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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】スキャン信号の特徴診断
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20220419BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020539291
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2018085918
(87)【国際公開番号】W WO2019141481
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】62/618,230
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ブローウェル、コーネリス、メルキオール
(72)【発明者】
【氏名】ショメ、クリシャヌ
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/153171(WO,A1)
【文献】特表2016-502134(JP,A)
【文献】特開2007-298954(JP,A)
【文献】特表2005-530145(JP,A)
【文献】特開平06-244085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置内でウェハの処理を制御する装置であって、前記装置は、
前記ウェハのマークまたは構造を備える部分を少なくとも照明する光源と、
前記部分が前記光源によって照明されるときに前記部分からの光を検知し、前記検知した光を表すスキャン信号を生成するセンサと、
前記スキャン信号を受信するよう構成され、前記スキャン信号の複数のサンプルのそれぞれについて複数のローカルフィット係数をそれぞれ生成し、前記複数のローカルフィット係数に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するよう適合するプロセッサと、
前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて前記ウェハの処理の少なくとも一つの態様を制御するために前記制御信号を受信するよう構成されるコントローラと、を備え
前記複数のローカルフィット係数は、前記複数のサンプルに対応する前記スキャン信号の複数の局所部分のそれぞれに対するフィッティングにより生成される装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの態様は、オーバレイアライメントであり、前記部分は、少なくとも一つのアライメントマークを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの態様は、化学機械研磨であり、前記部分は、化学機械研磨の変動に感受性を有する少なくとも一つのマークを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記センサは、対物レンズを有し、前記プロセッサは、前記複数のローカルフィット係数のサブセットを少なくとも使用して前記対物レンズと前記ウェハの反射層の間の距離を決定し、
前記コントローラは、前記距離に少なくとも基づいて前記制御信号を生成し、前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて露光フォーカスを制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカルDCオフセット係数を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル振幅係数を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のローカル振幅係数は、高速フーリエ変換を用いて計算される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル位相係数を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のローカル位相係数は、ヒルベルト変換を用いて計算される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のローカルフィット係数は、平滑化されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムであって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記システムは、
前記マークを照明する光源と、
前記マークが前記光源によって照明されるときに前記マークからの光を検知し、前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、
前記信号を受信するよう構成され、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成するよう適合するプロセッサと、を備え、
前記リソグラフィ装置は、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合し、
前記少なくとも一つのローカルフィット係数のそれぞれは、前記複数のサンプルに対応する前記信号の複数の局所部分のそれぞれに対するフィッティングにより生成される、システム。
【請求項12】
前記マークは、透過型である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記マークは、反射型である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルFFTフィット係数である、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのフィット係数は、平滑化されている、請求項11から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルDCオフセットフィット係数である、請求項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルヒルベルト変換フィット係数である、請求項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数のそれぞれを生成して複数のローカルフィット係数を生成し、前記複数のフィット係数を前記アライメント信号から減算して残差信号を生成するよう適合され、
前記リソグラフィ装置は、前記残差信号を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合する、請求項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を用いて前記マークの変形を決定するよう適合する、請求項11から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を使用し、前記マークの単一スキャンに基づく前記信号のサブセグメントごとのローカル位相を評価することによって高空間周波数グリッド成分を決定するよう適合する、請求項11から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムであって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記システムは、
前記マークを照明する光源と、
前記マークが前記光源によって照明されるときに前記マークからの光を検知し、前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、
前記信号を受信するよう構成され、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルFFTフィット係数のそれぞれを生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルFFTフィット係数を生成し、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルDCフィット係数のそれぞれを生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルDCフィット係数を生成し、各サンプルについて前記複数のローカルFFTフィット係数の各一つおよび前記複数のローカルDCフィット係数の各一つを前記サンプルの前記アライメント信号から減算して前記複数のサンプルについて残差信号を取得するよう適合するプロセッサと、を備え、
前記リソグラフィ装置は、前記残差信号を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合し、
前記ローカルFFTフィット係数のそれぞれ、および、前記ローカルDCフィット係数のそれぞれは、前記複数のサンプルに対応する前記信号の複数の局所部分のそれぞれに対するフィッティングにより生成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2018年1月17日に出願された米国仮特許出願番号62/618,230の優先権を主張し、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、リソグラフィ技術を用いたデバイスの製造に関連する。特に本開示は、半導体フォトリソグラフィプロセスを特徴付けるおよび制御するためのスキャン信号の分析に関連する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。この用途のため、パターニングデバイス(代替的にマスクまたはレチクルとも称される)がICの個々の層に形成されるべき回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上の(例えばダイの一部、一つまたはいくつかのダイを備える)ターゲット部分に転写されることができる。パターンの転写は、典型的に放射感受性材料(レジスト)の層への結像を介してなされる。一般に、単一の基板は、連続的にパターニングされる隣接するターゲット部分のネットワークを含むであろう。
