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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】光ファイバリンクおよび中継ノード
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/25 20130101AFI20220117BHJP
   H04B 10/29 20130101ALI20220117BHJP
【FI】
H04B10/25
H04B10/29
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018103102
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019208151
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 友哉
(72)【発明者】
【氏名】小栗 克弥
(72)【発明者】
【氏名】石澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘光
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】香取 秀俊
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225017(JP,A)
【文献】特表2014-507824(JP,A)
【文献】国際公開第2017/087767(WO,A1)
【文献】国際公開第2001/080478(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/083502(WO,A1)
【文献】特開平04-079625(JP,A)
【文献】CHIODO N. et al.,Cascaded optical fiber link using the internet network for remote clocks comparison,OPTICS EXPRESS,米国,OSA,2015年12月,Vol. 23, No. 26,pages 33927-33937
【文献】MA L.-S. et al.,Delivering the same optical frequency at two places: accurate cancellation of phase noise introduced by an optical fiber or other time-varying path,OPTICS LETTERS,米国,OSA,1994年11月01日,Vol. 19, No. 21,pages 1777-1779
【文献】WILLIAMS P. A. et al.,High-stability transfer of an optical frequency over long fiber-optic links,J. Opt. Soc. Am. B,米国,OSA,2008年08月,Vol. 25, No. 8,pages 1284-1293
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを介して光信号を送受信する送信ノードおよび受信ノードと、
光ファイバを介してこれら送信ノードと受信ノードとの間に直列接続された1つまたは複数の中継ノードとを備え、
前記中継ノードは、
前段ノードから受信した伝送光を再生するとともに、前記再生された伝送光の一部分を返送光として前記前段ノードへ返送するリピータと、
前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を新たな伝送光として後段ノードへ送信するとともに、前記後段ノードから受信した前記新たな伝送光に対する新たな返送光に基づいて、前記後段ノードとの間の光ファイバに関するファイバ雑音を補償する雑音補償部を含み、
少なくとも前記中継ノードのいずれか1つは、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分から、前記前段ノード以前のノードにおけるファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、前記雑音補償部へ入力するサーボピーク除去部を含む
ことを特徴とする光ファイバリンク。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバリンクにおいて、
前記サーボピーク除去部は、前記再生された伝送光のサーボピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源を前記リピータに位相安定化することにより、前記サーボピークを除去することを特徴とする光ファイバリンク。
【請求項3】
請求項1に記載の光ファイバリンクにおいて、
前記サーボピーク除去部は、
