IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧 ▶ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の特許一覧

特開2025-100497微生物制御材、微生物制御組成物及び微生物制御材の使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100497
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】微生物制御材、微生物制御組成物及び微生物制御材の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/06 20060101AFI20250626BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20250626BHJP
   A01N 25/18 20060101ALI20250626BHJP
   C22C 23/04 20060101ALI20250626BHJP
   C22C 23/02 20060101ALI20250626BHJP
   C22C 23/00 20060101ALI20250626BHJP
   C22F 1/06 20060101ALN20250626BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20250626BHJP
【FI】
A01N59/06 Z
A01P3/00
A01N25/18 102B
C22C23/04
C22C23/02
C22C23/00
C22F1/06
C22F1/00 623
C22F1/00 641Z
C22F1/00 672
C22F1/00 640Z
C22F1/00 681
C22F1/00 683
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 694A
C22F1/00 694B
C22F1/00 694Z
C22F1/00 682
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024225017
(22)【出願日】2024-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2023216893
(32)【優先日】2023-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 英樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】花田 幸太郎
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB18
4H011DA07
(57)【要約】
【課題】微生物の増殖の抑制及び促進を制御できる微生物制御材を提供する。
【解決手段】合金材料を含み、合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金材料を含み、
前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材。
【請求項2】
前記合金材料は、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有する請求項1に記載の微生物制御材。
【請求項3】
前記元素の含有量は、前記合金材料の全質量に対して、合計で、0.1質量%~20質量%である請求項2に記載の微生物制御材。
【請求項4】
前記合金材料は、アルミニウムをさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の微生物制御材。
【請求項5】
合金材料由来のイオンと、液体と、を含み、
前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御組成物。
【請求項6】
前記合金材料が、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有する請求項5に記載の微生物制御組成物。
【請求項7】
合金材料を含みかつ前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材を、液体に接触させて放置することで、前記合金材料由来のイオンを生成するイオン生成工程を含む微生物制御材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物制御材、微生物制御組成物及び微生物制御材の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自然界にはさまざまな微生物が存在している。このような微生物としては、例えば、植物の栽培において病原性を示す有害な微生物、食品の加工において有用性を発揮する有益な微生物等が挙げられる。
微生物は、その種類によってさまざまな性質を示す。例えば、植物の病気の大部分は微生物が主因となる伝染病である。そのため、このような微生物による伝染病を防除するための技術が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、(1)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びケイ酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種、(2)微量要素、(3)二酸化ケイ素及び酸化鉄から選ばれた少なくとも1種のうち、(1)と(2)の組み合わせ、(1)と(3)の組み合わせ、(1)と(2)と(3)の組み合わせを含有することを特徴とする、植物の土壌伝染病防除用組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-125283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、人に対して損害を与える有害な微生物と人に対して利益をもたらす有益な微生物が存在することが知られている。
有害な微生物として、植物を栽培する際に病原菌となる微生物が挙げられる。このような有害な微生物に対しては、増殖を抑制する手段が求められる。
例えば、従来公知の栽培方法として養液栽培が知られている。養液栽培は、気候変動の影響を受けにくく、安定した収量を得られることから、施設園芸において広く普及している。養液栽培は、土壌を用いることなく培養液によって生育に必要な肥料分を植物に供給する栽培法であり、閉鎖された環境で植物を栽培することから病害を回避しやすいという利点を有する。しかし、養液栽培は、一旦病害が発生すると被害は甚大になりやすいという欠点を有する。そのため、養液栽培のような用途においては、特に病原菌の増殖を抑制する手段がより求められている。
有益な微生物として、人にとって食用価値が高い植物(例えば野菜類)や菌類(例えばキノコ類)の生育を促進することができる微生物が挙げられる。このような有益な微生物に対しては、増殖を促進する手段が求められる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、微生物の増殖の抑制及び促進を制御できる微生物制御材、微生物制御組成物及び微生物制御材の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を含む。
<1>合金材料を含み、前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材。
<2>前記合金材料は、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有する<1>に記載の微生物制御材。
<3>前記元素の含有量は、前記合金材料の全質量に対して、合計で、0.1質量%~20質量%である<2>に記載の微生物制御材。
<4>前記合金材料は、アルミニウムをさらに含有する<1>~<3>のいずれか1つに記載の微生物制御材。
<5>合金材料由来のイオンと、液体と、を含み、前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御組成物。
<6>前記合金材料が、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有する<5>に記載の微生物制御組成物。
<7>合金材料を含みかつ前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材を、液体に接触させて放置することで、前記合金材料由来のイオンを生成するイオン生成工程を含む微生物制御材の使用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、微生物の増殖の抑制及び促進を制御できる微生物制御材、微生物制御組成物及び微生物制御材の使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】微生物制御材の作製フローチャートである。
図2A】実施例2-1における各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフである。
図2B】実施例2-1における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図3A】実施例2-2における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図3B】実施例2-2における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図4A】実施例2-3における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図4B】実施例2-3における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図5A】実施例2-4における各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフである。
図5B】実施例2-4における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図6A】実施例2-5における各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフである。
図6B】実施例2-5における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図7A】実施例2-6における各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフである。
