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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046293
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】イリジウム錯体化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20240327BHJP
   C07D 213/16 20060101ALI20240327BHJP
   C07D 213/26 20060101ALI20240327BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20240327BHJP
   C07D 213/38 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C07F15/00 E
C07D213/16
C07D213/26
C07D405/04
C07D213/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151597
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】縣 亮介
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4H050
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA08
4C055BA13
4C055BA27
4C055BB04
4C055CA01
4C055DA01
4C055GA02
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC76
4C063DD15
4H050AA02
4H050WB11
4H050WB14
4H050WB17
4H050WB21
4H050WB22
(57)【要約】
【課題】下記(ア)~(コ);
(ア)メカノケミカル法により反応させる工程を含む、
(イ)反応収率が高い、
(ウ)反応時間が短い、
(エ)有機溶媒溶解性が低く従来使用できなかった配位子化合物等、多様な化合物を反応原料とする、
(オ)有機溶媒の使用量が少ない、
(カ)反応操作が簡便である、
(キ)コスト面で有利である、
(ク)反応段数が削減されている、
(ケ)One-potで実施可能である、
(コ)反応雰囲気・温度の調製・制御が簡便である、
からなる群より選ばれる1つ以上を満足する、イリジウム錯体化合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項2】
ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化1】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化2】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化3】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項3】
ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化4】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に機械的エネルギーを加え、メカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(3):
【化5】
(式(3)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化6】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項4】
式(3):
【化7】
(式(3)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化8】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物と、
下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分に機械的エネルギーを加え、メカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化9】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、L11、L12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化10】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項5】
下記(工程1)及び(工程2);
(工程1)少なくとも、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分を、メカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
(工程2)下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分を、前記工程1終了後のメカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
を含む、式(2):
【化11】
(式(2)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化12】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(2)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項6】
前記ハロゲンイオン捕捉剤が銀化合物である、請求項4又は5に記載のイリジウム錯体化合物の製造方法。
【請求項7】
前記メカノケミカル法により反応させる工程が、反応成分の合計1mmol当り0.7mL以下の溶媒存在量条件及び/又は反応容器内温度が60℃以上500℃以下の温度条件で行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イリジウム錯体化合物の製造方法に関する。詳しくは、メカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリスシクロメタル化イリジウム(III)錯体等のイリジウム(III)錯体は、有機発光ダイオード(OLED)、光酸化還元触媒、バイオイメージング蛍光プローブ、センサー、リン光発光物質等に用いられる魅力的な材料として、広く関心を集めている。
特許文献1~8には、多様なイリジウム(III)錯体について記載されている。
【0003】
トリスシクロメタル化イリジウム(III)錯体は、例えば、3塩化イリジウム等のハロゲン化イリジウム化合物と、2-フェニルピリジン(ppy)等の芳香族複素環2座配位子とを反応させて、式4z;
Ir-[L] 4z
(式4z中、Lは配位子であり、複数のLは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム(III)錯体を1段階で合成する合成方法が知られている。しかしながら、この合成方法は、主たる生成物が式3z;
【化1】
(式3z中、Lは配位子であり、複数のLは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xはハロゲンであり、複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマーであり、前記式4zで表されるイリジウム(III)錯体を高収率で合成することはできなかった。
【0004】
また、例えば、3塩化イリジウム等のハロゲン化イリジウム化合物と、2-フェニルピリジン(ppy)等の芳香族複素環2座配位子とを反応させて、式3z;
【化2】
(式3z中、Lは配位子であり、複数のLは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xはハロゲンであり、複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマーを1段目の反応で合成した後に、式3zで表されるハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマーと、銀塩等のハロゲンイオン捕捉剤とを2段目で反応させ、下記式(II);
Ir-[L] 4z
で表されるイリジウム(III)錯体を合成する方法が知られている。しかしながら、この合成反応は、式3zで表されるハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマーの有機溶媒溶解性が低く、多段反応である等の理由から、大量の有機溶媒と長時間の反応等が必要である。このため、作業者の作業環境及び安全性、地球環境保護、及び使用後の有機溶媒処理時の環境負荷等の観点で問題が生じるおそれがある。さらに、式4zで表されるイリジウム(III)錯体の収率が低いという問題があった。
【0005】
このように、イリジウム(III)錯体の作成に際しては、反応収率が低く、使用する原料化合物が限定され、反応時間が長く、大量の高沸点溶剤を必要とし、多段階の合成反応であり、不活性ガス下での反応を行う等の必要があり、反応収率、純度、生産コスト、環境問題等で改善すべき点が多く存在している。
【0006】
一方で、本発明者らは、メカノケミカル法を用いた有機合成反応について鋭意研究を行ってきた。メカノケミカル法は、摩砕、せん断、衝撃、圧縮等の手段により機械的エネルギーを固体の反応原料に対して加え、固体原料を活性化させ、反応原料同士を直接接触させて行う有機合成反応方法である。メカノケミカル法を用いた有機合成反応は、有機溶媒を使用しないか使用した場合も極微量とどまり、溶媒溶解性の低い反応原料であっても使用することが可能であると同時に、環境負荷も低いことから、学術的にも工業的にも興味深い。
本発明者らは、特許文献9により、実質的に有機溶媒を使用することなく、温和な反応条件で、比較的短時間で、効率よくクロスカップリング反応を行うことができるメカノケミカル反応方法を提案した。このメカノケミカル反応方法は、C-N、C-B、C-C、C-O及びC-S結合から選択される化学結合を比較的効率よく形成することができ、クロスカップリング反応を効率よく行うことが可能であることから、高収率で反応生成物を得ることができる。しかしながら、メカノケミカル法を用いた有機合成反応によりイリジウム錯体を製造することについて、記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2003-526876号公報
【特許文献2】特開2014-131973号公報
【特許文献3】特開2015-189687号公報
【特許文献4】特開2022-17658号公報
【特許文献5】国際公開第2015/087961号
【特許文献6】国際公開第2016/194784号
【特許文献7】国際公開第2019/093369号
【特許文献8】特開2021-113186号公報
【特許文献9】特許第7023019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、下記(ア)~(コ);
(ア)メカノケミカル法により反応させる工程を含む、
(イ)反応収率が高い、
(ウ)反応時間が短い、
(エ)有機溶媒溶解性が低く従来使用できなかった配位子化合物等、多様な化合物を反応原料とする、
(オ)有機溶媒の使用量が少ない、
(カ)反応操作が簡便である、
(キ)コスト面で有利である、
(ク)反応段数が削減されている、
(ケ)One-potで実施可能である、
(コ)反応雰囲気・温度の調製・制御が簡便である、
からなる群より選ばれる1つ以上を満足する、イリジウム錯体化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加え、前記ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と前記配位子化合物の1種以上をメカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
【0010】
[項1] ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法。
【0011】
[項2] ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化3】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に機械的エネルギーを加え、メカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化4】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化5】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【0012】
