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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】エキシマ光源におけるスペックルの低減
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20220713BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20220713BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
H01S3/00 A
G03F7/20 502
G03F7/20 521
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021072007
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2019531425の分割
【原出願日】2017-12-04
(65)【公開番号】P2021114622
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】15/407,153
(32)【優先日】2017-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー,トーマス パトリック
(72)【発明者】
【氏名】エバーツ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】キング,ブライアン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ソーンズ,ジョシュア ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オプト ルート,ウィルヘルムス,パトリック,エリザベス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドフリード,ヘルマン,フィリップ
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-270781(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148895(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0064259(US,A1)
【文献】特開2012-123308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0147279(US,A1)
【文献】特開平02-012980(JP,A)
【文献】特開平11-337888(JP,A)
【文献】特開平09-162104(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0484457(KR,B1)
【文献】特開2004-012757(JP,A)
【文献】特表2010-517070(JP,A)
【文献】特開平09-179309(JP,A)
【文献】米国特許第06169634(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S3/00-3/02
H01S3/04-3/0959
H01S3/098-3/102
H01S3/105-3/131
H01S3/136-3/213
H01S3/23-5/50
G03F7/20-7/24
G03F9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学源であって、
パルスで構成されるシード光ビームを生成するように構成され、かつ前記シード光ビームの1つ以上のスペクトル特徴を調整するように構成されたスペクトル調整装置を含む、第1ステージ光源であって、各パルスは深紫外線レンジ内の波長を有し、各パルスは第1の時間的コヒーレンス長さによって定義される第1の時間的コヒーレンスを有し、各パルスはパルス長によって定義される、第1ステージ光源と、
シード光ビームパルスのパス内にあるコヒーレンス減少システムであって、前記シード光ビームの各パルスについて、前記第1の時間的コヒーレンス長さより短い第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する修正シード光ビームパルスを生成するように構成される、コヒーレンス減少システムと、
共振器及び利得媒体を含む第2ステージ光増幅器であって、前記第2ステージ光増幅器は、前記コヒーレンス減少システムから出力される前記修正シード光ビームパルスを受信し、増幅されたパルスで構成される光ビームを生成するように構成される、第2ステージ光増幅器とを備える、光学源。
【請求項2】
前記コヒーレンス減少システムは、位相変調器システムを含み、前記位相変調器システムは、前記シード光ビームの各パルスについて、前記第1の時間的コヒーレンス長さより短い前記第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される前記第2の時間的コヒーレンスを有する前記修正シード光ビームパルスを生成するために、前記パルスの前記パルス長にわたって光位相を変調するように構成される、請求項1に記載の光学源。
【請求項3】
前記位相変調器システムは、位相変調器の2次元アレイを含む、請求項2に記載の光学源。
【請求項4】
前記位相変調器システムは、前記シード光ビームの各パルスについて、前記シード光ビームの修正パルスが前記シード光ビームパルスの空間的コヒーレンスより小さい第2の空間的コヒーレンスを有するように、前記パルスの前記空間的コヒーレンスを減少させるようにも構成される、請求項2に記載の光学源。
【請求項5】
前記位相変調器システムは、前記シード光ビームパルスが通過する媒体を含むポッケルセルを含む、請求項2に記載の光学源。
【請求項6】
前記位相変調器システムは、前記シード光ビームの各パルスについて、前記修正シード光ビームパルスを生成するために前記パルスの前記パルス長にわたって光位相を変調するように構成され、前記変調することは、前記ポッケルセルの前記媒体の屈折率を変調することを含む、請求項5に記載の光学源。
【請求項7】
前記位相変調器システムは単一の位相変調器を含む、請求項2に記載の光学源。
【請求項8】
前記第1ステージ光源は、増幅が発生するように構成された利得媒体と光学フィードバック機構とを含む主発振器を含み、前記第2ステージ光増幅器は、前記主発振器からの前記シード光ビームによってシードされるときに増幅が発生するように構成された利得媒体を含むパワー増幅器を含む、請求項1に記載の光学源。
【請求項9】
前記主発振器は、2本の電極を含むガス放電チャンバを含み、前記利得媒体として働くレーザガスを含有するように構成され、レーザ共振器が、前記ガス放電チャンバの一方の側の前記スペクトル調整装置と、前記ガス放電チャンバの第2の側の出力カップラとの間に形成され、前記シード光ビームは、前記出力カップラを通って前記第1ステージ光源から出る、請求項8に記載の光学源。
【請求項10】
前記コヒーレンス減少システムは、各シード光ビームパルスについて、前記シード光ビームパルスの帯域幅より大きい帯域幅を有する修正シード光ビームパルスを生成するように構成される、請求項1に記載の光学源。
【請求項11】
フォトリソグラフィ露光装置であって、
深紫外線レンジ内の波長を有するパルスで構成される光ビームを受信するように構成された光学配置であって、各パルスは第1の時間的コヒーレンス長さによって定義される第1の時間的コヒーレンスを有し、各パルスはパルス長によって定義され、前記光学配置は、照明モジュールと、レチクルと、光軸に沿ってウェーハステージと位置合わせされた投影ステージと含む、光学配置と、
前記光学配置内及び光ビームパルスのパス内にあるコヒーレンス減少システムであって、前記光ビームの各パルスについて、前記第1の時間的コヒーレンス長さより短い第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する修正光ビームパルスを生成するように構成される、コヒーレンス減少システムとを備える、フォトリソグラフィ露光装置。
【請求項12】
前記コヒーレンス減少システムは、位相変調器システムを含み、前記位相変調器システムは、前記光ビームの各パルスについて、前記第1の時間的コヒーレンス長さより短い前記第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される前記第2の時間的コヒーレンスを有する前記修正光ビームパルスを生成するために、前記パルスの前記パルス長にわたって光位相を変調するように構成される、請求項11に記載のフォトリソグラフィ露光装置。
【請求項13】
前記位相変調器システムは、前記光ビームの各パルスについて、前記光ビームの修正パルスが前記光ビームパルスの空間的コヒーレンスより小さい第2の空間的コヒーレンスを有するように、前記パルスの前記空間的コヒーレンスを減少させるようにも構成される、請求項12に記載のフォトリソグラフィ露光装置。
【請求項14】
前記位相変調器システムは、前記光ビームパルスが通過する媒体を含むポッケルセルを含む、請求項12に記載のフォトリソグラフィ露光装置。
【請求項15】
前記コヒーレンス減少システムは、前記照明モジュール内にある、請求項11に記載のフォトリソグラフィ露光装置。
【請求項16】
前記照明モジュールは、ビームホモジナイザと前記ビームホモジナイザの出力における調節デバイスとを含み、前記コヒーレンス減少システムは、前記ビームホモジナイザの中にある、請求項15に記載のフォトリソグラフィ露光装置。
【請求項17】
位相変調器システム、測定装置、及び制御システムを備える装置であって、
前記位相変調器システムは、深紫外線レンジ内の波長を有するパルスの光ビームのパス内にあり、前記光ビームの複数のパルスにおける各パルスについて、光位相が変調される前の前記パルスの第1の時間的コヒーレンス長さより短い第2の時間的コヒーレンス長さを有する修正パルスを生成するために、前記パルスのパルス長にわたって前記光位相を変調するように構成され、
前記測定装置は、テストパルスの特性を測定するように構成され、前記テストパルスは、前記第1の時間的コヒーレンスを有するパルス、又は前記第2の時間的コヒーレンスを有する前記修正パルスの、いずれかであり、
前記制御システムは、前記測定装置及び前記位相変調器システムと通信状態であり、前記制御システムは、
前記テストパルスの前記測定された特性を前記測定装置から受信するように、
前記修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ内にあるかどうかを、前記受信した測定された特性に基づいて判定するように、及び、
前記修正パルスの前記帯域幅が前記ターゲット帯域幅の前記レンジ外にあるものと判定された場合、前記修正パルスを生成する前記パルスの前記パルス長にわたって前記光位相が変調される周波数を調節するように、
構成される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年1月16日出願の米国出願第15/407,153号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示する主題は、エキシマ光源、例えば半導体リソグラフィのための深紫外線(DUV)光源において、スペックルを低減させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体リソグラフィ(又は、フォトリソグラフィ)において、集積回路(IC)の製造は、半導体(例えば、シリコン)基板(ウェーハとも呼ばれる)上で様々な物理的及び化学的プロセスを実行することを含む。フォトリソグラフィ露光装置又はスキャナは、基板のターゲット部分上に所望のパターンを付与する機械である。ウェーハは、軸方向に沿って延在する光ビームによって照射され、ウェーハはステージに固定されるため、ウェーハは一般に、軸方向に対して実質的に直交する横平面に沿って延在することになる。光ビームは、深紫外線(DUV)レンジ内、例えば約10ナノメートル(nm)から約400nm内の、波長を有する。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの一般的な態様において、方法は、深紫外線レンジ内の波長を有するパルスで構成される光ビームを生成することを含み、各パルスは第1の時間的コヒーレンス長さによって定義される第1の時間的コヒーレンスを有し、各パルスはパルス長によって定義される。1つ以上のパルスの場合、光位相は、パルスのパルス長にわたって変調され、パルスの第1の時間的コヒーレンス長さよりも短い第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する、修正パルスを生成する。方法は、少なくとも修正パルスからパルスの光ビームを形成すること、及び、形成されたパルスの光ビームを、リソグラフィ露光装置内の基板に向けて誘導することを含む。
