(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-08
(45)【発行日】2022-02-17
(54)【発明の名称】非線形光学系を有する検査装置
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20220209BHJP
G01B 11/02 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G01B11/02 G
(21)【出願番号】P 2020551332
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2019057370
(87)【国際公開番号】W WO2019192865
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-18
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダム,マリヌス,ヨハネス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,リチャード,カール
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-006442(JP,A)
【文献】国際公開第2007/007549(WO,A1)
【文献】特開2017-215429(JP,A)
【文献】特開2005-252025(JP,A)
【文献】特開平05-087529(JP,A)
【文献】特開2012-169617(JP,A)
【文献】特開2017-198793(JP,A)
【文献】特開2017-083510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0261098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G03F 7/20- 7/24
9/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の非線形プリズム光学系を備え、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受け、各回折ビームの第1の偏光及び第2の偏光を分離するように構成された光学システムと、
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成された検出器と、を備え
、
前記複数の非線形プリズム光学系が複数のウォラストンプリズムを含む、検査装置。
【請求項2】
前記光学システムが前記検査装置の瞳面にある、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記非線形プリズム光学系が複屈折性であり、前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれから常光線及び異常光線を分離するように構成された、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの前記第1の偏光が水平偏光成分であり、
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの前記第2の偏光が、前記水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記複数のウォラストンプリズムが、
それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第1のタイプのウォラストンプリズムと、
それぞれが第2の偏光くさび角及び対応する第2の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第2のタイプのウォラストンプリズムとを含み、前記第1のくさび角及び第1の発散角が前記第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定するためのリソグラフィ装置であって、
回折パターンを照明するように構成された第1の照明光学システムと、
前記回折パターンの像を基板上に投影するように構成された投影光学システムと、
前記リソグラフィ装置のパラメータを決定するように構成されたスキャトロメータとを備え、前記スキャトロメータが、
少なくとも1つの放射ビームを伝送するように構成された第2の照明光学システムと、
前記少なくとも1つの放射ビームを前記基板上に合焦させるように構成された対物光学システムと、
前記基板からの反射放射ビームを検出するように構成された検査装置であって、
複数の非線形プリズム光学系を備え、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受け、各回折ビームの第1の偏光及び第2の偏光を分離するように構成された光学システムと、
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成された検出器とを備えた検査装置と、を備え
、
前記複数の非線形プリズム光学系が複数のウォラストンプリズムを含む、リソグラフィ装置。
【請求項7】
前記非線形プリズム光学系が、複屈折光学素子、ウォラストンプリズム、ノマルスキープリズム、セナルモンプリズム、ロコンプリズム、グラントンプソンプリズム、及びグランフォーカルトプリズムから構成される群から選択される、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記光学システムが、ゼロ次回折の強度を1次回折の強度に対して正規化するように構成された減光フィルタを備えた、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記光学システムが前記検査装置の瞳面にあり、前記検出器が単一の暗視野検出器である、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの前記第1の偏光が水平偏光成分であり、
前記ゼロ次回折ビーム及び前記1次回折ビームのそれぞれの前記第2の偏光が、前記水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記複数のウォラストンプリズムが、
それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第1のタイプのウォラストンプリズムと、
それぞれが第2の偏光くさび角及び対応する第2の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第2のタイプのウォラストンプリズムとを含み、前記第1のくさび角及び第1の発散角が前記第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記複数のウォラストンプリズムが、2×2マトリクスアレイで透明板上に配置され、第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に受けるように構成された、請求項
6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
水平偏光成分と、前記水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とが、対応する前記複数のウォラストンプリズムによって前記第1及び第2のゼロ次回折サブビームと前記第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて分離され、前記検出器によって8個の個別のビームスポットとして結像される、請求項
12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定する方法であって、
回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームの両方の第1の偏光と第2の偏光とを、
複数の非線形プリズム光学系を備えた光学システムによって分離すること、
ゼロ次回折及び1次回折並びに各回折次数の第1の偏光及び第2の偏光を検出器によって同時に検出すること、及び
1つ以上の回折次数の検出された前記第1の偏光及び第2の偏光に基づいてリソグラフィ装置の動作パラメータを調整して、前記リソグラフィ装置の正確度又は精度を改善すること、を含
み、
前記複数の非線形プリズム光学系が複数のウォラストンプリズムを含む、方法。
【請求項15】
第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に分離すること、及び
前記第1及び第2のゼロ次回折サブビームと前記第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて、水平偏光成分と、前記水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とを分離すること、をさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記ゼロ次回折サブビーム及び前記1次回折サブビームのそれぞれの前記水平偏光成分及び前記垂直偏光成分を単一の暗視野検出器上に8個の個別のビームスポットとして結像することをさらに含む、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年4月6日出願の米国仮特許出願第62/653,786号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置及びシステムのための検査装置用の光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0004】
[0004] リソグラフィプロセスをモニタするために、パターン基板のパラメータが測定される。パラメータには、例えば、パターン基板内又は上に形成された連続する層間のオーバーレイエラーや現像された感光性レジストの臨界線幅が含まれてよい。この測定は、製品基板上及び/又は専用のメトロロジターゲット上で実行することができる。走査電子顕微鏡及び様々な専用ツールの使用を含むリソグラフィプロセスで形成される微細構造を測定する様々な技術がある。専用検査ツールの高速で非侵襲的な形態は、放射ビームを基板表面上のターゲットに誘導し、散乱又は反射したビームの特性を測定するスキャトロメータである。基板により反射又は散乱される前後のビームの特性を比較することによって、基板の特性を決定することができる。これは、例えば既知の基板特性に関連した既知の測定値のライブラリに格納されたデータと反射ビームを比較することによって実行することができる。分光スキャトロメータは広帯域放射ビームを基板上に誘導し、特定の狭い角度範囲に散乱した放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。これに対して、角度分解スキャトロメータは単色放射ビームを使用し、散乱した放射の強度を角度の関数として測定する。
【0005】
[0005] このような光学スキャトロメータは、現像された感光性レジストのクリティカルディメンジョンやパターン基板内又は上に形成された2つの層の間のオーバーレイエラー(OV)などのパラメータを測定するのに使用することができる。基板の特性は、基板により反射又は散乱される前後の照明ビームの特性を比較することによって測定することができる。
【0006】
[0006] 半導体デバイスがますます小さくそしてより複雑になるにつれて、製造公差が厳しくなり続けている。したがって、メトロロジ測定を改善し続ける必要がある。スキャトロメータの1つの例示的な用途は、クリティカルディメンジョン(CD)メトロロジのためのものであり、これは、半導体ウェーハなどのパターン構造を測定するのに特に有用である。光学CDメトロロジ技術には、ドームスキャトロメトリ、分光反射率測定、及び分光エリプソメトリが含まれる。これらの全ての技術は、異なる入射方向について異なる偏光の反射強度を測定することに基づいている。そのような技術は、高い消光率、又は偏光純度を必要とする。偏光ビームスプリッタ(PBS)は、偏光状態によって光を分割して、s偏光を反射しながらp偏光を透過させる。完全なPBSは、100%のp偏光を透過し、100%のs偏光を反射するが、実際のPBSは、s偏光とp偏光の混合物を透過及び反射する。p偏光とs偏光の比率は消光率と呼ばれる。光学CDは高い消光率を必要とする。
【0007】
[0007] スキャトロメータの別の例示的な用途は、オーバーレイ(OV)メトロロジ用であり、これは、ウェーハ上の層のスタックのアライメントを測定するのに有用である。リソグラフィプロセスを制御してデバイスフィーチャを基板上に正確に配置するために、一般的にアライメントマーク又はターゲットが基板上に設けられ、リソグラフィ装置は、1つ以上のアライメントシステムを備え、それによって基板上のマークの位置が正確に測定されなければならない。1つの既知の技術では、スキャトロメータはウェーハ上のターゲットからの回折光を測定する。「暗視野」スキャトロメトリを用いた回折ベースのオーバーレイは、ゼロ次の回折(鏡面反射に対応)を遮断し、1つ以上の高次の回折のみを処理してターゲットのグレースケール画像を作成する。この暗視野技術を使用する回折ベースのオーバーレイは、より小さいターゲット上でのオーバーレイ測定を可能にするものであり、マイクロ回折ベースのオーバーレイ(μDBO)として知られている。しかしながら、μDBOは非常に高いコントラスト比を必要とする可能性がある。
【0008】
