
具体的には、油で汚染されたボールを用いて、JIS Z 0237(2009)に準拠して、下記傾斜式ボールタック試験により測定されるボールの最大直径は5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。
まず、粘着材を幅25mm、長さ100mmとなるようにカットし、試験片とし、試験片の上端及び下端を粘着テープにより傾斜板に貼り付けることにより、傾斜板の所定の位置に、標準角度30°で固定する。
助走路の長さが100mmとなるように、粘度5mPa・sのシリコーンオイルを塗布したボールを配置(スタート位置の調整)し、傾斜板上を転がす。
ボールの直径を徐々に大きくし、停止(5秒間ボールが動かない状態)するボールの最大直径を求めた。なお、ボールの大きさを変更する際には、上記スタート位置の調整及び試験片の清浄を行った。
上記ボールの最大直径を3枚の試験片について測定し、平均値を求め、上記ボールの最大直径とする。
【0030】
本開示の粘着材は、異物捕捉部材として好適に用いることができる。
本開示において、異物捕捉部材とは、埃等の異物を表面に粘着させることができる部材を指す。前記異物には、埃以外に、虫、油、砂、花粉、金属粉等が包含される。
異物捕捉部材の具体例としては、作業場用、クリーンルーム用、加熱炉出入口用、家庭用等のダストキャッチャー、害虫等の捕虫シート、レンジフード等のオイルキャッチシートなどが挙げられる。
【実施例0031】
以下、実施例によって本開示の実施形態を詳細に説明する。ただし、本開示の実施形態はこれらに限定されない。本開示において、例1~例20は実施例である。
【0032】
<例1>
主剤及び硬化剤を含有する組成物(ダウコーニング社製、Sylgard184、主剤:硬化剤=20:1(質量基準))1質量部と、シリコーンオイル2質量部とを混合した。
なお、上記主剤は、両末端にビニル基が導入されている変性ポリジメチルシロキサンと、2,2-ジメチルビニル基、1,2-ジメチルビニル基及びトリメチルメチル基が表面に導入されている表面処理シリカフィラーと、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランと、エチルベンゼンと、白金系触媒とを含む。
上記硬化剤は、ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサンと、両末端にビニル基が導入されている変性ポリジメチルシロキサンと、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンと、2,2-ジメチルビニル基、1,2-ジメチルビニル基及びトリメチルメチル基が表面に導入されている表面処理シリカフィラーと、エチルベンゼンとを含む。
【0033】
上記混合物を、板厚1mmのアルミニウム板上に塗布し、オーブンを用いて、80℃で3時間加熱して、硬化させ、網目構造中にシリコーンオイルが含有されたオルガノゲルを備え、オルガノゲルの表面にシリコーンオイルが存在する粘着材を得た。粘着材は、透明であり、可塑性を有していた。粘着剤の可視光透過率を上記方法により測定したところ、93.6%であった。以降の例についても同様に測定し、表にまとめた。
上記シリコーンオイルの25℃における粘度(表1においては、単に「オイルの粘度」と記載する。)は、1,000,000mPa・sであった。
上記粘着材において、ポリマーの含有量100質量部に対するオイルの質量の含有量の比(表1においては、単に「含有量比」と記載する。)は、200であった。
【0034】
<例2~20>
主剤と硬化剤との使用量の比、シリコーンオイルの粘度及びポリマーの含有量100質量部に対するオイルの質量の含有量の比からなる群より選択される少なくとも1つの条件を表1に記載する条件に変更した以外は、例1と同様にして粘着材を製造した。
【0035】
<<粘着性評価>>
JIS Z 0237(2009)に準拠して、下記傾斜式ボールタック試験を行った。
具体的には、まず、上記例1~20において得られた粘着材を幅25mm、長さ100mmとなるようにカットし、試験片とし、試験片のアルミニウム板側表面の上端及び下端を粘着テープにより傾斜板に貼り付けることにより、傾斜板(標準角度30°)の所定の位置に固定した。
助走路の長さが100mmとなるようにボールを配置(スタート位置の調整)した。
傾斜板上を転がし、固定した試験片上で停止(5秒間ボールが動かない状態)させた。
ボールの直径を徐々に大きくし、停止(5秒間ボールが動かない状態)するボールの最大直径を求めた。なお、ボールの大きさを変更する際には、上記スタート位置の調整及び試験片の清浄を行った。
上記ボールの最大直径を3枚の試験片について測定し、平均値を求め、表1に示した。
【0036】
<<油で汚染された異物への吸着性又は粘着性評価>>
JIS Z 0237(2009)に準拠して、下記傾斜式ボールタック試験を行った。
具体的には、まず、上記例1~20において得られた粘着材を幅25mm、長さ100mmとなるようにカットし、試験片とし、試験片のアルミニウム板側表面の上端及び下端を粘着テープにより傾斜板に貼り付けることにより、傾斜板(標準角度30°)の所定の位置に固定した。
助走路の長さが100mmとなるように、粘度5mPa・sのシリコーンオイルを塗布したボールを配置(スタート位置の調整)した。
傾斜板上を転がし、固定した試験片上で停止(5秒間ボールが動かない状態)させた。
ボールの直径を徐々に大きくし、停止(5秒間ボールが動かない状態)するボールの最大直径を求めた。なお、ボールの大きさを変更する際には、上記スタート位置の調整及び試験片の清浄を行った。
上記ボールの最大直径を3枚の試験片について測定し、平均値を求め、表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、例1~20の粘着材は、傾斜式ボールタック試験を行うことにより測定されるボールの最大直径が10mm以上であり、優れた粘着性を有することが分かる。
また、例1~20の粘着材は、油で汚染された異物への吸着性又は粘着性を有することが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1:オルガノゲル、2:オイル、3:異物、10:粘着材
図1
図2