図7B】実施例2-6における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図8A】実施例2-7における各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフである。
図8B】実施例2-7における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図9A】実施例2-8における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図9B】実施例2-8における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図10A】実施例2-9における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図10B】実施例2-9における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図11A】実施例2-10における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図11B】実施例2-10における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図12A】実施例2-11における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図12B】実施例2-11における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図12C】実施例2-11における各処理区の7日後の胞子形成量(×104個/mL)の比較を表すグラフである。
図12D】実施例2-11における合金区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)である。
図12E】実施例2-11における純マグネシウム区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)である。
図12F】実施例2-11における無処理区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)である。
図13A】実施例2-12における各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフである。
図13B】実施例2-12における各処理区のpHの経時的推移を表すグラフである。
図13C】実施例2-12における各処理区の7日後の胞子形成量(×104個/mL)の比較を表すグラフである。
図13D】実施例2-12における合金区の培養液の顕微鏡画像(100倍)である。
図13E】実施例2-12における純マグネシウム区の培養液の顕微鏡画像(100倍)である。
図13F】実施例2-12における無処理区の培養液の顕微鏡画像(100倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
本実施形態において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本実施形態に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本実施形態において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
【0011】
≪微生物制御材≫
本実施形態の微生物制御材は、合金材料を含み、前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する。
主成分としてマグネシウムを含有する合金材料とは、マグネシウムの含有量が合金材料の全質量に対して、80質量%以上である合金材料を意味する。
本実施形態の微生物制御材の形態は、固体及び液体を含む。
本実施形態において、微生物制御とは、微生物の代謝を変化させることで好ましい形質や増殖様式を発現させること、つまり微生物の増殖促進や増殖抑制、代謝を制御することを意味する。微生物制御とは、例えば、植物の病原菌などの有害菌に対しては増殖抑制の効果を示し、有益菌に対しては増殖促進の効果を示すことを意味する。
本実施形態において、合金材料は、複数の金属元素からなるか、又は金属元素及び非金属元素からなる。
合金材料は、実質的に金属元素からなることが好ましい。
「実質的に金属元素からなる」とは、合金材料の全質量に対して、金属元素の合計含有量が、90質量%以上であってもよく、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上である。
【0012】
本実施形態の微生物制御材における合金材料は、主成分であるマグネシウムのイオンであるマグネシウムイオンを放出し得る。このマグネシウムイオンは、合金材料が液体(例えば水)又は高湿度環境に暴露されることで、好適に放出される。より詳細には、合金材料が液体又は高湿度環境に暴露されることで、合金材料自体が溶解し、マグネシウムイオンが好適に放出される。
本実施形態の微生物制御材が微生物制御の効果を奏する理由は、合金材料を構成する各種元素のイオンが、合金材料自体の溶解によって放出され、放出されたイオンの少なくとも一部が微生物に作用するためであると推測される。
【0013】
本実施形態の微生物制御材は、上記合金材料からなることが好ましい。
【0014】
<合金材料>
(マグネシウム)
本実施形態における合金材料は、主成分としてマグネシウムを含有する。
本実施形態における合金材料は、液体(例えば水)又は高湿度環境に暴露されることで、マグネシウムイオンを放出する。
マグネシウムの含有量は、合金材料の全質量に対して、80質量%~99質量%であることが好ましく、85質量%~99質量%であることがより好ましく、90質量%~98質量%であることがさらに好ましい。
【0015】
(アルミニウム)
合金材料は、アルミニウムをさらに含有することが好ましい。合金材料は、アルミニウムをさらに含有することで、耐食性に優れる。つまり、合金材料の溶解速度を緩やかにすることができるため、合金材料からのイオンの放出速度を抑制することができる。その結果、合金材料は、アルミニウムをさらに含有することでイオンの徐放性に優れる。
本実施形態において、合金材料が液体又は高湿度環境に暴露された場合でも、アルミニウムは全く又はほとんど溶出せず、実質的にアルミニウムイオンは放出されない。
【0016】
アルミニウムの含有量は、合金材料の全質量に対して、0.1質量%~10.0質量%であることが好ましく、0.3質量%~3.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%~1.0質量%であることがさらに好ましい。
【0017】
(他の元素)
本実施形態における合金材料は、マグネシウム及びアルミニウム以外の他の元素をさらに含むことが好ましい。
他の元素として、合金材料は、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素(副成分の元素ともいう)をさらに含有することが好ましい。
合金材料は、亜鉛及びカルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有することがより好ましく、亜鉛及びカルシウムを含有することがさらに好ましい。
合金材料は、マグネシウム及びアルミニウム以外の元素として、上記の元素を含むことで、微生物の増殖の抑制及び促進をより制御できる。
【0018】
上記副成分の元素の含有量は、前記合金材料の全質量に対して、合計で、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~15質量%であることがより好ましく、3質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
【0019】
合金材料が亜鉛を含む場合、亜鉛の含有量は、前記合金材料の全質量に対して、0.1質量%~15質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましく、3質量%~6質量%であることがさらに好ましい。
【0020】
合金材料がカルシウムを含む場合、カルシウムの含有量は、前記合金材料の全質量に対して、0.1質量%~3質量%であることが好ましく、0.3質量%~2質量%であることがより好ましく、0.5質量%~1.5質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
合金材料の製造方法としては、例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムなどの原料から合金インゴットを作製し、上記インゴットを所望の形状に加工する方法が挙げられる。
具体的には、各種合金元素の純金属を、所望の質量比となるように溶解用グラファイトるつぼに入れる。この溶解用グラファイトるつぼを高周波溶解炉チャンバー内の高周波コイル内部に入れ、鋳型を高周波コイルの前面に設置する。そして、高周波溶解炉チャンバー内を真空引きした後にヘリウムガスを充填し、グラファイトるつぼを750℃以上まで加熱する。金属が完全に溶融したことを確認してからグラファイトるつぼ内の合金溶湯を銅製鋳型に鋳込み、冷却後、鋳型から合金インゴットを得る。
【0022】
次に、得られた合金インゴット鋳塊より切り出した押出しビレットを加工温度400℃、加工速度300mm/min、押出し比10の加工条件で1次加工(熱間押出し)する。
1次加工後のビレットを大気炉により加熱した後、内蔵ヒーターで加熱した圧延ロールに通して2次加工(熱間圧延)を行って合金板材を得る。
得られた合金板材を切断砥石により切断した後、研磨紙を用いて研磨して、板状の合金材料を得る。
【0023】
≪用途≫
本実施形態の微生物制御材は、栽培用として好適に用いられる。
栽培方法としては、土壌栽培、養液栽培、菌床栽培等が挙げられる。中でも、本実施形態の微生物制御材は、養液栽培に好適に用いられる。
養液栽培は、養水分を含む培養液を植物に与える栽培方法であり、土壌を必要とはしない。
本実施形態の微生物制御材は、上記栽培において発生する微生物(菌)に対して用いることができる。例えば、微生物が植物に対する病原菌などの有害菌である場合には、その増殖を抑制することができ、微生物が有益菌である場合には、その増殖を促進することができる。
【0024】
<微生物>
本実施形態の対象となる微生物としては、特に制限はないが、例えば、原生生物、真菌、細菌等が挙げられる。
原生生物としては、例えば卵菌類が挙げられる。
真菌としては、例えば子嚢菌類、担子菌類、ケカビ目等が挙げられる。
細菌としては、例えばアクチノバクテリア、プロテオバクテリア等が挙げられる。
【0025】
