(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099374
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/116 20130101AFI20240718BHJP
【FI】
H04B10/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003275
(22)【出願日】2023-01-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業(個人型研究(さきがけ))「データ量低減による持続可能なIoT」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 悠
(72)【発明者】
【氏名】久野 大介
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AL23
5K102AM02
5K102AM06
5K102PB02
5K102PB18
5K102PH38
(57)【要約】
【課題】ローリングシャッター方式を用いた高速な可視光通信において、送信情報の消失を回避する。
【解決手段】通信システムは、送信ノードと、受信ノードと、を含む。前記受信ノードは、ローリングシャッター方式の撮影素子を備え、フレーム毎に、撮影画像を取得し、前記送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行う。前記送信ノードは、可視光を出力する照射部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記照射部を制御する制御部とを含む。前記制御部は、フレーム間で、前記受信ノードの前記撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように前記照射部を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、
前記受信ノードは、ローリングシャッター方式の撮影素子を備え、フレーム毎に、撮影画像を取得し、前記送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行い、
前記送信ノードは、
可視光を出力する照射部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記照射部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、フレーム間で、前記受信ノードの前記撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように前記照射部を制御する
通信システム。
【請求項2】
前記待機時間は、以下の式より定められる請求項1記載の通信システム。
ただし、rは、前記フレームレートであり、t
eは前記露光時間であり、t
rは前記ローリングシャッター方式の読み出し時間であり、mは前記ローリングシャッター方式の行数であり、t
wは前記待機時間である。
【請求項3】
前記制御部は、時刻同期用のプリアンブルに応じて可視光を照射させるように前記照射部を制御する請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記受信ノードは、前記送信ノードから送信された前記プリアンブルを取得したときには、前記プリアンブルに基づいて算出される追加待機時間を設けて、フレーム毎の撮影画像の取得を開始する請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記プリアンブルは、プリアンブルであることを示すための識別ビット列及びカウントビット列を含んで構成され、
前記受信ノードは、前記待機時間、前記プリアンブル中で最後に撮影された値、前記プリアンブルの残りビット数、前記カウントビット列の長さ、及び前記識別ビット列の長さに基づいて、前記追加待機時間を算出する請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記プリアンブルの長さは
を満たす請求項5記載の通信システム。
ただし、l
cは、前記カウントビット列の長さであり、l
iは、前記識別ビット列の長さであり、τは、1シンボルの持続時間であり、rは、フレームレートであり、t
wは、前記待機時間であり、t
pは、事前に定めたパラメータである。
【請求項7】
前記受信ノードは、複数の受信ノードである請求項4記載の通信システム。
【請求項8】
送信ノードと、ローリングシャッター方式の撮影素子を備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、
前記送信ノードの制御部が、送信情報に応じて可視光を照射させるように、可視光を出力する照射部を制御し、
前記受信ノードが、フレーム毎に、撮影画像を取得し、前記送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行うことを含み、
前記制御部が制御することでは、フレーム間で、前記受信ノードの前記撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように前記照射部を制御する
通信方法。
【請求項9】
前記制御部は、時刻同期用のプリアンブルに応じて可視光を照射させるように前記照射部を制御する請求項8記載の通信方法。
【請求項10】
