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  • 特開-モジュールおよびその製造方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006877
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107912
(22)【出願日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】土居 芳行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 清史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】藤井 朋治
(72)【発明者】
【氏名】塚田 太
(72)【発明者】
【氏名】荒木 康
(72)【発明者】
【氏名】小澤 隆史
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AA05
2H137AB09
2H137BA15
2H137BA31
2H137BA53
2H137BA59
2H137BB12
2H137BB33
2H137BC16
2H137CA74
2H137CC01
2H137CC05
2H137DA39
2H137EA07
(57)【要約】
【課題】主配線基板に損傷を与えることなく、主配線基板に搭載されている副配線基板の上に、接続信頼性を下げることなく光回路チップが実装できるようにする。
【解決手段】副配線基板102を、主配線基板101の上に複数のはんだボール106,106aによるボールグリッドアレイにより接続し、光回路チップ103が搭載されている領域のはんだボール106aを、Cuからなるボール状のコアと、コアを包囲するはんだ層とから構成された被覆ボールとする。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主配線基板と、
前記主配線基板の上にはんだボールにより接続された副配線基板と、
前記副配線基板の上に搭載された光回路チップと、
前記光回路チップの側部端面の光入出力端に光学的に接続された光ファイバと、
前記光入出力端に前記光ファイバを固定する固定部品と
を備え、
前記光回路チップが搭載されている領域の前記はんだボールは、Cuからなるボール状のコアと前記コアを包囲するはんだ層とから構成されている
モジュール。
【請求項2】
請求項1記載のモジュールにおいて、
前記光回路チップは、前記光入出力端の側が前記副配線基板よりはみ出して前記副配線基板の上に搭載されているモジュール。
【請求項3】
請求項1記載のモジュールにおいて、
前記光回路チップのはみ出した部分に設けられた前記固定部品を補強する補強部品をさらに備えるモジュール。
【請求項4】
主配線基板上に、はんだボールにより副配線基板を接続する工程と、
前記副配線基板の上に、熱圧着方法により光回路チップを接続する工程と、
前記光回路チップの側部端面の光入出力端に、固定部品を介して光ファイバを接続する工程と
を備え、
前記光回路チップが搭載されている領域の前記はんだボールは、Cuからなるボール状のコアと前記コアを包囲するはんだ層とから構成されている
モジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のモジュールの製造方法において、
前記副配線基板の上に熱圧着方法により前記光回路チップを接続する工程では、前記主配線基板の前記副配線基板が接続されている側とは反対側の面から加熱するモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回路チップを搭載したモジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信モジュール、デバイスの適用範囲は、長距離通信のみならずデータセンタ間、携帯電話の基地局間、エッジルータ間のリンクにも用いられ、その性能向上の要求が高まっている。光通信モジュールは、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、ドライバ、トランスインピーダンスアンプ(Transimpedance Amplifier:TIA)などの電気信号を処理する電気ICや、光回路チップが搭載されている。例えば、従来技術として、非特許文献1に示されているように、デジタル信号処理回路チップ(Fig.4 XSR、TRX、CDR)、ドライバ、トランスインピーダンスアンプを組み合わせたシリコンフォトニクスチップ(Fig.4 Si-Photonic IC)を含むモジュールがある。
【0003】