本実施形態の対象となる微生物としては、例えば、americana、flagellata、klebsianaなどのアクリヤ(Achlya)属;laidlawiiなどのアコレプラズマ(Acholeplasma)属;tumefaciensなどのアグロバクテリウム(Agrobacterium)属;alternataなどのアルタナリア(Alternaria)属;cochlioides、raphaniなどのアファノマイセス(Aphanomyces)属;brasiliensis、flavus、niger、penicilloides、terreus、tonophilum、tubingensis、versicolorなどのアスペルギルス(Aspergillus)属;pullulansなどのオーレオバシジウム(Aureobasidium)属;atrophaeus、cereus、subtilisなどのバシラス(Bacillus)属;MS2、Q-beta、φX174などのバクテリオファージ(Bacteriophage);pulchrumなどのボトリオスポリウム(Botryosporium)属;cinereaなどのボトリティス(Botrytis)属;diminutaなどのブレブンディモナス(Brevundimonas)属;ambifaria、andropogonis、caryophylli、cenocepacia、cepacia、gladioli、glumae、plantarii、pyrrociniaなどのバークホルデリア(Burkholderia)属;ilicicolaなどのカロネクトリア(Calonectria)属;albicansなどのカンジダ(Candida)属;cornigerum、setariaeなどのセラトバシジウム(Ceratobasidium)属;fimbriataなどのセラトシスティス(Ceratocystis)属;globosumなどのケトミウム(Chaetomium)属;cucurbitarumなどのコアネフォラ(Choanephora)属;allii、gentianaeなどのシボリニア(Ciborinia)属;cladosporioides、sphaerospermumなどのクラドスポリウム(Cladosporium)属;michiganensisなどのクラビバクター(Clavibacter)属;sporogenesなどのクロストリジウム(Clostridium)属;coccodesなどのコレトトリカム(Colletotrichum)属;cassiicolaなどのコリネスポラ(Corynespora)属;flaccumfaciensなどのクルトバクテリウム(Curtobacterium)属;destructans、obtusisporumなどのシリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属;floridanumなどのシリンドロクラディウム(Cylindrocladium)属;batatas、destruensなどのディアポルテ(Diaporthe)属;dianthicola、zeaeなどのディケヤ(Dickeya)属;sterilisなどのディクテュカス(Dictyuchus)属;bryoniaeなどのディディメラ(Didymella)属;araliaeなどのエルシノエ(Elsinoe)属;persicina、rhaponticiなどのエルウィニア(Erwinia)属;coliなどのエシェリキア(Escherichia)属;palustrisなどのフォミトプシス(Fomitopsis)属;avenaceum、buharicum、commune、languescens、moniliforme、oxysporum、proliferatum、roseum、solani、solani-melongenae、subglutinans、torulosum、tricinctumなどのフザリウム(Fusarium)属;graminisなどのゴイマノマイセス(Gaeumannomyces)属;stearothermophilusなどのゲオバチルス(Geobacillus)属;fujikuroi、zeaeなどのジベレラ(Gibberella)属;mompaなどのヘリコバシディウム(Helicobasidium)属;oryzaeなどのヘリコセラス(Helicoceras)属;sigmoideumなどのヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属;resinaeなどのホルモコニス(Hormoconis)属;pneumoniaeなどのクレブシエラ(Klebsiella)属;rhizophilaなどのコクリア(Kocuria)属;acidophilus、fructivorans、hilgardii、paracaseiなどのラクトバシラス(Lactobacillus)属;phaseolinaなどのマクロフォミナ(Macrophomina)属;salviniiなどのマグナポルテ(Magnaporthe)属;extorquens などのメチロルブラム(Methylorubrum)属;luteusなどのマイクロコッカス(Micrococcus)属;infuscansなどのモニロケーテス(Monilochaetes)属;cannonballusなどのモノスポラスカス(Monosporascus属);fragilisなどのムコール(Mucor)属;smegmatisなどのマイコバクテリウム(Mycobacterium)属;acerinaなどのマイコセントロスポラ(Mycocentrospora)属;arginini、fermentans、hyorhinis、orale、pneumoniae、salivariumなどのマイコプラズマ(Mycoplasma);verrucariaなどのミロテシウム(Myrothecium)属;melonisなどのノデュリスポリウム(Nodulisporium)属;sojaeなどのオフィオネクトリア(Ophionectria)属;variotiiなどのペシロマイセス(Paecilomyces)属;ananatisなどのパンテア(Pantoea)属;carotovorumなどのペクトバクテリウム(Pectobacterium)属;brevicompactum、citrinum、cyclopium、expansum、funiculosum、guanacastense、ochrochloron、pinophilum、piscarium、sclerotiorum、simplicissimumなどのペニシリウム(Penicillium)属;lingam、wasabiaeなどのフォーマ(Phoma)属;rojanaなどのPhomopsis属;cactorum、cambivora、capsici、chrysanthemi、cryptogea、fragariae、fragariaefolia、gloveri、hedraiandra、infestans、japonica、katsurae、melonis、multivesiculata、nicotianae、palmivora、porri、sojae、syringaeなどのフィトフトラ(Phytophthora)属;(キャンディダタス ファイトプラズマ)Candidatus Phytoplasma属;helicoidesなどのファイトピシウム(Phytopythium)属;brassicaeなどのプラスモディオフォラ(Plasmodiophora)属;プレクトスフェレラ(Plectosphaerella)属;tabacinumなどのプレクトスポリウム(Plectosporium)属;aegrilactucae、aeruginosa、allii、cannabina、cichorii、corrugata、fluorescens、kitaguniensis、lactucae、marginalis、morbosilactucae、paraeruginosa、protegens、putida、savastanoi、syringae、viridiflavaなどのシュードモナス(Pseudomonas)属;gentianicola、lycopersici、terrestrisなどのピレノカエタ(Pyrenochaeta)属;miyabeana、oryzaeなどのピシオモルファ(Pythiomorpha)属;aphanidermatum、cryptoirregulare、cucurbitacearum、debaryanum、deliense、dissotocum、irregulare、mastophorum、megalacanthum、myriotylum、paroecandrum、recalcitrans、scleroteichum、spinosum、splendens、sulcatum、sylvaticum、ultimum、vexans、volutum、zingiberisなどのピシウム(Pythium)属;pseudosolanacearum、solanacearumなどのラルストニア(Ralstonia)属;petuniaeなどのラムラリア(Ramularia属);dauciなどのリゾバクター(Rhizobacter)属;radiobacter、rhizogenes、vitisなどのリゾビウム(Rhizobium)属;fragariae、solani、tuliparumなどのリゾクトニア(Rhizoctonia)属;arrhizus、chinensis、javanicus、koreanus、oryzae、stolonifer、triticiなどのリゾプス(Rhizopus)属;equiなどのロドコッカス(Rhodococcus)属;necatrixなどのロセリニア(Rosellinia)属;enterica subsp. Enterica serovar Abony、enterica subsp. Enterica serovar Typhimuriumなどのサルモネラ(Salmonella)属;intermedia、minor、sclerotiorumなどのスクレロチニア(Sclerotinia)属;cepivorum、hydrophilum、rolfsiiなどのスクレロティウム(Sclerotium)属;brevicaulisなどのスコプラリオプシス(Scopulariopsis)属;marcescensなどのセラチア(Serratia)属スファセローマ(Sphaceloma)属;aureus、aureus subsp.、epidermidisなどのスタフィロコッカス(Staphylococcus)属;ipomoeae、scabiesなどのストレプトマイセス(Streptomyces)属;funiculosus、pinophilusなどのタラロマイセス(Talaromyces)属;cucumerisなどのタナテフォーラス(Thanatephorus)属;basicola、thielavioidesなどのティエラビオプシス(Thielaviopsis)属;versicolorなどのトラメテス(Trametes)属;hamatum、harzianum、virens、virideなどのトリコデルマ(Trichoderma)属;mentagrophytesなどのトリコフィトン(Trichophyton)属;トリコスポロン(Trichosporo)属;cepulae、magicaなどのウロシスティス(Urocystis)属;albo-atrum、dahliae、longisporum、nigrescensなどのバーティシリウム(Verticillium)属;virensなどのヴィロシクラヴァ(Villosiclava)属;circinataなどのワイテア(Waitea)属;sebiなどのワレミア(Wallemia)属;axonopodis、campestris、cucurbitae、euvesicatoria、fragariae、hortorum、oryzae、vesicatoriaなどのザントモナス(Xanthomonas)属等の微生物が挙げられる。