[0008] 各製品及びプロセスは、メトロロジターゲットの設計及びオーバーレイ測定を実行するための適切なメトロロジ「レシピ」の選択に注意を必要とする。一部のメトロロジ技術では、メトロロジターゲットの回折パターン及び/又は暗視野画像は、ターゲットが所望の照明条件下で照明される間に捕捉される。これらの照明条件は、放射の波長、角度強度分布(照明プロファイル)、及び偏光などの様々な照明パラメータによってメトロロジレシピで定義することができる。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 一部の実施形態では、検査装置が光学システム及び検出器を備える。一部の実施形態では、光学システムは非線形プリズム光学系を備える。一部の実施形態では、光学システムは、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受けるように構成される。一部の実施形態では、光学システムは、各回折ビームの第1の偏光と第2の偏光とを分離するように構成される。一部の実施形態では、検出器は、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成される。
【0010】
[0010] 一部の実施形態では、光学システムは検査装置の瞳面にある。一部の実施形態では、非線形プリズム光学系は複屈折性である。一部の実施形態では、非線形プリズム光学系はゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれから常光線及び異常光線を分離するように構成される。一部の実施形態では、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光は水平偏光成分であり、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第2の偏光は、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である。
【0011】
[0011] 一部の実施形態では、光学システムは複数の非線形プリズム光学系をさらに備える。一部の実施形態では、複数の非線形プリズム光学系は複数のウォラストンプリズムを含む。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは第1のタイプ及び第2のタイプを含む。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有する2つの第1のタイプのウォラストンプリズムを含む。例えば、第1のくさび角及び対応する第1の発散角は45°であってよい。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、それぞれが第2のくさび角及び対応する第2の発散角を有する2つの第2のタイプのウォラストンプリズムを含む。例えば、第2のくさび角及び対応する第2の発散角は15°であってよい。一部の実施形態では、第1のくさび角及び第1の発散角は第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい。一部の実施形態では、2つの第1のタイプのウォラストンプリズムは互いに対して90°回転される。一部の実施形態では、2つの第2のタイプのウォラストンプリズムは互いに対して90°回転される。
【0012】
[0012] 一部の実施形態では、マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定するためのリソグラフィ装置が、第1の照明光学システム、投影光学システム、及びスキャトロメータを備える。一部の実施形態では、第1の照明光学システムは回折パターンを照明するように構成される。一部の実施形態では、投影光学システムは回折パターンの像を基板上に投影するように構成される。一部の実施形態では、スキャトロメータはリソグラフィ装置のパラメータを決定するように構成される。
【0013】
[0013] 一部の実施形態では、スキャトロメータは、第2の照明光学システム、対物光学システム、及び検査装置を備える。一部の実施形態では、第2の照明光学システムは少なくとも1つの放射ビームを伝送するように構成される。一部の実施形態では、対物光学システムは少なくとも1つの放射ビームを基板上に合焦させるように構成される。一部の実施形態では、検査装置は基板からの反射放射ビームを検出するように構成される。
【0014】
[0014] 一部の実施形態では、スキャトロメータの検査装置は光学システム及び検出器を備える。一部の実施形態では、光学システムは非線形プリズム光学系を備える。一部の実施形態では、光学システムは、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受け、各回折ビームの第1の偏光及び第2の偏光を分離するように構成される。一部の実施形態では、検出器はゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成される。
【0015】
[0015] 一部の実施形態では、非線形プリズム光学系は、複屈折光学素子、ウォラストンプリズム、ノマルスキープリズム、セナルモンプリズム、ロコンプリズム、グラントンプソンプリズム、又はグランフォーカルトプリズムである。一部の実施形態では、光学システムは減光フィルタを備える。一部の実施形態では、減光フィルタはゼロ次回折の強度を1次回折の強度に対して正規化するように構成される。一部の実施形態では、光学システムは検査装置の瞳面にあり、検出器は単一の暗視野検出器である。一部の実施形態では、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光は水平偏光成分であり、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第2の偏光は水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である。
【0016】
[0016] 一部の実施形態では、光学システムは複数の非線形プリズム光学系をさらに備える。一部の実施形態では、複数の非線形プリズム光学系は複数のウォラストンプリズムを含む。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは第1のタイプ及び第2のタイプを含む。
【0017】
[0017] 一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有する2つの第1のタイプのウォラストンプリズムを含む。例えば、第1のくさび角及び対応する第1の発散角は45°であってよい。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、それぞれが第2のくさび角及び対応する第2の発散角を有する2つの第2のタイプのウォラストンプリズムを含む。例えば、第2のくさび角及び対応する第2の発散角は15°であってよい。一部の実施形態では、第1のくさび角及び第1の発散角は第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい。一部の実施形態では、2つの第1のタイプのウォラストンプリズムは互いに対して90°回転される。一部の実施形態では、2つの第2のタイプのウォラストンプリズムは互いに対して90°回転される。
【0018】
[0018] 一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、2×2マトリクスアレイで透明板上に配置される。一部の実施形態では、複数のウォラストンプリズムは、第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に受けるように構成される。
【0019】
[0019] 一部の実施形態では、水平偏光成分と、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とは、対応する複数のウォラストンプリズムによって第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて分離される。一部の実施形態では、各サブビームの水平偏光成分と垂直偏光成分とは検出器によって8個の個別のビームスポットとして結像される。
【0020】
[0020] 一部の実施形態では、マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定する方法が、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームの両方の第1の偏光と第2の偏光とを、非線形プリズム光学系を備えた光学システムによって分離することを含む。一部の実施形態では、方法は、ゼロ次回折及び1次回折並びに各回折の第1の偏光及び第2の偏光を検出器によって同時に検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、回折ターゲットの対象パラメータを調整してメトロロジ又はリソグラフィシステムの正確度又は精度を改善することを含む。一部の実施形態では、方法は、1つ以上の回折次数の検出された第1の偏光及び第2の偏光に基づいて、リソグラフィ装置のパラメータを調整又は最適化して、リソグラフィ装置の正確度、精度、タイミング、効率性、及び/又は生産性を改善することを含む。一部の実施形態では、方法は、1つ以上の回折次数の検出された第1の偏光及び第2の偏光に基づいてリソグラフィ装置の動作パラメータを調整して、リソグラフィ装置の正確度又は精度を改善することを含む。
【0021】
[0021] 一部の実施形態では、方法は、第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に分離することを含む。一部の実施形態では、方法は、第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて、水平偏光成分と、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とを分離することを含む。一部の実施形態では、方法は、ゼロ次回折サブビーム及び1次回折サブビームのそれぞれの水平偏光成分及び垂直偏光成分を単一の暗視野検出器上に8個の個別のビームスポットとして結像することを含む。
【0022】
[0022] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明を図示し説明とともに、更に本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【0024】
【
図1A】[0024] 例示的な実施形態に係る反射型リソグラフィ装置の概略図である。
【
図1B】[0025] 例示的な実施形態に係る透過型リソグラフィ装置の概略図である。
【
図2】[0026] 例示的な実施形態に係る反射型リソグラフィ装置のより詳細な概略図である。
【
図3】[0027] 例示的な実施形態に係るリソグラフィセルの概略図である。
【
図4】[0028] 様々な例示的な実施形態に係るスキャトロメータの概略図である。
【
図5】[0028] 様々な例示的な実施形態に係るスキャトロメータの概略図である。
【
図6】[0029] 例示的な実施形態に係る検査装置用の光学システムの概略図である。
【
図7】[0030] 例示的な実施形態に係る検査装置用の例示的な光学システムの概略図である。
【
図8】[0031] 例示的な実施形態に係る光学システムの概略図である。
【
図9】[0032] 例示的な実施形態に係る光学システムの概略図である。
【
図10】[0033] 例示的な実施形態に係る光学システムの概略図である。
【0025】
[0034] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。さらに、一般に、参照番号の左端の桁は、参照番号が最初に表示される図面を識別する。他に示されない限り、本開示を通じて提供される図面は縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0035] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0027】
[0036] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0028】
[0037] 「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(on)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図に示すように、ある要素又は機能と別の1つ又は複数の要素又は1つ又は複数の機能との関係を説明するのを容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0029】
[0038] 本明細書で使用される「約」という語は、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」という語は、例えばその値の10~30%(例えば、その値の±10%、±20%、又は±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示す可能性がある。
【0030】
[0039] 本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本開示の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができる。しかしながらそのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0031】
[0040] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0032】
[0041] 例示的なリソグラフィシステム
【0033】
[0042]
図1A及び
図1Bは、それぞれ本発明の実施形態が実装され得るリソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’の概略図である。リソグラフィ装置100及びリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば深紫外放射又は極端紫外放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、又は動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成されるとともに、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成されるとともに、基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTとを備える。リソグラフィ装置100及び100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMA及び投影システムPSは透過型である。