また、モジュールには経済化も進められており、構成部品であるコヒーレントレシーバなどの光送受信用モジュール、マルチキャスト光スイッチなどの光デバイスの低コスト化、量産性向上が求められている。モジュールの経済化を実現する一つのアプローチとして、BGA(Ball Grid Arrays)パッケージ上に各チップを集積する実装形態が注目されている(特許文献1)。
【0004】
ここで、一般的な光送受信機能を備えるモジュールについて、図5を参照して説明する。モジュールは、主配線基板301、副配線基板302、光回路チップ303、および光ファイバ305を備える。副配線基板302は、主配線基板301の上に接続されている。また、光回路チップ303は、副配線基板302の上に搭載されている。副配線基板302の上には、電子部品(不図示)を搭載することもできる。光ファイバ305と接続するために、光回路チップ303は、光入出力端の側が副配線基板302よりはみ出して副配線基板302の上に搭載されている。光ファイバ305は、固定部品310により光回路チップ303の光入出力端の側の端部に固定されている。
【0005】
主配線基板301は、樹脂を基材とするビルドアップ基板であり、厚さ1mm程度、10層程度の多層配線構造とすることができる。主配線基板301の各層および層間には、基板内配線(不図示)が形成され、図示しない入出力電気端子を介して外部との電気信号の入出力を行う。基板内配線は、例えば、銅配線とすることができる。入出力電気端子は、例えばランドグリッドアレイ(LGA)用の電極、ボールグリッドアレイ(BGA)などの構造とすることができる。
【0006】
主配線基板301の上部にはBGAを構成するはんだボール306が形成され、副配線基板302との電気的な接続を実現している。副配線基板302は、一般に、インターポーザーと呼ばれている。副配線基板302は、厚さ0.5mm程度、8層程度の多層配線構造とすることができる。
【0007】
光回路チップ303は、シリコンコアによる光導波路からなる光回路を有し、例えば厚さは1mm程度とされている。光回路チップ303は、石英系材料、InPなどの化合物半導体から構成することもできる。光回路チップ303は、例えば、副配線基板302の上に、光回路端子307によりフリップチップ(FC)実装されて電気的に接続されている。
【0008】
光回路チップ303は、例えば、光変調器、光導波路、スプリッタ、光アッテネータなどから構成される光送信器、フォトダイオード、光導波路、および光アッテネータなどから構成される光受信器を備えることができる。例えば、光送信機に対して電子回路チップ(不図示)からの信号が少なくとも副配線基板302を介して入力し、また、光受信器からの受信信号を電子回路チップのトランスインピーダンスアンプ回路(TIA)に対して出力する。
【0009】
光回路チップ303の光送信機には、進行波電極型マッハツェンダ変調器(MZM)が用いられることが多い。フリップチップによりフェイスダウンで副配線基板302に実装される光回路チップ303の送信信号入力端子群、受信信号出力端子群、MZMの電極(光回路端子307)は、光回路チップ303の下面(副配線基板302を向く面)に配置されるものとなる。
【0010】
なお、電子回路チップは、デジタル信号処理回路(DSP)、ドライバ回路(DRV)、トランスインピーダンスアンプ回路(TIA)を備える。DRVはデジタル信号処理回路から出力された送信信号を増幅し、TIAは光回路から出力された受信信号を増幅し、それぞれデジタル信号処理回路に接続する機能を持つ。
【0011】
電子部品は、光回路チップ303の駆動に必要な部品群であり、キャパシタ、インダクタ、抵抗などとすることができる。また、電子部品は、制御用のマイクロコンピュータやAD変換器、DA変換器、電気スイッチなどとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-215405号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】R. Mahajan et al., "Co-Packaged Photonics For High Performance Computing: Status, Challenges And Opportunities", Journal of Lightwave Technology, vol. 40, no. 2, pp. 379-392, 2022.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、一般には、チップを搭載した基板を製造する場合には、先ずチップを大判基板に搭載し、その後に大判基板を個片化してチップが搭載された基板を得るといった方法を用いることが多い。しかしながら、光回路チップを配線基板に搭載する場合、光回路チップに後述する光ファイバ及び固定部品を接続する必要があるため、光回路チップは配線基板の外周縁からはみ出すように搭載されている。よって、従来の方法を採用することが難しい。