[項3] ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化6】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(3):
【化7】
(式(3)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化8】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【0013】
[項4] 式(3):
【化9】
(式(3)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化10】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物と、
下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分に機械的エネルギーを加え、メカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化11】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、L11、L12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化12】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【0014】
[項5] 下記(工程1)及び(工程2);
(工程1)少なくとも、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分を、メカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
(工程2)下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分を、前記工程1終了後のメカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
を含む、式(2):
【化13】
(式(2)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化14】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(2)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法。
【0015】
[項6] 前記ハロゲンイオン捕捉剤が銀化合物である、項4又は5に記載のイリジウム錯体化合物の製造方法。
【0016】
[項7] 前記メカノケミカル法により反応させる工程が、反応成分の合計1mmol当り0.7mL以下の溶媒存在量条件及び/又は反応容器内温度が60℃以上500℃以下の温度条件で行われる、項1~6のいずれか1項に記載のイリジウム錯体化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、下記(ア)~(コ);
(ア)メカノケミカル法により反応させる工程を含む、
(イ)反応収率が高い、
(ウ)反応時間が短い、
(エ)有機溶媒溶解性が低く従来使用できなかった配位子化合物等、多様な化合物を反応原料とする、
(オ)有機溶媒の使用量が少ない、
(カ)反応操作が簡便である、
(キ)コスト面で有利である、
(ク)反応段数が削減されている、
(ケ)One-potで実施可能である、
(コ)反応雰囲気・温度の調製・制御が簡便である、
からなる群より選ばれる1つ以上を満足する、イリジウム錯体化合物の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
【0019】
[第1発明]
本発明における第1発明は、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、イリジウム錯体化合物の製造方法である。
【0020】
<ハロゲン化イリジウム化合物>
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられるハロゲン化イリジウム化合物は、イリジウムとハロゲンを含む化合物であり、配位子化合物と反応してイリジウム錯体化合物を合成し得るものであれば、特に限定されない。例えば、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム等のハロゲン化イリジウム;塩化イリジウム酸ナトリウム、塩化イリジウム酸カリウム等のハロゲン化イリジウム塩;これらの化合物の水和物;Ir(acac)3錯体、Irシクロオクタジエニル錯体等のイリジウム錯体のハロゲン化水素処理物(系中にハロゲン化イリジウムを含む);等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0021】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、ハロゲン化イリジウム、ハロゲン化イリジウム塩、これらの水和物からなる群より選ばれる1種以上が好ましくは、ハロゲン化イリジウム又はその水和物からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウム、それらの水和物からなる群より選ばれる1種以上がさらに好ましい。
【0022】
<配位子化合物>
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物は、2座配位子化合物を必須成分として含み1座配位子化合物を含んでいてもよい、イリジウム錯体化合物の所期の特性を損なわない配位子であれば、特に限定されない。イリジウム錯体化合物のイリジウム原子と配位子化合物との結合様式についても特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2座配位子化合物の窒素原子及び炭素原子で結合する様式、2座配位子化合物の2つの窒素原子で結合する様式、2座配位子化合物の2つの炭素原子で結合する様式、2座配位子化合物の炭素原子及び酸素原子で結合する様式、2座配位子化合物の2つの酸素原子で結合する様式等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0023】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる2座配位子化合物としては、例えば、アセチルアセトナト型の2座配位子を生成する1,3-ジオン系化合物が挙げられる。1,3-ジオン系化合物としては、例えば、アセチルアセトン、4,4,4-トリフルオロ-1-フェニル-1,3-ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン、オキシン、2-メチルオキシン、オキシン-5-スルホン酸、ジメチルグリオキシム、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、サリチルアルデヒド等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。本発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、1,3-ジオン系化合物として、アセチルアセトン、ベンゾインアセトン、ジメチルグリオキシム、サリチルアルデヒドからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、アセチルアセトンがより好ましい。
【0024】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる2座配位子化合物としては、例えば、式(1):
【化15】
【0025】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表す。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表す。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物が挙げられる。
【0026】
上記式(1)において、環Cy11は、炭素原子C11及び原子A11を含む6員環または5員環の、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、環Cy12は、炭素原子C12及び窒素原子N11を含む6員環または5員環の芳香族複素環を表す。6員環または5員環の、芳香族炭化水素環または芳香族複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環等が挙げられ、中でもベンゼン環、ピリジン環が好ましく、ベンゼン環であることがさらに好ましい。6員環または5員環の芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環等が挙げられ、中でもピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環が好ましく、ピリジン環、オキサゾール環、チアゾール環がさらに好ましい。
【0027】
環Cy11上の水素原子は、a個のR11で置換されていてもよく、環Cy12上の水素原子は、b個のR12で置換されていてもよい。ここで、aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
これらのうち、R11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素数3~20の(ヘテロ)アリール基、炭素数3~20のハロゲン置換(ヘテロ)アリール基からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0028】
環Cy11及び環Cy12において、互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。
【0029】
環Cy11及び環Cy12において、互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12が結合して形成される環の具体例としては、例えば、フルオレン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、クリセン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環、テトラヒドロナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザフェナントレン環、アザトリフェニレン環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環等が挙げられる。中でも、フルオレン環、ナフタレン環、カルバゾール環、カルボリン環、キノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、アザトリフェニレン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環が好ましい。
【0030】
これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0031】
アルキル基として、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、直鎖ハロゲン化アルキル基、分岐ハロゲン化アルキル基、環状ハロゲン化アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソペンチル基、シクロヘキシル基、これらのハロゲン置換アルキル基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、これらのハロゲン置換基等の直鎖アルキル基又は直鎖ハロゲン化アルキル基が好ましい。
【0032】
アルコキシ基中のアルキル基としては、前記アルキル基と同様の基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。中でも、メトキシ基、ヘキシルオキシ基が好ましい。
【0033】
アリール基は、1個の遊離原子価を有する芳香族炭化水素基である。
ヘテロアリール基としては、1個の遊離原子価を有する芳香族複素環基である。ヘテロアリール基の環構成ヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、5員環または6員環が好ましい。
アリール基及びヘテロアリール基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等の基が挙げられる。中でも、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環が好ましく、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ピリジン環がより好ましい。なお、本発明において、遊離原子価とは、有機化学・生化学命名法(上)(改定第2版、南江堂、1992年発行)に記載のとおり、他の遊離原子価と結合を形成できるものである。すなわち、例えば、「1個の遊離原子価を有するベンゼン環」はフェニル基であり、「2個の遊離原子価を有するベンゼン環」はフェニレン基である。