前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を、狭線幅光源からの狭線幅光源光と干渉させるビームスプリッタと、
前記干渉により得られた干渉信号をRF基準信号と位相比較する位相比較器と、
前記位相比較器で得られた比較結果に基づいて前記狭線幅光源光の光周波数を制御して、前記雑音補償部へ出力する周波数制御器と
を備えることを特徴とする光ファイバリンク。
【請求項4】
光ファイバを介して光信号を送受信する送信ノードおよび受信ノードと、光ファイバを介してこれら送信ノードと受信ノードとの間に直列接続された1つまたは複数の中継ノードとを備える光ファイバリンクで用いられる中継ノードであって、
前段ノードから受信した伝送光を再生するとともに、前記再生された伝送光の一部分を返送光として前記前段ノードへ返送するリピータと、
前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を新たな伝送光として後段ノードへ送信するとともに、前記後段ノードから受信した前記新たな伝送光に対する新たな返送光に基づいて、前記後段ノードとの間の光ファイバに関するファイバ雑音を補償する雑音補償部と、
前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分から、前記前段ノード以前のノードにおけるファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、前記雑音補償部へ入力するサーボピーク除去部と
を備えることを特徴とする中継ノード。
【請求項5】
請求項4に記載の中継ノードにおいて、
前記サーボピーク除去部は、前記再生された伝送光のサーボピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源を前記リピータに位相安定化することにより、前記サーボピークを除去することを特徴とする中継ノード。
【請求項6】
請求項4に記載の中継ノードにおいて、
前記サーボピーク除去部は、
前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を、狭線幅光源からの狭線幅光源光と干渉させるビームスプリッタと、
前記干渉により得られた干渉信号をRF基準信号と位相比較する位相比較器と、
前記位相比較器で得られた比較結果に基づいて前記狭線幅光源光の光周波数を制御して、前記雑音補償部へ出力する周波数制御器と
を備えることを特徴とする中継ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光格子時計などの超高精度光周波数基準を光ファイバで長距離伝送する光ファイバリンクで用いられて,送信器と受信器の間を複数の中継ノードで多段中継するためのカスケード伝送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、SI単位系において時間・周波数の標準であるセシウム(Cs)原子時計は、15~16桁の精度を有している。これに対して光格子時計やイオン時計などの光時計では、すでに18桁の精度が実現されており、将来的に光時計が新たな時間・周波数の標準として採用される可能性が極めて高い。また、このような超高精度な光時計を用いることで、一般相対論で知られる重力ポテンシャルによる時間遅れの効果を、地球上において高さ1cmに相当する精度で検出可能であり、量子水準点としての活用や、地球物理学・測地学への応用が期待できる。
【0003】
特に、光格子時計は、高い安定度を有するため、短い測定時間で高精度まで到達可能であり、地殻変動や潮汐効果など、時間変動する重力ポテンシャルをリアルタイムにモニタすることも可能になる。これらの応用のためには、光格子時計を多地点間で高精度かつ高安定に共有する光周波数基準ファイバネットワークの展開が必須である。
【0004】
光ファイバリンクは、光周波数基準を遠隔地へ伝送するための、最も高精度かつ高安定度が実現できる手法である。ファイバ中を伝播する光は、気圧・温度の変化や音響・振動などによって位相変動を受けるが、このようなファイバ雑音を抑圧する手法が1990年代にすでに考案されている(例えば、非特許文献1など参照)。基本的な構成では、ファイバを使って伝送した光の一部を、伝送先から同じファイバを使って返送し、マイケルソン干渉計を構成することでファイバ往復分の位相雑音を含む干渉信号を検出する。そして、この干渉信号を安定なRF信号に位相同期するように伝送前の光周波数にフィードバックをかけることで、ファイバ雑音を抑圧することができる。
【0005】
伝送距離が100kmを超えるような長距離の光ファイバリンクでは、パワーの減衰が大きいため、途中または終端において光を増幅する必要がある。通信波長帯(~1.55μm)の光を用いたリンクでは、エルビウム(Er)添加ファイバ増幅器が多く用いられる。また、別の光源を伝送先に配置し、伝送された光の位相をコピーするリピータと呼ばれる装置によって実質的に増幅することも可能である。特にファイバ増幅器が入手しにくい波長帯(1.4μmなど)の光を用いたリンクでは、リピータを用いることが多い。1.4μmの光は、第二高調波発生によってストロンチウム(Sr)光格子時計の動作波長698nmに変換することができるため、ストロンチウム光格子時計をネットワーク化する際に有利である。
