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特開2025-2104中性子エネルギースペクトルの推定方法
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  • 特開-中性子エネルギースペクトルの推定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002104
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】中性子エネルギースペクトルの推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 3/00 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
G01T3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102032
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】木内 笠
(72)【発明者】
【氏名】岩下 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博隆
(72)【発明者】
【氏名】加美山 隆
(72)【発明者】
【氏名】古坂 道弘
(72)【発明者】
【氏名】鬼柳 善明
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188BB09
2G188CC39
2G188EE27
(57)【要約】
【課題】中性子エネルギースペクトルを簡便かつ安全に推定可能な技術を提供する。
【解決手段】測定装置が、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEU(Single Event Upset)クロスセクションを持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定する第1のステップ(S102)と、推定装置が、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルによる前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値による前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の暫定値との比較結果を基に、又は、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値同士の比較結果を基に、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する第2のステップ(S103)と、を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子エネルギースペクトルの推定方法において、
測定装置が、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEU(Single Event Upset)クロスセクションを持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定する第1のステップと、
推定装置が、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルによる前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値による前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の暫定値との比較結果を基に、又は、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値同士の比較結果を基に、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する第2のステップと、
を行う中性子エネルギースペクトルの推定方法。
【請求項2】
前記第2のステップでは、
前記推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値に対して前記ソフトエラー発生率の真値と暫定値との差を反映することにより、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する請求項1に記載の中性子エネルギースペクトルの推定方法。
【請求項3】
前記第2のステップでは、
相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値について、一の真値で規格化したときのソフトエラー発生率比の大小関係を計算し、前記ソフトエラー発生率比の大小関係に一致するSEUクロスセクションのエネルギー領域を探索し、前記エネルギー領域の中性子エネルギースペクトルが大きいと推定計算する請求項1に記載の中性子エネルギースペクトルの推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中性子エネルギースペクトルの推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中性子エネルギースペクトルの測定方法として、飛行時間法がある(非特許文献1)。飛行時間法では、中性子線が発生してから検出器に到達するまでの飛行時間に基づいて中性子エネルギースペクトルを測定する。
【0003】