【0034】
アリールオキシ基中のアリール基としては、前記アリール基と同様の基が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、4-メチルフェニルオキシ基等が挙げられる。中でも、フェノキシ基が好ましい。
【0035】
アリールアミノ基中のアリール基としては、前記アリール基と同様の基が挙げられる。アリールアミノ基としては、例えば、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(4-トリル)アミノ基、ジ(2,6-ジメチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。中でもジフェニルアミノ基、ジ(4-トリル)アミノ基が好ましい。
【0036】
アラルキル基としては、アルキル基を構成する水素原子の一部がアリール基又はヘテロアリール基で置換された基が挙げられる。アリール基で置換されるアルキル基としては、前記アルキル基と同様の基が挙げられ、アルキル基を置換するアリール基又はヘテロアリール基としては、前記アリール基又は前記ヘテロアリール基と同様の基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、1-フェニル-1-エチル基、クミル基、5-フェニル-1-ペンチル基、6-フェニル-1-ヘキシル基、7-フェニル-1-ヘプチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。中でも、5-フェニル-1-ペンチル基、6-フェニル-1-ヘキシル基、7-フェニル-1-ヘプチル基が好ましい。
【0037】
アリールカルボニル基中のアリール基としては、前記アリール基と同様の基が挙げられる。アリールカルボニル基としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントライル基等が挙げられる。中でもベンゾイル基が好ましい。
【0038】
アルキルアミノ基中のアルキル基としては、前記アルキル基と同様の基が挙げられる。アルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。中でもジメチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基が好ましい。
【0039】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、1座配位子化合物から形成される1座配位子としては、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、トリフェニルホスフィノ基、トリブチルホスフィノ基、硫酸基、リン酸基、ピロリン酸基、ヒドロキシ基、炭素数1~10の脂肪族または芳香族のアルキル基を含むアルコキシ基、同様のアルキルチオ基などが挙げられる。
【0040】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、配位子化合物の使用量は、イリジウム錯体化合物が安定して製造される量であり、製造後の後処理工程や製造コスト等に支障がない量であれば、特に限定されない。例えば、ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、1座配位子化合物をq当量、2座配位子化合物をr当量として、q+2rが例えば1.8当量以上、好ましくは2.0当量以上、より好ましくは2.8当量以上、さらに好ましくは3.2当量以上であり、例えば5.0当量以下、好ましくは4.5当量以下、より好ましくは4.2当量以下である。ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、前記q+2rが1.8当量未満である場合は、イリジウム錯体化合物の合成反応が十分に進行せず、イリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがあり、前記q+2rが5.0当量を超える場合は、イリジウム錯体化合物の精製等の処理負荷が大きくなり、収率が低下するおそれがある。
【0041】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、配位子化合物における1座配位子化合物と2座配位子化合物の使用量比は、所期のイリジウム錯体化合物が安定して製造される量比であれば、特に限定されない。1座配位子化合物と2座配位子化合物の合計量を100モル%とした場合、1座配位子化合物は、例えば0モル%以上であり、例えば20モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、2座配位子化合物は、例えば100モル%以下であり、例えば80モル%以上、好ましくは90モル%以上である。
【0042】
<メカノケミカル法>
メカノケミカル法は、反応物質(特に、固体の反応物質)に対し、せん断、圧縮、押圧、延伸、摩砕、摩擦、混練、混合、分散、解砕、振とう等の方法により機械的エネルギーを加えて反応物質を活性化させるとともに、各反応成分同士を混合し直接接触させて反応させる合成反応方法である。メカノケミカル法による有機合成反応方法は一般に、反応活性が高い。反応条件は、反応成分の種類等に応じて、適宜定めることができる。
【0043】
(装置)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いる装置は、前記の方法により機械的エネルギーを加えることができる装置であれば、特に限定されない。
そのような装置として、例えば、
ボールミル、ロッドミル、ジェットミル、SAGミル等の粉砕機;
回転式石臼、擂潰機等の摩砕機;
水平円筒型、V型、二重円錐型、正方立方体型、S型及び連続V型等の(水平軸回転)容器回転型混合装置;
水平円筒型、V型、二重円錐型及びボールミル型等の(邪魔板羽根付き)容器回転型混合装置;
ロッキング型及びクロスロータリー型等の(回転振動)容器回転型混合装置;
リボン型、パドル型、単軸ロータ型及びバグ・ミル型等の(水平軸回転)固定容器型混合装置;
リボン型、スクリュー型、遊星型、タービン型、高速流動型、回転円盤型及びマーラー型等の(垂直軸回転)固定容器型混合装置;
振動ミル型及びふるい等の(振動)固定容器型混合装置;
不均一流動層、旋回流動層、上昇管付き型及びジョットポンプ型等の(流動化)流体運動型混合装置;
重力型及びスタティックミキサー等の(重力)流体運動型混合装置;
二軸型混練機、一軸型混練機、ミキサー、ロールミル等の混練機;
等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、好ましくは、ボールミル等の粉砕機、摩砕機、混合装置、混練機等からなる群より選ばれる1種以上が用いられ、特に好ましくは、混合装置が用いられる。混合装置としては、例えば、坂下「粉体混合プロセス技術」色材、77(2)、75-85(2004)の表5及び図9等記載の粉体混合装置を参照することができる。具体的には、ボールミル、二軸混練機、遊星ボールミル、SPEXミキサーミル、二軸ボールミル等を用いることができる。
【0044】
メカノケミカル法により反応させる際に用いる装置は、計量手段、減圧又は加圧手段、雰囲気調整手段(気体導入又は排出手段)、各種成分の投入手段、各種成分・反応生成物の取出手段、精製手段、分析手段、反応監視手段等からなる群より選ばれる1種以上の手段を備えていてもよい。
【0045】
(反応容器)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いる反応容器は、反応原料の種類、各々の量、反応温度、反応雰囲気、反応圧力、反応時間等に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る反応容器であれば、特に限定されない。例えば、機械的に混合処理を行う装置(例えば、ボールミル等)を用いる場合には、ボールミルジャー等を反応容器として用いることができる。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、反応装置に備えられている反応容器内の収容物を撹拌する手段は、化合物の反応装置に備えることができる各種の撹拌手段であれば特に限定されない。前記<メカノケミカル法>に記載した、機械的に混合処理を行う装置による手段を用いることができる。機械的に混合処理を行う装置としては、例えば、ボールミルが好ましく用いられる。
【0046】
(付加する機械的エネルギー)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に付加する機械的エネルギーは、反応原料の種類、各々の量、反応温度、反応時間等に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る機械的エネルギーであれば、特に限定されない。
例えば、メカノケミカル法により反応させる際に用いる装置として混合装置を用いる場合、その混合速度は、特に限定されず、反応原料の種類や各々の量、反応温度、反応時間等を考慮し、適宜定めることができる。例えば、ボールミルを用いる場合には、振とうを5Hz以上、好ましくは10Hz以上、より好ましくは20Hz以上で行うことができる。
【0047】
メカノケミカル法の原理等の詳細は不明であるが、以下のように考えられる。
それぞれの原料化合物に機械的エネルギーが付与されると、機械的エネルギーを吸収することで、原料化合物の表面が活性化される。これにより、活性化しエネルギーを有する表面の間で化学反応が生起し、原料化合物分子間での反応につながると考えられる。例えば、ボールミルを用いた場合、原料化合物への機械的エネルギーの付与により、原料化合物表面が活性化することとなる。
【0048】
(温度)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際の反応温度(混合時の反応容器内温度)は、反応原料の種類や各々の量に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る温度であれば、特に限定されない。例えば、-50℃~500℃とすることができる。
反応温度を-50℃~500℃に制御する方法は特に限定されないが、化学反応を行う際に用いられる温度制御方法を用いることができる。例えば、液体窒素等に反応容器を浸漬することで反応容器内の温度を制御する方法、温風を用いて反応容器内の温度を制御する方法、反応容器を所定の温度の熱媒体で覆い反応容器内の温度を制御する方法、発熱体を設けて反応容器内温度を制御する方法等があげられる。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、ヒートガン等の加熱装置を用いて、反応容器内(反応系)を60℃以上の所望の温度に加熱してもよい。本発明においては、ヒートガンにより発生させた温風を反応容器に当て、反応容器内の温度を制御する方法が、安全性や温度制御操作の容易性の観点等から好ましい。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、反応容器内温度の温度条件を、60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは100℃以上であり、例えば500℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下とすることが好ましい。
【0049】
(圧力)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際の反応圧力(混合時の反応容器内圧力)は、反応原料の種類や各々の量に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る圧力であれば、特に限定されない。必要に応じて、減圧装置や加圧装置を用いて、反応圧力を制御することができる。本発明においては、加圧及び減圧をすることなく反応を行うことができる。
【0050】
(反応雰囲気)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際の反応雰囲気(混合時の反応容器内雰囲気)は、反応原料の種類や各々の量に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る雰囲気であれば、特に限定されない。
例えば、雰囲気調整を行わず、大気雰囲気で行うことができる。また、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で行うことができる。本発明においては、特に雰囲気調整を行わず、大気雰囲気で行うことが好ましい。
イリジウム錯体化合物の製造に際しては、これまで不活性雰囲気下で行われることが多かったが、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、不活性雰囲気下にする必要がなく、酸素や水分の厳密な管理が必要でない点で有利である。
【0051】
(反応時間)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際の反応時間(混合時間;機械的手段による処理を行う時間)は、反応原料の種類や各々の量に応じ、対応するイリジウム錯体化合物が形成され得る反応時間であれば、特に限定されない。例えば1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上であり、例えば10時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下とすることができる。