【0006】
ヨーロッパでは、すでに複数の国家間を繋ぐ長さ1000km以上の光ファイバリンクが構築されており、ヨーロッパ全域をカバーする光周波数基準ファイバネットワークが展開されつつある(例えば、非特許文献2など参照)。しかし、長距離のリンクではファイバ雑音を十分に抑圧することができず、伝送光の周波数安定度が劣化してしまうという問題が生じる。一般に、ファイバ雑音の大きさはファイバ長に比例して増大する。また、ファイバ雑音補償のフィードバック帯域は、光がファイバを往復するのに要する時間で制限されるため、ファイバ長に反比例して低下する。その結果、ファイバ伝送後の光周波数の安定度は、ファイバ長の3/2乗に比例して劣化する(例えば、非特許文献3など参照)。
【0007】
ファイバ雑音の大きさは環境にも依存するが、日本国内における測定では、長さ100kmのファイバリンクにおける1秒平均の伝送安定度は3×10-16程度であり、長さ1000kmの伝送安定度を推定すると1×10-14になる。一方、現在の光格子時計の1秒平均安定度は、商用で入手可能なレーザーを用いると1×10-15程度、世界で最も高安定なレーザーでは5×10-17が実現されている。したがって、100km以上の長距離な光ファイバリンクにおいては、ファイバ伝送によって本来の光の周波数安定度を劣化させてしまう状況にあり、光ファイバリンクの伝送安定度の向上が必須である。
【0008】
長距離の光ファイバリンクでも高安定な光周波数伝送を実現する方法として、ファイバを複数の区間に分けて、区間ごとにファイバ雑音補償を実施するカスケード伝送方式が提案されている(例えば、非特許文献4など参照)。カスケード伝送方式は、短い区間に分けることによってファイバ雑音補償のフィードバック帯域を上げられるため、全体の雑音の抑圧特性を向上できる。ファイバ雑音が場所に依らず均一な場合、ファイバを均等な長さのN個の区間に分けてそれぞれ雑音補償を行うことで、全体の伝送安定度はN倍改善することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Long-Sheng Ma et al.,"Delivering the same optical frequency at two places: accurate cancellation of phase noise introduced by an optical fiber of other time-varying path",Opt. Lett. 19,1777-1779 (1994)
【文献】Frits Riehle,"Optical clock networks",Nat. Photon. 11,25-31 (2017)
【文献】P. A. Williams et al.,"High-stability transfer of an optical frequency over long fiber-optic links",J. Opt. Soc. Am. B 25,1284-1293 (2008)
【文献】Nicola. Chiodo et al.,"Cascaded optical fiber link using the internet network for remote clocks comparison",Optics Express 23,33927-33937 (2015)
【文献】Tetsushi. Takano et al.,"Geopotential measurements with synchronously linked optical lattice clocks",Nat. Photon. 10,662-666 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来のカスケード伝送方式によれば、理論上は、ファイバの分割数を増やせばそれだけ伝送安定度を改善することができるが、実際には以下のような問題があった。
(1)ファイバ雑音補償に用いる干渉計・ディテクタ・電気回路の雑音が蓄積される。
(2)ファイバ雑音補償の際に生じるサーボピークが蓄積される。
(3)リピータを用いる場合は、リピータの位相安定化の際に生じるサーボピークも蓄積される。
【0011】
このうち(1)の雑音による安定度の劣化は、最新の干渉計を用いれば10段分蓄積しても1秒平均で1×10-17以下に抑えることができるため、(2)および(3)のサーボピークの蓄積が主な課題となる。
サーボピークとは、系全体が持つ遅延が原因となり、フィードバック信号の位相が180゜遅れるような周波数において、正のフィードバックに転じることによって生じる雑音スペクトルのピークである。
【0012】