【0004】
既知のリソグラフィ装置は、いわゆるステッパを含み、全体のパターンがターゲット部分に一度に露光されることによって各ターゲット部分が照射される。既知のリソグラフィ装置は、いわゆるスキャナを含み、放射ビームを通じてパターンを所定の方向(「スキャン」方向)にスキャンする一方で、この方向に平行または反平行に基板を同期してスキャンすることにより各ターゲット部分が照射される。基板上にパターンをインプリントすることによってもパターニングデバイスから基板にパターンを転写可能である。
【0005】
リソグラフィプロセスをモニタするため、パターニングされた基板のパラメータ、例えば基板内または基板上に形成される連続する層の間のオーバレイ誤差を測定することが必須である。デバイスは、層ごとに積み上げられ、オーバレイは、これらの層を互いの上に正確に印刷するリソグラフィ装置の能力の尺度である。連続する層または同じ層上の複数のプロセスは、前の層に正確にアライメント(位置合わせ)されなければならない。さもなければ、構造間の電気的接触が不良となって製造されるデバイスが仕様通りに機能しなくなるであろう。オーバレイは、このアライメントの精度の尺度である。良好なオーバレイは、デバイスの歩留まりを向上させ、より小さな製品パターンの印刷を可能とする。パターニングされる基板内または基板上に形成される連続する層の間のオーバレイ誤差は、(リソグラフィ装置)の露光装置の様々な部分によって制御される。基板の正しい部分への放射のアライメントを担うのは、そのほとんどがリソグラフィ装置のアライメントシステムである。
【0006】
リソグラフィプロセスで形成される微細構造を測定するための様々な技術が存在し、走査型電子顕微鏡や様々な専用検査装置の使用が含まれる。専用の検査ツールの一形態は、放射のビームを基板の表面上のターゲットに向け、散乱または反射されるビームの特性を測定する散乱計である。基板で反射または散乱される前後のビームの特性を比較することによって基板の様々な特性を決定できる。これは、例えば、既知の基板特性に関連する既知の測定値のライブラリに格納されるデータと反射されるビームを比較することで実行できる。散乱計の主な二つの種類が知られている。分光散乱計は、広帯域の放射ビームを基板に向け、特定の狭い角度範囲内に散乱される放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解散乱計は、単色の放射ビームを使用し、散乱される放射の強度を角度の関数として測定する。この後者のカテゴリに含まれるものは、干渉計の手法であり、放射ビームの回折次数の位相情報を用いる。
【0007】
アライメントマークをスキャンすることは、生のスキャン信号を生じさせる。この信号から、色、次数および偏光ごとのアライメントされた位置といった様々な値が導出されうる。スキャン信号から導出される値の他の例は、Col2Col位置(センサで用いる複数の色の間の位置の差異)ウェハ品質(正規化された回折光パワー、WQ)および多重相関係数(MCC)である。スキャン信号は、信号の周波数特性についての情報を得るため、元の時間領域データにFFTフィッティングしたものを用いて処理される。しかしながら、これらの技術は、アライメントマークの損傷(例えば、(PARIS;Parallel Integrated Lens Interferometer At Scanner)マークの損傷、マーク内のローカル変形、スタック特性)といった様々なアライメントの問題を適切に検出するために単独で用いることはできない。また、アライメントマークの変形は、FFTフィットアルゴリズムとのクロストークを有するであろうアライメントマークの周波数成分が背景成分に含まれるため、アライメントされる位置のシフトを生じさせる可能性がある。
【0008】
顧客のウェハ処理は、アライメントされる位置に影響を与えるマークを横切る変動も生じさせる。例えば、マークのスキャン長にわたる背景信号の変動、または、マークにわたる変形の変動は、アライメント位置誤差につながる可能性のあるマーク非対称性を変化させるかもしれない。
【0009】
したがって、より多くのアライメント誤差を適切に検出することができ、顧客の変更によって生じる変動に対応できるアライメントシステムできるアライメントシステムを提供できることが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、実施の形態の基本的な理解を提供するための一以上の実施の形態の単純化した概要を示す。この概要は、考えられる全ての実施の形態にわたる広範な概略ではなく、全ての実施の形態の主要または重要な要素を特定することを意図しておらず、任意または全ての実施の形態の範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後に示されるより詳細な説明の前置きとして、一以上の実施の形態のいくつかの概念を単純化した形態で提示することである。
【0011】
ローカルカーブフィッティング技術を用いてスキャン信号を特徴付けるおよび解剖(分解)することにより、追加の診断パラメータを、特に局在化した物理的特性についての情報をスキャン信号から抽出できる。これは、スキャナおよびユーザプロセスの制御に計算された値を利用可能とし、したがってユーザにこれらのプロセスを調整する強化された機能を提供するとともに、マーク損傷といったアライメントの問題をスキャナがより適切に診断して全体的なウェハ品質の評価さえも可能にするであろうパラメータを提供する。また、背景信号の影響を除去することを助け、したがって、一つの層または複数の層を構成するパターンのアライメント位置の決定およびオーバレイ精度を改善する。分解パラメータは、信号のローカルマーク変形の補正に用いられ、アライメントされた位置の背景成分によるクロストークを減少させてもよい。これらの能力は、スキャン信号の追加的な処理によって、オフラインまたはインラインのいずれかのファームウェアで、または、ソフトウェアによって、信号取得自体の間に生成または強化される。
【0012】
一つの態様によれば、ウェハ処理をモニタおよび改善するためにローカル情報が用いられる。
【0013】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハの処理を制御する方法が開示される。この装置は、ウェハの部分を少なくとも照明する光源と、部分が光源によって照明されるときに部分からの光を検知し、検知した光を表すスキャン信号を生成するセンサと、スキャン信号を受信するよう構成され、スキャン信号の複数のサンプルのそれぞれについて複数のローカルフィット係数をそれぞれ生成し、複数のローカルフィット係数に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するよう適合するプロセッサと、制御信号に少なくとも部分的に基づいてウェハの処理の少なくとも一つの態様を制御するために制御信号を受信するよう構成されるコントローラと、を備える。態様は、オーバレイアライメントであってもよく、部分は、少なくとも一つのアライメントマークを備えてもよい。態様は、化学機械研磨であってもよく、部分は、化学機械研磨の変動に感受性を有する少なくとも一つのマークを備えてもよい。センサは、対物レンズを有してもよく、プロセッサは、複数のローカルフィット係数のサブセットを少なくとも使用して対物レンズとウェハの反射層の間の距離を決定してもよく、コントローラは、距離に少なくとも基づいて制御信号を生成し、制御信号に少なくとも部分的に基づいて露光フォーカスを制御してもよい。複数のローカルフィット係数は、複数のローカルDCオフセット係数、複数のローカル振幅係数、または、複数のローカルDCオフセット係数および複数のローカル振幅係数のいくつかの組み合わせを備えてもよい。複数のローカル振幅係数は、高速フーリエ変換を用いて計算されてもよい。複数のローカルフィット係数は、複数のローカル位相係数を備えてもよい。複数のローカル位相係数は、ヒルベルト変換を用いて計算されてもよい。複数のローカルフィット係数は、平滑化されてもよい。
【0014】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムが開示される。ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含む。このシステムは、マークを照明する光源と、マークが光源によって照明されるときにマークからの光を検知し、マークからの光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、信号を受信するよう構成され、信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成するよう適合するプロセッサと、を備え、リソグラフィ装置は、少なくとも一つのローカルフィット係数を用いてウェハのアライメントを調整するよう適合する。マークは、透過型であってもよい。マークは、反射型であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルFFTフィット係数であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、平滑化されてもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルDCオフセットフィット係数であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルヒルベルト変換フィット係数であってもよい。プロセッサは、信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数のそれぞれを生成して複数のローカルフィット係数を生成し、複数のフィット係数をアライメント信号から減算して残差信号を生成するよう適合されてもよく、リソグラフィ装置は、残差信号を用いてウェハのアライメントを調整するよう適合してもよい。プロセッサは、少なくとも一つのローカルフィット係数を用いてマークの変形を決定するよう適合してもよい。プロセッサは、少なくとも一つのローカルフィット係数を使用し、マークの単一スキャンに基づく信号のサブセグメントごとのローカル位相を評価することによって高空間周波数グリッド成分を決定するよう適合してもよい。