【0052】
(反応成分の投入順序等、反応後の処理等)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際、反応容器に各反応成分を投入する順序は、特に限定されない。また、投入手段についても、特に限定されない。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、前段の反応をメカノケミカル法により反応させた後に、反応生成物を単離し、次いで、反応容器に前段の反応生成物を含む反応成分を再度投入し、次段以降の反応を行う、多段合成反応とすることができる。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、前段の反応をメカノケミカル法により反応させた後に、反応生成物等を単離することなく、前段の反応が終了した反応容器に、次段の反応に必要な反応成分を投入し、次段以降の反応を行う、One-pot逐次反応とすることができる。
反応終了後、得られたイリジウム錯体化合物を、必要に応じて精製してもよい。精製方法は、特に制限されず、例えば、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、溶媒による洗浄等の方法が用いられる。
【0053】
<その他の成分>
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、反応促進の観点から、メカノケミカル法による反応の際に、液状粉砕助剤を用いることが好ましい。
【0054】
(液状粉砕助剤)
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いることができる液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)としては、前記ハロゲン化イリジウム化合物及び前記配位子化合物以外の化合物であって、前記ハロゲン化イリジウム化合物と前記配位子化合物との反応に際し、これらの化合物と反応せず不活性である液状の化合物であれば、特に限定されない。
【0055】
液状粉砕助剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノ-ル、イソプロパノール、1-ブタノール、1,1-ジメチルエタノール、tert-ブタノール、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、アニソール、アセトキシ-2-エトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1-メトキシ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1-エトキシ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸等の含酸素有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンデュレン、デカリン等の芳香族系有機溶媒;ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族系有機溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系有機溶媒;アセトニトリル、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ピリジン等の含窒素有機溶媒、ジメチルスルホキシド等の含硫黄有機溶媒、水等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
【0056】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、これらのうち、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等の含酸素有機溶媒;N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ピリジン等の含窒素有機溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄有機溶媒;等からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。特に好ましくは、2-メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、N’,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上である。
【0057】
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、液状粉砕助剤として溶媒を使用する場合、その使用量は、溶媒効果が発揮されない程度の微量であれば、特に限定されない。液状粉砕助剤の使用量(溶媒存在量条件)としては、例えば、反応成分(前記ハロゲン化イリジウム化合物及び前記配位子化合物)1mgに対して、0μL以上であり、0.70μL以下、好ましくは0.50μL以下、より好ましくは0.30μL以下である。また、液状粉砕助剤の使用量は、反応成分(前記ハロゲン化イリジウム化合物及び前記配位子化合物)1mmolに対して、例えば0.7mL以下であり、好ましくは0.5mL以下、より好ましくは0.3mL以下である。
一般に、イリジウム錯体化合物の製造方法においては、反応成分の合計1mgに対して1mL以上の有機溶媒、又は、反応成分の合計1mmolに対して1mL以上の有機溶媒が使用される。一方で、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法は、有機溶媒が使用されない又は使用されたとしても極めて少量であることから、反応開始時において、反応原料の少なくとも一部は、有機溶媒に溶解しておらず、場合によっては全てが有機溶媒等に溶解することなく、固体状態で存在しており、固体状態のままメカノケミカル法により反応することとなる。
【0058】
<第1発明で製造されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法で製造されるイリジウム錯体化合物は、式4y;
Ir[L[L 4y
(式4y中、Lは1座配位子であり、Lは2座配位子であり、複数のL又はLは、互いに同一であっても異なっていてもよい。qは0~6の整数、rは0~3の整数であり、q+2r=6である。)
で表されるイリジウム錯体化合物、又は、式3y;
【化16】
(式3y中、L11は1座配位子であり、L12は2座配位子であり、複数のL11又はL12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲンであり、複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。qaは0~4の整数、raは0~2の整数、qbは0~4の整数、rbは0~2の整数、qa+2ra=4、qb+2rb=4である。)
で表されるハロゲン架橋イリジウム錯体化合物である。
【0059】
式4yで表されるイリジウム錯体化合物は、例えば、下記式(2)
【化17】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化18】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物が挙げられる。
【0060】
式(2)中、L11で表される1座配位子としては、例えば、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、トリフェニルホスフィノ基、トリブチルホスフィノ基、硫酸基、リン酸基、ピロリン酸基、ヒドロキシ基、炭素数1~10の脂肪族または芳香族のアルキル基を含むアルコキシ基、同様のアルキルチオ基などが挙げられる。
【0061】
式(2)中、L12で表される2座配位子としては、例えば、アセチルアセトナト型の2座配位子を生成する1,3-ジオン系化合物から形成される配位子が挙げられる。1,3-ジオン系化合物としては、例えば、アセチルアセトン、4,4,4-トリフルオロ-1-フェニル-1,3-ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン、オキシン、2-メチルオキシン、オキシン-5-スルホン酸、ジメチルグリオキシム、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、サリチルアルデヒド等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0062】
上記式(2)で表されるイリジウム錯体化合物の具体例としては、例えば以下に示されるイリジウム錯体化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
【化27】
【0072】
【化28】
【0073】
【化29】
【0074】
式3yで表されるイリジウム錯体化合物は、例えば、下記式(3)
【化30】
(式(3)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化31】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物が挙げられる。
式(3)中、L11で表される1座配位子及びL12で表される2座配位子としては、それぞれ、式(2)において規定した配位子が挙げられる。
【0075】
上記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物の具体例としては、例えば以下に示されるイリジウム錯体化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
【化32】
【0077】
【化33】
【0078】
【化34】
【0079】
[第2発明]
本発明における第2発明は、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化35】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化36】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化37】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法である。
【0080】
<ハロゲン化イリジウム化合物>
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられるハロゲン化イリジウム化合物は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したハロゲン化イリジウム化合物と同様のものとすることができる。
【0081】
<配位子化合物>
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物は、式(1)で表される配位子化合物の1種以上を含む配位子化合物である。
式(1)で表される配位子化合物としては、本発明における第1発明において用いられる配位子化合物として挙げられた式(1)で表される配位子化合物と同様の配位子化合物の1種以上が挙げられる。
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物は、式(1)で表される配位子化合物以外の配位子化合物として、例えば、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法における配位子化合物として挙げられた1,3-ジオン系化合物、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法における配位子化合物として挙げられた1座配位子を形成する1座配位子化合物からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0082】
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、式(1)で表される配位子化合物の使用量は、前記式(2)で表されるイリジウム錯体化合物が安定して製造される量であり、製造後の後処理工程や製造コスト等に支障がない量であれば、特に限定されない。例えば、ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、式(1)で表される配位子化合物を、例えば0.8当量以上、好ましくは1.2当量以上、より好ましくは2.1当量以上、さらに好ましくは3.1当量以上であり、例えば4.0当量以下、好ましくは3.5当量以下、より好ましくは3.3当量以下である。ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、式(1)で表される配位子化合物の使用量が0.8当量未満である場合は、イリジウム錯体化合物の合成反応が十分に進行せず、イリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがあり、式(1)で表される配位子化合物の使用量が4.0当量を超える場合は、イリジウム錯体化合物の精製等の処理負荷が大きくなり、収率が低下するおそれがある。