【0034】
[0043] 照明システムILは、放射ビームBを誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0035】
[0044] 支持構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの方向、リソグラフィ装置100及び100’のうちの少なくとも1つの設計等の条件、及びパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的、真空、静電、又は他のクランプ技術を使用して、パターニングデバイスMAを保持することができる。支持構造MTは、例えば、フレーム又はテーブルでもよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。センサを使用することにより、支持構造MTは、パターニングデバイスMAが、例えば、投影システムPSに対して確実に所望の位置に来るようにできる。
【0036】
[0045] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するために放射ビームBの断面にパターンを付与するのに使用され得る何らかのデバイスを指すものと広義に解釈されるべきである。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する可能性がある。
【0037】
[0046] パターニングデバイスMAは、(
図1Bのリソグラフィ装置100’におけるように)透過型であっても、(
図1Aのリソグラフィ装置100におけるように)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAの例には、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイ、又はプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、又はハーフトーン型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッドマスクタイプなどのマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、それぞれが入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜され得る小さいミラーのマトリクス配列を採用する。傾斜されたミラーは、小さいミラーのマトリクスにより反射される放射ビームBにパターンを付与する。
【0038】
[0047] 本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、用いられる露光放射線に、又は、液浸液の使用もしくは真空の使用などの他の要素に適切な屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はそれらのあらゆる組み合わせを含むあらゆるタイプの投影システムを含んでいてもよい。その他のガスは放射線又は電子を吸収し過ぎる可能性があるため、EUV又は電子ビーム放射線には真空環境を使用することがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0039】
[0048] リソグラフィ装置100及び/又はリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブルWT(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってよい。このような「マルチステージ」マシンにおいては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1つ以上の基板テーブルWTが露光に使用されている間に、1つ以上の他のテーブルで準備工程が実行されてよい。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。
【0040】
[0049] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野でよく知られている。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0041】
[0050]
図1A及び
図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。例えば放射源SOがエキシマレーザである場合には、放射源SOとリソグラフィ装置100、100’とは別個の物理的実体であってよい。この場合、放射源SOはリソグラフィ装置100又は100’の一部を構成するとは見なされず、放射ビームBは放射源SOから、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBD(
図1B)を介してイルミネータILへ通過する。他の場合、例えば放射源SOが水銀ランプである場合には、放射源SOはリソグラフィ装置100、100’の一体部分であってよい。放射源SOとイルミネータILとは、またビームデリバリシステムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと呼ばれることがある。
【0042】
[0051] イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタAD(
図1B)を備えてよい。一般に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ「σ‐outer」及び「σ‐inner」と呼ばれる)を調整することができる。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネント(
図1B)を備えてもよい。イルミネータILは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームBを調節するのに使用することができる。
【0043】
[0052]
図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSは放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けによって、基板テーブルWTを(例えば、放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wを位置合わせすることができる。
【0044】
[0053]
図1Bを参照すると、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されたパターニングデバイス(例えばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。マスクMAを横断した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。投影システムは、照明システム瞳IPUと共役な瞳PPUを有する。放射の一部は、照明システム瞳IPUにおける強度分布から生じ、マスクパターンにおいて回折の影響を受けることなくマスクパターンを横切り、照明システム瞳IPUにおいて強度分布の像を作り出す。
【0045】
[0054] 投影システムPSは、マスクパターンMPの像MP’を投影する。像MP’は、強度分布からの放射によりマスクパターンMPから生成された回折ビームによって、基板W上に被覆されたフォトレジスト層上に形成される。例えば、マスクパターンMPには、 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10626666" ラインと HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10274124" スペースの HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10031256" アレイが含まれてよい。アレイでの放射回折で HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/75373" ゼロ次回折でないものからは、ラインと垂直な方向に方向が変わった誘導回折ビームが生成される。 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/14501466" 非回折ビーム(すなわち、いわゆるゼロ次回折ビーム)は、 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10761075" 伝搬方向が変化することなくパターンを横断する。ゼロ次回折ビームは、投影システムPSの共役な瞳PPUの上流にある投影システムPSの上部レンズ又は上部 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10668100" レンズグループを横断して、共役な瞳PPUに到達する。ゼロ次回折ビームに関連する共役な瞳PPUの面における強度分布の部分が、照明システムILの照明システム瞳IPUの強度分布の像である。開口デバイスPDは、例えば投影システムPSの共役な瞳PPUを含む平面に又は概ね平面に配置される。
【0046】
[0055] 投影システムPSは、上部レンズ又は上部レンズグループL1及び下部レンズ又は下部レンズグループL2によって、ゼロ次回折ビームのみならず、1次又は1次以上の回折ビーム(図示せず)も捉えるように配置される。一部の実施形態では、ラインに対して垂直な方向に延びるラインパターンを結像するためのダイポール照明を使用して、ダイポール照明の解像度向上効果を利用することができる。例えば、 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/13007991" 1次回折ビームは、対応するゼロ次回折ビームにウェーハWのレ HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/119511" ベルで HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/11229058" 干渉して、ラインパターンMPの像MP’を可能な限り高い HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/12009629" 解像度及び HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/10523925" プロセスウィンドウ(すなわち、使用可能 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/321967" 焦点深度及び許容 HYPERLINK "https://astamuse.com/ja/keyword/14489707" 露光ドーズの変化の組み合わせ)で生成する。一部の実施形態では、照明システム瞳IPUの対向する象限に放射極(図示せず)を提供することによって非点収差を低減することができる。例えば、照明システム瞳IPUにおける照明は2つの対向する照明象限のみを使用することができ、BMW照明と呼ばれることもあり、その結果、残りの2つの象限は照明に使用されないが1次回折ビームを捉えるように構成される。さらに、一部の実施形態では、対向する象限の放射極に関連付けられた投影システムの共役な瞳PPUでゼロ次ビームを遮断することによって非点収差を低減することができる。このことは、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、2009年3月31日発行の米国特許第7,511,799号により詳細に説明されている。
【0047】
[0056] 第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリの機械的な取り出し後又はスキャン中に)第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1Bに図示せず)とを使用して、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0048】
[0057] 一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、マスクMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0049】
[0058] マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAは、真空チャンバV内にあってよい。真空内ロボットIVRを用いて、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内及び外に移動させることができる。代替的に、マスクテーブルMT及びパターニングデバイスMAが真空チャンバの外側にある場合、真空内ロボットIVRと同様に、様々な輸送作業のために真空外ロボットを用いることができる。真空内及び真空外ロボットは、共に中継ステーションの固定されたキネマティックマウントへの任意のペイロード(例えばマスク)のスムーズな移動のために較正される必要がある。
【0050】
[0059] 図示のリソグラフィ装置100及び100’は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
【0051】
