(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002290
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】環境影響予測装置、環境影響予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241226BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241226BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102362
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 真智子
(72)【発明者】
【氏名】奥川 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 憲光
(72)【発明者】
【氏名】原 美永子
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕介
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC12
5L050CC03
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】今後発展が見込まれる技術を反映して環境への影響を予測することを目的とする。
【解決手段】本開示は、所定の技術が環境に与える影響を予測する環境影響予測装置3であって、前記所定の技術に関するライフサイクルフロー図及び前記所定の技術に関するロードマップを比較して抽出した同様の第1の用語の項目に、前記ロードマップにおいて将来の変化が生じているかを判断する判断部32と、前記判断部によって将来の変化が生じていると判断された場合には、当該将来の変化における新たな技術に関して新たなライフサイクルフロー図を生成するフロー生成部34と、前記新たなライフサイクルフロー図及び前記ロードマップを用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する算出部35と、を有する環境影響予測装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の技術が環境に与える影響を予測する環境影響予測装置であって、
前記所定の技術に関するライフサイクルフロー図及び前記所定の技術に関するロードマップを比較して抽出した同様の第1の用語の項目に、前記ロードマップにおいて将来の変化が生じているかを判断する判断部と、
前記判断部によって将来の変化が生じていると判断された場合には、当該将来の変化における新たな技術に関して新たなライフサイクルフロー図を生成するフロー生成部と、
前記新たなライフサイクルフロー図及び前記ロードマップを用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する算出部と、
を有する環境影響予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の環境影響予測装置であって、
前記将来の変化を示す情報に含まれる第2の用語に基づいて外部検索し、対応する第3の用語を取得し、更に、当該第3の用語の内容を実現するために、追加又は代替する新たな装置の情報を外部検索して取得する検索部を有し、
前記フロー生成部は、前記新たな装置の情報を用いて、前記新たなライフサイクルフロー図を生成する、
環境影響予測装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記新たな装置の1台あたりの平均的な環境負荷に関するパラメータを用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する、請求項1又は2に記載の環境影響予測装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記ロードマップ内の前記将来の変化における時間変化に関する数値を用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する、請求項3に記載の環境影響予測装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記環境負荷の原単位及び資源の消費量を用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する、請求項4に記載の環境影響予測装置。
【請求項6】
所定の技術が環境に与える影響を予測する環境影響予測装置が実行する環境影響予測方法であって、
前記環境影響予測装置は、
前記所定の技術に関するライフサイクルフロー図及び前記所定の技術に関するロードマップを比較して抽出した同様の第1の用語の項目に、前記ロードマップにおいて将来の変化が生じているかを判断する判断処理と、
前記判断処理によって将来の変化が生じていると判断された場合には、当該将来の変化における新たな技術に関して新たなライフサイクルフロー図を生成するフロー生成処理と、