【0026】
上述のとおり、本実施形態の微生物制御材は、有害な微生物に対しては増殖抑制効果を示し、有益な微生物に対しては増殖促進効果を示す。
有益な微生物としては、例えば、アセトバクター アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター オリエンテイリス(Acetobacter orientalis)、アセトバクター パステウリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター キシリナム(Acetobacter xylinum)、アガリクス ビスポラス(Agaricus bisporus)、アルミラリア メレア(Armillaria mellea)、アスペルギルス ルチエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス テレウス(Aspergillus terreus)、オーランチオキトリナム sp.(Aurantiochytrium sp.)、バシラス アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス サブチリス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ボトリオコッカス ブラウニー(Botryococcus braunii)、ブラディリゾビウム ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、クラミドモナス レインハルティ(Chlamydomonas reinhardtii)、クロレラ sp.(Chlorella sp.)、コリネバクテリウム アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、デスモデスムス sp.(Desmodesmus sp.)、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)、ユーグレナ sp.(Euglena sp.)、フラムリナ ベルティペス(Flammulina velutipes)、フザリウム sp.(Fusarium sp)、ガノデルマ ルシダム(Ganoderma lucidum)、グルコンアセトバクター ジアゾトロフィカス(Gluconacetobacter diazotrophicus)、グルコンアセトバクター ハンセニ(Gluconacetobacter hansenii)、グルコンアセトバクター コンブチャ(Gluconacetobacter kombuchae)、グルコンアセトバクター キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)、グルコノバクター アルビダス(Gluconobacter albidus)、ヘテロコニウム ケトスピラ(Heteroconium chaetospira)、クリュイベロマイセス マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クリュイベロマイセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ラクトバシラス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシラス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)、レンティヌラ エドデス(Lentinula edodes)、ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、メソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)、メタノバクテリウム サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、メタノサルシナ バーケリ(Methanosarcina barkeri)、ナンノクロロプシス sp.(Nannochloropsis sp.)、ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペニオフォラ シネレア(Peniophora cinerea)、 (Phlebia sp.)、フォリオタ ナメコ(Pholiota nameko)、プレウロタス オストレアタス(Pleurotus ostreatus)、シュードコリシスティス エリスプソイデア(Pseudochoricystis ellipsoidea)、リゾファガズ イレギュラリス(Rhizophagus irregularis)、リゾプス オリゼ(Rhizopus oryzae)、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロポリスポラ エリスラエア(Saccharopolyspora erythraea)、セネデスムス sp.(Scenedesmus sp.)、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)、シネココッカス エロンガツス(Synechococcus elongatus)、トリポクラディウム インフラタム(Tolypocladium inflatum)、トラメテス スヴェオレンス(Trametes suaveolens)、トリコデルマ ハマタム(Trichoderma hamatum)、トリコデルマ ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ ヴィレンス(Trichoderma virens)、トリコローマ マツタケ(Tricholoma matsutake)、ザイゴサッカロイマセス ルーキシ(Zygosaccharomyces rouxii)等が挙げられる。
有害な微生物としては、例えば、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス オクラセウス(Aspergillus ochraceus)、バシラス セレウス(Bacillus cereus)、ボトリティス シネレア(Botrytis cinerea)、バークホルデリア グルマエ(Burkholderia glumae)、 (Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)、ラルストニア シュ-ドソラナセラム(Ralstonia pseudosolanacearum)、ストレプトマイセス スキャビーズ(Streptomyces scabies)、クラドスポリウム ハロトレランス(Cladosporium halotolerans)、クロストリジウム パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、エシェリキア コリ(Escherichia coli)、フザリウム グラミネアラム(Fusarium graminearum)、ラクトバシラス ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)、ラクトバシラス フルクティヴォランス(Lactobacillus fructivorans)、ラクトバシラス ヒルガルディ(Lactobacillus hilgardii)、ペニシリウム エクスパンサム(Penicillium expansum)、ストレプトマイセス スカビエス(Streptomyces scabies)等が挙げられる。
【0027】
<植物>
本実施形態の対象となる植物としては、特に限定されないが、例えば、メロン、カボチャ、キュウリ、スイカ、ツルレイシ、トウガン、ユウガオ、トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、カリフラワー、キャベツ、コマツナ、チンゲンサイ、ハクサイ、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ワサビ、ウド、シュンギク、レタス、セルリー、パセリー、イチゴ、アスパラガス、タマネギ、ニラ、ネギ、サツマイモ、ショウガ、ニンジン、イネ、ソラマメ、ダイズ、オクラ、ホウレンソウ、キク、ペチュニア、カーネーション、チューリップ、シンビジウム、トルコギキョウ、リンドウ、カキ、グミ、イチジク、アンズ、ウメ、オウトウ、スモモ、セイヨウナシ、ナシ、ビワ、モモ、リンゴ、ブドウ、クリ、キウイフルーツ、カンキツなどが挙げられる。
【0028】
<伝染病>
本実施形態が適用される伝染病としては、特に制限はなく、例えば、メロンつる割病、メロンえそ斑点病、メロンモザイク病、メロン褐斑細菌病、メロンがんしゅ病、メロン軟腐病、メロン斑点細菌病、メロン毛根病、メロン疫病、メロン菌核病、メロン紅色根腐病、メロン黒点根腐病、メロン白絹病、メロン立枯病、メロンつる枯病、メロン苗立枯病、メロン根腐病、メロン根腐萎凋病、メロン半身萎凋病、カボチャ青枯病、カボチャ褐斑細菌病、カボチャ斑点細菌病、カボチャ疫病、カボチャ白絹病、カボチャ立枯病、カボチャつる枯病、キュウリ緑斑モザイク病、キュウリ青枯病、キュウリ褐斑細菌病、キュウリ軟腐病、キュウリ斑点細菌病、キュウリ疫病、キュウリ褐斑病、キュウリ菌核病、キュウリ白絹病、キュウリつる枯病、キュウリつる割病、キュウリ苗立枯病、キュウリ根腐病、キュウリ灰色疫病、キュウリ半身萎凋病、キュウリホモプシス根腐病、キュウリ紫紋羽病、スイカ緑斑モザイク病、スイカ萎凋細菌病、スイカ褐斑細菌病、スイカ疫病、スイカ菌核病、スイカ黒点根腐病、スイカ白絹病、スイカ立枯病、スイカつる枯病、スイカつる割病、スイカ半身萎凋病、スイカフザリウム立枯病、ツルレイシ斑点細菌病、トウガン立枯病、トウガンつる枯病、トウガンつる割病、ユウガオ褐斑細菌病、ユウガオ斑点細菌病、ユウガオ黒点根腐病、ユウガオ白絹病、ユウガオつる枯病、ユウガオつる割病、ユウガオ苗立枯病、ユウガオ灰色疫病、トウガラシ・ピーマン青枯病、トウガラシ・ピーマンかいよう病、トウガラシ・ピーマン軟腐病、トウガラシ・ピーマン斑点細菌病、トウガラシ・ピーマン萎凋病、トウガラシ・ピーマン疫病、トウガラシ・ピーマン菌核病、トウガラシ・ピーマン黒点根腐病、トウガラシ・ピーマン白絹病、トウガラシ・ピーマン立枯病、