[0060] 1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームBに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
【0052】
[0061] 2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームBに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
【0053】
[0062] 3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。パルス放射線源SOを使用することができ、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0054】
[0063] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0055】
[0064] さらなる実施形態では、リソグラフィ装置100は、極端紫外(EUV)放射源を備える。極端紫外放射源は、EUVリソグラフィのためにEUV放射ビームを発生させるように構成される。一般に、EUV放射源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムが、EUV放射源のEUV放射ビームを調節するように構成される。
【0056】
[0065]
図2は、ソースコレクタ装置SO、照明システムIL、及び投影システムPSを備えたリソグラフィ装置100をより詳細に示している。ソースコレクタ装置SOは、このソースコレクタ装置SOの閉鎖構造220内に真空環境を維持できるように構築及び配置される。放電生成プラズマ源によってEUV放射放出プラズマ210を形成することができる。EUV放射を生成するには、例えばXeガス、Li蒸気、又はSn蒸気のようなガス又は蒸気によって、極めて高温のプラズマ210を生成して、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出させればよい。極めて高温のプラズマ210は、例えば放電によって少なくとも不完全電離プラズマを生じさせることによって生成される。効率的な放射発生のため、例えば分圧が10PaのXe、Li、Snの蒸気又は他のいずれかの適切なガスもしくは蒸気が必要となることがある。ある実施形態では、励起したスズ(Sn)のプラズマを供給してEUV放射を生成する。
【0057】
[0066] 高温プラズマ210が発した放射は、放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212内へ、放射源チャンバ211の開口内又は開口の後ろに位置決めされた任意選択のガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介して送出される。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含んでよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書でさらに示す汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、少なくともチャネル構造を含む。
【0058】
[0067] コレクタチャンバ212は、いわゆるかすり入射型コレクタの場合もある放射コレクタCOを含んでよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251及び下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを横断する放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射して、仮想光源点IFに合焦させることができる。仮想光源点IFは一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタ装置は、中間焦点IFが閉鎖構造220の開口219に又はその近傍に位置するように配置される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0059】
[0068] この後、放射は照明システムILを横断する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム221の所望の角度分布を与えるとともにパターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度均一性を与えるように配置されたファセットフィールドミラーデバイス222及びファセット瞳ミラーデバイス224を備えてよい。支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム221が反射されると、パターン付きビーム226が形成され、このパターン付きビーム226は、投影システムPSによって反射要素228、230を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0060】
[0069] 一般に、照明光学ユニットIL及び投影システムPSには、図示するよりも多くの要素が存在する場合がある。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じて任意選択的に存在する場合がある。さらに、
図2に示したものよりも多くのミラーが存在する場合があり、例えば投影システムPSには、
図2に示したものに比べて1つから6つの追加の反射要素が存在することがある。
【0061】
[0070]
図2に示すようなコレクタ系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の単なる一例として、かすり入射型リフレクタ253、254、及び255を有する入れ子状のコレクタとして示されている。かすり入射型リフレクタ253、254、及び255は、光軸Oを中心として軸方向に対称配置され、このタイプのコレクタ系COは、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ源と組み合わせて好適に用いられる。
【0062】
[0071] 例示的なリソグラフィセル
【0063】
[0072]
図3は、リソセル又はクラスタと呼ばれることもあるリソグラフィセル300を示している。リソグラフィ装置100又は100’はリソグラフィセル300の一部を構成することがある。また、リソグラフィセル300は、基板に露光前プロセス及び露光後プロセスを実行する1つ以上の装置を含んでよい。従来から、これらにはレジスト層を堆積させるためのスピンコータSC、露光したレジストを現像するためのデベロッパDE、冷却プレートCH、及びベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラ、すなわちロボットROが、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、それらを様々なプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置100又は100’のローディングベイLBに引き渡す。これらのデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は監視制御システムSCSによって制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、これらの様々な装置はスループット及び処理効率を最大化するように動作させることができる。
【0064】
[0073] 例示的なスキャトロメータ
【0065】
[0074] リソグラフィ装置100及び/又は100’のようなリソグラフィ装置により露光される基板の正確かつ一貫した露光を保証するために、露光済み基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。エラーが検出された場合は、特に同一バッチの他の基板が露光されないうちに充分に迅速な検査をすぐに実行可能である場合は、後続基板の露光に対して調整を行うことができる。また、すでに露光済みの基板を歩留まり改善のために剥離して再加工するか、又は廃棄することで、不良であるとわかった基板に対する露光の実行を回避することができる。1枚の基板のいくつかのターゲット部分のみが不良である場合は、基準を満たすターゲット部分にのみさらに露光を実行することができる。
【0066】
[0075] 基板の特性を明らかにするために、特に、異なる基板又は同一基板の異なる層の特性にどのくらい層間のばらつきがあるかを明らかにするために検査装置を用いることができる。検査装置は、リソグラフィ装置100及び/又は100’などのリソグラフィ装置又はリソセル300に一体化するか、あるいは独立型のデバイスとすることができる。迅速な測定を可能とするため、検査装置は露光されたレジスト層の特性を露光直後に測定することが望ましい。しかしながら、レジストの潜像はコントラストが極めて小さい。すなわち、放射に露光されたレジスト部分と露光されていない部分との間の屈折率には極めて小さな差しかなく、また、全ての検査装置が潜像の有用な測定を行うのに充分な感度を有するわけではない。したがって、測定は、露光後ベークステップ(PEB)の後に実行してもよい。露光後ベークステップは、慣例的に、露光された基板に対して実行する最初のステップであり、レジストの露光部分と非露光部分とのコントラストを増大させる。この段階におけるレジストの像を半潜像と称することができる。また、レジストの露光部分又は非露光部分のいずれかが除去されたとき、又はエッチングなどのパターン転写ステップの後に、現像済みのレジスト像を測定することも可能である。後者の可能性は、不良基板を再加工する可能性を抑制し、それでもなお有用な情報を与えることができる。
【0067】
[0076]
図4は、本発明において使用可能なスキャトロメータSM1を示している。スキャトロメータSM1は、リソグラフィ装置100及び/又は100’などのリソグラフィ装置又はリソセル300に一体化するか、あるいは独立型のデバイスとすることができる。これは、基板W上に放射を投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。反射された放射は分光検出器4に送られ、分光検出器4は鏡面反射した放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルを処理ユニットPUにより、例えば厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又はシミュレートされたスペクトルのライブラリとの比較によって、
図4の下部に示すように再構成することができる。一般に、この再構成では、構造の概略的な形態は既知であり、構造が作成されたプロセスの知識からいくつかのパラメータが推定されるので、スキャトロメトリデータから決定される構造のパラメータはほんのわずかしかない。そのようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0068】
[0077]
図5に、本発明と共に使用され得る別のスキャトロメータSM2が示されている。スキャトロメータSM2は、リソグラフィ装置100及び/又は100’などのリソグラフィ装置又はリソセル300に一体化するか、あるいは独立型のデバイスとすることができる。スキャトロメータSM2は、放射源2、レンズシステム12、フィルタ13(例えば干渉フィルタ)、反射デバイス14(例えば基準ミラー)、レンズシステム15(例えば顕微鏡対物レンズシステム、本明細書では対物レンズシステムとも呼ばれる)、部分反射面16(例えばビームスプリッタ)、及びポラライザ17を備えてよい。スキャトロメータSM2はさらに、検出器18及び処理ユニットPUを備えてよい。
【0069】
[0078] 1つの例示的な動作において、放射源2が発した放射は、レンズシステム12によってコリメートされ、干渉フィルタ13及びポラライザ17を透過し、部分反射面16によって反射され、顕微鏡対物レンズシステム15を介して基板W上に合焦される。その後、散乱スペクトルを検出するため、反射された放射は部分反射面16を透過して検出器18に進入する。検出器は、対物レンズシステム15の焦点距離Fのところにある後方投影瞳面11内に配置することができるが、その代わりに瞳面を補助光学系(図示せず)によって検出器18上に再結像することもできる。瞳面とは、放射の半径方向位置が入射角を規定し、角度位置が放射のアジマス角を規定する面である。一例において検出器は、基板ターゲット30の2次元角散乱スペクトルを測定可能とする2次元検出器である。検出器18は、例えばCCD又はCMOSセンサアレイであってよく、例えばフレーム当たり40ミリ秒の積分時間を用いることができる。
【0070】
[0079] 例えば入射する放射の強度を測定するために、基準ビームを用いることができる。これを行うため、放射ビームがビームスプリッタ16に入射したとき、その一部を基準ビームとしてビームスプリッタを透過させ、基準ミラー14に向かわせる。この基準ビームを次いで同じ検出器18の異なる部分上に、あるいは異なる検出器(図示せず)上に投影する。
【0071】
[0080] 干渉フィルタ13は1組の干渉フィルタを含んでよく、例えば405~790nm、又はもっと短い範囲、例えば200~300nmの範囲内の対象波長を選択するのに利用可能であってよい。干渉フィルタは、1組の異なるフィルタで構成するのではなく、調整可能であってよい。代替的に、例えば、干渉フィルタの代わりに格子を用いてもよい。
【0072】
[0081] 検出器18は、単一の波長(又は狭い波長範囲)における散乱光の強度を測定するか、複数の波長でそれぞれに、もしくはある波長範囲についてまとめて強度を測定することができる。さらに、検出器18は、TM偏光及びTE偏光の強度を別個に測定すること、及び/又はTM偏光とTE偏光との位相差を測定することも可能である。
【0073】