【0015】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムが開示される。ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含む。このシステムは、マークを照明する光源と、マークが光源によって照明されるときにマークからの光を検知し、マークからの光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、信号を受信するよう構成され、信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルFFTフィット係数のそれぞれを生成して複数のサンプルについて対応する複数のローカルFFTフィット係数を生成し、信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルDCフィット係数のそれぞれを生成して複数のサンプルについて対応する複数のローカルDCフィット係数を生成し、各サンプルについて複数のローカルFFTフィット係数の各一つおよび複数のローカルDCフィット係数の各一つをサンプルについてのアライメント信号から減算して複数のサンプルについて残差信号を取得するよう適合するプロセッサと、を備え、リソグラフィ装置は、残差信号を用いてウェハのアライメントを調整するよう適合する。
【0016】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハを処理する方法が開示される。この方法は、ウェハの部分を光源を用いて照明するステップと、部分が光源によって照明されるときに部分からの光を検知するステップと、検知した光を表すスキャン信号を生成するステップと、スキャン信号の複数のサンプルのそれぞれについて複数のローカルフィット係数をそれぞれを生成するステップと、複数のローカルフィット係数に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するステップと、制御信号に少なくとも部分的に基づいてウェハの処理の少なくとも一つの態様を制御するステップと、を備える。少なくとも一つの態様は、オーバレイアライメントであってもよく、部分は、少なくとも一つのアライメントマークを備えてもよい。少なくとも一つの態様は、化学機械研磨であってもよく、部分は、化学機械研磨の変動に感受性を有する少なくとも一つのマークを備えてもよい。センサは、対物レンズを有してもよく、プロセッサは、複数のローカルフィット係数のサブセットを少なくとも使用して対物レンズとウェハの反射層の間の距離を決定してもよく、コントローラは、距離に少なくとも基づいて制御信号を生成し、制御信号に少なくとも部分的に基づいて露光フォーカスを制御してもよい。複数のローカルフィット係数は、複数のローカルDCオフセット係数を備えてもよい。複数のローカルフィット係数は、複数のローカル振幅係数を備えてもよい。複数のローカル振幅係数は、高速フーリエ変換を用いて計算されてもよい。複数のローカルフィット係数は、複数のローカル位相係数を備えてもよい。複数のローカル位相係数は、ヒルベルト変換を用いて計算されてもよい。
【0017】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハをアライメントする方法が開示される。ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、この方法は、マークを光源を用いて照明するステップと、マークが光源によって照明されるときにマークからの光を検知するステップと、マークからの光を表すアライメントスキャン信号を生成するステップと、信号に基づいて、信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成するステップと、ウェハのアライメントを調整するために少なくとも一つのローカルフィット係数を使用するステップと、を備える。マークは、透過型であってもよい。マークは、反射型であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルFFTフィット係数であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、平滑化されたローカルFFTフィット係数であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルDCオフセットフィット係数であってもよい。少なくとも一つのフィット係数は、ローカルヒルベルト変換フィット係数であってもよい。信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成して複数のローカルフィット係数を生成するステップと、複数のフィット係数をアライメント信号から減算して残差信号を生成するステップと、をさらに備え、使用するステップは、ウェハのアライメントを調整するために残差信号を使用することを備えてもよい。使用するステップは、マークの変形を決定するために少なくとも一つのローカルフィット係数を使用することを備えてもよい。使用するステップは、マークの単一スキャンに基づく信号のサブセグメントごとのローカル位相を評価することによって高空間周波数グリッド成分を決定するために少なくとも一つのローカルフィット係数を使用することを備えてもよい。
【0018】
別の態様によれば、リソグラフィ装置内でウェハをアライメントする方法が開示される。ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、この方法は、マークを照明するステップと、マークが照明されるときにマークからの光を検知するステップと、マークからの光を表すアライメントスキャン信号を生成するステップと、アライメントスキャン信号に基づいて、信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルFFTフィット係数をそれぞれ生成して複数のサンプルについて対応する複数のローカルFFTフィット係数を生成し、信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルDCフィット係数をそれぞれ生成して複数のサンプルについて対応する複数のローカルDCフィット係数を生成するステップと、各サンプルについて、複数のローカルFFTフィット係数の各一つおよび複数のローカルDCフィット係数の各一つをサンプルのアライメント信号から減算して複数のサンプルについて残差信号を取得するステップと、残差信号を用いてウェハのアライメントを調整するステップと、を備える。
【0019】
本発明のさらなる実施の形態、特徴および利点は、様々な実施の形態の構造および動作とともに、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施の形態の方法およびシステムを例示を目的として示すものであり、限定を目的として示すものではない。詳細な説明とともに、図面は、さらに、本書に提示される方法およびシステムの原理を説明し、当業者が実施可能とするためために役立つ。図面において、同様の参照符号は、同一または機能的に類似する要素を示す。
【0021】
図1】本書に開示される実施の形態の態様にしたがって利用可能なフォトリソグラフィシステムの概略図である。
【0022】
図2図1のフォトリソグラフィシステムのスキャンする部分の概略図である。
【0023】
図3図1のフォトリソグラフィシステムの代替的なスキャンする部分の概略図である。
【0024】
図4】本書に開示される実施の形態の態様に係るウェハをアライメントする方法のフローチャートである。
【0025】
図5A】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
図5B】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
【0026】
図6A】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
図6B】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
【0027】
図7】本書に開示される実施の形態の態様に係るウェハをアライメントする方法のフローチャートである。
【0028】
図8A】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
図8B】本書に開示される実施の形態の特定の態様を示すグラフである。
【0029】
図9】本書に開示される実施の形態の態様にしたがって使用可能なプロセッサシステムの概略図である。
【0030】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の様々な実施の形態の構造および動作とともに、添付の図面を参照しながら以下に詳細に記載される。本発明は、本書に記載される特定の実施の形態に限定されないことに留意されよう。このような実施の形態は、本書において例示を目的としてのみ提示される。追加の実施の形態は、本書に含まれる教示に基づけば、関連する分野の当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、様々な実施の形態を図面を参照して説明するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明を目的として、一以上の実施の形態の完全な理解を促進するために多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、一部の例または全ての例において、以下に説明される特定のデザインの詳細を採用することなく、以下に説明される任意の実施の形態が実施可能であることは明らかであるかもしれない。他の例では、一以上の実施の形態の説明を助けるために、周知の構造およびデバイスがブロック図の形態で示される。以下は、実施の形態の基本的な理解を提供するために一以上の実施の形態の簡略化された概要を提示する。この概要は、考えられる全ての実施の形態にわたる広範な概略ではなく、全ての実施の形態の主要または重要な要素を特定することも、いずれかまたは全ての実施の形態の範囲を線引きすることも意図していない。