【0015】
また、従来の光回路チップを搭載した基板を切断して個片化することで、光回路チップを搭載した副配線基板(インターポーザー)を作製する方法にしても、この個片切断を行うには、基板に対して事前に溝を形成しておく等の工程の追加が必要であり、また、切断前の基板にスリットの形成領域などの余分な領域を設ける必要があり、組立て工程が複雑となっている。この複雑さを回避するためには、個片化している副配線基板を主配線基板の上に搭載した後、副配線基板に光回路チップを搭載するという製造方法が考えられる。
【0016】
しかしながら、この製造方法では、既存のフリップチップ実装装置を用いて光回路チップを副配線基板に実装する際に、副配線基板の下面側からの加熱が不足し、光回路チップの接続信頼性が低下するという問題が生じる。一方、この実装時に加熱温度を過度に上げると、主配線基板に損傷が生じるおそれがある。
【0017】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、主配線基板に損傷を与えることなく、主配線基板に搭載されている副配線基板の上に、接続信頼性を下げることなく光回路チップが実装できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るモジュールは、主配線基板と、主配線基板の上にはんだボールにより接続された副配線基板と、副配線基板の上に搭載された光回路チップと、光回路チップの側部端面の光入出力端に光学的に接続された光ファイバと、光入出力端に光ファイバを固定する固定部品とを備え、光回路チップが搭載されている領域のはんだボールは、Cuからなるボール状のコアとコアを包囲するはんだ層とから構成されている。
【0019】
本発明に係るモジュールの製造方法は、副配線基板の上に、熱圧着方法により光回路チップを接続する工程と、光回路チップの側部端面の光入出力端に、固定部品を介して光ファイバを接続する工程とを備え、光回路チップが搭載されている領域のはんだボールは、Cuからなるボール状のコアとコアを包囲するはんだ層とから構成されている。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、光回路チップが搭載されている領域のはんだボールは、Cuからなるボール状のコアとコアを包囲するはんだ層とから構成したので、主配線基板に損傷を与えることなく、主配線基板に搭載されている副配線基板の上に、接続信頼性を下げることなく光回路チップが実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態に係るモジュールの構成を示す構成図である。
図1B図1Bは、本発明の実施の形態に係るモジュールの一部構成を示す平面図である。
図2図2は、はんだボール106aの構成を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る他のモジュールの構成を示す構成図である。
図4A図4Aは、本発明の実施の形態に係るモジュールの製造方法を説明するための途中工程のモジュールの状態を示す断面図である。
図4B図4Bは、本発明の実施の形態に係るモジュールの製造方法を説明するための途中工程のモジュールの状態を示す断面図である。
図4C図4Cは、本発明の実施の形態に係るモジュールの製造方法を説明するための途中工程のモジュールの状態を示す断面図である。
図4D図4Dは、本発明の実施の形態に係るモジュールの製造方法を説明するための途中工程のモジュールの状態を示す断面図である。
図5図5は、従来のモジュールの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るモジュールについて図1A図1Bを参照して説明する。このモジュールは、主配線基板101、副配線基板102、光回路チップ103、電子部品104、および光ファイバ105を備える。図示していないが、光ファイバ105の先端にはMPO(Multi-Fiber Push On)コネクタなどの光コネクタが接続される。
【0023】
副配線基板102は、主配線基板101の上に複数のはんだボール106,106aによるボールグリッドアレイにより接続されている。また、光回路チップ103は、副配線基板102の上に搭載されている。副配線基板102の上には、電子部品104を搭載することもできる。光回路チップ103は、光入出力端131の側が副配線基板102よりはみ出して副配線基板102の上に搭載されている。