前記新たなライフサイクルフロー図及び前記ロードマップを用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する算出処理と、
を実行する環境影響予測方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、企業等の事業戦略の立案を支援するために、環境貢献の観点から、所定の技術(最新の装置等)が環境へ与える影響(負荷等)を予測する内容に関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動問題の深刻化により、CO2排出削減を求める動きが活発になっている。CO2削減に貢献する技術の開発が活発になるのに伴って、CO2削減貢献量の評価へのニーズが高まっている。環境貢献の観点から事業戦略を立案するにあたり、開発中の技術の環境負荷を把握することは有意義である。
【0003】
また、技術、及び製品又はサービスの環境負荷を定量評価する方法として、ライフサイクルアセスメント(LCA)が広く実施されている。LCAとは、資源の採掘から素材や部品の製造、組立、廃棄に至る製品又はサービスの一生において、環境から採取した資源の量、及び環境に排出した物質の量を定量的に計算する方法である(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】稲葉敦 編著, 「改訂版 演習で学ぶLCA」, pp. 3, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のLCAでは、設備の稼働時間や製造に必要な電力量といったインプットデータは、CO2の排出を抑制する新製品が発売されても一定のため、今後発展が見込まれる技術への適用にあたっては課題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、今後発展が見込まれる技術を反映して、環境への影響を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る開示内容は、所定の技術が環境に与える影響を予測する環境影響予測装置であって、前記所定の技術に関するライフサイクルフロー図及び前記所定の技術に関するロードマップを比較して抽出した同様の第1の用語の項目に、前記ロードマップにおいて将来の変化が生じているかを判断する判断部と、前記判断部によって将来の変化が生じていると判断された場合には、当該将来の変化における新たな技術に関して新たなライフサイクルフロー図を生成するフロー生成部と、前記新たなライフサイクルフロー図及び前記ロードマップを用いて、前記新たな技術による環境負荷を算出する算出部と、を有する環境影響予測装置である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、今後発展が見込まれる技術を反映して、環境への影響を予測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る環境影響予測装置及び通信端末のハードウェア構成図である。
【
図3】実施形態に係る環境影響予測装置の機能構成図である。
【
図4】現状の陸上養殖のライフサイクルフロー図である。
【
図6】環境影響を予測する処理を示すフローチャートである。
【
図7】環境影響を予測する処理を示すフローチャートである。
【
図8】環境影響を予測する処理を示すフローチャートである。
【
図9】陸上養殖の閉鎖循環式に関する新たなLCフロー図である。
【
図10】LCA計算式の各年のスケール係数を示すグラフの概念図である。
【
図11】旧LCフロー図(現状)の場合と新LCフロー図(閉鎖循環式)の場合の各年の環境負荷を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0011】
〔実施形態のシステム構成〕
まず、
図1を用いて、本実施形態の通信システムの構成の概略について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの概略図である。
【0012】
図1に示されているように、本実施形態の通信システム1は、環境影響予測装置3、及び通信端末5によって構築されている。通信端末5は、ユーザYによって管理及び使用される。
【0013】
また、環境影響予測装置3と通信端末5は、インターネット等の通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100の接続形態は、無線又は有線のいずれでも良い。
【0014】
環境影響予測装置3は、単数又は複数のコンピュータによって構成されている。環境影響予測装置3が複数のコンピュータによって構成されている場合には、「環境影響予測装置」と示しても良いし、「環境影響予測システム」と示しても良い。
【0015】
環境影響予測装置3は、環境貢献の観点から、所定の技術(最新の装置等)が環境に与える影響(負荷等)を予測することで、企業等の事業戦略の立案を支援する装置である。
【0016】
通信端末5は、コンピュータであり、
図1では、一例としてノート型パソコンが示されている。
図1では、ユーザYが、通信端末5を操作する。なお、通信端末5を用いずに、環境影響予測装置3単独で処理をしてもよい。
【0017】
〔環境影響予測装置及び通信端末のハードウェア構成〕
次に、