トウガラシ・ピーマン苗立枯病、トウガラシ・ピーマン半身萎凋病、トマト条斑病、トマトモザイク病、トマト青枯病、トマトかいよう病、トマト茎えそ細菌病、トマト黒斑細菌病、トマト軟腐病、トマト斑点細菌病、トマト斑葉細菌病、トマト腐敗病、トマトアルターナリア茎枯病、トマト萎凋病、トマト疫病、トマト褐色根腐病、トマト褐色腐敗病、トマト菌核病、トマト紅色根腐病、トマト黒点根腐病、トマト小粒菌核病、トマト白絹病、トマト苗立枯病、トマト根腐病、トマト根腐萎凋病、トマト根腐疫病、トマト灰色疫病、トマト半身萎凋病、ナスモザイク病、ナス青枯病、ナス褐斑細菌病、ナス茎えそ細菌病、ナス茎腐細菌病、ナス軟腐病、ナス斑点細菌病、ナス疫病、ナス褐色腐敗病、ナス菌核病、ナス黒点根腐病、ナス白絹病、ナス苗立枯病、ナス根腐疫病、ナス半枯病、ナス半身萎凋病、カリフラワー黒腐病、カリフラワー黒斑細菌病、カリフラワー軟腐病、カリフラワー萎黄病、カリフラワー根こぶ病、キャベツ黒腐病、キャベツ黒斑細菌病、キャベツ軟腐病、キャベツ萎黄病、キャベツ株腐病、キャベツ菌核病、キャベツ根朽病、キャベツ根こぶ病、キャベツバーティシリウム萎凋病、キャベツ苗立枯病、コマツナ萎黄病、チンゲンサイ斑点細菌病、チンゲンサイ萎黄病、ハクサイ黒腐病、ハクサイ黒斑細菌病、ハクサイ軟腐病、ハクサイ腐敗病、ハクサイ黄化病、ハクサイ菌核病、ハクサイしり腐病、ハクサイ根くびれ病、ハクサイ根こぶ病、ハクサイピシウム腐敗病、ブロッコリーピシウム腐敗病、カブ青枯病、カブ黒腐病、カブ黒斑細菌病、カブ軟腐病、カブ萎黄病、カブ菌核病、カブ根腐病、カブ根腐疫病、カブ根くびれ病、カブ根こぶ病、カブバーティシリウム黒点病、ダイコン青枯病、ダイコン黒腐病、ダイコン黒点輪腐病、ダイコン黒斑細菌病、ダイコンそうか病、ダイコン軟腐病、ダイコン萎黄病、ダイコン円形褐斑病、ダイコン菌核病、ダイコン黒しみ病、ダイコン根腐病、ダイコン根こぶ病、ダイコン葉腐病、ダイコンバーティシリウム黒点病、ダイコン腐敗病、ダイコン立枯病、ワサビ菌核病、ワサビ茎腐病、ワサビ墨入病、ワサビ根こぶ病、ウド萎黄病、ウド萎凋病、ウド疫病、ウド菌核病、ウド白絹病、ウドそうか病、シュンギク青枯病、シュンギク黒腐病、シュンギク腐敗病、シュンギク萎凋病、シュンギク菌核病、レタス軟腐病、レタス斑点細菌病、レタス腐敗病、レタス菌核病、レタス小粒菌核病、レタスすそ枯病、レタス根腐病、セルリー軟腐病、セルリー斑点細菌病、セルリー葉枯細菌病、セルリー腐敗病、セルリー萎黄病、セルリー菌核病、パセリー軟腐病、パセリー萎凋病、パセリー疫病、パセリー立枯病、パセリー苗立枯病、パセリー根腐病、パセリー根くびれ病、イチゴ角斑細菌病、イチゴ萎黄病、イチゴ萎凋病、イチゴ疫病、イチゴ果実腐敗病、イチゴ菌核病、イチゴ黒色根腐病、イチゴ白絹病、イチゴ軟腐病、イチゴ根腐病、イチゴ芽枯病、アスパラガス褐色菌核根腐病、アスパラガス株腐病、アスパラガス白紋羽病、アスパラガス立枯病、アスパラガス苗立枯病、アスパラガス紫紋羽病、タマネギかいよう病、タマネギ軟腐病、タマネギ斑点細菌病、タマネギ腐敗病、タマネギりん片腐敗病、タマネギ疫病、タマネギ乾腐病、タマネギ菌核病、タマネギ黒かび病、タマネギ黒腐菌核病、タマネギ黒穂病、タマネギ紅色根腐病、タマネギ小菌核病、タマネギ白絹病、タマネギ白色疫病、タマネギ苗立枯病、ニラ株腐細菌病、ニラ軟腐病、ニラ乾腐病、ニラ黒腐菌核病、ニラ紅色根腐病、ニラ白絹病、ニラ白色疫病、ニラ葉腐病、ネギ斑紋病、ネギ軟腐病、ネギ斑点細菌病、ネギ腐敗病、ネギ萎凋病、ネギ疫病、ネギ黒腐菌核病、ネギ黒穂病、ネギ紅色根腐病、ネギ小菌核病、ネギ白絹病、ネギ白色疫病、ネギ苗立枯病、サツマイモ立枯病、サツマイモ青かび病、サツマイモかいよう病、サツマイモ褐色乾腐病、サツマイモ乾腐病、サツマイモ基腐病、サツマイモ菌核病、サツマイモ黒あざ病、サツマイモ黒斑病、サツマイモ小粒菌核病、サツマイモ白絹病、サツマイモ白腐病、サツマイモ白紋羽病、サツマイモ炭腐病、サツマイモつる割病、サツマイモ軟腐病、サツマイモ根腐病、サツマイモ灰色かび病、サツマイモ紫紋羽病、ショウガ腐敗病、ショウガ根茎腐敗病、ショウガ立枯病、ショウガ紋枯病、ニンジンこぶ病、ニンジン根頭がんしゅ病、ニンジンストレプトミセスそうか病、ニンジン軟腐病、ニンジン斑点細菌病、ニンジン萎黄病、ニンジン褐色根腐病、ニンジン乾腐病、ニンジン菌核病、ニンジン黒すす病、ニンジン黒色根腐病、ニンジンしみ腐病、ニンジン白絹病、ニンジンそうか病、ニンジン根腐病、ニンジン紫紋羽病、イネ稲こうじ病、イネ疫病、イネ株腐病、イネ白葉枯病、イネ苗立枯細菌病、イネ籾枯細菌病、イネ疫病、イネ褐色菌核病、イネ褐色小菌核病、イネ褐色紋枯病、イネ球状菌核病、イネ黒粒菌核病、イネ小黒菌核病、イネ小球菌核病、イネ白絹病、イネ赤色菌核病、イネ立枯病、イネ苗腐病、イネ苗立枯病、イネ灰色菌核病、イネばか苗病、イネ葉鞘網斑病、イネ紋枯病、イネ綿疫病、ソラマメ青枯病、ソラマメ疫病、ソラマメ菌核病、ソラマメ茎腐病、ソラマメ黒根病、ソラマメ白絹病、ソラマメ白紋羽病、ソラマメ立枯病、ソラマメ根腐病、ダイズ退緑斑紋ウイルス病、ダイズ斑紋病、ダイズ葉焼病、ダイズ斑点細菌病、ダイズ萎凋病、ダイズ株枯病、ダイズ菌核病、ダイズ茎疫病、ダイズ黒根病、ダイズ黒根腐病、ダイズ白絹病、ダイズ立枯病、ダイズリゾクトニア根腐病、オクラ疫病、オクラ立枯病、オクラ半身萎凋病、ホウレンソウモザイク病、ホウレンソウ萎凋病、ホウレンソウ疫病、ホウレンソウ株腐病、ホウレンソウこうがいかび病、ホウレンソウ立枯病、ホウレンソウバーティシリウム萎凋病、ホウレンソウ根腐病、ジャガイモそうか病、キク青枯病、キク根頭がんしゅ病、キク軟腐病、キク萎凋病、キク疫病、キク菌核病、キク白絹病、キク立枯病、キク半身萎凋病、キク茎枯病、キク白紋羽病、ペチュニア菌核病、ペチュニア白かび病、カーネーション萎凋細菌病、カーネーション立枯細菌病、カーネーション斑点細菌病、カーネーション萎凋病、カーネーション疫病、カーネーション菌核病、カーネーション茎腐病、カーネーション首腐病、カーネーション白絹病、カーネーション立枯病、カーネーション根腐病、チューリップ黒腐病、チューリップ軟腐病、チューリップ青かび病、チューリップ疫病、チューリップ球茎腐敗病、チューリップ球根腐敗病、チューリップ菌核病、チューリップ茎枯病、チューリップ白絹病、チューリップ白色疫病、チューリップ灰色腐敗病、チューリップ根腐病、チューリップ腐敗病、シンビジウム褐色腐敗病、シンビジウム軟腐病、シンビジウム疫病、シンビジウム褐色葉枯病、シンビジウム白絹病、シンビジウム苗黒腐病、シンビジウム腐敗病、トルコギキョウ青枯病、トルコギキョウ株腐病、トルコギキョウ菌核病、トルコギキョウ茎腐病、トルコギキョウ立枯病、トルコギキョウ根腐病、リンドウ斑紋病、リンドウ褐色根腐病、リンドウ白絹病、リンドウ葉腐病、リンドウ花腐菌核病、リンドウこぶ症、カキ根頭がんしゅ病、カキ白紋羽病、カキ紫紋羽病、カキホモプシス立枯病、グミ白紋羽病、グミ微粒菌核病、イチジク根頭がんしゅ病、イチジク疫病、イチジク菌核病、イチジク白絹病、イチジク白紋羽病、イチジク軟腐病、イチジク紫紋羽病、アンズ根頭がんしゅ病、アンズ白紋羽病、アンズ紫紋羽病、ウメ根頭がんしゅ病、ウメ疫病、ウメ菌核病、ウメ白紋羽病、ウメ紫紋羽病、オウトウ根頭がんしゅ病、オウトウ菌核病、オウトウ白紋羽病、オウトウ紫紋羽病、スモモ根頭がんしゅ病、スモモ白紋羽病、スモモ紫紋羽病、セイヨウナシ疫病、セイヨウナシ白紋羽病、ナシ根頭がんしゅ病、ナシ疫病、ナシ菌核病、ナシ白紋羽病、ナシ紫紋羽病、ビワ根頭がんしゅ病、ビワ疫病、ビワ白紋羽病、ビワ紫紋羽病、モモ根頭がんしゅ病、モモ菌核病、モモ白紋羽病、モモ紫紋羽病、リンゴ根頭がんしゅ病、リンゴ疫病、リンゴ白絹病、リンゴ白紋羽病、リンゴ紫紋羽病、ブドウ根頭がんしゅ病、ブドウ白紋羽病、ブドウ半身萎凋病、ブドウ紫紋羽病、クリ根頭がんしゅ病、クリ疫病、クリ白紋羽病、クリ紫紋羽病、キウイフルーツ白紋羽病、カンキツ根頭がんしゅ病、カンキツ菌核病、カンキツ白紋羽病、カンキツ紫紋羽病、カンキツフザリウム立枯病などが挙げられる。
【0029】
≪微生物制御組成物≫
本実施形態の微生物制御組成物は、合金材料由来のイオンと、液体と、を含み、上記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する。
本実施形態の微生物制御組成物は、液体と、本実施形態の微生物制御材と上記液体とを接触させて得られるイオンと、を含んでもよい。
例えば、液体としての水に本実施形態の微生物制御材を添加して所定時間放置することで、合金材料中のマグネシウムイオン等が水中に溶出して、水中にマグネシウムイオン等の合金材料由来のイオンが生成される。
そのため、本実施形態の微生物制御組成物は、本実施形態の微生物制御材をさらに含んでもよい。
その後、十分にイオンが生成された後に微生物制御材を取り出してもよい。この場合、本実施形態の微生物制御組成物は、本実施形態の微生物制御材を含まない。
【0030】
本実施形態の微生物制御組成物において、本実施形態の微生物制御材の場合と同様に、上述の≪微生物制御材≫に記載の各構成の具体的態様、好ましい態様等の詳細を適宜適用することができる。
【0031】
本実施形態の微生物制御組成物は、上述の(他の元素)の記載と同様に、前記合金材料が、亜鉛、カルシウム、ホウ素、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、モリブデン及び銀からなる群から選択される少なくとも1種の元素をさらに含有することが好ましい。
【0032】
≪微生物制御材の使用方法≫
本実施形態の微生物制御材の使用方法は、合金材料を含みかつ前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材を、液体に接触させて放置することで、上記合金材料由来のイオンを生成するイオン生成工程を含む。液体として、例えば水を用いることができる。
本実施形態の微生物制御材の使用方法は、本実施形態の微生物制御材を用いて行ってもよい。そのため、「合金材料を含みかつ前記合金材料が主成分としてマグネシウムを含有する微生物制御材」として、上述の≪微生物制御材≫に記載の各構成の具体的態様、好ましい態様等の詳細を適宜適用することができる。
【0033】
イオン生成工程において、放置する時間は、30分以上であることが好ましく、3時間以上であることがより好ましく、12時間以上であることがさらに好ましい。
放置する時間が上記範囲内であることで、イオンが良好に生成されるため、微生物制御効果に優れる。
イオン生成工程において、放置する時間の上限は、特に制限はない。イオン生成工程において、放置する時間は、2年以下であってもよく、1年以下であってもよく、6ヵ月以下であってもよい。
【0034】
≪用途≫
本実施形態の微生物制御材は、微生物の増殖の抑制及び促進を制御することを目的として使用できる。
例えば、本実施形態の微生物制御材は、養液栽培のような用途において、病原菌の増殖を抑制するために用いてもよい。
また、例えば、本実施形態の微生物制御材は、有益な微生物の増殖を促進するために用いてもよい。有益な微生物としては、人にとって食用価値が高い植物(例えば野菜類)や菌類(例えばキノコ類)の生育を促進することができる微生物が挙げられる。