前記受信ノードは、前記送信ノードから送信された前記プリアンブルを取得したときには、前記プリアンブルに基づいて算出される追加待機時間を設けて、フレーム毎の撮影画像の取得を開始する請求項9記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を用いる通信の中でも、光空間通信(あるいは光無線通信)は、光信号の伝送媒体として光ファイバではなく空間を用いるため、柔軟性に優れている。これは、電波を用いる無線通信の代替技術でもあり、周波数資源の逼迫が課題となっている昨今、IoTなどにおける活用が期待されている。従来のレーザなどを用いた光空間通信に加えて、近年ではLEDを用いた可視光通信が盛んに検討されるようになった。LEDのような可視光を用いることで、低コスト化のほか、天井照明などの照明用途との複合的な利用など、柔軟な運用が可能になるメリットがある。
【0003】
可視光による光空間通信の一手法として、光カメラ通信(Optical Camera Communication:OCC)がある。OCCとは、送信機にLEDやディスプレイのような光源、受信機にカメラを用いた可視光通信のことである。送信機として3色LEDを用い、データを光信号へ変調して送信するのが、最も一般的な適用形態である。受信側の動作としては、カメラで撮影した動画像の中から光源の占めるピクセルを抽出し、当該領域のRGB値などから信号を復調する。
【0004】
OCCの適用により、スマートフォン等をはじめとしたLEDライトやカメラを搭載したスマートデバイスのほか、照明やWebカメラなど既存のデバイスを用いて通信を行えるようになる。すなわち、スマートフォン等を用いた日常生活での簡易的な通信に加え、室内灯などを用いた照明機能と通信機能の両立、自動運転などをサポートするV2X通信など、様々な場面での応用が可能である。
【0005】
OCCの関連技術として、Blooming effectと呼ばれる光の拡散による干渉を回避する手法(非特許文献1)がある。OCCでは、CMOSイメージセンサを用いて光信号を受光し、画像内で光源に該当する領域の画素ごとのRGB値を用いて信号の復調を行う。このとき、複数の光源が画像上で重なっていれば光の重なり、あるいは光源そのものの遮蔽により干渉が起こる。そして機種や環境によってはさらに、Blooming effectと呼ばれる光の拡散現象による干渉が生じる。この課題に対して非特許文献1の技術では、カメラと物体の座標と近似的なサイズに加えて、画素数やCMOSイメージセンササイズ、画角などカメラのパラメータを考慮し、透視変換などの数学的手法により画像上での干渉条件を理論的に定式化している。
【0006】
さらに、Blooming effectを考慮した画像上での光の減衰を表す近似式を用いて、光源間の干渉を回避することが可能である。
【0007】
またOCCの通信レート向上技術として、ローリングシャッターを用いた手法(非特許文献2)がある。スマートフォンなどのカメラを含めて、近年はローリングシャッターを採用したカメラデバイスが多く存在する。ローリングシャッターは、イメージセンサを構成する画素について、縦または横方向に順番に露光及び読み取りを行う手法である。OCCに対してローリングシャッターを適用することで、グローバルシャッターを用いた場合と比較して、大幅な伝送レート向上が可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Yukito Onodera, Hiroki Takano, Daisuke Hisano, Yu Nakayama, "Avoiding Inter Light Sources Interference in Optical Camera Communication", IEEE Global Telecommunications Conference (GLOBECOM), Madrid, Spain, Dec. 2021.
【非特許文献2】T. Nguyen, C. H. Hong, N. T. Le, and Y. M. Jang, "Highspeed asynchronous optical camera communication using LED and rolling shutter camera," in 2015 Seventh International Conference on Ubiquitous and Future Networks. IEEE, 2015, pp. 214-219.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ローリングシャッターでは、1フレームの間に画素の列を順番に露光し、読み取り処理を行うことで画像を生成する。ただし、あるフレームと次のフレームとの間には、露光を行わない待機時間が存在する。そのため、ローリングシャッターをOCCに適用し、送信側が連続的に光信号を送信した場合には、この待機時間にあたった信号は受信されず消失するという課題があった。また、これを解決するための送受信ノード間での時刻同期に係る技術はこれまでになかった。
【0010】
開示の技術は、ローリングシャッター方式を用いた高速な可視光通信において、送信情報の消失を回避することができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1態様は、送信ノードと、受信ノードと、を含む通信システムであって、前記受信ノードは、ローリングシャッター方式の撮影素子を備え、フレーム毎に、撮影画像を取得し、前記送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行い、前記送信ノードは、可視光を出力する照射部と、送信情報に応じて可視光を照射させるように前記照射部を制御する制御部とを含み、前記制御部は、フレーム間で、前記受信ノードの前記撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように前記照射部を制御する。
【0012】