【0083】
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、配位子化合物における式(1)で表される配位子化合物の使用量は、配位子化合物全量を300モル%とした場合、100モル%以上、好ましくは200モル%以上、より好ましくは300モル%である。
【0084】
<メカノケミカル法>
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法におけるメカノケミカル法について、その装置、反応容器、付加する機械的エネルギー、温度、圧力、反応雰囲気、反応時間、反応成分の投入順序等、反応後の処理等の要件は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したメカノケミカル法における各要件と同様のものとすることができる。
【0085】
<その他の成分>
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、メカノケミカル法により反応させる際に、液状粉砕助剤を用いることが好ましい。
【0086】
(液状粉砕助剤)
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤と同様のものとすることができる。また、液状粉砕助剤の使用量は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤の使用量と同様のものとすることができる。
【0087】
<式(2)で表されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物としては、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物と同様のものが挙げられる。
【0088】
[第3発明]
本発明における第3発明は、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、式(1):
【化38】
(式(1)中:
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
11及びR12の1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物の1種以上を含む配位子化合物と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(3):
【化39】
(式(3)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化40】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(1)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法である。
【0089】
<ハロゲン化イリジウム化合物>
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられるハロゲン化イリジウム化合物は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したハロゲン化イリジウム化合物と同様のものとすることができる。
【0090】
<配位子化合物>
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物は、式(1)で表される配位子化合物の1種以上を含む配位子化合物である。
式(1)で表される配位子化合物としては、本発明における第1発明において用いられる配位子化合物として挙げられた式(1)で表される配位子化合物と同様の配位子化合物の1種以上が挙げられる。
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物は、式(1)で表される配位子化合物以外の配位子化合物として、例えば、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法における配位子化合物として挙げられた1,3-ジオン系化合物、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法における配位子化合物として挙げられた1座配位子を形成する1座配位子化合物からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0091】
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、式(1)で表される配位子化合物の使用量は、前記式(2)で表されるイリジウム錯体化合物が安定して製造される量であり、製造後の後処理工程や製造コスト等に支障がない量であれば、特に限定されない。例えば、ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、式(1)で表される配位子化合物を、例えば0.8当量以上、好ましくは1.2当量以上、より好ましくは2.0当量以上であり、例えば3.0当量以下、好ましくは2.5当量以下、より好ましくは2.2当量以下である。ハロゲン化イリジウム化合物1当量(equiv)に対して、式(1)で表される配位子化合物の使用量が0.8当量未満である場合は、イリジウム錯体化合物の合成反応が十分に進行せず、イリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがあり、式(1)で表される配位子化合物の使用量が3.0当量を超える場合は、イリジウム錯体化合物の精製等の処理負荷が大きくなり、収率が低下するおそれがある。
【0092】
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、配位子化合物における式(1)で表される配位子化合物の使用量は、配位子化合物全量を100モル%とした場合、50モル%以上、好ましくは100モル%である。
【0093】
<メカノケミカル法>
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法におけるメカノケミカル法について、その装置、反応容器、付加する機械的エネルギー、温度、圧力、反応雰囲気、反応時間、反応成分の投入順序等、反応後の処理等の要件は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したメカノケミカル法における各要件と同様のものとすることができる。
【0094】
<その他の成分>
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、メカノケミカル法により反応させる際に、液状粉砕助剤を用いることが好ましい。
【0095】
(液状粉砕助剤)
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤と同様のものとすることができる。また、液状粉砕助剤の使用量は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤の使用量と同様のものとすることができる。
【0096】
<式(3)で表されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物としては、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物と同様のものが挙げられる。
【0097】
[第4発明]
本発明における第4発明は、式(3):
【化41】
(式(3)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化42】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
sは、0~2の整数、tは、0~2の整数、uは、0~4の整数、vは、0~2の整数、wは、0~4の整数、xは、0~2の整数、s+t≧1、2s+u+2v=4、2t+w+2x=4である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物と、
下記(i)及び/又は(ii):
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程を含む、式(2):
【化43】
(式(2)中、
11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、L11、L12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化44】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(3)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法である。
【0098】
<式(3)で表されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる式(3)で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマー)としては、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物と同様のものが挙げられる。
【0099】
<ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上及び/又は配位子化合物の1種以上を含む成分>
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる、下記(i)及び/又は(ii):
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分としては、(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上のみ、(ii)配位子化合物の1種以上のみ、又は、(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上と(ii)配位子化合物の1種以上の混合物、のいずれかが用いられる。
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、配位子交換反応を十分に進行させるため、(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上と(ii)配位子化合物の1種以上の混合物を用いることが好ましい。
【0100】
(ハロゲンイオン捕捉剤)
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いることができる(i)ハロゲンイオン捕捉剤は、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマー)と反応し、配位子交換反応により式(2)で表されるイリジウム錯体化合物を合成し得るものであれば、特に限定されない。例えば、ハロゲンイオンと反応して難溶性の塩を形成し得る化合物をハロゲンイオン捕捉剤として用いることができる。このうち、銀化合物、アンチモン化合物、アルミニウム化合物、水銀化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
【0101】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、(i)ハロゲンイオン捕捉剤として銀化合物を用いることが好ましく、例えば、酸化銀(AgO)、炭酸銀(AgCO)、硝酸銀(AgNO)、硫酸銀(AgSO)、過塩素酸銀(AgClO)等の無機銀化合物;酢酸銀(Ag(OAc))、トリフルオロメタンスルホン酸銀(Ag(OTf))、トリフルオロ酢酸銀(AgTFA)等の有機銀塩化合物;等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。これらのうち、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸銀、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀、硝酸銀、トリフルオロ酢酸銀からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸銀、酸化銀、炭酸銀からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0102】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、(i)ハロゲンイオン捕捉剤を使用する場合、その使用量は、メカノケミカル法において、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマー)と反応し、配位子交換反応により式(2)で表されるイリジウム錯体化合物を合成し得る量であれば、特に限定されない。前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物、反応系内に存在する塩基、配位子化合物、1,3-ジオン系化合物等の各々の種類や各々の量、反応温度等を考慮し、適宜定めることができる。