【0035】
本実施形態の微生物制御材は、微生物の増殖の抑制及び促進を制御することを目的として、さまざまな用途に広く応用できる。
より具体的な用途としては、下記が挙げられる。
本実施形態の微生物制御材は食用又は薬用のキノコ類に用いることができる。
これによって、食用又は薬用のキノコ類を、大量かつ迅速に栽培することができる。食用のキノコ類としては特に制限はないが、例えばシイタケ、マツタケ、エリンギ等が挙げられる。薬用のキノコ類としては特に制限はないが、例えば霊芝等が挙げられる。
【0036】
カビ類栽培に本実施形態の微生物制御材を用いることで、抗生物質、ホルモンなどに利用することができるカビ類の代謝産物の産生を促進することができる。
【0037】
発酵技術に本実施形態の微生物制御材を用いることで、発酵技術の効率を促進することができる。
例えば、発酵技術に本実施形態の微生物制御材を用いることで、発酵食品及び発酵飲料の生産性を向上させることができる。
また、例えば、本実施形態の微生物制御材は、バイオマスの処理効率を向上させることができる。バイオマスとしては例えば、廃棄物系バイオマス(食品廃棄物、家畜の排せつ物など)、未利用バイオマス(農業廃材、建築廃材、林地残材など)、資源作物(サトウキビ、トウモロコシなど)等が挙げられる。
さらに、例えば、本実施形態の微生物制御材は、発酵させることで促進させることで資源開発に寄与する。資源としては、エタノール、メタンガスなどのバイオ燃料;ポリ乳酸などの生分解性プラスチック;等が挙げられる。
【実施例0038】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
各図面において、「▲」は胞子を、「△」は菌糸を、それぞれ指し示す。
【0039】
本実施例において、OD600は、分光光度計(Thermo Scietific Genesys 40)を用いて測定した。
本実施例において、pHは、pHメーター(HORIBA LAQUAtwin-pH033)を用いて測定した。
【0040】
<実験1>微生物制御材の溶出検証
(実施例1-1)
[微生物制御材の作製]
図1に記載の各工程に従って微生物制御材を作製した。図1は、微生物制御材の作製フローチャートである。
具体的には、まず、合金元素であるマグネシウム(Mg:99.9mass%)、亜鉛(Zn:99.99mass%)、アルミニウム(Al:99.99mass%)、カルシウム(Ca:99.99mass%)の純金属を、質量比でMg93.2%、Zn5.0%、Al1.0%、Ca0.8%となるように溶解用グラファイトるつぼ(Φ60×L145mm)に入れた。
その後、この溶解用グラファイトるつぼを高周波溶解炉チャンバー内の高周波コイル内部に入れ、銅製鋳型(Φ60×L145mm)を高周波コイルの前面に設置した。そして、高周波溶解炉チャンバー内を真空引きした後にヘリウムガスを充填し、グラファイトるつぼを750℃以上まで加熱した。金属が完全に溶融したことを確認してから5分間保持した後グラファイトるつぼ内の合金溶湯を銅製鋳型に鋳込み、冷却後、鋳型から合金インゴットを得た。
【0041】
次に、得られた合金インゴット鋳塊より切り出したΦ60mm×L50mmの押出しビレットを加工温度400℃、加工速度300mm/min、押出し比10の加工条件でW30mm×T10mmの矩形状に1次加工(熱間押出し)し、約100mmの長さとなるよう切断した後、そのまま2次加工用ビレットとして供した。
合金板材を得る目的で、2次加工用ビレットを大気炉により240℃×30min加熱した後、内蔵ヒーターで240℃まで加熱した圧延ロールに通して2次加工(熱間圧延)を行った。1パス当たりの圧下量を10%とし、最終的に板厚が1.1mmとなるまで上記加工を繰返し行って合金板材を得た。
得られた合金板材を切断砥石によりL10×W4mmに切断した後、1000メッシュの研磨紙を用いて板厚1mmとなるよう板材の裏表面を研磨して、板状サンプル(L10×W4×T1mm)を得た。
【0042】
[溶出イオン測定]
実施例1-1の板状サンプルに対して浸漬試験を実施し、溶媒中に溶出するイオン量の測定を行った。まず、滅菌処理されたプラスチック製15mL遠沈管に蒸留水14mLを入れ、アセトン洗浄後風乾した本発明の板状サンプルを浸漬した。これを常温、大気中にて振とう器により45rpm(revolutions per minute)で回転振とうさせながら浸漬試験を行った。浸漬試験開始から3週間後、遠沈管中の蒸留水を採取し、金属イオンの検出試薬を加えた液体試料を調製して、蒸留水中に溶出したMg、Zn及びCaのイオン量をマイクロプレートリーダーにより、またAlのイオン量を比色法により測定した。
表1に板状サンプルから溶出した金属イオン量を示す。
合金組成であるMg、Zn、Ca成分の溶出量が、それぞれ1.5±0.0mg/dL、3.1×10-2±2.0×10-2mg/dL、1.4±0.1mg/dLであった。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示す通り、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオンが溶出されたことがわかった。一方、アルミニウムイオンは実質的に溶出されなかった。
【0045】
<実験2>微生物制御材の微生物制御効果の検証
[微生物制御材の作製]
実験1と同様に、図1に記載の各工程に従って微生物制御材を作製した。
具体的には、合金元素であるマグネシウム(Mg:99.9mass%)、亜鉛(Zn:99.99mass%)、アルミニウム(Al:99.99mass%)、カルシウム(Ca:99.99mass%)の純金属を、質量比Mg93.2%、Zn5.0%、Al1.0%、Ca0.8%となるように溶解用グラファイトるつぼ(Φ60×L145mm)に入れた。
その後、この溶解用グラファイトるつぼを高周波溶解炉チャンバー内の高周波コイル内部に入れ、銅製鋳型(Φ60×L145mm)を高周波コイルの前面に設置した。そして、高周波溶解炉チャンバー内を真空引きした後にヘリウムガスを充填し、グラファイトるつぼを750℃以上まで加熱した。金属が完全に溶融したことを確認してから5分間保持した後グラファイトるつぼ内の合金溶湯を銅製鋳型に鋳込み、冷却後、鋳型から合金インゴットを得た。
【0046】
次に、得られた合金インゴット鋳塊より切り出したΦ60mm×L50mmの押出しビレットを加工温度400℃、加工速度300mm/min、押出し比10の加工条件でW30mm×T10mmの矩形状に1次加工(熱間押出し)し、約100mmの長さとなるよう切断した後、そのまま2次加工用ビレットとして供した。
合金板材を得る目的で、2次加工用ビレットを大気炉により240℃×30min加熱した後、内蔵ヒーターで240℃まで加熱した圧延ロールに通して2次加工(熱間圧延)を行った。1パス当たりの圧下量を10%とし、最終的に板厚が1.1mmとなるまで上記加工を繰返し行って合金板材を得た。
得られた合金板材は、シャーリングにより5mm角に切断した後、1000メッシュの研磨紙を用いて板厚1mmとなるよう板材の裏表面を研磨して、板状サンプル(L5×W5×T1mm)を得た。
また、比較対象として市販の純マグネシウムサンプル(99.9%、約Φ3mm)も用意した。
【0047】
[微生物培養試験]
微生物培養試験に用いた微生物の種類及び詳細について、下記表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
~増殖抑制~
<細菌>
(実施例2-1)
Burkholderia glumae(MAFF 106542、ベータプロテオバクテリア、グラム陰性菌)を3mLのLB培地に接種し、暗下、180rpm、30℃、18時間の条件で前培養した。本培養は60mLの1/3LB培地に、60μLの前培養液を接種し、暗下、180rpm、30℃、72時間行った。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。試験区は、無処理区、純マグネシウム区及び合金区の3区を設定し、無処理区には金属素材を加えず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、合金区には板状合金サンプル1枚を、それぞれ培地に加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、微生物制御材(合金)を、水分を含有する培地に加え、合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物制御効果の評価を行った。
培養液の菌体濁度(以下、OD600ともいう)及びpHを経時的に測定した結果を表3に示す。また、各処理区のOD600及びpHの経時的推移を表すグラフを図2A及び図2Bに示す。
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示す通り、実施例の合金は、72時間後のOD600が低く微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、72時間後のOD600が高く微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-1の菌は弱酸性から中性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0052】
(実施例2-2)
Streptomyces scabies(MAFF 225024、アクチノバクテリア、グラム陽性菌)をYSA培地に接種し、暗下、25℃、49日間前培養した寒天片(28.6mm2、平均質量0.047g(湿重))を、50mLのLB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて65℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表4にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は2反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表4に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図3Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図3Bに示す。
【0053】
【表4】
【0054】
表4に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、7日後の菌体重の値が大きく微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-2の菌はアルカリ性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが高く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0055】