【0032】
本発明の実施の形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。本発明の実施の形態はまた、機械可読媒体に格納される指令として実装されてもよく、一以上のプロセッサによって読み取られ、実行されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、ソリッドステートメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスを含んでもよく、電気的、光学的、音響的、またはその他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、およびその他を含んでもよい。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および指令は、特定のアクションを実行するものとして本書で説明されうる。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、指令などを実行する他のデバイスから生じることを理解されたい。
【0033】
しかしながら、そのような実施の形態を詳細に説明する前に、本発明の実施の形態を実施しうる例示的な環境を示すことが有益である。以下の説明および請求項において、「上」「下」「上部」「下部」「縦」「水平」などの用語を用いるかもしれない。これらの用語は、相対的な方向を示すことのみを意図し、重力に関する方向を示すことを意図していない。
【0034】
図1は、リソグラフィ装置を概略的に描く。装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAをサポートするよう構築され、パターニングデバイスを特定のパラメータにしたがって正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、基板を特定のパラメータにしたがって正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、パターニングデバイスMTによって放射ビームに付与されるパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを備える)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PLとを備える。
【0035】
照明システムは、放射を方向付け、整形し、または制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型または他の種類の光学素子またはこれらの任意の組み合わせといった様々な種類の光学素子を含んでもよい。
【0036】
サポート構造は、パターニングデバイスをサポートする、つまり、その重さに耐える。それは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置のデザイン、および、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否かといった他の条件に応じた方法でパターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式または他の固定技術を用いてパターニングデバイスを保持できる。サポート構造は、必要に応じて固定または可動でありうるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを確実にしてもよい。本書での「レチクル」または「マスク」の用語の任意の使用は、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義とみなされてもよい。
【0037】
本書で用いる「パターニングデバイス」の用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するようなパターンを放射ビームの断面に付与するために使用できる任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分の所望のパターンに完全に一致しなくてもよいことが留意されよう。たいていの場合、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路といったターゲット部分に生成されるデバイスの具体的な機能層に対応するであろう。
【0038】
パターニングデバイスは、透過型または反射型であってもよい。パターニングデバイスの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクは、リソグラフィにおいて周知であり、バイナリ、レベンソン型位相シフト、ハーフトーン型位相シフトおよび様々なハイブリッド型のマスク種類を含む。プログラマブルミラーアレイの例は、小さな鏡のマトリックス配置を採用し、各ミラーが入射する放射ビームを異なる方向に反射させるように個別に傾けることができる。傾いた鏡は、ミラーマトリックスに反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0039】
本書で用いる「投影システム」の用語は、用いる露光放射や、液浸液の使用や真空の使用といった他の要素に適切であれば、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型および静電型の光学システムまたはこれらの任意の組み合わせを含む任意の種類の投影システムを包含するものと広く解釈されるべきである。本書の「投影レンズ」の用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「投影システム」と同義とみなされてよい。
【0040】
図示されるように、装置は透過型である(例えば透過型マスクを用いる)。代替的に、装置は反射型であってもよい(例えば、上述のような種類のプログラマブルミラーアレイを用いる、または、反射型マスクを用いる)。
【0041】
リソグラフィ装置は、二つの基板テーブル(デュアルステージ)またはそれより多い基板テーブル(および/または二以上のマスクテーブル)を有する種類であってもよい。このような「マルチステージ」の機械において、追加のテーブルが並行して用いられてもよく、または、準備ステップが一以上のテーブルで実行される間、一以上の他のテーブルが露光のために用いられてもよい。
【0042】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも部分が比較的高い屈折率を有する液体、例えば水によって被覆され、投影システムと基板の間のスペースを満たされるような種類であってもよい。液浸液は、リソグラフィ装置内の他のスペース、例えばマスクと投影システムの間にも適用されてよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増大させるために当技術分野で周知である。本書で用いる「液浸」の用語は、基板などの構造が液体中に水没しなければならないことを意味するのではなく、むしろ、液体が投影システムと基板の間に露光中に位置することのみを意味する。
【0043】
図1を再び参照すると、イルミネータILは、放射源SOからの放射ビームを受ける。放射源およびリソグラフィ装置は、別々の物体であってもよく、例えば放射源がエキシマレーザの場合である。このような場合、放射源は、リソグラフィ装置の部分を形成するとみなされず、放射ビームは、放射源SOからイルミネータILに向けて、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムBDの助けを借りて進む。別の場合では、放射源がリソグラフィ装置の一体的な部分を形成してもよく、例えば放射源が水銀ランプの場合である。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと称されてもよい。
【0044】
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。たいていの場合、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、σアウタおよびσインナとそれぞれ呼ばれる)を調整できる。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといった様々な他の構成要素を備えてもよい。イルミネータは、ビーム断面に所望の均一性および強度分布を有するように放射ビームを調整するために用いられてもよい。
【0045】
放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン化される。マスクMAを横切ると、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる投影システムPLを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダまたは静電容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、放射ビームBの経路内に異なるターゲット部分Cが位置するように正確に移動することができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(これは図1に明示されていない)は、マスクライブラリからの機械検索後またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために用いることができる。たいていの場合、マスクテーブルMTの動きは、第1位置決め装置PMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微細位置決め)の助けを借りて実現されてもよい。同様に、基板テーブルWTの動きは、第2位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現されてもよい。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTがショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよいし、または、固定されていてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1,M2および基板アライメントマークP1,P2を用いてアライメントされてもよい。図示される基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占めているが、これらはターゲット部分の間に位置してもよい(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られる)。同様に、二以上のダイがマスクMAに設けられる場合、マスクアライメントマークは、ダイの間に位置してもよい。ウェハは、例えばウェハ製造のステップとして用いられる化学機械平坦化(CMP)の変動に感受性を有するマークといった追加のマークを含んでもよい。