例えば、長さ50kmのファイバリンクにおいては、光がファイバ往復するために0.5msの時間を要するため、周波数1kHzの雑音に対してはフィードバック信号の極性が正に転じる。このため、50kmのファイバリンクにおいてはフィードバック帯域を1kHz以下に設定する必要があるが、1kHz以下の雑音を十分補償するようにゲインを設定すると、1kHzにおいてフィードバックゲインが完全にゼロにならないため、サーボピークが生じる。通常は若干のサーボピークは問題にならないが、多段カスケードにおいて蓄積されると無視できなくなる。
【0013】
このようなサーボピークの蓄積があると、ファイバ往復のマイケルソン干渉計において、伝送光のキャリア周波数同士の干渉信号とサーボピーク同士の干渉信号が混合し、ファイバ雑音補償の性能を劣化させてしまう。実際、フランスにおいてカスケード伝送方式が実施されている非特許文献4においても、分割数はせいぜい2~4程度であり、より多段にしないのは上記の課題があるためと予想される。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、サーボピークの蓄積によるファイバ雑音補償の性能劣化を改善できるカスケード伝送技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために、本発明にかかる光ファイバリンクは、光ファイバを介して光信号を送受信する送信ノードおよび受信ノードと、光ファイバを介してこれら送信ノードと受信ノードとの間に直列接続された1つまたは複数の中継ノードとを備え、前記中継ノードは、前段ノードから受信した伝送光を再生するとともに、前記再生された伝送光の一部分を返送光として前記前段ノードへ返送するリピータと、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を新たな伝送光として後段ノードへ送信するとともに、前記後段ノードから受信した前記新たな伝送光に対する新たな返送光に基づいて、前記後段ノードとの間の光ファイバに関するファイバ雑音を補償する雑音補償部を含み、少なくとも前記中継ノードのいずれか1つは、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分から、前記前段ノード以前のノードにおけるファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、前記雑音補償部へ入力するサーボピーク除去部を含むものである。
【0016】
また、本発明にかかる上記光ファイバリンクの一構成例は、前記サーボピーク除去部が、前記再生された伝送光のサーボピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源を前記リピータに位相安定化することにより、前記サーボピークを除去するようにしたものである。
【0017】
また、本発明にかかる上記光ファイバリンクの一構成例は、前記サーボピーク除去部が、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を、狭線幅光源からの狭線幅光源光と干渉させるビームスプリッタと、前記干渉により得られた干渉信号をRF基準信号と位相比較する位相比較器と、前記位相比較器で得られた比較結果に基づいて前記狭線幅光源光の光周波数を制御して、前記雑音補償部へ出力する周波数制御器とを備えるものである。
【0018】
また、本発明にかかる中継ノードは、光ファイバを介して光信号を送受信する送信ノードおよび受信ノードと、光ファイバを介してこれら送信ノードと受信ノードとの間に直列接続された1つまたは複数の中継ノードとを備える光ファイバリンクで用いられる中継ノードであって、前段ノードから受信した伝送光を再生するとともに、前記再生された伝送光の一部分を返送光として前記前段ノードへ返送するリピータと、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を新たな伝送光として後段ノードへ送信するとともに、前記後段ノードから受信した前記新たな伝送光に対する新たな返送光に基づいて、前記後段ノードとの間の光ファイバに関するファイバ雑音を補償する雑音補償部と、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分から、前記前段ノード以前のノードにおけるファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、前記雑音補償部へ入力するサーボピーク除去部とを備えている。
【0019】
また、本発明にかかる上記中継ノードの一構成例は、前記サーボピーク除去部が、前記再生された伝送光のサーボピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源を前記リピータに位相安定化することにより、前記サーボピークを除去するようにしたものである。
【0020】