図2を用いて、環境影響予測装置3及び通信端末5のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る環境影響予測装置及び通信端末のハードウェア構成図である。
図2に示されているように、環境影響予測装置3は、コンピュータとして、
図5に示されているように、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、外部機器接続I/F(Interface)105、ネットワークI/F106、ディスプレイ107、入力デバイス108、メディアI/F109、及びバスライン110を備えている。
【0018】
これらのうち、CPU101は、環境影響予測装置3全体の動作を制御する。ROM102は、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0019】
SSD104は、CPU101の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、SSD104の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を用いてもよい。
【0020】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0021】
ネットワークI/F106は、通信ネットワーク100を介してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0022】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0023】
入力デバイス108は、キーボードやポインティングデバイス等であり、文字、数値、各種指示などの入力操作を受け付けるための入力手段の一例である。
【0024】
メディアI/F109は、フラッシュメモリ等の記録メディア109mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア109mには、DVDやBlu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0025】
バスライン110は、
図5に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0026】
また、
図2には、通信端末5のハードウェア構成が示されているが、各構成は環境影響予測装置3と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0027】
〔環境影響予測装置の機能構成〕
次に、
図3を用いて、環境影響予測装置の機能構成について説明する。
図3は、環境影響予測装置の機能構成図である。
【0028】
図3において、環境影響予測装置3は、入力部31、判断部32、検索部33、フロー生成部34、算出部35、及び出力部36を有する。これら各部は、上述のプログラムに基づき
図2のCPU101による命令によって実現される機能である。
【0029】
更に、環境影響予測装置3内のRAM103又はSSD104には、フローDB(Data Base)41、ロードマップDB42、パラメータDB43、原単位DB44、消費量DB45が構築されている。
【0030】
<各DB>
(フローDB)
フローDB41には、現状の各種LC(ライフサイクル)フローのデータが記憶されている。
図4は、現状の陸上養殖のライフサイクルフロー図である。ここでは、最終的に水が排水されるフローが示されている。フローDB41には、
図4に示すようなLCフローが複数記憶されている。
【0031】
(ロードマップDB)
ロードマップDB42には、各種ロードマップのデータが記憶されている。
図5は、陸上養殖のロードマップを示す図である。ここでは、技術、市場、製品又はサービス、及び市場の3層に対して、時系列に、技術、社会、及び経済の各項目が設定されている。また、関連性が高い項目は矢印で紐づいている。例えば、「排水処理」は2025年頃に「閉鎖循環式による生産割合10%」の目標が設定されており、その後、2030年頃に「50%」、2040年頃に「100%」に達成するとの目標が設定されている。これは、国、企業、経済団体、又は業界団体の目標値である。なお、この目標には、目標値ではなく予測値も含まれる。
【0032】
(パラメータDB)
パラメータDB43には、各種新製品の装置1台あたりの平均的なCO2排出係数(CO2の削減割合)のパラメータが予め記憶されている。「平均的な」とは、例えば、3社が同種の装置を販売している場合、3社の装置の平均のCO2排出係数を示す。本実施形態では、将来の大まかな環境への影響を予測するため、平均的なCO2排出係数のパラメータを管理していればよい。なお、パラメータは、CO2排出係数に限らず、フロンガス、PCB(Poly Chlorinated Biphenyl)、ダイオキシン等の他の物質の排出係数を示しても良い。
【0033】
(原単価DB)
原単価DB44には、各種原単位(E:環境負荷等)のデータが記憶されている。「原単位」は、一つの装置(製品)を生産するのに必要な燃料や労力、それにかかる時間の量を示す。原単位が小さければ小さいほど生産は合理化されていると考えられている。現在は、環境分野において、エネルギー管理やCO2排出の重要な指標としても用いられている。