【0046】
図2は、本発明に使用されうる散乱計SM1を描く。これは、基板Wに放射を投影する広帯域(白色光)放射投影器20を備える。反射した放射は、鏡面反射した放射のスペクトル24(波長の関数としての強度)を測定する分光計検出器22に向けて進む。このデータから、検出されるスペクトルを生じさせる構造またはプロファイルが処理ユニットPUによって例えば厳密結合波分析および非線形回帰により、または、図2の下部に示されるシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により再構築される。一般に、再構築の場合、構造の一般的な形状が既知であり、いくつかのパラメータが構造を作成したプロセスの知見から仮定され、散乱計測データから決定されるべき構造のわずかなパラメータのみが残る。このような散乱計は、法線入射散乱計または斜め入射散乱計として構成されてもよい。
【0047】
本発明とともに使用されうる別の散乱計SM2は、図3に示される。このデバイスでは、放射源2によって出射される放射は、レンズシステム30を用いて干渉フィルタ32および偏光子34を介して集束され、部分反射面36により反射され、好ましくは少なくとも0.9、より好ましくは少なくとも0.95の高開口数(NA)を有する顕微鏡対物レンズ38を通じて基板Wに集束される。液浸散乱計は、1を超える開口数のレンズを有してもよい。反射した放射は、その後、部分反射面36を通って散乱スペクトルを検出するために検出器40に向かう。検出器は、レンズシステム38の焦点距離に位置する逆投影瞳面42に配置されうるが、瞳面は、代わりに補助光学系(図示せず)を用いて検出器に再結像されてもよい。瞳面は、放射の径方向位置が入射角を規定し、角度位置が放射の方位角を規定する平面である。検出器は、基板ターゲット44の二次元角度散乱スペクトルを測定できるように二次元検出器であることが好ましい。検出器40は、例えば、CCDまたはCMOSセンサのアレイであってもよく、例えばフレーム毎に40ミリ秒の積分時間を用いてもよい。
【0048】
参照ビームは、例えば入射する放射の強度を測定するためにしばしば用いられる。このために、放射ビームがビームスプリッタ36に入射すると、その一部はビームスプリッタを透過して参照ビームとして参照ミラー46に向かう。参照ビームは、その後、同じ検出器40の異なる部分に投影される。
【0049】
干渉フィルタのセットは、例えば405-790nmまたは200-300nmなどのより短い関心のある波長の波長を選択するために利用可能であってもよい。干渉フィルタは、異なるフィルタのセットを備えることなく波長を調整可能であってもよい。グレーティングは、干渉フィルタの代わりに用いることができる。
【0050】
検出器40は、散乱光の強度を単一波長(または狭い波長範囲)で測定してもよいし、強度を複数の波長で別々に測定してもよいし、ある波長範囲にわたって積分された強度を測定してもよい。さらに、検出器は、横磁場(TM)および横電場(TE)偏光の強度を別々に測定してもよいし、および/または、横磁場(TM)と横電場(TE)偏光の間の位相差を測定してもよい。
【0051】
広帯域光源(つまり、幅広い光周波数または波長、したがって色を有するもの)を用いることも可能であり、これは大きなエタンデュ(立体角)を与え、複数波長の混合を可能にする。広帯域における複数の波長は、好ましくはそれぞれがΔλの帯域幅と少なくとも2Δλ(つまり帯域幅の2倍)の間隔を有する。放射のいくつかの「光源」は、ファイバ束を用いて分割される拡張放射源の異なる部分であることができる。このようにして、角度分解散乱スペクトルは、複数の波長で並行して測定されることができる。3Dスペクトル(波長および二つの異なる角度)を測定することができ、これは2Dスペクトルよりも多くの情報を含む。これは、より多くの情報の測定を可能にし、計測プロセスの安定性(ロバスト性)を増大させる。これは、EP1,628,164Aにより詳細が説明され、その全体が本書に参照により組み込まれる。
【0052】
基板W上のターゲット30は、例えば、(a)現像後にバーが固いレジストの線で形成されるように印刷されるレジスト層グレーティングであってもよいし、または(b)製品層グレーティングであってもよいし、または(c)製品層グレーティングの上または間に設けられるレジストグレーティングを備えるオーバレイターゲット構造内の複合グレーティングスタックであってもよい。バーは、代替的に基板に彫り込まれてもよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置(特に投影システムPL)の色収差に影響され、照明対称性およびこのような収差の存在自体は、印刷されるグレーティングの変動(ばらつき)として現れるであろう。したがって、印刷されるグレーティングの散乱計データは、グレーティングの再構築に用いられる。グレーティングの線幅や形状といったパラメータは、印刷ステップおよび/または他の散乱計測プロセスの知見に基づいて処理ユニットPUによって実行される再構築プロセスに入力されうる。
【0053】
言い換えれば、強力な光源がレチクル上のマークを通過する光を放射する。光は、TISまたはPARISプレートなどのマーク中のグレーティングに到達する。例えば、ASMLPAS5500は、回折グレーティングであるウェハアライメントマークを用いる。xおよびy方向の双方にマークが存在する。これらのマークは、HeNeレーザを用いて632.8nm付近の単一波長で照明される。反射波は、センサ上に合焦する輝線および暗線の回折パターンを示す。ステージは、センサと一致する最適位置を学習するためにわずかに移動し、ステージ位置は、光学コラムの中心の下にダイを位置させるためのステージ位置を計算するために用いられる。
【0054】
データは、例えば任意の種類のアライメントセンサを用いて取得することができ、例えば、US特許第6,961,116(その全体が本書に参照により組み込まれる)に記載されるような、単一の検出器および四つの異なる波長を有する自己参照干渉計を用いてアライメント信号をソフトウェアで抽出するSMASH(SMart Alignment Sensor Hybrid)センサ、または、US特許第6,297,826(その全体が本書に参照により組み込まれる)に記載されるような、7個の回折次数のそれぞれを専用の検出器に向けるATHENA(Advanced Technology using High order ENhancement of Alignment)を用いることができる。
【0055】
生のスキャン信号は、スキャンされた表面についての情報を抽出するために処理されてもよい。例えば、FFTカーブフィッティングは、周波数データを抽出するために用いられてもよい。この周波数データは、いくつかの目的で用いてもよいが、アライメント信号中の追加の構造および成分を特徴付けることおよび分解することは、追加の目的に利用できる追加のデータを提供できる。特に、追加の関連するデータを得るためにローカルフィッティングが用いられてもよい。以下は、アライメント信号中の追加の構造および成分を特徴付けるおよび分解する方法の具体例であり、FFT信号のヒルベルト変換の使用を含む。しかしながら、代替的に、例えば、信号をフーリエ空間で特徴付けるおよび/または分解することも可能であることに留意されたい。
【0056】
より具体的には、ローカル(局所的)な特徴付けおよび分解は、例えば、局所加算的な背景(ローカルDCオフセットまたはDC成分)、乗算的分解(ローカル瞬時振幅)およびローカル位相変動のいずれか一つまたはその組み合わせを決定することを含んでもよい。ローカルDC成分およびローカル振幅に関して、生のアライメント信号から周期信号を抽出するためにFFTフィットを実行できる。次に、FFTの結果とDC成分が局所的に、つまりサンプルの近傍でフィッティングされる。これは、例えば、各サンプルがそれぞれの近傍で1周期(約14サンプル)を取るように各サンプルについて繰り返される。次に、フィッティングされたFFTの結果およびDC成分は、生のアライメント信号から減算されてもよい。減算の結果である残差信号は、マーク位相変動の範囲内での顕著な構造を示す。ローカル位相を含むために、ローカルDC成分およびローカルFFTフィットは、各サンプル点の近傍の1周期について評価される。局在化したFFTフィットは、1次、2次、3次およびN次までの信号を含むであろう。次に、ヒルベルト変換がFFTフィットに対して実行される。理解されるように、操作は、FFTフィットにおける90度の位相シフトと実質的に同じである。
【0057】
フーリエ変換は、複素数である。任意の実数信号を変換すると、複素数の係数のセットが生じるであろう。複素数は、基本的に2Dベクトルであり、振幅と位相角度の二つの要素を有することを意味する。振幅は、周波数を通じて信号エネルギーの分布についての情報を伝える。しかしながら、全ての信号は位相スペクトルも有し、位相は、時間を通じて信号エネルギーの分布を符号化する。ヒルベルト変換は、信号に90度の位相シフトを生成する線形演算子である。これは、時系列の瞬時的な属性、特に振幅と周波数の計算に役立つ。瞬時振幅は、複素ヒルベルト変換の振幅である。瞬時周波数は、瞬時位相角度の時間変化率である。瞬時位相は、ローカル位相角度が1サイクルにわたって線形的に変化する様を反映している。