【0005】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、パルスで構成されるシード光ビームを生成すること、及び、シード光ビームのパルスが繰り返し共振器を通過することによってシード光ビームのパルスを光学的に増幅させることにより、増幅パルスで構成される光ビームを生成することによって、パルスで構成される光ビームを生成することができる。光位相は、修正パルスを生成するために増幅パルスのパルス長にわたって光位相を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。光位相は、修正パルスを生成するために、シード光ビームのパルスのパルス長にわたって光位相を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調することが可能であり、増幅パルスで構成される光ビームは、修正パルスを光学的に増幅することによって生成することができる。修正パルスから形成されるパルスの光ビームは、増幅パルスで構成される光ビームを基板に向けて誘導することによって、基板に向けて誘導することができる。
【0006】
方法は、修正パルスを生成するために、そのパルスのパルス長にわたって光位相を変調する前に、光ビームのパルスの帯域幅を減少させることも含み得る。光位相は、パルスの帯域幅を増加させるが、依然としてターゲット帯域幅のレンジ内にあるようにするために、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0007】
パルスのパルス長にわたって光位相を変調することに関するフーリエ変換によって、パ
ルスの電界のスペクトルを畳み込むことによって、光位相を、パルスのパルス長にわたって変調することができる。光位相は、パルスのパルス長にわたって変調することが可能であり、それによって、基板に向けて誘導されるパルスの光ビームの動的スペックルコントラストが低減される。
【0008】
方法は、基板に向けて誘導される光ビームにおけるパルス長を増大させることを含むこともできる。光ビームにおけるパルス長は、光ビームの各パルスの振幅を分割部分に分割すること、パルスの時間的に遅延した部分を生成するために、これらの分割部分間に時間的遅延を導入すること、及び、光ビームの時間的に伸長されたパルスを提供するために、パルスのこれらの時間的に遅延した部分を再結合することによって、増大される。光位相は、パルスの1つ以上の分割部分のパルス長にわたって、光位相を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0009】
光位相は、光ビームのパルスの帯域幅を増大させるために、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0010】
方法は、パルスのパルス長にわたって光位相が変調される周波数のレンジを選択することもできる。
【0011】
周波数レンジは、修正パルスのターゲット帯域幅を生成することになるターゲット周波数レンジを決定すること、及び、修正パルスの帯域幅をターゲット帯域幅のレンジ内に維持するために、周波数レンジを、決定されたターゲット帯域幅レンジ内に維持することによって、選択することができる。方法は、修正パルスが、ターゲット帯域幅のレンジ内にある帯域幅を有することになるかどうかを判定するために、パルスのパルス長にわたって光位相を変調することに先立って、パルスの帯域幅を測定することを含み得る。方法は、修正パルスが、ターゲット帯域幅のレンジ内にある帯域幅を有するかどうかを判定するために、次のパルスのパルス長にわたって光位相を変調することに先立って、修正パルスの帯域幅を測定することを含み得る。方法は、複数の事前修正パルスの測定された帯域幅に基づいて、特定の次のパルスについてターゲット帯域幅を計算することを含み得る。
【0012】
周波数レンジは、光ビーム内の各パルスについてパルスのパルス長にわたる光位相が変調される周波数レンジを選択することによって、選択することができる。
【0013】
光位相は、パルスが誘導される際に介する材料の屈折率を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0014】
方法は、光位相が変調される率を調節することによって、基板に向けて誘導されるパルスの帯域幅を調節することを含み得る。
【0015】
方法は、修正パルスの帯域幅を推定すること、推定された帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ内にあるかどうかを判定すること、及び、推定された帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ外にあるものと判定された場合、次の修正パルスの帯域幅を調節するために、光位相が変調される周波数レンジを調節することを、含み得る。
【0016】
光位相は、パルスのパルス長にわたって光位相をランダム化することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0017】
光パルスは波形に関連付けることが可能であり、波形は時点によって表され、光位相は、異なる時間的遅延を波形の異なる時点に適用することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。光パルスに媒体を通過させ、パルスが媒体を通過する際に
媒体の屈折率を変動させることによって、異なる時間的遅延を波形の異なる時点に適用することが可能である。
【0018】
変調の振幅は、パルスのパルス長にわたってランダムに変動可能である。変調の振幅は、基板に向けて誘導されるパルスの光ビームの動的スペックル及び帯域幅のうちの1つ以上を減少させるように、変動可能である。
【0019】
各パルスは、第1の空間的コヒーレンス長さによって定義される第1の空間的コヒーレンスを有し得、方法は、修正パルスが、パルスの第1の空間的コヒーレンス長さより短い第2の空間的コヒーレンス長さによって定義される第2の空間的コヒーレンスを有するように、パルスが変調されるにつれてパルスの空間的コヒーレンスを減少させることを含み得る。
【0020】
他の一般的な態様において、装置は、光源、位相変調器システム、測定装置、及び制御システムを含む。光源は、深紫外線レンジ内の波長を有するパルスで構成される光ビームを生成するように構成され、各パルスは第1の時間的コヒーレンス長さによって定義される第1の時間的コヒーレンスを有し、各パルスはパルス長によって定義される。位相変調器システムは、パルスの光ビームのパス内にあり、少なくとも1つのパルスについて、第1の時間的コヒーレンス長さより短い第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する修正パルスを生成するために、パルスのパルス長にわたって光位相を変調するように構成される。測定装置は、テストパルスの特性を測定するように構成される。テストパルスは、第1の時間的コヒーレンスを有するパルス、又は第2の時間的コヒーレンスを有する修正パルスの、いずれかである。制御システムは、測定装置及び位相変調器システムと通信状態である。制御システムは、テストパルスの測定された特性を測定装置から受信するように、修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ内にあるかどうかを、受信した測定された特性に基づいて判定するように、及び、修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ外にあるものと判定された場合、修正パルスを生成するパルスのパルス長にわたって光位相が変調される周波数を調節するように、構成される。
【0021】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、装置は、修正パルスから形成されるパルスの光ビームのパス内にビーム誘導装置を含むことができる。ビーム誘導装置は、修正パルスから形成されるパルスの光ビームを、リソグラフィ露光装置内の基板に向けて誘導するように構成可能である。位相変調器システムは、リソグラフィ露光装置内にあるものとすることができる。位相変調器システムは、位相変調器の2次元アレイを含むことができる。位相変調器の2次元アレイは、ビームホモジナイザ内に位置決めすることができる。位相変調器の2次元アレイは、各パルスについて、修正パルスがパルスの空間的コヒーレンスよりも小さい第2の空間的コヒーレンスを有するように、パルスの空間的コヒーレンスを減少させるように構成することも可能である。
【0022】
光源は、パルスで構成されるシード光ビームを生成するように構成され、シード光ビームの1つ以上のスペクトル特徴を調整するためのスペクトル調整装置を含む、第1ステージ光源と、利得媒体を伴う共振器を有する第2ステージ光増幅器であって、光増幅器は、シード光ビームのパルスを受信し、増幅されたパルスで構成される光ビームを生成するように構成される、第2ステージ光増幅器とを、含むことが可能である。パルスで構成されるシード光ビームを生成するように構成可能な第1ステージ光源は、固体利得媒体を含む。位相変調器システムは、第1ステージ光源と第2ステージ光増幅器との間にあり得る。
【0023】
テストパルスは、修正パルスであり得る。
【0024】
制御システムは光源と通信することが可能であり、制御システムは、修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ外にあるものと決定された場合、パルスの帯域幅を調節するための信号を光源に送信するように構成可能である。
【0025】
測定装置によって測定されるテストパルスの特性は、テストパルスの帯域幅であり得る。
【0026】
装置は、修正パルスのパルス長を増加させるように構成された、光時間的パルスストレッチャを含むことができる。光時間的パルスストレッチャは、パッシブ光学要素であり得る。
【0027】
位相変調器システムは、パルスの光ビームが通過する媒体を含むポッケルセルを含むことができる。光位相は、ポッケルセルの媒体の屈折率を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調することができる。
【0028】
位相変調器システムは、単一の位相変調器又は複数の位相変調器を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】フォトリソグラフィ露光装置へと誘導されるパルス光ビームを生成するフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図2図1のフォトリソグラフィシステムによって生成されるパルス光ビームの、例示的光学スペクトルを示すグラフである。
図3】光学スペクトルが不要な構造を含む、パルス光ビームの例示的な光学スペクトルを示すグラフである。
図4図3の光学スペクトルについての例示的な干渉可視性を示すグラフである。
図5図1の例示的な位相変調器を示すブロック図である。
図6図5の位相変調器システムから出力される修正パルス光ビームの、例示的な光学スペクトルを示すグラフである。
図7図6の光学スペクトルについての例示的な干渉可視性を示すグラフである。
図8A】時間の関数としてパルス光ビームのパルスに適用される例示的な位相変調を示すグラフである。
図8B図8Aの例示的な位相変調の周波数コンテンツを示すグラフである。
図9】1つ以上の位相変調器を含む、例示的な位相変調器システムを示すブロック図である。
図10】1つ以上の位相変調器が光学的に直列に配置された、例示的な位相変調器システムを示すブロック図である。
図11】1つ以上の位相変調器が光学的に並列に配置された、例示的な位相変調器システムを示すブロック図である。
図12】例示的な位相変調器がポッケルセルとして設計される、位相変調器システムの例示的な位相変調器を示すブロック図である。
図13A】位相変調器システムが光学源内に配置される、例示的なフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図13B】位相変調器システムが配置される例示的な光学源を示すブロック図である。