しきい値反応を利用した放射化法もある(非特許文献2)。放射化法では、中性子線を金属箔に照射して放射化させ、その放射化した金属箔の原子核が崩壊した際に放出される放射線を測定することにより、金属箔に照射された中性子線のエネルギースペクトルを測定する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Masuda、外12名、“Time-of-Flight Measurements for Low-Energy Components of 45-MeV Quasi-Monoenergetic High-Energy Neutron Field from 7Li(p,n) Reaction”、IEEE Transactions on Nuclear Science、vol.62、no.3、2015年6月、p.1295-p.1300
【非特許文献2】V. Suman、外7名、“Measurement of Neutron Energy Distributions From p+Be Reaction at 20 MeV Using Threshold Activation Foils“、IEEE Transactions on Nuclear Science、vol.63、no.4、2016年8月、p.2283-p.2292
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中性子エネルギースペクトルを飛行時間法で測定する場合には、利用できる施設はパルス中性子源であり、世界的にも限られていた。また、高時間分解能で中性子を検出できる機器が必要であった。
【0006】
中性子エネルギースペクトルを放射化法で測定する場合には、放射化した金属箔からの放射線を測定するために長い時間が掛かかっていた。また、測定のために放射化物を扱う性質上、被ばくのリスクが伴っていた。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、中性子エネルギースペクトルを簡便かつ安全に推定可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の中性子エネルギースペクトルの推定方法は、中性子エネルギースペクトルの推定方法において、測定装置が、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEU(Single Event Upset)クロスセクションを持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定する第1のステップと、推定装置が、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルによる前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値による前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の暫定値との比較結果を基に、又は、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値同士の比較結果を基に、前記推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する第2のステップと、を行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、中性子エネルギースペクトルを簡便かつ安全に推定可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る推定システムの構成例を示す図である。
図2図2は、中性子エネルギースペクトルの強度推定方法を示す図である。
図3図3は、中性子エネルギースペクトルの強度推定方法の具体例を示す図である。
図4図4は、中性子エネルギースペクトルの形状推定方法を示す図である。
図5図5は、中性子エネルギースペクトルの形状推定方法の具体例を示す図である。
図6図6は、推定装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0012】
[概要]
本開示は、放射線の一種である中性子線のエネルギー分布(中性子エネルギースペクトル)を測定する技術に関する。上記課題を解決するため、本開示は、中性子によるソフトエラー発生率を利用した中性子エネルギースペクトルの推定方法を開示する。
【0013】
具体的には、既知の中性子エネルギー依存のSEU(Single Event Upset)クロスセクションを持つ半導体メモリデバイスを中性子場に設置し、推定対象の中性子線による当該半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率を測定し、測定したソフトエラー発生率の傾向から前記中性子線による中性子エネルギースペクトルを推定する。
【0014】
SEUクロスセクションとは、半導体メモリデバイスにおける中性子エネルギー毎のソフトエラー発生確率である。単一の粒子(中性子、陽子、重粒子等)が半導体メモリ等のLSIに入射して核反応により生成された電荷によってLSI(Large Scale Integration)に保存されたビットデータが反転してしまう事象をSEUソフトエラーと呼ぶ。
【0015】
[ソフトエラー発生率の計算方法]
半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率は、中性子エネルギースペクトルと、半導体メモリのSEUクロスセクション(ソフトエラー発生確率)と、を乗算することにより計算できる。
【0016】
具体的には、中性子エネルギースペクトルであるエネルギーEnの中性子線の強度をφ(En)[1/cm2/s]とし、SEUクロスセクションをσSEU(En)[cm2/Mbit]とすると、ソフトエラー発生率であるSER(Soft Error Rate)[1/s/Mbit]は、式(1)で計算できる。
【0017】
【数1】
【0018】
そこで、本実施形態では、式(1)よるソフトエラー発生率を利用して中性子エネルギースペクトルの推定を行う。
【0019】
[推定システム]
図1は、本実施形態に係る推定システム1の構成例を示す図である。
【0020】