【0058】
ある例によれば、図4に示されるように、最初にステップS10にてFFTフィットを実行して全てのアライメント次数の位相および強度を決定し、周期信号を抽出する。次に、ステップS12にて、アライメント信号のパラメータ(例えば、振幅、オフセット、位相またはこれらの組み合わせ)は、アライメント信号に基づいてサンプルごとに局所的に評価される。図に示される例において、パラメータは、局在化したFFT(振幅)および局在化したDCオフセットである。これは、評価すべきサンプルの近傍でXサンプルを取得する回帰分析により実行されてもよく、ここでXは約1アライメント周期である。次にステップS14にて、局在化したパラメータをアライメント信号から減算して差分信号を取得する。
【0059】
図5Aおよび図5Bは、ローカルフィッティングの結果を示す。図5Aは、生のアライメント信号50を示す。サンプルは、生信号からおおよそ1アライメント周期である区間52にわたって評価される。図5Bのカーブ56は、区間にわたるローカルFFTフィッティングの結果を示す。図5Bのカーブ58は、区間にわたるローカルDC成分の結果を示す。図5Bのカーブ60は、後述するように、区間にわたるローカルFFTフィッティングの平滑化(高周波成分を除去)した結果を示す。図6Aおよび図6Bは、DCオフセット(上側のカーブ)およびFFTフィット係数(下側のカーブ)について計算したローカルフィット係数の例を示す。図6Bは、これらのカーブをアライメント信号から減算した結果である残差信号を示す。
【0060】
ローカル位相を計算することもでき、局在化したフィット(適合値)を組み合わせて用いることもできる。この例は、図7に示される。上述のように、最初にステップS10にてFFTフィットを実行して全てのアライメント次数の位相および強度を決定する。次にステップS12にてアライメント信号の三つの局在化したパラメータ(オフセット、振幅および位相)がアライメント信号についてサンプルごとに局所的に評価される。言い換えれば、三つのパラメータの全てが信号の各局所部分に合わせてフィッティングされ、これらはDCオフセット、信号振幅および信号位相である(FFTフィット結果およびそのヒルベルト変換を局所的に取ることによる)。FFTフィット部分のフィット係数およびそのヒルベルト変換は、次に、cos+sinフィットと同様、位相および振幅部分に変換される。ここで、位相は純粋なサイン波に近くなる。結果は、次にアライメント信号から減算され、ステップS14にて残差信号が得られてもよい。
【0061】
図8Aは、FFTフィット信号のヒルベルト変換部分を用いる位相成分をフィッティングしていない残差信号の例を示し、図8Bは、位相フィットの結果を減算した残差信号の例を示す。
【0062】
フィット係数を多数のサンプル、例えばアライメント周期にわたって平滑化することは有利であるかもしれない。顕著な情報を失うことを心配することなく、アライメント周期よりも小さな区間にわたって平滑化することもできる。なぜなら、アライメント周期よりも小さい周期を有する信号中の高周波成分は、位相、オフセットまたは位相に帰することができないからである。例えば、フィット係数は、Sサンプルにわたって平滑化されてもよく、ここでSは約14である。信号が複数の周波数(アライメント次数)を含む場合、位相のヒルベルト変換近似は、その次数を混同するであろうことに留意されたい。次数ごとの位相の個別のフィッティングは、フィット(適合値)におけるより高い誤差伝搬を犠牲にすることで可能となるかもしれない。
【0063】
まれに、FFTフィットとヒルベルト成分を平滑化すると、残差にDC成分が生じる可能性がある。これは、残差を2×Sのサンプルで平滑化し、平滑化した残差をDC成分に加えることで解消されうる。
【0064】
決定したローカルオフセット、振幅および/または位相は、重要な性能指標を決定するためにさらに特徴付けられることができる。このような指標は、信号対雑音比、n次までのフィッティング背景成分の多項式係数、および、完全なマークに対する背景成分およびノイズ残差の影響をシミュレーションすることによるナノメータレベルの精度への影響を含んでもよい。各指標は、複数の色/次数/偏光間の差を取る変数を有してもよい。
【0065】
このような重要な性能指標を取得する能力は、スキャナおよび製品の性能のモニタに有益である。顧客のプロセスにおいて、これらの指標を設計段階で評価して、所与のプロセスで使用する最適なアライメントマークを選択してもよいし、大量生産中に製品を一度にモニタしてもよい。アライメント信号の背景成分の変化は、例えば、制御ループを持つPARISプレートが、任意の変化が依然として制御リミット内にあるかどうか、または、PARISセンサを交換する必要があるかを確認するために追跡されることもできる。
【0066】
したがって、一態様によれば、フィット残差中の信号構造は、スキャナおよびユーザプロセスの双方の診断および制御に用いることのできる様々な性能指標を導出するために用いられる。一例によれば、ローカルオフセット、振幅および位相(またはこれらの任意の組み合わせ)を測定信号中の各サンプルについてフィッティングすることにより分解が決定され、それらの係数は、スキャナおよびユーザプロセスの双方を制御するための診断目的で使用されるであろう。また、アライメント信号は、背景成分からアライメントされる位置へのクロストークを低減することにより補正されることができる。
【0067】
十分なコヒーレンス長を持つ光源(緑)からの加算的および乗算的な背景中の特定のフィーチャの位相成分は、センサの対物レンズとウェハスタック中の反射層の間のZ高さを決定するために用いることができ、レベルセンサや気圧計などからの既存の測定値に加えて、独立した高さ測定値を提供する。緑レーザは、特定のウェハ上で周期的な背景成分を有することが示されている。Z高さは、例えばフィードバックループ中で、例えば露光フォーカスを制御するために用いることができる。この方法でZ高さを推測するには、マークの水平スキャンとともに縦スキャンの動きがなされることが必要である。
【0068】
また、マーク変形の影響は、色間および偏光間で分解成分の差異を評価することにより、マークスキャン長にわたって測定されることができる。これは、大きな共通の背景成分が存在するため、特定の擾乱に対してより高い精度を提供する可能性がある。
【0069】
高空間周波数グリッド成分は、マークの単一スキャンからの信号のサブセグメントごとにローカル位相を評価することによって測定されうる。これは、システムグリッド成分や高周波数フィールド内製品影響を評価するために用いることができる。十分に強力なプロセッサは、スループットやタイミングのペナルティを発生させることなく必要な計算を実行でき、この場合、全てのアライメントスキャンにおいて全ての診断を利用可能となるであろう。これにより、既存のシーケンスに影響を与えることなく、各ウェハについて大量の診断データを生成することが可能となる。
【0070】
上述のシステムは、オーバレイアライメントの改善のみに利用できるのではなく、たいていの場合、スキャナ性能の診断、モニタおよび/または調整にも利用できる。システムは、モニタおよび報告ができる。スキャンから導出される局在化したフィットデータは、既知の条件での局在化したフィットデータと比較して、必要となる調整を確認することができる。ある例として、大きな乗算的(振幅)成分を有するローカルフィットデータは、欠陥のあるアライメントマークを示すことが先験的に知られうる。アライメントマークの複数のセットを有するウェハの場合、ローカルフィットデータは、いずれのセットのマークを使用すべきかを決定するために利用できる。ウェハのターゲット部分は、アライメントマークとは異なるマークまたは構造を含むことがある。このようなマークからのローカルフィットデータを導出することは、他のプロセスを特徴付けることに利用でき、または、ウェハ品質の指標として利用できる。特定の例で使用するため、マークはCMP処理ステップ中の偏差に特に感受性を有するものとすることができ、そのマークのスキャンから導出されるローカルフィットデータは、製造プロセスのCMP部分が許容可能なパラメータで実行されたか否かの指標として利用できるであろう。ローカルフィットデータは、CMPまたはウェハ処理のいくつかの他の態様を制御するフィードバックループ中のフィードバックパラメータを生成するために利用できるであろう。
【0071】
また、単一スキャンからのローカルフィットデータは、複数の目的で利用できる。例えば、スキャンの最初の部分からのローカルフィットデータは、マーク位置したがってオーバレイを決定するために利用できる一方、スキャンの後の部分から導出されるローカルフィットデータは、ウェハ品質の尺度を得るために利用できる。
【0072】
上述のプロセスは、図9に示されるような一以上のコンピュータアセンブリ内に実装されてもよい。コンピュータアセンブリ90は、専用のプロセッサであってもよいし、または、代替的にリソグラフィ装置を制御する中央コンピュータであってもよい。コンピュータアセンブリ90は、コンピュータが実行可能なコードを備えるコンピュータプログラム製品をロードするよう構成されてもよい。これは、コンピュータプログラム製品がダウンロードされたときに、コンピュータアセンブリ90がリソグラフィ装置および検査装置の上述の使用を制御することを可能にしてもよい。
【0073】
プロセッサ94に接続されるメモリ92は、ハードディスク96、読み取り専用メモリ(ROM)98、電気的に消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)100またはランダムアクセスメモリ(RAM)102を備えてもよい。上述の全てのメモリ要素が存在しなくてもよい。さらに、上述のメモリ要素は、プロセッサ94に物理的に近接していなくてもよく、または、互いに物理的に近接していなくてもよい。これらは、離れて配置されてもよい。
【0074】
プロセッサ94は、キーボード104またはマウス106などのいくつかの種類のユーザインターフェースに接続されてもよい。タッチスクリーン、トラックボール、音声変換装置または当業者に知られている他のインターフェースが用いられてもよい。