図14】位相変調器システムが、光学源とフォトリソグラフィ露光装置との間のビーム準備システム内に配置される、例示的なフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図15A】位相変調器システムが、光学源とフォトリソグラフィ露光装置との間のビーム準備システムの光時間的パルスストレッチャ内に配置される、例示的なフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図15B】位相変調器システムが配置される例示的な光時間的パルスストレッチャを示すブロック図である。
図16A】位相変調器システムがフォトリソグラフィ露光装置の光学配置内に配置される、例示的なフォトリソグラフィシステムを示すブロック図である。
図16B】位相変調器システムが配置される、例示的な光学配置を示すブロック図である。
図17A】例示的なフォトリソグラフィ露光装置を示すブロック図である。
図17B図17Aのフォトリソグラフィ露光装置内の例示的な照明モジュールを示すブロック図である。
図18図1のフォトリソグラフィシステム内の、例示的なスペクトル特徴測定システムを示すブロック図である。
図19図1のフォトリソグラフィシステム内の、例示的な光学源を示すブロック図である。
図20図1のフォトリソグラフィシステム内の、例示的なスペクトル特徴選択システムを示すブロック図である。
図21図1のフォトリソグラフィシステム内の、例示的な制御システムを示すブロック図である。
図22】光ビームのパルスの時間的コヒーレンスを減少させるために、フォトリソグラフィシステムによって実行される例示的な手順を示すフローチャートである。
図23】パルスのパルス長にわたって光位相が変調され、それによってパルスの時間的コヒーレンスが減少する、周波数レンジを選択するために、フォトリソグラフィシステムによって実行される例示的な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1を参照すると、フォトリソグラフィシステム100は、制御システム185の制御の下で、パルスの光ビーム110を生成する光学源105(エキシマ光源など)を含む。光ビーム110のパルスは、名目上、深紫外線(DUV)レンジ内の中心波長、例えば、約10ナノメートル(nm)から約400nmにある波長を有する。いくつかの実装形態において、パルスの波長は約248nmであるが、他の実装形態において、パルスの波長は約193nmである。光学源105は、連続波ではなく光パルスの形で光を放出する。したがって、光学源105は、短い持続時間を有するエネルギーのパルスを放出する。これらの周期パルスは、パルス列と見なされ、光ビーム110を形成することができる。パルス長(パルス幅又は長さとも呼ばれる)は、パルスのパワーがその最大値の或るパーセンテージ(例えば、半分)を連続して超え続けている間の時間として定義することができる。
【0031】
光ビーム110は、ビーム誘導及びビーム修正光学系を含み得る、ビーム準備システム112を用いて、フォトリソグラフィ露光装置(又はスキャナ)115へと誘導される。具体的に言えば、フォトリソグラフィ露光装置115内で、パルス光ビーム110は、ウェーハステージ121上の半導体基板(ウェーハ)120に向けて光ビーム110を誘導する前に、必要に応じて光ビーム110を準備及び修正するように構成された光学配置113を介して誘導される。光ビーム110及びウェーハ120は、リソグラフィコントローラ140の制御の下で互いに関連してスキャン(移動)され、それによってウェーハ120上にマイクロ電子フィーチャをパターン形成する。ウェーハ120上にパターン形成されるマイクロ電子フィーチャは、光ビーム110の波長に依存し、波長が低いほど、結果としてマイクロ電子フィーチャの最小サイズはより小さくなる。光ビーム110の波長が248nm又は193nmのとき、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば50nm以下となり得る。ウェーハ120における光ビーム110のパルスの焦点位置は、光ビーム110の波長と相関する。更に、光ビーム110の帯域幅は、これらのフィーチャのクリティカルディメンション(CD)に影響を与える可能性がある。
【0032】
様々な擾乱(例えば、温度傾度、圧力傾度、光歪みなど)が光学源105及び光ビーム110に対して作用し、スペクトルプロパティ又は特徴(帯域幅及び波長など)あるいは光ビーム110のエネルギーなどの特性を修正する。例えば、光ビーム110と相互作用する光学コンポーネントによって生じる色収差は、光ビーム110の帯域幅の増加を生じさせる可能性がある。したがって、フォトリソグラフィシステム100は、例えば、スペクトル特徴選択システム130(光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴を調節するように構成される)及びメトロロジシステム170(光ビーム110の1つ以上の特性を測定するように構成される)などの、他のコンポーネントを含む。制御システム185と共に、これらのコンポーネントは、光ビーム110に対する擾乱の影響を決定するため、及び、光ビーム110に対するこうした擾乱の効果を補正するために、組み合わせて使用される。
【0033】
光学源105の設計に起因して、光ビーム110のパルスは、時間的コヒーレンス及び空間的コヒーレンスの両方のコヒーレンスを有し、このコヒーレンス(時間的及び空間的のいずれか又は両方)が、ウェーハ120におけるスペックルパターンにつながる可能性がある。スペックルパターンは、光ビーム110の波面のセットの相互干渉によって生成される強度パターンであり、時間的コヒーレンス及び空間的コヒーレンスの両方で、コヒーレンスのレベルが高くなるほど干渉も高くなる。ウェーハ120において生成されるスペックルパターンは、CD均一性(CDU)の低減につながる可能性があり、したがって、ウェーハ120上で生成されるマイクロ電子フィーチャのボケにつながる可能性があるため、不要である。
【0034】
静的スペックルは光ビーム110内の空間的コヒーレンスによって発生し、動的スペックルは光ビーム110内の時間的コヒーレンスによって発生する。フォトリソグラフィシステム100は、パルスの光ビームのパス内に配置される位相変調器システム145を含む。位相変調器システム145は、各パルスについて、位相変調器システム145に入るパルスの時間的コヒーレンスよりも小さい時間的コヒーレンスを有する修正パルスを生成し、それによってウェーハ120において生じる動的スペックルを減少させるように構成される。位相変調器システム145は、光学源105から出力される光ビーム110のパス内に配置することが可能であるか、又は、以下で考察するように、光学源105内で生成されるシード光ビームなどの光ビームのパス内に配置することが可能である。パルスの光ビーム110はこれらの修正パルス(減少した時間的コヒーレンスを有する)から形成され、この形成されたパルスの光ビーム110は、フォトリソグラフィ露光装置115内のウェーハ120に向かって誘導される。
【0035】
図2を参照すると、光ビーム110の各パルスは光学スペクトル200を呈する。光学スペクトル200は、スペクトル形状又は光ビーム110のスペクトルと呼ぶことができる。光学スペクトル200は、光ビーム110の光エネルギー又はパワーが異なる波長(又は、周波数)202にわたってどのように分布されるかに関する情報を含む。光ビーム110の光学スペクトル200は、スペクトル強度201が波長又は光周波数202の関数としてプロットされた、図表の形で示されている。光ビーム110のスペクトルプロパティ又は特徴は、この光学スペクトル200の任意の態様又は表現を含む。例えば、帯域幅はスペクトル特徴である。光ビーム110の帯域幅は、この光学スペクトル200の幅Wの測度であり、この幅Wは、レーザ光の波長又は周波数に関して与えられ得る。光学スペクトル200の細部に関する任意の好適な数学的構造(例えば、メトリック)を使用して、光ビームの帯域幅を特徴付ける値を推定することができる。例えば、スペクトル形状の或る割合(X)の最大ピーク強度における光学スペクトル200の全幅(FWXMと呼ばれる)を使用して、光ビーム帯域幅を特徴付けることができる。一例として、一般的に用いられるスペクトル形状特徴付けにおいて、割合Xは50%であり、それぞれのメトリックは半値全幅(FWHM)と呼ばれる。別の例として、或る割合(Y)の積分スペクトル強度(EYと呼ばれる)を含む光学スペクトル200の幅を使用して、光ビーム帯域幅を特徴付けることができる。光ビーム110の光学プロパティを特徴付けるために一般的に用いられる一例において、割合Yは95%である。
【0036】
縦方向キャビティモードが光学源105内の共振器のジオメトリ及び構成によって生成されることから、光ビーム110のパルスは時間的コヒーレンスを有し、これらの縦方向キャビティモードは互いに干渉し、各パルスの光学スペクトルにおいて不要な構造を生成する。図3に、不要な構造を有する例示的な光学スペクトル300が概略的に示されている。更に、光ビーム110の各パルスは、異なる不要な構造を生成する可能性がある。光ビーム110のパルスの帯域幅は、ウェーハ120上の単一の位置を照明するためにフォトリソグラフィ露光装置115が使用するパルス数を平均化することにより、(例えば、メトロロジシステム170を用いて)測定可能である。帯域幅の平均値は有効帯域幅であり、波長の平滑関数であり得る。
【0037】
パルスの時間的コヒーレンスの量は、任意の時点ペアにおけるパルスの電界波形の値と量τだけ遅延したそれ自体との間の、平均相関の測度である。電界波形の位相が大幅に外れる(及び、したがって相関が大幅に減少する)遅延は、コヒーレンス時間Tとして定義される。0の遅延τにおいてコヒーレンス度は完全であるが、遅延τがTに近づくにつれてコヒーレンス度は大幅に低下する。時間的コヒーレンスは、マイケルソン干渉計などの干渉計において測定可能であり、ここでパルスの電界波形は、時間τだけ遅延されるそれ自体のコピーと組み合わされる。ディテクタは、干渉計を出る光の時間平均強度を測定し、結果として生じる干渉可視性によって遅延τにおける時間的コヒーレンスが与えられる。図3の光学スペクトル300についての例示的干渉可視性400が、図4に示されている。干渉可視性は、パルスの規格化パワースペクトル密度のフーリエ変換として計算され、これを元にコヒーレンス長さを計算することが可能である)は下記のように計算される。
【0038】
【数1】
【0039】
コヒーレンス長さLはコヒーレンス時間Tから計算可能であり、具体的に言えば、コヒーレンス長さLはコヒーレンス時間T内にパルス波が進行する距離である。図3及び図4の例において、コヒーレンス長さLは容認できないほど高い。光ビーム110の各パルスの光学スペクトル300(図3)における構造は、可視性において側波帯を発生させ(図4)、したがって、スリット平均帯域幅に基づいて予測されるよりも大きな時間的コヒーレンス長さLを引き起こす。パルスがパルス変調器システム145を通過することによって、図5から図7を参照しながら考察するように、パルスのコヒーレンス長さLは容認できるレベルまで減少する。
【0040】
図5を参照すると、特に、位相変調器システム145に入るパルス505は、第1の時間的コヒーレンス長さLC1によって定義される第1の時間的コヒーレンスを有する。例えば、位相変調器システム145に入るパルス505は、光学スペクトル300において不要な構造を呈する(更にまた、図4に示されるような、所望より大きな時間的コヒーレンス長さLも有する)パルスであり得る。位相変調器システム145は、第1の時間的コヒーレンスLC1よりも短い第2の時間的コヒーレンス長さLC2によって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する修正パルス510を生成するために、パルスのパルス長505にわたって光位相を変調することによって、パルス505の時間的コヒーレンスを減少させる。修正パルス510の電界は、進入パルス505の電界と、位相変調器システム145によって導入される位相回転又は遅延との乗算として、説明することができる。修正パルス510の電界の光学スペクトルは、位相変調器システム145によって提供される位相変調のフーリエ変換によって、畳み込み又は平均化される。
【0041】
第2の時間的コヒーレンス長さLC2は、第1の時間的コヒーレンス長さLC1の或る割合又はパーセンテージであり得る。例えば、第2の時間的コヒーレンス長さLC2は、第1の時間的コヒーレンス長さLC1の50%~95%の間であり得る。こうした時間的コヒーレンス長さの減少は、ウェーハ120でのスペックルにおける、5%~30%の間、例えば約18%の全体減少につながり得る。下記でより詳細に考察するように、時間的コヒーレンスが減少する量は、位相変調を実行することによってパルスに影響を与える(パルスの帯域幅などの)他の特性によって制限される。
【0042】