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の使用量は、例えば、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物1.0当量に対して、例えば1.0当量以上、好ましくは1.5当量以上、より好ましくは1.8当量以上、さらに好ましくは2.0当量以上であり、例えば5.0当量以下、好ましくは4.0当量以下、より好ましくは3.0当量以下、さらに好ましくは2.5当量以下である。
ハロゲンイオン捕捉剤の使用量が、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物1.0当量に対して、1.0当量未満の場合、式(4)で表されるイリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがあり、5.0当量を超える場合、式(4)で表されるイリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがある。
【0103】
(配位子化合物)
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いることができる(ii)配位子化合物は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したハロゲン化イリジウム化合物と同様のものとすることができる。
【0104】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において(ii)配位子化合物を用いる場合、本発明における第1発明において用いられる配位子化合物として挙げられた式(1)で表される配位子化合物と同様の配位子化合物の1種以上を用いることができる。この場合、イリジウム錯体化合物の特性・用途等を考慮して、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物中に含まれる配位子と同じ配位子となる配位子化合物を用いることができる。また、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物中に含まれる配位子とは異なる配位子となる配位子化合物を用いることができる。
【0105】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において(ii)配位子化合物を用いる場合、本発明における第1発明において用いられる配位子化合物として挙げられた1,3-ジオン系化合物と同様の配位子化合物の1種以上を用いることができる。
【0106】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において(ii)配位子化合物を用いる場合、前記式(1)で表される配位子化合物と同様の配位子化合物及び/又は前記1,3-ジオン系化合物と同様の配位子化合物に加えて、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法における配位子化合物として挙げられた1座配位子を形成する1座配位子化合物からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0107】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、(ii)配位子化合物を使用する場合、その使用量は、メカノケミカル法において、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマー)と反応し、配位子交換反応により式(2)で表されるイリジウム錯体化合物を合成し得る量であれば、特に限定されない。前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物、反応系内に存在する塩基、配位子化合物、1,3-ジオン系化合物等の各々の種類や各々の量、反応温度等を考慮し、適宜定めることができる。
(ii)配位子化合物の使用量は、例えば、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物1.0当量に対して、例えば1.8当量以上、好ましくは2.0当量以上、より好ましくは2.1当量以上であり、例えば3.0当量以下、好ましくは2.7当量以下、より好ましくは2.5当量以下。
(ii)配位子化合物の使用量が、前記式(3)で表されるイリジウム錯体化合物1.0当量に対して、1.8当量未満の場合、式(4)で表されるイリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがあり、3.0当量を超える場合、式(4)で表されるイリジウム錯体化合物の収率が低下するおそれがある。
【0108】
<メカノケミカル法>
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法におけるメカノケミカル法について、その装置、反応容器、付加する機械的エネルギー、温度、圧力、反応雰囲気、反応時間、反応成分の投入順序等、反応後の処理等の要件は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したメカノケミカル法における各要件と同様のものとすることができる。
【0109】
<その他の成分>
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法においては、メカノケミカル法により反応させる際に、液状粉砕助剤、塩基を用いることが好ましい。
【0110】
(液状粉砕助剤)
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤と同様のものとすることができる。また、液状粉砕助剤の使用量は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤の使用量と同様のものとすることができる。
【0111】
(塩基)
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい塩基は、メカノケミカル法による反応を促進し得るものであれば、特に制限されない。塩基は、前記(3)で表されるイリジウム錯体化合物、前記(i)ハロゲンイオン捕捉剤、前記(ii)配位子化合物、前記液状粉砕助剤に相当する化合物を含まない。
塩基として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等の無機塩基;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;ナトリウム-メトキシド、ナトリウム-エトキシド、カリウム-メトキシド、カリウム-メトキシド、カリウム-エトキシド、リチウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、ジアザビシクロノネン(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N-エチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等の第3級アミン塩基等の有機塩基;等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0112】
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において、(ii)配位子化合物を用い、さらに(ii)配位子化合物として前記1,3-ジオン系化合物と同様の配位子化合物を用いる場合には、前記1,3-ジオン系化合物の活性水素を引き抜き活性化させる、塩基の1種以上を用いることが好ましい。
【0113】
塩基の使用量は、メカノケミカル反応が進行する使用量であれば特に制限されず、前記式(3)で表される化合物、(i)ハロゲンイオン捕捉剤、(ii)配位子化合物、反応生成物等の各々の種類や各々の量、反応温度等を考慮し、適宜定めることができる。
塩基の使用量は、例えば、1,3-ジオン系化合物1当量に対して、0.5当量以上、好ましくは0.8当量以上、より好ましくは1.0当量以上、さらに好ましくは1.2当量以上、最も好ましくは1.4当量以上とすることができる。塩基の使用量の上限は特に限定されないが、例えば10.0当量以下、好ましくは5.0当量以下、より好ましくは4.0当量以下、さらに好ましくは3.0当量以下とすることができる。
【0114】
<式(2)で表されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物としては、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物と同様のものが挙げられる。
【0115】
[第5発明]
本発明における第5発明は、下記(工程1)及び(工程2);
(工程1)少なくとも、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分を、メカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
(工程2)下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分を、前記(工程1)終了後のメカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させる工程、
を含む、式(2):
【化45】
(式(2)中、
11は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のいずれかを表す。
11は、窒素原子を表す。
11及びC12は、炭素原子を表す。
Cy11は、A11及びC11を含む芳香環又はヘテロ環を表す。
Cy12は、C12及びN11を含むヘテロ環を表す。
11及びR12は、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオ基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~100のアリール基、炭素数0~30のヘテロアリール基、炭素数6~30のアリールオキシ基、炭素数6~30のアリールチオ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数0~30のヘテロアリールオキシ基、炭素数0~30のヘテロアリールチオ基、炭素数0~30のヘテロアリールアミノ基、炭素数7~40のアラルキル基を表す。
11及びR12は、さらに、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルケニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~30のアルキニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~20のアルキルチオ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数5~30のアリール基でさらに置換されていてもよいアミノ基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアシルオキシ基、炭素数2~20のアシルチオ基、炭素数2~20のアミド基、炭素数2~20のチオアミド基、炭素数2~20のアミノカルボニル基、炭素数1~20のアミノチオカルボニル基、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
互いに隣り合う複数のR11、互いに隣り合う複数のR12、互いに隣り合うR11とR12は、直接結合、炭素数2~12のアルキレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~12のアルケニレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数6~12のアリーレン基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)酸素原子、窒素原子、硫黄原子からなる群より選ばれるのいずれか1つ以上を介して結合して、環を形成してもよい。これらの環はさらに、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数1~30のアルコキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールオキシ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数3~30のアリールアミノ基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~40のアラルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数0~20のヘテロアリール基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数7~20のアリールカルボニル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1~30のアルキル基(フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)の1つ以上でさらに置換されていてもよい)、炭素数2~20のアルキルアミノ基(アルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の1つ以上でさらに置換されていてもよい)からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていてもよい。