【0034】
(消費量DB)
消費量DB45には、資源等の消費量(C)を示すデータが記憶されている。
【0035】
<各機能構成>
(入力部)
入力部31は、通信端末5から、評価対象技術及び評価対象年に関する情報を入力する。本実施形態では、評価対象技術の一例としてば陸上養殖が示されており、評価対象年の一例として2020年から2040年が示されている。
【0036】
(判断部)
判断部32は、フローDB41から評価対象技術のライフサイクル(LC)フロー図を読み出し、ロードマップDB42から評価対象技術のロードマップ(RM)を読み出す。例えば、判断部32は、フローDB41から
図4に示す陸上養殖のLCフロー図を読み出し、ロードマップDB42から
図5に示す陸上養殖のロードマップを読み出す。
【0037】
また、判断部32は、読み出したLCフロー図とロードマップを比較し、同様の第1の用語(例えば「排水」)を抽出する。
【0038】
更に、判断部32は、ロードマップにおいて、第1の用語の項目に将来の変化が生じているかを判断する。例えば、
図5において、「排水処理」の項目に「閉鎖循環式による生産割合10%」の項目が紐づいているため、判断部32は、第1の用語に関して、ロードマップで将来の変化が生じていると判断する。
【0039】
(検索部)
検索部33は、将来の変化の情報に含まれる第2の用語(例えば「閉鎖循環式」)を検索キーとして、通信ネットワーク100を介して外部検索し、対応する第3の用語(例えば「濾過」)を取得する。例えば、検索部33は、外部検索により閉鎖循環式が記載された文章を検索して、「閉鎖循環式」を採用するには「濾過」が必要であることが判明し、「閉鎖循環式」に関連付けられている「濾過」の用語を取得する。
【0040】
また、検索部33は、第3の用語(例えば「濾過」)の内容を実現するために、現在使用されている装置(例えば「濾過装置」)に追加又は代替する新たな装置(例えば「濾過装置」)の情報を、通信ネットワーク100を介して外部検索して取得する。
【0041】
(フロー生成部)
フロー生成部34は、検索部33によって取得された、追加又は代替する新たな装置(例えば「濾過装置」)の情報を用いて、将来の変化における新たな技術に関して、
図9に示すように新たなLCフロー図を生成する。
図9は、陸上養殖の閉鎖循環式に関する新たなLCフロー図である。
図9に示すように、新たなLCフロー図は、「排水」から「濾過」に変更することが示されている。
【0042】
また、フロー生成部34は、時間変化に関する具体的な数値がロードマップ内にあるかを判断する。ここでは、
図5に示すように、ロードマップに「10%」、「50%」、「100%」が含まれているため、フロー生成部34は、時間変化に関する具体的な数値がロードマップ内にあると判断する。
【0043】
なお、ロードマップに時間変化に関する具体的な数値が含まれていない場合には、ユーザYが通信端末5を介して環境影響予測装置3に具体的な数値を入力する。これにより、入力部31が具体的な数値の入力を受け付ける。
【0044】
(算出部)
算出部35は、装置(例えば「濾過装置」)の情報を検索キーとしてパラメータDB43を検索し、追加又は代替した新たな装置(例えば「濾過装置」)の1台あたりの平均的な環境負荷に関するパラメータ(例えば「CO2排出係数」)を読み出す。
【0045】
また、算出部35は、ロードマップ内の時間変化に関する具体的な数値(10%,50%,100%等)、及び算出したパラメータ(CO
2排出係数等)に基づいて、LCA計算式のスケール係数sを算出する。
図10は、後述のLCA計算式の各年のスケール係数を示すグラフの概念図である。
図10に示すように、経過年毎にパラメータ(CO
2排出係数等)が示されている。
図10では、既に設置されている装置に、現在販売されている新しい濾過装置が設置された場合、又は既に設置されている装置が、現在販売されている新しい濾過装置に代替された場合には、2020年を基準にして2040年にはCO
2を排出する割合が約40%になることが示されている。
【0046】
更に、算出部35は、原単位DB44から環境負荷(例えば「CO
2排出量」)の原単位を読み出し、消費量DB45から資源(例えば「石油」、「石炭」)等の消費量を読み出して、旧LCフロー図の場合(例えば「排水」の場合)と新たなLCフロー図の場合(例えば「濾過」の場合)とで、(式1)に示すLCA計算式を用いて、各年の環境負荷を算出する。この場合、算出部35は、
図10に示すグラフから評価対象年(例えば「2020年~2040年)の各年のスケール係数sを読み出す。
【0047】
【数1】
ここで、ELは環境負荷、Eは上述のCO
2排出量等の環境負荷等の原単位、Cは上述の資源等の消費量、sは上述のスケール係数である。また、iは工程の種類数を示す
(出力部)
出力部36は、最終的に、
図11に示すような算出結果を出力する。
図11は、旧LCフロー図の場合(排水の場合)と新LCフロー図の場合(濾過)の各年の環境負荷を示した図である。
図11に示すように、現状の装置場合(実線)にはCO
2の排出割合は減少しないが、新たな装置が追加又は代替された場合には、約40%まで排出割合が減少することが示されている。