修正パルス510の例示的な修正光学スペクトル600が図6に示され、修正光学スペクトル600の干渉可視性700は図7に示される。光学スペクトル300内に存在する構造はほとんど除去されているか、又は、修正光学スペクトル600内では大幅に減少している。更に、修正光学スペクトル600(及び修正パルス510)の時間的コヒーレンス長さLは、進入パルス505のコヒーレンス長さLに関して減少する。具体的に言えば、修正光学スペクトル600の時間的コヒーレンス長さLは、図7に示される干渉可視性700から計算される時間的コヒーレンス時間Tに基づいて計算される。
【0043】
一般に、パルスの時間的コヒーレンス長さは、パルスの瞬時帯域幅に反比例する。したがって一般に、時間的コヒーレンス長さが(本明細書において考察する位相変調を実行することによって)減少する場合、位相変調器システム145の出力におけるパルス510の瞬時帯域幅は、位相変調器システム145の入力におけるパルス505の瞬時帯域幅に対して増加する。しかしながら、本明細書において考察するように、全スリット平均化帯域幅(ウェーハ120によって見られる帯域幅)は、2つの理由から、一定であるか又は容認できる帯域幅のレンジ内のままである。第1に、進入パルス505の帯域幅は、送出パルス510の瞬時帯域幅へのシフトの一部を相殺するように減少される。第2に、ウェーハ120はスリット平均化帯域幅を経験し、スリット平均化帯域幅は、シフトの値がスリット全体にわたって平均化されるため、パルス対パルスベースで瞬時帯域幅におけるシフトによって影響されない。
【0044】
図8Aを参照すると、例示的な位相変調800が示されている。図8Aにおいて、位相変調は、時間の関数としてパルス505に適用される位相の振幅を示す。位相変調の周波数は、パルスの光位相が修正又は遅延される率である。したがって、周波数fは1/Δtと見なすことが可能であり、Δtは位相変調のピーク間の時間である。実際には、周波数のレンジが位相変調器システム145に適用される。図8Bは、パルス505に適用される位相変調800の周波数コンテンツを示す。具体的に言えば、図8Bは位相変調800のフーリエ変換と見なすことができる。この例では、図に示されるように、多くの周波数が適用され、周波数の制限値は任意の単位(例えば、1GHz)で1である。周波数の制限値(許可される最大許容周波数である)は、位相変調800の周波数コンテンツを変化させるようにフィルタリングすることによって変更可能である。位相変調の最大許容周波数が増大されるため、したがって、より大きな周波数レンジが適用され、修正パルス510の帯域幅が増加する。したがって、修正パルス510の帯域幅がターゲット帯域幅を超えて増大しないように、位相変調の最大許容周波数が(例えば、信号フィルタリングによって)選択される。
【0045】
図9を参照すると、例示的な位相変調器システム945が、1つ以上の位相変調器945A、945B、945Cなどを含む。位相変調器システム945が、複数の位相変調器945A、945B、945Cなどを含む実装形態において、位相変調器945A、945B、945Cなどは、各パルスが位相変調器945A、945B、945Cなどの各々を直列に(又は、順次)通過するように、光学的に直列に配置可能である。こうした配置が図10に示されている。この配置において、他の光学要素を位相変調器945A、945B、945Cなどのうちの2つ以上の間に配置させることが可能である。
【0046】
他方で、位相変調器システム945が複数の位相変調器945A、945B、945Cなどを含む実装形態において、位相変調器945A、945B、945Cなどは、各パルスの一部が位相変調器945A、945B、945Cなどのうちの1つを通過し、各部分が位相変調器945A、945B、945Cなどを同時に通過するように、光学的に並列に配置可能である。こうした配置が図11に示され、並列に配置された6つの位相変調器945A、945B、945C、945D、945E、945Fを示す。こうした配置は、位相変調器の2次元アレイであり得、アレイはパルス505の方向に対して横方向に沿って延在する。
【0047】
図12を参照すると、例示的な位相変調器1245iがポッケルセル1246として設計され得る。ポッケルセル1246は、パルス1205(パルス505など)が伝搬する際に介する電気光学結晶1247を含む。結晶1247に接続された電極1248、1249に可変電気電圧を印加することによって、結晶1247内の位相遅延を変調することができる。電極1248、1249は、制御システム185によって制御される電源1257に接続される。結晶1247に印加される例示的な電圧は、1キロボルトから数キロボルト又は数十キロボルトの範囲である。電気光学結晶1247の屈折率は、電極1248、1249によって印加される電界に比例して変化し、屈折率は屈折率と共に変化する。したがって、結晶1247における屈折率を変更又は変調することによって、位相遅延が変調される。
【0048】
ポッケルセル1246内の電極1248、1249の幾何学的配置は、パルス505が進行する方向に関してどのように電界が配置されるかを左右する。例えば、ポッケルセル1246は、電極1248、1249が結晶1247の入力面1251及び出力面1252に配置される縦方向デバイスであり得、この場合、生成される電界は、パルス505の方向と平行な縦方向に沿っている。別の例として、ポッケルセル1246は、電極1248、1249が結晶1247の1つ以上の側面1253、1254に配置される横方向デバイスであり得、この場合、生成される電界は、パルス505の方向に対して垂直な横方向に沿っている。
【0049】
結晶1247は、電極1248、1249を使用して結晶1247を介する電界を制御することによって、その屈折率を変化させる材料で構成される。結晶1247の材料は、パルス1205の波長において透過性なはずであり、したがって、DUV光に対して透過性なはずである。更に、結晶1247を通過するパルス1205が高い光学的パワーを有するため、結晶1247の材料は、光学的損傷について高い閾値を有する材料で構成されるはずである。例えば、図19を参照すると、主発振器(MO)1900によって出力されるシード光ビーム1910A内のパルスは、約1~6ワット(W)(例えば、6000Hzのパルス繰り返し率において、各パルスは1ミリジュール(mJ)の瞬時エネルギーを有する)であり得るが、パワー増幅器1925の出力における光ビーム110内のパルスは、約10~200Wであり得る。例えば、結晶1247は、リン酸二水素カリウム(KDP)、重水素化KDP(DKDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ベータバリウムボラート(BBO)、又は石英で作ることができる。
【0050】
図13A及び図13Bを参照すると、いくつかの実装形態において、位相変調器システ
ム145は光学源105内部に配置される。具体的に言えば、光学源105は、デュアルステージ光学源1305として設計され得、この場合には、位相変調器システム145を第1ステージ光源1300と第2ステージ光増幅器1310との間に、及び、第1ステージ光源1300によって生成されるパルスのシード光ビーム1310Aのパス内に、配置することが有益であり得る。こうしたデュアルステージ設計は、パワージェネレータ(第2ステージ光増幅器1310)を、帯域幅及び波長制御ジェネレータ(第1ステージ光源1300)から分離する。シード光ビーム1310Aのパワーは、第2ステージ光増幅器1310から出力される光ビーム110のパワーよりもかなり低い。したがって、位相変調器システム145をシード光ビーム1310Aのパス内に配置することによって、変調器システム145に入るパルスのフルエンス及びパワーのレベルは、(出力される光ビーム110のそれらに対して)低くなり、位相変調器システム145内の材料に損傷を与える機会を減少させる。
【0051】
図14を参照すると、他の実装形態において、位相変調器システム145はビーム準備システム112の内部に、及び、ビーム準備システム112を介して進行するパルスの光ビーム110のパス内に、配置される。
【0052】
例えば、図15A及び図15Bを参照すると、位相変調器システム145は、ビーム準備システム112内の光時間的パルスストレッチャ114内部に配置される。時間的パルスストレッチャ114は、通過するパルスのパルス長を増加させるように構成される。時間的パルスストレッチャ114は、大幅な損失を導入することなくパルス長を増加させるように、光ビーム110のパルスに光学的に作用するため、光ビーム110の平均パワーを減少させることなく、そのピークパワーが減少することになる。時間的パルスストレッチャ114は、1つ以上のビームセパレータ1501を用いて光ビーム110のパルスの振幅を分割部分1503に分割し、これらの分割部分の間に光学遅延1502を導入し、その後、出力において光ビーム110の時間的に伸長されたパルスを提供するために、これらのパルスの時間的遅延部分を(例えば、ビームセパレータ1501を使用して)再結合する、光学要素の光学的パッシブ構成である。したがって、時間的パルスストレッチャ114は、ビームスプリッタ(ビームセパレータ1501の場合)及び(光学遅延1502を形成する)反射光学系などの、光学コンポーネントを含むことができる。反射光学系は、共焦点であり得る、平坦ミラー又は湾曲(例えば、凹面又は凸面)ミラーであり得る。時間的パルスストレッチャ114によって生成されるパルスの分割部分に導入される遅延は、光ビーム110の高速時間コンポーネントに等しいか又はこれよりも長い。位相変調器システム145は、光ビーム110のパルスの分割部分内に配置可能である。光位相変調を分割部分内の光ビーム110のパルスに適用することによって、位相変調器システム145上のフルエンスレベルを、(例えば、分割されていない光ビーム110のフルエンスレベルの50%まで)低下させることができる。更に、位相変調器システム145を光ビーム110のパルスの分割部分内に配置することによって、時間的パルスストレッチャ114内のパルスの再結合部分を互いに独立させ、それによってパルスの時間的コヒーレンスを減少させることができる。具体的に言えば、位相変調器システム145は、パルスの分割及び遅延部分に作用し、これらの分割部分が再結合前の未遅延部分とインコヒーレントであることを保証する。
【0053】
図16A及び図16Bを参照すると、他の実装形態において、位相変調器システム145はフォトリソグラフィ露光装置115内の光学配置113の内側に配置される。次に、フォトリソグラフィ露光装置115に関する詳細を、光学配置113内での位相変調器システム145の配置及び構成を考察する前に提供する。
【0054】
図17Aを参照すると、光学配置113は、いくつかの特徴の中で特に、照明モジュール1702、レチクル又はマスク1734を含むレチクルステージ、いくつかの光学系の中で特に1つ以上の投影レンズ1730を含む投影ステージ1704を含む。マスク1734は、パルス光ビーム110の光軸1738に沿うか、又は光軸1738に垂直な平面内などの、1つ以上の方向に沿って移動可能である。投影ステージ1704は、投影レンズ1730を含み、マスク1734からウェーハ120上のフォトレジストへのイメージ転写を実行可能にする。
【0055】
照明モジュール1702は、マスク1734と相互作用する前に、瞳形状、すなわち光ビーム110の状態及び形状を作成する。例えば照明モジュール1702は、マスク上に衝突する光ビーム110についての角度レンジを調節する。照明モジュール1702は、光ビーム110を条件付けし、マスク1734と相互作用する前に光ビーム110を所定の形状にする、デバイス1732を含む。例えばデバイス1732は、急速に(例えば、数秒又は数分以内に)瞳形状を作成することが可能な、個別調節可能なマイクロミラーのアレイを含み得る。アレイは、数百又は数千のマイクロミラーを含み得、プログラム可能であり得る。更に、デバイス1732は、フィールド定義要素(FDE)を含み得る。アレイのマイクロミラーを使用して、FDEの入口面の一定の位置を照明することができる。FDEは、均一な照明スポットを作成すると同時に、その入口面内のそれぞれ個々の位置をレチクルレベル上の角度に変換する。したがって、マイクロミラーを変化させることによって、レチクルレベルでの任意の角度分布(又は瞳)が均一な強度分布を有するようにすることができる。
【0056】