[0082] 放射源2として、広帯域光源(すなわち広範囲の光周波数又は波長、したがって広範囲の色を有するもの)を使用すると、大きいエタンデュを得ることができ、複数の波長の混合が可能となる。好ましくは、広帯域内の複数の波長は各々、Δλの帯域幅及び少なくとも2Δλ(すなわち帯域幅の2倍)の間隔を有することができる。いくつかの放射「源」が、ファイバ束を用いて分割された拡張放射源の異なる部分であってよい。このようにして、角度分解散乱スペクトルを複数の波長で並行して測定することができる。2Dスペクトルよりも多くの情報を含む3Dスペクトル(波長及び2つの異なる角度)を測定することができる。これは、より多くの情報を測定可能とするので、メトロロジプロセスのロバスト性が向上する。これについては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州出願1,628,164 A2にさらに詳しく記載されている。
【0074】
[0083] 基板W上のターゲット30は1D格子であってよく、1D格子はプリントされると現像後に固体レジストラインからバーが形成される。ターゲット30は2D格子であってもよく、2D格子はプリントされると現像後に固体レジストピラー又はレジスト中のビアから格子が形成される。あるいは、バー、ピラー、又はビアを基板にエッチングしてもよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPL内の色収差及び照明対称性に対して敏感である。このような収差の存在は、プリントされた格子のばらつきとして顕在化する。したがって、プリントされた格子のスキャトロメトリデータを用いて格子を再構成する。線幅及び形状などの1D格子のパラメータ、又はピラーもしくはビアの幅もしくは長さもしくは形状などの2D格子のパラメータを、プリントステップの知識から処理ユニットPUにより実行される再構成プロセス及び/又は他のスキャトロメトリプロセスに入力することができる。
【0075】
[0084] 上記のように、ターゲットは基板の表面上にあってよい。このターゲットは、多くの場合、格子における一連の線又は2Dアレイにおける実質的に矩形の構造の形を取ることになる。メトロロジにおける厳密光回折理論の目的は、事実上ターゲットから反射される回折スペクトルの計算である。換言すれば、CD(クリティカルディメンジョン)均一性及びオーバーレイメトロロジのためにターゲット形状情報が得られる。オーバーレイメトロロジは、基板上の2つの層が位置合わせされているか否かを判定するために2つのターゲットのオーバーレイを測定する測定システムである。CD均一性は、単にリソグラフィ装置の露光システムがどのように機能しているかを判定するための、スペクトルに対する格子の均一性の測定結果である。具体的には、CD、すなわちクリティカルディメンジョンは、基板上に「書かれる」オブジェクトの幅であり、リソグラフィ装置が物理的に基板上に書くことができる限界である。
【0076】
[0085] 「暗視野」スキャトロメトリを用いた回折ベースのオーバーレイは、ゼロ次の回折(鏡面反射に対応)を遮断し、1つ以上の高次の回折のみを処理してターゲットのグレースケール画像を作成する。この暗視野技術を使用する回折ベースのオーバーレイは、より小さいターゲット上でのオーバーレイ測定を可能にしており、マイクロ回折ベースのオーバーレイ(μDBO)として知られている。μDBOは非常に高いコントラスト比を必要とする可能性がある。
【0077】
[0086] 例示的な光学システム
【0078】
[0087] プリズムは、屈折率の差による屈折に基づいて電磁(EM)放射を分離するくさび形の透明な光学素子である。一般的に、プリズムは研磨された平面を有する。プリズムの断面は多角形であり、プリズムの面は反平行である。プリズムは複数の表面を備えてよく、プリズムの表面間の角は異なる可能性があるが、少なくとも2つの表面間の角が必要である。ビーム分割プリズムは、1つのビームを2つ以上のビームに分割するように構成された反射プリズムの一種である。偏光プリズムは、1つのビームを非線形光学系に基づいて様々な偏光成分に分割するように構成されたプリズムの一種である。
【0079】
[0088] 非線形光学系(NLO)は非線形媒質中にEM放射を取り込む。これは媒質の分極(すなわち電気双極子モーメント)がEM放射の電場と非線形に相互作用することを意味する。電場と誘電場との間の正規線形関係は非線形媒質中で崩れる。非線形相互作用は、偏光、周波数、位相、及び/又はビームパスの変化として現れる可能性がある。
【0080】
[0089] 非線形プリズム光学系は、非線形屈折率に変化が出る可能性がある。例えば複屈折材料は、EM放射の偏光及び伝搬方向に依存する屈折率を有する。複屈折非線形媒質は二重屈折を生じさせ、非偏光EM放射が平行偏光及び垂直偏光の2つのビームパスに分割される。複屈折非線形媒質は、異なる屈折率に対応する2つの偏光波成分から構成される。常光線(o光線)は光軸に対して垂直方向の偏光を有する一方、異常光線(e光線)は、スネルの法則に従わず、媒質の光軸方向の偏光を有する。
【0081】
[0090] ウォラストンプリズムとは、EM放射をその偏光成分により分離する非線形プリズム光学系である。ウォラストンプリズムは、非偏光EM放射を互いに垂直に偏光されたビームに分離する。一般に、ウォラストンプリズムは、各プリズムの1つの面が(例えば接着剤、セメントなどで)固着されて立方体を形成する2つの直角三角形プリズムを含む。ウォラストンプリズムから出射する放射ビームは、くさび角度及びEM放射の波長に基づいて発散し、2つの直交偏光ビームに分離する。くさび角度に依存する発散角は約1°から45°に及ぶ可能性がある。
【0082】
[0091]
図6は、この開示の一部の実施形態に係る、例示的な検査装置IAで使用される例示的な光学システム600の概略図である。光学システム600は検査装置IAと共に使用されるように示されているが、この開示の実施形態はこの例に制限されず、また、この開示の光学システムの実施形態は、限定するわけではないが、リソグラフィ装置100及び/又は100’、リソセル300、スキャトロメータSM1、スキャトロメータSM2などの他の光学システム、及び/又はその他の光学システムと共に用いることができる。
【0083】
[0092] 例えば、
図6は、
図5のスキャトロメータSM2の対物光学システム1、
図5のスキャトロメータSM2の検出器18、
図5のスキャトロメータSM2の処理ユニットPU、及び光学システム600を示している。一部の実施例によれば、光学システム600は、回折ターゲット、例えば
図5の基板Wの基板ターゲット30から反射したゼロ次回折ビーム617a及び1次回折ビーム617bを受けるように構成される。
【0084】
[0093] 一部の実施形態によれば、光学システム600は、ゼロ次回折ビーム617aから第1の偏光ゼロ次サブビーム623a及び第2の偏光ゼロ次サブビーム629aを生成するように構成されてよい。また、光学システム600は、1次回折ビーム617bから第1の偏光1次サブビーム623b及び第2の偏光2次サブビーム629bを生成するように構成されてよい。一部の実施形態では、検出器18はサブビーム623a、623b、629a、及び629bを受け、サブビーム623a、623b、629a、及び629bの強度及び/又は偏光を測定することができる。検出器18及び処理ユニットPUは、基板W、基板ターゲット30、及び/又は基板Wを生成するのに使用される光学システム(リソグラフィ装置など)の1つ以上のパラメータを測定するように構成されてよい。一部の実施形態では、検出器18及び処理ユニットPUは、基板W上の基板ターゲット30のパラメータ、例えばパターン基板W内又は上に形成された連続する層間のオーバーレイエラー及び/又は現像された感光性レジストの臨界線幅を測定するように構成されてよい。
【0085】
[0094] 一部の実施形態では、第1の偏光ゼロ次サブビーム623aは、ゼロ次回折ビーム617aの線形水平(H)偏光成分であってよく、第2の偏光ゼロ次サブビーム629aは、線形水平(H)偏光成分623aに直交する、ゼロ次回折ビーム617aの線形垂直(V)偏光成分であってよい。一部の実施形態では、第1の偏光1次サブビーム623bは、1次回折ビーム617bの線形水平(H)偏光成分であってよく、第2の偏光1次サブビーム629bは、線形水平(H)偏光成分623bに直交する、1次回折ビーム617bの線形垂直(V)偏光成分であってよい。
【0086】
[0095] 一部の実施例によれば、ゼロ次回折ビーム617a及び1次回折ビーム617bは非偏光放射ビームであってよい。光学システム600は、これらの非偏光入力ビーム(617a及び617b)をその水平(H)及び垂直(V)偏光成分に分割し、結果として、入力ビーム617a及び入力ビーム617bから、例えばそれぞれが互いに平行かつ隣接して移動するサブビーム(623a及び629a)及びサブビーム(623b及び629b)をそれぞれ出力するように構成されてよい。この開示の実施形態の光学システムは、H及びV偏光ビームを共通の焦点面にある単一の検出器(例えばセンサ)18上に結像するように構成されてよい。例えば検出器18は、H及びV偏光ビームを受ける単一の暗視野検出器であってよい。電場が入射面に平行な偏光放射はp偏光(すなわち横磁気(TM))と認められ、電場が入射面に垂直な偏光放射はs偏光(すなわち横電気(TE))と認められる。一実施例では、サブビーム623a及び623bは、水平(H)偏光情報及びp偏光配向を有する可能性がある。そして、例えばサブビーム629a及び629bは、垂直(V)偏光情報及びp偏光配向を有する可能性がある。
【0087】
[0096] 一部の例示的な実施形態によれば、光学システム600はまた、1つ以上の4分の1波長板(QWP)(
図6には図示せず)及び/又は1つ以上の鏡面(
図6には図示せず)を備えてよい。QWPは、例えば鏡面に施されたQWPポリマースタック又はQWPコーティングを含んでよい。代替的に、一部の実施形態によれば、光学システム600は光学システム600がQWPを備えないように設計されてもよい。一部の実施例では、光学システム600は、鏡面の有無にかかわらず光学システム600内で全反射(TIR)を用いるように設計されてよい。
【0088】
[0097] 光学システム600は、一部の例示的な実施形態によれば、サブビーム623a、629a、623b、及び629bが光学システム600の中を同じ光路又は実質的に同じ光路を移動するように設計されてよい。この発明との関連において、「実質的に同じ光路」という用語は、光路差が、サブビームが光学システム600の伝搬後にサブビームにより形成された像の焦点深度内で検出器18に合焦されるようなものであることを意味する。焦点深度は、例えば放射波長、サブビームの開口数、及び/又は収差の関数であってよい。換言すれば、光学システム600は、一部の例示的な実施形態によれば、光学システム600の中のサブビーム623a、629a、623b、及び629bの光路が同じ又は実質的に同じ長さを有するように設計されてよい。付加的又は代替的に、光学システム600は、光学システム600の出力表面、入力表面、及び/又はその他の表面が、サブビーム623a、629a、623b、及び629bの光路に対して傾斜するように設計されてもよい。これらの傾斜は、一部の実施例によれば、これらの表面からの「ゴースト」反射が検出器(検出器18など)上の一次ビームと重なるのを防ぐ又は最小限に抑えることができる。
【0089】
[0098] 付加的又は代替的な実施形態では、サブビーム623a又は629aのうちの1つ(及びサブビーム623b又は629bのうちの1つ)が、2回光学システム600の表面を透過するか又は光学システム600の表面から反射されて、所定の偏光消光率(PER)を得ることができる。偏光消光率は、必要な成分に対する不要成分の透過率と定義することができる。偏光消光率は、線形比率(例えばT2/T1)、パーセンテージ(例えば(T2/T1)*100)、又はデシベル(dB)関数(例えば10*log(T2/T1))として表すことができる。ここで、T2は不要成分(例えば望ましくない偏光)の透過率(例えば電力)であってよく、T1は必要な成分(例えば望ましい偏光)の透過率(例えば電力)であってよい。偏光消光率は、放射ビームの波長に依存する特性である。一例として、非偏光放射ビームをp偏光配向を有するサブビームとs偏光配向を有する別のサブビームとに分割することができる。p偏光サブビームは光学システム600を透過することができ、s偏光サブビームは光学システム600から反射することができる。s偏光サブビームの偏光消光率は、光学システム600により反射された放射ビームの不要部分の光学システム600により反射された必要なs偏光サブビームに対する比率と定義することができる。
【0090】
[0099]
図7は、一部の実施形態に係る例示的な検査装置700で使用される例示的な光学システム750を示している。一部の実施形態によれば、
図6の検査装置IAは、
図7の光学システム750を備えてよい。例えば、
図6の光学システム600は
図7の光学システム750であってよい。したがって、光学システム750は、
図6について以上で考察したように、ゼロ次及び1次回折ビーム617a、617bを受けることができる。ただし、光学システム750は、リソグラフィ装置、メトロロジ装置などの任意の場所にあってよい。
【0091】
[0100]
図7に示すように、検査装置700は、光学システム750、レンズシステム730、及び検出器740を備えてよい。検査装置700は、例えば
図5の基板ターゲット30などの回折ターゲットから反射された第1(-0)のゼロ次サブビーム702、第2(+0)のゼロ次サブビーム704、第1(-1)の1次サブビーム706、及び第2(+1)の1次サブビーム708を受けることができる。一部の実施形態では、サブビーム702、704、706、及び708は、ダイポール又は四極照明放射極(図示せず)によって生成及び分離される。例えば、サブビーム702、704、706、及び708は、BMW照明と呼ばれることもある2つの対向する照明象限のみを使用することによって生成及び分離することができ、その結果、残りの2つの象限は照明に使用されないが、第1(-1)の1次サブビーム706及び第2(+1)の1次サブビーム708を捉えるように構成される。一部の実施形態では、例えば