また、本発明にかかる中継ノードは、前記サーボピーク除去部が、前記リピータで得られた前記再生された伝送光の残り分を、狭線幅光源からの狭線幅光源光と干渉させるビームスプリッタと、前記干渉により得られた干渉信号をRF基準信号と位相比較する位相比較器と、前記位相比較器で得られた比較結果に基づいて前記狭線幅光源光の光周波数を制御して、前記雑音補償部へ出力する周波数制御器とを備えるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リピータの安定化やファイバ雑音補償によって生じるサーボピークの蓄積を抑えることができ、長距離かつ高安定な光ファイバリンクを実現することが可能となる。また、すでに設置済みの長距離光ファイバリンクにおいて、途中の接続点にリピータを設置して多段化することによって安定化を簡便に改善することができ、実現性が極めて高い。したがって、光格子時計の高い周波数安定度を劣化させることなく長距離を伝送可能となり、光周波数基準ファイバネットワークを展開する上で極めて大きな効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】光ファイバリンクの構成を示すブロック図である。
図2】送信ノードの構成を示すブロック図である。
図3】受信ノードの構成を示すブロック図である。
図4】第1の中継ノードの構成を示すブロック図である。
図5】第2の中継ノードの構成を示すブロック図である。
図6】周波数スペクトルの測定結果(サーボピーク除去なし)を示すグラフである。
図7】周波数スペクトルの測定結果(サーボピーク除去あり)を示すグラフである。
図8】周波数揺らぎの測定結果(サーボピーク除去なし)を示すグラフである。
図9】周波数揺らぎの測定結果(サーボピーク除去あり)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[光ファイバリンク]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる光ファイバリンク1について説明する。図1は、光ファイバリンクの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この光ファイバリンク1は、光格子時計などの超高精度光周波数基準を光ファイバで長距離伝送する光伝送システムであり、光ファイバを介して光信号を送受信する送信ノード(送信部)Sおよび受信ノード(受信部)Rと、光ファイバを介してこれら送信ノードSと受信ノードとRの間に直列接続された1つまたは複数の中継ノード(中継部)Tとを備えている。
【0024】
図1の例では、送信器Sと受信器Rとの間に3つの中継ノード(第1の中継ノード)T1,T2と中継ノード(第2の中継ノード)T3を設けた光ファイバリンク1の構成例が示されている。これらT1,T2,T3により、SとRとを結ぶ光ファイバが4つの光ファイバF1,F2,F3,F4に分割され、それぞれのF1,F2,F3,F4を終端するノード間で、前段ノードから送信した伝送光PSの一部分を、返送光PRとして後段ノードから返送することにより、個々の前段ノードでそれぞれのF1,F2,F3,F4に関するファイバ雑音補償が行われる。
【0025】
本発明では、中継ノード(第2の中継ノード)T3にサーボピーク除去部33を設け、短期安定度の良い狭線幅光源(33A)を用いてサーボピーク除去を行うようにしたものである。これにより、それ以前の区間で蓄積されたサーボピークが後段の区間に伝送されなくなるため、後段のファイバ雑音補償の性能劣化を防ぐことができる。
【0026】
以下では、図1に示すように、送信ノードSと受信ノードRとの間に3つの中継ノード(第1の中継ノード)T1,T2と中継ノード(第2の中継ノード)T3を設けた光ファイバリンク1を例として説明するが、第1および第2の中継ノードの数や第2の中継ノードの配置位置については、これに限定されるものではない。
【0027】
[送信ノード]
送信ノードSは、主な構成として、基準光源11と雑音補償部12を備えている。
基準光源11は、例えばSr光格子時計などの、超高精度な光周波数基準の送信基準光PS0を生成する光源である。
雑音補償部12は、基準光源11からの送信基準光PS0を伝送光PS1として光ファイバF1を介して後段ノード(中継ノードT1)へ送信する機能と、後段ノードから受信したPS1に対する返送光PR1に基づいて、PS1のF1に関するファイバ雑音を補償する機能とを有している。
【0028】
図2は、送信ノードの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、雑音補償部12は、主な機能部として、ビームスプリッタ12A、ミラー12B、光検出器12C、RF発振器12D、位相比較器12E、制御信号発生器12F、および周波数制御器12Gを備えている。
【0029】
基準光源11から出射された送信基準光PS0(の一部分)は、ビームスプリッタ12Aおよびミラー12Bを介して光検出器12Cに入力される。また、後段ノード(中継ノードT1)から戻った返送光PR1は、周波数制御器12Gおよびビームスプリッタ12Aを介して光検出器12Cに入力される。これにより、送信基準光PS0(の一部分)と返送光PR1とが干渉し、この干渉により発生した干渉信号が光検出器12Cで検出される。
【0030】
位相比較器12Eは、光検出器12Cで検出された干渉信号、すなわちPS0とPR1との差分周波数信号と、RF発振器12Dからの基準RF信号とを位相比較することにより、光ファイバF1に関するファイバ雑音を検出し、制御信号発生器12Fによりフィードバック信号FBSとして出力する。