照明モジュール1702は、マスク1734全体にわたってパルス光ビーム110の強度分布を均質にする(均一にする)ビームホモジナイザ1736も含む。図17Bを参照すると、ビームホモジナイザ1736は、(デバイス1732における、又はその内部であり得る)照明面1748において、均一な放射照度を提供するために、2次元レンズレットアレイ1742、1744のペアと、コンデンサレンズ1746を含み得る。光ビーム110と相互作用する第1のレンズレットアレイ1742は対物アレイと見なし得、光ビーム110と相互和洋する第2のレンズレットアレイ1744はフィールドアレイと見なし得る。対物アレイはフィールドアレイでソースを結像し、フィールドアレイはコンデンサレンズを用いてフィールドのすべてを再結像するため、それらは照明面で重複し、均一な放射照度を作ることになる。2次元レンズレットアレイ1742、1744は、光軸1738に対して直角に延在する平面内に配置される複数のレンズレット(小型レンズ)を含む。
【0057】
リソグラフィ装置115は、いくつかの特徴の中で特に、リソグラフィコントローラ140、空気調節デバイス、及び様々な電気コンポーネント用の電源を含み得る。リソグラフィコントローラ140は、ウェーハ120上にどのように層がプリントされるかを制御する。
【0058】
ウェーハ120は、光ビーム110によって照射される。プロセスプログラム又はレシピは、ウェーハ120上の露光の長さ、使用されるマスク1734、並びに露光に影響を与える他の要因を決定する。リソグラフィの間、光ビーム110の複数のパルスは、照明ドーズを形成するためにウェーハ120の同じエリアを照明する。同じエリアを照明する光ビーム110のパルス数Nは、露光ウィンドウ又はスリットと呼ばれ得、このスリットのサイズは、マスク1734の前に配置される露光スリット(図示せず)によって制御され得る。スリットはシャッタのように設計され得、開閉可能な複数のブレードを含み得、露光エリアのサイズは、非スキャン方向におけるブレード間の距離によって、また、スキャン方向におけるスキャンの長さ(距離)によっても、決定される。いくつかの実装形態において、Nの値は数十、例えば、10~100パルスである。他の実装形態において、Nの値は100パルスよりも大きく、例えば100~500パルスである。マスク1734、投影ステージ1704、及びウェーハ120のうちの1つ以上は、露光フィールド全
体にわたって露光ウィンドウをスキャンするために、露光の間、互いに関連して移動させることができる。露光フィールドは、露光スリット又はウィンドウの1スキャンにおいて露光されるウェーハ120のエリアである。
【0059】
前述のように、位相変調器システム145は、フォトリソグラフィ露光装置115内の光学配置113内部に配置可能である。位相変調器システム145は、照明モジュール1702内に配置可能である。例えば、図16Bに示されるように、位相変調器システム145はビームホモジナイザ1736内部に配置される。
【0060】
いくつかの実装形態において、位相変調器システム145は、2次元レンズレットアレイ1742、1744のうちの1つの近く、又は2次元レンズレットアレイ1742、1744の間に、配置される。この例において、位相変調器システム145は、互いに光学的に平行に配置された位相変調器1745(明瞭にするために、図16Bではそのうちの一方のみがラベル表示されている)の2次元アレイであり得る。こうした設計は図11の設計と同様である。位相変調器1745は、光軸1738に直角な方向に沿って延在する平面内に配置され、光ビーム110のパルスは、光軸1738の方向に沿って位相変調器1745を介して進行する。更に、位相変調器システム145のアレイ内の位相変調器の数は、アレイ1742、1744内のレンズレットの数に対応し得、各位相変調器1745は、それぞれのアレイ1742、1744からのレンズレットのペアと整合する。位相変調器システム145をビームホモジナイザ1736内に配置することによって、アレイ1742、1744のレンズレット間に存在する相関を減少又は除去することができるため、スペックルを更に一層減少させることができる。
【0061】
他の実装形態において、位相変調器システム145は、レンズレットアレイ1744とコンデンサレンズ1746との間に、又はレンズレットアレイ1742の前に、配置可能である。他の実装形態において、位相変調器システム145は、デバイス1732内に、又は個別調節可能なマイクロミラーのアレイ近くに、配置される。位相変調器システム145は、光がマイクロミラーから漏れないことを保証するために、ビームホモジナイザ1736からの光をデバイス1732の各々の個別のマイクロミラー上に合焦させる、レンズの合焦アレイ(図示せず)の上部に又はごく接近して配置可能である。例えば、位相変調器システム145は、ビームホモジナイザ1736とデバイス1732内のレンズの合焦アレイとの間に配置可能である。
【0062】
擾乱により、ウェーハ120における光ビーム110のパルスの実際のスペクトル特徴(帯域幅又は波長など)は、所望のスペクトル特徴に対応しないか又は合致しない場合がある。したがって、メトロロジシステム170は、測定された光学スペクトル200(図2に図示)からメトリックの値を推定することによって、光学源105の動作中に、光ビーム110の実際のスペクトル特徴(帯域幅又は波長など)を測定又は感知する。オペレータ又は自動化システム(例えば、制御システム185)は、光ビーム110の測定又は感知された帯域幅を使用して、光学源105のプロパティを(例えば、スペクトル特徴選択システム130に信号を送信することによって)調節し、またそれによって、光ビーム110の光学スペクトル(及び、スペクトル特徴)を調節することができる。制御システム185は、メトロロジシステム170の出力を受信して、感知されたスペクトルプロファイルを分析し、この分析に基づいて光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴を推定する。
【0063】
図18を参照すると、メトロロジシステム170は、ビームセパレータ1860及び診断装置1865を有するスペクトル特徴測定システム1801を含む。診断装置1865は、ビームセパレータ1860によって光ビーム110から分離されたパルス光ビーム110’を受信する。ビームセパレータ1860は、光学源105とフォトリソグラフィ露光装置115との間のパス内に配置される。ビームセパレータ1860は、パルス光ビーム110’(パルス光ビーム110の第1の部分又はパーセンテージである)を診断装置1865内へと誘導し、パルス光ビーム110の第2の部分又はパーセンテージをフォトリソグラフィ露光装置115に向けて誘導する。いくつかの実装形態において、大部分のパルス光ビーム110は、第2の部分においてフォトリソグラフィ露光装置115に向けて誘導される。例えば、ビームセパレータ1860は、或る割合(例えば、1~2%)のパルス光ビーム110を診断装置1865内に導入し、したがってパルス光ビーム110’は、パルス光ビーム110のパワーの約1~2%を有する。ビームセパレータ1860は、例えばビームスプリッタであり得る。
【0064】
診断装置1865は、パルス光ビーム110’の光学スペクトル200に関する情報に基づいてパルス光ビーム110のスペクトル特徴(帯域幅及び/又は波長など)を測定する、スペクトル検出システム1810を含む。本明細書で考察するように、スペクトル検出システム1810は、パルス光ビーム110’と相互作用し、光ビーム110’のスペクトルコンポーネントに対応する空間コンポーネントを出力する、スペクトロメータ1848(エタロンスペクトロメータなど)と、出力された空間コンポーネントに基づいてスペクトル特徴を推定するセンサ1850とを、含む。
【0065】
センサ1850において光ビーム110’のスペクトルコンテンツを均一にサンプリングするため、センサ1850において光ビーム110’の強度を均等に分布させるため、及び、センサ1850からのスペクトル特徴のより正確な測定を提供するために、診断装置1865は、いくつかの特徴の中で特にビームホモジナイザ1805を含む、ビーム準備システム1800を含む。ビームホモジナイザ1805は、スペックルノイズを低減させ、スペクトル検出システム1010のセンサ1850に衝突するパルス光ビーム110’のビーム均質化を向上させる。
【0066】
ビーム準備システム1800は、パルス光ビーム110’の態様を修正するための他の要素又はコンポーネントを含み得る。例えば、ビーム準備システム1800は、1つ以上のパルスストレッチャシステム、1つ以上のディフューザシステム、及び1つ以上の空間調節システムも含み得る。パルスストレッチャシステムは、大幅な損失を導入することなく、パルス光ビーム110’内のパルス長を増加させるために、光ビーム110’がその平均パワーを減少させることなくピークパワーを減少させるように、パルス光ビーム110’に光学的に作用するパルスストレッチャである。ディフューザシステムは、パルス光ビーム110’を均等に放散させるように構成された、1つ以上の光学要素を含む。ディフューザシステムは、光ビーム110’が進行する方向に対して横方向の平面全体にわたって光ビーム110’を均等に拡散させ、したがって、高輝度の輝点を最小限にするか又は除去する。ディフューザシステムは、パルス光ビーム110’の角度ダイバージェンスを変更することができる。ディフューザシステムは、ビームホモジナイザ内で時折生成される可能性のある回折スパイクを平滑化するか、又はそうでなければ軽減する。ディフューザシステムは、マイクロレンズアレイ又は回折光学系(透過性又は反射性であり得る)であり得る。空間調節システムは、ビームホモジナイザ内に作成される可能性がある回折スパイク間の間隔を広げるために、パルス光ビーム110’を屈折させるように働く。空間調節システムは、その焦点面が、ビームホモジナイザによって生成されるビーム均質化面と重複するように位置決めされる、レンズであり得る。
【0067】
スペクトル検出システム1810は、パルス光ビーム110’が誘導される際に介するアパーチャ1849、並びに、入力レンズ1862、光学周波数分離装置(エタロンなど)1863、及び出力レンズ1864を含む。アパーチャ1849は、焦点面からの各ポイントがポイント源として作用するように、入力レンズ1862の焦点面に配置可能であり、したがって、入力レンズ1862がパルス光ビーム110’をエタロン1863に入る前にコリメートするように作用する。出力レンズ1864は、出力レンズ1864の焦点面がセンサ1850のアクティブエリアと重複するように、エタロン1863の出口に位置決めされる。
【0068】
いくつかの実装形態において、エタロン1863は、反射表面が互いに向かい合い、短距離(例えば、ミリメートルからセンチメートル)の間隔を空けることが可能な、部分的反射ガラス又は光学平坦面のペア1863A、1863Bを含む。他の実装形態において、エタロン1863は、2つの平行な反射表面を備える単一プレートを含む。平坦面1863A、1863Bは、後面が干渉縞を生成しないようにくさび形に作ることが可能であり、後面はしばしば反射防止膜も有する。パルス光ビーム110’はペアの平坦面1863A、1863Bを通過する際に複合的に反射し、複数の透過光線を生成し、この透過光線は出力レンズ1864によって集光され、センサ1850のアクティブ領域へと運ばれる。スペクトル検出システム1810は、センサ1850が出力レンズ1864の焦点面にあることを保証するために、必要に応じて、出力レンズ1864とセンサ1850との間に光学リレーを含むことも可能である。
【0069】
エタロン1863は、光ビーム110’と相互作用し、パルス光ビーム110’のスペクトルコンポーネントに対応する、(図18内に概略形式で示される)複数の空間コンポーネント1874を出力する。光ビーム110’のスペクトルコンポーネントは、パルス光ビーム110’の光学スペクトル1872内にあり、したがって、パルス光ビーム110’の光エネルギー又はパワーの値(スペクトル強度)が異なる波長にわたってどのように分布されるかに対応する。空間コンポーネント1874は、2次元空間内にマッピングされたこれらの強度に対応する。したがって、エタロン1863は、パルス光ビーム110’のスペクトル情報(波長など)を、センサ1850によって感知又は検出可能な空間情報に変換する。変換は、スペクトル情報がセンサ1850によって観察され得るように、スペクトル情報(波長など)を異なる位置にマッピングする。
【0070】
エタロン1863は、同心リングのセットの外観を呈する干渉パターンを、空間コンポーネント1874として生成する。アパーチャ1849上のパルス光ビーム110’の強度分布がより均一である場合、干渉パターンはより均一な強度分布の外観を呈する。特に、リングの鮮明さは、エタロン1863の平坦面1863A、1863Bの反射性に依存する。平坦面1863A、1863Bの反射性が高い(エタロンが高品質(Q)係数を有するなど)場合、パルスビーム110’が単色光ビームであるとき、エタロン1863は暗い背景に対して狭く明るいリングのセットを生成する。波長の関数としてのエタロン1863の透過は、結果として生じるフリンジパターン1871で示され、制御システム185へと誘導される光学スペクトル1872を生成する。完全干渉パターンは、計算又は推定を実行する必要がなく、代替として、センサ1850のアクティブエリアよりもわずかに大きい領域内にフリンジを生成することのみが可能である。センサ1850は、出力空間コンポーネント1874を受信及び感知する。センサ1850は、一般にその感知領域内のアクティブエリアを示す面によってのみ定義可能である。感知領域の面は、空間コンポーネント1874の伝搬方向に対して垂直であり得る。