aは、0以上、Cy11の置換可能数以下の整数を表し、複数のaは、同一であっても異なっていてもよい。
bは、0以上、Cy12の置換可能数以下の整数を表し、複数のbは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、それぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、各Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
11は、1座配位子を表す。
12は、式(La);
【化46】
(式(La)中、A11、Cy11、Cy12、N11、C11、C12、R11、R12、a及びbは、それぞれ独立に、式(2)で規定したとおりである。)
以外の2座配位子を表す。
pは、1~3の整数、qは、0~4の整数、rは、0~2の整数、2p+q+2r=6である。
11、Cy11、Cy12、R11、R12、L11、L12、a及びbの1つ以上が複数ある場合は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるイリジウム錯体化合物の製造方法である。
本発明における第5発明のイリジウム錯体化合物の製造方法は、メカノケミカル法による、One-pot固相逐次配位子交換反応による、イリジウム錯体化合物の製造方法に相当する。
【0116】
<(工程1)>
本発明における第5発明の(工程1)は、ハロゲン化イリジウム化合物の1種以上と、配位子化合物の1種以上と、を含む成分に、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により反応させ、実質的に、式3y;
【化47】
(式3y中、L11は1座配位子であり、L12は2座配位子であり、複数のL11又はL12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲンであり、複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。qaは0~4の整数、raは0~2の整数、qbは0~4の整数、rbは0~2の整数、qa+2ra=4、qb+2rb=4である。)
で表されるハロゲン架橋イリジウム錯体化合物を製造する工程に実質的に相当する。
本発明における第5発明の(工程1)は、本発明における第3発明のイリジウム錯体化合物の製造方法に実質的に相当する。
【0117】
(ハロゲン化イリジウム化合物)
本発明における第5発明の(工程1)において用いられるハロゲン化イリジウム化合物は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したハロゲン化イリジウム化合物と同様のものとすることができる。
【0118】
(配位子化合物)
本発明における第5発明の(工程1)において用いられる配位子化合物は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した配位子化合物と同様のものとすることができる。
本発明における第5発明の(工程1)において用いられる配位子化合物としては、式(1);
【化48】
(式(1)中、A11、N11、C11、C12、Cy11、Cy12、R11及びR12は、それぞれ本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において用いられる配位子化合物に含まれる式(1)における定義と同じである。)
で表される配位子化合物の1種以上を含むことが好ましい。
【0119】
本発明における第5発明の(工程1)において、式(1)で表される配位子化合物の使用量及び配位子化合物における式(1)で表される配位子化合物の使用量は、いずれも、本発明における第2発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載された使用量と同様のものとすることができる。
【0120】
(メカノケミカル反応装置)
本発明における第5発明の(工程1)において用いられるメカノケミカル反応装置は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法で、<メカノケミカル法>の(反応容器)に記載されている反応容器と同様のものとすることができる。
【0121】
(メカノケミカル法)
本発明における第5発明の(工程1)におけるメカノケミカル法について、その装置、反応容器、付加する機械的エネルギー、温度、圧力、反応雰囲気、反応時間、反応成分の投入順序等、反応後の処理等の要件は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したメカノケミカル法における各要件と同様のものとすることができる。
【0122】
(その他の成分)
本発明における第5発明の(工程1)において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明における第5発明の(工程1)においては、メカノケミカル法により反応させる際に、液状粉砕助剤を用いることが好ましい。
【0123】
本発明における第5発明の(工程1)において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤と同様のものとすることができる。また、液状粉砕助剤の使用量は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤の使用量と同様のものとすることができる。
【0124】
(反応生成物)
本発明における第5発明の(工程1)において得られる反応生成物は、前記式3yで表されるイリジウム錯体である。
これらのうち、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(3)で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体ダイマー)と同様のものであることが好ましい。
【0125】
<(工程2)>
本発明における第5発明の(工程2)は、下記(i)及び/又は(ii);
(i)ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上、
(ii)配位子化合物の1種以上、
を含む成分を、前記(工程1)終了後のメカノケミカル反応装置に投入し、機械的エネルギーを加えメカノケミカル法により、前記(工程1)における実質的な反応生成物である式3y;
【化49】
(式3y中、L11は1座配位子であり、L12は2座配位子であり、複数のL11又はL12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲンであり、複数のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。qaは0~4の整数、raは0~2の整数、qbは0~4の整数、rbは0~2の整数、qa+2ra=4、qb+2rb=4である。)
で表されるイリジウム錯体化合物(ハロゲン架橋イリジウム錯体化合物)と、前記(i)及び/又は前記(ii)を含む成分を反応させ、式4y;
Ir[L[L 4y
(式4y中、Lは1座配位子であり、Lは2座配位子であり、複数のL又はLは、互いに同一であっても異なっていてもよい。qは1~6の整数、rは1~3の整数であり、q+2r=6である。)
で表されるイリジウム錯体化合物を製造する工程に実質的に相当する。
本発明における第5発明の(工程2)は、本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法に実質的に相当する。
【0126】
(ハロゲンイオン捕捉剤の1種以上及び/又は配位子化合物の1種以上を含む成分)
本発明における第5発明の(工程2)において用いることができる、(i)ハロゲンイオン捕捉剤及び(ii)配位子化合物は、本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した(i)ハロゲンイオン捕捉剤及び(ii)配位子化合物と同様のものとすることができる。
また、(i)ハロゲンイオン捕捉剤及び(ii)配位子化合物のそれぞれの使用量は、本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した(i)ハロゲンイオン捕捉剤及び(ii)配位子化合物のそれぞれの使用量と同様のものとすることができる。
本発明における第5発明の(工程2)においては、(i)ハロゲンイオン捕捉剤として、銀化合物を用いることが好ましい、
【0127】
(メカノケミカル法)
本発明における第5発明の(工程2)におけるメカノケミカル法について、その装置、反応容器、付加する機械的エネルギー、温度、圧力、反応雰囲気、反応時間、反応成分の投入順序等、反応後の処理等の要件は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載したメカノケミカル法における各要件と同様のものとすることができる。
【0128】
(その他の成分)
本発明における第5発明の(工程2)において、メカノケミカル法により反応させる際に、反応促進等を目的として、ハロゲン化イリジウム化合物及び配位子化合物以外の「その他の成分」を反応系内に存在させることができる。「その他の成分」としては、液状粉砕助剤、塩基、溶媒、金属触媒、酸化防止剤、安定剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0129】
本発明における第5発明の(工程2)においては、メカノケミカル法により反応させる際に、液状粉砕助剤を用いることが好ましい。
本発明における第5発明の(工程2)において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding:LAG)は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤と同様のものとすることができる。また、液状粉砕助剤の使用量は、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した液状粉砕助剤の使用量と同様のものとすることができる。
【0130】
本発明における第5発明の(工程2)においては、メカノケミカル法により反応させる際に、塩基を用いることが好ましい。
本発明における第5発明の(工程2)において、メカノケミカル法により反応させる際に用いてもよい塩基は、本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した塩基と同様のものとすることができる。また、塩基の使用量は、本発明における第4発明のイリジウム錯体化合物の製造方法において記載した塩基の使用量と同様のものとすることができる。
【0131】
<式(2)で表されるイリジウム錯体化合物>
本発明における第5発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物としては、本発明における第1発明のイリジウム錯体化合物の製造方法により製造される、式(2)で表されるイリジウム錯体化合物と同様のものが挙げられる。
【実施例0132】
以下、本発明を具体例により詳細に説明する。これらの具体例は、本発明の一態様にすぎない。本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
具体例で使用した化合物は、特に記載しない限り、市販品をそのまま精製することなく使用した。
「equiv」は、「当量」を表す。
「LAG」は、「液状粉砕助剤(Liquid Assisted Grinding)」を表す。
【0133】
実施例及び比較例において、ボールミルを用いて反応を行う際には、ステンレス製ボールミルジャーに各試薬を投入し、ヴァーダー・サイエンティフィック社(Verder Scientific Co.,Ltd.(旧レッチェ社(Retsch))製のボールミルMM400型を使用した。
ボールミルを用いてクロスカップリング反応を行う際の加熱は、ヒートガン(Takagi社製,HG-1450B)でボールミルジャーの外側を所定の温度で加熱した。
ヒートガンの設定温度と、ボールミルジャー内部の温度(反応系の温度)の関係をThermographic imageを用いて確認したところ、次のとおりであった。
【0134】
【表1】
【0135】
[メカノケミカル法による、ハロゲン化イリジウムと2-フェニルピリジンの固相配位子交換反応]
【化50】
【0136】