本開示の第2態様は、送信ノードと、ローリングシャッター方式の撮影素子を備える受信ノードと、を含む通信システムにおける通信方法であって、前記送信ノードの制御部が、送信情報に応じて可視光を照射させるように、可視光を出力する照射部を制御し、前記受信ノードが、フレーム毎に、撮影画像を取得し、前記送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行うことを含み、前記制御部が制御することでは、フレーム間で、前記受信ノードの前記撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように前記照射部を制御する。
【発明の効果】
【0013】
開示の技術によれば、ローリングシャッター方式を用いた高速な可視光通信において、送信情報の消失を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ローリングシャッター方式の露光及び読み出しを説明するための図である。
【
図2】ローリングシャッター方式の露光及び読み出しのタイミングを説明するための図である。
【
図3】送信ノードの送信及び受信ノードの受信のタイミングを説明するための図である。
【
図4】プリアンブルの長さを説明するための図である。
【
図5】プリアンブルを受信したときのフレーム画像を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
【
図7】第1、第2実施形態に係る送信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
【
図8】第1、第2実施形態に係る受信ノードの制御部の構成を示すブロック図である。
【
図9】第1、第2実施形態に係る送信ノードによる送信処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図10】第1、第2実施形態に係る受信ノードによる受信処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
<開示の技術の実施形態の原理>
図1は、本開示の技術の実施形態に係るローリングシャッター方式の一般的な動作を示す図である。ローリングシャッター方式は、イメージセンサを構成する画素について、縦または横方向に順番に露光及び読み取りを行う手法である。図では一例として、横方向の行を上から順番に走査するものとし、Row1~Row22を記載している。すなわち、Row1から順番に露光が開始されていく。各行について、一定時間(図中の露光時間)だけ露光された後に、読み出し処理が行われる(読み出しに要する時間は図中では読み出し時間と記載している)。OCC送信機である光源が高速に点灯及び消灯を繰り返すこととし、Row1~Row4が露光されている間は消灯、Row5~Row10の露光時には点灯しているものとする。また、Row13~Row22の露光時にも光源が点灯している。このとき、当該フレームの撮影画像であるフレーム画像としては、
図1に示すような横縞が観測される。
【0017】
図2は、本開示の技術の実施形態に係るローリングシャッターの一般的な動作と待機時間を説明する図である。ここでは簡単のため、行1~行5を順番に露光させていくものとして説明する。カメラのフレームレートをrとおくと、1フレームの時間幅は1/rである。ただし各フレームについて、時間幅1/rのうち、いずれの行も露光されていない時間、すなわち待機時間が存在する。すなわち、n番目のフレームについて、行1から順番に露光を開始する。各フレームは一定の露光時間だけ露光された後で、それぞれ読み出される。露光時間をt
e、ローリングシャッター方式の読み出し時間をt
r、ローリングシャッター方式の行数をm、待機時間をt
wとおけば、
【0018】
【0019】
を満たす。このとき、1フレーム中の信号受光時間Tは、
と表せる。1シンボルが占める行数をμとし、1シンボルの持続時間をτとおけば、
となる。
【0020】
図3は、本開示の技術の実施形態に係る時刻同期時の送信ノード及び受信ノードの動作を示す図である。送信ノードは、送信情報の実データであるペイロードに先んじて、時刻同期用のデータであるプリアンブルを送信する。このとき、プリアンブル長は
を満たすように設定することで、受信ノードで必ずプリアンブルの識別ビット列とカウントビット列が撮影され、プリアンブル受信後に待機時間、処理時間を確保して、次のフレームでペイロード送信のタイミングに同期することができる。プリアンブルがn-1番目のフレームに撮影されたとして、受信ノードでは以下の動作を行う。すなわち、追加待機時間t
aを、
【0021】
【0022】
として求める。ここで、vはプリアンブル中で最後に撮影されたカウントビット列の十進数の値であり、bはフレーム画像に写ったv以降の残りビット数である。tpはシステムの処理時間などを考慮して、事前に定めたパラメータである。受信ノードは、ここで算出したtaだけnフレーム目の撮影開始を遅らせることで、ペイロード送信開始とタイミングを合わせる。送信ノードは、プリアンブル及びペイロードを送信した後は待機時間分だけ信号送出を停止し、以降も同じ長さのペイロードを送信するごとに待機時間を空けるようにして送信を行う。
【0023】
図4は、本開示の技術の実施形態に係る時刻同期用のプリアンブル信号の一例を示す図である。プリアンブルは、プリアンブルであることを示すための識別ビット列及びカウントビット列から構成される。なお識別ビット列は、カウントビット列と重複や混同が発生しないように定める。カウントビット列は、プリアンブルが終わるまでの長さを表す情報であり、
図4の例では、1111から0000までのカウントダウンを行うように設定している。したがって、カウントビット列の長さをl
c、識別ビット列の長さをl
iとしたとき、プリアンブル長は、
となる。
【0024】
図5は、本開示の技術の実施形態に係る時刻同期用のプリアンブル信号を受信ノードで撮影した様子を示す図である。画像には、ローリングシャッター方式の動作に起因する横縞が撮影され、プリアンブル中の識別ビット列及びカウントビット列が交互に写る。この中で、最後に全体を受信したカウントビット列の値(