【0071】
センサ1850は、出力空間コンポーネント1874を受信及び感知するディテクタであり得る。例えば、1つの方向に沿って測定するために使用可能な好適なディテクタのタイプの1つが、線形フォトダイオードアレイである。線形フォトダイオードアレイは、1パッケージ内に等間隔の線形配置で形成された、同じサイズの複数の要素からなる。フォトダイオードアレイは光ビーム110’の波長に敏感であり、光ビーム110’が深紫外線レンジ内の波長を有する場合、フォトダイオードアレイは深紫外線レンジ内の波長を有する光に敏感である。別の例として、センサ1850は、2次元電荷結合デバイス(CCD)又は2次元相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサなどの、2次元センサであり得る。センサ1850は、十分高速で、例えば約6kHzで、データを読み出すことが可能なはずである。
【0072】
制御システム185は、センサ1850の出力、並びに、光学源105、及びパルス光ビーム110に光学的に結合されたスペクトル特徴選択システム130に、接続される。制御システム185は、空間コンポーネント1874のプロパティを測定し、これらの測定されたプロパティを分析して、パルス光ビーム110のスペクトル特徴の推定値を計算する。制御システム185は、光ビーム110の各パルスについて、又は、光ビーム110のパルスのセットについて、測定、分析、及び計算を実行し得る。
【0073】
測定される空間コンポーネント1874のプロパティは、スカラー量(大きさ又は数値によって完全に記述される)のみ、又はベクトル量(大きさ及び方向の両方によって完全に記述される)であり得る。スカラープロパティの例は、光学スペクトル1872の幅Wなどのメトリックである。この例において、光学スペクトル1872の全体形状は知られていないがメトリックは知られており、これを使用して光学スペクトル1872の形状を推定することが可能である。ベクトルプロパティの一例は、光学スペクトル1872を記述する全体波形である。この例において、全体スペクトルから任意のメトリックを計算することが可能であり、全体スペクトルを有することによって、より正確な計算を行うことが可能である。感知される空間コンポーネントは、パルス光ビーム110’の1つ以上のパルスのレンジについて測定可能である。
【0074】
制御システム185は、プロパティとして光学スペクトル1872の幅Wを測定することができる。光学スペクトル1872の幅Wは、光ビーム110’の帯域幅(スペクトル特徴)の推定値を提供し得る。いくつかの実装形態において、光学スペクトル1872の幅Wは、FWXM(割合Xの最大ピーク強度におけるスペクトル1872の全幅)などのメトリックを使用して決定される。他の実装形態において、光学スペクトル1872の幅Wは、EY(割合Yの積分スペクトル強度を含むスペクトルの幅)などのメトリックを使用して決定される。他のメトリクスは、光学スペクトル1872のプロパティの測定に好適である。
【0075】
図19を参照すると、いくつかの実装形態において、光学源105は例示的な光学源1905である。光学源1905は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成する、パルスレーザ源である。光学源1905は、シード光ビーム1910Aをパワー増幅器(PA)1910に提供する、主発振器(MO)1900を含む、2ステージレーザシステムである。主発振器1900は、典型的には、増幅が発生する利得媒体、及び、光学共振器などの光学フィードバック機構を含む。パワー増幅器1910は、典型的には、主発振器1900からのシードレーザビームによってシードされるときに増幅が発生する利得媒体を含む。パワー増幅器1910は、再生リング共振器として設計される、パワーリング増幅器(PRA)であり得る。この場合、リング設計から十分な光学フィードバックが提供され得る。スペクトル特徴選択装置130は、相対的に低い出力パルスエネルギーにおける光ビーム110Aの中心波長及び帯域幅などの、スペクトルパラメータの微調整を実行可能にするために、主発振器1900から光ビーム110Aを受け取る。パワー増幅器1910は、主発振器1900から光ビーム1910Aを受け取り、この出力を増幅して、フォトリソグラフィ内で使用するための出力に必要なパワーを獲得する。
【0076】
いくつかの実装形態において、主発振器1900は、2本の細長い電極を有する放電チャンバ、利得媒体として働くレーザガス、及び、電極間でガスを循環させるファンを含む。レーザ共振器が、放電チャンバの一方の側のスペクトル特徴選択装置130と、シード光ビーム1910Aをパワー増幅器1910に出力するための放電チャンバの第2の側の出力カップラ1915との間に形成される。
【0077】
他の実装形態において、主発振器1900は、利得媒体として固体材料を含む。使用可能な固体媒体は、レアアース又は遷移金属イオンあるいは半導体レーザでドープされた結晶又はガラスを含む。固体利得媒体を使用する主発振器1900は、シード光ビーム1910Aを生成する。固体利得媒体は、閃光ランプ又はアークランプを用いて、あるいはレーザダイオード又はチタン(Ti)サファイア(Ti:Sapphire)レーザを使用して、光学的にポンピングされ得る。
【0078】
例示的固体利得媒体は、ネオジムドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)、ネオジムドープされたイットリウムリチウムフッ化物(Nd:YLF)、又はTi:Sapphireであり得る。固体利得媒体は、高度に時間的(及び空間的)コヒーレントであり、狭帯域幅も有する、単一モード出力を生成することが可能である。主発振器1900の固体利得媒体から出力されるシード光ビーム1910Aは、所望の波長ではない波長であり得る(例えば、DUV波長レンジ外であり得る)。この場合、シード光ビーム1910Aは、パワー増幅器1910へと誘導されるシード光ビーム1910Aの波長が所望のDUV波長であることを保証するために、1つ以上の波長変換要素を介して誘導され得る。例えば、主発振器1900内の固体利得媒体から出力されるシード光ビーム1910Aが、約773.6nmの波長である場合(例えば、Ti:Sapphire利得媒体の場合など)、シード光ビーム1910Aは、波長を約193.4nmに変換するために、2つの波長変換要素を介して誘導され得る。波長変換要素は、波長を所望の波長に変換するために、和周波数発生などの非線形光学技法を使用することができる。
【0079】
主発振器1900の固体利得媒体の高コヒーレンスプロパティには、位相変調器システム145を使用して対処することが可能であり、こうした主発振器1900によって生成されるシード光ビーム1910Aの(時間的及び空間的の両方の)コヒーレンスを減少させるために使用可能である。更に、位相変調器システム145は、シード光ビーム1910Aの帯域幅の増加の効果も有し、シード光ビーム1910Aの時間的コヒーレンスが減少すると、シード光ビーム1910Aの帯域幅は増加する。したがって、位相変調器システム145を使用して、シード光ビーム1910Aの帯域幅を増加させること、及び、シード光ビーム1910Aの時間的コヒーレンスを減少させることの、両方が可能である。
【0080】
光学源1905は、出力カップラ1915からの出力を受信する別のスペクトル特徴メトロロジモジュール(線中心分析モジュール又はLAMなど)1920、及び、必要に応じてビームのサイズ及び/又は形状を修正する、1つ以上のビーム修正光学システム1925も含み得る。スペクトル特徴メトロロジモジュール1920は、メトロロジシステム170の一部であり、シード光ビームの波長(例えば、中心波長)を測定するために使用可能な、1つのタイプの測定システムの一例である。
【0081】
パワー増幅器1910はパワー増幅器放電チャンバを含み、再生リング増幅器である場合、パワー増幅器は、循環パスを形成するために光ビームを反射して放電チャンバに戻す、ビームリフレクタ又はビーム反転デバイス1930も含む。パワー増幅器放電チャンバは、細長い電極のペア、利得媒体として働くレーザガス、及び、電極間でガスを循環させるためのファンを含む。シード光ビーム1910Aは、パワー増幅器1910を繰り返し通過させることによって増幅される。ビーム修正光学システム1925は、シード光ビーム1910Aをイン結合するため、及び、出力光ビーム110を形成するためにパワー増幅器からの増幅された放射の一部をアウト結合するための、手法(例えば、部分反射ミラー)を提供する。
【0082】
主発振器1900及びパワー増幅器1910の放電チャンバ内で使用されるレーザガスは、必要な波長及び帯域幅周辺にレーザビームを生成するための、任意の好適なガスであり得る。例えば、レーザガスは、約193nmの波長で光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、又は、約248nmの波長で光を放出するフッ化クリプトンであり得る。
【0083】
スペクトル特徴メトロロジモジュール1920は、主発振器1900の出力(光ビーム1910A)の波長を監視する。スペクトル特徴メトロロジモジュール1920は、光学源1905内の他のロケーションに配置可能であるか、又は、光学源1905の出力に配置可能である。
【0084】
パワー増幅器1910によって生成されるパルスの繰り返し率は、主発振器1900が、フォトリソグラフィ露光装置115内のコントローラ140からの命令の下で、制御システム185によって制御される繰り返し率によって決定される。パワー増幅器1910から出力されるパルスの繰り返し率は、フォトリソグラフィ露光装置115によって見られる繰り返し率である。
【0085】
前述のように、光学要素のみを粗及び微細の両方に使用して、帯域幅を制御することが可能である。他方で、
主発振器1900及びパワー増幅器1910内の電極の活動化間の差動タイミングを制御することによって、微細及び狭いレンジ内で迅速に帯域幅を制御することが可能である一方、スペクトル特徴選択システム130内のプリズムの角度を調節することによって、粗及び広いレンジ内で帯域幅を制御することが可能である。
【0086】
図20を参照すると、いくつかの実装形態において、スペクトル特徴選択装置130は、光学的にパルス光ビーム110Aと相互作用するように配置された、光学特徴又はコンポーネント2000、2005、2010、2015、2020のセットと、ファームウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせの形の電子回路を含む制御モジュール2050とを、含む。光学コンポーネント2000、2005、2010、2015、2020は、疎なスペクトル特徴調節システムを提供するように構成可能であり、こうしたコンポーネントの調節が十分迅速である場合、微細なスペクトル特徴調節システムを提供するように構成可能である。図20には示されていないが、スペクトル特徴選択装置130にとって、微細なスペクトル特徴制御を提供するための他の光学特徴又は他の非光学特徴を含むことが可能である。
【0087】
制御モジュール2050は、光学コンポーネント2000、2005、2010、2015、2020それぞれに物理的に結合された、1つ以上の作動システム2000A、2005A、2010A、2015A、2020Aに接続される。装置130の光学コンポーネントは、格子であり得る分散光学素子2000と、プリズムであり得る屈折光学素子2005、2010、2015、2020のセットで作られるビームエキスパンダ2001とを含む。格子2000は、光ビーム110Aを分散及び反射するように設計された反射格子であり得、したがって、格子2000は、DUVレンジ内の波長を有するパルス光ビーム110Aと相互作用するのに好適な材料で作られる。プリズム2005、2010、2015、2020の各々は、光ビーム110Aがプリズムの本体を通過する際にこれを分散及び方向転換させるように作用する、透過性プリズムである。プリズムの各々は、光ビーム110Aの波長の透過を可能にする材料(例えば、フッ化カルシウムなど)で作ることができる。4つの屈折光学素子2005、2010、2015、2020が示されているが、ビームエキスパンダ2001内で4つより少ないか又は4つより多い屈折光学素子を使用することが可能である。