図5の放射源2を備える照明システムの対向する象限の放射極(図示せず)は、サブビーム702、704、706、及び708を生成及び分離することができる。さらに、一部の実施形態では、対向する象限の放射極に関連付けられたゼロ次ビームを遮断することによって非点収差を低減することができる。この照明技術は、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる、2009年3月31日発行の米国特許第7,511,799号及び2014年9月9日発行の米国特許第8,830,447号により詳細に説明されている。
【0092】
[0101] 光学システム750は、第1の非線形プリズム光学系710及び第2の非線形プリズム光学系720を含んでよい。他の実施例(図示せず)では、光学システム750は3つ以上の非線形プリズム光学系を含んでもよい。
【0093】
[0102] 例えば、第1及び第2の非線形プリズム光学系710、720は、それぞれ
図7に示すようなウォラストンプリズムであってよい。例えば、第1の非線形プリズム光学系710は、第1及び第2の直角三角形直交プリズム712、714を含んでよく、第2の非線形プリズム光学系720は、第1及び第2の直角三角形直交プリズム722、724を含んでよい。第1及び第2の直角三角形直交プリズム712、714は、例えば第1のウォラストンプリズムなどの第1の単位立方体を形成することができる。そして第1及び第2の直角三角形直交プリズム722、724は、第2のウォラストンプリズムなどの第2の単位立方体を形成することができる。
【0094】
[0103] 光学システム750は、少なくとも2つの異なる回折次数の2つの偏光成分を分離/生成するように構成される。例えば、第1の非線形プリズム光学系710は、第1(-0)及び第2(+0)のゼロ次入力サブビーム702、704を受け、(a)第1及び第2の偏光第1(-0)ゼロ次出力サブビーム716a、716b、及び(b)第1及び第2の偏光第2(+0)ゼロ次出力サブビーム718a、718bを生成/分離することができる。一部の実施形態では、出力サブビーム716a及び718aは、それぞれ入力サブビーム702及び704の線形水平(H)偏光成分であってよい。そして、出力サブビーム716b及び718bは、それぞれ入力サブビーム702及び704の、線形水平(H)偏光成分716a、718aに直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。例えば、第2の非線形プリズム光学系720は、第1(-1)及び第2(+1)1次入力サブビーム706、708を受け、(a)第1及び第2の偏光第1(-1)1次出力サブビーム726a、726b、及び(b)第1及び第2の偏光第2(+1)1次出力サブビーム728a、728bを生成/分離する。一部の実施形態では、出力サブビーム726a及び728aは、それぞれ入力サブビーム706及び708の線形水平(H)偏光成分であってよい。そして、出力サブビーム726b及び728bは、それぞれ入力サブビーム706及び708の、線形水平(H)偏光成分726a、728aに直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。
【0095】
[0104] 一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系710と第2の非線形プリズム光学系720とは構成が異なる、すなわち、第1の非線形プリズム光学系710と第2の非線形プリズム光学系720は異なるタイプの非線形プリズム光学系である。例えば、第1の非線形プリズム光学系710の三角プリズム712、714は、くさび接合部711において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部711と第1の非線形プリズム光学系710の基部に平行な水平断面との間にくさび角713が形成される。出力サブビーム716a、716b及び718a、718bそれぞれの発散角715a及び715bはくさび角713に依存する。例えば、第2の非線形プリズム光学系720の三角プリズム722、724は、くさび接合部721において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部721と第2の非線形プリズム光学系720の基部に平行な水平断面との間にくさび角723が形成される。出力サブビーム726a、726b及び728a、728bそれぞれの発散角725a及び725bは、くさび角723に依存する。一部の実施形態では、くさび角713は、第2の非線形プリズム光学系720により形成されたくさび角723及び対応する発散角725a、725bよりも大きい発散角715a、715bを形成することができる。一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系710のくさび角713(及び発散角715a、715b)は、例えば約45°であってよく、その結果、出力サブビーム716a及び716b(及び出力サブビーム718a及び718b)は、第1の非線形プリズム光学系710を射出すると約45°で分離/発散される。一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系720のくさび角721(及び発散角725a、725b)は、例えば約15°であってよく、その結果、出力サブビーム726a及び726b(及び出力サブビーム728a及び728b)は、第2の非線形プリズム光学系720を射出すると約15°で分離/発散される。一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系710は第2の非線形プリズム光学系720よりも厚くすることができ、その結果、入力サブビーム702、704は第1の非線形プリズム光学系710内でより長い光路を移動する。例えば、入力サブビーム702、704の強度は、第1の非線形プリズム光学系710内におけるより長い光路による入力サブビーム702、704の吸収及び/又は散乱から低減される可能性がある。一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系720は第1の非線形プリズム光学系710よりも厚くすることができ、その結果、入力サブビーム706、708は第2の非線形プリズム光学系720内でより長い光路を移動する。
【0096】
[0105] 検査装置700はレンズシステム730も備える。レンズシステム730は光学システム750と検出器740の間に配置される。例えば、レンズシステム730は、射出サブビーム716a、716b、718a、718b、726a、726b、728a、及び728bを検出器740上に合焦させるために、焦点距離Fのところに配置することができる。一部の実施形態では、レンズシステム730は、サブビーム716a、716b、718a、718b、726a、726b、728a、及び728bを検出器740上に予め配列されたパターンに配列することができる。一部の実施形態では、光学システム750は検査装置700の瞳面にある。瞳面は、放射の半径方向位置が入射角を規定し、角度位置が放射のアジマス角を規定する面である。レンズシステム730は単一の光学素子として示されているが、2つ以上の光学素子から構成されてもよい。一部の実施形態では、レンズシステム730は検査装置700から省略することができる。
【0097】
[0106] 検査装置700は検出器740も備える。検出器740は検出器740の表面に衝突するエネルギー(例えば光子、EM放射)を検出及び/又は検知することができる。例えば、検出器740は、光発生(例えば電子正孔対)及び/又は光子の電子への変換が起こる光活性領域を含んでよく、検出器740は、衝突エネルギーにより生成された電荷の移動を測定することができる。一部の実施形態では、検出器740はサブビーム716a、716b、718a、718b、726a、726b、728a、及び728bを結像する単一の検出器であってよい。例えば、検出器740は単一の暗視野又は位相差検出器(例えばCCD、CMOSなど)であってよく、非散乱照明ビーム、例えば
図5の放射源2が、光学システム750に進入するビームから除外又は遮断される。一部の実施形態では、検出器740は、エネルギー検出のための4つの個別の感光性領域を有する象限検出器であってよい。
【0098】
[0107] 検査装置700又は光学システム750は、1つ以上の減光フィルタNDを備えてよい。減光フィルタNDは、衝突する放射の強度を(例えば部分反射により)均等に低減又は調整する光学フィルタである。一部の実施形態では、
図7に示すように、減光フィルタNDは、入射する第1(-0)及び第2(+0)のゼロ次サブビームと第1の非線形プリズム光学系710との間に配置することができる。減光フィルタNDは、1次回折ビーム706、708よりも高い強度を有し得るゼロ次回折ビーム702、704の強度を低減させて、検出器740に衝突する全てのゼロ次及び1次サブビーム716a、716b、718a、718b、726a、726b、728a、及び728bの強度を正規化するように構成される。例えば、減光フィルタNDは、第1(-0)及び第2(+0)のゼロ次サブビーム702、704の強度を、第1(-1)及び第2(+1)の1次サブビーム706、708の強度に対して正規化することができる。一部の実施形態では、検査装置700又は光学システム750は減光フィルタNDを省略することができる。代替的に、一部の実施形態では、減光フィルタNDは省略することができ、第1の非線形プリズム光学系710は、サイズが第2の非線形プリズム光学系720よりも厚く構成されてもよい。例えば、第1の非線形プリズム光学系710の厚さは、第1(-0)及び第2(+0)のゼロ次サブビーム702、704の強度を、第1(-1)及び第2(+1)の1次サブビーム706、708の強度に対して正規化するように設計されてよい。
【0099】
[0108]
図8は、一部の実施形態に係る例示的な光学システム800を示している。一部の実施例によれば、光学システム800は、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840の2×2マトリクスアレイ802を備える。一部の実施形態では、
図8に示すように、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840の2×2マトリクスアレイ802は透明板804上に配置される。透明板804は、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840間の位置関係を維持する。一部の実施形態では、透明板804は省略され、2×2マトリクスアレイ802は、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840の互いに対する位置を固定するように構成された光学フレーム又はケージ(図示せず)に配置される。
【0100】
[0109] 一部の実施形態によれば、
図7の検査装置700は
図8の光学システム800を備えてよい。例えば、
図7の光学システム750は
図8の光学システム800であってよい。光学システム800は、
図4の検出器4、
図5及び/又は
図6の検出器18、及び/又は
図7の検出器740の近くに位置してよい。光学システム800は、
図6について上記したようなゼロ次及び1次回折ビーム617a、617b、又は
図7について上記したようなゼロ次及び1次サブビーム702、704、706、及び708を受けるように構成されてよい。ただし、光学システム800は、リソグラフィ装置、メトロロジ装置などの任意の場所に位置してよい。
図8は2×2マトリクスアレイを示しているが、光学システム800は異なるサイズのアレイを備えてもよい。
【0101】
[0110] 光学システム800は、第1の非線形プリズム光学系810、第2の非線形プリズム光学系820、第3の非線形プリズム光学系830、及び/又は第4の非線形プリズム光学系840を備えてよい。例えば、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840はそれぞれウォラストンプリズムであってよい。代替的に、一部の実施形態では、非線形プリズム光学系810、820、830、及び840は、それぞれ複屈折光学素子、ノマルスキープリズム、セナルモンプリズム、ロコンプリズム、グラントンプソンプリズム、及び/又はグランフォーカルトプリズムであってよい。代替的に、一部の実施形態では、非線形プリズム光学系810、820、830、及び/又は840は、複屈折光学素子、ウォラストンプリズム、ノマルスキープリズム、セナルモンプリズム、ロコンプリズム、グラントンプソンプリズム、及び/又はグランフォーカルトプリズムであってよい。一部の実施形態では、透明板804は透明なガラスオルソトープであってよい。この場合もやはり、一部の実施形態では透明板804を省略することができる。
【0102】
[0111] 一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系810は、第1及び第2の直角三角形直交プリズム812、814を含む。例えば、
図8に示すように、第1の非線形プリズム光学系810の第1及び第2の直角三角形直交プリズム812、814は、くさび接合部(図示せず)において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部(図示せず)と第1の非線形プリズム光学系810の基部に平行な水平断面との間にくさび角(図示せず)が形成される。出力サブビーム(図示せず)の発散角(図示せず)は、くさび角(図示せず)に依存する。一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系810のくさび角(図示せず)及び対応する発散角(図示せず)は、約1°から45°に及ぶ可能性がある。例えば、第1及び第2の直角三角形直交プリズム812、814は、くさび角(図示せず)が45°の立方体を形成することができる。
【0103】