図5では1010)の十進数化した値を、上述したvとして用いる。また、それ以降のビット数(
図5における1010より下側のレフトオーバービット列のビット数)を、上述したbとして用いる。以上の方法により、受信ノードで撮影されたプリアンブルの値から、ペイロード送信が開始されるまでの時間を算出し、追加の待機時間を設けることで、送受信タイミングに関する時刻同期を行う。
【0025】
[第1実施形態]
<通信システム10の構成>
図6に示すように、第1実施形態に係る通信システム10は、受信ノード20と、送信ノード40とを備えている。
【0026】
送信ノード40は、照射部42と、制御部44と、を備える。
【0027】
照射部42は、一般的な3色LEDのほか、複数のLEDを並べたパネルや、ディスプレイなどを用いて可視光を照射する。制御部44は、照射部42の発光によって光信号を送信するように制御する。変調方式としては、発光のオン・オフによって1と0を表すOn Off Keyingと呼ばれる手法のほか、発光する光の色によってビット列を表現するColor Shift Keyingなどの手法を用いることができる。また、複数の光源を用いる空間変調と呼ばれる方式を用いてもよい。このように、制御部44は、入力された送信情報を、指定された変調方式を用いて光信号へと変換する役割を担う。
【0028】
照射部42で用いる光源には、LEDライト、LEDパネル、ディスプレイなどがある。入力された送信情報は、光信号として符号化・変調され、光源から送信される。
【0029】
制御部44は、送信情報に応じて可視光を照射させるように照射部42を制御する。
【0030】
具体的には、
図7に示すように、制御部44は、情報取得部50、撮影設定取得部52、待機時間算出部54、データ変調部56、及び出力制御部58を備えている。
【0031】
情報取得部50は、入力された送信情報を取得する。
【0032】
撮影設定取得部52は、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0033】
具体的には、受信ノード20のカメラ22のフレームレート、露光時間、ローリングシャッター方式の読み出し時間、及びローリングシャッター方式の行数を含む、撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0034】
待機時間算出部54は、取得した受信ノード20のカメラ22のフレームレート及び露光時間に基づいて、フレーム間の待機時間を算出する。具体的には、上記(1)式より、待機時間twを算出する。
【0035】
データ変調部56は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0036】
出力制御部58は、フレーム間で、算出された待機時間を設けて、データ変調部56の出力に基づいて、可視光を照射させるように照射部42を制御する。
【0037】
具体的には、出力制御部58は、上記
図3に示すように、まず、プリアンブルを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御し、次に、フレーム間で、算出された待機時間を設けて、送信情報であるペイロードを、照射部42を用いて光信号として送信するように制御する。
【0038】
受信ノード20は、カメラ22と、制御部24と、を備える。
【0039】
カメラ22は、送信ノード40の画像を取り込み可能なように設置されている。カメラ22は、ローリングシャッター方式の撮影素子を備える。また、カメラ22は、フレームレート、露光時間、ローリングシャッター方式の読み出し時間、ローリングシャッター方式の行数を含む、撮影設定に関するパラメータを備える。
【0040】
制御部24は、フレーム毎に、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から撮影画像を取得し、送信情報を取得する可視光通信を行う。
【0041】
具体的には、制御部24は、
図8に示すように、撮影制御部30、画像取得部32、タイミング制御部34、及び復号部36を備えている。
【0042】
撮影制御部30は、フレーム毎に、上記
図1に示すように、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から、横方向の行を上から順番に走査しながら露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0043】
画像取得部32は、フレーム毎に、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0044】
タイミング制御部34は、復号部36によってプリアンブルを取得したときには、上記
図3に示すように、プリアンブルに基づいて算出される追加待機時間を設けて、ペイロードのフレーム毎の撮影画像の取得を開始する。
【0045】
具体的には、プリアンブルを取得したときに、上記(2)式に従って、プリアンブルに基づいて追加待機時間taを算出し、算出された追加待機時間taを設けて、ペイロードのフレーム毎の撮影画像の取得を開始する。
【0046】
復号部36は、フレーム毎に取得したフレーム画像から、プリアンブル及び送信情報に復号する。
【0047】
<通信システム10の作用>
次に、本発明の実施形態に係る通信システム10の作用について説明する。なお、後述する送信処理ルーチン及び受信処理ルーチンが、通信方法の一例である。
【0048】
まず、送信ノード40において、制御部44により、
図9に示す送信処理ルーチンが実行される。
【0049】
まず、ステップS100において、制御部44は、入力された送信情報を取得する。
【0050】
ステップS102において、制御部44は、受信ノード20のカメラ22の撮影設定に関するパラメータを取得する。
【0051】