【0088】
パルス光ビーム110Aはアパーチャ2055を介して装置130に入り、その後、格子2000の回折面2002上に衝突する前に、プリズム2020、プリズム2010、及びプリズム2005の順序でこれらを介して進行する。ビーム110Aが連続プリズム2020、2015、2010、2005を各々通過することで、光ビーム110Aは、光学的に拡大され、次の光学コンポーネントに向けて方向転換(或る角度で屈折)される。光ビーム110Aは、光ビーム110Aが装置130を出る際にアパーチャ2055を通過する前に、格子2000からプリズム2005、プリズム2010、プリズム2015、及びプリズム2020の順序で、これらを介して逆に回折及び反射される。格子2000から連続プリズム2005、2010、2015、2020を各々通過することで、光ビーム110Aは、アパーチャ2055に向けて進行する際に光学的に圧縮される。
【0089】
ビームエキスパンダ2001のプリズム(プリズム2005、2010、2015、2020のうちのいずれか1つであり得る)の回転が、光ビーム110Aがその回転したプリズムの入口表面上に衝突する入射角度を変化させる。更に、その回転したプリズムを介する光ビーム110Aの2つの局所光学品質、すなわち光学倍率及びビーム屈折角は、その回転したプリズムの入口表面上に衝突する光ビーム110Aの入射角の関数である。プリズムを介する光ビーム110Aの光学倍率は、そのプリズムに入る光ビーム110Aの横幅に対する、そのプリズムを出る光ビーム110Aの横幅の比率である。
【0090】
ビームエキスパンダ2001内のプリズムのうちの1つ以上での、光ビーム110Aの局所光学倍率における変化によって、ビームエキスパンダ2001を介する光ビーム110Aの光学倍率OM2065における全体的な変化を生じさせる。ビームエキスパンダ2001を介する光ビーム110Aの光学倍率OM2065は、ビームエキスパンダ2001に入る光ビーム110Aの横幅Wiに対する、ビームエキスパンダ2001を出る光ビーム110Aの横幅Woの比率である。追加として、ビームエキスパンダ2001内のプリズムのうちの1つ以上を介する局所ビーム屈折角における変化によって、格子2000の表面2002における光ビーム110Aの入射角2062における全体的な変化を生じさせる。
【0091】
光ビーム110Aの波長は、光ビーム110Aが格子2000の回折面2002上に衝突する入射角2062を変更することによって調節可能である。光ビーム110Aの帯域幅は、光ビーム110の光学倍率2065を変更することによって調節可能である。
【0092】
装置130は、光ビーム110Aが格子2000の回折面2002上に衝突する入射角2062を調節することによって、光学源105の共振器内で生成される光ビーム110Aの波長を調節するように設計される。具体的に言えば、これは、プリズム2005、2010、2015、2020及び格子2000のうちの1つ以上を回転させ、それによって、光ビーム110Aの入射角2062を調節することによって実行可能である。
【0093】
更に、光学源105によって生成される光ビーム110Aの帯域幅は、光ビーム110Aの光学倍率OM2065を調節することによって調節される。したがって、光ビーム110Aの帯域幅は、プリズム2005、2010、2015、2020のうちの1つ以上を回転させ、光ビーム110Aの光学倍率2065を変化させることによって調節可能である。特定のプリズムの回転が、局所ビーム屈折角とそのプリズムにおける局所光学倍率との両方において変化を生じさせるため、この設計では、波長及び帯域幅の制御が結合される。
【0094】
追加として、光ビーム110Aの帯域幅は、プリズム2020の回転に対して相対的に敏感であり、プリズム2005の回転に対しては相対的に敏感でない。これは、それらのプリズムが回転したプリズム2020と格子2000との間にあり、光ビーム110Aはプリズム2020を通過した後、これらの他のプリズム2015、2010、2005を介して進行しなければならないため、プリズム2020の回転に起因した光ビーム110Aの局所光学倍率における任意の変化が、他のプリズム2015、2010、及び2005における光学倍率における変化の積によって乗じられるためである。他方で、光ビーム110Aの波長は、プリズム2005の回転に対して相対的に敏感であり、プリズム2020の回転に対しては相対的に敏感でない。
【0095】
例えば、波長を変更することなく帯域幅を変化させるために、入射角2062を変更することなく光学倍率2065を変化させるべきであり、これは、プリズム2020を大きく回転させること、及びプリズム2005を小さく回転させることによって達成可能である。
【0096】
制御モジュール2050は、光学コンポーネント2000、2005、2010、2015、2020それぞれに物理的に結合された1つ以上の作動システム2000A、2005A、2010A、2015A、2020Aに接続される。光学コンポーネントの各々について作動システムが示されているが、装置130内の光学コンポーネントのうちのいくつかを、定常に維持するか、又は作動システムに物理的に結合しないことが可能である。例えば、いくつかの実装形態において、格子2000を定常に維持することが可能であり、プリズム2015を定常に維持し、作動システムに物理的に結合しないことが可能である。
【0097】
作動システム2000A、2005A、2010A、2015A、2020Aの各々は、そのそれぞれの光学コンポーネントに接続された1つ以上のアクチュエータを含む。光学コンポーネントの調節により、光ビーム110Aの特定のスペクトル特徴(波長及び/又は帯域幅)における調節を生じさせる。制御モジュール2050は制御システム185から制御信号を受信し、制御信号は、作動システムのうちの1つ以上を動作又は制御するための特有のコマンドを含む。作動システムは協働するように選択及び設計可能である。
【0098】
作動システム2000A、2005A、2010A、2015A、2020Aのアクチュエータの各々は、それぞれの光学コンポーネントを移動又は制御するための機械デバイスである。アクチュエータは、モジュール2050からエネルギーを受け取り、そのエネルギーを、それぞれの光学コンポーネントに付与される何らかの種類の動きに変換する。例えば、作動システムは、ビームエキスパンダのプリズムのうちの1つ以上を回転させるための力デバイス及び回転ステージのうちのいずれか1つであり得る。作動システムは、例えば、ステッパモータなどのモータ、弁、圧力制御デバイス、ピエゾデバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、ボイスコイルなどを含むことができる。
【0099】
格子2000は、高ブレーズ角エシェル格子であり得、格子方程式を満たす任意の入射角2062で格子2000に入射する光ビーム110Aは、反射(回折)することになる。格子方程式は、格子2000のスペクトル次数、回折波長(回折ビームの波長)、格子2000上への光ビーム110Aの入射角2062、格子2000から回折される光ビーム110Aの出口角、格子2000上に入射する光ビーム110Aの垂直ダイバージェンス、及び、格子2000の回折面の溝間隔の間の、関係を提供する。更に、格子2000上への光ビーム110Aの入射角2062が格子2000からの光ビーム110Aの出口角と等しいように、格子2000が使用される場合、格子2000及びビームエキスパンダ(プリズム2005、2010、2015、2020)は、リトロー配置で配置され、格子2000から反射する光ビーム110Aの波長はリトロー波長である。格子2000上に入射する光ビーム110Aの垂直ダイバージェンスは、近ゼロであることが想定され得る。公称波長を反射するために、格子2000は、格子2000上に入射する光ビーム110Aに関して位置合わせされるため、公称波長は光学源105内で増幅されるように、ビームエキスパンダ(プリズム2005、2010、2015、2020)を介して後方反射されることになる。その後、リトロー波長は、格子2000上への光ビーム110Aの入射角2062を変動させることによって、光学源105内の共振器の全利得帯域幅にわたって調整可能である。
【0100】
プリズム2005、2010、2015、2020の各々は、光ビーム110Aの横方向に沿って十分広いため、光ビーム110Aは、通過する表面内に含まれることになる。各プリズムは、アパーチャ2055から格子2000に向かうパス上で光ビーム110Aを光学的に拡大し、したがって、各プリズムはプリズム2020からプリズム2005へと、連続的にサイズが大きくなる。したがって、プリズム2005はプリズム2010よりも大きく、プリズム2010はプリズム2015より大きく、プリズム2020は最も小さいプリズムである。
【0101】
前述のように、光ビーム110Aの帯域幅は、プリズム2020の回転に対して相対的に敏感であり、プリズム2005の回転に対しては相対的に敏感でない。これは、それらのプリズムが回転したプリズム2020と格子2000との間にあり、光ビーム110Aはプリズム2020を通過した後、これらの他のプリズム2015、2010、2005を介して進行しなければならないため、プリズム2020の回転に起因した光ビーム110Aの局所光学倍率における任意の変化が、他のプリズム2015、2010、及び2005における光学倍率における変化の積によって乗じられるためである。他方で、光ビーム110Aの波長は、プリズム2005の回転に対して相対的に敏感であり、プリズム2020の回転に対しては相対的に敏感でない。したがって、波長は、プリズム2005を回転させることによって粗に変更可能であり、プリズム2020は(粗な様式で)回転可能である。光ビーム110Aの入射角2062は、プリズム2005の回転に起因して変更され、プリズム2020の回転は、プリズム2005の回転によって生じる拡大における変化をオフセットする。プリズム2020は、粗な大きいレンジの低速な帯域幅制御に使用可能である。これに対して帯域幅は、微細な狭いレンジ内でプリズム2010を制御することによって、更に尚迅速に制御可能である。
【0102】
図21を参照すると、本明細書で説明するシステム及び方法の態様に関連する制御システム185に関する詳細が与えられている。制御システム185は、図21に示されていない他の特徴を含むことができる。一般に、制御システム185は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちの1つ以上を含む。
【0103】
制御システム185は、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであり得る、メモリ2100を含む。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に具体化するのに好適なストレージデバイスは、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及び取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、磁気光学ディスク、及びCD-ROMディスクを含む、すべての形の不揮発性メモリを含む。制御システム185は、1つ以上の入力デバイス2105(キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイスなど)及び1つ以上の出力デバイス2110(スピーカ又はモニタなど)も含むことができる。
【0104】
制御システム185は、1つ以上のプログラマブルプロセッサ2115、及び、プログラマブルプロセッサ(プロセッサ2115など)によって実行するための機械可読ストレージデバイス内に有形に具体化される1つ以上のコンピュータプログラム製品2120を含む。1つ以上のプログラマブルプロセッサ2115は、各々、入力データ上での動作及び適切な出力の生成によって所望の機能を実行するために、命令のプログラムを実行することができる。一般に、プロセッサ2115は、メモリ2100から命令及びデータを受信する。前述のいずれかは、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって捕捉されるか、又はこれに組み込まれ得る。
【0105】
制御システム185は、いくつかの他のコンポーネントの中で特に、スペクトル特徴分析モジュール2125、リソグラフィ分析モジュール2130、意思決定モジュール2135、位相変調モジュール2140、光源作動モジュール2150、リソグラフィ作動モジュール2155、及びビーム準備作動モジュール2160を含む。これらのモジュールの各々は、プロセッサ2115などの1つ以上のプロセッサによって実行される、コンピュータプログラム製品のセットであり得る。更に、モジュール2125、2130、2135、2140、2150、2155、2160のうちのいずれかは、メモリ2100内に記憶されたデータにアクセス可能である。