【0075】
プロセッサ94は、読み取りユニット108に接続されてもよく、これは、フロッピーディスク110またはCDROM112などのデータ担体から、例えばコンピュータが実行可能なコードの形式でデータを読み取り、ある状況下においてデータを格納するよう構成される。また、DVD、フラッシュドライブまたは当業者に知られている他のデータ担体が利用されてもよい。
【0076】
プロセッサ94は、出力データを紙に出力するプリンタ114に接続されてもよいし、ディスプレイ116、例えば、モニタ、LCD(液晶ディスプレイ)または当業者に知られている任意の他の種類のディスプレイに接続されてもよい。
【0077】
プロセッサ94は、通信ネットワーク118、例えば公衆交換電話網(PSTN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)などに、入出力(I/O)を担う送受信装置120を用いて接続されてもよい。プロセッサ94は、通信ネットワーク118を通じて他の通信システムに接続されるよう構成されてもよい。本発明のある実施の形態において、外部コンピュータ(不図示)、例えばオペレータのパソコンがプロセッサ94に通信ネットワーク118を通じてログインできる。
【0078】
プロセッサ94は、独立したシステムとして実行されてもよいし、並列動作する多数の処理ユニットとして実装され、各処理ユニットがより大きなプログラムのサブタスクを実行するよう構成されてもよい。処理ユニットは、いくつかのサブ処理ユニットを持つ一以上のメイン処理ユニットに分解されていてもよい。プロセッサ94の一部の処理ユニットは、他の処理ユニットから離れて配置され、通信ネットワーク118を通じて通信してもよい。
【0079】
実施の形態は、以下の項を用いてさらに記述されてもよい。
(項1)リソグラフィ装置内でウェハの処理を制御する装置であって、前記装置は、
前記ウェハの部分を少なくとも照明する光源と、
前記部分が前記光源によって照明されるときに前記部分からの光を検知し、前記検知した光を表すスキャン信号を生成するセンサと、
前記スキャン信号を受信するよう構成され、前記スキャン信号の複数のサンプルのそれぞれについて複数のローカルフィット係数をそれぞれ生成し、前記複数のローカルフィット係数に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するよう適合するプロセッサと、
前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて前記ウェハの処理の少なくとも一つの態様を制御するために前記制御信号を受信するよう構成されるコントローラと、を備える装置。
(項2)前記少なくとも一つの態様は、オーバレイアライメントであり、前記部分は、少なくとも一つのアライメントマークを備える、項1に記載の装置。
(項3)前記少なくとも一つの態様は、化学機械研磨であり、前記部分は、化学機械研磨の変動に感受性を有する少なくとも一つのマークを備える、項1に記載の装置。
(項4)前記センサは、対物レンズを有し、前記プロセッサは、前記複数のローカルフィット係数のサブセットを少なくとも使用して前記対物レンズと前記ウェハの反射層の間の距離を決定し、
前記コントローラは、前記距離に少なくとも基づいて前記制御信号を生成し、前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて露光フォーカスを制御する、項1に記載の装置。
(項5)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカルDCオフセット係数を備える、項1に記載の装置。
(項6)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル振幅係数を備える、項1に記載の装置。
(項7)前記複数のローカル振幅係数は、高速フーリエ変換を用いて計算される、項6に記載の装置。
(項8)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル位相係数を備える、項1に記載の装置。
(項9)前記複数のローカル位相係数は、ヒルベルト変換を用いて計算される、項8に記載の装置。
(項10)前記複数のローカルフィット係数は、平滑化されている、項1に記載の装置。
(項11)リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムであって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記システムは、
前記マークを照明する光源と、
前記マークが前記光源によって照明されるときに前記マークからの光を検知し、前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、
前記信号を受信するよう構成され、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成するよう適合するプロセッサと、を備え、
前記リソグラフィ装置は、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合する、システム。
(項12)前記マークは、透過型である、項11に記載のシステム。
(項13)前記マークは、反射型である、項11に記載のシステム。
(項14)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルFFTフィット係数である、項11に記載のシステム。
(項15)前記少なくとも一つのフィット係数は、平滑化されている、項11に記載のシステム。
(項16)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルDCオフセットフィット係数である、項11に記載のシステム。
(項17)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルヒルベルト変換フィット係数である、項11に記載のシステム。
(項18)前記プロセッサは、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成して複数のローカルフィット係数を生成し、前記複数のフィット係数を前記アライメント信号から減算して残差信号を生成するよう適合され、
前記リソグラフィ装置は、前記残差信号を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合する、項11に記載のシステム。
(項19)前記プロセッサは、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を用いて前記マークの変形を決定するよう適合する、項11に記載のシステム。
(項20)前記プロセッサは、前記少なくとも一つのローカルフィット係数を使用し、前記マークの単一スキャンに基づく前記信号のサブセグメントごとのローカル位相を評価することによって高空間周波数グリッド成分を決定するよう適合する、項11に記載のシステム。
(項21)リソグラフィ装置内でウェハをアライメントするシステムであって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記システムは、
前記マークを照明する光源と、
前記マークが前記光源によって照明されるときに前記マークからの光を検知し、前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するセンサと、
前記信号を受信するよう構成され、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルFFTフィット係数をそれぞれ生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルFFTフィット係数を生成し、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルDCフィット係数をそれぞれ生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルDCフィット係数を生成し、各サンプルについて前記複数のローカルFFTフィット係数の各一つおよび前記複数のローカルDCフィット係数の各一つを前記サンプルの前記アライメント信号から減算して前記複数のサンプルについて残差信号を取得するよう適合するプロセッサと、を備え、
前記リソグラフィ装置は、前記残差信号を用いて前記ウェハのアライメントを調整するよう適合する、システム。
(項22)リソグラフィ装置内でウェハを処理する方法であって、
前記ウェハの部分を光源を用いて照明するステップと、
前記部分が前記光源によって照明されるときに前記部分からの光を検知するステップと、
前記検知した光を表すスキャン信号を生成するステップと、
前記スキャン信号の複数のサンプルのそれぞれについて複数のローカルフィット係数をそれぞれを生成するステップと、
前記複数のローカルフィット係数に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するステップと、
前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて前記ウェハの処理の少なくとも一つの態様を制御するステップと、を備える方法。
(項23)前記少なくとも一つの態様は、オーバレイアライメントであり、前記部分は、少なくとも一つのアライメントマークを備える、項22に記載の方法。
(項24)前記少なくとも一つの態様は、化学機械研磨であり、前記部分は、化学機械研磨の変動に感受性を有する少なくとも一つのマークを備える、項22に記載の方法。
(項25)前記センサは、対物レンズを有し、前記プロセッサは、前記複数のローカルフィット係数のサブセットを少なくとも使用して前記対物レンズと前記ウェハの反射層の間の距離を決定し、前記コントローラは、前記距離に少なくとも基づいて前記制御信号を生成し、前記制御信号に少なくとも部分的に基づいて露光フォーカスを制御する、項22に記載の方法。
(項26)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカルDCオフセット係数を備える、項22に記載の方法。