<真菌(糸状菌)>
(実施例2-3)
Botrytis cinerea(MAFF 237695、子嚢菌類)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、7日間培養した寒天片(28.6mm2、質量0.068g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社製、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて65℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表5にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表5に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図4Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図4Bに示す。
【0056】
【表5】
【0057】
表5に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウムの場合も微生物の増殖を抑制できていた。
実施例2-3の菌は酸性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムと同等に微生物の増殖を抑制できていた。
【0058】
<細菌>
(実施例2-4)
Ralstonia pseudosolanacearum(MAFF 106604、ベータプロテオバクテリア、グラム陰性菌)を3mLのCPG培地に接種し、暗下、180rpm、30℃、18時間の条件で前培養した。本培養は1.5mLの1/3CPG培地に、50μLの前培養液を接種し、暗下、180rpm、30℃、24時間行った。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、微生物制御効果の評価を行った。試験区は、無処理区、純マグネシウム区及び合金区の3区を設定し、無処理区には金属素材を加えず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、合金区には板状合金サンプル1枚を、それぞれ培地に加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、微生物制御材(合金)を、水分を含有する培地に加え、合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物制御効果の評価を行った。
培養液の菌体濁度(以下、OD600ともいう)及びpHを経時的に測定した結果を表6に示す。また、各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフを図5Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図5Bに示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6に示す通り、実施例の合金は、24時間後のOD600が低く微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、24時間後のOD600が高く微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-4の菌は酸性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0061】
(実施例2-5)
Bacillus cereus(MAFF 118479、バシラス綱、グラム陽性菌、芽胞形成菌)を3mLのLB培地に接種し、暗下、180rpm、30℃、24時間の条件で前培養した。本培養は1.5mLの1/3LB培地に、5μLの前培養液を接種し、暗下、180rpm、30℃、24時間行った。この際、本培養開始90分前に各サンプル1個を予浸漬した後、前培養液を加えて本培養を開始した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、微生物制御効果の評価を行った。試験区は、無処理区、純マグネシウム区及び合金区の3区を設定し、無処理区には金属素材を加えず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、合金区には板状合金サンプル1枚を、それぞれ培地に加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、微生物制御材(合金)を、水分を含有する培地に加え、合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物制御効果の評価を行った。
培養液の菌体濁度(以下、OD600ともいう)及びpHを経時的に測定した結果を表7に示す。また、各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフを図6Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図6Bに示す。
【0062】
【表7】
【0063】
表7に示す通り、実施例の合金は、24時間後のOD600が低く微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、24時間後のOD600が高く微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-5の菌は弱酸性から中性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0064】
(実施例2-6)
Escherichia coli(MAFF 118621、ガンマプロテオバクテリア、グラム陰性菌)を3mLのLB培地に接種し、暗下、180rpm、30℃、24時間の条件で前培養した。本培養は1.5mLの1/3LB培地に、50μLの前培養液を接種し、暗下、180rpm、37℃、24時間行った。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、微生物制御効果の評価を行った。試験区は、無処理区、純マグネシウム区及び合金区の3区を設定し、無処理区には金属素材を加えず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、合金区には板状合金サンプル1枚を、それぞれ培地に加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、微生物制御材(合金)を、水分を含有する培地に加え、合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物制御効果の評価を行った。
培養液の菌体濁度(以下、OD600ともいう)及びpHを経時的に測定した結果を表8に示す。また、各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフを図7Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図7Bに示す。
【0065】
【表8】
【0066】
表8に示す通り、実施例の合金は、24時間後のOD600が低く微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、24時間後のOD600が高く微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-6の菌は弱酸性から中性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0067】
(実施例2-7) Lactobacillus fructivorans(MAFF 117341、バシラス綱、グラム陽性菌)を3mLのMRS培地に接種し、暗下、180rpm、30℃、24時間の条件で前培養した。本培養は200mLのフラスコを用いて、60mLの1/3MRS培地に、60μLの前培養液を接種し、暗下、180rpm、30℃、96時間行った。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、微生物制御効果の評価を行った。試験区は、無処理区、純マグネシウム区及び合金区の3区を設定し、無処理区には金属素材を加えず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、合金区には板状合金サンプル1枚を、それぞれ培地に加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、微生物制御材(合金)を、水分を含有する培地に加え、合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物制御効果の評価を行った。
培養液の菌体濁度(以下、OD600ともいう)及びpHを経時的に測定した結果を表9に示す。また、各処理区のOD600の経時的推移を表すグラフを図8Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図8Bに示す。
【0068】
【表9】
【0069】
表9に示す通り、実施例の合金は、96時間後のOD600が低く微生物の増殖を抑制できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、96時間後のOD600が高く微生物の増殖を抑制できなかった。
実施例2-7の菌は酸性で増殖しやすいが、実施例の合金は、純マグネシウムよりもpHが低く菌が増殖しやすい環境であったにも関わらず、純マグネシウムよりも微生物の増殖を抑制できていた。
【0070】
~増殖促進~
(実施例2-8)
Fusarium sp.(MAFF 727519、子嚢菌類)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、7日間前培養した寒天片(28.6mm2、質量0.091g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて65℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。小胞子濃度はBurkerTurk血球計算盤を用いて測定した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表10にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果並びに菌体のろ液中の小胞子濃度を表10に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図9Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図9Bに示す。