【0106】
スペクトル特徴分析モジュール2125は、メトロロジシステム170からの出力を受信する。位相変調モジュール2140は、位相変調器システム145の電極1248、1249を制御するために電圧源1257に提供される信号を制御するために、位相変調器システム145とインターフェースする。リソグラフィ分析モジュール2130は、フォトリソグラフィ露光装置115のリソグラフィコントローラ140から情報を受信する。意思決定モジュール2135は、分析モジュール(モジュール2125及び2130など)からの出力を受信し、分析モジュールからの出力に基づいていずれの作動モジュール(位相変調モジュール2140又は光源作動モジュール2150など)を活動化させる必要があるかを決定する。
【0107】
光源作動モジュール2150は、光学源105及びスペクトル特徴選択装置130のうちの1つ以上に接続される。リソグラフィ作動モジュール2155は、フォトリソグラフィ露光装置115に、及び具体的にはリソグラフィコントローラ140に接続される。ビーム準備作動モジュール2160は、ビーム準備システム112の1つ以上のコンポーネントに接続される。制御システム185内のモジュール間、及び、制御システム185内のモジュールとフォトリソグラフィシステム100の他のコンポーネントとの間の接続は、ワイヤード又はワイヤレスであり得る。
【0108】
図21には数個のモジュールのみが示されているが、制御システム185は他のモジュールを含むことが可能である。追加として、制御システム185はボックスとして表され、ボックス内ではすべてのコンポーネントが共設されるように表されているが、制御システム185では、互いに物理的にリモートなコンポーネントで構成されることが可能である。例えば、光源作動モジュール2150は、光学源105又はスペクトル特徴選択装置130と物理的に共設され得る。
【0109】
一般に、制御システム185は、光ビーム110に関する少なくとも何らかの情報をメトロロジシステム170から受信し、スペクトル特徴分析モジュール2125は、フォトリソグラフィ露光装置115に供給される光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴(例えば、帯域幅)をどのように調節するかを決定するために、情報に関する分析を実行する。この決定に基づいて、制御システム185は、制御モジュール2050を介して光学源105の動作を制御するために、スペクトル特徴選択装置130及び/又は光学源105に信号を送信する。一般に、スペクトル特徴分析モジュール2125は、光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴(例えば、波長及び/又は帯域幅)を推定するために必要な分析を実行する。スペクトル特徴分析モジュール2125の出力は、意思決定モジュール2135に送信されるスペクトル特徴の推定値である。
【0110】
スペクトル特徴分析モジュール2125は、推定されるスペクトル特徴を受信するため、及び、スペクトル特徴ターゲット値を受信するためにも接続される、比較ブロックを含む。一般に、比較ブロック波、スペクトル特徴ターゲット値と推定値との間の差を表す、
スペクトル特徴誤差値を出力する。意思決定モジュール2135は、スペクトル特徴誤差値を受信し、スペクトル特徴を調節するために、システム100に対する補正をどのように最良に実行するかを決定する。したがって、意思決定モジュール2135は、スペクトル特徴誤差値に基づいて、光源作動モジュール2150に信号を送信し、スペクトル特徴選択装置130(又は、光学源105)をどのように調節するかを決定する。光源作動モジュール2150の出力は、スペクトル特徴選択装置130に送信されるアクチュエータコマンドのセットを含む。例えば、光源作動モジュール2150は、図20に示される例示的装置130内の作動システムに接続される制御モジュール2050に、コマンドを送信する。
【0111】
追加として、リソグラフィ分析モジュール2130は、例えば、パルス光ビーム110の1つ以上のスペクトル特徴を変更するために、又は、光ビーム110のパルス繰り返し率を変更するために、フォトリソグラフィ露光装置115のリソグラフィコントローラ140から命令を受信することができる。リソグラフィ分析モジュール2130は、スペクトル特徴をどのように調節するかを決定するためにこれらの命令に関する分析を実行し、分析の結果を意思決定モジュール2135に送信する。制御システム185は、パルスが生成される率である、所与の繰り返し率で、光学源105を動作させる。より具体的に言えば、フォトリソグラフィ露光装置115は、(制御システムを用いて(リソグラフィ分析モジュール2130を介して)あらゆるパルスについて(すなわち、パルス対パルスベースで)光学源105にトリガ信号を送信し、それらのトリガ信号間の時間間隔は任意であり得るが、フォトリソグラフィ露光装置115が一定間隔でトリガ信号を送信するとき、それらの信号の率が繰り返し率である。繰り返し率は、フォトリソグラフィ露光装置115によって要求される率であり得る。
【0112】
位相変調モジュール2140は、位相変調器システム145の電極1248、1249を制御するために電圧源1257に提供される信号をどのように修正するかに関する命令を(例えば、意思決定モジュール2135から)受信することが可能である。電圧源1257に提供される信号を調節することによって、パルスの光位相の変調周波数が調節される。
【0113】
図22を参照すると、フォトリソグラフィシステム100によって手順2200が実行される。パルスで構成される光ビーム110が生成される(2205)。各パルスは深紫外線レンジ内の波長を有し、各パルスは、第1の時間的コヒーレンス長さによって定義される第1の時間的コヒーレンスを有する。各パルスは、パルス長によって定義される。パルス長は、パルスのパワーがその最大値の或るパーセンテージ(例えば、半分)を連続して超え続けている間の時間として定義することができる。
【0114】
これらのパルスのうちの1つ以上について、パルスの光位相は、修正パルスを生成するためにパルスのパルス長にわたって変調される(2210)。修正パルスは、パルス(すなわち、未修正パルス)の第1の時間的コヒーレンス長さより短い第2の時間的コヒーレンス長さによって定義される第2の時間的コヒーレンスを有する。例えば、光位相は、パルスのパルス長にわたる光位相の変調に関する、フーリエ変換によるパルスの電界のスペクトルを畳み込むことによって、修正パルスを生成するためにパルスのパルス長にわたって変調される(2210)。
【0115】
パルスの光位相は、パルスが誘導される際に介する材料の屈折率を変調することによって変調可能である(2210)。例えば、パルス1205の光位相は、パルス1205が伝搬される際に介する電気光学結晶1247の屈折率を変調することによって変調される。光位相は、周波数レンジ内にある周波数において変調可能である。
【0116】
パルスの光位相は、パルスのパルス長にわたって光位相をランダム化することによって変調可能である(2210)。パルスの光位相は、パルスの電気波形上の時間点の位置を変更することによって、変調可能である(2210)。
【0117】
光パルスは波形に関連付けられ、波形は時間点によって表され、パルスの光位相は、波形の異なる点に異なる時間的遅延を適用することによって、変調可能である(2210)。異なる時間的遅延は、媒体(又は、電気光学結晶1247などの材料)を介して光パルスを通過させること、及び、パルスが媒体を通過する際に媒体の屈折率を変動させることによって、波形の異なる点に適用される。光位相の変調の振幅は、パルスのパルス長にわたってランダムに変動可能である。
【0118】
パルスの光ビームは、修正パルスのうちの1つ以上から形成され(2215)、形成されたパルスの光ビームは、フォトリソグラフィ露光装置115内のウェーハ120に向かって誘導される(2220)。
【0119】
光位相は、修正パルスを生成するためにパルスのパルス長にわたって変調され(2210)、それによって、基板に向けて誘導されるパルスの光ビームの動的スペックル(動的スペックルコントラストとも呼ばれる)を減少させる。
【0120】
パルスで構成される光ビームは、パルスで構成されるシード光ビーム1910Aを生成することによって生成可能である。増幅パルスで構成される光ビーム110は、共振器(例えば、パワー増幅器1910内)を介してシード光ビームのパルスを繰り返し通過させることによって、シード光ビーム1910Aのパルスを光学的に増幅させることによって生成可能である。光位相は、修正パルスを生成するために、増幅パルスのパルス長にわたって光位相を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調可能である。光位相は、修正パルスを生成するために、シード光ビーム1910Aのパルスのパルス長にわたって光位相を変調することによって、パルスのパルス長にわたって変調可能である。増幅パルスで構成される光ビーム110は、修正パルスを光学的に増幅することによって生成可能である。
【0121】
手順2200は、修正パルスを生成するために各パルスのパルス長にわたって光位相を変調する前に、光ビームのパルスの帯域幅を減少させることを含むこともできる。パルスのパルス長にわたって光位相を変調することで、パルスの帯域幅を増加させるが、ターゲット帯域幅は下回り続ける。この現象(光位相変調の周波数が増加するにつれて、修正パルスの帯域幅が増加する)を使用して、そのパルスの光位相が変調される率又は周波数を調節することによって、ウェーハ120に向けて誘導されるパルスの帯域幅を調節することが可能である。
【0122】
手順2200は、ウェーハ120に向かって誘導される光ビーム内のパルス長を増加させることを含むこともできる。ウェーハ120に向かって誘導される光ビーム内のパルス長は、光ビームの各パルスの振幅を分割部分に分割すること、パルスの時間的に遅延した部分を生成するために、これらの分割部分間に時間的遅延を導入すること、及びその後、光ビームの時間的に伸長されたパルスを提供するために、パルスのこれらの時間的に遅延した部分を再結合することによって、増大させることができる。更に、光位相は、パルスの1つ以上の分割部分のパルス長にわたって光位相を変調することによって、修正パルスを生成するためにパルスのパルス長にわたって変調可能である(2210)。
【0123】
光ビームの修正パルスの帯域幅は、変調前の光ビームのパルスの帯域幅よりも大きい可能性がある。図23も参照すると、手順2200は、パルスのパルス長にわたって光位相が変調される周波数レンジを選択するための、追加の手順2300を含むことも可能である。基本的に、手順2300は、変調周波数(又は、最大許容変調周波数)が、修正パルスのターゲット帯域幅のレンジ内にある帯域幅を生成することになるターゲット変調周波数を決定すること、及びその後、最大許容変調周波数を決定されたターゲット変調周波数未満で維持し、それによって、変調周波数がターゲット変調周波数内にあることを保証し、またそれによって、修正パルスの帯域幅をターゲット帯域幅のレンジ内に維持することによって、選択可能であるという原理で動作する。手順2300は、テストパルスの特性を測定すること(2305)を含む。テストパルスは、(変調される前に)第1の時間的コヒーレンスを有するパルス、又は、第2の時間的コヒーレンスを有する修正パルスの、いずれかである。測定されるテストパルスの特性は、テストパルスの帯域幅であり得る。測定された特性は受信され(2310)、制御システム185は、受信した特性に基づいて、修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ内にあるかどうかを決定する(2315)。制御システム185が、修正パルスの帯域幅がターゲット帯域幅のレンジ外にあるものと決定した場合、光位相が変調される最大許容周波数が調節される(2320)。光位相が変調される最大許容周波数を調節することによって、修正パルスの帯域幅を調節することが可能である。例えば、位相変調モジュール2140は、変調の最大許容周波数を調節するために、位相変調器システム145の電圧源1257に提供される制御信号を調節することができる。また、制御信号は、制御信号が誘導される際に介する信号フィルタを調節することによって、調節可能である。
【0124】
手順2300は、光ビーム110の各パルスについて実行可能である。
【0125】
他の実装形態は、下記の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23