【0024】
主配線基板101は、樹脂を基材とするビルドアップ基板であり、厚さ1mm程度、10層程度の多層配線構造とすることができる。主配線基板101の各層および層間には、基板内配線(不図示)が形成され、入出力電気端子(不図示)を介して外部との電気信号の入出力を行うことができる。基板内配線は、例えば、銅配線とすることができる。入出力電気端子は、例えばランドグリッドアレイ(LGA)用の電極、ボールグリッドアレイ(BGA)などの構造とすることができる。
【0025】
主配線基板101の上部には、はんだボール106,106aが形成され、副配線基板102との電気的な接続を実現している。副配線基板102は、一般に、インターポーザーと呼ばれている。副配線基板102は、厚さ0.5mm程度、8層程度の多層配線構造とすることができる。
【0026】
光回路チップ103は、シリコンコアによる光導波路からなる光回路を有し、例えば厚さは1mm程度とされている。光回路チップ103は、石英系材料、InPなどの化合物半導体から構成することもできる。光回路チップ103は、例えば、副配線基板102の上に、光回路端子107によりフリップチップ(FC)実装されて電気的に接続されている。
【0027】
光回路チップ103は、例えば、光変調器、光導波路、スプリッタ、光アッテネータなどから構成される光送信器、フォトダイオード、光導波路、および光アッテネータなどから構成される光受信器を備えることができる。例えば、光送信機に対して図示しない電子回路チップからの信号が少なくとも副配線基板102を介して入力し、また、光受信器からの受信信号を電子回路チップのTIAに対して出力する。
【0028】
光回路チップ103の光送信機には、進行波電極型マッハツェンダ変調器(MZM)が用いられることが多い。フリップチップによりフェイスダウンで副配線基板102に実装される光回路チップ103の送信信号入力端子群、受信信号出力端子群、MZMの電極(光回路端子107)は、光回路チップ103の下面(副配線基板102を向く面)に配置されるものとなる。
【0029】
電子部品104は、光回路チップ103の駆動に必要な部品群であり、キャパシタ、インダクタ、抵抗などとすることができる。また、電子部品104は、制御用のマイクロコンピュータやAD変換器、DA変換器、電気スイッチなどとすることができる。実施の形態1において、電子部品104は、主に、光回路チップ103の光入出力端131の側の主配線基板101の上や副配線基板102の上に搭載(実装)されている。
【0030】
光ファイバ105は、光回路チップ103に光入出力のために接続されている。光ファイバ105は複数本のアレイとすることができる。400GBASE-DR4の場合は、送信4本および受信4本の8本の光ファイバ105が最低限必要である。また、光送信用の連続光を外部から供給する場合は、少なくとも1本の光ファイバがこれらに追加される。複数本のアレイとされている光ファイバ105は、取り扱いの容易さから通常、テープ化もしくはリボナイズという工法を用いてお互いが接着剤や被覆で固定されている。
【0031】
光ファイバ105は、固定部品110により光回路チップ103の一端に固定されている。光回路チップ103の下面に近い位置に形成されている光導波路に光ファイバ105を接続するため、固定部品110は、光回路チップ103の下面より下側に突出することになる。このように下側に突出する固定部品110の下部と副配線基板102との干渉(接触)を防ぐため、光回路チップ103の固定部品110が固定される光入出力端131は、平面視で副配線基板102より外にはみ出している。ただし、光回路チップ103は、副配線基板102の上に搭載されているため、例えば、光回路チップ103が主配線基板101の中央部に配置される構成の場合であっても、固定部品110の下部と主配線基板101とが干渉することがない。
【0032】
固定部品110には光ファイバ105の材質とは異なる材質のガラスが用いられ、光ファイバ105と光回路チップ103との接続強度を高める役割を有する。光ファイバ105および固定部品110は、光回路チップ103の端面中央部に光透過性を有する接着剤を用いて接続されている。
【0033】
この実施の形態によれば、光回路チップ103を副配線基板102の上に搭載するので、固定部品110の下端を主配線基板101の表面から離間する位置とすることがでる。これにより、主配線基板101の上における光回路チップ103の配置の自由度を大きくすることができる。
【0034】
また、光回路チップ103のはみ出した部分に設けられた固定部品110を補強する補強部品111をさらに備えることができる。補強部品111は、光回路チップ103の裏面および固定部品110の側面に貼り付けて固定することができる。