<実施例1~6>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、塩化イリジウムn水和物を0.20mmol、2-フェニルピリジンを0.42mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを表2に示す量(塩化イリジウムn水和物及び2-フェニルピリジンの合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、内部温度が表2に示す温度となるようにヒートガンで加熱するとともに、表2に示す時間30Hzで振とう・撹拌して反応させた。
その後、反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物3aをメカノケミカル法による反応で得た。単離収率は、表2に示すものとなった。
【表2】
【0137】
[メカノケミカル法による、ハロゲンイオン捕捉剤存在下における、イリジウム錯体化合物3aと2-フェニルピリジンの固相配位子交換反応]
【化51】
【0138】
<実施例7~11>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、イリジウム錯体化合物3aを0.10mmol、表3に示すハロゲンイオン捕捉剤を0.20mmol、2-フェニルピリジンを0.50mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(3aで表される化合物、ハロゲンイオン捕捉剤及び2-フェニルピリジンの合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、内部温度が125℃となるようにヒートガンで加熱するとともに、表3に示す時間30Hzで振とう・撹拌(30Hz)して反応させた。
その後、反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4aをメカノケミカル法による反応で得た。単離収率は、表3に示すものとなった。
表3中のハロゲンイオン捕捉剤は、それぞれ以下のとおりである。
AgOTf:トリフルオロメタンスルホン酸銀
AgO:酸化銀
AgCO:炭酸銀
【0139】
【表3】
【0140】
[メカノケミカル法による、各種トリス-シクロメタレート型イリジウム錯体の固相多段階合成反応]
【化52】
【0141】
<実施例12>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、塩化イリジウムn水和物を0.20mmol、配位子化合物として2-メチルピリジンを0.42mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(塩化イリジウムn水和物及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度125℃となるように加熱するとともに、10分間30Hzで振とう・撹拌して1段目の反応を行い、得られた粗生成物を、水及びヘキサンにより洗浄し、イリジウム錯体化合物3x(Lは2-メチルピリジン)をメカノケミカル法による反応で得た。
【0142】
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、1段目の反応生成物であるイリジウム錯体化合物3xを0.10mmol、ハロゲンイオン捕捉剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を0.20mmol、1段目の反応で用いたのと同じ配位子化合物を0.50mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(イリジウム錯体化合物3x、ハロゲンイオン捕捉剤及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度が125℃となるように加熱するとともに、60分間30Hzで振とう・撹拌して2段目の反応を行った。
その後、2段目の反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4a(Lは2-メチルピリジン)をメカノケミカル法による固相多段階反応で得た。固相多段階反応(2段階反応)の単離収率、1段目の反応の粗収率及び2段目の反応の単離収率は、それぞれ表4に示すものとなった。
【0143】
<実施例13~20>
配位子化合物を変更したほかは、実施例12と同様にして、イリジウム錯体化合物4b~4iをメカノケミカル法による固相多段階反応で得た。固相多段階反応(2段階反応)の単離収率、1段目の反応の粗収率及び2段目の反応の単離収率は、それぞれ表4に示すものとなった。
【0144】
<実施例21、22>
配位子化合物を変更するとともに、2段目の反応を、直径10mmのステンレス製ボールの入った5mLステンレス製ボールミルジャーを用いて行い、LAGとしてジメチルホルムアミドを0.50μL/mg(イリジウム錯体化合物3x、ハロゲンイオン捕捉剤及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加え、振とう・撹拌を20Hzで行ったほかは、実施例15と同様にして、イリジウム錯体化合物4j及び4kをメカノケミカル法による固相多段階反応で得た。固相多段階反応(2段階反応)の単離収率、1段目の反応の粗収率及び2段目の反応の単離収率は、それぞれ表4に示すものとなった。
【0145】
【化53】
【0146】
【表4】
【0147】
[メカノケミカル法による、2-フェニルキノリンを配位子とするイリジウム(III)錯体の固相多段階合成反応]
【化54】
【0148】
<実施例23>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、塩化イリジウムn水和物を1.0equiv、配位子化合物として2-フェニルキノリンを2.1equiv、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(塩化イリジウムn水和物及び2-フェニルキノリンの合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度が125℃となるように加熱するとともに、90分間30Hzで振とう・撹拌(30Hz)して1段目の反応を行い、得られた粗生成物を、水及びヘキサンにより洗浄し、イリジウム錯体化合物3lをメカノケミカル法による反応で得た。
【0149】
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、1段目の反応生成物であるイリジウム錯体化合物3lを1.0equiv、ハロゲンイオン捕捉剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を2.0equiv、配位子化合物として2-フェニルキノリンを5.0equiv、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(イリジウム錯体化合物3l、ハロゲンイオン捕捉剤及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度が125℃となるように加熱するとともに、90分間30Hzで振とう・撹拌(30Hz)して2段目の反応を行った。
その後、2段目の反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4lをメカノケミカル法による固相多段階反応で得た。単離収率は31%であった。
【0150】
[溶液法による、2-フェニルキノリンを配位子とするイリジウム(III)錯体の合成反応]
<比較例1>
反応容器に、空気下で、イリジウム錯体化合物3lを1.0equiv、ハロゲンイオン捕捉剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を2.0equiv、2-フェニルピリジンを5.0equiv、溶媒として2-エトキシエタノールを3lで表される化合物が0.01M(0.01mol/l)となる量加え、100℃に加熱して36時間反応させた。
その後、反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4aを液相法による反応で得た。単離収率は1%未満であった。
【0151】
[メカノケミカル法による、One-pot固相逐次配位子交換反応]
【化55】
【0152】
<実施例24>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、塩化イリジウムn水和物を0.20mmol、配位子化合物として2-フェニルピリジンを0.42mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(塩化イリジウムn水和物及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度125℃となるように加熱するとともに、10分間30Hzで振とう・撹拌して1段目の反応を行い、イリジウム錯体化合物3x(L:2-フェニルピリジン、X:塩素)をメカノケミカル法による反応で得た。
その後、ボールミルジャーの蓋を開け、1段目の反応生成物を取り出すことなく、ハロゲンイオン捕捉剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を0.20mmol、1段目の反応で用いたのと同じ配位子化合物(2-フェニルピリジン)を0.50mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(3xで表される化合物、ハロゲンイオン捕捉剤及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)さらに加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度が125℃となるように加熱するとともに、60分間30Hzで振とう・撹拌して2段目の反応を行った。
その後、2段目の反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4x(L:2-フェニルピリジン)をメカノケミカル法によるOne-pot固相逐次配位子交換反応で得た。単離収率は、表5に示すものとなった。
【0153】
<実施例25、26>
配位子化合物を変更したほかは、実施例24と同様にして、イリジウム錯体化合物4b及び4iをメカノケミカル法によるOne-pot固相逐次配位子交換反応で得た。単離収率は、それぞれ表5に示すものとなった。
【0154】
[液相法による、One-pot液相逐次配位子交換反応]
<比較例2>
反応容器に、空気下で、塩化イリジウムn水和物を0.20.mmol、配位子化合物として2-フェニルピリジンを0.42mmol、2-エトキシエタノール-水混合溶媒(2-エトキシエタノール/水=3/1)を塩化イリジウムn水和物が0.5M(0.5mol/l)となる量加え、125℃に加熱して18時間反応させて1段目の反応を行い、イリジウム錯体化合物3x(L:2-フェニルピリジン、X:塩素)を溶液法による反応で得た。
その後、ボールミルジャーの蓋を開け、1段目の反応生成物を取り出すことなく、ハロゲンイオン捕捉剤としてトリフルオロメタンスルホン酸銀を0.20mmol、1段目の反応で用いたのと同じ配位子化合物を0.50mmol、2-エトキシエタノールを0.01M(0.01mol/l)(イリジウム錯体化合物3x、ハロゲンイオン捕捉剤及び配位子化合物の合計量に対するmol/l量)さらに加え、48時間100℃に加熱して2段目の反応を行った。
その後、2段目の反応生成物の抽出・乾燥・精製を行い、イリジウム錯体化合物4x(L:2-フェニルピリジン)を液相法によるOne-pot液相逐次配位子交換反応で得た。単離収率は、表5に示すものとなった。
【0155】
【化56】
【0156】
【表5】
【0157】
[メカノケミカル法による、Ir(ppy)(acac)錯体の合成反応]
【化57】
【0158】
<実施例27>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、イリジウム錯体化合物3aを0.10mmol、配位子化合物としてペンタン-2,4-ジオンを0.50mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(イリジウム錯体化合物3a及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度125℃となるように加熱するとともに、30分間30Hzで振とう・撹拌して、イリジウム錯体化合物5aをメカノケミカル法による反応で得た。単離収率は、88%であった。
【0159】
[メカノケミカル法による、Ir(ppy)(dtbpy)PF錯体の合成反応]
【化58】
【0160】
<実施例28>
直径5mmのステンレス製ボールの入った1.5mLステンレス製ボールミルジャーに、空気下で、イリジウム錯体化合物3aを0.10mmol、配位子化合物として4,4’-ジターシャリーブチル-2,2’-ビピリジンを0.22mmol、LAGとして2-エトキシエタノールを0.20μL/mg(イリジウム錯体化合物3a及び配位子化合物の合計量に対するμL/mg量)加えた。ボールミルジャーの蓋を閉め、ボールミルに装着し、ヒートガンを用いて内部温度125℃となるように加熱するとともに、30分間30Hzで振とう・撹拌して、イリジウム錯体化合物6aをメカノケミカル法による反応で得た。単離収率は、83%であった。