周波数制御器12Gは、例えば音響光学素子(AOM)などの周波数シフタからなり、入力されたフィードバック信号FBSに基づいて、PS0を周波数シフトして伝送光PS1として光ファイバF1へ出力する。これにより、光ファイバF1に関するファイバ雑音が補償されることになる。
【0031】
[受信ノード]
受信ノードRは、主な構成として、リピータ21を備えている。
リピータ21は、前段ノード(中継ノードT3)から光ファイバF4を介して受信した伝送光PS4の一部分を返送光PR4として前段ノードへ返送する機能と、伝送光PS4の残り分を受信基準光PR0として出力する機能とを有している。
【0032】
図3は、受信ノードの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、リピータ21は、主な機能部として、ビームスプリッタ21A、ミラー21B、光検出器21C、RF発振器21D、位相比較器21E、制御信号発生器21F、リピータ光源21G、およびビームスプリッタ21Hを備えている。
【0033】
光ファイバF4から入力された伝送光PS4は、ビームスプリッタ21Aを介して光検出器21Cに入力される。また、リピータ光源21Gから出射されたリピータ光P(の一部分)は、ビームスプリッタ21Hおよびビームスプリッタ21Aを介して光検出器21Cに入力される。これにより、伝送光PS4の残り分とリピータ光P(の一部分)とが干渉し、この干渉により発生した干渉信号が光検出器21Cで検出される。また、リピータ光Pの一部分は、ビームスプリッタ21Hおよびビームスプリッタ21Aを介してミラー21Bで打ち返されて返送光PR4として光ファイバF4へ出力される。
【0034】
位相比較器21Eは、光検出器21Cで検出された干渉信号、すなわちPS1とPとの差分周波数信号と、RF発振器21Dからの基準RF信号とを位相比較し、制御信号発生器21Fによりフィードバック信号FBRとして出力する。
このフィードバック信号FBRは、リピータ光源21Gに入力され、リピータ光源21Gからのリピータ光Pの出力が制御される。これにより、伝送光PS4が受信基準光PR0として再生出力されることになる。
【0035】
[第1の中継ノード]
第1の中継ノードT1,T2は、主な構成として、リピータ31と雑音補償部32とを備えている。
リピータ31は、前段ノードから光ファイバFi(i=1または2)を介して受信した伝送光PSiの一部分を返送光PRiとして前段ノードへ返送する機能と、伝送光PSiの残り分を再生出力する機能とを有している。
【0036】
雑音補償部32は、リピータ31で得られた伝送光の残り分を新たな伝送光PSj(j=i+1)として後段ノードへ光ファイバFjを介して送信する機能と、後段ノードから受信した新たな伝送光PSjに対する新たな返送光PRjに基づいて、後段ノードとの間の光ファイバFjに関するファイバ雑音を補償する機能とを有している。
【0037】
図4は、第1の中継ノードの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、リピータ31は、主な機能部として、ビームスプリッタ31A、ミラー31B、光検出器31C、RF発振器31D、位相比較器31E、制御信号発生器31F、リピータ光源31G、およびビームスプリッタ31Hを備えている。なお、リピータ31の構成は、前述した図3のリピータ21と同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0038】
また、図4に示すように、雑音補償部32は、主な機能部として、ビームスプリッタ32A、ミラー32B、光検出器32C、RF発振器32D、位相比較器32E、制御信号発生器32F、および周波数制御器32Gを備えている。なお、雑音補償部32の構成は、前述した図2の雑音補償部12と同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0039】
[第2の中継ノード]
第2の中継ノードT3は、主な構成として、リピータ31、雑音補償部32、およびサーボピーク除去部33とを備えている。
リピータ31は、前段ノードから光ファイバF3を介して受信した伝送光PS3の一部分を返送光PR3として前段ノードへ返送する機能と、伝送光PS3の残り分を再生出力する機能とを有している。なお、リピータ31の構成は、前述した図3のリピータ21と同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0040】
雑音補償部32は、リピータ31で得られた伝送光の残り分を新たな伝送光PS4として後段ノードへ光ファイバF4を介して送信する機能と、後段ノードから受信した新たな伝送光PS4に対する新たな返送光PR4に基づいて、後段ノードとの間の光ファイバF4に関するファイバ雑音を補償する機能とを有している。なお、雑音補償部32の構成は、前述した図2の雑音補償部12と同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