【0035】
実施の形態では、平面視で、光回路チップ103が搭載されている領域に設けられているはんだボール106aを、図2に示すように、Cuからなるボール状のコア161と、コア161を包囲するはんだ層162とから構成された被覆ボールとしている。より具体的には、図1Aに記載のモジュールを、光回路チップ103側から見下ろした際に、光回路チップ103と副配線基板102とが重なる領域に設けられたはんだボール106をCuからなるボール状のコア161と、コア161を包囲するはんだ層162とから構成された被覆ボールとする。また、平面視で、光回路チップの光回路端子107が設けられている領域に配置されたはんだボール106aを、図2に示すようにCuからなるボール状のコア161と、コア161を包囲するはんだ層162とから構成された被覆ボールとしても良い。なお、図3に示すように、全ての領域にはんだボール106aを用いることができる。
【0036】
ここで、実施の形態に係るモジュールの作製方法について、簡単に説明する。まず、図4Aに示すように、副配線基板102を用意し、光回路チップ103を搭載する領域と重ならない領域の副配線基板102の下面にはんだボール106を搭載(配置)する。搭載方法としては、印刷法、ボール振込法、ボール搭載法などを用いることができる(第1工程)。
【0037】
次に、光回路チップ103搭載領域と重なる領域の副配線基板102の下面にはんだボール106aを搭載する。搭載方法としてはボール搭載法などの、既に搭載されているはんだボール106に干渉しない搭載方法を用いる(第2工程)。なお、はんだボール106aを搭載してからはんだボール106を搭載することもできる。
【0038】
次に、図4Bに示すように、はんだボール106,106aによるBGAで副配線基板102を主配線基板101に実装する。実装方法としては熱圧着、マスリフローなどを用いることができる(第3工程)。
【0039】
次に、図4C図4Dに示すように、光回路チップ103の光入出力端131の側が副配線基板102よりはみ出すように光回路チップ103を副配線基板102の上に実装する。例えば、主配線基板101の側から加熱することで、上述した光回路チップ103の実装が実施できる。より具体的には、フリップチップ実装装置などを用い、ヒータステージ151の上に主基板101を載置し、ボンディングヘッド152を用いて光回路チップ103を副配線基板102の上に載置する。
【0040】
この状態で、ヒータステージ151を動作させ、主基板101の、副配線基板102が実装された面とは反対側の面から加熱する。加熱による熱が熱伝導率の高いコア161を介して副配線基板102に速やかに到達し、光回路チップ103と副配線基板102とを接続することができる。また、この実装において、ボンディングヘッド152を用いて光回路チップ103を副配線基板102の側に押し付けるとともに加熱する熱圧着などを用いることもできる(第4工程)。
【0041】
次に、光透過性を有する接着剤を用い、光回路チップ103の端面中央部に光ファイバ105および固定部品110を接続・固定する(第5工程)。なお、副配線基板102への半田ボール106,106aの搭載は、副配線基板102に個片化する前の基板の状態で実施し、半田ボール106,106aを搭載した後で基板を個片化して副配線基板102とすることもできる。
【0042】
上述したようにはんだボール106aを用いることで、フリップチップ実装装置を用いて光回路チップ103を副配線基板102に搭載する際に、主配線基板101の下面側から加えられた熱が、熱伝導率の高いコア161を介して副配線基板102に伝わる。この結果、主配線基板101への加熱を最低限に制限しつつ、信頼性の高い状態で光回路チップ103の実装ができるようになる。
【0043】
以上に説明したように、本発明によれば、光回路チップが搭載されている領域のはんだボールは、Cuからなるボール状のコアとコアを包囲するはんだ層とから構成したので、主配線基板に損傷を与えることなく、主配線基板に搭載されている副配線基板の上に、接続信頼性を下げることなく光回路チップが実装できるようになる。また、光回路チップが搭載されている領域のはんだボールに替えて、Cuからなるピンを用いても同様の効果が期待できる。
【0044】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0045】
101…主配線基板、102…副配線基板、103…光回路チップ、104…電子部品、105…光ファイバ、106…はんだボール、106a…はんだボール、107…光回路端子、110…固定部品、131…光入出力端。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5