ステップS104において、制御部44は、受信ノード20のカメラ22のフレームレート及び露光時間に基づいて、フレーム間の待機時間を算出する。
【0052】
ステップS106において、制御部44は、送信情報をビット列に符号化し、プリアンブル及び送信情報のビット列を、指定された変調方式を用いて光信号へ変換する。
【0053】
ステップS108において、制御部44は、フレーム間で、算出された待機時間を設けて、データ変調部56の出力に基づいて、可視光を照射させるように照射部42を制御することにより、可視光通信でデータ送受信を行う。
【0054】
また、受信ノード20の制御部24により、
図10に示す受信処理ルーチンが実行される。
【0055】
まず、ステップS110において、制御部24は、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から、横方向の行を上から順番に走査しながら露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0056】
ステップS112において、制御部24は、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0057】
ステップS113において、制御部24は、上記ステップS112で取得したフレーム画像からプリアンブルに復号する。
【0058】
ステップS114において、制御部24は、上記ステップS113で取得したプリアンブルに基づいて算出される追加待機時間を設けて、フレーム毎の撮影画像の取得を開始するタイミングを決定する。
【0059】
ステップS116において、制御部24は、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から、横方向の行を上から順番に走査しながら露光及び読み取りを行うようにカメラ22を制御する。
【0060】
ステップS118において、制御部24は、カメラ22のローリングシャッター方式の撮影素子から取得した撮影画像から、送信ノード40の照射部42によって照射された可視光を表す領域を検出し、フレーム画像として取得する。
【0061】
ステップS120において、制御部24は、ペイロードのフレームが終了であるか否かを判定する。ペイロードのフレームが終了でない場合には、上記ステップS116へ戻る。一方、ペイロードのフレームが終了である場合には、上記ステップS122へ進む。
【0062】
ステップS122において、制御部24は、フレーム毎に取得したフレーム画像から、送信情報に復号し、受信処理ルーチンを終了する。
【0063】
以上説明したように、第1実施形態に係る通信システムによれば、送信ノードの制御部が、送信情報に応じて可視光を照射させるように、可視光を出力する照射部を制御し、受信ノードが、ローリングシャッター方式の撮影素子により、フレーム毎に、撮影画像を取得し、送信ノードからの送信情報を取得する可視光通信を行う。このとき、送信ノードは、フレーム間で、受信ノードの撮影素子のフレームレート及び露光時間に基づいて予め定められた待機時間を設けて、可視光を照射させるように照射部を制御する。これにより、ローリングシャッター方式を用いた高速な可視光通信において、送信情報の消失を回避することができる。
【0064】
また、送信情報に対して、ローリングシャッターの待機時間によらずに受信が可能な時刻同期用のプリアンブルの信号を埋め込むことで、受信ノード側でフレーム開始タイミングを制御する。また、信号の送受信タイミングを合わせた後は、送信ノード側で、待機時間には信号送信を実施しないことで、送信情報の消失を防ぐ。従って、受信ノードにローリングシャッター方式を用いて、時刻同期に基づき待機時間内のデータ送信を回避し、ロスレスでの高速な可視光通信を実現することができる。
【0065】
また、ローリングシャッター方式を採用した受信ノードを用いて、ロスのない高速な可視光通信を実行することが可能となる。ローリングシャッター方式では待機時間は原理的にゼロにはならない一方で、これを考慮した時刻同期手法はこれまでになく、ローリングシャッター方式を用いた可視光通信において、第1実施形態に係る通信システムは非常に有用である。
【0066】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る通信システムについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
第2実施形態では、1つの送信ノードからの送信情報を、複数の受信ノードで受信する点が、第1実施形態と異なっている。
【0068】
図11に示すように、第2実施形態に係る通信システム210は、複数の受信ノード20と、送信ノード40とを備えている。
【0069】
複数の受信ノード20は、カメラ22の撮影設定に関するパラメータが共通である。具体的には、複数の受信ノード20において、受信ノード20のカメラ22のフレームレート、露光時間、ローリングシャッター方式の読み出し時間、及びローリングシャッター方式の行数を含む撮影設定に関するパラメータが共通である。
【0070】
通信システム210の他の構成及び作用については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態に係る通信システムによれば、一つの送信ノードの光信号を複数の受信ノードで受信する一対多通信においても、送信情報の消失を回避して、ローリングシャッター方式を用いた高速な可視光通信を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
10、210 通信システム
20 受信ノード
22 カメラ
24 制御部
30 撮影制御部
32 画像取得部
34 タイミング制御部
36 復号部
40 送信ノード
42 照射部
44 制御部
50 情報取得部
52 撮影設定取得部
54 待機時間算出部
56 データ変調部
58 出力制御部