(項27)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル振幅係数を備える、項22に記載の方法。
(項28)前記複数のローカル振幅係数は、高速フーリエ変換を用いて計算される、項27に記載の方法。
(項29)前記複数のローカルフィット係数は、複数のローカル位相係数を備える、項22に記載の方法。
(項30)前記複数のローカル位相係数は、ヒルベルト変換を用いて計算される、項29に記載の方法。
(項31)リソグラフィ装置内でウェハをアライメントする方法であって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記方法は、
前記マークを光源を用いて照明するステップと、
前記マークが前記光源によって照明されるときに前記マークからの光を検知するステップと、
前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するステップと、
前記信号に基づいて、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成するステップと、
前記ウェハのアライメントを調整するために前記少なくとも一つのローカルフィット係数を使用するステップと、を備える方法。
(項32)前記マークは、透過型である、項31に記載の方法。
(項33)前記マークは、反射型である、項31に記載の方法。
(項34)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルFFTフィット係数である、項31に記載の方法。
(項35)前記少なくとも一つのフィット係数は、平滑化されたローカルFFTフィット係数である、項31に記載の方法。
(項36)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルDCオフセットフィット係数である、項31に記載の方法。
(項37)前記少なくとも一つのフィット係数は、ローカルヒルベルト変換フィット係数である、項31に記載の方法。
(項38)前記信号の複数のサンプルのそれぞれについて少なくとも一つのローカルフィット係数をそれぞれ生成して複数のローカルフィット係数を生成するステップと、
前記複数のフィット係数を前記アライメント信号から減算して残差信号を生成するステップと、をさらに備え、
前記使用するステップは、前記ウェハのアライメントを調整するために前記残差信号を使用することを備える、項31に記載の方法。
(項39)前記使用するステップは、前記マークの変形を決定するために前記少なくとも一つのローカルフィット係数を使用することを備える、項31に記載の方法。
(項40)前記使用するステップは、前記マークの単一スキャンに基づく前記信号のサブセグメントごとのローカル位相を評価することによって高空間周波数グリッド成分を決定するために前記少なくとも一つのローカルフィット係数を使用することを備える、項31に記載の方法。
(項41)リソグラフィ装置内でウェハをアライメントする方法であって、前記ウェハは、少なくとも一つのアライメントマークを含み、前記方法は、
前記マークを照明するステップと、
前記マークが照明されるときに前記マークからの光を検知するステップと、
前記マークからの前記光を表すアライメントスキャン信号を生成するステップと、
前記アライメントスキャン信号に基づいて、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルFFTフィット係数をそれぞれ生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルFFTフィット係数を生成し、前記信号の複数のサンプルのそれぞれについてローカルDCフィット係数をそれぞれ生成して前記複数のサンプルについて対応する複数のローカルDCフィット係数を生成するステップと、
各サンプルについて、前記複数のローカルFFTフィット係数の各一つおよび前記複数のローカルDCフィット係数の各一つを前記サンプルについての前記アライメント信号から減算して前記複数のサンプルについて残差信号を取得するステップと、
前記残差信号を用いて前記ウェハのアライメントを調整するステップと、を備える方法。
【0080】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本書に記載するリソグラフィ装置は、例えば集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造といった他の用途も有しうることが理解されよう。当業者であれば、このような代替的な用途において、本書における「ウェハ」または「ダイ」の用語の任意の使用がより一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」のそれぞれと同義とみなされうることが理解されよう。本書で参照される基板は、露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、および/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用されうる。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味しうる。
【0081】
上記では、光学リソグラフィの文脈で本発明の実施の形態の使用について具体的に言及してきたが、本発明は、文脈が許せば、例えばインプリントリソグラフィなどの他の用途で使用されてもよく、光学リソグラフィに限定されるものではない。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスの地形(トポグラフィ)が基板上に作成されるパターンを定義する。パターニングデバイスの地形は、基板に供給されたレジストの層に押し付けられ、その後、電磁放射、熱、圧力またはそれらの組み合わせを加えることによってレジストが硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後にレジストから取り除かれ、レジストにはパターンが残る。
【0082】
本書で用いられる「放射」および「ビーム」の用語は、いかなる種類の電磁的な放射を包含し、紫外(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nmの波長を有する)、および、極短紫外(EUV)放射(例えば5-20nmの範囲の波長を有する)を含むとともに、イオンビームや電子ビームといった粒子ビームをも含む。
【0083】
「レンズ」の用語は、文脈が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型および静電型の光学要素を含む、様々な種類の光学要素のいずれか一つまたはこれらの任意の組み合わせを指してもよい。
【0084】
以上、本発明の特定の実施の形態について説明したが、本発明は、説明されたもの以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。例えば、本発明は、上記で開示された方法を記述する機械可読指令の一以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態を取ってもよいし、または、このようなコンピュータプログラムが格納されるデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態を取ってもよい。
【0085】
本発明は、特定された機能およびそれらの関係の実装を示す機能的な構成要素(ビルディングブロック)の助けを借りて上述した。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、本書で恣意的に定義されている。特定された機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定義することができる。
【0086】
特定の実施の形態の前述の説明は、当業者の知識内での知見を適用することにより、過度の実験をすることなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施の形態などの様々な用途に容易に変更および/または適用可能となる本発明の一般的な性質を完全に明らかにするであろう。したがって、このような適用および変更は、本書に示された教示および案内に基づいて、開示された実施の形態の同等物の意味および範囲内であることが意図される。本書の用語または語法は、限定ではなく説明を目的とし、本明細書の用語または語法は、教示および案内の観点から当業者によって解釈されるべきであることが理解されよう。
【0087】
本発明の幅および範囲は、上記の例示的な実施の形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびその均等物にしたがってのみ定義されるべきである。
【0088】
上記説明は、複数の実施の形態の例を含む。もちろん、前述の実施の形態を説明する目的で、考えられる全ての構成要素および方法の組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、様々な実施の形態の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることが認識されよう。したがって、説明した実施の形態は、添付の請求項の精神および範囲内にあるこのような全ての変更、修正、および変形を包含することが意図される。さらに、「含む」の用語が詳細な説明または請求項のいずれかで使用される限り、そのような用語は、「備える」が請求項で移行語として使用される場合における「備える」の用語の解釈と同様に包括的であることを意図する。さらに、説明した態様および/または実施の形態の複数の要素が単数形で説明または請求項に記載されるかもしれないが、明示的に単数形に限定されない限り、複数形が企図される。さらに、特記しない限り、任意の態様および/または実施の形態の全てまたは一部は、任意の他の態様および/または実施の形態の全てまたは一部とともに利用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9