推定システム1は、中性子エネルギースペクトルによる半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率を測定する測定装置11と、測定されたソフトエラー発生率の傾向を基に中性子エネルギースペクトルを推定する推定装置12と、を備える。
【0021】
測定装置11は、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEUクロスセクション(ソフトエラー発生確率)を持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定する機能を備える。
【0022】
推定装置12は、推定対象の中性子エネルギースペクトルによる上記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値による上記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の暫定値との比較結果を基に、又は、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値同士の比較結果を基に、推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する機能を備える。
【0023】
例えば、推定装置12は、推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値に対してソフトエラー発生率の真値と暫定値との差を反映することにより、推定対象の中性子エネルギースペクトルを推定計算する。
【0024】
例えば、推定装置12は、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値について、一の真値で規格化したときのソフトエラー発生率比の大小関係を計算し、計算したソフトエラー発生率比の大小関係に一致するSEUクロスセクションのエネルギー領域を探索し、探索したエネルギー領域の中性子エネルギースペクトルが大きいと推定計算する。
【0025】
なお、測定装置11及び推定装置12は、1つの装置又は機能部で実現してもよい。
【0026】
[推定方法]
まず、中性子エネルギースペクトルの強度を推定する方法を説明する。図2は、中性子エネルギースペクトルの強度推定方法を示す図である。
【0027】
ステップS101;
最初に、推定装置12は、推定したい中性子エネルギースペクトルの強度の暫定値を決定し、決定した中性子エネルギースペクトルの強度の暫定値に対して利用する半導体メモリの測定済みのSEUクロスセクションを乗算することにより、当該半導体メモリでのソフトエラー発生率の暫定値を計算する。
【0028】
例えば、推定装置12は、図3(a)に示す中性子エネルギースペクトルのグラフに、中性子エネルギースペクトルの強度の暫定値を入力する。そして、推定装置12は、中性子エネルギースペクトルの強度の暫定値に対して、図3(b)に示された各FPGA(Field Programmable Gate Array)1~4の既知のSEUクロスセクションをそれぞれ乗算し、乗算により得られた各FPGA1~4でのソフトエラー発生率の暫定値を図3(c)に示すソフトエラー発生率のグラフに入力する。
【0029】
ステップS102;
次に、ユーザは、推定したい中性子エネルギースペクトルを持つ中性子場に、ステップS101で利用したSEUクロスセクションを持つ半導体メモリを設置し、その半導体メモリに対して中性子線照射実験を実施する。その後、測定装置11は、前記中性子線照射実験による当該半導体メモリでのソフトエラー発生率を測定する。推定装置12は、測定された上記半導体メモリでのソフトエラー発生率を真値として図3(c)のグラフに追加する。
【0030】
ステップS103;
最後に、推定装置12は、図3(c)のグラフより、上記半導体メモリでのソフトエラー発生率の真値と暫定値とを比較したり、真値と暫定値との差を半導体メモリ(FPGA)間で比較したりすることで、中性子エネルギースペクトルの暫定値が真値に近いか否かを判定し、フィッティングを行うことで、中性子エネルギースペクトルの強度の真値を特定する。
【0031】
図3に示す例では、図3(c)のグラフより、ソフトエラー発生率の真値が暫定値より約2倍大きいので、中性子エネルギースペクトルの真値の強度は暫定値の約2倍大きいと推定できる。そこで、推定装置12は、図3(a)に入力していた中性子エネルギースペクトルの強度の暫定値の2倍を、推定対象の中性子エネルギースペクトルの真値の強度として、図3(a)に追記する。
【0032】
次に、中性子エネルギースペクトルの形状を推定する方法を説明する。図4は、中性子エネルギースペクトルの形状推定方法を示す図である。
【0033】
ステップS201;
最初に、推定装置12は、推定したい中性子エネルギースペクトルの形状の暫定値を決定し、決定した中性子エネルギースペクトルの形状の暫定値(正確には、中性子エネルギースペクトルの形状を形成する強度の暫定値)に対して利用する半導体メモリの測定済みのSEUクロスセクションを乗算することにより、当該半導体メモリでのソフトエラー発生率の暫定値を計算する。
【0034】
例えば、推定装置12は、図5(a)に示す中性子エネルギースペクトルのグラフに、10[MeV]付近の成分が大きい形状を有する中性子エネルギースペクトルの形状の暫定値を入力する。そして、推定装置12は、中性子エネルギースペクトルの形状(強度)の暫定値に対して、図5(b)に示された各FPGA1~4の既知のSEUクロスセクションをそれぞれ乗算し、乗算により得られた各FPGA1~4でのソフトエラー発生率の暫定値を図5(c)に示すソフトエラー発生率のグラフに入力する。このとき、推定装置12は、FPGA1の値を1として他のFPGA2~4のソフトエラー発生率を規格化したソフトエラー発生率比を算出して入力する。
【0035】
ステップS202;