【0071】
【表10】
【0072】
表10に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値は無処理区よりも増殖を促進した。実施例の合金は、純マグネシウムほど増殖を促進しなかったが、7日後の培養ろ液中の小胞子濃度の値は純マグネシウムよりも顕著に高い値を示した。
実施例2-8の菌は、非病原性フザリウム属菌として知られる。この菌を培養土に混和したり根に接触させたりすることで、植物が感染すると、高病原性フザリウム属菌による植物の被害を低減させることが知られている。実施例の合金は、純マグネシウムよりもミラクロスで回収された菌体量が少ないにも関わらず、胞子の増殖を顕著に促進した。合金の配合により菌糸生長よりも胞子形成へ生長を優先させるよう代謝を変化させたと推測される。胞子は植物根への接種に用いられることから生物製剤の生産効率を上げることが期待できる。
【0073】
(実施例2-9)
Rhizopus oryzae(NBRC 4707、ケカビ目)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、5日間前培養した寒天片(28.6mm2、質量0.046g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて65℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表11にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表11に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図10Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図10Bに示す。
【0074】
【表11】
【0075】
表11に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が大きく微生物の増殖を促進できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を促進できなかった。
実施例2-9の菌は、L-乳酸等の有機酸を生産する有益糸状菌として知られており、無処理区ではpHが低下し続けた。実施例の合金は、培養中に純マグネシウムよりも低いpHを示しており、菌体の増殖促進を制御すると共に、L-乳酸等の有機酸の生産量を増加するよう代謝を制御したと推測される。
【0076】
(実施例2-10)
Trichoderma hamatum(MAFF 236548、子嚢菌類)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、7日間前培養した寒天片(23.7mm2、質量0.0817g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて65℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表12にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表12に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図11Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図11Bに示す。
【0077】
【表12】
【0078】
表12に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が大きく微生物の増殖を促進できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を促進できなかった。
実施例の合金は、培養中に純マグネシウムよりも低いpHを示しており、菌体の増殖促進を制御すると共に、酸性物質の生産量を増加するよう代謝を制御したと推測される。
【0079】
(実施例2-11)
Trichoderma harzianum(MAFF 328304、子嚢菌類)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、7日間前培養した寒天片(23.7mm2、質量0.1043g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて60℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。胞子形成量(×104個/mL)は、培養ろ液に含まれる胞子濃度を血球計算盤で測定することで得た。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表13にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表13に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図12Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図12Bに、各処理区の7日後の胞子形成量(×104個/mL)の比較を表すグラフを図12Cに示す。
また、合金区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)を図12Dに、純マグネシウム区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)を図12Eに、無処理区の培養ろ液の顕微鏡画像(100倍)を図12Fに示す。
【0080】
【表13】
【0081】
表13に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が大きく微生物の増殖を促進できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を促進できなかった。
実施例の合金は、培養中に純マグネシウムよりも低いpHを示しており、菌体の増殖促進を制御すると共に、酸性物質の生産量を増加するよう代謝を制御したと推測される。
【0082】
(実施例2-12)
Trichoderma virens(MAFF 425559、子嚢菌類)をPDA培地に接種し、暗下、25℃、7日間前培養した寒天片(23.7mm2、質量0.0623g(湿重))を、50mLのPDB培地に接種した。暗下、25℃、100rpmで7日間本培養し、培養液を0.5mLずつ経時的にサンプリングしてpHを測定した。7日培養後の菌体をミラクロス(メルク株式会社、475855)でろ過回収し、ろ過後の菌体を薬包紙に載せて60℃で1晩乾燥させた。乾燥菌体の質量を電子天秤で計測した。胞子形成量(×104個/mL)は、培養ろ液に含まれる胞子濃度を血球計算盤で測定することで得た。
本培養では、図1の工程により作製した微生物制御材の存在下で微生物を培養し、制御効果の評価を行った。表14にあるように、試験区は3区とし、無処理区には金属素材を入れず、純マグネシウム区には純マグネシウムサンプルを1粒、マグネシウム合金区には板状合金サンプル1枚をそれぞれ加えた。培養は3反復で行った。
合金区の培養では、水分、及び、微生物制御材(合金)の存在下で合金材料由来のイオンを生成させながら、微生物を培養した。
7日後の乾燥菌体質量の測定結果及び培養液のpHを経時的に測定した結果を表14に示す。また、各処理区の7日後の乾燥菌体質量の比較を表すグラフを図13Aに、pHの経時的推移を表すグラフを図13Bに、各処理区の7日後の胞子形成量(×104個/mL)の比較を表すグラフを図13Cに示す。
また、合金区の培養液の顕微鏡画像(100倍)を図13Dに、純マグネシウム区の培養液の顕微鏡画像(100倍)を図13Eに、無処理区の培養液の顕微鏡画像(100倍)を図13Fに示す。
【0083】
【表14】
【0084】
表14に示す通り、実施例の合金は、7日後の菌体重の値が大きく微生物の増殖を促進できていた。これに対して純マグネシウム及び無処理の場合は、7日後の菌体重の値が小さく微生物の増殖を促進できなかった。
実施例の合金は、培養中に純マグネシウムよりも低いpHを示しており、菌体の増殖促進を制御すると共に、酸性物質の生産量を増加するよう代謝を制御したと推測される。
【0085】
本明細書中PDA培地は、39g/L BD Difcoポテトデキストロース寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、213400)、3g/L 寒天(富士フイルム和光純薬株式会社、010-15815)から成る寒天培地である。
本明細書中LB培地は、25g/L LB培地, Miller(ナカライテスク株式会社、20068-75)からなる液体培地である。
本明細書中1/3LB培地は、LB培地と2倍量の滅菌水から成る液体培地である。
本明細書中YSA培地は、4g/L Bacto 酵母エキス(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、212750)2g/L Bacto 麦芽エキス(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、218630)、15g/L 可溶性デンプン(ナカライテスク株式会社、32122-75)、0.5g/L リン酸水素二カリウム(ナカライテスク株式会社、28726-05)、0.5g/L 硫酸マグネシウム7水和物(富士フイルム和光純薬株式会社、131-15275)、18g/L寒天(富士フイルム和光純薬株式会社、010-15815)から成る寒天培地である。
本明細書中CPG培地は、10g/L ポリペプトン(日本製薬株式会社、394-00115)、1g/L カザミノ酸(ダイゴ)(日本製薬株式会社、392-00655)、5g/Lグルコース(富士フイルム和光純薬株式会社、049-31165)から成る液体培地である。
本明細書中1/3CPG培地は、CPG培地と2倍量の滅菌水から成る液体培地である。
本明細書中PDB培地は、24g/L BD Difcoポテトデキストロースブロス(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、254920)から成る液体培地である。
本明細書中MRS培地は、55g/L BD DifcoラクトバシラスMRSブロス(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、288130)から成る液体培地である。
本明細書中1/3MRS培地は、MRS培地と2倍量の滅菌水から成る液体培地である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F