なお、出力部36による出力方法としては、通信端末5に算出結果のデータを送信したり、環境影響予測装置3のディスプレイ107に表示したり、又は外部機器接続I/F105に接続されたプリンタで印刷したりすること等が挙げられる。
【0048】
〔実施形態の処理又は動作〕
続いて、
図6乃至
図8を用いて、本実施形態の処理又は動作について詳細に説明する。
図6乃至
図8は、環境影響を予測する処理を示すフローチャートである。
【0049】
S11:入力部31は、通信端末5から、評価対象技術及び評価対象年に関する情報を入力する。
【0050】
S12:判断部32は、フローDB41から評価対象技術のLCフロー図を読み出し、ロードマップDB42から評価対象技術のロードマップを読み出す。
【0051】
S13:判断部32は、読み出したLCフロー図とロードマップを比較し、同様の第1の用語(例えば「排水」)を抽出する。
【0052】
S14:判断部32は、ロードマップにおいて、第1の用語の項目に将来の変化が生じているかを判断する。そして、変化が生じていない場合には(NO)、環境影響を予測する処理が終了する。
【0053】
S15:一方、変化が生じている場合には(S15;YES)、検索部33は、将来の変化の情報に含まれる第2の用語(例えば「閉鎖循環式」)を検索キーとして、通信ネットワーク100を介して外部検索し、対応する第3の用語(例えば「濾過」)を取得する。
【0054】
S16:検索部33は、第3の用語(例えば「濾過」)の内容を実現するために、現在使用されている装置(例えば「濾過装置」)に追加又は代替する新たな装置(例えば「濾過装置」)の情報を、通信ネットワーク100を介して外部検索して取得する。
【0055】
S17:フロー生成部34は、検索部33によって取得された、追加又は代替する新たな装置(例えば「濾過装置」)の情報を用いて、
図9に示すように新たなLCフロー図を生成する。
【0056】
S18:フロー生成部34は、時間変化に関する具体的な数値がロードマップ内にあるかを判断する。そして、具体的な数値がロードマップ内にある場合には(YES)、処理S19は省略される。
【0057】
S19:具体的な数値がロードマップ内にない場合には(S18;NO)、入力部31は、ユーザYから、時間変化に関する具体的な数値(10%,50%,100%等)の入力を受け付ける。
【0058】
S20:算出部35は、装置(例えば「濾過装置」)の情報を検索キーとしてパラメータDB43を検索し、追加又は代替した新たな装置(例えば「濾過装置」)の1台あたりの平均的な環境負荷に関するパラメータ(例えば「CO2排出係数」)を読み出す。
【0059】
S21:算出部35は、ロードマップ内の時間変化に関する具体的な数値(10%,50%,100%等)、及び算出したパラメータ(CO2排出係数等)に基づいて、LCA計算式のスケール係数sを算出する。
【0060】
S22:算出部35は、原単位DB44から環境負荷(例えば「CO2排出量」)の原単位を読み出し、消費量DB45から資源(例えば「石油」、「石炭」)等の消費量を読み出して、旧LCフロー図の場合(例えば「排水」の場合)と新たなLCフロー図の場合(例えば「濾過」の場合)とで、(式1)に示すLCA計算式を用いて、各年の環境負荷を算出する。
【0061】
S23:最終的に、
図11に示すような算出結果を出力する。
【0062】
〔実施形態の効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、今後発展が見込まれる技術を反映して、環境への影響を予測することができるという効果を奏する。より具体的には、将来の生産効率及び外部環境の時間変化を反映して、環境への影響を予測することができるという効果を奏する。
【0063】
〔補足〕
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような構成又は処理(動作)であってもよい。
(1)環境影響予測装置3はコンピュータとプログラムによっても実現できるが、このプログラムを(非一時的な)記録媒体に記録することも、通信ネットワーク100を介して提供することも可能である。
(2)環境影響予測装置3と通信端末5との間の通信において、他の装置(サーバ、ルータ等)がデータを中継してもよい。
(3)上記実施形態では、通信端末5の一例としてノート型パソコンが示されているが、これに限るものではなく、例えば、デスクトップパソコン、タブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、カーナビゲーション装置、冷蔵庫、電子レンジ等であってもよい。
(4)判断部32、検索部33、又はフロー生成部34の処理において、ニューラルネットワーク(Neural Network)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 通信システム
3 環境影響予測装置
5 通信端末
31 入力部
32 判断部
33 検索部
34 フロー生成部
35 算出部
36 出力部
41 フローDB(フロー管理部の一例)
42 ロードマップDB(ロードマップ管理部の一例)
43 パラメータDB(パラメータ管理部の一例)
44 原単位DB(原単位管理部の一例)
45 消費量DB(消費量管理部の一例)