次に、ユーザは、推定したい中性子エネルギースペクトルを持つ中性子場に、ステップS201で利用したSEUクロスセクションを持つ半導体メモリを設置し、その半導体メモリに対して中性子線照射実験を実施する。その後、測定装置11は、前記中性子線照射実験による当該半導体メモリでのソフトエラー発生率を測定する。推定装置12は、測定された上記半導体メモリでのソフトエラー発生率を真値として図5(c)のグラフに追加する。このとき、推定装置12は、ステップS201と同様に、FPGA1の値を1として他のFPGA2~4のソフトエラー発生率を規格化したソフトエラー発生率比を算出して入力する。
【0036】
ステップS203;
最後に、推定装置12は、図5(c)のグラフより、上記半導体メモリでのソフトエラー発生率の真値と暫定値とを比較したり、真値と暫定値との差を半導体メモリ(FPGA)間で比較したりすることで、中性子エネルギースペクトルの暫定値が真値に近いか否かを判定し、フィッティングを行うことで、中性子エネルギースペクトルの形状の真値を特定する。
【0037】
ここで、各半導体メモリ(FPGA)のソフトエラー発生率比は、SEUクロスセクションに依存する。形状の暫定値において成分の大きい10[MeV]付近での各FPGAのSEUクロスセクションの大小関係は、図5(b)より「FPGA1≒FPGA2>FPGA4>FPGA3」なので、図5(c)に示されるソフトエラー発生率比の暫定値についても同様の大小関係となる。
【0038】
一方、図5(c)に示す例より、中性子線照射実験により測定されたソフトエラー発生率比の真値は「FPGA2>FPGA4>FPGA3>FPGA1」なので、図5(b)から同様の大小関係となるSEUクロスセクションのエネルギー領域を探すと、1[MeV]であることが分かる。
【0039】
故に、推定対象の中性子エネルギースペクトルは、10[MeV]付近ではなく1[MeV]付近の成分が大きいと推定できる。そこで、推定装置12は、1[MeV]付近の成分が大きい形状を有する中性子エネルギースペクトルの形状を、推定対象の中性子エネルギースペクトルの真値の形状として、図5(a)に追記する。例えば、中性子エネルギースペクトルの暫定値の形状を維持したまま、中性子エネルギースペクトル最大値が1[Mev]となるようにスライドさせる。
【0040】
以上のように、中性子エネルギースペクトルの強度と形状について、半導体メモリでのソフトエラー発生率から推定できる。
【0041】
[効果]
本実施形態によれば、測定装置11が、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEUクロスセクションを持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定し、推定装置12が、推定対象の中性子エネルギースペクトルによる半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、推定対象の中性子エネルギースペクトルの暫定値による前記半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の暫定値との比較結果を基に、推定対象の中性子エネルギースペクトルの強度を推定計算するので、中性子エネルギースペクトルを簡便かつ安全に推定できる。
【0042】
本実施形態によれば、測定装置11が、既知の中性子エネルギースペクトルに依存するSEUクロスセクションを持つ半導体メモリデバイスについて、推定対象の中性子エネルギースペクトルによるソフトエラー発生率を測定し、推定装置12が、推定対象の中性子エネルギースペクトルによる半導体メモリデバイスでのソフトエラー発生率の真値について、相異なる複数の半導体メモリデバイスに係る複数のソフトエラー発生率の真値同士の比較結果を基に、推定対象の中性子エネルギースペクトルの形状を推定計算するので、中性子エネルギースペクトルを簡便かつ安全に推定できる。
【0043】
つまり、飛行時間法での測定が困難な加速器施設において、中性子エネルギースペクトルの測定が可能となる。また、高時間分解能を持つ中性子検出器を要することなく、高エネルギー領域の中性子エネルギースペクトルの測定が可能となる。また、照射実験中での中性子エネルギースペクトルの測定が可能となる。また、放射化物を扱わないため、測定時の被ばくのリスクを低減できる。
【0044】
[その他]
本開示は、上記実施形態に限定されない。本開示は、本開示の要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0045】
上記説明した本実施形態の推定装置12は、例えば、図6に示すように、CPU901と、メモリ902と、ストレージ903と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906と、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いて実現できる。
【0046】
メモリ902及びストレージ903は、記憶装置である。当該コンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、推定装置12の各機能が実現される。
【0047】
推定装置12は、1つのコンピュータで実装されてもよい。推定装置12は、複数のコンピュータで実装されてもよい。推定装置12は、コンピュータに実装される仮想マシンであってもよい。
【0048】
推定装置12用のプログラムは、HDD、SSD、USBメモリ、CD、DVD等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶できる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、例えば、非一時的な(non-transitory)記録媒体である。推定装置12用のプログラムは、通信ネットワークを介して配信することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 推定システム
11 測定装置
12 推定装置
901 CPU
902 メモリ
903 ストレージ
904 通信装置
905 入力装置
906 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6