サーボピーク除去部33は、リピータ31で得られた伝送光PS3の残り分から、ファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、雑音補償部32へ入力する機能を有している。
【0042】
図5は、第2の中継ノードの構成を示すブロック図である。
図5に示すように、サーボピーク除去部33は、主な機能部として、狭線幅光源33A、ビームスプリッタ33B,33C、光検出器33D、RF発振器33E、位相比較器33F、制御信号発生器33G、および周波数制御器33Hを備えている。
【0043】
光ファイバF3から入力された伝送光PS3の一部分は、リピータ31で再生され、ビームスプリッタ33Cを介して光検出器33Dに入力される。また、狭線幅光源33Aから出射された狭線幅光源光PN(の一部分)は、ビームスプリッタ33B,33Cを介して光検出器33Dに入力される。これにより、リピータ31で再生された伝送光PS3の一部分と狭線幅光源光PN(の一部分)とが干渉し、この干渉により発生した干渉信号が光検出器33Dで検出される。
【0044】
位相比較器33Fは、光検出器33Dで検出された干渉信号、すなわちPS3とPNとの差分周波数信号と、RF発振器33Eからの基準RF信号とを位相比較し、制御信号発生器33Gによりフィードバック信号FBDとして出力する。
周波数制御器33Hは、例えば音響光学素子(AOM)などの周波数シフタからなり、入力されたフィードバック信号FBDに基づいて、PNを周波数シフトして雑音補償部32へ出力する。
【0045】
この際、フィードバック信号FBDの帯域は、伝送光のピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域を有している。このフィードバック帯域は、制御信号発生器33Gに含まれる、例えばPI制御用の比例増幅器や積分器等の設定により決められる。
これにより、狭線幅光源33Aが、比較的低い周波数のフィードバック帯域でリピータ31に位相安定化されるため、ファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークが除去されたPS3がPNにより再生され、雑音補償部32へ出力されることになる。
【0046】
図1に示したように、送信ノードSと受信ノードRとを結ぶ光ファイバを、光ファイバF1,F2,F3,F4の4つの区間に分割し、3つの中継ノードT1,T2,T3で中継する場合、中継ノードT1,T2,T3のリピータ31は、それぞれ前段ノードから伝送された光に位相安定化され、光の一部分を前段ノードへ返送し、残り分を後段ノードへ伝送する。
【0047】
この際、各ファイバF1,F2,F3,F4を終端する2つのノード間でファイバ雑音補償を行うことで、送信ノードSから受信ノードRへの伝送安定度は、理論上、S-R間を直接接続した場合に比べて3倍改善される。しかし図1の構成では、前段までのリピータ安定化およびファイバ雑音補償のサーボピークがそのままリピータへコピーされるため、後段になるほどサーボピークが蓄積され、ファイバ雑音補償の性能劣化が生じる。
【0048】
本発明は、このような課題を解決するため、図5に示すように、中継ノードT3にサーボピーク除去部33を設け、短期安定度の良い狭線幅光源33Aを用いてサーボピーク除去を行うようにしたものである。これにより、それ以前の区間で蓄積されたサーボピークが後段の区間に伝送されなくなるため、後段のファイバ雑音補償の性能劣化を防ぐことができる。
【0049】
ここで、ファイバ雑音補償のサーボピークが生じる周波数は、ファイバの長さに反比例し、長さ50kmのファイバでは約1kHzである。また、リピータ安定化のサーボピークが生じる周波数は、フィードバックの時定数に依存するが、数十kHz~数MHzである。これらのサーボピークを除去するため、ピーク周波数1kHzの1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源33Aをリピータ31に位相安定化する。狭線幅光源33Aは、短期安定度が良いため、サーボピークを生じない程度の弱いフィードバックゲインで安定化することができる。
【0050】
狭線幅光源33Aとしては、商用で入手可能な、平均時間τ=0.01~100secの範囲で安定度1×10-13以下(周波数偏差に換算すると20Hz以下)のものを用いる。50kmファイバの典型的な伝送安定度は、1×10-16τ-3/2であり、τ<0.01secにおいては狭線幅光源の安定度のほうが良く、τ>0.01secにおいては伝送安定度のほうが良い。この場合、フィードバック帯域を100Hz以下にすることで、サーボピークを除去すると同時に、狭線幅光源の安定度よりも伝送安定度のほうが良い周波数帯域だけコピーすることができる。
【0051】