[0112] 一部の実施形態では、第1の非線形プリズム光学系810は、それぞれ第3の非線形プリズム光学系830及び第4の非線形プリズム光学系840のくさび角835及び/又はくさび角845よりも大きいくさび角(図示せず)及び発散角(図示せず)、例えば45°のくさび角を有するように構成された第1のタイプの第1のウォラストンプリズム810であってよい。第1の非線形プリズム光学系810は、第1(-0)のゼロ次サブビーム816を受け、第1及び第2の偏光された第1(-0)のゼロ次サブビーム(図示せず)を分離/生成する。一部の実施形態では、例えば、サブビーム(図示せず)は、第1(-0)のゼロ次サブビーム816の線形水平(H)偏光成分であってよく、サブビーム(図示せず)は、線形水平(H)偏光成分に直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。一部の実施形態では、
図8に示すように、第1の直角三角形直交プリズム812は、入力サブビーム816の線形垂直(V)偏光成分(図示せず)を分離/生成するための、垂直矢印により示された垂直(V)方向の光軸を有し、第2の直角三角形直交プリズム814は、入力サブビーム816の線形水平(H)偏光成分(図示せず)を分離/生成するための水平(H)方向の光軸を有する。
【0104】
[0113] 第2の非線形プリズム光学系820は第1の非線形プリズム光学系810と類似している。一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系820は、第1及び第2の直角三角形直交プリズム822、824を含む。例えば、
図8に示すように、第2の非線形プリズム光学系820の第1及び第2の直角三角形直交プリズム822、824は、くさび接合部823において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部823と第2の非線形プリズム光学系820の基部に平行な水平断面との間にくさび角825が形成される。出力サブビーム828a、828bの発散角827は、くさび角825に依存する。一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系820のくさび角825及び対応する発散角827は、約1°から45°に及ぶ可能性がある。例えば、第1及び第2の直角三角形直交プリズム822、824は、くさび角825が45°の立方体を形成することができる。
【0105】
[0114] 一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系820は、それぞれ第3の非線形プリズム光学系830及び第4の非線形プリズム光学系840のくさび角835及び/又はくさび角845よりも大きいくさび角825及び発散角827、例えば45°のくさび角825を有するように構成された第1のタイプの第2のウォラストンプリズム820であってよい。第2の非線形プリズム光学系820は、第2(+0)のゼロ次サブビーム826を受け、第1及び第2の偏光された第2(+0)のゼロ次サブビーム828a、828bを分離/生成する。一部の実施形態では、例えば、サブビーム828aは、第2(+0)のゼロ次サブビーム826の線形水平(H)偏光成分であってよく、サブビーム828bは、線形水平(H)偏光成分828aに直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。一部の実施形態では、
図8に示すように、第1及び第2の非線形プリズム光学系810、820は、光軸を軸として互いに対して90°回転される。一部の実施形態では、
図8に示すように、第1の直角三角形直交プリズム822は、入力サブビーム826の線形水平(H)偏光成分828aを分離/生成するための、水平矢印により示された水平(H)方向の光軸を有し、第2の直角三角形直交プリズム824は、入力サブビーム826の線形垂直(V)偏光成分828bを分離/生成するための垂直(V)方向の光軸を有する。
【0106】
[0115] 一部の実施形態では、第3の非線形プリズム光学系830は、第1及び第2の直交プリズム832、834を含む。例えば、
図8に示すように、第3の非線形プリズム光学系830の第1及び第2の直交プリズム832、834は、くさび接合部833において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部833と第3の非線形プリズム光学系830の基部に平行な水平断面との間にくさび角835が形成される。出力サブビーム838a、838bの発散角837は、くさび角835に依存する。一部の実施形態では、第2の非線形プリズム光学系830のくさび角835及び対応する発散角837は、約1°から45°に及ぶ可能性がある。例えば、第1及び第2の直角三角形直交プリズム832、834は、くさび角835が15°の立方体を形成することができる。
【0107】
[0116] 一部の実施形態では、第3の非線形プリズム光学系830は、それぞれ第1の非線形プリズム光学系810及び第2の非線形プリズム光学系820のくさび角(図示せず)及び/又はくさび角825よりも小さいくさび角835及び発散角837、例えば15°のくさび角835を有するように構成された第2のタイプの第3のウォラストンプリズム830であってよい。第3の非線形プリズム光学系830は、第1(-1)の1次サブビーム836を受け、第1及び第2の偏光された第1(-1)の1次サブビーム838a、838bを分離/生成する。一部の実施形態では、例えば、サブビーム838aは、第1(-1)の1次サブビーム836の線形水平(H)偏光成分であってよく、サブビーム838bは、線形水平(H)偏光成分818aに直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。一部の実施形態では、
図8に示すように、第1の直角三角形直交プリズム832は、入力サブビーム836の線形垂直(V)偏光成分838bを分離/生成するための、垂直矢印により示された垂直(V)方向の光軸を有し、第2の直角三角形直交プリズム834は、入力サブビーム836の線形水平(H)偏光成分838aを分離/生成するための水平(H)方向の光軸を有する。
【0108】
[0117] 第4の非線形プリズム光学系840は第3の非線形プリズム光学系830と類似している。一部の実施形態では、第4の非線形プリズム光学系840は、第1及び第2の直交プリズム842、844を含む。例えば、
図8に示すように、第4の非線形プリズム光学系840の第1及び第2の直交プリズム842、844は、くさび接合部843において(例えば接着剤、セメント、結合剤などで)固着され、くさび接合部843と第4の非線形プリズム光学系840の基部に平行な水平断面との間にくさび角845が形成される。出力サブビーム848a、848bの発散角847は、くさび角845に依存する。一部の実施形態では、第4の非線形プリズム光学系840のくさび角845及び対応する発散角847は、約1°から45°に及ぶ可能性がある。例えば、第1及び第2の直角三角形直交プリズム842、844は、くさび角845が15°の立方体を形成することができる。
【0109】
[0118] 一部の実施形態では、第4の非線形プリズム光学系840は、それぞれ第1の非線形プリズム光学系810及び第2の非線形プリズム光学系820のくさび角(図示せず)及び/又はくさび角825よりも小さいくさび角845及び発散角847、例えば15°のくさび角845を有するように構成された第2のタイプの第4のウォラストンプリズム840であってよい。第4の非線形プリズム光学系840は、第2(+1)の1次サブビーム846を受け、第1及び第2の偏光された第2(+1)の1次サブビーム848a、848bを分離/生成する。一部の実施形態では、例えば、サブビーム848aは、第2(+1)の1次サブビーム846の線形水平(H)偏光成分であってよく、サブビーム848bは、線形水平(H)偏光成分848aに直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。一部の実施形態では、
図8に示すように、第3及び第4の非線形プリズム光学系830、840は、光軸を軸として互いに対して90°回転される。一部の実施形態では、
図8に示すように、第1の直角三角形直交プリズム842は、入力サブビーム846の線形水平(H)偏光成分848aを分離/生成するための、水平矢印により示された水平(H)方向の光軸を有し、第2の直角三角形直交プリズム844は、入力サブビーム846の線形垂直(V)偏光成分848bを分離/生成するための垂直(V)方向の光軸を有する。
【0110】
[0119]
図9は、一部の実施形態に係る例示的な光学システム900を概略的に示している。一部の実施例によれば、光学システム900は、透明板904上に配置(例えば固定)された4つのウォラストンプリズム910、920、930、及び940の2×2マトリクスアレイ902である。光学システム900は
図8の光学システム800と類似するものであり、
図9は光学システム900の上面図である。
【0111】
[0120] 光学システム900は、第1のウォラストンプリズム910、第2のウォラストンプリズム920、第3のウォラストンプリズム930、及び第4のウォラストンプリズム940を備える。一部の実施形態では、第1及び第2のウォラストンプリズム910、920は第1のタイプである。例えば、第1及び第2のウォラストンプリズム910、920は、それぞれ約20°から45°に及ぶくさび角(及び発散角)を有してよい。例えば、第1及び第2のウォラストンプリズム910、920は、それぞれ約40°から45°に及ぶくさび角(及び発散角)を有してよい。一部の実施形態では、第3及び第4のウォラストンプリズム930、940は第2のタイプである。例えば、第3及び第4のウォラストンプリズム930、940は、それぞれ約1°から25°に及ぶくさび角(及び発散角)を有してよい。例えば、第3及び第4のウォラストンプリズム930、940は、それぞれ約10°から15°に及ぶくさび角(及び発散角)を有してよい。一部の実施形態では、
図9に示すように、第1及び第2のウォラストンプリズム910、920は、光軸を軸として互いに対して90°回転され、第3及び第4のウォラストンプリズム930、940は、光軸を軸として互いに対して90°回転される。
【0112】
[0121]
図10は、この開示の一部の実施形態に係る例示的な光学システム1000を示している。一部の実施形態によれば、
図7の検査装置700は、
図8の光学システム800又は
図9の光学システム900を備えてよい。例えば、
図7の光学システム750は、
図8の光学システム800又は
図9の光学システム900であってよい。光学システム800又は光学システム900は、
図4の検出器4、
図5及び/又は
図6の検出器18、及び/又は
図7の検出器740の近くに位置してよく、
図6について上記したようなゼロ次及び1次回折ビーム617a、617b、
図7について上記したようなゼロ次及び1次サブビーム702、704、706、及び708、又は
図8について上記したようなゼロ次及び1次サブビーム816、826、836、及び846を受けるように構成されてよい。一部の実施形態によれば、光学システム750、光学システム800、又は光学システム900は、
図10の光学システム1000を含んでよい。
【0113】
[0122]
図10に示すように、光学システム1000は、検出器1006上に、それぞれ上部対角線領域1002及び下部対角線領域1004に分離される水平(H)偏光コンポーネント1002及び垂直(V)偏光コンポーネント1004を備える。検出器1006は、
図4の検出器4、
図5及び/又は
図6の検出器18、並びに
図7の検出器740に類似していてよい。
図7の光学システム750、
図8の光学システム800、及び
図9の光学システム900と同様に、検出器1006は、第1及び第2の偏光された第1(-0)のゼロ次サブビーム1018a、1018b、第1及び第2の偏光された第2(+0)のゼロ次サブビーム1028a、1028b、第1及び第2の偏光された第1(-1)の1次サブビーム1038a、1038b、並びに第1及び第2の偏光された第2(+1)の1次サブビーム1048a、1048bを受けて結像する。一部の実施形態では、
図10に示すように、サブビーム1018a、1028a、1038a、及び1048aは線形水平(H)偏光成分であってよく、サブビーム1018b、1028b、1038b、及び1048bは線形水平(H)偏光成分に直交する線形垂直(V)偏光成分であってよい。
【0114】
[0123] 一部の実施形態では、
図10に示すように、ゼロ次サブビーム1018a、1018b、1028a、及び1028bは、例えば
図9の第1のタイプの第1及び第2のウォラストンプリズム910、920から、光学システム1000の大きい分散角(例えば45°のくさび角)に起因して検出器1006上の外輪に配置される。一部の実施形態では、
図10に示すように、1次サブビーム1038a、1038b、1048a、及び1048bは、例えば
図9の第2のタイプの第3及び第4のウォラストンプリズム930、940から、光学システム1000の小さい分散角(例えば15°のくさび角)に起因して検出器1006上の内輪に配置される。
【0115】
[0124] 一部の実施形態では、検出器1006は、ゼロ次及び1次回折並びに各回折次数の第1及び第2の偏光1018a、1018b、1028a、1028b、1038a、1038b、1048a、及び1048bを同時に検出する。例えば
図10に示すように、検出器1006はサブビーム1018a、1018b、1028a、1028b、1038a、1038b、1048a、及び1048bを8個の個別のビームスポットとして結像する。一部の実施形態では、検出器1006は単一の暗視野検出器である。
【0116】
[0125] 一部の実施形態では、ゼロ次及び1次回折並びに各回折次数の第1及び第2の偏光を検出した後、回折ターゲット、例えば
図5の基板ターゲット30の対象パラメータを、検出された1つ以上の回折次数の第1及び第2の偏光、例えば
図10の1018a、1018b、1028a、1028b、1038a、1038b、1048a、及び/又は1048bに基づいて調整及び/又は最適化して、メトロロジシステム、リソグラフィシステム、スキャトロメータ、検査装置、及び/又はリソグラフィセルにおける正確度、精度、タイミング、効率性、信号対雑音比(S/N)、及び/又は生産性を改善する。例えば、対象パラメータは、回折ターゲット内又は上に形成された連続する層間のオーバーレイエラー及び/又は現像された感光性レジストの臨界線幅であってよい。連続する層間のオーバーレイエラーは、個々の第1及び第2の偏光(例えば、第2(+1)の1次サブビーム1048a、1048bそれぞれのH及びV)及び/又は第1及び第2の偏光の交差偏光(例えば、第2の偏光された(V)第2(+1)の1次サブビーム1048bに含まれる第1の偏光された(H)第2(+1)の1次サブビーム1048aの測定量)に基づいて調整する(例えば最小限に抑える)ことができる。付加的又は代替的に、例えば1D格子の対象パラメータは、線幅及び/又は形状であってよい。付加的又は代替的に、例えば2D格子の対象パラメータは、ピラー、ビア幅もしくは長さ、及び/又は形状であってよい。一部の実施形態では、対象パラメータは、リソグラフィ装置における正確度、精度、タイミング、効率性、信号対雑音比(S/N)、及び/又は生産性を改善するために調整され得るリソグラフィ装置の動作パラメータであってよい。例えば、動作パラメータはオーバーレイエラーであってよい。例えば、動作パラメータは、並進、拡大、回転、偏光、及び/又はウェーハの座標により表されたオーバーレイエラーであってよい。
【0117】
[0126] 一部の実施形態では、ゼロ次及び1次回折並びに各回折次数の第1及び第2の偏光を検出した後、リソグラフィ装置、例えばリソグラフィ装置100又は100’のパラメータを、検出された1つ以上の回折次数の第1及び第2の偏光、例えば
図10の1018a、1018b、1028a、1028b、1038a、1038b、1048a、及び/又は1048bに基づいて調整及び/又は最適化して、リソグラフィ装置における正確度、精度、タイミング、効率性、信号対雑音比(S/N)、及び/又は生産性を改善する。例えば、リソグラフィ装置のパラメータは、パターン基板内又は上に形成された連続する層間のオーバーレイエラー及び/又は現像された感光性レジストの臨界線幅であってよい。付加的又は代替的に、例えばリソグラフィ装置のパラメータはさらなる基板の処理のためのレシピステップであってもよい。付加的又は代替的に、例えば製造プロセス、リソグラフィプロセス、及び/又はメトロロジプロセスの1つ以上のステップは、検出された1つ以上の回折次数の第1及び第2の偏光(例えば
図10の1018a、1018b、1028a、1028b、1038a、1038b、1048a、及び/又は1048b)に基づいて制御することができる。
【0118】
[0127] 一部の実施形態では、1つ以上の回折次数の第1及び第2の偏光は、検出器18及び/又は処理ユニットPUによって調べることができる。一部の実施形態では、水平(H)及び垂直(V)偏光成分の交差偏光を調べることができる。例えば、1つ以上の回折次数についてどれだけの量の水平(H)偏光成分が垂直(V)偏光成分に漏出したかを測定することができる。一部の実施形態では、一部の回折ターゲットについて、各偏光(H又はV)の強さ又は強度を調べることができる。例えば、水平(H)偏光の量は一部のターゲット(例えば水平線形状)について垂直(V)偏光よりも多くてよく、交差偏光(例えば、どれだけHがVに漏出したか)を比較して、特定のターゲット、基板及び/又はリソグラフィ装置について、対象パラメータのより良い正確度及び/又は精度を決定することができる。
【0119】
[0128] 一部の実施形態では、この開示の実施形態の光学システムは、非偏光ビームのH及びV偏光を分離し、H及びV偏光ビームの両方を単一の検出器(例えば暗視野センサ)上の共通焦点面(例えば瞳面)に結像するように構成されてよい。付加的又は代替的に、この開示の実施形態の光学システムは、1つ以上の非線形プリズム光学系を用いて、光学システムをH及びV偏光ビームパスの両方において平板として機能させることによって、色収差(例えば横色収差)を最小限に抑えることができる。
【0120】
[0129] 実施形態は以下の条項を用いてさらに記述することができる。
1.非線形プリズム光学系を備え、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受け、各回折ビームの第1の偏光及び第2の偏光を分離するように構成された光学システムと、
ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成された検出器と、を備えた検査装置。
2.光学システムが検査装置の瞳面にある、条項1に記載の検査装置。
3.非線形プリズム光学系が複屈折性であり、ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれから常光線及び異常光線を分離するように構成された、条項1に記載の検査装置。
4.ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光が水平偏光成分であり、
ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第2の偏光が、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である、条項1に記載の検査装置。
5.光学システムが複数の非線形プリズム光学系をさらに備えた、条項1に記載の検査装置。
6.複数の非線形プリズム光学系が複数のウォラストンプリズムを含む、条項5に記載の検査装置。
7.複数のウォラストンプリズムが、
それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第1のタイプのウォラストンプリズムと、
それぞれが第2の偏光くさび角及び対応する第2の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第2のタイプのウォラストンプリズムとを含み、第1のくさび角及び第1の発散角が第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい、条項6に記載の検査装置。
8.マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定するためのリソグラフィ装置であって、
回折パターンを照明するように構成された第1の照明光学システムと、
回折パターンの像を基板上に投影するように構成された投影光学システムと、
リソグラフィ装置のパラメータを決定するように構成されたスキャトロメータとを備え、スキャトロメータが、
少なくとも1つの放射ビームを伝送するように構成された第2の照明光学システムと、
少なくとも1つの放射ビームを基板上に合焦させるように構成された対物光学システムと、
基板からの反射放射ビームを検出するように構成された検査装置であって、
非線形プリズム光学系を備え、回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームを受け、各回折ビームの第1の偏光及び第2の偏光を分離するように構成された光学システムと、
ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光及び第2の偏光を同時に検出するように構成された検出器とを備えた検査装置と、を備えたリソグラフィ装置。
9.非線形プリズム光学系が、複屈折光学素子、ウォラストンプリズム、ノマルスキープリズム、セナルモンプリズム、ロコンプリズム、グラントンプソンプリズム、及びグランフォーカルトプリズムから構成される群から選択される、条項8に記載のリソグラフィ装置。
10.光学システムが、ゼロ次回折の強度を1次回折の強度に対して正規化するように構成された減光フィルタを備えた、条項8に記載のリソグラフィ装置。
11.光学システムが検査装置の瞳面にあり、検出器が単一の暗視野検出器である、条項8に記載のリソグラフィ装置。
12.ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第1の偏光が水平偏光成分であり、
ゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームのそれぞれの第2の偏光が、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分である、条項8に記載のリソグラフィ装置。
13.光学システムが複数の非線形プリズム光学系をさらに備えた、条項8に記載のリソグラフィ装置。
14.複数の非線形プリズム光学系が複数のウォラストンプリズムを含む、条項13に記載のリソグラフィ装置。
15.複数のウォラストンプリズムが、
それぞれが第1のくさび角及び対応する第1の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第1のタイプのウォラストンプリズムと、
それぞれが第2の偏光くさび角及び対応する第2の発散角を有し、互いに対して90°回転された2つの第2のタイプのウォラストンプリズムとを含み、第1のくさび角及び第1の発散角が第2のくさび角及び第2の発散角よりも大きい、条項14に記載のリソグラフィ装置。
16.複数のウォラストンプリズムが、2×2マトリクスアレイで透明板上に配置され、第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に受けるように構成された、条項14に記載のリソグラフィ装置。
17.水平偏光成分と、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とが、対応する複数のウォラストンプリズムによって第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて分離され、検出器によって8個の個別のビームスポットとして結像される、条項16に記載のリソグラフィ装置。
18.マイクロ回折ベースのオーバーレイを測定する方法であって、
回折ターゲットから反射されたゼロ次回折ビーム及び1次回折ビームの両方の第1の偏光と第2の偏光とを、非線形プリズム光学系を備えた光学システムによって分離すること、
ゼロ次回折及び1次回折並びに各回折次数の第1の偏光及び第2の偏光を検出器によって同時に検出すること、及び
1つ以上の回折次数の検出された第1の偏光及び第2の偏光に基づいてリソグラフィ装置の動作パラメータを調整して、リソグラフィ装置の正確度又は精度を改善すること、を含む方法。
19.第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームとを別々に分離すること、及び
第1及び第2のゼロ次回折サブビームと第1及び第2の1次回折サブビームのそれぞれについて、水平偏光成分と、水平偏光成分に直交する垂直偏光成分とを分離すること、をさらに含む、条項18に記載の方法。
20.ゼロ次回折サブビーム及び1次回折サブビームのそれぞれの水平偏光成分及び垂直偏光成分を単一の暗視野検出器上に8個の個別のビームスポットとして結像することをさらに含む、条項19に記載の方法。
【0121】
[0130] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0122】
[0131] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0123】
[0132] 本明細書中の言い回し又は専門用語は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではないことが理解されるべきであり、従って、本明細書の専門用語又は言い回しは、本明細書中の教示に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0124】
[0133] 本明細書で使用される「基板」という用語は、その上に材料層が追加される材料を記述する。一部の実施形態では、基板自体にパターンが付与されると共に、その上に追加された材料にもパターンが付与されるか、又はパターン付与されないままである場合がある。
【0125】
[0134] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0126】
[0135] 以下の例はこの開示の実施形態を説明するものであるが限定的ではない。本技術分野で通常見られ、当業者に自明と思われる各種の条件及びパラメータのその他の適切な変更形態及び適応形態も本開示の趣旨及び範囲内にある。
【0127】
[0136] 本文では、ICの製造における本発明による装置及び/又はシステムの使用について特に言及しているが、そのような装置及び/又はシステムは他の多くの可能な用途を有することを明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどに使用できる。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「レチクル」、「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「マスク」、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。
【0128】
[0137] 本発明の特定の実施形態が上に記載されているが、本発明は、記載されている以外の方法で実施され得ることが理解されるであろう。この説明は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0129】
[0138] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0130】
[0139] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0131】
[0140] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。
【0132】
[0141] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。