このとき、リピータに伝送光の100Hz以上の高周波成分がコピーされないことは問題にならない。例えば非特許文献5では、送信ノードから安定度3×10-16の光を長さ30kmの光ファイバリンクで伝送し、受信ノードにおいて光格子時計の分光用光源にコピーしているが、分光用光源の安定度2×10-15と光ファイバリンクの伝送安定度4×10-17τ-3/2を比較して、リンクの伝送安定度のほうが良くなる1/τ<14Hzの低周波成分だけをコピーして使用している。したがって、中継ノードにおいてリピータから狭線幅光源に位相をコピーする周波数帯域は、最後段の受信部において光格子時計の分光用光源にコピーする低周波部分だけでよい。
【0052】
図6は、周波数スペクトルの測定結果(サーボピーク除去なし)を示すグラフである。図7は、周波数スペクトルの測定結果(サーボピーク除去あり)を示すグラフである。図8は、周波数揺らぎの測定結果(サーボピーク除去なし)を示すグラフである。図9は、周波数揺らぎの測定結果(サーボピーク除去あり)を示すグラフである。
【0053】
測定では、送信ノードSと受信ノードRとを結ぶ150kmの光ファイバを4分割し、送信ノードSと中継ノードT1を結ぶ光ファイバF1を30kmとし、中継ノードT1,T2を結ぶ光ファイバF2を20kmとし、中継ノードT2,T3を結ぶ光ファイバF3を70kmとし、中継ノードT3と受信ノードRを結ぶ光ファイバF4を30kmとし、中継ノードT3でサーボピーク除去(帯域10Hz)を行った。
【0054】
これら図6図9は、光ファイバF4の区間における、ファイバ雑音補償後の往復の干渉信号を測定した結果を示している。図6および図7については、スペクトルアナライザを用いてスパン100kHz、バンド幅10Hzで干渉信号の周波数スペクトルを測定した。また、図8および図9については、周波数カウンタによりゲート時間0.1secで干渉信号の周波数揺らぎを測定した。サーボピーク除去なしと比較してサーボピーク除去ありの方が、ファイバ雑音補償の性能劣化が大きく改善されているのがわかる。
【0055】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、送信ノードSと受信ノードRとの間に直列接続された任意の中継ノードT3において、サーボピーク除去部33が、リピータ31で得られた伝送光の残り分から、ファイバ雑音の補償時に発生するサーボピークを除去して、雑音補償部32へ入力するようにしたものである。
【0056】
この際、伝送光のピーク周波数の1/10以下のフィードバック帯域で狭線幅光源33Aをリピータ31に位相安定化することにより、サーボピークを除去するようにしたものである。
より具体的には、ビームスプリッタ33Cが、リピータ31で得られた伝送光の残り分を、狭線幅光源33Aからの狭線幅光源光PNと干渉させ、位相比較器33Fが、干渉により得られた干渉信号をRF基準信号と位相比較し、周波数制御器33Hが、位相比較器33Fで得られた比較結果に基づいて狭線幅光源光PNの光周波数を制御して、雑音補償部32へ出力するようにしたものである。
【0057】
これにより、リピータの安定化やファイバ雑音補償によって生じるサーボピークの蓄積を抑えることができ、長距離かつ高安定な光ファイバリンクを実現することが可能となる。また、すでに設置済みの長距離光ファイバリンクにおいて、途中の接続点にリピータを設置して多段化することによって安定化を簡便に改善することができ、実現性が極めて高い。したがって、光格子時計の高い周波数安定度を劣化させることなく長距離を伝送可能となり、光周波数基準ファイバネットワークを展開する上で極めて大きな効果が期待できる。
【0058】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1…光ファイバリンク、S…送信ノード、R…受信ノード、T1,T2…第1の中継ノード、T3…第2の中継ノード、F1,F2,F3,F4,Fi,Fj…光ファイバ、11…基準光源、12…雑音補償部、12A…ビームスプリッタ、12B…ミラー、12C…光検出器、12D…RF発振器、12E…位相比較器、12F…制御信号発生器、12G…周波数制御器、21…リピータ、21A…ビームスプリッタ、21B…ミラー、21C…光検出器、21D…RF発振器、21E…位相比較器、21F…制御信号発生器、21G…リピータ光源、21H…ビームスプリッタ、31…リピータ、31A…ビームスプリッタ、31B…ミラー、31C…光検出器、31D…RF発振器、31E…位相比較器、31F…制御信号発生器、31G…リピータ光源、31H…ビームスプリッタ、32…雑音補償部、32A…ビームスプリッタ、32B…ミラー、32C…光検出器、32D…RF発振器、32E…位相比較器、32F…制御信号発生器、32G…周波数制御器、33…サーボピーク除去部、33A…狭線幅光源、33B,33C…ビームスプリッタ、33D…光検出器、33E…RF発振器、33F…位相比較器、33G…制御信号発生器、33H…周波数制御器、PS0…送信基準光、PR0…受信基準光、PS1,PS2,PS3,PS4,PSi,PSj…伝送光、PR1,PR2,PR3,PR4,PRi,PRj…返送光、FBS,FBR,FBD…フィードバック信号、P…リピータ光、PN…狭線幅光源光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9